▽ さらわれた歌姫 | ▽ 赤き炎は勝利のサイン | ▽ フィナーレは負けない |
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【GM】 きょうもきょうとてキミたちは、いつものようにメカリアのサイレント・パブにいるわけだ。そして、暇な毎日を過ごしてるんだね。
【牙皇子】 毎日猫を撫でて過ごしてよう。いや、あんな毛のない猫はイヤだな(笑)。
【フィナーレ】 毎日歌を歌ってるよ。冒険のお金は使わない。すべて歌で稼いだお金で生計をたててるの。
【GM】 なるほどな。ところでじつは、最近、とある吟遊詩人の噂がちょくちょく聞こえてくるようになっている。なんでも、その吟遊詩人から歌を教えてもらった人たちが、全国各地でなんと普通の2倍ものおひねりが貰えるような歌を歌っているんだそうだ。
【フィナーレ】 よーするにライバル出現ってわけ?
【GM】 その人たちの評判はなかなか高くて、フィナーレの稼ぎは下がる一方だ。ま、その人から歌を教えてもらったら、稼ぎが今までの2倍になるかも知れないけどね。
【フィナーレ】 よーするに吟遊詩人に会いに行け、ってことね。
【GM】 無理にとは言わない。ただ、最近の稼ぎは半分になってるってだけ。客も同じ歌ばかりで飽きてきてるんやろな。「そろそろ新曲出せよ〜」って(笑)。
【フィナーレ】 しょうがない、吟遊詩人に会いに行ってみよう。で、その人に教えてもらいに行くには、どこに行けばいいんですか?
【GM】 ここから4、5日南西へ行ったところにある、とある町。
【フィナーレ】 で、報酬は誰が出してくれるんですか? 食費は誰が出してくれるんですか? 必要経費は誰が出してくれるんですか?
【GM】 そんなもん、すべてフィナーレとかいう奴の自腹に決まってる。誰に依頼されたわけでもなく、フィナーレが勝手に「行きたい」と言ってるんだけなんだから。
【フィナーレ】 それはあたしひとりで行けってこと?
【牙皇子】 なんだ。私に一緒に来てほしかったら、頼めばいいだろう。
【フィナーレ】 町から町なら、ひとりでも行けると思うよ。
【GM】 いや〜、その町に行く道は整備が遅れていてね、モンスターとか山賊とかがいっぱい出てくるらしいよ(笑)。
【牙皇子】 これがマンガだと、きさまがピンチの時に都合よく私が現れるんだろうが、現実はマンガではないからなァ。
【GM】 そうだな、グサって刺されて「あたしはどうなるんだろう」とか言いながら、ひとり寂しく死んでいくんだろーな〜。
【フィナーレ】 でも、どーせ金出して依頼しなくちゃいけないんでしょ。あ〜あ、バっカみたい。あたしとキバちゃんはパーティなのに……。
【牙皇子】 あっ、そ。せっかく、珍しくタダでついていってやろうと思ってたのに、そんなこと言われたら、金を取らねばならんみたいだな。じゃあ、金払え。
【フィナーレ】 あ、ウソウソ。さっきのなし。キバちゃん、ついてきて。
【GM】 じゃあ、その町へ行くんだね。で、どーやって行くんだい? 徒歩か馬車か。
【フィナーレ】 馬車だとどのくらいの日数がかかるの?
【GM】 乗合馬車でなら、途中で寄っていくところがあるから3日。ちなみに料金は、片道150フィスね。
【牙皇子】 向こうの町に行くまでに、モンスターや山賊が出るって噂があるんだろ? ならば、冒険者が乗ってくれるのはありがたいだろうなァ。なんなら、私たちが護衛ってことで乗ってやってもいいぞ。
【GM】 護衛? いや、いちおうその馬車には、ちょっとしたファイターが乗ってるんで、護衛は必要ないです。
【フィナーレ】 どんなファイターなの?
【GM】 ロスってことにしよう(笑)。
【牙皇子】 なんだ、このまえ一緒に旅した奴、ひとりでどこかに行くつもりだったのか。
【フィナーレ】 でも、ロスなら「一緒に護衛しよう」ってことになるよね。
【GM】 ならん、ならん。仕事を依頼されたのはロスなんだから。わかった、じゃあ、キミたちの運賃は冒険者割引で2割、引かせてもらおう。だから片道の費用は、120フィスでいい。ロスは護衛だから、給料を貰う方だけどね。
【牙皇子】 しかし、我々も護衛してやるんだぞ。
【GM】 そんなん、『護衛』の押し売りやんけ!
