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§銀月の歌:第25話§

心の迷宮

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ ダンジョン探索の事 ▽ 待ち受ける罠の事 ▽ お爺さんの贈り物の事

ダンジョン探索の事


 『竜の水晶像』を入手した3人の冒険者たちは、鉄の扉に入口を固く閉ざされていたバツ印の洞窟へ、再び赴いた。

【GM】 木々の枝葉が黒々と空を覆い隠す深い森の中、粗末な石組みのほこらのような建造物の前に、キミたちは来ました。
 それが地下への入口。くだり階段が、地面の下にキミたちを誘う。
【プレセア】 馬は外に置いとくしかないな。
【キャロット】 チョビだけ連れて行く。銀次は馬とかと一緒に外におる。トリ目やから、暗いとこイヤやねん。
【ファベル】 牛も外で待っといてもらう。
【キャロット】 階段をおりて、地下に行く。扉は閉まったまま?
【GM】 閉まったままやね。
【プレセア】 扉の窪みに、『竜の水晶像』をはめ込むよ。
【GM】 すると、鉄の扉は重々しい音を立てて、ゆっくりと横にスライドして開いた。
 その向こうは、真っ暗な空間。風が吸い込まれるように中へ流れて、化け物のうなり声みたいな共鳴を起こしてる。
【ファベル】 たいまつに明かりをつける。
【プレセア】 中に入ってみよう。
【GM】 入口をくぐると、そこは部屋(A)やね。キミたちが踏み込むと、天井がほわっと穏やかに光り、部屋(A)を照らし出した。
 部屋には、1匹の黒猫がいる。その背には、トンボのような半透明の羽が4枚生えていて、それでもってホバリングして宙に浮いてる。
【プレセア】 「何者!?」
【ファベル】 しゃべれるの?
【GM】 不思議な黒猫は、地方語――オムスク語をしゃべるので、ファベルには理解できるということで。
「私はここの守護者です。ようこそ、『天の心』の洞窟へ」と、黒猫。
【プレセア】 おお。
【GM】 「あなた方は、すでに挑戦者の資格を得ています。知恵と勇気を持つ者は、『天の心』を得るでしょう。そうでなければ、愚か者の石像が生まれるでしょう」
【プレセア】 なにぃ?
【キャロット】 石像になんの?
【GM】 「では、がんばってください」と言うと、黒猫の姿は宙に滲むよう消えた。同時に部屋(A)の明かりも消え、あとは、たいまつの灯火に頼るばかり。
【プレセア】 じゃあ、奥へ行こうか。

 冒険者たちは、天の心の洞窟の奥をめざす。行き止まりに突き当たると、その壁を調べたりしながら、用心深く探索していった。

【GM】 部屋(G)には、入口以外にもうひとつ扉があるね。それは閉ざされていて、鍵がかかってるよ。
【プレセア】 じゃあ、盗賊のプレセアが[鍵開け]を試みるよ。
【GM】 2レベルの鍵ね。
【プレセア】 (ころっ)失敗。
【GM】 ソード・ワールドと違って、道具を借りたら、盗賊以外の職業のキャラも挑戦できるよ。「技能がないから、ヒラ目」ってわけでもないし。
【キャロット】 目標値25か……2Dで10を出せってこと? (ころっ)あっ、出た。
【プレセア】 ちょっとショックを受けとくわ。
【キャロット】 耳で開けてもた。
【ファベル】 どんなんや(笑)。
【GM】 鍵穴がウサ耳の形なんやろ。
【キャロット】 ひとりだけやん、そんなん開けれるの。選ばれとるやん。勇者、勇者(笑)。
【ファベル】 さー、奥に行く。
【GM】 キミたちは、部屋(H)に入った。
 すると、部屋の中央に、鉤爪を生やし、背中にコウモリの翼が備えられた悪魔の彫像が1体、立っているのを見つける。
【キャロット】 こっちだって、ウサ耳とか備えられてるもん。
【ファベル】 弱っ。せいぜい張り合うがいい、って感じやな。
【GM】 そのとき、悪魔の彫像の目が赤く光り、地の底から響くような恐ろしい声で、語りかけてきた。
「私は、鍵の番人……」――あ、ちゃう。ごめん、間違うた。
【キャロット】 「ちゃんとセリフ覚えときや〜」って言う(笑)。
【GM】 「私は、ただの番人。侵入者よ。ここを通りたければ、私が敵だ。おまえたちに、最初の一撃の機会を与えよう」
【キャロット】 一発殴ってもいい、ってこと?
【GM】 そういうことね。そして、それが戦いの合図になる。
【ファベル】 なるほど。
【キャロット】 殴らずに部屋を通り抜けようとすると、どうなるの?
【GM】 後ろから襲いかかられる。引き返すんなら、別に何もされないけど。
【ファベル】 じゃあ、いっぺん引き返す?
【プレセア】 先に未探索のとこを調べてしまうか。
【キャロット】 「じゃあ、また後でくるわ」
【GM】 「来んな!」

