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§久遠の旅人:第2話§

ボアの策動

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ ピートの災難 ▽ 鉱山ギルド ▽ 盗賊受難

ピートの災難

 このキャンペーンは、レムリア大陸を5つのエリアに分けて世界創造を行った直後のもので、『世界放浪篇』では、エリア担当者がGMを務めることになっています。
 今回のセッションでは、ドワーフのボイス役のプレイヤーがGMをするため、ボイスはパーティから離脱しました。
 その代わり、前回のGMがシーフのファブリッツィオ・バルバッツァという男を引き連れて、パーティに加入しました。

【GM】 始めるよ〜。皆さんは、クルスクの街の着いて、船から降りたところです。そこで、ボイスが用事ができたということでパーティから離れ、代わりにバルバッツァというシーフが仲間になりました。
【カノン】 ヘロー。
【バルバッツァ】 どういうわけかは知らんが、よろしく。
【ムードロ】 じゃあ、荷物持ちということで。
【バルバッツァ】 それは激しく断る。
【ムードロ】 ま、ナマイキ! ということは、やっぱりルミオスに持ってもらおう。
【ルミオス】 なんでやねん〜。
【GM】 そのとき、向こうのほうで、何やらひとが言い争っているような声を聞きます。みんな、その声に聞き覚えがあります。どうやら、前回出てきたピートさんのようです。
【ムードロ】 何を言い争っとんのや。
【GM】 ピートさんは「私は借金などしていない!」とか、すごい剣幕で怒っています。その相手は、衛兵のようです。
【カノン】 衛兵の味方したるねん。衛兵の肩を叩いて、「あいつは借金してるよ」と言う(笑)。
【GM】 すると衛兵は「部外者は引っ込んでろ!」と言って、カノンを殴りました。
【カノン】 むかー!
【ルミオス】 余計なことするからや。
【GM】 そしてピートさんが、「カノンさん、私の無実を証明してくださいよ」とすがりついてきます。
【ルミオス】 あ〜あ、捕まった。「早く親書を届けなければならないのに」と、またカメラ目線で涙を流さなアカンやん。
【GM】 「ルミオスさんも助けてくださいよ〜」と、涙ながらに訴えてくるよ。「人違いだ、ということを証明してくれ〜」
【ルミオス】 泣きたいのは、こっちやで。第一、人違いかどうかなんて、あんたが証明すべきことやがな。とりあえず、話を聞いてみるけど。
【GM】 すると、衛兵が言いました。「こいつには、2ヶ月前にヤークの街の鉱山ギルドで借りた5万フィスの借金を踏み倒して逃げた、という容疑がかかっている。さっき到着した船の乗船者名簿に、『ピート』という名前があると知り合いの乗組員から聞いたので、いちおう、こいつをヤークの詰所まで引っ張って行きたいのだ」
【ムードロ】 5万フィスも踏み倒したか。
【バルバッツァ】 そりゃあ、豪気だ。
【GM】 衛兵の言葉に対して、ピートは「私はヤークになんて、行ったことがない!」と、騒いでます。
【ムードロ】 それをわたしたちに証明しろと言われても、出会ったのはついこの間で、2ヶ月前のことなんか知らんからな。
【ルミオス】 私らでは、証人になられへんで。だから、いちばんいいのは、ピートが詰所に行ってちゃんと取り調べを受けることやな。
【バルバッツァ】 そこで『金を貸した』と言う奴に会わせて、そいつにピートの顔を確認させたらええんちゃうの。
【GM】 もし、その人が「ピートに金を貸した」と言ってしまったら、どうすんの?
