▽ 隠された道を探す事 | ▽ ゴーゴンとの戦いの事 | ▽ 庵に供えるオムレツの事 |
部屋(L)に戻った冒険者たちは、丹念に部屋を調査してみた。
その結果、穴が穿たれている壁が扉になっていて、隣に部屋が隠されてるのを発見した。
【キャロット】 入ってみる。
【GM】 狭い部屋やね。隠し扉を閉めてランタンのシャッターをおろすと、真っ暗闇の中に、部屋(L)の魔法の灯火の光が、細い一条の線となって穴から差し込む。
【キャロット】 爺ぃからもらった鏡で、その光を反射させてみる。
【GM】 すると、反射して壁に鏡と同じ円形に映った光の中に、文字が浮かんで見える。
【プレセア】 魔鏡や。
【ファベル】 文字を読んでみる。
【GM】 古代の文字で、「汝の名は“月へ行くもの”である」と書かれてある。
【キャロット】 ふーん。これが『爺ぃが真実の名を告げる』ってやつ?
【プレセア】 部屋(K)で見つけた石版には、そう書かれてたね。
【キャロット】 じゃあ、爺ぃのとこに行ってみる? で、名前を言う。
【GM】 では、キミたちは地下1階Bパートの部屋(S)に来ました。
が、そこにお爺さんの姿はない。
【ファベル】 あらぁ?? ……徘徊しとんや。
【キャロット】 「おじいちゃん、ダメですよ〜」って(笑)。
【ファベル】 「パンツ、はかなきゃ」(笑)
【GM】 ダンジョンでそんなんとエンカウントしたらイヤやん(笑)。モンスターと遭遇するよりタチ悪いで。
冒険者たちは、くまなく部屋(S)を調べてみたが、何も発見できなかった。
【キャロット】 部屋(E)の魔法陣が、何か関係してるんかなぁ。
そこで、部屋(E)の魔法陣を調べるため、冒険者たちは地下1階Aパートに戻った。
みんなで手をつないで、思いきって部屋(E)の魔法陣に乗ってみる――。
【プレセア】 んで、「“月へ行くもの”である」って言ってみる。
【GM】 プレセアの声が、部屋(E)に虚しく響く……。
【プレセア】 むう。
冒険者たちは、向かいの部屋(B)に入り、そこに設置されているレバーを元どおり左に倒してみた。どこからともなく、重々しい仕掛けが動く音が聞こえる……。
何が変わってるのか調査してみると、地下2階から地下1階Bパートへ行く階段(b)が、階上に収納されて天井と化していた。
【ファベル】 爺さんのとこに行けなくなってしまった。
【キャロット】 部屋(B)のレバーを右に倒し直しとく?
【ファベル】 そうしてたほうがいいかも。徘徊してる爺さんが、部屋に戻れなくなる(笑)。
【GM】 んじゃ、また、地下1階Aパートの部屋(B)に行くわけね。
そうそう。悪魔像――T&Tのガーゴイルは、倒されても30分経つと復活するらしい。
【プレセア】 なんと。
【ファベル】 不死身なんか。
【GM】 そう。しかも、復活するとすべての能力値が元の2倍になって、『最初の一撃の機会』もくれずに襲いかかってくる。
【ファベル】 能力値2倍?! 激しいな〜。
【キャロット】 激しいけど、大丈夫ちゃう? コロコロってやっつける。
【GM】 まあ、そういうわけで、部屋(H)を通るとき、ひと回り大きくなった再生悪魔像と戦闘になるんやね。
再生悪魔像は、やっぱり2戦闘ターンで倒された。
【プレセア】 爺さんがくれた鏡が、『天の心』であるはずがないねんけどな。
【キャロット】 そういえば、まだ毒の罠がないよね。「5枚目の扉は毒の吐息」っていうの。
【ファベル】 それ、どこにあるんやろ?
【キャロット】 どっか、隠れてる?
