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§久遠の旅人:第5話§

魔導砲破壊命令

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ 竜巻に乗って ▽ スパイ・ロマンス ▽ 魔導砲破壊

竜巻に乗って

【GM】 そんじゃあ、みんな、竜巻で省地方に運ばれてきた。不用意に“異界への道”に行ったばっかりに、時空の穴に飲み込まれたんやな。
【バルバッツァ】 時空の穴かぃ!
【ムードロ】 時代は違ってないやろな、まさか。
【GM】 そらもう、何の保証もないな。ひょっとしたら、過去の時代に来たのかも知れん。
【ルミオス】 どのみち、他の地域と毛色が違い過ぎるから、キャラクターにはここが過去か未来かどころか、何なのかもわからんやろしな。
【バルバッツァ】 「なんだ、ここは!?」って感じやろな。って、言葉は通じるのかな。
【カノン】 「謝謝」とか言わなアカンかも。
【ルミオス】 で、私ら、省地方のどこに運ばれたん?
【GM】 ついにこの地図を公開するときがきたな。
 ここ。この(トウ)ってとこにおるから。
【バルバッツァ】 えーっと、なになに。「礼儀がとってもよい。この戦の()軍の中心」
【ルミオス】()軍』ってなんや?
【GM】 省地方は南部と北部に別れて戦をしとってな、南部の(トウ)(カイ)(チャク)の三国で『()軍』っていうのを作ってるんやな。“チーム(”って感じ。北部は(エン)(シン)()の三国で『(ロウ)軍』を形成してる。
【ムードロ】 (ロウ)軍の中心は(エン)か。「国の真ん中に大きな岩がある」……それだけ?
【カノン】 弱そ〜(笑)。
【ルミオス】 ()軍の(カイ)は「世に言う秀才の8割はここから出てる」、(チャク)は「めちゃ厳しい国。イメージはスパルタ。例:ピンポンダッシュで罰金2000フィス」やのに、(ロウ)軍の(シン)は「大きな湖があるだけで、とくに何もない」、()は「漁業が盛ん。主食が魚の国」やもんな。
【カノン】 絶対、()軍のほうが強い。
【ムードロ】 なんで、()軍と(ロウ)軍は戦争してんの?
【GM】 ()軍も(ロウ)軍も_(コウ)という島が欲しい。_(コウ)の島に行けば、九尾の狐に力が与えられるという伝説があるから。
【バルバッツァ】 _(コウ)の島……「数十年に1回、大陸とつながる島。普段は荒れ狂う海峡の潮の流れが速く渡れない」か。
【GM】 そう。そんで、数十年に1回だけ島とつながる土地をめぐって、戦争してるわけ。
【ルミオス】 いつから戦争してんの?
【GM】 さあ。少なくても、省地方でいちばんの年寄りが生まれた頃には、もう戦争は始まってたな。
【バルバッツァ】 で、(トウ)に来た俺らはどうしたらええんかな?
【GM】 『来た』というか、いますでに牢屋に捕まってる。
【ムードロ】 え〜?! 誰に捕まったん?
【GM】 誰にというか、その辺のひとたちに。キミら全員、明らかに怪しい服装の奴らやから。
【ルミオス】 そりゃ、まあ、身なりは違い過ぎるわな。
【GM】 そらもう、省地方は中華風。
【ムードロ】 ヘアスタイルは弁髪か。
【カノン】 女のひとは纏足や。