【牙皇子】 私たちはロスとパーティを組んでるんだから、護衛仲間なのさ。「なァ、そうだろ、ロス?」
【フィナーレ】 出た、脅迫だ(笑)。
【牙皇子】 このまえ、マトックでの一撃瞬殺を見せてるからな(笑)。「なあ、ロス。私たちは仲間じゃないか。私たちも護衛を手伝ってやるよ。報酬はアタマ割りってことで」
【ロス】 俺の報酬が減るだけやん、それ(笑)。
【牙皇子】 でも、経験点は減らないだろ。
【ロス】 はあ、まあな。
【牙皇子】 よし、決まった!
【フィナーレ】 ってことは、馬車にお金を払う必要はないわけね。
【牙皇子】 「また、楽しくやろうじゃねえか。昔みてぇによお」(笑)
【ロス】 まあ、ええわ。
【GM】 (なんて奴らだ)そんじゃ、出発しますよ。
そうして出発した2日後、一行はグリズリー
ニ遭遇してしまった。が、そいつはフィナーレの〈スリープ・クラウド〉で眠らされ、ロスにとどめを刺されてしまった。キバちゃんがカーテンの奥から動くまでもなかった。
さらに3日目にはヒュプノクラウンに襲われたが、フィナーレの〈エネルギーボルト〉とロスの特攻によって倒された。キバちゃん、またしても出撃せず。
そして一行は目指す町に入った。
【牙皇子】 ここでロスとはお別れだな。報酬を分かち合おう。
【フィナーレ】 うわ〜い、400フィスぅ〜。
【GM】 まったく、ロスにとっては最低だな(笑)。で、ロスはまた、メカリアに向かう馬車の護衛で帰っていくわけだ。
【牙皇子】 その前に、ロスには使命を与えておこう。
【GM】 なにかな?
【牙皇子】 とあるふたつのアイテムを探し出して欲しい。
【GM】 はあ、はあ、アレね。じゃ、ロスはメカリアに帰ったあと仲間を募って、キバちゃんからのクエストにかかるとしよう。
さて、キミたちが酒場の方へ歩いて行く途中、向こうから来た酔っ払いの男が、ぶつかってきた。
【フィナーレ】 回避、(ころっ)(笑)。
【GM】 そいつは命中(笑)。ドンっとぶつかって、「おう、なんでいテメーは。ちくしょう〜、おめーも信じてくれねえのかよォ。俺の熱気球があれば、あの山脈だってひとっ飛びだって言うのによ〜、誰も信じてくれねーんだ。空なんて飛べねえってよ! おめーなら信じてくれるよなァ」と、フィナーレに絡んでくる。
【フィナーレ】 「おじちゃん、お酒くさ〜い。」と言って、逃げようとする。
【GM】 でも、酔っ払いだから「そうけ、おめーも信じてくれねえのかよ」と、しつこくつきまとってくるよ。
【フィナーレ】 どっか行ってくれ〜。酒くさい〜。
【GM】 「げぷっ、ぶはぁ〜っ!」
【牙皇子】 おお、幻の〈おっさん・ブレス〉。
【GM】 [精神力抵抗]してくれ。死ぬから(笑)。
【フィナーレ】 うそぉ?!
【GM】 ウソウソ。
【牙皇子】 ま、何かの伏線なんだろう。覚えといてやる。
【フィナーレ】 「フィナーレは、今の言葉を胸に深く刻み込んだ」。緑色のボタンを押したんだね(笑)。
【GM】 そのおっさんは、キミたちに相手にしてもらえないから、トボトボとどこかへ消えて行ってしまった。
【牙皇子】 「何だ、今のおっさんは!?」と、周囲に聞こえよがしに言ってやる。そしたら、事情を知ってるまわりの奴らが、教えてくれるだろう(笑)。
【GM】 すると、まわりの人が「あのおじさんはね、グレゴリーといって、何だか変な研究をしてるんだよ。『熱気球』とかいう物を作って、空を飛びたいらしいんだ」と言う。そして、別のおばさんが「最近、グレゴリーさん、飲んでばかりだね」と言うと、そばにいたおっさんが、「何だか熱気球に使う材料が盗まれたそうなんだよ」と答える。で、ちっちゃい子供が、「熱気球、熱気球!」(笑)。
【牙皇子】 熱気球ねぇ……。
【フィナーレ】 とりあえず、いまは関係なさそうだし、問題の謎のバードのいる酒場へ行ってみよう。
【GM】 酒場に来ました。でも、謎のバードはいません! そしたら、カウンター席に座ってた兄ちゃんが、「よお、おめえも吟遊詩人の歌を聞きに来たのかい?」と言い、その横のおっちゃんが「残念だったな。あの娘、最近現れねえんだよ」と言う。
【牙皇子】 ほう。さては誘拐されたな。
【GM】 すると、別の爺さんが「どうやら、さらわれたらしいんだよ」と言う(笑)。そしたら、酒場のオヤジが「なんでも、南の山の向こうのバンパイアの城に捕らわれているらしいんだ」。
【フィナーレ】 そこまでわかってて、なぜ、何もしな〜い!
