≪REV / EXIT / FWD≫

§久遠の旅人:第3話§

アリステアの地で

著:龍神裕義 地図:もよ
▽ ラーナの街 ▽ ボアの刺客

ラーナの街

【GM】 さて、皆さんは交易の街を出発し、ミドル地方からアリステア地方にやって来ました。街道を素直に歩いてますと、レンベーヌ王国のラーナという街に到着いたします。時刻は昼の3時過ぎといったところです。
【バルバッツァ】 そこがアリステア地方で最初に立ち寄る街ということやな。
【GM】 そうですね、交易の街方面から来るとそうなります。ちなみに、ミドル地方のボア王国方面から来ると、セフェリア王国の西、クアードという街が最初に立ち寄るところとなります。

【カノン】 ボアって、王様が悪者の国やんな。
【GM】 いや、悪者かどうかは、まだわかりませんけどね。
【ムードロ】 で、そのラーナってどんな街や。
【GM】 ラーナは、かつてラーナ王国という国の王都でした。しかし、そのラーナ王国がレンベーヌ王国に滅ぼされた際に、レンベーヌ王国に組み込まれてしまった街です。滅びた国とはいえ、そこの王都だったというだけあって、現在でも、じゅうぶん規模の大きい部類に入る都市ですわ。
【カノン】 街に着いたってことは、いつもどおり宿屋探し?
【ムードロ】 まあ、そうやろ。とりあえず、いちばん高そーな宿屋へ……。
【GM】 では、皆さんは高そーな宿屋を探して、大通りを歩いています。すると、脇道から10歳ぐらいの少年がひとり、いきなり飛び出してきました。その後ろからは、「ドロボー!」という叫び声が聞こえてくるよ。
【ルミオス】 じゃあ、その少年を捕まえようとする。
【GM】 ルミオスがそうしようとする直前に、ひとりの騎士風の男が、少年の行く手に立ちはだかります。そして、騎士は無言で剣を抜き放ちます。
【ルミオス】 横から、騎士を止めようとする。「待ちなさ〜い!」
【ムードロ】 少年と騎士の間に割って入る。直角フェイントで、その騎士の正面に立とうとする。
【GM】 直角フェイントの意味はあるのかね?
【カノン】 騎士の後ろから、ピト〜っとくっつく。
【GM】 くっついてどーすんの!
【カノン】 止めるんやんか。
【バルバッツァ】 俺は、地面と同じ色の布を被って、大通りと一体化する。
【ムードロ】 大通りでそんなんしたらアカンわ。踏まれるで。
【バルバッツァ】 じゃあ、騎士の横手にまわる。ちょうどムードロと騎士を挟むような形で、奴を阻止する。
【GM】 なんか、騎士の周りがすごい密集してまんな。その中でも、カノンが騎士の背中にくっついてるんやな。
【カノン】 目隠しして、「だ〜れだ♪」って言う。
【GM】 そんなの、振りほどこうとするよ。(ころっ)ほら、成功。乱暴に振りほどかれたカノンは、地面に倒れます。
【バルバッツァ】 あーあ。
【カノン】 振りほどかれた。倒れた。「おぼえてろ〜!」
【ムードロ】 まっ、なんて品のない。
【カノン】 じゃあ、「おぼえてネ♪」って言う。
【バルバッツァ】 何をや。
【GM】 ホンマ、わけわからんわ。騎士もいきり立ってるよ。では、第2ラウンド。ムードロさんから行動してください。
【ムードロ】 ちょっと、騎士と話し合いに入ってみようかな。
【GM】 おお〜!? ムードロが話し合うってか?
【バルバッツァ】 これは見モノや。初めて見る光景や。めったに見れない、夏の風物詩や。
【ムードロ】 「まーまー」となだめながら、剣を持つ騎士のその手をねじりあげてみる。
【カノン】 それって話し合い?
【GM】 そんなことやろと思ったわ。いちおう、試してみ。
【ムードロ】 (ころっ)失敗。手を握っただけ。
【バルバッツァ】 白いひんやりとしたすべすべの手で握られたんか。その騎士、ドキドキしてるやろ?
【GM】 するかぃな。んじゃ、次はルミオスの行動。
【ルミオス】 少年をかばいながら、「まーまー、騎士どの」となだめてみる。
【GM】 で?
【ルミオス】 それだけ。
【GM】 カノンとバルバッツァは?
【カノン】 起き上がる。
【バルバッツァ】 コスモを燃やす。
【GM】 要するに、大したことはしない、ってことね。じゃあ、騎士はムードロの手を振りほどいて、「盗みをするような子供を生かしておくわけにはいかん」と言います。
【バルバッツァ】 「盗みの何がアカンねん!」と、盗賊のバルバッツァはいきり立つ。「盗みが悪いんか、盗みをする人間が悪いんか、どっちじゃ!?」
【カノン】 どっちもじゃー!
【GM】 また、わけのわからんキレかたするぅ〜。そのとき、「ドロボー!」と叫んでいた人物が、この場にやって来ます。中年のおばちゃんで、息を切らしてますな。
【ムードロ】 このガキは、いったい何を盗んだんや?
【GM】 おばちゃんの露店から、リンゴを1つ盗んだらしいです。
【バルバッツァ】 リンゴ? その子供は、そんなに貧困なのか。
【GM】 まー、改めて見ると、薄汚れたみすぼらしい恰好ではありますね。
【ルミオス】 じゃあ、私がリンゴの代金を肩代わりしましょう。
【GM】 それなら、2フィスいただきましょう。おばちゃんは代金を受け取ったら、もういいという様子ですね。しかし、騎士は「このまま放置しておけば、このガキは、また犯罪をおかすぞ」と不満そうです。
【ルミオス】 「まーまー、子供がやったことやがな」と、なだめる。
【ムードロ】 「これでもお受け取りになって」と、バラを差し出そか。
【カノン】 じゃー、うち、乾いた大根。「これ、伝説の大根やから」
【バルバッツァ】 カノン、たたっ殺されるぞ(笑)。
【GM】 騎士は、ルミオス以外の連中を完全に無視しますね。そして、ルミオスの言葉に「子供のやったことだからといって見逃していたら、この世から犯罪はなくならん」と言い、抜いた剣を構えます。
【バルバッツァ】 「犯罪って、このガキがどういう犯罪を犯したんや」と聞く。
【GM】 だから、盗みやろ。
【バルバッツァ】 こいつは盗みなんかしてへんで。ただ、そのリンゴを俺様に見せに来ただけやがな。「買うて〜」って。「なっ、オバちゃん」
【GM】 しゃーないな〜、じゃあ、オバちゃんも金を受け取ったことやし、バルバッツァの言葉を肯定して、騎士をなだめることにしよか。騎士は、「フン」と小バカにしたように鼻で笑って、剣を収めて立ち去る。
【バルバッツァ】 「フン」と、小バカにし返してやる。
【カノン】 うちも。
【ムードロ】 わたくしも。
【GM】 イヤな連中やな(笑)。騒ぎを聞きつけて集まっていたヤジ馬たちも、ザワザワと言いながら立ち去っていったよ。

