≪REV / EXIT / FWD≫

§銀月の歌:第27話§

脅威の外骨格生物

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ オムレツ仙人との会見の事 ▽ 遺跡の住人の事 ▽ 勇者たちとの共闘の事

オムレツ仙人との会見の事

【キャロット】 ホンマに出てくるし(笑)。
【ファベル】 小屋の中から、ドライアイスとか流れてきそう。
【GM】 流れてくるねぇ、中からモワ〜っと。
 そして、雲の上をスーっと滑るようにして、ウサギ男の腰ぐらいまでの身の丈の老人がひとり、庵の奥から出てきた。
【キャロット】 気持ち悪ぅ! 「妖怪や」って思ってる。
【GM】 老人は、背丈より長い杖を持ち、床まで届きそうな白い髭を蓄えていて、見た目でいかにも仙人っぽい気がするね。
【ファベル】 つい、崇めてしまうかも(笑)。
【GM】 仙人っぽい老人は、供えられた10レベルのオムレツを食べ始めた。
【キャロット】 イヤな生き物や(笑)。
【ファベル】 「これ、本物か?」って。
【GM】 オムレツを食べ終えた老人は、カッと目を見開く。
【ファベル】 おおー! 「お味のほうはいかがでしょう」
【GM】 「うむ。これは、レベル10のオムレツじゃな」
【ファベル】 すげー、鑑定された!
【GM】 「ワシは、オムレツ仙人じゃ。おまえたちは、ワシに会う資格がある」
【キャロット】 ていうか、食べる前から会う機会はあるんちゃうん。オムレツを供えたら、いちおう出てくるから(笑)。
【GM】 お供えがまずかったら、無視してそのまま小屋に戻ってしまうから、ホントに『見るだけ』になってしまうねん。
「まあ、入りたまえ」と、仙人は小屋の中にスーっと移動していった。
【ファベル】 じゃあ、ドライアイスのお宅を訪問。
【GM】 ドライアイスは、もう切れてるから。
 ほの暗い庵は、しんと静まってる。床の間には、紫紺の布をかぶせた台があるよ。
【ファベル】 床の間? なんか、おじいさんの独り暮しって感じやな。独居老人発見(笑)。
【キャロット】 孤独死とかしてそうや。
【GM】 たまに、町中に出没してるらしいけど。
【プレセア】 オムレツ食いに?(笑)
【ファベル】 けっこう名物かも。
【GM】 さて、床の間の台には、1枚の鏡が飾られている。それを挟むようにして、ヌガヘの葉を生けた銀の筒瓶がふたつ、小さな明かりを灯すロウソクが2本、置かれてる。
 そして、鏡の前には、赤いビー玉ぐらいの大きさの玉がひとつ、安置されてるよ。
【プレセア】 おー、すげー、いただき!
「それをください。それが欲しい」って、とりあえず、指をさして言うてみる。
【GM】 「宝玉が欲しいとな? 宝玉は、資格ある者に与えられる。資格ある者は、『天の鍵』『天の心』『天の衣』のいずれかを、手にしているはずじゃ」
【キャロット】 「あ、持ってる、持ってる!」
【プレセア】 「それ見たことか」って、『天の心』を見せてあげる。
【ファベル】 この女、なんでこんなに偉そうなん?(笑)
【GM】 「資格を持ってしまってるんなら、しかたあるまいな。赤の宝玉を、そなたたちに与えよう」
【ファベル】 めっちゃ、しぶしぶや。
【GM】 「いやいや。オムレツ作りがうまい者に、悪い輩はおらんしの」
【プレセア】 うん、いてへん、いてへん。大丈夫。
【ファベル】 『うん』て。
【キャロット】 本人が言うとなぁ。どうもな……。
【プレセア】 そんなに悪いことしてきてるつもりはないねんけどなぁ。
【ファベル】 『つもり』はそうかも知れんけど、実際はどうかわからんで(笑)。
【GM】 赤い玉がいるのなら、アイテム欄に書いとき。いらんのなら、書かんでもいいけど。
【プレセア】 じゃあ、書いとく。
【GM】 オムレツ仙人は、「それが、そなたらの望みか? ならば、用はすんだな」と言う。
【プレセア】 「いや、これはついでなんやけど」(笑)
 じゃあ、本題に入ろうか。ここまでの経緯と、事情を全部説明するよ。
【キャロット】 「――で、藁にすがってみてんけど」
【GM】 「ワシが藁じゃと?」
【キャロット】 「そうそう」
【GM】 オムレツ仙人はすねて、そっぽを向く。
【キャロット】 「かわいくないよ?」(笑)
【ファベル】 追い討ちや。