【GM】 そう、若い兄ちゃんが「じゃあ、なぜ助けに行かないんだッ!」って言うと、村長らしき爺さんが「じゃがのう、あのバンパイアに勝てるものはおらん、っちゅうに。ワシら人間には、手が出せんのじゃ」と嘆く。
【フィナーレ】 ……ここって、村じゃなくて町じゃなかった?
【牙皇子】 とりあえず、話はわかった。我々としても、その吟遊詩人を助けに行ってやりたいのは、やまやまだ。だが、我々はプロの冒険者。報酬もなしに働くわけにはいかん。
【フィナーレ】 依頼主が欲しいな。
【GM】 なるほどな、そういう話をチラホラとするわけだね。そしたら、カウンターの奥から、その吟遊詩人のお祖父さんらしき人が出てきて、「お金なら、いくらでも出しますじゃ。孫娘を助けてくだせぇ!」と言います。
【牙皇子】 そうだな、とりあえず報酬は5000フィスということで。
【GM】 「そうですか、助けてくださるんですか! ああ、ありがたや、ありがたや。ここに3000フィスありますじゃ。なんとかお願いします!!」
【フィナーレ】 そんな安い金で働けるかァ〜! さっき『いくらでも払う』って言ったじゃない。
【牙皇子】 3000フィスは頭金ということで、残りはローンにしといてやる。
【フィナーレ】 ふんだくれるものは、全部持って行くからね。
【牙皇子】 足りなければ、その孫娘とやらももらっていこう。
【GM】 あのな〜。
【フィナーレ】 それで、さらわれた吟遊詩人がいるっていう、バンパイアの城の情報は?
【GM】 バンパイアの城はね、ここから南に行ったところにある山脈の向こうにあるらしい。その山というのがまた、天を突くような高い山。そんな山を越える必要があるんだな。
【牙皇子】 なるほどな。それで、さっきの『熱気球』が絡んでくるわけだ。しかし、私には〈ワイドウィング〉という竜語魔法があるんだがな。それで飛んで行けるぞ。
【GM】 いや、その山は高すぎて、飛行の魔法などで越すことはできない。なぜなら、フラグが立たないから(笑)。めっちゃ高いとこを飛べる『熱気球』でもないと、飛び越えることは無理だね。歩いて行くことは可能だけど。
【フィナーレ】 めちゃくちゃ時間がかかる、と?
【GM】 そういうこと。
【牙皇子】 わかった、わかった。フラグを立てに行ってやろう。グレゴリーとやらの所へ行ってやる。
【GM】 それじゃあ、グレゴリーの家に来たよ。グレゴリーがドアから顔をのぞかせる。「おめえら、誰だ?」
【フィナーレ】 「かくかくしかじか」。
【GM】 「『かくかくしかじか』ァ??」
【フィナーレ】 まともに言え、ってか? 「え〜っとォ、昼間ァ、あなたが酔っぱらってェ、ぶつかってきてェ──」
【牙皇子】 「肩の骨が折れたんですけどォ」(笑)。
【GM】 「そんなことあったっけ? 知らねえな」
【牙皇子】 「いや、俺はええねんけどな、こいつがな、『骨が折れたァ』って言うからな、とりあえず、治療費だけでも支払ってもらおうってな。100万フィス払え」
【フィナーレ】 「骨がいてーよ、アニキぃ!」(笑)
【GM】 あのな。
【牙皇子】 「それが無理なら、熱気球で勘弁してやらぁ。おめえ、熱気球研究してんだって? そいつを寄越しな」
【GM】 「おお、聞いてくれるか、熱気球のことを。まあ見てくれよ!」と言って、グレゴリーはキバちゃんたちを裏庭の小屋に案内する。看板に『グレゴリー研究所』と汚い文字で書いてあるその小屋の中に、グレゴリーが長年製作を試みてきた熱気球があった。
「こいつで飛べるんだ。南の山だって、ひとっ飛びだぜ! ……だが、町のみんなは誰ひとり信じてくれねえんだ」
【フィナーレ】 その熱気球、部品が足りないんでしょ?
