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§狂信者たちの宴:第5話§

宝物庫のネズミ

著:林田ジュン イラスト:りょこ
▽ スクロール泥棒 ▽ 汚職警備兵 ▽ ナイトゴーグルゲットだぜ!

スクロール泥棒

【ネイビー】 「そういえばウル、あんた今回のキャンペーンではテロリストを目指すんやろ?」
【ウル】 「うん。じゃあどっかに火をつけにいく」
【ネイビー】 「それじゃあただの放火魔やん」
【ウル】 「だって爆弾とか持ってないから放火くらいしかないやん」
【トウキ】 「そりゃそうだけどさ」
【ウル】 「でも放火は見つかると怖いから、シルファス神殿の壁に落書きしてくる。……でもシルファスに怒られそうだから、やっぱクートラ神殿にしよう」
【トウキ】 「何それ!」
【ウル】 「ネイビー参上って書こう(笑)」
【GM】 「あのなぁ。君らがそんなことをして遊んでると、シュバルツがやって来るよ。『兄ちゃんが呼んでるんだけど』」
【ウル】 「『待てよ。これ書いてるんだから』……落書きアーティストやねん」
【キロロ】 「アーティストなのか? それ」
【トウキ】 「落書きなんかもういいから、行くよ。ウィルが呼んでる」
【ウル】 「ちぇっ。しょーがない」
【トウキ】 「じゃあクートラ神殿に入って、ウィルの部屋まで行くよ。『何の用事?』」
【GM】 「すると、ふかふかのソファーに座ったウィルが君たちを出迎えて、開口一番にこう言うよ。『この神殿の宝物庫にディメンジョンゲートのスクロールがあるのは知ってるか?』」
【ウル】 「何それ」
【ネイビー】 「どこでもドアみたいな機能の魔法だよ」
【GM】 「うん。で、ウィルの話では、それが昨日盗まれたらしい。そこでウィルは立ち上がって叫ぶんやけど、『俺の神殿から物を盗むなんていい度胸じゃないか! そんな素敵な奴に俺は会ってみたい!』ってことやねん。分かる?」
【ネイビー】 「分かるかーーーー!」
【GM】 「『だからさ、とにかく俺はその犯人に会って、度胸を誉めてやりたいんだよ。んで、ついでに俺様の下僕(クートラ信者)にしてやりてぇんだよ。ああ、でも宗教勧誘面倒くせぇから、お前らでクートラに勧誘してから連れて来てくれ。まぁ、相手がすでにクートラ教徒だった場合は連れてくるだけでいいけどな』」
【トウキ】 「まためちゃくちゃなことを言ってるよ、この人は」
【ネイビー】 「ということは、犯人に危害を加えるなってことか」
【ウル】 「何かそんな依頼ばっかりだな」
【GM】 「だって、ダークプリーストに殺人なんか頼んでも面白くないもん」
【ウル】 「あ、ところで、前回の話の続きなんだけど、エリアは妹の体で生き返ったの?」
【GM】 「うん」
【ウル】 「妹の体だってことには気付いてない?」
【GM】 「今はね」
【ウル】 「言っちゃおうか?」
【GM】 「そんなことしたらウィルに殺されるぞ」
【ウル】 「言ったら駄目ってことは、書くのはいいんだな。壁に書こうか」
【ネイビー】 「命知らずな」
【ウル】 「『汝のしたいようになすがよい』」
【ネイビー】 「それ、クートラやん。お前はザンナール教徒やろ」
【GM】 「書くのは止めないよ。後でどうなっても知らんがな。それで、さっきのウィルの台詞の続きなんだけど、『実は昨日、宝物庫に入った人間が5人いるわけだ』」
【ネイビー】 「その中の誰かってことか」
【GM】 「まだ容疑者でしかないけどね。一人はカイン。ウィルの友達です」
【ウル】 「そんな奴、友達やめろよ」
【キロロ】 「つーか、カインは何をしに入ったんだ?」
【GM】 「カインはオレンブルクの警備兵やねんけど、実はクートラファンやねん」
【キロロ】 「ファンって、何それ」
