▽ オムレツ仙人との会見の事 | ▽ 遺跡の住人の事 | ▽ 勇者たちとの共闘の事 |
【キャロット】 ホンマに出てくるし(笑)。
【ファベル】 小屋の中から、ドライアイスとか流れてきそう。
【GM】 流れてくるねぇ、中からモワ〜っと。
そして、雲の上をスーっと滑るようにして、ウサギ男の腰ぐらいまでの身の丈の老人がひとり、庵の奥から出てきた。
【キャロット】 気持ち悪ぅ! 「妖怪や」って思ってる。
【GM】 老人は、背丈より長い杖を持ち、床まで届きそうな白い髭を蓄えていて、見た目でいかにも仙人っぽい気がするね。
【ファベル】 つい、崇めてしまうかも(笑)。
【GM】 仙人っぽい老人は、供えられた10レベルのオムレツを食べ始めた。
【キャロット】 イヤな生き物や(笑)。
【ファベル】 「これ、本物か?」って。
【GM】 オムレツを食べ終えた老人は、カッと目を見開く。
【ファベル】 おおー! 「お味のほうはいかがでしょう」
【GM】 「うむ。これは、レベル10のオムレツじゃな」
【ファベル】 すげー、鑑定された!
【GM】 「ワシは、オムレツ仙人じゃ。おまえたちは、ワシに会う資格がある」
【キャロット】 ていうか、食べる前から会う機会はあるんちゃうん。オムレツを供えたら、いちおう出てくるから(笑)。
【GM】 お供えがまずかったら、無視してそのまま小屋に戻ってしまうから、ホントに『見るだけ』になってしまうねん。
「まあ、入りたまえ」と、仙人は小屋の中にスーっと移動していった。
【ファベル】 じゃあ、ドライアイスのお宅を訪問。
【GM】 ドライアイスは、もう切れてるから。
ほの暗い庵は、しんと静まってる。床の間には、紫紺の布をかぶせた台があるよ。
【ファベル】 床の間? なんか、おじいさんの独り暮しって感じやな。独居老人発見(笑)。
【キャロット】 孤独死とかしてそうや。
【GM】 たまに、町中に出没してるらしいけど。
【プレセア】 オムレツ食いに?(笑)
【ファベル】 けっこう名物かも。
【GM】 さて、床の間の台には、1枚の鏡が飾られている。それを挟むようにして、ヌガヘの葉を生けた銀の筒瓶がふたつ、小さな明かりを灯すロウソクが2本、置かれてる。
そして、鏡の前には、赤いビー玉ぐらいの大きさの玉がひとつ、安置されてるよ。
【プレセア】 おー、すげー、いただき!
「それをください。それが欲しい」って、とりあえず、指をさして言うてみる。
【GM】 「宝玉が欲しいとな? 宝玉は、資格ある者に与えられる。資格ある者は、『天の鍵』『天の心』『天の衣』のいずれかを、手にしているはずじゃ」
【キャロット】 「あ、持ってる、持ってる!」
【プレセア】 「それ見たことか」って、『天の心』を見せてあげる。
【ファベル】 この女、なんでこんなに偉そうなん?(笑)
【GM】 「資格を持ってしまってるんなら、しかたあるまいな。赤の宝玉を、そなたたちに与えよう」
【ファベル】 めっちゃ、しぶしぶや。
【GM】 「いやいや。オムレツ作りがうまい者に、悪い輩はおらんしの」
【プレセア】 うん、いてへん、いてへん。大丈夫。
【ファベル】 『うん』て。
【キャロット】 本人が言うとなぁ。どうもな……。
【プレセア】 そんなに悪いことしてきてるつもりはないねんけどなぁ。
【ファベル】 『つもり』はそうかも知れんけど、実際はどうかわからんで(笑)。
【GM】 赤い玉がいるのなら、アイテム欄に書いとき。いらんのなら、書かんでもいいけど。
【プレセア】 じゃあ、書いとく。
【GM】 オムレツ仙人は、「それが、そなたらの望みか? ならば、用はすんだな」と言う。