【バルバッツァ】 それは知らんよ。だって、俺らにはピートが金を借りたかどうかなんて、わからんのやし。その場合は「ああ、やっぱりそうか」と思うやろ、普通。
【カノン】 だって、ピートは借金を踏み倒してない、と思う理由がないじゃん。
【ルミオス】 ま、〈センス・ライ〉が使える魔術師がおれば、よかったんやけどな。
【ムードロ】 おとなしく、取り調べられておいで。
【GM】 そう説得するわけね。
【バルバッツァ】 そんで衛兵に、「ピートを連行したるから、礼金をよこせ」と言う。
【ルミオス】 つまり、私らはどのみちヤークを通らんとアカンわけやから、ピートを説得してヤークの詰所に行くように仕向けてやってもいい、と。ただし、そちらに協力するからには、ヤークまでの路銀ぐらいは出してほしい。衛兵は容疑者を捕まえて得点が上がるし、我々は路銀が浮いて助かるしで、一石二鳥やないか、と持ちかけるわけや。
【GM】 「う〜む、路銀は出せないが、我々の馬車に便乗することなら許そう。しかし、おまえらはいったいピートの何なんだ?」
【バルバッツァ】 初対面。
【カノン】 赤の他人。
【ルミオス】 「バルバッツァ以外は、この間、一時的に連れ合いになったんです」
【GM】 「では、こいつの裁判の立会人になってもらえるか」と、衛兵は聞いてきます。
【ルミオス】 立会人ねぇ……。
【ムードロ】 はあ、まあ、馬車に乗れるんなら、ええやろ。
【GM】 衛兵は「では、一緒に来てもらおうか」と、ピートさんを馬車に押し込めて、皆さんにも馬車に乗るように言います。ピートさんは「私はただ、商売に来ただけだ〜!」と、わめいてます。
【ルミオス】 騒いだところで何にもならん、ってことを、ピートはわからんのやろか。
【バルバッツァ】 うるさいから、〈サニティ〉でもかけてやれば。
【カノン】 (ころっ)かかったよ。
【GM】 じゃあ、ピートさんは、とりあえず落ちついたようです。皆さんは馬車にゴトゴト揺られて、ヤルト王国の王都ヤークに行くわけです。

 ヤルト王国は、山岳のてっぺん……標高が高い盆地に開かれた小国家です。鉱山ギルドで財政をまかなっている国で、他に特産物などはありません。
【バルバッツァ】 ……ということは、ヤルト王国の衛兵が他国で捜査してたわけ?
【ルミオス】 まあ、そこは大目に見てもええんちゃう。
【ムードロ】 で、その鉱山からは、何が掘り出されてるのかな。
【GM】 金です。黄金、ゴールドね。ヤルト王国を取り囲む山々から、金塊などを掘り出されています。もちろん、鉱山ギルドに加入しなれば金を掘ることはできませんよ。
【ムードロ】 すごいな、掘ったら金塊が出てくるんや(笑)。
【バルバッツァ】 昔、鉱物が溶けるほどの火事があったんやろ。きっと、ここは火山やったんやな。盆地というのは、じつは噴火口跡で……。
【ルミオス】 ということは、ヘタしたら、そのうちこの国は吹き飛ばされるねんな。
【バルバッツァ】 そう。そんで終末予言がはやってるねん。で、「いまのうちに掘っとけ!」ってことになってるとか。
【GM】 別に終末思想ははやってないけどね。ちなみに、昔ここはアリステア帝国直轄の鉱山で、帝国崩壊後に独立した建国後22年ほどの新しい国です。

鉱山ギルド

【ルミオス】 小さな国やし、他の国が放っておくとは思えんけどな。オレンブルク王国みたいな国が来たら、あっさり取られるで。
【ムードロ】 なんせ、金塊やからな。
【GM】 それはいいとして、ヤークの街に入ると、ピートさんは詰所に連れて行かれます。皆さんも立会人ということで、一緒に行ってもらいますよ。
【カノン】 しゃあないな〜。
【GM】 詰所では、ピートさんが取り調べを受けます。それで、詰所の役人がピートさんに紙を突きつけ、「これが借金の証文だ」と言います。
【ルミオス】 ピートに金を貸したという人間は、来ないのか?
【GM】 「その貸主から、我々は依頼されている」
【ルミオス】 だから、その人が来れば、ピートが金を借りたかどうか、すぐにわかると思うんですけど。
【バルバッツァ】 なんやったら、俺らがその貸主を連れてきてやってもええで。ひとりあたま、500フィスで。
【GM】 「いや、直接ピートと顔を会わせて、貸したのではない。金銭の貸し借りはギルド長が取り仕切ってるのだが、ギルド長にかけあってギルドの関係者に借りたから、直接、ギルド長には顔を見られていないそうだ。だけど、証文には『ピート』というサインがある」
【カノン】 ギルド長にかけあったのって、誰? ギルドの関係者はピートに会ったん?
【バルバッツァ】 そりゃ、このピートが借りたなら、こいつに会ったんやろ。
【ルミオス】 とりあえず、ピートにサインを書かせて、筆跡を比べてみればええやん。
【GM】 「こいつが嘘のサインを書くかも知れない」
【バルバッツァ】 じゃあ、通行証に書かれてあるサインと比べたら?
