≪REV / EXIT / FWD≫

§Aphelion〜深遠の使者〜§

オープニングフェイズ

著:真柴悠

−鳥籠の蓋−

――機械神の部品となって、世界を灰色に塗り替えていくのが、仕事だった。
 どんな命令もこなし、仲間と共に幾多の死線をくぐり抜けてきた。
 だが、どれだけ己を捨てても、絶ちきれない感情がある。それを捨てたら自分は本当に人間でなくなってしまう。
 彼女は、目の前に敷かれた道に背を向けた。

【GM】 最初のシーンプレイヤーは、チャンドラです。
【チャンドラ】 おっ、いきなり来た。
【GM】 帝国軍人だった時のことを、ちょっとやりましょう。最後の思い出ですね。
【ティガー】 元帝国兵やったな。
【GM】 あなたは、詰所で一人、物思いにふけってます。
【チャンドラ】 おお。夕日を眺めてる。
【GM】 明日の日替りランチはカレーらしい。
【チャンドラ】 そういう物思いなんや(笑) あ、この時はまだ女の子の格好してるから。
【GM】 了解。では、そこに、あなたの上官であるペルゼン軍曹が入ってきます。作戦会議にでも出てたんでしょう。

ペルゼン軍曹
 「君の心に風の戻る日」登場人物で、普段は著者本人のメインPC。
 ガラの悪い不真面目軍人だが、絡む軍人NPC(中尉含む)が毎回恐ろしい為、可哀想な目にばかり遭っている。いつもゴメンネ(笑)

【チャンドラ】 「お帰りなさい」
【GM】 「よう、まだ残ってたのか」
【チャンドラ】 「うん、ちょっと……」
【GM】 「次の進攻先が決まった。辺境にあるティシュリという村だ」
 そこは、あなたの実家がある村です。
【チャンドラ】 多分、凍り付くよね。「本当ですか?」
【GM】 「なんだよ、辛気くさい顔して」
【チャンドラ】 何も言わない。
【GM】 「なんか理由でもあんのか?」
【チャンドラ】 「いや……気にしないでください」
【GM】 「……まさかイヤだって言い出すんじゃねえだろうな」
【チャンドラ】 あははは(笑)
【ティガー】 読まれてるで〜。
【レイク】 真っ青なんでしょうね〜。
【GM】 あなたの胸ぐらを掴む。「俺たちは兵士だ。皇帝が殺せと言ったら、親だろうと兄弟だろうと殺さなきゃなんねえんだよ!」
【チャンドラ】 ……これ、ペルゼン?(笑)
【レイク】 ペルゼンさんらしくない!
【GM】 劇場版やから。
【ティアナ】 すげー。
【GM】 普通やったら、「まあ飲もうや」で終わるし(笑)
【チャンドラ】 カッコよくなってる(笑)
【ティガー】 中尉が背中に銃を突きつけとるんや。
【GM】 それは必死やで。汗だくだく流して、カンペ見ながら喋ってる。
【ティアナ】 そこはバラしたらあかん(笑)
【GM】 シリアスペルゼンはあなたを突き放し、「……足手まといな部下に用はねぇよ」と言って銃を構えます。銃声と共に、あなたの背後の窓ガラスが割れる。
「行けよ。進攻の指揮官は、カーバッシュ中佐だ。止められるモンなら止めてみな」ニヤリと笑う。
【チャンドラ】 「ありがとうございます!」……で、どうしよっかな。
【GM】 あなたがクエスターだって事は分かってますので。
【ティガー】 ふわーっと降りられるんや。
【チャンドラ】 じゃあ、ペルゼンが開けてくれた窓から外に出る。で、手頃なパンツァーを盗んで。
【GM】 自分のがあるんちゃうかな。
【チャンドラ】 じゃあ、アクセル全開でティシュリに向かう。
【GM】 では、クエストです。『カーバッシュを倒す』
【チャンドラ】 すごいな。
【GM】 ちなみに、このカーバッシュという人物は、あなたが入隊した時から好意的で、別に男女の仲だった訳ではないのですが、あなたもまんざらではなかったという感じで。
【レイク】 おお(笑)
【チャンドラ】 夜も寝んと突っ走るで。
【ティガー】 仲間のことを思い出しながら。
【チャンドラ】 30人ぐらい。あと村の人も100人ぐらい思い出しながら。
【GM】 具体的やな(笑)
【ティガー】 一晩で思い出しきれへんで。
【チャンドラ】 必死で思い出す。
【GM】 考え事しながら。いつの間にか道を間違って、海が見えてくる。
【チャンドラ】 あれ?(笑)