【プレセア】 「いや、これはついでなんやけど」(笑)
じゃあ、本題に入ろうか。ここまでの経緯と、事情を全部説明するよ。
【キャロット】 「――で、藁にすがってみてんけど」
【GM】 「ワシが藁じゃと?」
【キャロット】 「そうそう」
【GM】 オムレツ仙人はすねて、そっぽを向く。
【キャロット】 「かわいくないよ?」(笑)
【ファベル】 追い討ちや。
【GM】 「なんじゃ、このウサギ男は。本物のウサギに変えてやろうか?」と、仙人。
【キャロット】 めっちゃ喜ぶ。自分がウサギになったとこ想像して、ぽわ〜ってなってる。
【ファベル】 今はアカンよ。いちおう、戦力やのに。仕事終わって、ハッピーエンドやったら、変えてもらい。
【キャロット】 じゃあ、ミッション終了したら、またここに来るわ。あ、もこもこで、ふかふかなのにしてね。メルヘンなウサギになるのが目標。
【GM】 「なんで注文されんとならんのじゃ! さっさと帰れ!」と、仙人は言うてるよ。
【プレセア】 じゃあ、ヨイショしとこか。「藁は藁でも、これは、長者へと繋がる大事な一歩目の藁なんやで」って。
【GM】 (わらしべ長者?)
【キャロット】 「今は藁やと思われてるけども、ボアに行けたら、藁じゃないって思われるんやで」
【ファベル】 ヨイショしてんの、それ?(笑)
「とりあえず、ボアに送って欲しい」
【GM】 「送ることは、ワシにはムリじゃが――」
【キャロット】 「やっぱり藁じゃない。藁以下や」
【プレセア】 『ムリじゃが』の続きは?
【GM】 「もう、教えてやんない」
【ファベル】 あ〜。ウサギを殴る。背が高いから、みぞおちを殴ってやる。
【プレセア】 ウサギを後ろから蹴ってあげる。膝カックンもやってあげる。
【ファベル】 なにげにリンチや(笑)。
【キャロット】 「耳はダメ!」って、ウサ耳しか守ってへんで。
【ファベル】 めっちゃ無防備や。
【GM】 「ワシが送ることはできん。が、この辺りに、ボア近くへ行く転移の魔法陣が残されておるから、それを使えばよい」と、オムレツ仙人は言った。
【プレセア】 その魔法陣は、どこにあるの?
【GM】 「ここから1日行ったところに、古き建造物がある。その地下奥じゃ」
【プレセア】 ほう。
【GM】 「ちなみに、それは、ワシと、ワシの仲間で作った建物の跡なんじゃがな」と、ちょっと自慢そう。
【キャロット】 「オムレツくさそう」って思ってる。
【ファベル】 合掌造りやったっけ? そんなんを想像してる。
【GM】 「月へ行く船を築いたのも、ワシらじゃぞ」
【プレセア】 おお、すげえ。「ちなみに、その中で、あなたはどんな仕事したん?」
【GM】 まかないやね。
【プレセア】 ほう、地味に重要な役割やったんや。
【GM】 「朝飯、昼飯、晩飯を作るのが、ワシの仕事じゃった。オムレツ、オムライス、オムソバなど――」
【キャロット】 ちょっと待てよ!(笑) ……よう耐えたな、みんな。
【GM】 そのせいか、月へ行く船は、オムレツの形を成してるという噂。
【キャロット】 あー、ティガーが喜びそう。というか、奴だけ大喜び。
【GM】 噂が真実なら、シルヴィアとメイユールの額には、縦線が入るやろね。
【ファベル】 「行きたくねぇ」って。
【プレセア】 「オムレツに似てると思うな!」って、自分に言い聞かせるしかない。
【GM】 宇宙服は、顔や手足を出す穴が開けられた、オムレツの着ぐるみやったりして。
【キャロット】 それって、宇宙服? 穴が開いてるのに(笑)。
【プレセア】 で、その転移の遺跡に、危険はないの?