【GM】 「なんじゃ、このウサギ男は。本物のウサギに変えてやろうか?」と、仙人。
【キャロット】 めっちゃ喜ぶ。自分がウサギになったとこ想像して、ぽわ〜ってなってる。
【ファベル】 今はアカンよ。いちおう、戦力やのに。仕事終わって、ハッピーエンドやったら、変えてもらい。
【キャロット】 じゃあ、ミッション終了したら、またここに来るわ。あ、もこもこで、ふかふかなのにしてね。メルヘンなウサギになるのが目標。
【GM】 「なんで注文されんとならんのじゃ! さっさと帰れ!」と、仙人は言うてるよ。
【プレセア】 じゃあ、ヨイショしとこか。「藁は藁でも、これは、長者へと繋がる大事な一歩目の藁なんやで」って。
【GM】 (わらしべ長者?)
【キャロット】 「今は藁やと思われてるけども、ボアに行けたら、藁じゃないって思われるんやで」
【ファベル】 ヨイショしてんの、それ?(笑)
「とりあえず、ボアに送って欲しい」
【GM】 「送ることは、ワシにはムリじゃが――」
【キャロット】 「やっぱり藁じゃない。藁以下や」
【プレセア】 『ムリじゃが』の続きは?
【GM】 「もう、教えてやんない」
【ファベル】 あ〜。ウサギを殴る。背が高いから、みぞおちを殴ってやる。
【プレセア】 ウサギを後ろから蹴ってあげる。膝カックンもやってあげる。
【ファベル】 なにげにリンチや(笑)。
【キャロット】 「耳はダメ!」って、ウサ耳しか守ってへんで。
【ファベル】 めっちゃ無防備や。
【GM】 「ワシが送ることはできん。が、この辺りに、ボア近くへ行く転移の魔法陣が残されておるから、それを使えばよい」と、オムレツ仙人は言った。
【プレセア】 その魔法陣は、どこにあるの?
【GM】 「ここから1日行ったところに、古き建造物がある。その地下奥じゃ」
【プレセア】 ほう。
【GM】 「ちなみに、それは、ワシと、ワシの仲間で作った建物の跡なんじゃがな」と、ちょっと自慢そう。
【キャロット】 「オムレツくさそう」って思ってる。
【ファベル】 合掌造りやったっけ? そんなんを想像してる。
【GM】 「月へ行く船を築いたのも、ワシらじゃぞ」
【プレセア】 おお、すげえ。「ちなみに、その中で、あなたはどんな仕事したん?」
【GM】 まかないやね。
【プレセア】 ほう、地味に重要な役割やったんや。
【GM】 「朝飯、昼飯、晩飯を作るのが、ワシの仕事じゃった。オムレツ、オムライス、オムソバなど――」
【キャロット】 ちょっと待てよ!(笑) ……よう耐えたな、みんな。
【GM】 そのせいか、月へ行く船は、オムレツの形を成してるという噂。
【キャロット】 あー、ティガーが喜びそう。というか、奴だけ大喜び。
【GM】 噂が真実なら、シルヴィアとメイユールの額には、縦線が入るやろね。
【ファベル】 「行きたくねぇ」って。
【プレセア】 「オムレツに似てると思うな!」って、自分に言い聞かせるしかない。
【GM】 宇宙服は、顔や手足を出す穴が開けられた、オムレツの着ぐるみやったりして。
【キャロット】 それって、宇宙服? 穴が開いてるのに(笑)。
【プレセア】 で、その転移の遺跡に、危険はないの?
【GM】 「安全の保障はないのう。全然、管理しとらんから」
【プレセア】 転移の魔法陣は、簡単に使えるわけ?
【GM】 「簡単じゃ。魔法陣の上に立って、古代語で『ルーラ』と合言葉を言えば、あっという間に向こうの魔法陣に移動する」
【プレセア】 天井で頭を打ちそうな合言葉やな。
【GM】 遺跡の中やしね。
「転移の魔法陣には青い光が渦まいておるはずじゃから、見ればすぐにわかるじゃろう」
【プレセア】 じゃあ、とっととその遺跡に行きますか。
【ファベル】 行っちゃいましょう。
【GM】 では、キミたちは仙人との名残を振り切って、その遺跡へ向かうわけやね。
【ファベル】 「バイバイ、元気でね」
【キャロット】 「たぶん、もう来ないよ」
【ファベル】 キミは、ウサギにしてもらうんとちゃうん?
【キャロット】 あ、ホンマや。そんときは、ティガーを連れて来よう。
【ファベル】 ……変な輪ができつつあるな……。
【プレセア】 「この旅が無事に終わったら、また、オムレツを作りに来たるかも知れん」って言うとく。
【GM】 「うむ。待っておるぞ、レベル10のオムレツをのう」