−捨てられ、求められ−

――神々の黄昏と呼ばれた時代から、永き時が流れた。
 彼女にとっては、それほど長い眠りではなかったかもしれない。
 己の存在を必要としたもの、己の存在が意味するものを求めて、彼女は瞳を開いた。

【GM】 では、次はティアナです。あなたは、突然眠りから醒めました。
【ティアナ】 突然なんや。
【GM】 見渡す限りの荒野、自分の周りには、かなりの時を経ている兵器のようなものが散乱しています。廃墟というよりは、戦地だったようです。
【ティアナ】 なるほど。とりあえず、飛び上がってみる。
【GM】 飛び上がりたいんやけど、下半身を、巨大な兵器の間に挟まれています。
【ティアナ】 あらら。
【GM】 幸い自身は損傷していないようですが、動けませんね。
【ティアナ】 それは困った。
【GM】 あなたが覚えているのは、自分の名前と、眠りにつく直前、最後に聞いた言葉。
「ラーズグリーズ、……いや、ティアナ」という呼びかけです。女性の声。
【ティアナ】 ほう。
【GM】 「次に目覚めた時は、私を探すのだ」それだけ思い出した。
【ティアナ】 探す。
【GM】 動けない(笑)
【ティガー】 SOS発信せな。
【GM】 では、目覚めてから、どのくらいの時間が経ったのか、遠くから小さなエンジン音が聞こえてきます。
【ティアナ】 おおー。
【GM】 だんだん近付いてくる。人間ですね。単車に乗ったスーツの男。
【ティアナ】 様子を見る。
【GM】 こっちに来て止まる。
「……ヴァルキリーか。珍しいな」落ち着いた様子で淡々と。
【ティアナ】 「通りすがりの人、助けてください」
【チャンドラ】 あははは(笑)
【ティアナ】 「この瓦礫をどうにかしてもらえませんか?」
【レイク】 いきなりですね(笑)
【GM】 大丈夫。相手は動じない。「私は、こういう者だ」と言って、名刺を渡す。
【チャンドラ】 クールや(笑)
【ティアナ】 受け取った。
【GM】 “ゼネラル=マテリアル社 情報処理部 シークレットサービスマネージャー ジェスター・アクアマリン”
【レイク】 出た!(笑)

ジェスター・アクアマリン
 アクアマリン一族にしてサクセサー。“全てはエレガントに”をモットーに生きるクールなエージェントである。

【ティアナ】 「ジェスター殿、これをどうにかしてほしいのですが」(笑)
【ティガー】 取引開始や。
【GM】 人材発掘も務めの一環やからな。
【ティアナ】 ほんまに発掘やで(笑)
【GM】 「君は空を飛べるのか?」
【ティアナ】 「飛べますけど……」
【GM】 「では、我が社に来るといい。その機動性を生かせば我が社の利益も……いや、君も人の役に立てるだろう」
【チャンドラ】 本音が見えたで(笑)
【ティアナ】 「私の目的が見つかるまでは、協力します」
【GM】 「では、取引は成立だ」ということで、瓦礫の中から救出してくれます。
【ティアナ】 「助かりました」
【GM】 ここでアクアマリンの“銘”を授かったんや。「キミは今日からアクアマリン家の一員だ」
【ティガー】 会社の利益のみならず、アクアマリンの利益までも。
【ティアナ】 抜かりはないで(笑)
【GM】 クエストですね。『自分を造った人物を探す』

−崇高なる勅命−

――再びこの地に人の息吹の戻ることを、誰が信じただろう。
 それを為し遂げたのは、先王の忘れ形見である幼い姫だった。
 彼は誓った。幼い女王の剣となり、盾となることを。
 まだ若すぎるこの国に、己の全てを賭すことを。