【プレセア】 かも知れんで。
【キャロット】 まだ調べてないとこを、捜索し直してみよう。
冒険者たちは、さらに能力値2倍になって蘇りそうな悪魔像を避けて、地下2階の各部屋から、調査し直してみることにした。
【キャロット】 プールも調べる。(ころっ)
【GM】 せっかく耳まで濡らしたのに気の毒やけど、とくに何も見つからなかった。
【キャロット】 『耳まで』って、深さ2メートル以上あったんですか?(笑)
【GM】 うん。水面にはウサ耳の先っぽしか出てなくて、そいつが向こうにスーっと行って、またこっちに戻ってきた。
【ファベル】 怪しい〜(笑)。
その後、冒険者たちは、再び地下1階Bパートに行った。
部屋(S)(Q)(R)で、キャロットが捜索しまくり経験値を荒稼ぎしたが、隠し扉は見つからない……。
【キャロット】 そういえば、石版がある部屋って、どれも調べてないみたいやけど。
【ファベル】 ホンマや。じゃあ、調べてみよう。
【GM】 (KもQもRも、きれいに避けてたね(笑))どの部屋から調べるのかな?
【ファベル】 地下2階の部屋(K)。
【キャロット】 (ころっ)3レベルで成功。
【GM】 隠し扉があったよ。ついに見つけられたね。扉が「しまった!」とか言うてる。
【ファベル】 ざまーみろ!(笑)
「最も光から遠き場所、されどそこから光を見とおすことができる場所、その壁は、心の扉を閉ざしている」の『光』とは、部屋(L)の魔法の灯火。『心の扉を閉ざしている』のは、部屋(K)の壁のことだった。
冒険者たちは、隠し通路を進む――。
【GM】 鉄製の扉が、行く手を阻む。鍵はかかってない。
【キャロット】 そっとあけてみる。
【GM】 そのまま通路が続いてて、すぐ向こうに、また扉がある。
【キャロット】 これが5枚あるの? とりあえず、開けるぞ。
【GM】 開いた。同じくそのまま通路が続いてて、すぐ向こうに、また扉がある。
【キャロット】 じゃあ、4枚目までは普通に開ける(笑)。
【GM】 キミの読みどおり、扉は5枚あった。キミたちは、4枚の扉を抜けて、5枚目の扉の前にいます。
【キャロット】 この扉がやばいんやろ。鏡をかざして行け、ってことかな。メドゥーサがいんのかな。
鏡を構えて扉を開ける。
【GM】 ノブを回すと、鍵穴から毒ガスがぶしゅ〜っと噴き出してきた。全員の耐久度に1Dのダメージが行くので、各自でダメージを決めてください。
【キャロット】 あー、そういうことやったんか。(ころっ)4点。
【プレセア】 (ころっ)3点。
【ファベル】 イヤやな。(ころっ)うわ、6やって! やらし〜。残りの耐久度が4点。
全快するまでポーション飲みまくる。もし足りんかったら、誰か分けて。(ころっ)(ころっ)2本ですんだ。
【プレセア】 プレセアも飲んどこう。(ころっ)んー、微妙な回復。全快まで2点足りへん……まあ、いいか。
【キャロット】 ウサギも飲んどこー。(ころっ)全快。
冒険者たちは毒の扉の先へ進み、やがて、通路の突き当たりに来た。
その壁には、「虚像を見て戦う者は、死をまぬがれるだろう」と書かれた石版が、はめ込まれてあった。
【キャロット】 なんか隠されてるかな〜。(ころっ)3レベルで。
【GM】 はいはい、石版がはまってる壁が、隠し扉になってたよ。キャロットが触れると、壁が上にスライドして開いた。
その向こうは、すごく広い部屋(N)やね。
部屋の中央には、2体の石像が立ってます。地下1階Aパートの部屋(F)でやっつけた、リビングスタチューにそっくり。
【キャロット】 メドゥーサはいる?
【GM】 リビングスタチューにもたれて眠る、ひとりの人物がいるよ。女性っぽい感じやね。
その髪は無数のヘビ。1匹のヘビがキミたちに気づいて、鳴き声をあげた。女は目を覚まし、ゆっくりと顔をあげる……見てるひとはいる?
【キャロット】 いや、見ない(笑)。鏡で見る。
【ファベル】 サングラスかけたらええんちゃうん。視線、合わへんように。
【キャロット】 3Dの絵を見るときみたいな感じの目で行くとか。
【GM】 いや、その顔を直接目にしたら石化するんで、相手の視線は関係ないよ(笑)。
【プレセア】 声かけてみ。
【キャロット】 「メドゥーサですか?」
【GM】 「はい、そうですよ」ちなみに、正確には『ゴーゴン』という名称のモンスターね。
「そういうわけで、あなたたちを殺しますね」と、ゴーゴン。
【プレセア】 「それは困る。『天の心』が欲しいねんけど」
【GM】 「だったら、わたしが敵だ。最初の一撃の機会は与えないけど、とりあえず、ひとと話しをするときは、相手の目を見てください」
【キャロット】 「イヤです。あんたはひとじゃないねんもん」
【プレセア】 ちなみに、ゴーゴンに鏡を見せたらどうなる?
