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§遠雷:第12話§

もの言わぬ街

著:林田ジュン
▽ 途切れた街道 ▽ 感情のない住民 ▽ 双子の統治者

途切れた街道

【ヨッヘン】 プラス1のショート・ボウ買おっかな〜。売ってる?
【GM】 プラス1ならある。2以上はないけど。大きな国じゃないし。
【ヨッヘン】 じゃあ、買お。
【リーディス】 私、〈ファミリアー〉使えるようになった。使い魔作ろうかな。何の動物にしよう。
【セフィーロ】 カラスとか、猫とか、フクロウや。
【リーディス】 一番役に立たないのって何?
【GM】 カエル?
【リーディス】 おっ、じゃあカエルいこ。カエルって何ができんの?
【GM】 鳴くとか?
【ヨッヘン】 水中適応。水中の偵察ができる。
【リーディス】 鯉の池とかな。「濁ってます」って帰ってくるねん。カエル召喚。(ころっ)カエル出た。名前は『ミドリちゃん』
【GM】 セフィーロは何も買わへんの? 高品質武器は3まであるよ。
【セフィーロ】 迷い中。金がないねん。まぁいいや、買っておくか。打撃力が26になったぞ。
【GM】 強。

【GM】 じゃあ、買い物もすんだ事やし、始めようか?
【ヨッヘン】 やるかね。
【GM】 まあ、みんながアルファン帰ってきたら、穴は掘り終わってるねんけどね。あとは開通式で王様が最後に残った岩をどければ完成。
【リーディス】 開通式で地崩れとかしたら大変。ジ・エ〜ンドや。
【GM】 国家の偉い人がみんな生き埋め。
【ヨッヘン】 すごい罠や。敵がその罠を張ってるかも知れん。
【GM】 で、まあ、開通式をやろうと思っててんけど、開通式ができない事件が起きちゃったから、先延ばしにされました。
【ヨッヘン】 あーあ。「じゃあ、私に任せて下さい」
【GM】 「うん、任せようと思ってました」
 ところで、キミらどこにいてんのかな?
【リーディス】 アルファンの街をぶらぶらしてる。お土産買いながら。
【GM】 じゃあ、そんな君らをシュウさんの部下がまた呼びに来る。
「ちょっとまた城に来て欲しいんですけどね」
【ヨッヘン】 じゃあ、行こか。
【リーディス】 暇やし。
【GM】 では、話しましょうかね。この国、王都アルファンの南にオストレイクっていうきれいな大きい街があって、そことアルファンの間にも小さな街がいくつもあるねんけど、その中の一つの街の様子がおかしい、と。
【リーディス】 おかしい?
【GM】 なんか、この街のところで街道が封鎖されて、その町全体が反アルファンの拠点か何かになってるらしい。
【リーディス】 すごいな。めちゃめちゃ事件やん。
【GM】 で、ちょっとそんなの起こってたら開通式とかやってる場合ちゃうし――。
【ヨッヘン】 おう、そらそうや。
【GM】 街道封鎖されてるからオストレイクの偉い人も来たいのに来られへん。
【ヨッヘン】 そういう問題か。
【GM】 で、どうやら、この事件の裏にサイードの旧臣派の人たちが関係してるっぽい、というところまで調べ上げたわけよ。
【リーディス】 ふーん。
【GM】 ついでに、君らが持ってきた裏切り者リストの7人のうちの1人がシュウさんの部下の1人で、そいつがこの前王子をノーザン伯爵に渡す手はずを整えてたんやけどね。
【リーディス】 誰や?
【GM】 『クロド』って奴。
【ヨッヘン】 おお、こいつか。
【GM】 「もう彼は処刑したけどね」ってシュウ。
【ヨッヘン】 「クロド、死亡」デッド・リスト追加された。
【GM】 で、その事件が起こってる街――人口1000人ぐらい――音信も不通やねんけどな、そこの街は女の人が領主なんだけど、その女領主の苗字が『パトリシア』っていうらしい。裏切り者リストの『パティ=パトリシア』と関係あるかは分からないけど。
【ヨッヘン】 ほう。
【GM】 そして、この街の住人全てが兵士と化して、アルファンに対する反乱を起こそうとしてるみたい。
【リーディス】 テロや、テロ。
【ヨッヘン】 パトリシアはどうなったかわからへんのか。