【バルバッツァ】 で、その牢屋というのは、どんな感じなんや。
【GM】 ただの座敷牢。じゃっかん、見せ物扱いされてる感じやな。「これか〜」って、見学者がちょこちょこ来よるわ。
【カノン】 ムカつく〜。〈フォース〉撃ったろか。
【バルバッツァ】 それは、余計に事態が悪化するだけちゃうのか?
【カノン】 じゃ、〈キュアー・ウーンズ〉でいいよ。気持ちよくなるやん。
【バルバッツァ】 それは、余計に見学者が増えるだけじゃないのか?(笑)
【GM】 そんなことを言うてると、牢番がやって来て「領主さまがお会いになられるそうだ」と言う。
 そして、その後ろから来たで、奴が。領主が。
【ルミオス】 『奴が』って誰やねん(笑)。知ってる奴か?
【GM】 いや、ぜんぜん知らんひとやけど。んで、その領主が「おまえたちは、何者アルか」と尋ねてくる。
【バルバッツァ】 いちおう、言葉は通じるんやな。ちょっと訛ってるけど。じゃあ、「ルミオスさま御一行だ」と答える。
【ルミオス】 なんでやねん、ひとの名前を看板にすんな!(笑)
【GM】 「その『ルミオスさま御一行』は何し来たアルか?」
【バルバッツァ】 「俺はルミオスさまに従って来ただけだ。全責任はルミオスさまにある」
【ルミオス】 おい〜!
【GM】 「では、そのルミオスとやら、何をしに来たアルか?」
【ルミオス】 じゃあ、これまでの経緯を「かくかくしかじか」と領主に語ろか。竜巻に飛ばされて来たことを、汗かきながら必死に説明する。
【GM】 「そうか、それは悪いことしたアルな」
【ムードロ】 えらい、簡単に納得したな。
【GM】 そらもう、竜巻に飛ばされて来るなんてことは、(トウ)の国ではよくあることやし。エルフの島の“異界への道”から、インディアン・エルフがいっぱい飛んでくるから。
【カノン】 そうなんや(笑)。そのたびに捕まえてんのか。
【GM】 「そりゃもう、いっぱい捕まえたアル。ところで、おぬしたちは元の国に帰りたいアルか?」
【ルミオス】 そりゃ、まあ、帰らんとな。
【GM】 「では、あることをしてもらうアルよ」
【バルバッツァ】 なに、勝手に帰ったらアカンの?
【GM】 「ダメ。帰れるもんなら、帰ってみろアル」。普通には帰れないっぽい。
【ムードロ】 じゃあ、帰る手段ってのがあるんですか?
【GM】 「あるアル。魔導協会に行けば、向こうの世界に繋がる扉、魔導の竜巻があるアルよ」
【カノン】 うさんくさ〜。
【ルミオス】 『あること』をすると約束すれば、その魔導協会に紹介状なり、何なりをもらえるわけやな?
【GM】 そう。それに、まだ牢屋の中やしな。仕事を引き受けないなら、出したらへんで〜。
【バルバッツァ】 で、俺らに何をさせたいねん。
【GM】 「じつは、(ロウ)軍が秘密兵器を作っているとの情報があるアル。その秘密兵器を、破壊、もしくは使用不能にして欲しいアル」ミッション1やな。
「詳しくは、間諜協会の李じいさんに聞いてくれアル」
【ムードロ】 間諜ってことは、スパイのじいさんか。
【GM】 「やるアルか?」
【バルバッツァ】 しゃあないな。やるしかないやろ。
【GM】 じゃあ、出してもらえた。みんな、(トウ)の町の真ん中に来た。