 翌日、冒険者たちはオムレツ仙人に教えられた遺跡に到着した。それは、古びた石造りの建造物だった。
 冒険者たちは、遺跡に入った。
 ほぼ一本道の通路が続き、迷うことはなさそうだ。通路は広く、馬を引いて通ることができる。

遺跡の住人の事

【GM】 やがて、広い空間に出たよ。
 太い柱が何本も立ち並び、はるか高い天井を支えている。そこかしこに、台座の上で杖を掲げ祈るような姿をした女性の彫像が並び、ベンチが何脚も置かれてる。
 向こうに、さらに奥へ続く通路の入口が見えるよ。
【ファベル】 進む。行きます、行きます。
【GM】 キミたちが広間の半ばに差しかかったとき、柱や石像の陰から、人型の変な生き物が18体ほど踊り出た!
 キミたちは、その謎の生物たちに取り囲まれてしまってる。
【ファベル】 どんな生き物なん?
【GM】 基本的には人の形。でも、首がなくて、胸のところにタラコ唇な顔がある。眉根を寄せて困ってるような表情に見えるけど、たぶん、それが素の表情やと思う。
【プレセア】 なんか、懐かしげな感じがする。
【キャロット】 懐かしげ? ……あ、前にそんなのいたかも。
【プレセア】 ビビりの奴ら。
【ファベル】 でも、私らはそれを知らん。
【GM】 キミたちがそいつの正体を知りたいのなら、知性度で1レベルのセービング・ロールに成功してください。
【ファベル】 (ころっ)出てない。
【プレセア】 (ころっ)……足りた。出てる。
【キャロット】 (ころっ)出た!
【GM】 なら、それはチロカニントという魔法生物だとわかったね。古代の魔術師たちの魔法によって生み出された生物です。
【キャロット】 ど○も君みたいな形の奴ちゃうん。
【ファベル】 ど○も君のリアル版(笑)。
【キャロット】 気持ち悪っ(笑)。ホンマに何考えて作ったんやろ、こんなん。
【GM】 もともとは、戦闘の兵士として作り出されたらしい。
【キャロット】 大失敗やん。
【GM】 そう。戦闘用だから、たしかに力は強い。だけど、めちゃくちゃ気が弱い。そういうわけで、実用化されずに地下に捨てられた。
 現在、レムリア大陸にいるチロカニントは、そいつらの子孫。地底で繁殖して、地下に町を築いて暮してるようです。
 ちなみに気は弱いけど、キレたらめちゃくちゃ怖いよ。あまり追い詰めるのは、賢くない。
【ファベル】 それが18匹? 多いなぁ。
【キャロット】 というか、きしょいな〜。
【プレセア】 取り囲まれたん?
【GM】 そう。そして、キミたちは捕まってしまった。
【プレセア】 ありゃ。「なにすんねん」って言うてみる。
【GM】 「生贄にするんですよ」と、チロカニントの1匹が答える。
【キャロット】 「するんじゃないですよ!」ばちこ〜ん!(笑)
【プレセア】 「何の生贄や?」
【GM】 「もちろん、儀式ですよ。恐ろしいアリンコを追い出すための儀式を、やってみようと思うんですよ」
【プレセア】 アリンコ?
【GM】 そう。でか〜いアリ。
【キャロット】 「おまえらよりでかい?」って聞く。
【GM】 2メートルちょっとぐらい。
【キャロット】 きもっ!
【GM】 ちょうど、そこのウサギ男が横に寝たぐらいの大きさやね。
【プレセア】 耳が触覚みたいな感じ。
【キャロット】 ああ、俺、アリ! 白アリ! ふかふかのアリ。
【プレセア】 「その巨大アリって、何匹ぐらいいるの?」
【GM】 「たくさん」
【キャロット】 「おまえらより多い?」
【GM】 「多かったと思うよ」
【ファベル】 「強い?」
【GM】 「怖い」
【キャロット】 『怖い』? 戦ったことはないの?
【GM】 「怖いですもん」
【ファベル】 いや、キミらのほうが強いと思うねんけどな。
【GM】 「そのアリたちに住処を取られちゃったから、取り戻そうと……」
【ファベル】 キミらなら、拳で取り返せるでしょ(笑)。
【キャロット】 そういうときに逆ギレしようや。
【GM】 だって、アリンコ怖いもん。触覚がひょこひょこ動いてるし、顎がギシギシいうてるし、だいたい、足が6本あるのが許せない。
【キャロット】 あー、手が2本足りひん。マネしようって思ったのに。
【GM】 「そういうわけで、ちょっと神様にお祈りしてみようと思うんですよ」
【キャロット】 「いんの、神様?」
【GM】 「とりあえず、『マキホント』っていう神様を作ってみたんですが」