【GM】 「安全の保障はないのう。全然、管理しとらんから」
【プレセア】 転移の魔法陣は、簡単に使えるわけ?
【GM】 「簡単じゃ。魔法陣の上に立って、古代語で『ルーラ』と合言葉を言えば、あっという間に向こうの魔法陣に移動する」
【プレセア】 天井で頭を打ちそうな合言葉やな。
【GM】 遺跡の中やしね。
「転移の魔法陣には青い光が渦まいておるはずじゃから、見ればすぐにわかるじゃろう」
【プレセア】 じゃあ、とっととその遺跡に行きますか。
【ファベル】 行っちゃいましょう。
【GM】 では、キミたちは仙人との名残を振り切って、その遺跡へ向かうわけやね。
【ファベル】 「バイバイ、元気でね」
【キャロット】 「たぶん、もう来ないよ」
【ファベル】 キミは、ウサギにしてもらうんとちゃうん?
【キャロット】 あ、ホンマや。そんときは、ティガーを連れて来よう。
【ファベル】 ……変な輪ができつつあるな……。
【プレセア】 「この旅が無事に終わったら、また、オムレツを作りに来たるかも知れん」って言うとく。
【GM】 「うむ。待っておるぞ、レベル10のオムレツをのう」
翌日、冒険者たちはオムレツ仙人に教えられた遺跡に到着した。それは、古びた石造りの建造物だった。
冒険者たちは、遺跡に入った。
ほぼ一本道の通路が続き、迷うことはなさそうだ。通路は広く、馬を引いて通ることができる。
【GM】 やがて、広い空間に出たよ。
太い柱が何本も立ち並び、はるか高い天井を支えている。そこかしこに、台座の上で杖を掲げ祈るような姿をした女性の彫像が並び、ベンチが何脚も置かれてる。
向こうに、さらに奥へ続く通路の入口が見えるよ。
【ファベル】 進む。行きます、行きます。
【GM】 キミたちが広間の半ばに差しかかったとき、柱や石像の陰から、人型の変な生き物が18体ほど踊り出た!
キミたちは、その謎の生物たちに取り囲まれてしまってる。
【ファベル】 どんな生き物なん?
【GM】 基本的には人の形。でも、首がなくて、胸のところにタラコ唇な顔がある。眉根を寄せて困ってるような表情に見えるけど、たぶん、それが素の表情やと思う。
【プレセア】 なんか、懐かしげな感じがする。
【キャロット】 懐かしげ? ……あ、前にそんなのいたかも。
【プレセア】 ビビりの奴ら。
【ファベル】 でも、私らはそれを知らん。
【GM】 キミたちがそいつの正体を知りたいのなら、知性度で1レベルのセービング・ロールに成功してください。
【ファベル】 (ころっ)出てない。
【プレセア】 (ころっ)……足りた。出てる。
【キャロット】 (ころっ)出た!
【GM】 なら、それはチロカニントという魔法生物だとわかったね。古代の魔術師たちの魔法によって生み出された生物です。
【キャロット】 ど○も君みたいな形の奴ちゃうん。
【ファベル】 ど○も君のリアル版(笑)。
【キャロット】 気持ち悪っ(笑)。ホンマに何考えて作ったんやろ、こんなん。
【GM】 もともとは、戦闘の兵士として作り出されたらしい。
【キャロット】 大失敗やん。
【GM】 そう。戦闘用だから、たしかに力は強い。だけど、めちゃくちゃ気が弱い。そういうわけで、実用化されずに地下に捨てられた。
現在、レムリア大陸にいるチロカニントは、そいつらの子孫。地底で繁殖して、地下に町を築いて暮してるようです。
ちなみに気は弱いけど、キレたらめちゃくちゃ怖いよ。あまり追い詰めるのは、賢くない。
【ファベル】 それが18匹? 多いなぁ。
【キャロット】 というか、きしょいな〜。
【プレセア】 取り囲まれたん?