【GM】 その結果、筆跡は明らかに違うことが判明しました。
【バルバッツァ】 それなら、ギルドは違うピートに金を貸したんやろ。これにて一件落着。
【ルミオス】 よかった、よかった。さ、親書を届けねば。
【GM】 ピートさんは「だから、人違いだって言っただろう!」と暴れております。
【カノン】 また〈サニティ〉がいるんか。
【ルミオス】 精神力がもったいないだけ。勝手に暴れさせとき。
【ムードロ】 誤認捜査や。これは慰謝料をもらわんと。
【GM】 衛兵たちは「では、ギルドが金を貸したピートって、いったいどこのどいつなんだろう」と、首を傾げております。
【カノン】 さあね。
【バルバッツァ】 直接顔も合わせずに、大した保証もない人間に金を貸すほうが悪い! とだけ、断言しておこう。
【GM】 あ、でも、保証人は隣の神聖王国ハインベルの王都ハインのある貴族のひとで、そのひとはけっこう名の通ってるひとだったので、信用してしまったらしいです。
【ルミオス】 保証人がおるんなら、初めからそっちに行かんかぃ。
【GM】 ところが、その保証人は貴族本人ではなく、名前を語っただけやったんやな。
【カノン】 保証人もなりすましやったんね。
【ルミオス】 ずさんもいいところやな。
【GM】 ピートと名乗った人物の消息が不明なので、5万フィスの貸付金は2ヶ月も放置状態で踏み倒されたも同然だ、と鉱山ギルドは憤慨しているようです。
【バルバッツァ】 どう考えても、貸し手に問題があるとしか思えん(笑)。「お気の毒」とだけ、言っておこう。
【ムードロ】 がんばってピートを探しや。
【カノン】 じゃあ、親書を届けに行こか。
【GM】 というわけで、ピートさんは「助かった〜」と皆さんについて来ます。
【ルミオス】 あっさり解放されたんか。甘い衛兵やな。
【バルバッツァ】 こりゃ、絶対、貸金は返ってこんわ。
【ムードロ】 で、ピートからのお礼は? 助けてやったんやしな。1000フィスは払ってもらわんと。
【GM】 「そんな物は、ない」
【バルバッツァ】 おいおい、泣いてすがって来たところを、助けてやったんやで?
【ムードロ】 しゃあないな。「やっぱり、こいつが犯人です」と衛兵に突き出すか。
【ルミオス】 このおっさんは、もう放っとこう。とりあえず、いまは何時ぐらいなん?
【GM】 夕方ぐらいですね。
【カノン】 じゃあ、宿屋を探そ。
【GM】 いちおう、王国の首都ですし、宿屋は千差万別いろいろありますよ。
【バルバッツァ】 路銀はルミオスが掌握してるんやろ。宿をとってくれ。
【ルミオス】 とりあえず、中の下ぐらいの宿屋を探してみる。
【ムードロ】 中の下? わたくしに、そんなところに泊まれと? そんな小汚いところでは、眠れませんことよ。
【ルミオス】 ほんなら、奮発して中の中に行っとこか?
【バルバッツァ】 譲歩して、それかぃ。
【ルミオス】 ぜいたくを言ってはいけません。ぜいたくは敵だ!
【GM】 中の中なら『山ネズミ亭』『山賊亭』『ようこそ我が家亭』という3つの宿屋があります。山ネズミ亭は、屋根裏にネズミが住み着いてることで知られていて、山賊亭は山の幸を使った料理がおいしいことで有名です。そして、ようこそ我が家亭はオヤジが親切なことで、評判です。
【ムードロ】 ……山ネズミ亭は、論外やな。
【ルミオス】 個人的には、ようこそ我が家亭がいいな。
【カノン】 え〜? 山賊亭がいいな〜。
【ルミオス】 何を言うとん、オヤジが親切なんやで?