【GM】 「……なんで、それを知ってんだ。聞いてくれよ、実はそうなんだよ。こいつを飛ばすにはどうしても『炎の水晶』が必要なんだよ、『炎の水晶』が」
【フィナーレ】 それはどういう物で、どこにあるの?
【GM】 「ここにはない。いや、ちょっと前まではあったんだが、『炎の水晶』は、俺が寝ている間に盗まれちまったんだ」
【牙皇子】 ちゃんとしまっとかんかぃ!
【GM】 「最近、この町の近くにある教会の廃墟に、何者かが住み着いたようなんだ。なんでもそいつらは、そこで妙な儀式をやってるらしいんだ。俺は、そいつらが『炎の水晶』を盗んだような気がするんだ」
【牙皇子】 じゃあ、そこへ行こう。
【GM】 行く? 嬉しいな。じゃ、グレゴリーの案内で、町はずれの古びた教会までやってきたよ。ここ何年も使われていなかったらしく、いたんだ礼拝堂が、伸び放題の雑草の中に埋没しそうになっている。
【フィナーレ】 気球のおっちゃんは、どこまでついてくるわけ?
【GM】 ずっと一緒についてくるつもりらしい。仲間になりたそうな目で、キミたちを見てる(笑)。
【牙皇子】 邪魔だ、家にいてくれ。
【GM】 「オラも一緒に『炎の水晶』を取り戻すだ!」
【牙皇子】 言葉使い変わってるぞ。
【フィナーレ】 場所案内してくれたら、もう家に帰ってね。邪魔だから。
【GM】 グレゴリーはしょんぼりと去っていった。さて、キミたちはいま、教会の正門前に立っています。ちなみに、その門は閉まってるよ。
【牙皇子】 ニキ猫を偵察に行かせる。
【GM】 そしたら、礼拝堂の正面玄関のところに、見張りが立っているのが見える。人間ではないね。フィナーレは使い魔の目を通して、そいつがストーン・サーバントだとわかる。それが2体。
【牙皇子】 礼拝堂の裏も偵察させよう。
【GM】 裏は墓地だね。ちなみに、礼拝堂には裏口もある。動くものは何ひとつ見当たらない。
【牙皇子】 では、柵を乗り越えて裏口から侵入しよう。
牙皇子とフィナーレは、怪しげな儀式の声が聞こえる扉の前までやって来た。そして、中の様子を探らせるため、ハゲ猫を入れようとそっと扉を開ける。
ところが……。
【GM】 その扉はかなり古いんで、「ギィ〜」と、派手な音をたててしまった。
【牙皇子】 猫を中に入れて、「バタン!」って閉めろ。あたかも風のいたずらかのように。ちなみに私は、廊下の角に隠れて様子を見ている。
【GM】 扉が「ギィ〜」っていった途端に、儀式の声はピタっとやんだ。
【牙皇子】 そこでハゲ猫にひと声鳴かせろ。奴らに「なんだ、猫か」って言わせるんだ。
【フィナーレ】 「にゃあ」
【GM】 「なんだ、猫か」──って言うかッ!(笑) 中は、祭壇がある広い礼拝室だね。「何者だッ!?」という声とともに、六人ほどの赤いローブの男たちが、ニキ猫のところへやってくるよ。扉は閉まってたっけ?
【フィナーレ】 「ギィ〜」「バタン!」で閉めたよ。
【牙皇子】 猫、孤立だな。
【GM】 じゃあ、中にいるのはニキ猫だけか。すると、祭壇近くにいる男が「その気色悪い猫を殺せ」と、六人の信者たちに言う。
【フィナーレ】 そしたら、ドアを開けてリシュを出させてあげよう。
【牙皇子】 ア、ア、アホかッ! おまえはッ!!
【GM】 わかった。じゃあ、猫は出て来たよ。でもその途端、キミたちの存在も向こうにわかってしまった(笑)。
【フィナーレ】 大丈夫。ドアから出て来るところを、ひとりひとり倒せばいいんだ。
【GM】 するとね、キミたちの背後の玄関扉もバタンと開くよ。
【フィナーレ】 へ??
【牙皇子】 見張りのストーン・サーバンドが玄関にいただろがッ。
【GM】 そのとおり。そして、礼拝室の信者たちが駆けてくるのが、ドア越しにわかる。で、玄関からはストーン・サーバンドが2匹、入って来るよ。
【フィナーレ】 優秀なストーン・サーバンドね。
【牙皇子】 少なくとも、貴様よりかはな。
【フィナーレ】 裏口のところまで逃げよう。
【GM】 その前に、ストーン・サーバンドの攻撃を回避してもらわなくてはね。それができたら、逃げたことにしよう。キバちゃんは廊下の角にいるらしいから、フィナーレは有無を言わさず2回回避。2匹の攻撃が行くからね。
【フィナーレ】 (ころっ)回避できず。 ダメージ3点受けた。とりあえず逃げれた?