【GM】 「信者じゃないけど憧れてるねん、かっこいいなぁって。で、昨日ウィルに会いに来たついでに、宝物庫が見たいって言ったから中に入れたらしいよ。
それで残り4人は、裏世界の商人ナザレとその弟子ルカ、ウィルの部下のリューク、生き返ったばっかりのエリア。この中で女はルカとエリアで、異種族はリュークだけでハーフエルフね。ちなみに、クートラ信者もリュークだけ」
【ウル】 「(聞いてない)壁にウィルの似顔絵書いていい?」
【GM】 「まだやってたのかよ、お前」
【ウル】 「芸術に目覚めた」
【ネイビー】 「知るかよ(笑)。
 それで、その5人ってどこにいるの? エリアは神殿内にいるやんな?」
【GM】 「リュークも神殿にいるね。ナザレとルカは店で、カインは高級住宅地に住んでる」
【ネイビー】 「ところでこの5人が宝物庫に入ったって言う証人はいるの?」
【GM】 「いるよ。宝物庫の前に見張りがいるから。もちろん、5人以外にウィルも入ってるぞ。カインと、商人達と一緒に」
【ネイビー】 「じゃあ犯人はウィルや(即答)」
【トウキ】 「その見張りは信用できるのか?」
【GM】 「疑いたいならどうぞ。名前はクロウ。人間、男」
【トウキ】 「まぁ、一人ずつ話を聞いていこうか」
【ネイビー】 「じゃあエリアから会いに行こう。部屋は分かる?」
【GM】 「分かるよ。神殿で2番目に広い個室をもらってる」
【ウル】 「どうせ1番はウィルだろう。エリアの部屋に入ります」
【GM】 「入ったらエリアがいて、鏡を見てるよ」
【ネイビー】 「ちぃッ、ナルシストめ(笑)。ちょっとライバル意識」
【トウキ】 「『何してるんだ?』」
【GM】 「『何かね、体の具合が今までと違うのよ』」
【ネイビー】 「はぁん、そういうことね。『知らないほくろが増えてたりするんでしょ?(笑)』」
【GM】 「『ほくろ? 何のこと?』」
【ウル】 「本当のこと言ったらどうなるかな」
【トウキ】 「ウィルに殺されるからやめろよ」
【ウル】 「そうだ、エリアに、リナのことどう思ってるか聞いてみよう。『妹、好き?』」
【GM】 「別に嫌いじゃないみたいだよ」
【ネイビー】 「『死んだらどう思う?』」
【GM】 「『そりゃあ悲しいわよ』」
【ネイビー】 「……にやり(笑)」
【ウル】 「『もし妹が殺されたら、犯人のことどう思う?』」
【GM】 「『そんなの超腹立つ〜』」
【ウル】 「それだけ? つーか、なんか口調がコギャルっぽいんですけど」
【キロロ】 「だめー! あたしのキャラ取らないでー!」
【ウル】 「クートラ関係者ってまともな奴いないのかよ(笑)」
【ネイビー】 「それで本題に戻るけど、どうやって聞き出せばいいんだろうね」
【トウキ】 「素直に聞く? スクロール知らない? って」
【ウル】 「それはやめよう。『どこか遠くに行きたいと思ったことはないか?』」
【ネイビー】 「遠まわしすぎないか?」
【GM】 「それは精神的に? それとも物理的に? ちなみに精神的にだと、頭イっちゃうってことっぽいな」
【ウル】 「物理的に(笑)。『旅行とか好き?』」
【GM】 「『あんまり好きじゃない』」
【ウル】 「ってことは目的地まで時間かけて行くのは嫌いなタイプだな。怪しいかも、こいつ」
【ネイビー】 「『ところであんた、昨日宝物庫に何しに入ってたのよ』」
【GM】 「『見てたの? 何でもいいじゃん』」
【ネイビー】 「『教えなさいよ』」
【キロロ】 「何かネイビー、お母さんみたい」
【トウキ】 「『魔法のスクロールとかって好き? 使ってみたいと思う?』」
【GM】 「そういうのには興味なさそうだよ」
【ウル】 「そうなの? じゃあ盗まないよな。あ、でも売ったら金になるか」
【トウキ】 「『お金ほしい?』」
【GM】 「『お金大好きー!』」