【GM】 別に石化はしない。ただ、自分の醜さを再認識させられるので、キレるらしい。
【ファベル】 それはまずい。とりあえず、鏡を見ながら戦う。
【GM】 OK。片手に鏡を持ちながら戦うなら、両手用武器の使用や、片手用武器と盾の併用は不可能やからね。
【プレセア】 自慢の両手用ブロード・ソードが使えないか。
【ファベル】 私のは片手半ブロード・ソードやから、いけるけど。
【GM】 ゴーゴンを直に見るなら、もちろん、両手用の武器は使えるよ?
【プレセア】 速攻で石になるわ。
【ファベル】 剣を振り上げたかっこうのまま(笑)。
【GM】 勇ましいやん。アクアマリン家の庭先に飾ってもらい(笑)。
【プレセア】 予備武器のシミターを使うよ。
【キャロット】 俺の盾は鏡やけど。
【GM】 それは盾として使いながら、鏡としても使える。
【キャロット】 OK〜。
【GM】 んじゃ、戦闘を始めます。
リビングスタチュー2体が前に出て、石の腕でぶん殴り攻撃。後方のゴーゴンは魔法を唱える。〈これでもくらえ!〉がファベルに飛んでくるよ。
【ファベル】 魔法?!
【GM】 ファベルは、その敵の魔法の回避を試みれるよ。耐久度で、術者の経験レベルと同じレベルのセービング・ロールに成功すれば、魔法のダメージは受けない。
【ファベル】 何レベルの成功ならOKなん?
【GM】 このゴーゴンのモンスターレベルは2なので、目標は2レベル。
【ファベル】 2Dで11以上がいるん? 出ぇへんのとちゃうん。魔法のダメージって、どれくらい受けるんやろ。
【GM】 術者の知性度と同じ数がくる。この場合、12点やね。
【ファベル】 12点も?! 死ぬって、それ(笑)。
【GM】 ふっふっふ。能力値表記のモンスターをなめてたらアカンで。
【プレセア】 こういうときこそ、ハイパー・ポイントを使えばええねん。
【ファベル】 んじゃ、ハイパー・ポントを使う。(ころっ)おおー、5レベル成功!
【GM】 なら、ファベルは敵の魔法を回避したので、ノーダメージ。今回、モンスター側は〈これでもくらえ!〉のダメージを、ヒットに加えることはできない。
では、そちらの戦闘に参加するひとは、ヒットを出してください。
【キャロット】 (ころっ)14。
【ファベル】 (ころっ)24。
【プレセア】 (ころっ)27。
【GM】 (ぽちっ)そうすると、そちらはそれぞれ3点のダメージを受ける。
【プレセア】 なに〜?
これまでたやすくモンスターどもを屠ってきた冒険者たちも、さすがにボス戦ともなると、苦戦を強いられた。
圧倒的な破壊力を誇ってきたプレセアの両手用ブロード・ソードが使えないことも大きいが、ゴーゴンが放つ魔法がうるさくてかなわない。
【GM】 今回の〈これでもくらえ!〉の目標のウサギさん、魔法を回避してください。
【キャロット】 技能に[魔法抵抗]ってのを1レベル持ってるねんけど、これ、何?
【GM】 かけられた魔法を回避するとき、セービング・ロールの目標レベルを、技能レベル分だけ下げられるスキル。だから、キミのセービング・ロールの目標値は1レベルになる。
【キャロット】 OK〜。
【GM】 ただし、基準値になる耐久度は現在の値を使うから、キミは7点+2Dで1レベル成功せなアカンわけやね。出目が8以上必要。
【キャロット】 そうなんや。じゃあ、ハイパー・ポイントを使う。(ころっ)小さい目やったけど、ゾロ目出まくりで成功。わーい♪
【GM】 ゴーゴンは、ちょっと傷ついてる……。
それでも、プレセアの武器が貧弱なぶん、リビングスタチューたちは受けるダメージが少なくてすむ。
……と、たかをくくっていたら、第4戦闘ターンに冒険者たちが大ヒットを放ち、リビングスタチューたちは、一気にボロボロにされてしまった。
次の第5戦闘ターン。
怒りに燃えるゴーゴンの〈これでもくらえ!〉が、身長194センチメートルのウサギ男を再び襲う――。
【キャロット】 (ころっ)あっ、回避できないよ。
【GM】 んじゃ、耐久度に12点のダメージね。
【キャロット】 あ、じゃあ、死んだ。
【ファベル】 え〜?!