【ルミオス】 まずは、間諜協会に行くか。李じいさんに会わしてもらわんといかんからな。
【GM】 間諜協会に来た。受付のお姉さんが、「いらっしゃいませ〜」とか言うてるで。奥にはキセルで煙草を吸ってる脂ぎったおっさんもいる。
【ルミオス】 間諜協会って、要はスパイ・ギルドなんやろ? なんか、フレンドリーで嫌なスパイやな。
【カノン】 蒸篭(せいろ)で肉まんとか蒸してそう(笑)。
【バルバッツァ】 受付のお姉さんに、「李じいさんに会いに来た」と言う。
【GM】 「李じいさんはここにはいません。町はずれで隠居してます」
【バルバッツァ】 じゃあ、住所を教えてくれ。
【GM】 すると、「向こう、向こう」と教えてもらった。
【ムードロ】 ほんなら、李じいさんのところに行こう。
【GM】 来た! 李じいさんは、ちょうど鶏の首をしめてるところ。
【ルミオス】 じゃあ、挨拶して「かくかくしかじか」で頼まれて来た、ということを話す。
【カノン】 秘密兵器のこと、教えてくれ。
【GM】 「秘密兵器のことアルか。
 ……ちょうどあの夜は、新月じゃった。敵の機密情報を探るため、ワシは敵本陣に潜り込んだのじゃ。しかし、ワシは不覚にも敵の罠にかかってしまい、地下に落ちてしまったのじゃ。
 その際、足を傷め動けなくなり、ワシは敵に見つかるのも時間の問題とほとんどあきらめておった。そのとき!」
【バルバッツァ】 なんや?!
【GM】 「──ひとりの女性が手をさしのべ、ワシを匿ってくれたのじゃ。それが、ワシとばあさんの馴れ初めじゃ」
【カノン】 関係ないやろ!(笑) ……もしかして、ばあさんが秘密兵器?
【ムードロ】 そんなアホな(笑)。
【バルバッツァ】 それにしても、古い話やな。
【ルミオス】 というか、大丈夫か、そのじいさん。ボケてるんちゃうやろな。
【GM】 失礼な。隠居はしてても、仮にも協会の長やのに。李じいさんは「で、何の用アルか?」って聞いてる。
【ルミオス】 やっぱり、ボケてるやないか!
【カノン】 ばあさんに話を聞こうよ。
【バルバッツァ】 ばあさんは家にいるのかね?
【GM】 いるよ。じゃあ、ばあさんから(ロウ)軍の秘密兵器の話を聞いた。
 その兵器とは『魔導砲』という大砲で、魔法の力で魔法の玉を撃ちだすという、超古代文明の遺産のことやねんな。(ロウ)軍はそれを組み立ててる。
【ルミオス】 その魔法の玉ってのは、どんなやつなん?
【GM】 魔法の力を込めることができる玉やな。魔法の威力が約10倍になると思ってくれたらいい。〈エネルギーボルト〉でも100レ−ティングが使える!
【ルミオス】 100レーティングなんか、あるか!
【カノン】 〈キュアー・ウーンズ〉やったら、すんごいラッキーや(笑)。
【バルバッツァ】 「これでもか!」って言うぐらい回復する(笑)。「治したるぞ、ドーン!!」
【カノン】 治し過ぎ〜。
【GM】 ま、このように、大変恐ろしい秘密兵器なわけやな。
【カノン】 それは、どこにあるの?
【GM】 (ロウ)軍の本拠地である(エン)の少し北ぐらい。何せ大きいから、基地の後ろに野ざらしで設置してある。近づけば見える。「でかいぞ〜」って。
【バルバッツァ】 でか過ぎてわからん、ってことはないやろな。
【カノン】 そんなん怖い(笑)。