【キャロット】 『作ってみた』って、そんなん効くかー!(笑)
【ファベル】 新興宗教や。
【GM】 そんなことを言ってるうちに、キミたちとキミらの愛馬は、現在チロカニントたちが住んでる空間に連れてこられた。
【ファベル】 牛も連れて来られた?
【GM】 遺跡に連れて入ってたんやから、一緒に捕まってるやろね。
 体育館の避難生活みたいに、広〜いところで、大きいのやら小さいのやら、多数のチロカニントが身を寄せ合って暮してるようやね。
【プレセア】 難民キャンプや。
【GM】 チロカニントたちは、世にも珍しい生き物であるキミたちを、遠巻きに見ている。
【キャロット】 そっちのほうが、よっぽど珍しいわ。
【GM】 キミたちは、長老の前に連れ出されたよ。長老の背後には、大きな石像が立ってる。
【キャロット】 それ、新興宗教?
【GM】 うん。虎の胴体と前足、カエルの後ろ足、キツネの尻尾がくっついた動物で、顔は鹿やね。
【キャロット】 気持ち悪ぅ。なんか、すごい弱そうや。鹿って逃げてくやん。
【GM】 でも、すごい芸術的な作品やで。チロカニントの手先は非常に器用で、芸術的センスもそうとう秀でてるらしいから。
【キャロット】 それ、全然、戦闘マシーンちゃうやん(笑)。
【GM】 「ようこそおいでくださった、生贄どの」と、長老は言った。
【プレセア】 「生贄ちゃうねん」
【GM】 「わしらの住処を取り戻すために、あなた方の協力を得られるとは、これほど嬉しいことはありませぬ」
【キャロット】 聞けぇー! 耳どこにあるんか知らんけど、ひとの話を聞け!
「外に出たらさ、別の動物がいっぱいいるから、それを生贄にしろよ」
【GM】 この辺の動物は、だいたい試したよ。でも、効果がなかってん。
【ファベル】 そりゃあ、ないやろな。
【GM】 そんなとき、キミたちがのこのこ現れた。
【キャロット】 俺らでも、効果ないって。
【GM】 「いや、神のお告げを聞いたんですよ」と、長老はウサギを見ながら言う。
「『この地に、ウサギ耳のエルフが現れる。それを生贄にしてみろ』と」
【キャロット】 それ、今考えたやろ、今!(笑)
【ファベル】 今、聞いたやろ、その声(笑)。
【プレセア】 作りながらしゃべってるねんで(笑)。
【キャロット】 とりあえず、しばき入れとこ。
【ファベル】 ここに長時間おったら、影響されて、変な考えするようになるかも……。
【キャロット】 うん、この村はイヤだな。
【プレセア】 「違う協力なら、してやらんこともない」って、長老に言うてあげよう。
【GM】 「――と、いいますと?」
【キャロット】 アリの首を飛ばすとか、飛ばすとか、飛ばすとか?
【プレセア】 うん。住処を取り戻したらええねやろ? アリを追い払ったらええねん。
【ファベル】 そのアリってさ、普通に生きてるだけ? ただ、大きいってだけ?
【GM】 そうやね、アリは自然のままに生きてる。
【キャロット】 襲ってきたりはせえへんの?
【GM】 いや、襲われたよ。奴らは貪欲やから。住処に巨大アリが現れたとき、2体のチロカニントが犠牲になってしまった。
【キャロット】 こいつら、食えるんや。
【ファベル】 まずそ〜。胃、壊すで、こんなん。
【キャロット】 アリも最終手段って感じやな。
【GM】 見境がないだけ。金属を食う奴だっているらしいし。
【プレセア】 それで、チロカニントたちは逃げてきたんやな。
【GM】 そう。
【プレセア】 「ところで、この遺跡にワープゾーンがある、って聞いて来たんやけど」って、長老に事情を説明して、質問してみる。
「何か、心当たりはない?」
【GM】 「光渦巻く魔法陣ですか……。そういえば、わしらの住処から、さらに奥へ行ったところに、そういうものがありました」と、長老は答えた。
「あれは、ワープする装置でしたか。そこに、アリンコたちを押し込んだら――」
【キャロット】 「ダメ」
【プレセア】 グラランボンバーとは違う混乱が起きる。
【GM】 どのみち、乗っかるだけじゃアカンねんけどね。アリは合言葉を言えへんから。
【プレセア】 『ルーラ』って言わなアカンもんな。
【キャロット】 ああ、そうか。
【ファベル】 ギャグとして覚えてた(笑)。
【プレセア】 とりあえず、チロカニントの住処の奥に魔法陣があるんなら、そこへ向かうしかないで。サーチ・アンド・デストロイで。
【ファベル】 怖い、怖い(笑)。