【GM】 『パトリシア』は、この街を統治してる一族の名前。
「確か、女だった」って言ってる。苗字しかわからへんから、名前は知らんねんけどな。
【ヨッヘン】 領主やろ? なんで苗字しかわからへんの。
【GM】 国家が今まで気に留めてなかったから。
【リーディス】 なに〜?!
【セフィーロ】 税収は上がって来うへんの?
【GM】 上がってくるけど、あんまり気にしてなかった。
【ヨッヘン】 誰がパトリシアを領主に任命したん?
【GM】 世襲やったから、その辺の人が勝手に成り上がってん。だからべつに王様が任命したわけじゃない。
【リーディス】 素晴らしい国やで、ここ。
【ヨッヘン】 で、その街の人が全員、兵士になった?
【GM】 うん。まぁ、兵士って言うか、武装して補給戦を断ったり、いろいろしてるらしい。
【セフィーロ】 なるほど。
【ヨッヘン】 困るやん。
【GM】 うん、困る。いちばん困るのは、トンネルの開通式ができないことやねんけどな。
【ヨッヘン】 無視してやれば?
【GM】 だってオストレイクの偉い人も呼んでるし。
【ヨッヘン】 そういう問題か。
【GM】 オストレイクだけじゃなくてさらに南の国の人も呼んでるし。
【ヨッヘン】 ああ、そうなん。ノスレア大公国の?
【GM】 そう。南の国ともとりあえず仲良くしとこっかな〜、と思って呼んだ。
【リーディス】 他の用事で仲良くしたら?
【GM】 それに国の中にそんな反抗勢力があるのもね、アレやし。
「とりあえず、様子を見て欲しいんだが、3人じゃあ不安かね?」
【ヨッヘン】 様子を見るだけなら3人でも構わん気がするけど、誰が来んの?
【GM】 シュウさんが行ってもいいし、穴掘り部隊が終わったから隊長とゼノが行ってもいいって。
【ヨッヘン】 どうしよっかね。
【GM】 ただ、シュウか隊長のどっちかしか来ない。どっちかが穴掘り部隊を見てなきゃいけないから。ゼノはどっち選んでもついてくるけど。
【ヨッヘン】 そっか。
【リーディス】 シュウさんの能力どんな感じやった?
【GM】 セージ7の、ファイター3。
【リーディス】 隊長は?
【GM】 隊長はファイター4。ゼノはシーフ3。
【ヨッヘン】 じゃあ、シュウさんのほうがいいよな。ファイター3でセージが7あるからね。
【リーディス】 隊長、ボツ。
【ヨッヘン】 穴、見といて。
【GM】 ゼノがしぶしぶついてくる。
【リーディス】 あーあ、かわいそうに。離れ離れやし。
【GM】 あ、シュウはGMが動かすから。
【セフィーロ】 ゼノは?
【GM】 ゼノは、そっちで勝手に動かしちゃって。出発は明日ね。
【ヨッヘン】 馬、用意しといてね。馬車でもええけど。
【GM】 じゃ、馬車。
【ヨッヘン】 馬車かね。じゃ、明日になっていいよ。
【GM】 なりましたよ。
【ヨッヘン】 馬車にいそいそと乗り込むよ。
【GM】 2台ね。人数多いし。
【リーディス】 OK、OK。
【セフィーロ】 御者はいるの?
【GM】 うん、ついてる。だって国の馬車やもん。
 「でも近づきすぎたら危険なんで、一つ手前の村までしか行きませんよ」ってさ。
【ヨッヘン】 わかった。
【リーディス】 いいよ、いいよ。
【ヨッヘン】 さぁ、行ってくれたまえ。出発!
【GM】 了解。では何日か馬車で進むと、手前の村が見えてきました。そこに作戦本部が作られてる。
「この施設は自由に使ってくれたまえ」ってシュウさん。「ここを拠点に調査にはげんでくれよ」
【リーディス】 ええ?
【ヨッヘン】 「あなたも来ないと」
【GM】 いや、シュウの専門はデスクワークやし、調査にはついて来ないよ。
【リーディス】 なんだよ〜。なんで〜。
【GM】 いざというときは来るけど、ずっと君らにつきっきりはできない。だって他に報告とかいろいろ仕事があるから。
【セフィーロ】 自分の目で見て報告せんとな。だから来てよ。
【GM】 それは最後にする。だから最初のうちは君らとゼノだけでやってよ。
【セフィーロ】 仕方ない。とりあえず、問題の街が見えるぐらいまで行こうや。