【GM】 次はレイクやね。麗しの女王陛下からじきじきに、召集令が出ました。
【レイク】 急ぎ足で向かいます。
【GM】 お城ですね。シンデレラ城なんか想像したらあかんで。長いこと廃虚になってたから、回廊の途中が崩れて草むらになってたり、崩れた壁に蔦が這ってたり。一応、居城としては機能していますが、城下町も殆ど廃虚、周辺の国がその気になって攻めてきたら、ひとたまりもない感じ。
【レイク】 はぁ〜。
【GM】 あなただって、立派な宿舎が与えられている訳じゃなくて、良く言えば自由な生活を強いられてます。
【レイク】 謁見の間に行って、膝を突く。
【GM】 赤絨毯の先の玉座には、まだ小柄な少女である女王陛下のお姿が。
【レイク】 「お呼びでございましょうか」
【GM】 「待っていました、レイク」

女王陛下(ナギ様
 新生ウェストリ王国の若き女王様。神託に従う巫女であり、サクセサーである。
 側近の計らいにより隠蔽されているが、強力な電波体質で過剰なブラコン。それ以外の部分は普通の女の子である(多分)。

【GM】 彼女は14歳の少女で、とてつもなく電波なんやけど、今回は劇場版やから。
【チャンドラ】 劇場版多いな(笑)
【GM】 キャスティングしたはいいが、そのままやったら話が進まん(笑)
【レイク】 どうなんでしょう、“慕情”。
【GM】 14歳から見たら、26はオジサンやろなぁ。
【女王様】 「オジサンナイト呼んじゃった☆」(笑)
【GM】 中身はそんな感じで。
【女王様】 「お兄ちゃんの方がカッコいい」って思ってる。
【GM】 相変わらず電波出しまくりやけど、レイクには通じない。「数日前から、不吉な予感がして止まないのです」
【レイク】 「はぁ」
【GM】 「……闇を従えし魔女。孕むは憎悪。願うは復讐。求むは破壊。そして彼女は全ての代償」
【女王様】 受信した。
【GM】 「魔女に関して分かっていることは、ステラという名と、異形の者を従えているという事です」
【レイク】 異形ですか。
【GM】 「彼女を阻止して下さい。手間取るようなら、淘汰しても構いません」
【レイク】 「かしこまりました」
【GM】 「ティシュリという村へ向かいなさい」
【レイク】 ティシュリねぇ……。
【GM】 小声になって「それから、そこでお土産を買ってきて下さい」
【レイク】 出たー!(笑) 「なんでも、よろしいんですか?」
【GM】 「貴方がよいと思ったもので結構です」
【レイク】 がーん。
【女王様】 難しいで。
【GM】 というわけで、クエストは2つね。『ステラを倒す』と『お土産を買う』。
【レイク】 ステラはともかく、お土産が一番難しそう(笑)
【ティガー】 そっちか!(笑)
【ティアナ】 気に入るかどうか分からへんし。
【レイク】 そうそう。気に入られなかったら、お馬さんの刑になってしまう。
【GM】 「あたくしの馬におなり!」
【レイク】 そうなったら、またカイザーに説教されてしまう。
【GM】 いきなり後ろ向きやな(笑)

−虎王対将軍−

――彼は、多くを望まなかった。
 愛する者の幸福を一番に願い、見知った者とは誰とでも打ち解けられる男だった。
 或いは流転も定められていたのかもしれない。
 生まれついた器は、あるべき場所へとおさまった。