汚職警備兵

【キロロ】 「だったらわざわざスクロールなんか盗まなくてももっと他にいいものがあると思うなー。エリアは違うかもよ」

【トウキ】 「じゃあ次はナザレのところに行く」
【GM】 「ナザレ? 彼の店は、スラム街の大通りに面した路地裏にあるよ。結構怪しげな雰囲気のところ」
【ネイビー】 「ナザレってどんな人? おっさん?」
【GM】 「うん。50代前半ってとこかな」
【ネイビー】 「ダンディー?」
【GM】 「どちらかというと。見た目はアラブ系の渋い感じやね」
【ネイビー】 「ほほう、いいですなぁ」
【ウル】 「ところでここって何売ってんの?」
【GM】 「表向きは生活雑貨。裏はわかんないけど」
【ネイビー】 「『ディメンジョンゲートのスクロール、ある?』」
【GM】 「『それはうちでは取り扱ってませんな。見てのとおり、雑貨屋なんでね』」
【ネイビー】 「むぅ。あ、そうだ、ルカいる?」
【GM】 「弟子らしいのは3人いるけど? 女2人に男1人」
【ウル】 「どれがルカか分かる?」
【GM】 「じゃあ特徴はウィルから聞いてたことでいいや。赤毛のショートカットの女の子。見たらすぐに分かるよ」
【ネイビー】 「近づいて『ちょっと顔貸しなさいよ』って言ってみる」
【GM】 「『何だよ』」
【ネイビー】 「あ、男口調や。いきがちゃって、か・わ・い・い☆」
【トウキ】 「げーーーっ! ネイビー最悪! 鳥肌立った、今! ぞわって来た!」
【ウル】 「近寄んな、おかまーー!」
【ネイビー】 「(動じず)で、何て聞こうか」
【ウル】 「さっきと同じでいいやん。『どっか遠くへ行きたいと思わないか?』」
【GM】 「『思わねぇよ、ばか!』」
【トウキ】 「他の聞き方考えたほうがいいと思うぞ?」
【ネイビー】 「とりあえず全員に当たってみようよ」
【キロロ】 「でも全員にはぐらかされそうだよ」
【トウキ】 「あ、でも、ナザレとルカって昨日何しに来たの? 僕らがクートラ関係者だって明かして聞いてみる」
【GM】 「正体明かしたのね? なら、ナザレが答えよう。この店、裏ではマジックアイテムの取引をやってて、昨日はクートラ神殿までものを売りに行ったわけ。で、ウィルが、珍しいものを欲しがったから、宝物庫にないものを売るためにちょっと中を覗かせてもらったらしい」
【トウキ】 「ふぅん。『それで結局何を売ったの?』」
【GM】 「『ナイトゴーグルって知ってるか? 暗視ができる眼鏡だよ。あの暗黒司祭様はたいそう気に入っていたよ』」
【ウル】 「なるほど。覗きに最適だね」
【ネイビー】 「ウィルならやりそう」
【キロロ】 「誰の部屋を覗くのかしら(笑)」
【GM】 「エリアか?」
【トウキ】 「恋人なんでしょ? なら堂々と入っていけばいいやん」
【ウル】 「のぞきが趣味やねん」
【GM】 「そんなクートラ最高司祭、嫌じゃ!」
【ウル】 「じゃあ、のぞきが趣味ってことで片付けて」
【GM】 「片付けないでください」
【ウル】 「次はカインに会いに行こう」