感情のない住民

【GM】 問題の街は、石造りの家を基調にしたきれいな街やね。大きいから、結構遠くからでも確認できるよ。
【ヨッヘン】 街の外に壁はないねんな?
【GM】 壁はない。きれいな、いかにも観光地って感じの街。街の真ん中に湖があって、川が流れてて、森もある。
【ヨッヘン】 どうなんやろ、街には入れるんかな。近寄ってみよか。
【GM】 どの辺まで近寄る?
【リーディス】 遠巻きに見とく。
【ヨッヘン】 姿消して見に行こうか? カエル連れてっていい?
【リーディス】 いいよ。
【GM】 カエルは消えんの? 消えないんちゃう?
【リーディス】 頭に乗せたげる。
【GM】 カエルが浮いてる。
【ヨッヘン】 空飛ぶカエル。
【GM】 めっちゃ不審や。
【セフィーロ】 怖ぇ。
【ヨッヘン】 そやな、カエル消えないなら置いていこうか。1人で行くわ。
【リーディス】 行ってらっしゃ〜い。
【ヨッヘン】 ホントは携帯電話みたいにして使いたかってんけどな。
【セフィーロ】 一方通行の。
【ヨッヘン】 「もしもしィ?」
【GM】 「ゲロ」
 で、ヨッヘンは姿消して街に入り込んだわけやけど……見た目、普通やで。
【ヨッヘン】 どうしよっかなぁ。何か怪しいもの……領主のとこ行ってみよか。人はいるの? 一般人。
【GM】 うん。いるよ。その辺歩いてたりするけど、誰も会話は一切ない。表情も一定。
【ヨッヘン】 ほう。精霊を感じてみる。
【GM】 負の精霊は感じない。ちゃんと生きてるよ。生きてるけど、誰とも会話してない。
【ヨッヘン】 なんか操られてるような感じ?
【GM】 あー、まあ、どっちかと言えば。
【ヨッヘン】 ほう。『操られてる』
【リーディス】 なんか、ボーっとしてるとか。
【GM】 うんうんうん。なんか、人と目が合っても全然しゃべってないし、日常生活の料理とかはしてるけど、だからつって子供にご飯出すときに、「食べな」とか言うわけじゃないし。置いて勝手に食べる、みたいな。
【リーディス】 ふ〜ん。上の空みたいな。
【ヨッヘン】 ちょっと小石を拾って投げてみる。
【GM】 石が当たった人は飛んできた方向を見て、石を投げた奴を探してるみたい。
【ヨッヘン】 いちおう反応は普通やな。
【GM】 痛覚とかはあるらしい。
【ヨッヘン】 そういえば戦士だらけになってるとか言う話やったよな?
【GM】 いや、通ってきたところでは、戦士だらけってことはなかった。民間人もいっぱいいたよ。おばちゃんとか、おっちゃんとか、子供とか、婆さんとか、お土産屋さんとか。
【ヨッヘン】 とりあえず領主の家へ行って、ちょっと見てみよっかな。
【GM】 領主の家は、湖のほとりに建ってる小さな城。でも警備がいっぱいいてるし、入口の門も閉まってるし、入れませんよ。
【ヨッヘン】 裏口は?
【GM】 裏口はない。城の後ろは森になってる。
【ヨッヘン】 じゃ、入口の扉をガチャっと開けて入ってみる。まだ消えてるし、行けるやろ。
【GM】 無理。この扉、向こう側からかんぬきかかってるから。
【ヨッヘン】 そうなん? 警備の人はどうやって入るんやろ。
【セフィーロ】 中にも兵士がいて交代の時とかに開けてくれるんじゃないか? 君も交代の時間まで待っとったらええねん。待っとけるか知らんけどね。
【ヨッヘン】 侵入路はここだけやからな。
【GM】 地下とかは知らんけどね。とりあえず見える範囲では、そこしかない。
【ヨッヘン】 じゃあ、一旦帰ってみんなに報告する。
【セフィーロ】 そやね、とりあえずシュウさんにも報告して、これ以上踏み込んでいいものか判断を仰ごう。
【GM】 「それはキミらの判断に任せるよ」って言われた。
【セフィーロ】 ええ加減やな。
【リーディス】 いっさい保障してくれないらしい。
【GM】 「NPCに頼らないでくれたまえ」と笑われる。
【ヨッヘン】 「様子を見て来い」って言われたから、様子を見て来たんやで。
【GM】 「うん、ありがとう」
【セフィーロ】 これでミッション終わらへんの?
【GM】 うん、終わらへん。
【リーディス】 使われてるなぁ。
【セフィーロ】 どの程度まで様子を見て欲しいわけ?
【GM】 「うん、解決して欲しい」
【ヨッヘン】 は?
【セフィーロ】 えらい変わっとうぞ。
【リーディス】 「えぇ〜!? 公約が違うじゃないですか」
【セフィーロ】 契約が違うぞ。新しく契約を取り付けなアカン。
【ヨッヘン】 「その契約書の裏を見てみたまえ」って言われるねん。
【リーディス】 「解決する」って書いてあるわけね。
【ヨッヘン】 「裏、あったんスか!」って。両面印刷やねん、じつは。裏にいろんなこと書いてあるねん。
【リーディス】 詐欺やで、詐欺。
【GM】 「まあ、出来るだけやってみてよ。ムリそうなら、王国の軍隊が動くから」
【ヨッヘン】 解決……要するに、あの街を変じゃなくしたらええんやな。
【GM】 「キミらでムリだと判断したら王国の正規兵がこの街を殲滅しに来る」
【リーディス】 ほう、それは手っ取り早いな。
【GM】 うん、一番手っ取り早い。たぶん街が跡形もなく滅ぶから。「だがそれはあくまでも最終手段で、出来れば避けたいわけだよ」
【ヨッヘン】 要するに領主をなんとかしろ、ってことやな。