【GM】 最後はティガーですねえ。どっからやる? オムレツ屋に並ぶ?
【ティガー】 並ぶかね(笑)
【GM】 オムレツ通りに堂々オープンの、オムレツ専門店やから。早朝から並んで、3時間待ってようやく入れた。
【ティガー】 ゴールドパスを、ピッと出す。
【GM】 使えるんかな。新しい店やねんけど。
【ティガー】 使われへんかな。じゃあ、普通に1000フィスぐらい払っとくわ。
【GM】 えー!? 国家予算やろ?
【シルヴィア】 税金でまかなうから大丈夫や。
【GM】 ただの私的流用やん(笑)
【ティガー】 宝石が、それしかなかったんや。
【GM】 お釣り、997フィスぐらい?
【ティガー】 「釣りは、いらねぇぜ」
【GM】 「ありがとうございます」
【ティガー】 じゃあ、オムハヤシライスを食った。1軒目制覇。
【GM】 次は、どこ行く?
【ティガー】 腹直し。
【GM】 『憂愁の火蜥蜴(サラマンダー)亭』。
【ティガー】 ……どこ、それ(笑)
【GM】 メイユールの経営する酒場。
【ティガー】 じゃあ、ツケで。
【GM】 石のように硬いオムレツが出てくる。
【ティガー】 食うでー、もちろん。バリバリ言わして。「今日も生きてるぜ」歯がキラーン。
【GM】 歯磨き粉のCMみたいや。
【ティガー】 じゃあ、また1000フィスの宝石を。
【GM】 メイユールやな。「2000にしてよ。テーブルとイス、買い換えたいねん」(笑)
【ティガー】 ちょっとサイフと相談しよ。(ころっ)……うわ、やべ!(←日の丸が出たらしい)やっぱツケで。「後で城の兵士に持って来させるわ」
【GM】 「いーわよ」
【ティガー】 これが2軒目や。3軒目やな(笑)
【GM】 ライバルの店。
【ティガー】 向かいにあるんや。フラフラ〜っと入るでー。もう金ないのに(笑)
【若い時のティガー】 ゴールドパスの使える店に。
【GM】 昔からある店なら使える。「いらっしゃいませ。いつものですね?」
【ティガー】 「いつもので」
【GM】 じゃあ、いつものが出てきた。
【ティガー】 ちょっと迷う。3つ目やから。
【GM】 おいしそうやね〜。香ばしい湯気の立つ、黄色のフカフカが「食え」言うてるねぇ。
【若い時のティガー】 周りの客が「うまい!」とか言うてる(笑)
【ティガー】 じゃあ、しゃあない。気がついたら食ってる。
【GM】 食べ終わった。オムレツの神に感謝。
【レイク】 オムレツの神?(笑)
【ティガー】 黙っときゃバレへんやろ。
【レイク】 せこいー。
【ティガー】 それくらいの知恵はあるからね。じゃあ帰った。門から堂々と入るで。
“2軒しか行ってへんで”って顔で(笑)
【ティアナ】 どんな顔や(笑)
【GM】 回廊を歩いていると、待ち構えていたローレン・アイエロ将軍がやって来て、頭を下げる。それから威圧的な感じで「今日はオムレツ何個食べましたか?」
【チャンドラ】 すごいキャラや(笑)
【ティガー】 「……」(渋い顔のまま、無言で指を3本ビシッと立てる)
【GM】 ぶっ(笑)
【ティアナ】 黙っとく意味がない(笑)
【GM】 将軍の顔が険しくなる。「1日2つまでという約束でしたね」
【ティガー】 じゃあ、身の危険を感じる。
【GM】 「お仕置きです」と将軍が片手を上げると、控えていた二人の兵士が進み出てくる。
【ティガー】 おお(笑)
【GM】 二人の兵士が迫ってくるで。「お覚悟!」
【ティガー】 迫ってくるかね。じゃあ、踵を返す。
【GM】 えーと、敏捷度?(笑)
【ティガー】 反射値があるで。全力移動で30メートルいける。
【GM】 将軍の反射値が分からへん(笑) じゃあ、素早い足を生かして逃げる先には、宝物倉があります。
【ティガー】 行くで〜。
【GM】 宝物倉の扉のすぐ横に、同じくらいの大きさの穴が開いてます。
【ティガー】 お?
【GM】 誰かが入りやすくしてくれたんかなぁ。
【ティガー】 あぁ〜。じゃあ、入る(笑)
【GM】 あなたが飛び込んだ直後に、その穴は音もなく消え、元通りの壁になりました。バタバタと足音。「くそっ、見失ったか!」
【ティガー】 “くそ”言うてる(笑)
【GM】 「陛下の逃げ足にも困ったもんだ」
【チャンドラ】 すごい王様がいてる。
【GM】 クエストはミドルフェイズで渡しますね。
【チャンドラ】 どっかの子供みたいやな(笑)

÷÷ つづく ÷÷
©2005 Haruka Mashiba
▼ もしよろしければ、ご感想をお聞かせください ▼
お名前
ひと言ありましたら
 
≪REV / EXIT / FWD≫