【GM】 「カインの家は高級住宅街だよ。かなり大きな家だね」
【ネイビー】 「いいわね、金持ちは」
【ウル】 「(小声で)破壊してやる」
【トウキ】 「呼び鈴を鳴らすよ。『こんにちはー』」
【GM】 「そしたら執事が出てきた。『何か御用ですかな?』」
【キロロ】 「すごいなー、そんなのいるんや」
【ウル】 「『カインに会いに来たんだけど』」
【GM】 「『お知り合いの方ですかな?』」
【ネイビー】 「『愛人よ、あ・い・じ・ん☆』」
【GM】 「『……そういうことならお入りください』」
【一同】 「ええーーーーっ!」
【ネイビー】 「マジっすか?(笑)」
【トウキ】 「こんな対応されたの初めてだよー」
【ウル】 「つーか、今昼間なのにカインは家にいるわけ? 仕事は?」
【GM】 「……今日はオフ」
【トウキ】 「でも昨日もウィルに会いに行ってたんじゃないの?」
【GM】 「じゃあ、今日もオフ(笑)」
【ウル】 「こんなに金持ちなら警備兵なんか辞めろよ。あ、でも、賄賂とかで金持ちになったならやめられないか」
【ネイビー】 「おいしい仕事だもんな」
【GM】 「とか言ってると、奥の部屋からカインが出てきたよ。ワイルドな感じの大男で、年齢はウィルと同じくらい」
【ネイビー】 「かっこいい?」
【GM】 「野性的な男が好きなら、そこそこかっこいい」
【トウキ】 「『警備兵って儲かるんですか?』」
【GM】 「『ああ、儲かるよ! はっはっは』」
【ネイビー】 「悪そうな人やな。いい街や(笑)」
【キロロ】 「うん」
【ネイビー】 「『それで、昨日はクートラ神殿まで何しに来たの? 実は私、クートラ神殿の使いで来たんだけど』」
【GM】 「『なんだ、ウィルの部下か。愛人なんていうから、ドキドキしてたんだぜ(笑)』って言って、カインはネイビーとキロロを交互に見て笑ってる」
【キロロ】 「いやん」
【ネイビー】 「『ウィルの部下じゃないわよ。ウィルが私の部下なの(嘘)』」
【GM】 「『へぇ、偉いんだな、あんた』」
【トウキ】 「信じた! アホやー!」
【ネイビー】 「私、気をよくしてるから(笑)」
【ウル】 「なんか、ウィルとカインとシュバルツ、キャラが似てるぞ」
【GM】 「類は友を呼ぶねん」
【ネイビー】 「『で、何で宝物庫なんかに入ったの?』」
【GM】 「『俺、宝物見るの好きでさぁ!』」
【キロロ】 「なんだよ、それ!」
【GM】 「『もちろん、見るだけじゃなくて集めるのも大好きだぜ! 俺のコレクション、見ろよ!』」
【ネイビー】 「どうしよう、こいつ」
【GM】 「カインはそんな君らの顔色も見ずに屋敷の宝物庫に案内してくれるから。強制的に」
【キロロ】 「宝物庫まで作ってるのか」
【ウル】 「そこってスクロールとかもある?」
【GM】 「ない。カインいわく、スクロールなんて見てても意味分からないし面白くない。
それでカイン、放っておいたらウンチクたれ始めるけど。『この壷はだな……』」
【トウキ】 「やだな、聞きたくない」
【ネイビー】 「よし、カインをこの部屋に閉じ込めて放火しよう。もしスクロール持ってたら使うだろ」
【ウル】 「それいいな。使わざるを得ない状況に持っていくのか」
【ネイビー】 「もし持ってなかったら死ぬけどな。いいやろ、別に、カインの1人や2人」

 1人しかいねぇっつーの!

【トウキ】 「でも何でディメンジョンゲートのスクロールなんだろね」
【GM】 「もちろん、クートラの宝物庫には他のスクロールもたくさんあるよ。高位の攻撃魔法とかも」
【トウキ】 「でしょ? 何でこの魔法なのかが分からない」
【ウル】 「まぁ、珍しいし、面白そうだし」
【ネイビー】 「売ったら高そうだしな」
【キロロ】 「でも盗まれたのってそれひとつだけでしょ? 売って儲けるつもりならもっと盗らない?」
【ウル】 「どうだろう。じゃあ、最後にリュークのところに行ってみるか」
【GM】 「放火はやめたん?」

ナイトゴーグルゲットだぜ!

【ネイビー】 「最終手段にとっておくよ」

【GM】 「で、リュークはクートラ神殿にいるよ。食堂にいたことにしよう」
【ネイビー】 「『昨日は何で宝物庫に入ったの?』」
【GM】 「って聞いたんやね。じゃあリュークはいきなり焦り出して『うわ、もしかしてもうバレた?!』って言うけど」
一同「ええっ!?」
【キロロ】 「何が?! 何がバレたの?!」
【GM】 「『い、いや、ちょっとさ……その、なぁ。ちょっとナイトゴーグルが入ったって聞いたから……いや、借りただけだよ!』」
【ネイビー】 「ああ、のぞきやね。こいつじゃない、絶対違う」
【トウキ】 「『エリアをのぞいたの?』」
【GM】 「『違う!』」
【ネイビー】 「『じゃあ、私ね?』」

 どうでもいいけど、何でそんなに自信たっぷりなんだよ、お前。

【GM】 「『それも違う! ……近所の宿屋』」
【キロロ】 「そんなとこ覗いたの? もー」
【GM】 「『かわいい冒険者が泊まってるって聞いたら、放っておけねぇじゃねぇか。女の子2人組みだぜ?』」
【ウル】 「『その宿屋、どこ?』」
【キロロ】 「やだなぁ、この人。聞いてるよ(笑)」
【GM】 「ほんまや。お前も覗きたいのか? ま、リュークは教えてくれるけどね。『ゴーグルも貸してやるよ。そのかわり、俺がちょっと借りてたことは内緒な!』」
【トウキ】 「借りてたの? 盗んだんじゃなくて?」
【GM】 「『な、返すつもりだったぜ! いや、これマジ! 信じろってば!』
かわいそうなリュークは、脂汗まで掻き出しました」
【ウル】 「え? それでこのゴーグルは借りてもいいの?」
【GM】 「『いいけど秘密な!』」
【ウル】 「じゃあ、ナイトゴーグルゲット?」
【GM】 「だけどウィルに見つかったら知らんぞ」
【トウキ】 「返したほうがいいと思うなー」
【ウル】 「見つかったら、返そうと思ってたって言えばいいやん。見つかるまでは貰っておくよ。で、次どうする?」