【GM】 それで、今キミらが本部にしてる小さな町には南に行きたいけど行けない旅人とか商人とかがいろいろ集まって来てて大変な事になっている。人口増加でどこを見ても人ばっかり。
【セフィーロ】 問題の町って、普通に素通りしようとしても襲ってきたりするわけ?
【GM】 うん。以前、商人がその街道――街道が一部この町の中を通ってんねんけど――そこを通ったときに襲われたらしいよ。商人は5人グループだったのに2人しか逃げ切らなかったってさ。あとの3人はどうなったか分からない。
【リーディス】 あら〜。
【セフィーロ】 その逃げてきた商人は?
【GM】 この村で保護されてる。
【セフィーロ】 詳しい話、聞かなきゃ。聞きに行く。
【GM】 行ったら、商人が2人いてて、「めっちゃ怖かっただ!」って言ってる。その人たちは野菜商人で、トマトとかを南から運んで来てたらしい。途中の村とかで売り歩きながらね。
【ヨッヘン】 ほう。
【GM】 んで、問題の町でもいつもどおり商売しようとしたら、いきなり町の人たちがいっぱい出てきて、「おっ、これ儲かるやん!」って思ったら、みんな手に鍬とか包丁とか鎌とか持ってた。
【リーディス】 物騒やな。
【GM】 「北に行く奴は滅びろ」とか言われて襲われた。荷物全部取って行かれて、逃げ切らなかった3人がどうなったかはわからないってさ。
【リーディス】 なにそれ、こわっ。
【GM】 「子供とかお婆ちゃんとかも手に武器を持って襲ってきた。なんか、目が異常じゃったよ」

【ヨッヘン】 怖いなあ。でもどうするにせよ町には乗り込まなアカンからな。
【セフィーロ】 『当たって砕けろ』や。
【リーディス】 砕けるのはイヤや。
【セフィーロ】 じゃあ、『当たって砕こう』で。
【ヨッヘン】 夜やな、乗り込むなら。夜はイヤかね?
【リーディス】 別にいいけど。でも仮に町の様子が夜でも昼と変わらへんのやったら意味ないよな。
【セフィーロ】 夜ならみんな家の中にいるんじゃない?
【リーディス】 眠らないかもよ。
【セフィーロ】 それでも昼よりかは少ないかも知れんで。
【ヨッヘン】 何より暗いと見えにくいしな、向こうから。明かりがついてなければ。夜になったら乗り込もうか。
【セフィーロ】 うん、夜になったら近づけるまで近づいてみて、様子見て、また決めよ。