 冒険者たちはスタート地点の部屋(A)まで戻り、そこから部屋(D)の扉の前に行った。

【GM】 扉は鉄製で、閉じた状態です。
【プレセア】 キャロットに開けさせようとする。
【キャロット】 開ける。耳で開ける。
【GM】 鍵も罠もかかってなく、スムーズに開いたよ。
【キャロット】 ウサギやったら開くんや、ほら。
【ファベル】 部屋(D)に入る。
【GM】 隊列はどうなってんの?
【キャロット】 ウサギがいちばん前。
【プレセア】 盾代わりや。
【キャロット】 そんなことには気づいてないで(笑)。
【ファベル】 わたしはいちばん後ろ。
【プレセア】 じゃあ、いちばん安全そうな真ン中。……間違ってるよな、この隊列。
【GM】 ホンマや。耐久度がいちばん低いのが、先頭に踊り出てるし(笑)。
 んじゃ、キミたちは部屋(D)に踏み込んだ。いちばん前を行くウサギさんは、知性度で1レベルのセービング・ロールをしてください。
【キャロット】 (ころっ)余裕で成功。頭いいで。知性度21あるもん。
【ファベル】 不思議やな〜。
【GM】 キャロットは、なんかちょっとやばい気がした。
【キャロット】 「やばいっぽいよ」って言う。
【ファベル】 「お腹痛いん?」
【キャロット】 「ニンジンがあたってん」
【GM】 イヤな予感がしたのは、部屋(D)の天井に対してね。
【キャロット】 「何やろ〜?」って、上を見てみる。
【GM】 部屋(D)の天井には、2体の青いゲル状の不定形生命体が張りついてて、今にも落ちてきそうです。
【キャロット】 「うわ、スライムがいるぅ〜」
【GM】 そうやって見てるだけ?
【キャロット】 え? どうしよう。
【GM】 もう、落ちてくるけど。
【キャロット】 んじゃ、避ける。さがる、さがる。
【GM】 キミたちは、いったん通路に出た。
 その直後、部屋(D)の天井から、2体のスライムがボトボトと落ちてきた。部屋の入口のすぐ向こうの床で、ぶよぶよ蠢いてる。
【キャロット】 教室で黒板消し仕掛けられたみたいな感じ。
【プレセア】 それをうまいこと察知したんやな。
【GM】 ウサ耳がピクっと動いてね。
【キャロット】 もう、ウサ耳が本物の耳やから(笑)。
【プレセア】 スライムたち、どうするよ?
【キャロット】 こいつら弱いんかな? 弱そうやったら、蹴散らしちゃっても。
【ファベル】 やっつけていいんちゃう? わたし、武器を片手半ブロード・ソードに買い換えたし。
【プレセア】 試し斬りやな。
【キャロット】 部屋(D)を調べてみたいし。
【GM】 なら、戦闘やね。

 スライムたちは、わずか3戦闘ターンで叩き潰され、怪しい煙をあげて蒸発してしまった。
 冒険者たちは部屋(D)を探索したが、残念ながら、何も見つけられなかった。
 さらに部屋(F)では、リビングスタチューを3体やっつけた。
 そして、通路(1)に差しかかったとき――。

【GM】 先頭を行くひと、知性度で1レベルのセービング・ロールをしてください。
【キャロット】 は〜い。(ころっ)いけましたけども?
【GM】 そしたら、キャロルは……違う、キャロットは――。
【キャロット】 キレるで。本名を呼ばれてもキレるけど、魂の名前を間違えられたら、もっとキレる。
【プレセア】 難儀な奴やな(笑)。