【GM】 キャロットは倒れた。幸運度で1レベルのセービング・ロールをしてみて。成功したら、かろうじて生きてる。失敗したら、仏になる。
【キャロット】 (ころっ)成功。
【GM】 では、ウサギさんは死んではいない。でも、ポーションで回復してもらうか、1時間経つまでは、倒れたまま行動不能。
【プレセア】 ひとり減ったら、こっちのヒット数にかなり影響があるで。
【GM】 ひとりあたりのダメージ配分もでかくなるしね〜(笑)。
【ファベル】 めっちゃ、やばいやん。芋づる式に死んでいくと思うねんけど。
第6戦闘ターン。
攻撃ヒットに6のゾロ目があったプレセアは、バーサークすることを選択した。
ボロボロになってるリビングスタチューには、たまらない。おまけに、ゴーゴンも体力を使い過ぎて、魔法が尽きてしまっている。
そして第7戦闘ターンで、2体のリビングスタチューは破壊された。残るは肩で息をするゴーゴンのみ。
【GM】 第8戦闘ターンね。
【ファベル】 フクロや、このアマ。
【キャロット】 やっちゃえ、やっちゃえ。
【GM】 いくかね。メンチ切るかね?
【ファベル】 切る感じで、鏡を見ながら攻撃。(ころっ)あ、ゾロ目出た。じゃあ、ハイパー・バーサークします。鼻血出るで。(ころっ)全部で23点。
【プレセア】 (ころっ)おっ、また6でゾロ目が出てる。44点。
【ファベル】 なに、それぇ!?
【GM】 (ころっ)はい、ゴーゴンは死んだよ。モンスターは全滅しました。
【ファベル】 ムダにバーサークしてもた。
【GM】 ところで、そのバーサークは誰が沈静化させるの?
【プレセア】 [慰撫]できる奴が倒れてる。
【キャロット】 1時間経ったら、起きるらしいけど。
【プレセア】 バーサーカーの体力度が5点以下になったら、自動的に沈静化するらしいから、それを待つしかない。
【GM】 バーサーカーは1戦闘ターンに2点、ハイパー・バーサーカーは1戦闘ターンに3点、体力を消費していくから、両者とも鎮静まであと3戦闘ターンかかる。
【ファベル】 その間、バーサークしたまま?
【GM】 そういうことやね。暴れまくるというとこで、幸運度で1レベルのセービング・ロールに失敗したら、仲間を攻撃する(笑)。
【ファベル】 こんなんと殴り合うの、イヤ〜! (ころっ)成功。
【プレセア】 (ころっ)成功。
【GM】 じゃあ、キミたちはその辺の柱とかを殴ってるよ。
【キャロット】 チョビ、逃げ回りや。
【GM】 キャンキャン鳴いてるね。必死でウサギを起こそうとしてる。
【キャロット】 ムリ。起きない。そのうち、チョビが恐怖でキレるわ。
「血祭りじゃあ〜。ワシも混ぜろや〜」キラ―ン(笑)。
そうして3戦闘ターンが経って、プレセアとファベルのバーサークは沈静し、キャロットはポーションで回復させられ、意識を取り戻した。
キャロットが部屋(N)を捜索し、ふたつの隠し扉を発見した。
冒険者たちは、隠し部屋(P)の扉の前に来た。
【GM】 石の扉で、今は閉ざされてます。そしてその扉には、南米ふうの仮面のようなデザインのレリーフがはめ込まれてる。
【キャロット】 ここで名前を言うとか。
【GM】 そうやね。レリーフの目が赤く光り、「汝の名を告げよ」と言ってるし。
【キャロット】 プレセア、今度こそ!(笑)
【プレセア】 「“月へ行く者”」と答えるよ。
【キャロット】 「ファイナルアンサー?」(笑)
【プレセア】 「ファイナルアンサー」(笑)
【GM】 「…………正解!」ってことで、扉が上にスライドして開く。あ、レリーフが天井につっかえて、半分しか開かんかった。
【プレセア】 ムリやり開けるよ(笑)。
【GM】 んじゃ、レリーフがはがれて落ちてきて、扉は完全に開いた。
【ファベル】 レリーフ回収。持って帰り。
【プレセア】 キャロットの荷物にしのばせとく。
【キャロット】 「いや〜ん」って思っとく。ティガーにあげよう。「おめん(生きてる)みのさん」って書いとこっと。
【GM】 マジでアイテム欄に書いてるし(笑)。重量点は5ね。
【ファベル】 部屋(P)の中はどんな感じ?