【GM】 では、夜になって行くと、たいまつを持った男たちが町をうろうろしてる。
【ヨッヘン】 見回りしてんの? 厳重やな。
【リーディス】 24時間体制やろか。
【セフィーロ】 昼間寝てるんかな。
【ヨッヘン】 あー、交代制か。
【GM】 ――か、全員が寝ないんかも知れん。
【リーディス】 ここまで来たら行くしかないって。カミカゼや。川から領主の家に行こうか。
ところでこの川って、領主の家側が上流でしょ? だったら下流はどうなってんの?
【GM】 湿地になってるよ。獣が出るから危険らしいよ。
【ヨッヘン】 獣はどうでもいいけど、今は領主の所に行って真相を確かめないと。川に入ろう。
【セフィーロ】 川は浅い? 深い?
【GM】 深いよ。

双子の統治者

【セフィーロ】 どのぐらい?
【GM】 足は立たへんと思って。
【セフィーロ】 水ん中行ったら、溺れてまうがな。
【ヨッヘン】 〈ウォーター・ブリージング〉があるじゃないか。まずはセフィーロから。(ころっ)6ゾロ! いいね〜。
【セフィーロ】 無意味な。
【ヨッヘン】 リーディス。(ころっ)6ゾロ!
【リーディス】 おおーッ、すごい! うそ〜、連続や。
【ヨッヘン】 ゼノ。(ころっ)あ、普通や。俺、(ころっ)普通。じゃ、行こか。川底を歩いて行くで。
【リーディス】 ざばざば〜。
【GM】 ざばざばざば。どこまで行くのかね?
【リーディス】 行けるとこまで。
【ヨッヘン】 領主の家の前。
【リーディス】 頭の上にカエル載せて、カエル・アイで見る。
【ヨッヘン】 カエル使うなら、陸に上がらせればいいじゃないか。水辺から出てくるカエルなんて不自然さゼロだし。
【リーディス】 じゃ、上がる。
【GM】 城門の所にたいまつを持った兵士がいてるけど。
【リーディス】 何人ぐらい?
【GM】 えっとね、4人。
【リーディス】 それだけ?
【GM】 それだけ。見える範囲は。
【リーディス】 ちょっと移動して、横とか見るけど。
【GM】 横……ちょっと行ったらまた人家になるけど、その辺まで行ったらまた変な杖持ったおっさんとか、お姉さんとかお兄ちゃんとかがうろうろしてる。
【ヨッヘン】 どうしよっかね。領主の家に入りたい。
【リーディス】 うん。カエル、入ってみたい。
【GM】 入れない。
【リーディス】 窓、開いてない?
【GM】 開いてない。
【ヨッヘン】 どうしたろっかな〜。とりあえず裏手に回ってみたいんやけど。
【リーディス】 カエル、見に行ってみよ。裏口を。
【GM】 裏口はないよ。城壁が続いてるだけ。
【ヨッヘン】 誰もいない?
【GM】 うん。
【リーディス】 窓はないの?
【GM】 城壁に窓はないけど、矢を撃つ穴みたいなのがところどころに開いてたりもする。
【リーディス】 その穴、カエルなら侵入できるかな。
【GM】 無理。高くてそこまで登られへん。
【リーディス】 じゃあ、あきらめた。カエル、帰ってきていい?
【ヨッヘン】 うん。もう情報掴めたからな。でも、入るとこがない。そういや、この町は下水道ないの?
【GM】 さあ、そんなことはわからへん。あるかも知れんし、ないかも知れん。
【ヨッヘン】 下水道探してみるか、カエルさん。
【リーディス】 いける?
【GM】 いけるけど、どう探すん?
【ヨッヘン】 マンホール探しゃええんやろ。
【GM】 マンホールなんか、あるかなぁ。この時代。じゃ、ちょっとサイコロ振ってみて、カエル。
【リーディス】 カエルが? (ころっ)
【GM】 マンホールそのものは見つからんかったけど、井戸とかならけっこう見つかった。
【リーディス】 これで水脈があることは分かったね。
【ヨッヘン】 それ、人が歩けるぐらいの大きさかどうかが問題やな。
【GM】 井戸の中まではわからへんな、暗いから。
【リーディス】 ところで領主の家の前の兵士、交代はいつするんやろ。
【GM】 さあねぇ。
【ヨッヘン】 1時間しかもたんぞ、〈ウォーター・ブリージング〉は。あんまり悠長には構えてられない。
【セフィーロ】 ここまで来るのに何分かかった? 川に入ってから。
【GM】 えっとねー、20分ぐらいかかってる。流れに逆らって来たから。帰りは15分ぐらいで。