【GM】 そう。そして、キミたちは捕まってしまった。
【プレセア】 ありゃ。「なにすんねん」って言うてみる。
【GM】 「生贄にするんですよ」と、チロカニントの1匹が答える。
【キャロット】 「するんじゃないですよ!」ばちこ〜ん!(笑)
【プレセア】 「何の生贄や?」
【GM】 「もちろん、儀式ですよ。恐ろしいアリンコを追い出すための儀式を、やってみようと思うんですよ」
【プレセア】 アリンコ?
【GM】 そう。でか〜いアリ。
【キャロット】 「おまえらよりでかい?」って聞く。
【GM】 2メートルちょっとぐらい。
【キャロット】 きもっ!
【GM】 ちょうど、そこのウサギ男が横に寝たぐらいの大きさやね。
【プレセア】 耳が触覚みたいな感じ。
【キャロット】 ああ、俺、アリ! 白アリ! ふかふかのアリ。
【プレセア】 「その巨大アリって、何匹ぐらいいるの?」
【GM】 「たくさん」
【キャロット】 「おまえらより多い?」
【GM】 「多かったと思うよ」
【ファベル】 「強い?」
【GM】 「怖い」
【キャロット】 『怖い』? 戦ったことはないの?
【GM】 「怖いですもん」
【ファベル】 いや、キミらのほうが強いと思うねんけどな。
【GM】 「そのアリたちに住処を取られちゃったから、取り戻そうと……」
【ファベル】 キミらなら、拳で取り返せるでしょ(笑)。
【キャロット】 そういうときに逆ギレしようや。
【GM】 だって、アリンコ怖いもん。触覚がひょこひょこ動いてるし、顎がギシギシいうてるし、だいたい、足が6本あるのが許せない。
【キャロット】 あー、手が2本足りひん。マネしようって思ったのに。
【GM】 「そういうわけで、ちょっと神様にお祈りしてみようと思うんですよ」
【キャロット】 「いんの、神様?」
【GM】 「とりあえず、『マキホント』っていう神様を作ってみたんですが」
【キャロット】 『作ってみた』って、そんなん効くかー!(笑)
【ファベル】 新興宗教や。
【GM】 そんなことを言ってるうちに、キミたちとキミらの愛馬は、現在チロカニントたちが住んでる空間に連れてこられた。
【ファベル】 牛も連れて来られた?
【GM】 遺跡に連れて入ってたんやから、一緒に捕まってるやろね。
体育館の避難生活みたいに、広〜いところで、大きいのやら小さいのやら、多数のチロカニントが身を寄せ合って暮してるようやね。
【プレセア】 難民キャンプや。
【GM】 チロカニントたちは、世にも珍しい生き物であるキミたちを、遠巻きに見ている。
【キャロット】 そっちのほうが、よっぽど珍しいわ。
【GM】 キミたちは、長老の前に連れ出されたよ。長老の背後には、大きな石像が立ってる。
【キャロット】 それ、新興宗教?
【GM】 うん。虎の胴体と前足、カエルの後ろ足、キツネの尻尾がくっついた動物で、顔は鹿やね。
【キャロット】 気持ち悪ぅ。なんか、すごい弱そうや。鹿って逃げてくやん。
【GM】 でも、すごい芸術的な作品やで。チロカニントの手先は非常に器用で、芸術的センスもそうとう秀でてるらしいから。
【キャロット】 それ、全然、戦闘マシーンちゃうやん(笑)。
【GM】 「ようこそおいでくださった、生贄どの」と、長老は言った。
【プレセア】 「生贄ちゃうねん」
【GM】 「わしらの住処を取り戻すために、あなた方の協力を得られるとは、これほど嬉しいことはありませぬ」
【キャロット】 聞けぇー! 耳どこにあるんか知らんけど、ひとの話を聞け!