待ち受ける罠の事

【GM】 通路(1)付近に踏み込もうとしたとき、またしても、キャロットに何かピキーンとくるものがあった。
【キャロット】 天井にスライム? お腹が下痢?
【GM】 何かを踏んだイヤな感じがして、ふとキミが立ち止まったそのとき、右手の壁から、3本の矢が縦一列に並んで撃ち出された。
【ファベル】 おお〜?!
【GM】 キャロットの鼻先――というか胸先、腰先、膝先をかすめて、矢は通路を横切り、対面の壁に当たって、カランカランと床に転がった。
【キャロット】 「びっくりしたぁ」って言うとこ。
 矢が出てきた壁に、穴とか開いてるん?
【GM】 縦一列に並んで、3つの小さな穴が開けられてるよ。
 ちなみに、その通路の先は、少し行ったところで行き止まりになってるみたい。
【ファベル】 なにぃ?
【キャロット】 でも、罠が仕掛けられてるってことは、何か隠されてるはず。そこに行って、調べてみたい。
【プレセア】 その穴を壊したらいいねん。1回こっきりなんか、連続して出てくるんかわからんけど、破壊しとけば、もう発動せえへんやろ。
【GM】 穴を壊すとなると、壁ごと粉砕せんとアカンね。構造物の破壊を試みることになる。
【プレセア】 穴を避けて通るとか。
【ファベル】 できるの、それ?
【キャロット】 壁のいちばん下の穴は、どれぐらいの高さやった?
【GM】 身長194センチのキャロットの膝あたり。
【プレセア】 じゃあ、床を這って先へ進むか。
【GM】 その穴の前の床がスイッチになってるらしく、そこを這い抜けるとき、3本の矢が発射される。
 プレセアとファベルは、ほふく前進で難なく通り抜けられるけど、キャロットは、回避が必要かな。
【キャロット】 なんで?
【GM】 いや、そのウサ耳に当たりそう。
【キャロット】 あー、確かに当たるね(笑)。
【ファベル】 それはやばいぞ(笑)。
【キャロット】 じゃあ、折れ目がつかないように上手に手で押さえながら、ほふく前進する。
【GM】 んじゃ、飛び出す矢をかいくぐり、キミたち3人は、行き止まりのとこまで来たよ。
【プレセア】 調べてみろ、賢い奴。
【キャロット】 (ころっ)あーッ、自動失敗。
【ファベル】 わたしも挑戦。(ころっ)おっ、やった。2レベルまで成功。
【GM】 ファベルは、真正面の壁が回転する扉になってることに気づいた。いわゆる、隠し扉やね。
【プレセア】 すごいぞ。蹴ったれ。
【GM】 蹴るの? 扉を乱暴に蹴ると隠し扉は乱暴に1回転し、バンっとはじき飛ばされたプレセアは、ふらふらと矢のスイッチのところに後退して――。
【キャロット】 ――矢にプシュプシュプシュ。罠を作った奴も、そこまで考えてなかったやろなぁ(笑)。
【プレセア】 ……普通に開けて先へ進むよ(笑)。

 冒険者たちは、部屋Cにやって来た。

【GM】 部屋(H)で見たのと同じような悪魔像が1体、部屋の中央に佇んでる。その背後、部屋の奥のほうに、宝箱が1つあるのが見える。
 キミたちが部屋(C)に入ると、悪魔像の目が赤く光った。
「私が、鍵の番人だ」
【キャロット】 こっちが本物の鍵の番人ね(笑)。
【GM】 「私の背後の宝箱には、このダンジョン内の扉を開ける鍵が入っている。挑戦者よ。鍵が欲しければ、私が敵だ。おまえたちに、最初の一撃の機会を与えよう」
【ファベル】 部屋(H)と同じカンペやな。
【プレセア】 守ってる物が違うねん。
【キャロット】 じゃあ、ちょっとどついてみますかね。
【GM】 おっ、ついにどつかれるかね。では、どつくひとは、ヒットを出してください。
【キャロット】 (ころっ)22。5と5と6が出た。
【ファベル】 (ころっ)28
【プレセア】 (ころっ)35。
【ファベル】 すごいな〜。
【プレセア】 個人修正が高いから。
【GM】 あはははー。悪魔像の羽がもげて、鍵爪が折れてるよ。
【ファベル】 プレセア、怖い〜。
【GM】 違うよ。キミのパワー・アップが計算外なの。
【ファベル】 ああ、そうか。武器を変えたから、ダイスが2個増えたんや。
【GM】 では、次の戦闘ターン。ここから悪魔像は動き出す。動くたびに、ボロボロと細かい破片が落ちてる。
【ファベル】 なんか、かなりかわいそうやな。ちょっと気の毒や(笑)。
【キャロット】 ホンマにやんの? って感じやな(笑)。