勇者たちとの共闘の事

【プレセア】 まあ、全滅させるんは、さすがにムリかも知れんけど。めちゃめちゃいっぱいおるはずやで。
【ファベル】 アリやからな〜。根絶やしはムリやろ。
【プレセア】 だから、女王アリを狙うしかない。
【キャロット】 そうや、そうや。んで、卵を燃やしてしまえば、もう増えない。
【ファベル】 そこに行くまでが問題。
【キャロット】 アリのコスプレをして行こうかな。
【ファベル】 イヤや〜(笑)。
【プレセア】 コスプレはともかく、行くしかない。チロカニントたちに、「手伝え」って言ってあげよう。
「アリンコ退治を手伝いなさい」
【キャロット】 「おまえらの巣やろ。手伝わんかったら、通り道のアリンコしか退治せえへんぞ」って言う。
【GM】 手伝ったら、その他のアリもやっつけてくれるんやね?
【プレセア】 うん。手伝うなら、そうしてあげんこともない。
【GM】 チロカニントの男たちは、顔を寄せ合って相談し始めた。
【ファベル】 きもい、きもい(笑)。
【キャロット】 「だいたい、おまえらきもいねん」って言う(笑)。
【GM】 1匹が「おまえに言われたくねーよ!」と言い返して、さっと仲間の陰に隠れた。もう、見分けがつかない……。
 そして、チロカニントの中でもとくに勇敢な8人が、同行に名乗り出た。8人の勇者やね。
 左から、マッポ、トッポ、ノッポ、チッポ、コッポ――。
【ファベル】 ――もう、ムリ(笑)。
【GM】 名前も覚えてもらわれへんねんね。
【キャロット】 うん。なんか、適当な8人で。勇者A、B、C。
【プレセア】 じゃあ、行こか。馬たちは、ここで預かってもらっとこう。
【キャロット】 銀次は預けとく。チョビは連れて行く。

 冒険者と8人の勇者たちは、難民キャンプから、奥へ続く通路に足を踏み入れた。通路は、円を描くゆるいスロープで、徐々に地下へと降りていく。
 やがて、壁や床の一部が崩れて、大きな穴があいている箇所に出た。巨大アリのしわざだ。

【GM】 床には石材の破片とか、流れ出た土砂とかが散乱してるね。ちなみにその穴のあいた壁の対面にも、同じように穴があいてる。アリたちによって、十字路された感じ。
【プレセア】 じゃあ、8人の勇者たちには、右手の穴から入ってもらおか。
【GM】 手分けすんの? すっかりキミらをあてにしてたチロカニントたちは、尻ごみして、誰が先頭に立つかもめはじめた。
【キャロット】 「もう、うっとい!」ばしっ!
【GM】 ウサギ男に急き立てられて、8人の勇者は右手の穴に消えていった。
【ファベル】 キミら絶対に強いんやから、がんばってね。
【GM】 で、キミたちのほうはどうすんのかな?
【プレセア】 通路はまだ奥に行ける?
【GM】 行けそうやね。
【プレセア】 じゃあ、行こう。