「外に出たらさ、別の動物がいっぱいいるから、それを生贄にしろよ」
【GM】 この辺の動物は、だいたい試したよ。でも、効果がなかってん。
【ファベル】 そりゃあ、ないやろな。
【GM】 そんなとき、キミたちがのこのこ現れた。
【キャロット】 俺らでも、効果ないって。
【GM】 「いや、神のお告げを聞いたんですよ」と、長老はウサギを見ながら言う。
「『この地に、ウサギ耳のエルフが現れる。それを生贄にしてみろ』と」
【キャロット】 それ、今考えたやろ、今!(笑)
【ファベル】 今、聞いたやろ、その声(笑)。
【プレセア】 作りながらしゃべってるねんで(笑)。
【キャロット】 とりあえず、しばき入れとこ。
【ファベル】 ここに長時間おったら、影響されて、変な考えするようになるかも……。
【キャロット】 うん、この村はイヤだな。
【プレセア】 「違う協力なら、してやらんこともない」って、長老に言うてあげよう。
【GM】 「――と、いいますと?」
【キャロット】 アリの首を飛ばすとか、飛ばすとか、飛ばすとか?
【プレセア】 うん。住処を取り戻したらええねやろ? アリを追い払ったらええねん。
【ファベル】 そのアリってさ、普通に生きてるだけ? ただ、大きいってだけ?
【GM】 そうやね、アリは自然のままに生きてる。
【キャロット】 襲ってきたりはせえへんの?
【GM】 いや、襲われたよ。奴らは貪欲やから。住処に巨大アリが現れたとき、2体のチロカニントが犠牲になってしまった。
【キャロット】 こいつら、食えるんや。
【ファベル】 まずそ〜。胃、壊すで、こんなん。
【キャロット】 アリも最終手段って感じやな。
【GM】 見境がないだけ。金属を食う奴だっているらしいし。
【プレセア】 それで、チロカニントたちは逃げてきたんやな。
【GM】 そう。
【プレセア】 「ところで、この遺跡にワープゾーンがある、って聞いて来たんやけど」って、長老に事情を説明して、質問してみる。
「何か、心当たりはない?」
【GM】 「光渦巻く魔法陣ですか……。そういえば、わしらの住処から、さらに奥へ行ったところに、そういうものがありました」と、長老は答えた。
「あれは、ワープする装置でしたか。そこに、アリンコたちを押し込んだら――」
【キャロット】 「ダメ」
【プレセア】 グラランボンバーとは違う混乱が起きる。
【GM】 どのみち、乗っかるだけじゃアカンねんけどね。アリは合言葉を言えへんから。
【プレセア】 『ルーラ』って言わなアカンもんな。
【キャロット】 ああ、そうか。
【ファベル】 ギャグとして覚えてた(笑)。
【プレセア】 とりあえず、チロカニントの住処の奥に魔法陣があるんなら、そこへ向かうしかないで。サーチ・アンド・デストロイで。
【ファベル】 怖い、怖い(笑)。
【プレセア】 まあ、全滅させるんは、さすがにムリかも知れんけど。めちゃめちゃいっぱいおるはずやで。
【ファベル】 アリやからな〜。根絶やしはムリやろ。
【プレセア】 だから、女王アリを狙うしかない。
【キャロット】 そうや、そうや。んで、卵を燃やしてしまえば、もう増えない。
【ファベル】 そこに行くまでが問題。
【キャロット】 アリのコスプレをして行こうかな。
【ファベル】 イヤや〜(笑)。
【プレセア】 コスプレはともかく、行くしかない。チロカニントたちに、「手伝え」って言ってあげよう。
「アリンコ退治を手伝いなさい」
【キャロット】 「おまえらの巣やろ。手伝わんかったら、通り道のアリンコしか退治せえへんぞ」って言う。
【GM】 手伝ったら、その他のアリもやっつけてくれるんやね?