【GM】 小さい部屋やね。宝箱がひとつあります。
【キャロット】 開けたら?
【GM】 中には、拳大の六角形の宝石がひとつ入ってる。青透明の石やね。
【キャロット】 たぶん、これが『天の心』か。
部屋(O)の床には、魔法陣が描かれていた。
冒険者たちがそれに乗ると、部屋(E)の魔法陣にテレポートした。一方通行の移動装置だったらしい。
地上に戻るべく、ダンジョンの出口へ向かう冒険者たち。
すると、部屋(A)で、最初に会った羽猫が待っていた。
【キャロット】 猫に「これ?」って、青い石を見せる。
【GM】 「そう、それが『天の心』です。おめでとう。お疲れさま」と、ホバリングしながら羽猫は応えた。
【プレセア】 残すは『天の衣』やな。
【キャロット】 それは、ティガーが取りに行くんやったっけ?
【GM】 ん? たしか、オレンブルクで冒険者を雇ってたやん。クエストの張り紙を見た前髪王子が、兆戦してるはず。
【ファベル】 えーッ!?
【キャロット】 あいつが行ってんの?!
【GM】 猫の前とかで、前髪をバサーっとはねあげてるよ、きっと。
「さあ、ボクの前の扉よ。開いてごらんよ」ばさーって。
【キャロット】 ムリだ。絶対、ムリだ!(笑)
【GM】 「五色の玉は、船の番人への贈り物」と、羽猫は歌うように言う。
「青の玉は、スズメバチの紋章浮かぶ谷の狭間に。
緑の玉は、もっとも大きな湖に浮かぶ島に。
黄色の玉は、大陸でいちばん遅い朝の廃墟に眠る。
橙の玉は、風に舞う女神たちの長姉が持ち。
赤の玉は、オムレツの仙人が守る」
【ファベル】 オムレツの仙人??
【プレセア】 そんなんおるんや(笑)。
【GM】 「ええ。困ったときは、塩の湖の南の庵に住まう彼を訪ねるといいでしょう」
それだけ言うと、羽猫の姿は、ふっと消えてしまった。
一瞬の静寂の後、不吉な地鳴りが響きはじめ、天井から細かい土埃がぱらぱらと降ってきはじめた。
【キャロット】 壊れよん?
【GM】 うん、壊れよるねぇ。まあ、出口はすぐそこなんやけど。
【ファベル】 脱出しよか。
【キャロット】 ここの猫は助けられへんねんな?
【GM】 消えてしまったしね。
【キャロット】 よっしゃ、『天の心』を持って南へ行こう。ティガーに渡しに行こう。
【GM】 OK。キミたちは、来た道を辿ってバウツェンに戻り、そこから、待ち合わせ場所のミドル地方のボアに向かうことになるね。
プレセアたちは、9月12日にバウツェンへ帰還した。
【GM】 経験レベルが上がったのは、ウサギだけやね。キミは、新たな言語を覚えるチャンスがあるよ。ダイスを振ってみ。
【キャロット】 (ころっ)
【GM】 ウサギは、カエル語とドワーフ語を覚えました。
それから、キャロットは呪術師やから、呪術師ギルドで2レベルの魔法を買うことができるよ。というか、買わないと新たな魔法は覚えられない。
【キャロット】 金がないから、1個ぐらいしか買えないよ。何にしよっかな……戦闘系の魔法ないで、こいつ。
【プレセア】 そういう系統は、魔術師の魔法やから。
【キャロット】 じゃあ、杖をヘビに買える魔法にしようっと。〈蛇作り〉を覚えた。
【ファベル】 呪術師って、アニマル・サーカス系しかないんか。役に立たね〜。
【GM】 いちおう、耐久度を回復させる魔法とかもあるけど……。
【キャロット】 そんなん、あんまり興味ないねん。動物王国作るねん。自分もウサギやし。
【GM】 で、キミたちは、ティガーたちとの待ち合わせ場所の、ボアへ向かうわけやね。
【キャロット】 そう、南へ行く。
【GM】 ところが、5月20日にバウツェンを発ったティガーたちがボアに到着したのは、9月8日頃。途中寄り道したのを除いても、馬で3ヶ月ちょっとの道のりってことやね。
つまり、キミたちがボアに到着するのは、12月末ってことになる。そして、グラランボンバーの暴走は、11月15日。
【キャロット】 じゃあ、ミッション失敗で。
【ファベル】 ゲームオーバー(笑)。
【キャロット】 誰か、テレポを使えるひとはいないかな。
【GM】 いるかも知れないけど、キミたちでは会えないかもね。
【ファベル】 馬より速い足を調達せな。
【GM】 そうやって困ってると、キミたちの脳裏に、『天の心』の洞窟の羽ネコの言葉がよみがえった。
「困ったときは、塩の湖の南の庵に住まう、オムレツ仙人を訪ねるんですよ」――と。
【キャロット】 マジで?! 行くの?