【GM】 通路はずっと右にカーブしたまま、地下に向かう。
 しばらく進むと、左手の壁と床の一部が食い破られてる箇所がある。
【ファベル】 この遺跡、ボコボコやん(笑)。
【キャロット】 きっと、オムレツ味やから。
【GM】 では、誰か2Dを振って、出目を教えて。
【ファベル】 じゃあ、ずっといい目ばかり振るウサギに頼む。
【プレセア】 結果によっては恨むから。
【キャロット】 え〜? (ころっ)
【GM】 その出目なら、異変が起きるね。
 キミたちが来たほうから、「どしゃ! ズササー」という、ものすごい音が響いてきた。
【キャロット】 見に行ってみる。
【GM】 すると、通路が、崩れた石材や土砂で埋まってしまっていた。天井が崩れたように思える。
【プレセア】 ありゃ。
【ファベル】 帰られへん。
【GM】 そして、ランタンの明かりに照らされる土砂が、もこもこと蠢く。
 誰か、1D振ってみて――その出目なら、体長2メートルの巨大なアリが、1匹出てきたよ。たぶん、こいつが天井を食い破ってしまったんでしょう。
【キャロット】 穴掘り中やったんか。
【GM】 巨大アリは、餌になりそうな生物の臭いを感じ取り、恐ろしげな顎をギシギシいわせてる。
【プレセア】 じゃあ、迎撃準備する。
【キャロット】 デストロイ、潰しちゃえ。
【GM】 それじゃ、ヒットを出してください。
【キャロット】 (ころっ)20。
【ファベル】 (ころっ)28。
【プレセア】 (ころっ)22やな……何か、間違うてるんかな?
【キャロット】 武器変えたん?
【プレセア】 んーん、前のままやけど……あっ、個人修正を足すの忘れてた。ヒットは37。
【GM】 (ぽちっ)どっちでも関係ねーです。戦闘、終わり。巨大アリは、ぶちゅっと潰れた。あっという間やね(笑)。
【キャロット】 弱〜(笑)。
【GM】 1対3では、勝負にならんよ。
【プレセア】 戻れなくなったな。通路を先へ進むか、壁の穴に入るか。
【ファベル】 とりあえず、通路を行ってみる。
【GM】 しばらく行くと、通路は土砂に埋まっていた。やはり、アリが天井を食い破ったのが、原因みたいやね。
【ファベル】 しゃあない。さっきの横穴から、アリの巣に入るしかない。
【プレセア】 遺跡のどこかにつながってるかも知れへんし。
【キャロット】 女王アリとかいそうやな。
【プレセア】 そんときは、そいつがボスや。倒せば終わる(笑)。
【ファベル】 じゃあ、アリの巣探索に行くぞ。「おじゃましま〜す」
【GM】 では、キミたちはアリの巣に入りました。巨大アリが掘った穴、それはやっぱり大きくて広い。
 幅、高さともに4メートル近くあり、先ほど見たアリンコなら、3匹ぐらい並べそう。もちろん、キミたち3人も、並んで武器を振るえそうな感じやね。