【プレセア】 うん。手伝うなら、そうしてあげんこともない。
【GM】 チロカニントの男たちは、顔を寄せ合って相談し始めた。
【ファベル】 きもい、きもい(笑)。
【キャロット】 「だいたい、おまえらきもいねん」って言う(笑)。
【GM】 1匹が「おまえに言われたくねーよ!」と言い返して、さっと仲間の陰に隠れた。もう、見分けがつかない……。
そして、チロカニントの中でもとくに勇敢な8人が、同行に名乗り出た。8人の勇者やね。
左から、マッポ、トッポ、ノッポ、チッポ、コッポ――。
【ファベル】 ――もう、ムリ(笑)。
【GM】 名前も覚えてもらわれへんねんね。
【キャロット】 うん。なんか、適当な8人で。勇者A、B、C。
【プレセア】 じゃあ、行こか。馬たちは、ここで預かってもらっとこう。
【キャロット】 銀次は預けとく。チョビは連れて行く。
冒険者と8人の勇者たちは、難民キャンプから、奥へ続く通路に足を踏み入れた。通路は、円を描くゆるいスロープで、徐々に地下へと降りていく。
やがて、壁や床の一部が崩れて、大きな穴があいている箇所に出た。巨大アリのしわざだ。
【GM】 床には石材の破片とか、流れ出た土砂とかが散乱してるね。ちなみにその穴のあいた壁の対面にも、同じように穴があいてる。アリたちによって、十字路された感じ。
【プレセア】 じゃあ、8人の勇者たちには、右手の穴から入ってもらおか。
【GM】 手分けすんの? すっかりキミらをあてにしてたチロカニントたちは、尻ごみして、誰が先頭に立つかもめはじめた。
【キャロット】 「もう、うっとい!」ばしっ!
【GM】 ウサギ男に急き立てられて、8人の勇者は右手の穴に消えていった。
【ファベル】 キミら絶対に強いんやから、がんばってね。
【GM】 で、キミたちのほうはどうすんのかな?
【プレセア】 通路はまだ奥に行ける?
【GM】 行けそうやね。
【プレセア】 じゃあ、行こう。
【GM】 通路はずっと右にカーブしたまま、地下に向かう。
しばらく進むと、左手の壁と床の一部が食い破られてる箇所がある。
【ファベル】 この遺跡、ボコボコやん(笑)。
【キャロット】 きっと、オムレツ味やから。
【GM】 では、誰か2Dを振って、出目を教えて。
【ファベル】 じゃあ、ずっといい目ばかり振るウサギに頼む。
【プレセア】 結果によっては恨むから。
【キャロット】 え〜? (ころっ)
【GM】 その出目なら、異変が起きるね。
キミたちが来たほうから、「どしゃ! ズササー」という、ものすごい音が響いてきた。
【キャロット】 見に行ってみる。
【GM】 すると、通路が、崩れた石材や土砂で埋まってしまっていた。天井が崩れたように思える。
【プレセア】 ありゃ。
【ファベル】 帰られへん。
【GM】 そして、ランタンの明かりに照らされる土砂が、もこもこと蠢く。
誰か、1D振ってみて――その出目なら、体長2メートルの巨大なアリが、1匹出てきたよ。たぶん、こいつが天井を食い破ってしまったんでしょう。
【キャロット】 穴掘り中やったんか。
【GM】 巨大アリは、餌になりそうな生物の臭いを感じ取り、恐ろしげな顎をギシギシいわせてる。
【プレセア】 じゃあ、迎撃準備する。
【キャロット】 デストロイ、潰しちゃえ。
【GM】 それじゃ、ヒットを出してください。
【キャロット】 (ころっ)20。
【ファベル】 (ころっ)28。
【プレセア】 (ころっ)22やな……何か、間違うてるんかな?
【キャロット】 武器変えたん?