 かわいそうな悪魔像は、やっと動き出せた第2戦闘ターンで玉と砕けた。
 そして冒険者たちは、宝箱から鍵をゲットした。これで、このダンジョン内の鍵のかかった扉を、楽に開けることができるはずだ(鍵がなくとも、ウサギ男は楽に開けていたが)。

 部屋(E)の床には、怪しげな魔法陣が描かれていた。
 部屋(B)の奥の隅の床には、左に傾けられた大きなレバーがあった。冒険者たちは、そのレバーを右に傾けた。

【GM】 どこからともなく、「ごうんごうん」と、地鳴りのような重々しい音が聞こえた。
 音は、しばらくしておさまった。
【キャロット】 どこが変わったんやろ?
【GM】 かなり遠い音やったよ。
【ファベル】 あと行けるのは、部屋(H)の悪魔像のとこしかないよ。
【キャロット】 悪魔像のとこに行こう。
【プレセア】 「おまたせ〜」
【GM】 キミたちが部屋(H)に入ると、悪魔像の目が赤く光り、「私は鍵の――あ、間違うた」。
【キャロット】 ボコってどつく。
【GM】 どつくのね。じゃあ、ヒットを出して。
【ファベル】 最後までセリフ言わせてやろうよー(笑)。

 悪魔像は、やっぱり2戦闘ターンで倒された。
 冒険者たちはさらに奥へ進み、部屋(I)で鏡のようにものが映るバックラーを1個、部屋(J)では桃色の液体が入った小さな瓶をひとつ、見つけ出した。

【プレセア】 ミラー・コーティングのバックラーを持つ奴は、先頭に立たなアカンねんで。
【キャロット】 なんで?
【プレセア】 そういうふうに決まってるから。最初にトンボの黒猫に言われたやろ。
【キャロット】 え、ウソ。何か言った??
【プレセア】 「愚かな石像になる」って、言われんかったか?
【キャロット】 メドゥーサがいるってこと?
【プレセア】 わからへんけど、そういうモンスターがいる可能性が高い。
【キャロット】 なんや、耳とかセットし直そうと思ってた。
【ファベル】 ただの鏡か!(笑)
【プレセア】 普段はそれに使うていいと思うけど(笑)。
【キャロット】 じゃあ、盾を持っとく。
【ファベル】 薬はどうする? 飲んでみる?
【キャロット】 ムキムキになるかも知れへんで。
【プレセア】 グラランボンバー?(笑)
【ファベル】 すっかり、トラウマや。
【GM】 そんなもんが、なんでこんなとこに隠されてるんよ(笑)。
【キャロット】 危険やから。
【プレセア】 とりあえず、もらっとき。
【ファベル】 プレセア、持っといてよ。なんかイヤや。
【プレセア】 そう。じゃあ、持っとくわ。

 冒険者たちは、通路(2)にやってきた。

【GM】 通路(2)は行き止まりになってるけども、そこに足を踏み入れたとき、先頭のウサギさんは、知性度で1レベルのセービング・ロールをどうぞ。
【キャロット】 (ころっ)成功しました。
【GM】 キミは、そこの床がぱかっと開くような気がした。
【キャロット】 片足だけで、ガーンっと床を蹴ってみる。
【GM】 ぱかん。
【キャロット】 わ〜い♪
【プレセア】 落とし罠を飛び越えて向こうに行ける?
【GM】 行ってもすぐに行き止まりやけどね。飛び越えなくても、穴のふちを歩いて回り込むことができるよ。
【キャロット】 穴のふちを歩いて、その辺の壁を調べてもいい?
【GM】 いいよ。知性度でセービング・ロールして、何レベルで成功したか教えて。
【キャロット】 (ころっ)4レベルで成功。
【ファベル】 すごい経験値稼いでる。
【GM】 キャロットは、左手の壁がシークレット・ドアになってることに気づいた。
【ファベル】 入ってみる。先へ進む。