【カノン】 山の幸の料理がいい〜。
【GM】 ちなみに、ようこそ我が家亭のほうが、山賊亭より3フィス安いです。
【バルバッツァ】 じゃあ、ようこそ我が家亭にしよう。
【GM】 では、皆さんはようこそ我が家亭に泊まり、翌朝を迎えました。1階の酒場で朝食を食べてると、スマイルを絶やさず親切なことで評判のオヤジが話しかけてきます。
「ここから街道を南に行くと、サルトルという国があるんだが、3日前から、西と東に分かれて武力衝突が始めているらしい」
【ルミオス】 3日前? ずいぶん、情報が早いな。
【ムードロ】 ホット・ニュースや。オヤジに早馬が来たんや。
【ルミオス】 で、それはどういう紛争なん? 民族間の争いとか。
【GM】 そうですね。サルトル王国には、もともと二つの民族が暮らしていて、表面的には友好的に暮らしてきた。けど、じつは仲が悪かった。そして、あることがきっかけで、3日前、ついに西と東に分かれて紛争が始まったらしいです。
【ルミオス】 あるきっかけというのは?
【GM】 宗教の問題らしいです。2つの民族、ダル族とムース族は、ダル族が戦神オーシュを、ムース族が知識神リンツを、昔から信仰していた。そして、考え方の違いなどで対立したらしい。ちなみに東にダル族、西にムース族に分かれています。
【カノン】 サルトル王国の国王って、どっちの民族の人なん?
【GM】 ダル族の人です。
【バルバッツァ】 ということは、立場上、西のムース族が反乱軍ということになるんやな。
【カノン】 ダル族のほうとやったら、仲良くできそう。うち、オーシュを信仰してるし。
【バルバッツァ】 けどなぁ、光の五大神を信仰しときながら、宗教上の問題で対立してるんやから、サルトル王国に住んでる奴らは、よっぽど歪んだ教義で信仰してるんやと思うで。
【ルミオス】 まあな。光の信者と闇の信者との対立ならわかるけど、光の信者同士の対立やからなぁ。極端な話したら、たとえカノンがオーシュの信者でも、「信仰のしかたが違う」と難癖つけられて捕まってまうかも知れんで。そういう国なら。
【カノン】 じゃあ、近寄らんとこ。
【GM】 でも、もともとダル族とムース族は仲が悪かったから、宗教による衝突っていうのは、単にきっかけなのかも知れん。
【ルミオス】 ああ、なるほど。それなら、わからんでもないな。
【バルバッツァ】 どのみち情勢が悪化してる国に近寄りたくないことは変わらんがな。
【カノン】 じゃあ、サルトルを通らない上周りの道を使うか。
【GM】 ハインベル王国から、交易の街方面へ行く街道ですね。
【ルミオス】 そうなるな。ま、何にしろ、まずはハインベル王国に行かんと話にならんな。王都のハインが街道の分岐点なんやから。
【GM】 では、皆さんは、神聖王国ハインベルを目指して、ヤークを後にしました。ちなみに、ピートさんも一緒について来ます。
【カノン】 来んでええわ!(笑)
【GM】 「どうせ行く方向が同じだから」
【カノン】 じゃあ、いないことにしとく。
【ムードロ】 魔物に襲われても、助けたらへんで。
【ルミオス】 そりゃ、当然やな。護衛を依頼されたわけでもないし、濡れ衣を晴らしてやっても、礼も言わへんし。

盗賊受難

【GM】 さて、神聖王国ハインベルの王都ハインに到着しましたよ。
【ムードロ】 そこは平和かね。
【GM】 平和……というわけではなさそう。けっこう、街は混乱していますね。
【カノン】 何がおこってんの?
【GM】 サルトルの紛争を収めるために神殿騎士が遠征するとかで、ちょっとした騒ぎになってるんです。住民は不安がっていますね。
【バルバッツァ】 ところで、神聖王国ってどの神を信仰してるんや?
【GM】 至高神シルファスで、ここの神殿長が国王です。
【ルミオス】 法王って感じかな?
【GM】 そうですね。ちなみに、このハインベル王国とサルトル王国とボア王国は、友好国です。だから法王は、サルトルの紛争を静めようとしてるわけ。
【ルミオス】 ボア王国ってのも、サルトルに軍を出すの?
【GM】 いえ、ボアは傍観を決め込んでいるようです。
【バルバッツァ】 ま、国家に友人なんかおらんからな。
【ルミオス】 ハインベルも、サルトルの治安維持を名目にして、属国にしようと企んでるのかも知れん。
【ムードロ】 何も起きないのなら、さっさとポーラスに行きますことよ。
【GM】 わかりました。では、街道を東に進み、ポーラスの街に着きました。皆さんが街に入ったとき、人で賑わう通りの向こうから、フラフラと近づいてくる男がいます。
【ムードロ】 おっ、避けろ!