【プレセア】 んーん、前のままやけど……あっ、個人修正を足すの忘れてた。ヒットは37。
【GM】 (ぽちっ)どっちでも関係ねーです。戦闘、終わり。巨大アリは、ぶちゅっと潰れた。あっという間やね(笑)。
【キャロット】 弱〜(笑)。
【GM】 1対3では、勝負にならんよ。
【プレセア】 戻れなくなったな。通路を先へ進むか、壁の穴に入るか。
【ファベル】 とりあえず、通路を行ってみる。
【GM】 しばらく行くと、通路は土砂に埋まっていた。やはり、アリが天井を食い破ったのが、原因みたいやね。
【ファベル】 しゃあない。さっきの横穴から、アリの巣に入るしかない。
【プレセア】 遺跡のどこかにつながってるかも知れへんし。
【キャロット】 女王アリとかいそうやな。
【プレセア】 そんときは、そいつがボスや。倒せば終わる(笑)。
【ファベル】 じゃあ、アリの巣探索に行くぞ。「おじゃましま〜す」
【GM】 では、キミたちはアリの巣に入りました。巨大アリが掘った穴、それはやっぱり大きくて広い。
幅、高さともに4メートル近くあり、先ほど見たアリンコなら、3匹ぐらい並べそう。もちろん、キミたち3人も、並んで武器を振るえそうな感じやね。
アリの巣は道が枝分かれして、複雑に入り組んだ迷路のよう。
冒険者たちは、ヘタにあっちこっち行かずに、常に左の壁をなぞる方法で、アリの巣の中を進んでいった。
途中、巨大アリとのランダム・エンカウントもなく――。
【GM】 キミたちは、すごい広い空間に出たよ。
【ファベル】 おっ、居住区か?
【キャロット】 何かおる?
【GM】 おるよ。
【キャロット】 女王アリ?
【GM】 そう見える。
【キャロット】 いきなり出たんや(笑)。
【ファベル】 運がいいのか、悪いのか……。
【GM】 女王の頭と胸部は普通の巨大アリと変わらないけど、腹部は長さ10メートルにも及び、白くてぶよぶよしてる。卵がびっちり詰まってるんやね。
【キャロット】 きっしょ〜!
【GM】 そして、女王を護衛する戦闘アリが2匹いる。
【ファベル】 働きアリとは違うの?
【GM】 さっき戦った巨大アリより、ずっと強そうに見える。戦闘に特化するために、こいつらの餌は、通常のものとは異なってるそうやから。金属を食うらしいよ。
【プレセア】 鉄分を補給してるんや。
【GM】 戦闘アリは、ひょいっと入ってきたキミたちに、問答無用で襲いかかる。
【キャロット】 襲い返すよ。
【GM】 では、ヒットを出し合いましょう。戦闘アリたちは、能力値表記のモンスターやからね。なめてかかったらアカンよ。
【キャロット】 (ころっ)あっ、ヘボ! 12。
【ファベル】 (ころっ)23。
【プレセア】 (ころっ)34か。
【GM】 (ころっ)では、キミたち3人に28点のダメージが行くので、これを3人で分けてください。10点、9点、9点という配分になるね。
引き受けたダメージの数値から、防御点分の数値を差し引いたものが、耐久度への実ダメージになります。
なので、耐久度や防御力が高いひとが、いちばん大きいダメージを受けるのがいいよね。
【ファベル】 私は耐久度14で、防御点14。
【キャロット】 ウサギは耐久度10。防御点9ってなってる。
【プレセア】 耐久度15で、防御点8。
【ファベル】 んじゃ、私がいちばんでかいの受けるわ。
【GM】 では、プレセア・アクアマリンの耐久度に、1点のダメージがいった。
【ファベル】 けっこう強いぞ、こいつら。
【GM】 だって、アリの巣に入っていきなりやけど、これはボス戦やもん(笑)。
では、第2戦闘ターンやけど、この続きはまた後ほど。