【GM】 どっちへ逃げるのかな?
【フィナーレ】 それはやっぱり、キバちゃんの方でしょう。
【牙皇子】 来るな(笑)。
【GM】 じゃあ、ストーン・サーバンドはその後を追いかける。そして、バタンとドアが開いて、礼拝室から4人の男が飛び出して来て、やはりそっちへ走ってくる。
この後、フィナーレは追いすがろうとする敵に向かって〈ファイアボール〉を放ち、ひとりの信者を倒した。
そして牙皇子は、礼拝堂を1周して敵の背後に廻るべく、廊下を走る。ところが、敵も同じことを考えていたらしく、フィナーレの背後に廻ろうとしていた敵信者3人と、途中でばったり出くわした。牙皇子は、すかさずマトックで謎の信者の脳天を貫いた。
そして、敵の反撃が始まる。
【GM】 この辺で痛い目あわせたるねん。こいつらホンマに。
【フィナーレ】 私情をはさむのはよくないと思うな。
ところが、痛い目にあわされたのは、謎の信者たちのほうだった。フィナーレは2発目の〈ファイアボール〉で敵を粉砕し、牙皇子側の敵も牙皇子に〈フォース〉でしこしことダメージを与えるものの、〈スティール・ライフ〉で生命点を奪い取られてしまう(そのぶん牙皇子は回復する)。
そして牙皇子が敵信者と戦っている間に、敵を撃破したフィナーレは、礼拝室を覗きに行った。
【GM】 じゃあね、赤いローブをまとったひとりの司祭が、いちばん奥の祭壇の前に立ってるよ。
【フィナーレ】 司祭がひとりだけ? じゃあ、先手必勝〈エネルギーボルト〉(ころっ)[精神力抵抗]された。ダメージは10点。
【牙皇子】 私は自分の敵、信者Aにマトックで攻撃。(ころっ)ヒット、12点。
【GM】 信者Aは死んだ。信者Bはキバちゃんに〈フォース〉。
【フィナーレ】 芸がないのう。
【牙皇子】 (ころっ)[精神力抵抗]成功。ダメージは5点。
【GM】 ちぇ。さあ、礼拝室の司祭の行動だな。やったんねん、ザコ信者とは違うで〜。暗黒魔法やで〜。
【フィナーレ】 そんなにレベル高いの?・
【牙皇子】 私が暗黒魔法の使い方を教えてやろうか。何レベル司祭だ?
【GM】 (こっそりと)5レベル。
【フィナーレ】 聞こえてるっつーの。
【牙皇子】 じゃあ〈スティール・ライフ〉だな。敵に打撃を与えつつ、自分の生命点も回復するという魔法だ。
【GM】 なるほどな、じゃあ〈スティール・ライフ〉(笑)。フィナーレ、[精神力抵抗]して。
【フィナーレ】 まったくもう、キバちゃんは……敵か味方か?! (ころっ)[精神力抵抗]成功。
【GM】 (ころっ)それでも10点行くからね。冒険者レベルで止めてくれ。
【フィナーレ】 6点も来たァ! もうダメ、残り生命点が3点しかない〜。
【GM】 そして、こっちは回復するわけだ。うわ〜、完全回復!