スパイ・ロマンス

【ムードロ】 で、その魔導砲は完成してるの?
【GM】 いや、まだ完成はしてない。もし、完成したらやばいことになる。
【ルミオス】 いったい、いつから作り始めてんの?
【GM】 もう、30年ほど前から。魔法のかかった部品を拾ってきては、それを組み込んで作り続けてるわ。それがあと少しで完成しそう、という噂がちらほらと聞こえてきてるんやな。
【バルバッツァ】 で、俺らはその魔導砲を、どうやって使用不可能にすればいいんかな?
【GM】 おお、それを聞いて欲しかったわ。()軍の魔導協会は(カイ)にしかないわけやけど、まず、そこに行って「この仕事をする」と紹介状を見せる。
 すると、〈パーフェクト・キャンセレーション〉が巻物をもらえる。それを使って、魔導砲の魔法の部品の魔力を消すわけや。
【ルミオス】 そんなものがあるんなら、なんでさっさと魔導砲を無効化してこんかったん?
【GM】 そら、巻物がなかったんやからな。最近、飛んできたインディアン・エルフに見つけさせたものやし。
【ムードロ】 「帰してやるから、行ってこい」って言われたんやな。
【カノン】 でも、あのエルフたち変やから、その辺に集落でも作って居ついてそう。
【バルバッツァ】 なるほど、()軍の南の山奥の(ケン)っていう(むら)は、インディアン・エルフの集落やったんや。で、「山奥にあるらしい幻の(むら)。いろいろな伝説がある」ってことになってるんや。
【ルミオス】 それはいいから、さっさと紹介状をもらって、(カイ)の魔導協会に行こか。
【バルバッツァ】 じゃあ、馬を貸してくれ。
【GM】 「それでは、うちの名馬を貸してやろう。何せ天皇賞に勝った、タマモクロスとイナリワンだから速いぞ」
【ルミオス】 それは誰のセリフやねん!(笑)
【GM】 え? ばあさんやろ。
【カノン】 偉そうなばあさんやな。
【ムードロ】 2頭しか借りれんの? 4頭必要やで。
【GM】 じゃあ、しゃあないな〜。あとの2頭は遅いやつな。「(カイ)で巻物をもらったら、そのまま(エン)に行ってくれ」と言われる。
【ルミオス】 いちおう、街道は通ってるんやな。わかった。
【ムードロ】 じゃあ、行こう。
【GM】 (ころっ)ん、何事もなく着いてしまったわ。
【バルバッツァ】 ひとに場所を聞いて、魔導協会に行くぞ。
【カノン】 「巻物くれ」
【バルバッツァ】 ちゃんと紹介状見せて、仕事の話をせんといかんやろ。
【カノン】 ああ、そうや。じゃ、見せた。「〈パーフェクト・キャンセレーション〉の巻物をくれ」
【GM】 協会の人間は、「欲しいか? 欲しいのか?!」と言うて渡してくれる。それから、この魔導協会に帰って来れる、〈テレポート〉の巻物もくれる。
【カノン】 敵の陣地に潜り込むんやから、省地方の服を買っていこう。
【GM】 じゃあ、チャイナ・ドレスでも何でも買ってや、服は1着20フィスな。
【ムードロ】 それを買って現地人のふりして、(エン)に行こう。
【GM】 そんなら、みんなは馬に乗って街道を北に向かって移動した。
 (トウ)を通過して、()軍の境界線あたりに来たとき、いまにも滅ぼされそうな(むら)が見えてきたわ。時刻は昼頃。
 しかも、なんか小さな男の子が、3匹のウォードッグに囲まれてたりするんやな。
【ルミオス】 〈スリープ・クラウド〉(ころっ)全部の犬を眠らせた。男の子ももちろん寝た。
【ムードロ】 男の子って、何歳ぐらい?
【GM】 だいたい9歳ぐらいやな。
【ムードロ】 ぺちぺちと起こしてあげよう。
【バルバッツァ】 犬どもは口を縄で縛ってやる。さ、村長を探してお礼をしてもらわんと。
【GM】 いや、この(むら)にはもう、その子供しか残ってない。他は全員やられてしまったよ。
【バルバッツァ】 3匹の犬にやられてしまったんか。
【カノン】 弱〜。
【GM】 いや、他にもいっぱいおってんけどな、犬に残党狩りを任せて帰ってもてん。
【ルミオス】 じゃあ、男の子を引き連れて行こうか。どこか適当な町にでも置いてくればええやろ。