【ネイビー】 「もうクロウとかいう見張りしか残ってない」
【キロロ】 「そうなの?」
【トウキ】 「クロウに、手ぶらで入ってきて、荷物を持って出てきた奴がいないか聞く」
【GM】 「いいよ。なら、クロウは『それはいないけど、荷物を持って入って、荷物を持って出てきた奴なら4人いたぜ。商人とその弟子、そしてカイン、リュークな』って答える」
【ウル】 「うーん。リュークはゴーグルだから置いてといて、残り3人の中でどっか遠くに行くような動機がある人は?」
【トウキ】 「商人は? 遠くに行商とか仕入れとかに行かないの?」
【GM】 「ナザレはオレンブルクの中だけで商売してるらしいよ。あくまでも、表向きは、だけど」
【ウル】 「ディメンジョンゲートのスクロール使えば、こっそり行って帰ってくることができるんやろ?」
【GM】 「いや、スクロールは一回きりだから、行くことしかできないぞ」
【ウル】 「そうなの? じゃあ何に使うんだ? ますます謎やん」
【キロロ】 「使う目的で盗んだんじゃなかったら、もう売られてるかもよ」
【ネイビー】 「ま、私らの目的はスクロールを取り返すことじゃないからいいねんけどな。私の勘では、犯人は商人か弟子やと思う。ルカの部屋とか見てみたいな。
ナザレの店って、一日中いても大丈夫?」
【GM】 「いいけど……商売の邪魔やな(笑)。ま、何にしても閉店の時に追い出されるけど」
【ネイビー】 「じゃあ、ナザレの店に戻って、少し店に入ってナザレとルカの行動を観察してみる」
【GM】 「2人ともまじめに働いてるよ」
【ネイビー】 「そうか。この2人って、友人関係とかそういうのはないの?」
【キロロ】 「なに? 友達が店に来るってこと?」
【GM】 「それなら、しばらくそうしてると、ナザレの商売仲間が顔を見せたことにしよう。『今日は儲かってる?』とか『このあと一杯やろうや』みたいな感じで、すぐ帰ってくけど」
【ウル】 「なら、そいつが帰って行くところを捕まえて、ナザレがどっか遠い所へ行きたいとか言ってなかったか聞いてみよう」
【トウキ】 「結局それかい」
【ウル】 「だって他に思いつかないもん」
【GM】 「ま、答えは『さぁ? 聞いたことないな』で終わるんやけど」
【トウキ】 「でもこのスクロール、使いきりにしても商人にとっては便利だよな」
【ウル】 「旅費なしでたくさん品物を運べるからぼろ儲けできる。あ、夜逃げを計画してるとか?」
【ネイビー】 「いや、クートラと取引してるくらいだから結構儲かってるんじゃないか? 夜逃げの必要はないと思うけど」
【ウル】 「じゃあ、シルファスにバレた時にすぐ逃げられるように、とか?」
【キロロ】 「そのパターンだと、全員がクートラに関わってるわけだから、みんな当てはまっちゃうよ」
【トウキ】 「特にカインがやばいと思う。一応警備兵だし」
【ウル】 「何か候補が広がっちゃったね。まぁいいや、せっかく店に来たんだから、商人からマークしよう」
【トウキ】 「裏ではどんなものを売ってるんだろう」
【ネイビー】 「ナイトゴーグル」
【トウキ】 「それ以外にさ」
【ネイビー】 「じゃあ、それをナザレに聞いてみよう」
【ウル】 「『やばいもの買いたいから見せてよ』」

 どんな聞き方だよ、それ。

【GM】 「(小声で)『そういうものは直接取引先に持っていくんだ。ここでは困るよ』」
【ウル】 「そうかー。『次にウィルの所に行くのはいつ?』」
【GM】 「一週間後らしいよ」
【ウル】 「ずいぶん先だな」
【トウキ】 「裏の商品って、実際にはどんな所から集めてくるんだろ」
【GM】 「まぁ、それはいろいろあるんちゃう? 裏世界の盗賊とか、遺跡探索してきた冒険者とか」
【キロロ】 「オレンブルクにはけっこういそうだもんね」

÷÷ つづく ÷÷
©2005 Jun Hayashida
Illustration ©2005 Ryoko
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