お爺さんの贈り物の事

【GM】 んじゃ、通路(3)に差しかかったとき、先頭のウサギさん、おなじみ知性度のセービング・ロールをどうぞ。
【キャロット】 (ころっ)成功、5レベル。
【GM】 キャロットは、右手の壁に、ライオンの顔のレリーフがあるのに気づいた。大きく開かれた口は空洞になってて、今にも噛みついてきそうな迫力。
【キャロット】 手ぇ突っ込んでウソつきやったら、噛まれるヤツちゃうん!
【GM】 手ぇ突っ込んでみる?
【キャロット】 イヤ〜(笑)。
【GM】 というかね、キミが何かを踏んだと思って後ろに飛びのいたとき、ライオンの口から直線状に炎が噴き出たんよ。胸のあたりにちょっと焦げ目がついたかな。
【キャロット】 「あー、耳、大丈夫や。よかった〜」
【ファベル】 大事なんは耳かっ。
【GM】 耳の高さの炎にしとけばよかった(笑)。
【キャロット】 たっか〜。普通のひとは届かへんで(笑)。
【ファベル】 わたしら、普通に行けてまう。頭の上を炎が通過するで。
【キャロット】 効果があるの、ひとりだけやん。しかも、精神ダメージ。
 その炎、くぐって行ったらいいんやんね、また。
【ファベル】 ほふく前進で先へ進む。

 その先には下りの階段(a)があり、冒険者たちは地下2階に行った。
 そして部屋(L)に入った。

【GM】 その部屋の中央には大きな燭台があり、魔法の炎が灯されていて、とても明るい。燭台の高さは1.4メートルほどで、キャロットから見たら、50センチ低いところで炎が揺れてるんやね。
 では、皆さん。知性度でセービング・ロールをしてください。何レベルで成功かな?
【ファベル】 (ころっ)2レベル。
【プレセア】 (ころっ)1レベル成功。
【キャロット】 (ころっ)5レベル♪
【プレセア】 また、ゾロ目出しまくりやな。(T&Tでは出目がゾロ目だと、さらにダイスを振って出目を足していける)
【ファベル】 わたしらふたりの成功度を足しても、ウサギに届かへん(笑)。
【GM】 キャロットは、南側の壁に、コイン大の穴がひとつ、穿たれることに気づいた。穴の向こうは闇、空洞になってる感じやね。
【キャロット】 何やろ?
【ファベル】 とりあえず、他の部屋に行ってみよう。

 部屋(K)では、壁にはめ込まれた石版を見つけた。そこには、「5枚目の扉は毒の吐息」と刻まれていた。

【プレセア】 それだけ?
【GM】 ポエムみたいやね。
【ファベル】 どこが?
【キャロット】 『吐息』のあたりが、ポエムっぽい(笑)。邪悪なポエム。

 冒険者たちは、通路(4)で水が満々とたたえられたプールを見つつ、鍵をあけて部屋(M)に入った。
 部屋(M)の奥の隅には樽がひとつ置かれていて、床には、怪しい魔法陣が描かれている……。