【ファベル】 行ってみよう。
【キャロット】 行ってみるか。……でも、「困ったときは、このオムレツを食え」で終わったら、イヤやな。
【プレセア】 まあ、溺れる者は藁を掴むって言うし。藁にすがってみよう。
【キャロット】 めっちゃ細い藁や(笑)。
【GM】 ちなみに、オムレツ仙人に会いたくば、彼の庵の玄関の前にできたてのオムレツを置き、3度
【ファベル】 オムレツを持って行かなアカンの。
【プレセア】 どこかで調達せんと。
【キャロット】 『できたてのオムレツ』とか言うたな。卵と肉とタマネギだけ持って行って、向こうで作ればええんちゃうん。
【GM】 料理の判定などは、器用度を用いたセービング・ロールになるね。
【キャロット】 ウサギは器用度15。
【ファベル】 私は12。
【プレセア】 18。プレセアがいちばん強いみたい。
【ファベル】 じゃあ、プレセアに任せよう。キミ、女子やし。
【プレセア】 それじゃ、材料を買って出かけようかい。
【GM】 “塩の湖”までは、2日の旅。道が敷かれ、宿場が設置されており、大きな岩みたいな塩の塊を積んで運ぶ馬車の列と、何度もすれ違うよ。
やがて、“塩の湖”が見えてきた。湖と呼ばれてるけど、水はとっくの昔に干上がっていて、雪原のような真っ白い世界が広がってるね。湖のそばには、主に塩を切り出す労働者が暮す町があって、そこが街道の終点になってます。
ちなみに、塩を切り出す労働者は“塩ギルド”に所属してなければならず、勝手に塩を切り出すことは禁止されてる。
【プレセア】 なるほど。
【GM】 関係ないけど、この辺りは水が貴重そう。川は干上がってるし、井戸を掘っても出てくるのは塩水やし。水を売るのも、いい商いになりそうやね。
【プレセア】 ほほう。
【GM】 今のキミたちにはそんなこと関係ないので、スルっと町をそれて、湖の南にあるというオムレツ仙人の庵を探します。南へ向かえば向かうほど、人外の魔境になっていくね。
バウツェンを発って3日後、キミたちは、シダ植物が生い茂る鬱蒼とした森に入ったよ。変に尾の長い鳥とかが飛んでたりする。
【キャロット】 恐竜とかいそう。
【ファベル】 めちゃめちゃ密林やん(笑)。こんなとこにいるのかな?
【GM】 森の開けたところで、それらしい古びた建物を見つけたよ。
木製で合掌造りで高床式の、粗末な小屋。壁や柱に地面から伸びた蔓が絡まってたり、土台がちょっと苔むしてたりしてる。床が高いので、玄関には短い階段が設けられてるね。
薄暗い森の中で、そこだけ日の光が差し込み、すごく幻想的で厳かな雰囲気に見える。
【ファベル】 なんか、文化遺産かも(笑)。
【キャロット】 触ったら怒られるかも。
【プレセア】 じゃあ、さっそく料理の準備をしませうか。
【ファベル】 うん、頼むわ。
【キャロット】 応援してるわ。
【プレセア】 手伝え。
【GM】 では、プレセアは器用度によるセービング・ロールを行って、成功レベルを教えてください。
【ファベル】 いちおう、私らも手伝うか。
【GM】 なら、キミらの成功レベルを合わせたレベルを教えて。
【キャロット】 合わせられるんか。ほんなら、ウサギも手伝う。
【プレセア】 (ころっ)全部で10レベル成功。
じゃあ、このオムレツをお供えして、
【ファベル】 横一列に並んで。
【GM】 キミたちが3度