【GM】 というわけで、子供がパーティに入った。子供は「お腹すいた〜。そこの大根持ったお姉ちゃん」とか言うてるわ。
【バルバッツァ】 しゃあないな〜。トントントントンと大根を料理してやろか。
【カノン】 いやだ〜! 「伝説の大根だから、ダメ」って言う。夜、寝るときも抱いて寝てるから盗まれへんで。その辺の家にあるやろ、食い物。
【GM】 じゃあ、家のに勝手に入って好きなように食ってや。そんなことをしつつ、子供が言うわ。「北に1日ぐらい行ったところに、おじいちゃんとおばあちゃんがいる(むら)がある。ルル〜」
【バルバッツァ】 北というと、この(むら)より(ロウ)軍に近いやんか。先に滅ぼされてるんとちがうの?
【GM】 いや、大丈夫、どーでもいい集落やから。子供は「そこに連れてってくれ!」と言うてる。
【ルミオス】 しゃあないな〜。ほんじゃ、連れて行くか。
【ムードロ】 馬は4頭しかおらへんけど、どうする?
【ルミオス】 子供なんやし、誰かが乗せてやったらいいんとちがう?
【GM】 じゃあ、その弱そうな兄ちゃんに乗せてもらおか。
【ルミオス】 弱そうって、私のことかね?? 別にいいけど……。
【GM】 んじゃ、そんな感じで出発した。
 旅してると、ルミオスと一緒に馬に乗ってる子供は「なあ、弱そうなお兄ちゃん。あれが食べたい〜。採って来て〜」と、木になってる果物を指す。
【ルミオス】 最悪や(笑)。まあ、いいように使われといてやろう。
【GM】 そんな感じで夜になった。
【カノン】 じゃあ、キャンプや。
【ムードロ】 焚き火を起こして食事にしよう。
【ルミオス】 食ってばっかりやな。
【GM】 食事が終わったら、子供が「そこの目つきの悪い兄ちゃん。トイレ行くからついて来て」って言うわ。
【バルバッツァ】 お呼びがかかってるぞ、ルミオス。弱いわ、目つきが悪いわ、散々な言われようやな。
【カノン】 違うと思うの。バルバッツァのことだと思うの。
【GM】 間違いなく、そうや。
【バルバッツァ】 何を言う。この、いつくスィみの眼差しをもつ俺に対して。しゃあないな、ついて行ってやろう。「さあ、ションベンしてみせろ」。俺もするから。
【カノン】 子供と競争?(笑)
【GM】 そんなことを言いつつ、そろそろ何か出したろっかな。バルバッツァは[危険感知]してや〜。
【バルバッツァ】 (ころっ)失敗。何も気づかずションベン続けてる。そろそろキレが悪くなってきてるねん。
【ルミオス】 最悪や。
【GM】 バルバッツァは3回回避してな。マイナス4のペナルティ付きで。
【バルバッツァ】 シールドは持ってないやろな、ションベンしに来ただけやから。じゃあ、丸腰で回避か。(ころっ)
【GM】 3発いったのに1回だけ当たりか〜、楽しくないことに。ダメージは3点な。ちなみに、子供が巨人に変身してるから。
【バルバッツァ】 スプリガンか!
【GM】 怪物判定もせんと言うなや〜。
 んじゃ、とりあえずバルバッツァ以外の部類のほうに行くで。2元中継やから。
【カノン】 『部類』って言われた(笑)。
【ムードロ】 で、何が起こるんですか?
【GM】 バルバッツァが子供とトイレに行ったそのすぐ後、怪し〜い黒服の男が、旅人を装って近づいてくる。
【カノン】 なんか来た、って見とく。
【GM】 その男は突然「やらせはせん! やらせんはせんぞ〜!」と絶叫して、狂ったノームを3体召喚する。
【ムードロ】 ノーム? 強そう……。
【カノン】 ノーム? 弱そ〜。
【カノン】【ムードロ】 え??
【ルミオス】 まったく同時に正反対のことを言うとる(笑)。GM、その男とノームが襲ってくるわけ?
【GM】 いや、男はすぐにテレポートして消えた。
【バルバッツァ】 その男が直接戦ったほうが強いんちゃうの?(笑)
【ルミオス】 というか、なんで私らが狙われる感じになってるんやろ? 魔導砲破壊の情報が、敵に漏れてるんやろか。
【ムードロ】 ()軍に(ロウ)軍のスパイがおるんや!
【GM】 とりあえずノームは襲いかかって来るから、戦ってや。