【キャロット】 樽? 何が入ってんの?
【GM】 なんか、液体がなみなみと。味見してみたら、それが何かわかるかも。
【ファベル】 そんな怖いことはしない。
【キャロット】 ムキムキになるもん(笑)。
【プレセア】 別に飲まんでも。触ってみるとか。
【キャロット】 ティガーやったら、触ってみるねんけどなぁ。
 ……魔法陣に乗ってみる?
【プレセア】 やってみ。
【キャロット】 じゃあ、乗る。
【ファベル】 ええのか、そんなに簡単に乗って。
【GM】 そしたら、魔法陣に乗ろうとしたキャロットは、知性度で2レベルのセービング・ロールをしてください。
【キャロット】 (ころっ)はい、出た。やばいっぽい?
【GM】 やばいっぽいね。
【キャロット】 どういうふうなやばさ?
【GM】 魔法陣を解析してみたい?
【キャロット】 うん。
【GM】 それなら、これは、知性度で4レベルのセービング・ロールやね。
【キャロット】 (ころっ)出ない。
【プレセア】 出そうやったのに、惜しかったね。
【ファベル】 何かわからんけど、イヤな予感がしたんやな。
【キャロット】 じゃあ、乗るのはやめとこう。
【プレセア】 樽を乗せてみぃへん?
【キャロット】 乗せよう、乗せよう♪
【GM】 誰がやるんかな? けっこう重いよ。
【キャロット】 みんなでガーっと押していって、魔法陣に乗った瞬間に、ぱっと手を放す。
【GM】 なるほどね。そうしたら、魔法陣に乗せられた瞬間、樽は一瞬にして炎に包まれた。しかも、爆発的に燃えあがる。
【キャロット】 中に入ってたんは、オイルやったんかな。
【GM】 正解。というか、文字通り爆発したりして(笑)。
 キミたち3人に、爆風によるダメージがいくよ。各々、1Dで自分のダメージを決めてください。
【キャロット】 (ころっ)5点。どこを減らせばいいの?
【GM】 耐久度。
【キャロット】 は? 残り3点や。
【ファベル】 (ころっ)4点。残り耐久度8点。よかった。出かける前に、前のダメージをポーションで回復させといて。
【プレセア】 (ころっ)あいやー、5点。残り耐久度10点。
【GM】 みんな、いい目を出したなぁ(笑)。
【キャロット】 ポーション、飲もう。(ころっ)あれ? 1点だけ回復。
【プレセア】 回復のときは、低い目しか出ぇへんねんな。
【キャロット】 まあ、いいや。もう1個飲もう。(ころっ)完全回復。
【ファベル】 樽が爆発しただけで終わり?
【GM】 終わり。
【キャロット】 油やったら、飲んでもよかったな。
【ファベル】 飲みたくないよ〜。トイレから出てこれへんで(笑)。
【キャロット】 あっ。もしかして、魔法陣に乗って燃えたひとは、水に入れっていうことやったんかな。通路(4)のプール。
【GM】 よくわかったね(笑)。
【プレセア】 用意がいいな。
【キャロット】 部屋(E)の魔法陣は、消火できない罠なんかな。

 冒険者たちは、上へ行く階段(b)を登り、地下1階Bパートに行った。
 階段を上がってすぐに目に入る部屋(S)の扉が、豪華な両開きの造りだったので、怪しんだ冒険者たちは、部屋(S)に入るのを後回しにした。

 部屋(R)で、豹顔のヒューマノイド・モンスター、ストーカーを倒し、宝箱から青銅の鏡1枚を入手した。(ファベルが持つことにした)
 部屋(Q)では、フェンリル狼を倒して、宝箱に金貨が100枚入ってるのを見つけた。
 部屋(U)と部屋(T)の壁には、それぞれ石版が1枚ずつはめ込まれており、
「老人の偽りは、闇に一条の光が差すとき、真実の名を告げる」
「最も光から遠き場所、されどそこから光を見とおすことができる場所、その壁は、心の扉を閉ざしている」

と、刻まれていた。

 そして冒険者たちは、ついに部屋(S)へ突入した。

【GM】 部屋(S)には、魔法の明かりが灯ってる。
 奥には、肘掛のついた値が張りそうなイスが1脚あって、優しげな顔のお爺さんがひとり、そこに座っていた。
「よくぞ、ここまで辿り着いた」と、お爺さんは言う。
【ファベル】 「いやいや」
【GM】 「さあ、『天の心』を授けよう。近う寄れ」
【キャロット】 こいつ、ウソつきなんやろ。老人。光が差したらいいんやろ? 「近う寄れ」って、ウソちゃうん。
【ファベル】 さあ?
【GM】 「なんでウソなん?」と、お爺さんは悲しそうな顔をする。
【キャロット】 じゃあ、爺ぃに近寄ってみる。
【GM】 爺さんは、1枚の鏡を差し出した。金縁の装飾がついた、直径30センチの鏡やね。
「これが『天の心』じゃ」
【キャロット】 ウソくせ〜(笑)。とりあえず、鏡もらっとく? メドゥーサ用に。
【プレセア】 もらえるもんは、もらっとこ。
「くれるのはこれだけ?」
【GM】 「『天の心』以外に用はないはず。気をつけて、お帰り」
【プレセア】 とりあえず、ここは出ていって、部屋(L)に行こうか。あの壁の穴が、何かあると思うねんけど。
【GM】 では、再び部屋(L)に来たというところで、この続きはまた後ほど。

÷÷ つづく ÷÷
©2007 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2007 Jun Hayashida
Map ©2007 Moyo
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