 アリの巣は道が枝分かれして、複雑に入り組んだ迷路のよう。
 冒険者たちは、ヘタにあっちこっち行かずに、常に左の壁をなぞる方法で、アリの巣の中を進んでいった。
 途中、巨大アリとのランダム・エンカウントもなく――。

【GM】 キミたちは、すごい広い空間に出たよ。
【ファベル】 おっ、居住区か?
【キャロット】 何かおる?
【GM】 おるよ。
【キャロット】 女王アリ?
【GM】 そう見える。
【キャロット】 いきなり出たんや(笑)。
【ファベル】 運がいいのか、悪いのか……。
【GM】 女王の頭と胸部は普通の巨大アリと変わらないけど、腹部は長さ10メートルにも及び、白くてぶよぶよしてる。卵がびっちり詰まってるんやね。
【キャロット】 きっしょ〜!
【GM】 そして、女王を護衛する戦闘アリが2匹いる。
【ファベル】 働きアリとは違うの?
【GM】 さっき戦った巨大アリより、ずっと強そうに見える。戦闘に特化するために、こいつらの餌は、通常のものとは異なってるそうやから。金属を食うらしいよ。
【プレセア】 鉄分を補給してるんや。
【GM】 戦闘アリは、ひょいっと入ってきたキミたちに、問答無用で襲いかかる。
【キャロット】 襲い返すよ。
【GM】 では、ヒットを出し合いましょう。戦闘アリたちは、能力値表記のモンスターやからね。なめてかかったらアカンよ。
【キャロット】 (ころっ)あっ、ヘボ! 12。
【ファベル】 (ころっ)23。
【プレセア】 (ころっ)34か。
【GM】 (ころっ)では、キミたち3人に28点のダメージが行くので、これを3人で分けてください。10点、9点、9点という配分になるね。
 引き受けたダメージの数値から、防御点分の数値を差し引いたものが、耐久度への実ダメージになります。
 なので、耐久度や防御力が高いひとが、いちばん大きいダメージを受けるのがいいよね。
【ファベル】 私は耐久度14で、防御点14。
【キャロット】 ウサギは耐久度10。防御点9ってなってる。
【プレセア】 耐久度15で、防御点8。
【ファベル】 んじゃ、私がいちばんでかいの受けるわ。
【GM】 では、プレセア・アクアマリンの耐久度に、1点のダメージがいった。
【ファベル】 けっこう強いぞ、こいつら。
【GM】 だって、アリの巣に入っていきなりやけど、これはボス戦やもん(笑)。
 では、第2戦闘ターンやけど、この続きはまた後ほど。

÷÷ つづく ÷÷
©2007 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2007 Jun Hayashida
Map ©2007 Moyo
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