 一見弱そうなノームであったが、〈ストーン・ブラスト〉の魔法はけっこう痛い。エルフのムードロは一撃で生命力を半減させられたりもした。

【ムードロ】 やっぱ、戦士がおらんとキツイよなぁ。
【カノン】 うちが戦士や、っちゅうねん。

 ただし、怖いのは〈ストーン・ブラスト〉だけで、やっぱりノームは弱かった。ルミオスたち3人は、順調に戦闘をこなしていく。
 一方、スプリガンと1対1で戦うバルバッツァ。1回の攻撃で爪・爪・牙と3度の打撃があるスプリガンに対し圧倒的に不利と悟った彼は、戦線を離脱。仲間のもとへと走った。とうぜん、スプリガンはそれを追う……。

【GM】 んじゃ、合流した。
【バルバッツァ】 「あれ見てん、あれ」とスプリガンを指さす。
【カノン】 なに連れて来てるねん!(笑)
【ルミオス】 こっちはこっちでノームと戦ってんのに〜。

魔導砲破壊

 スプリガンも混じって、冒険者たちと魔物どもの戦闘は再開された。
 スプリガンの3回攻撃は脅威であった。ファイター技能を持たないルミオスが、スプリガンの攻撃をくらって意識不明の重体に陥ってしまった!
 しかし、ムードロの〈ヒーリング〉で復活し、その後、怒りの〈エネルギー・ボルト〉クリティカル2連発でスプリガンを葬った。
 その間にカノンとバルバッツァが3体のノームを蹴散らし、戦闘開始から6ラウンドで戦いは終わった。

【バルバッツァ】 しかし、スプリガンが潜んでたとはな〜。あの(むら)、スプリガンに滅ぼされたんとちゃうか。
【GM】 そうかも知れへんな。そんなこと言いつつ、寝て朝になって起きた。
【ルミオス】 じゃあ、(エン)に行こか。
【GM】 ついに(エン)に着いた! その(エン)の町が見えてきたところで、もう魔導砲が見えるから。ズド〜ンとでっか〜い筒が、斜めに立ってるから。
【カノン】 「あれかぁ」と思って見てる。
【バルバッツァ】 じゃあ、近づいて巻物で〈パーフェクト・キャンセレーション〉をかけてしまおう。
【GM】 いやいや。見えてはいるけど、そんなに簡単には近づかれへんなぁ。さすがに壁で囲ってるし、門には警備がついてるし。
 ただ、見学料を払ったら、敷地内に入れるねんけどな。
【ルミオス】 入れるんかぃ!
【バルバッツァ】 そんなら、見学料を払って入ろう。
【GM】 じゃあ、門をくぐって、敷地内に建設されてる施設に入った。見学コースの順路は決まってるから、勝手にはずれたりしないように。ちゃんと順路どおりに進んで行ったら、約30年前からの魔導砲の歴史がわかるようになってるし。
【ルミオス】 わかってどーすんねん!
【GM】 何を〜!? ちゃんと図入りのパネルで、解説してくれてるんやで?
【バルバッツァ】 ボタンを押したら音声で解説してくれる装置もありそうやな(笑)。
【カノン】 しかも、3ヶ国語ぐらい入ってるねん(笑)。
【ムードロ】 それで順路どおりに進めば、魔導砲のところに行けるんですか?
【GM】 うん、最終的には。魔導砲がよく見える最終地点まで来たで。
【バルバッツァ】 よっしゃ、巻物や! ルミオス、いっちょかましたってくれ。
【GM】 無理! そこはガラスで仕切られた部屋でな、そのガラスというんが古代魔法帝国の遺産やったりするわけや。
【ルミオス】 つまり、魔法を通してくれないと。
【GM】 そのとおり。この部屋の片隅に外に出る扉があるけど、関係者以外は立入禁止。もちろん、警備員が2人も立ってるから。
【ルミオス】 押し通ると大変なことになりそうやな。魔導砲の様子は?
【GM】 魔導砲は敷地内でさらに頑丈な柵に囲われてて、ここの扉と向こうにある作業員用の小屋からかしか、中に入ることはできない。ちなみに、いま魔導砲には作業員がいっぱい取りついてて、何かいじったりしてるから。それを見守る偉そうな奴もいっぱいいる。
【バルバッツァ】 夜になるのを待つしかないか。施設のトイレにでも隠れて、閉館後に行動を開始しよか。
【GM】 トイレってすぐ見つかりそうやけどな。「お客さん、閉館ですよ〜」って。
【バルバッツァ】 んじゃ、音声で解説する装置の中に入っとくわ。ボタン押されたら、俺がしゃべる。
【カノン】 ウソばっかり解説してそう(笑)。
【GM】 別にそれでもいいよ。で、他のひとは?
【ムードロ】 あたし、トイレの掃除箱の中。見つかりそうになったら、〈インビジビリティ〉を唱えるから。
【ルミオス】 トイレで〈カメレオン〉。
【カノン】 うちは施設の外にいる。金がないふりして、外をうろついてる。「見たいのに〜」って。集合場所はトイレでいいよな。
【バルバッツァ】 ……なんか、さっきからトイレばっかりやな。今回のリプレイで何回出てきた、その単語?(笑)
【GM】 じゃあ、そんな感じで夜になったで。施設は閉鎖されるからな。
【バルバッツァ】 様子をうかがいつつ、装置の外に出る。誰もいなかったら、トイレに行くで。
【カノン】 途中でうちを施設に入れてくれ〜。
【バルバッツァ】 なんでおまえは外に出たんや?(笑)
【カノン】 だって、隠れる技能を持ってへんもん。
【ムードロ】 みんな集まったな? じゃあ、魔導砲のところに行こう。最後のガラス張りの部屋に、魔導砲の敷地に入る扉があったよな。
【ルミオス】 昼間の順路どおりに進めば着くから、迷わずにすむな。