【フィナーレ】 ああ〜、〈エネルギーボルト〉のダメージがァ〜。やばいな、キバちゃんが来るまで待つ。
【GM】 待つのか、そこで。敵の目の前で(笑)。
【フィナーレ】 だってェ〜……。
【牙皇子】 フィナーレ、〈パラライズ〉を唱えろ。達成値を精神力が許す限り拡大して、くらわせろ。
【フィナーレ】 じゃあ、魔晶石を使って〈パラライズ〉2倍消費。達成値に+1しよう。(ころっ)。
【GM】 げっ、麻痺した! でも、この魔法は集中しなくちゃいけないからな。フィナーレのほうも行動できないよ。
【牙皇子】 私は敵に降伏を勧告しながらマトックで攻撃しよう。(ころっ)はずれ。
【GM】 その空振りがあまりに恐ろしかったのか、信者Bは降伏するよ。「わかりました、礼拝室へ案内致します」と言う。そして、裁断の間のほうへ歩いて行く。
【牙皇子】 ほう。ならばマトックを構えたまま、ついて行くとしよう。
【GM】 キバちゃんたちは、裁断の間に入った。そのとき、司祭がやられてるのを目にした信者Bは、「アカン! 司祭さまになんとかしてもらおうと思ってたのに、この魔法使いを殺さなやばい!」と叫び、魔法に集中しているフィナーレに殴りかかって行く。
【牙皇子】 考えたことは、口に出さずにいられない奴なんだな。では、信者Bに攻撃する。(ころっ)命中、ダメージ13点。
【GM】 けっこう来たけど、まだ死なない。じゃあ、フィナーレに攻撃ね。
【フィナーレ】 ああ〜、死ぬかもしれない。
【GM】 (ころっ)当たった! おっと、しかしダメージが悪い……ソフト・レザーで止められてしまったね。ということは、〈パラライズ〉はまだ効いてるんだな。司祭は、何にもできない(笑)。
【牙皇子】 マトック・アタ〜ック。(ころっ)ヒット、14点。
【GM】 信者Bは死んだ。
【牙皇子】 じゃあ、司祭は殺さずに縛り上げよう。
【フィナーレ】 〈パラライズ〉を解く。
【牙皇子】 尋問モード。「炎の水晶を出せ」
【GM】 炎の水晶は祭壇に置いてあるよ。
【フィナーレ】 いったい何のために盗んだのか、尋ねよう。
【GM】 「えっ、炎の水晶をやな、祈ればやな、昔、シナリオで犯した過ちをやな、すべて消すことができるのだ」
【牙皇子】 ほう。ちなみにきさまの名は?
【GM】 「わたしの名はバーグナー。覚えておくがいい」
【フィナーレ】 いや、たぶん、ムリ(笑)。
【GM】 「はっはっは、脳細胞の乏しい奴らめ」
【牙皇子】 よし、これでこいつの末路は決定されたな。司祭を絶対に逃れられないように吊るしあげて、私たちは炎の水晶を取って礼拝堂から出ていこう。そして、教会に火を放つのだ。
【GM】 おいおい、そんなことしたら、司祭が焼け死ぬじゃないか。
【牙皇子】 炎教の司祭だったんだから、本望だろう。礼拝堂に火を放つ。
【GM】 「あいやー! お待ちください、偉大な冒険者さま〜」
【フィナーレ】 もう遅い。
【牙皇子】 せいぜい、いい声で鳴いてくれ(笑)。
【GM】 ひでぇ。「おのれ〜! おまえたちの行く手に、災いのあらんことを〜」
【牙皇子】 さて、炎の水晶を気球のおっさんに渡して、熱気球を作ってもらおう。
【フィナーレ】 その前に〈キュアー・ウーンズ〉をかけて欲しいな。
【牙皇子】 フッ、ならば土下座して「お願いします」と言ってみ。
【フィナーレ】 ……「お願いします」……ああ、卑屈になってきたァ。
【GM】 さて、炎の水晶を受け取ったグレゴリーさんは、「おおッ、これで気球が作れるってもんだ!」と大喜びして、さっそくトンテンカン、トンテンカン、と工事にかかった。
そして翌朝、熱気球は完成した。
【フィナーレ】 これで南の山脈を越えていくんだね。
【牙皇子】 気球を手に入れたわけだ。
【GM】 なんで手に入るねん。それはグレゴリーの物や、ちゅうに。
【牙皇子】 しかし、グレゴリーは我が臣下の列に加わったんだから、私のものといっても過言ではあるまい。
【GM】 いつ、家臣になった。
【牙皇子】 我が手より、炎の水晶を賜った瞬間からだ。
【フィナーレ】 これで、呼びつけたらいつでも気球は来てくれるんだね。
【GM】 呼べば、来てくれるよ。でも、手紙を出してグレゴリーに届くまでに1週間かそこらかかって、気球が飛んでくるのに3日か4日かかるからなぁ(笑)。
【フィナーレ】 あのな。
【GM】 さて、そうこうしてるうちに、南の山脈を越え、森のなかにそびえる不気味なバンパイアの城が見えてきました。
【牙皇子】 屋上から侵入してやるか。
【GM】 そのとき、気球に穴が空いて墜落してしまいました(笑)。ま、怪我はしなかったけど、城から1キロほど離れた森の中に落ちたからね。生い茂る木々のおかげで、気球を隠すことは容易だった。グレゴリーは、「じゃ、俺はこいつを修理しとくぜ!」と言います。
【牙皇子】 では、徒歩でバンパイアの城に行く。
【GM】 城にやって来ました。
【フィナーレ】 見張りは?