【ヨッヘン】 てことは残り20分くらいしかない。ここで何かするとしたら。
【リーディス】 効いてるうちに帰ろうと思ったら、やろ。
【セフィーロ】 40分で解決させて、堂々と帰ればええやん。
【GM】 んー、40分じゃ無理かな。
【ヨッヘン】 どの道、ここから上がる手立てを考えな。
【リーディス】 どうしよう。
【ヨッヘン】 あの兵士4人をどうにかしたいのよ。〈スリープ・クラウド〉かな。
【リーディス】 いけるかね。
【セフィーロ】 かけられたら気づく。
【GM】 うん、抵抗したら気づく。
【ヨッヘン】 俺がここにいる事にも気付くかな。
【GM】 気づくんちゃう? だって声出すやろ、古代語魔法は。
【ヨッヘン】 捕まった人らはどこに連れていかれたんやろな。3人の商人ね。わざと捕まるという手もあんねんけどな。
【GM】 つかまった人の未来は分からないぞ。
【リーディス】 畑で肥料になってるかも知れへんな。どっちにしろ水から出なきゃ何もできない、と。でも水から出たらばれてしまうんやな。
【ヨッヘン】 これ、捕まってみたほうが早いかもよ。明日になったら捕まりに行こうか。
【リーディス】 えー? じゃあ今は何しに来たんよ。
【ヨッヘン】 偵察。
【リーディス】 どうせ捕まるんやったら、ここで捕まったら?
【ヨッヘン】 回復したいやんか、精神力を。
【GM】 まあ、何でもしてくれ。
【ヨッヘン】 じゃ、一旦戻ろかね。戻った。寝る。
【GM】 戻ってきた村の宿営地では何もしないの?
【ヨッヘン】 しないよ。
【セフィーロ】 おやすみするんや。
【GM】 じゃあ、朝になりましたよ。
 またなんか人が増えてる。
【セフィーロ】 おう?
【リーディス】 どんどん溜まってるな。
【セフィーロ】 毎日来るん?
【GM】 たぶん。北から来る人が足止めくらってるから。
【ヨッヘン】 じゃあ、行こか。シュウも今日は来てくれ。
【GM】 「どこに行くん?」って聞く。
【ヨッヘン】 「あの1000人の町に行ってやな、捕まって、内部から切り崩す!」
【GM】 「私はそんなことはしない。そんな、捕まったらどうなるかわからないじゃないか」
【ヨッヘン】 「それを調べるんじゃないか」
【GM】 「そんな無謀なことはしませんよ。やるならそっちでやってくださいね」
【リーディス】 そうやろな。
【GM】 「1週間以上待って帰ってこなかったら、正規兵を動かしますんで」
【リーディス】 ひでー!
【ヨッヘン】 「おまえ、何しに来た!?」って怒る。
【GM】 「ああ、あと、ここに集まってる人にあの町のことをいろいろ聞いてみたがね」
【リーディス】 情報らしきものは拾えた? 町の中。
【GM】 「2週間ぐらい前までは普通の町だったらしいな。あとは領主の名前がわかったよ」
【ヨッヘン】 領主の名前は?
【GM】 えっと、この町には領主が2人いるらしい。なんかね、双子の姉妹が統治してて、名前がノエル・パトリシアと、パティ・パトリシア――。
【リーディス】 あら。
【GM】 「で、そのパティのほうは裏切り者リストの人物と同一人物かも知れないが、そこまではわからないね」
【リーディス】 同姓同名やからな、でも。
【GM】 で、この姉妹が1年おきに統治してる。
【リーディス】 いいな、それ。
【ヨッヘン】 今年はどっちなん?
【リーディス】 今年はパティの番。ちなみに統治しない方は静養地でのんびり過ごして、1年経ったら交代して、っていうふうにしてるらしい。
【リーディス】 楽やな〜。
【ヨッヘン】 パティが戻って来たのはいつ?
【GM】 それはこの町の人しかわからへんと思う。
【リーディス】 町民はここに避難してない?
【GM】 全員調べたわけじゃないから知らないけど。
【リーディス】 調べといてよ。
【ヨッヘン】 デスクワークで。
【GM】 「まあ、やっときますけど」
【ヨッヘン】 で、静養地はどこにあんの?
【GM】 それは知らん。把握してない。
【ヨッヘン】 そこでパティおかしくなったとか。じゃあ、もう、最初の計画通り捕まりに行くか。
【リーディス】 大丈夫かな。

÷÷ つづく ÷÷
©2008 Jun Hayashida
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