 順路の途中に見張り用の竜牙兵がおり、冒険者たちの行く手を阻んだ。しかし、カノンがバトル・アックスの2連クリティカルを放って、あっさり撃破した。
 その次には、なぜかミノタウロスが配備されていた。今度のは強敵で、カノンが意識不明になるほどの激戦だったが、ルミオスから〈ファイア・ウェポン〉の援護を受けたバルバッツァのクリティカルヒットによって、戦いに終止符が打たれた。
 ついに魔導砲の下にたどり着いた冒険者たちだったが、そこに昨夜、ノームを召喚して消えた黒服の男が待ち構えていた。黒服の男はリュンクスを召喚し、さらに2体のオークを作って、再び〈テレポート〉で姿を消した。

【カノン】 リュンクスって強いんかなぁ?
【バルバッツァ】 ようわからんから、全員で当たったほうがいいよな。オークの2体はルミオスにストーン・ザーバントを作って対処してもらおう。
【ルミオス】 なるほどな、それなら放っといても勝てるしな。問題はストーン・サーバントを2体作ると、精神力がほとんど残らんことやけど……ま、いいか。作ってしまおう。(ころっ)成功。じゃ、それぞれにオークと戦わせる。
【ムードロ】 あたしも〈ウィル・オー・ウィスプ〉を1回使ったら、精神力が切れてしまうなぁ。ま、いいか。あとは後ろで応援しとこう。

 強敵かと思われたリュンクスであったが、たったの4ラウンドで屠られてしまった。もちろん、オークはストーン・サーバントによって自動的に壊されてしまった。

【ルミオス】 じゃあ、ちゃっちゃと〈パーフェクト・キャンセレーション〉の巻物を使って、〈テレポート〉の巻物で(カイ)の魔導協会に帰ろか。
【GM】 任務は遂行されたんやな。じゃあ、(カイ)の魔導協会に戻ってきた。ほんなら「これはほんの気持ちや」と言って、ひとりにつき50ウェンが支払われた。
【バルバッツァ】 なんや、その単位は。それが省地方の通過なのか?
【カノン】 それって、レムリア大陸でも使えるの?
【GM】 使えるんちゃう? 仮にも銀やし。省地方だってレムリア大陸や、ちゅうねん。
【ルミオス】 とりあえず、私らの国に帰してもらおか。
【GM】 そんじゃ、魔導協会が管理してる土地に、魔法の竜巻が発生してる場所があるから、そこに案内される。来たときと同じように、竜巻に乗って帰っていくわけやな。
【カノン】 ということは、エルフの島に戻るの?
【GM】 さあ、それはわからん! インディアン・エルフはこれを使うけど、どこに帰っていってるのか、魔導協会では誰も試してないから。
【ルミオス】 ちょっと待て。じゃ、その竜巻で元の国に帰れるという保証がないわけやんけ。
【GM】 まあ、ありていに言えば(笑)。でも、仮にも冒険者なんやし、そんなこと気にならんやろ?
【ルミオス】 そんなムチャな〜!

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2001 Jun Hayashida
Map ©2001 Moyo
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