【GM】 いない。城の周りには、澱んで緑になった水堀があって、城門に向かって橋がかかってる。
【牙皇子】 橋を渡って城に入る。
【GM】 門から城の中に入ると、玄関ホールに腐った死体が4匹ばかりいます。もちろん、その死体はキミたちに向かって動きだすよ。
【牙皇子】 フィナーレを中に残して外に出て、扉を閉めてやろう(笑)。
【フィナーレ】 怪物は?
【GM】 グール2匹とゾンビ2匹。そして、背後で扉が閉まり、中にいるのはフィナーレひとりだけだ(笑)。
【フィナーレ】 ひどい〜。〈エネルギーボルト〉4倍消費、(ころっ)ゾンビAは1ゾロ、ゾンビBには12点、グールAには12点、グールBには11点。
【牙皇子】 私は[聞き耳]。
【GM】 中の様子をうかがってるんだね(笑)。どうやら中では、これからフィナーレが4回回避を行うところらしい。
【フィナーレ】 4回か、きついな〜。(ころっ)回避、当たり、当たり、当たり……最悪だ……死んでしまうじゃない。
【GM】 ゾンビBは2点、グールAは6点、グールBは5点のダメージを与えたからね。ちなみにグールには麻痺の毒があるので、2回[生命力抵抗]してください。
【フィナーレ】 [生命力抵抗]は成功。でも、生命点、残り少ない……。
【GM】 いや〜、いいな、今回の戦闘は。けっこう、窮地に追い込んでるな。じゃ、そっちの行動。
【フィナーレ】 とりあえず、ドアは開きそうにないからなァ。〈エネルギーボルト〉4倍消費、(ころっ)ゾンビAは10点、ゾンビBにはクリティカル・ヒット17点、グールAにもクリティカル21点、グールBには13点。
【GM】 ゾンビAだけ生き残った。ま、フィナーレの方も残りかなりやばいし、戦闘画面の文字が赤色に変わってるんだろうね。
【牙皇子】 フィナーレがピンチということは、ここで駆けつけると、私はめちゃめちゃカッコいいわけだな。
バン! と扉を開けられる。そこには、後光を背にした私がいて、マントがバサバサとたなびかせている。で、私の顔のアップで来週に続く(笑)。
【GM】 アメコミもびっくりやね、イケてる、イケてる。そんじゃ、ゾンビAの攻撃。フィナーレ、回避してくれ。
【フィナーレ】 けっきょく攻撃受けんのかぃ! (ころっ)3点くらった。残り生命力1点……〈キュアー・ウーンズ〉してェ〜。
【牙皇子】 でも、敏捷度は貴様のほうが高いからな(笑)。
【フィナーレ】 ……〈エネルギーボルト〉ぉ〜(ころっ)11点。
【GM】 ヘロヘロだけど、まだ生きてる。
【牙皇子】 では、ヘビー・メイスで攻撃。(ころっ)ヒット、12点。
【GM】 死んだ。
【フィナーレ】 治して〜、〈キュアー・ウーンズ〉してェ〜。
【牙皇子】 しょうがない奴だな、〈キュアー・ウーンズ〉してやろう。(ころっ)2倍消費で合わせて22点回復したぞ。
【フィナーレ】 ああ、完全回復した。
【牙皇子】 ありがたく思えよ。
【フィナーレ】 はい。感謝します。
【GM】 (ちがう。なにか間違ってる。でも、止められない。私は無力なGM……)
この後、ふたりは城の2階に上がり、廊下を挟んで向かい合わせになっている扉の前までやって来た。片方からはピアノの音が聞こえ、その反対側からは狼の唸り声みたいなものが聞こえてくる。
牙皇子の命令で、フィナーレは狼の声がする方の部屋の扉に〈ハードロック〉をかけ、中のものが出てこれないようにした。
そして、ピアノの音がする部屋の扉を開けた。
【GM】 その部屋では、謎の人影がグランドピアノを弾いてる。そいつは、演奏をやめて立ちあがり、ゆっくりと、そっちへ歩み寄る。ちなみにその人物は、青白い肌に赤い目をしているよ。
【牙皇子】 バンパイアだ。
【フィナーレ】 攻撃態勢になってるの?
【GM】 そう。でも、敏捷度はそっちが高い。
【フィナーレ】 なんかマンネリなんですけど〜、〈エネルギーボルト〉。(ころっ)ダメージ14点。
【牙皇子】 〈ホーリー・ウェポン〉を自分のヘビー・メイスに。ちなみに私は、フィナーレの後ろに位置しているからな。
【GM】 じゃ、こっちね。前にいるフィナーレ、回避してくれ。
【フィナーレ】 (ころっ)おおッ、ガイーン!