【GM】 ムードロは避けたけど、人相の悪いその男は、ルミオスにぶつかった。
【バルバッツァ】 「おぅおぅ、兄ちゃん待ったれや。こいつ、どないしてくれるねん、肩の骨がいってもとうやないか」と言う。
【ルミオス】 「兄貴ィ、骨がよ〜」(笑)
【GM】 それを無視して、男は人込みにまぎれて行ってしまった。途中で右に曲がり、路地に入ってもう姿は見えません。
【ルミオス】 ま、何をされたか予想はつくけど、お約束として懐を確認する。
【GM】 どうやら、親書と路銀を盗まれたようです。
【バルバッツァ】 でも、臭いがまだ残ってるやろ。カノン、行け。
【カノン】 犬とちゃうわ!
【ムードロ】 しゃあないな。このわたくしの高度な敏捷度をもって、男を追いかける。人込みに入って、路地を右に曲がる。
【カノン】 同じく追いかける。
【GM】 すると逃げた男が、ちらっとムードロたちを後ろを振り返って、さらに逃げようとするよ。
【ムードロ】 〈スネア〉2倍がけ〜。(ころっ)成功。
【GM】 じゃあ、男は転倒しました。
【カノン】 捕まえる。
【GM】 「許してくれ〜。オレは頼まれただけなんだ〜」
【バルバッツァ】 とりあえず、親書を取り戻して、路銀も取り戻して、宿屋に連れて行って尋問しよう。
【ムードロ】 こいつの依頼主のことを、しゃべってもらわんとな。
【ルミオス】 やれやれ、親書が戻ってよかった。
【GM】 では、皆さんは盗賊を引き連れて、『トンビ亭』という宿屋に来ました。
【バルバッツァ】 じゃあ、部屋に入ったら、まず、部屋の窓や扉など音が漏れそうな箇所に毛布を掛ける。そして、盗賊を裸にして後ろ手に縛って、逆さ吊りにする。
【GM】 「じ、じつはある人から頼まれて、親書を盗んだんだ」と、言ってます。
【ルミオス】 私でも知らん親書の内容を、こいつがどうやって知ったんや。
【GM】 この盗賊だって、親書の中身までは知らないよ。さっきも言うたけど、依頼されてやったことやから。
【ムードロ】 その依頼主は誰なんや。
【GM】 「それは言えない」
【カノン】 殺してまう?
【バルバッツァ】 それは短絡的。情報を吐くまで、ギリギリの交渉をしなくては。まずは、右手親指の爪を剥がす。
【ルミオス】 こ、交渉なのか、それ……?
【GM】 盗賊は「ぎゃあ〜!」と悲鳴をあげます。ずいぶん、痛いようですよ。
【バルバッツァ】 そりゃそうやろ。遠慮せずに悲鳴をあげてくれ。ちゃんと、毛布で防音してあるから(笑)。
【ムードロ】 早いとこしゃべらんと、目も当てられんような拷問が続くで。
【バルバッツァ】 拷問なんて言うな。人聞きの悪い。情報収集というんだよ。
【ルミオス】 い〜や、立派な拷問や(笑)。
【カノン】 「この干し大根あげるから」って、乾いた大根を見せたら話すかな?
【ムードロ】 ついに、伝説の大根を手放すか。
【カノン】 手放さへんよ。あげるふりするだけ。盗賊、だまされへんかな。
【バルバッツァ】 だまされるか! っていうより、そんなもんにつられるわけないやろ。さっさと食ってしまえ。
【カノン】 いやだよ。伝説の干し大根やのに。
【バルバッツァ】 嘘つけ、八百屋で買うてたくせに。
【カノン】 それは誰も知らへんもん。
【バルバッツァ】 俺は知ってるで。リーザの町で、「あんなん買いよるで。田舎モンやな〜」って思いながら見てたから。八百屋のオヤジに「これは伝説の大根だぜ〜」って言われて、「うっそ〜☆」とか言うてるのを見たもん。
【カノン】 そんなこと言うてへんわ!(笑)
【GM】 乾いた大根につられたわけじゃないけど、盗賊は「情報をしゃべるから、情報料をくれ」と持ちかけてきますよ。
【カノン】 やんねーよ。命があるだけマシだと思え。
【ルミオス】 そいつ、自分の立場をわかってないんやろか……。
【ムードロ】 まだ、ナメてるんやな。さっき爪を剥がしたところに、カラシを塗ったろ。
【GM】 あんまり拷問してると、死んでしまうで。
【バルバッツァ】 死にそうになったら、回復魔法で治すんやがな。で、あらためて爪や皮を剥いだり、それから(以下自主規制)。
【ルミオス】 もうええ。やめてくれ。聞いてるだけで気持ち悪くなる。
【GM】 ついに盗賊は、「ボ、ボアの国王が──」と言います。その話では、ルミオスが持ってる親書が、アリステア地方セフェリア王国のファノンに届けられることは、ボア王国にとって困るということで、依頼されたらしい。
【バルバッツァ】 ボアの国王は、親書の内容を把握してるんか。
【GM】 この盗賊は知りませんけどね。
【バルバッツァ】 ふ〜ん。じゃあ、「おまえの他に、それを頼まれた奴はいるのか?」と質問する。
【GM】 「オレにはわからない。……本当に知らないんだ!」
【カノン】 もし、他に刺客が用意されてても、こいつが失敗したってバレるまでは、次の刺客は来うへんのとちゃう?
【ムードロ】 こいつと一緒に複数の刺客が放たれてるんでなければな。で、とりあえず、こいつはどうする?
【GM】 男は「知ってることはすべて話した」と言ってる。
【バルバッツァ】 そうか。そんならこいつの財布を没収しとこう。
【GM】 財布には1200フィス入ってたよ。
【バルバッツァ】 そんじゃ、こいつをこのままここにしといて、俺らは出発しよう。
【カノン】 宿の主人には「いま連れが部屋でヨガをやってるから、3日後に部屋に行ってやってくれ」って言うとく。
【ムードロ】 宿屋のオヤジ、3日後に開けてビックリやな(笑)。
【カノン】 じゃあ、3日分の料金を払っとこうよ。
【バルバッツァ】 そんなんせんでええよ。「宿泊代は、部屋にいる連れにまとめて払ってもらってくれ」って言うとけばええねん。
【カノン】 いや、それはだって、宿屋のオヤジが金もらわれへんだけやんか。
【ルミオス】 んじゃ、盗賊のぶんも含めて、路銀から宿代を支払う。
【ムードロ】 ほんじゃ、出発しよか。
【バルバッツァ】 その前に、ダミーの親書を作っとこ。どうせ、外見だけ似せとけばええんやし。本物の親書は俺が持って、ルミオスには、ダミーの親書を大事そうに持ってもらおう。
【ルミオス】 それはいいけど、私にはダミーを用意したことを教えずに、こっそりすり替えといて欲しいな。私は演技とか下手やから、たぶん、敵にバレてしまうよ。
【バルバッツァ】 じゃあ、リクエストどおり、こっそりすり替えておこう。俺以外は知らんことにしとこか。
【ムードロ】 敵を欺くにはまず味方から、って言うからな。
【カノン】 偽の親書を、さっきの盗賊にボアへ届けてもらうとか。
【ルミオス】 おもしろいアイデアやけど、ボアの国王が親書の内容を知ってるんなら、それはすぐにバレてしまうで。それに「ダミーもある」って知られたら、ダミーの効果はなくなってまうし。
【バルバッツァ】 あらかじめ知ってれば、敵は念入りに見極めてきよるからな。
【ルミオス】 だから、さっき言うたように、味方でもバルバッツァ以外はダミーの存在を知らんほうがええわけよ。
【バルバッツァ】 で、最後の肝心なときに、偽の親書を渡してまうんやろ(笑)。
【カノン】 その場で全員打ち首になったりして。
【ムードロ】 ほんじゃ、ドナーへ行こうか。
【GM】 では、さらに東をめざし、国境を越えて自治都市ドナーに着きます。この街の北には『吸血鬼の森』と呼ばれる、昼なお暗い森があります。この町ではとくに何も起きないので、休んだらすぐにドナーの街を出ますね。そして、何事もなく、商人で賑わう交易の街に着きました。さらにそこも抜けて、いよいよ、アリステア地方に入ります。
【ルミオス】 アリステア地方レンベーヌ王国のラーナの街やな。
【GM】 では、ミドル地方はここまで。次のGMさん、よろしくお願いします。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2001 Jun Hayashida
Map ©2001 Moyo
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