【GM】 でも……何でもない……(精神力へのダメージもレベルで止められた)。
【牙皇子】 おっ、弱いぞこいつ(笑)。バンパイアかと思っていたが、どうやらレッサー・バンパイアのようだ。ってことは『邪な土』も何もない。普通に殺してしまえばいいんだ。攻撃しよう。
【GM】 するとそのとき、後ろのドアが「ガンガン!!」って殴られてる音がする(笑)。
【牙皇子】 フッ、やはりな。〈ハードロック〉をかけておいて正解だった。
【GM】 でも、2ラウンドももたないと思うよ、その衝撃を見ていると。
【牙皇子】 では、フィナーレには後ろのドアに注意しておいてもらおう。私はレッサー・バンパイアに攻撃。(ころっ)クリティカル・ヒット。
【GM】 死亡。
【フィナーレ】 弱かった。
この後ふたりは、扉を破って出てきたワー・ウルフを、タコ殴りで成敗した。
冒険者たちは誘拐された吟遊詩人を救出するべく、3階への階段を上がった。その前に現れたのは、ボスの部屋さながらの豪華な扉。ふたりはその扉を開けて中に入った。
【GM】 中には、魔法使い風のお婆さんがひとりいて、その横には、吟遊詩人らしき女の人が閉じ込められている檻がある。お婆さんは「おまえたちの戦いぶりは、この水晶によって、見させてもらったよ。ここまで来るとは──」
【フィナーレ】 〈エネルギーボルト〉〜。(ころっ)クリティカル・ヒット、17点ダメージ。
【牙皇子】 マトックで攻撃、(ころっ)ダメージ13点。
【GM】 うそ?! ──……え〜っと、お婆さんは、「なかなかやるな。今日のところはここまでだ。さらばじゃ!」と言って消えるよ(笑)。
【牙皇子】 ……なんか、どっかで聞いたことのあるパターンだな。
【フィナーレ】 インケンな魔術師ね。GM、同時攻撃ってできる?
【GM】 う〜ん、まあいいだろう。1回だけやらせてあげよう。
【フィナーレ】 〈エネルギーボルト〉、(ころっ)14点のダメージ。
【GM】 ……死んだ。
【牙皇子】 じゃ、死体を漁ってみよう。ひょっとしたら『テレポートの石』とか、見つかるかも知れん。
【GM】 見つかったのは、水晶球がひとつだけ。ちなみに、『遠見の水晶』ってやつね。
【牙皇子】 ほう、こいつは素で〈テレポート〉が唱えられたのか。
【GM】 レベル7だから。
【フィナーレ】 えー!? そんな奴をやっつけたの?
【GM】 ちなみにその遠見の水晶は、あまり威力のないもの。だから、100メートル以内しか見ることができない。
【牙皇子】 いちおう、もらっといてやる。
【フィナーレ】 吟遊詩人を助けよう。
【GM】 吟遊詩人は少し衰弱してたけど、命に別状はない。どうやら、この吟遊詩人の歌は、古の伝説を語る歌であったらしい。その歌詞には、とある儀式のやり方が含まれていて、そのために誘拐されたらしい。
【フィナーレ】 どんな儀式なの? どんな効果なの?
【GM】 それは、この吟遊詩人にもさっぱり分からない。意味もわからずに、歌詞を覚えただけだから。
【牙皇子】 とりあえず、その歌の歌詞を教えてもらおう。
【GM】 吟遊詩人は、フィナーレに勝る美声で、『古の伝説の歌』という歌を歌ってくれた。
【フィナーレ】 あたしにも、その謎の儀式の手掛かりらしきものはわからない?
【GM】 今のところはね。だってレベル7のソーサラーでも、必死こいて探ってたぐらいなんだから。
【牙皇子】 ま、こういうのは、最後の最後になって謎が解ける伏線なんだろうな。
【フィナーレ】 それでェ〜、バードの[楽器演奏]で〜、収入が2倍になる方法を教えてもらいたいな。
【GM】 覚えたよ。しかし、キミがその歌を覚えた頃には、けっこうその歌はメジャーになってて、けっきょく収入はいつもどおりになってしまうんだな(笑)。
【フィナーレ】 な、なんのための苦労だったんだ……。
【GM】 そして、メカリアのサイレント・パブに帰って来たキミたちに、オヤジが声をかけきたよ。「よう、牙皇子。ロスから伝言があるぜ」
【牙皇子】 報告せよ。
【GM】 その内容は──次回のセッションで明かされるであろう!