ボアの刺客

【ムードロ】 このガキはどーすんの?
【カノン】 「もう、盗んじゃダメ」と言うて、帰す。
【GM】 少年は「うん。わかったよ、お姉ちゃん」と言って、どこかへ去って行く。で、背中を向けたときに、ニヤリと笑ってたりして(笑)。
【ムードロ】 じゃあ、背後から袈裟掛けに斬っとこか。
【GM】 ウソウソ。素直な少年は元気よく、夕刻の雑踏の中に消えて行きます。さて、皆さんはどうしますの?
【ルミオス】 宿屋に向かいますよ。
【GM】 では、大通りにある『天馬の翼亭』という宿屋にやって来ました。
【ムードロ】 美しい名前ですこと。このわたくしに、ふさわしい宿屋ですわ。
【カノン】 さっさと入るよ。メシの時間〜。
【GM】 では、皆さんは天馬の翼亭の1階の酒場で、夕食をとることになりました。テーブルについた、思い思いの注文をしたキミたちのところに、酒場の給仕娘が料理を運んできます。彼女はここの看板娘で、「ごゆっくりどーぞー」と見せる笑顔は──。
【バルバッツァ】 ──100万ボルト。
【カノン】 ダサ〜。
【GM】 ださいのはバルバッツァの形容詞で、娘さんじゃないからね。皆さんは、かわいい給仕娘が運んでくれた食事を食べて、くつろぎのひとときを過ごしています。するとそのとき、無粋にも酒場の扉を「バン!」と荒々しく開ける者がいます。
【ムードロ】 肉をナイフでカチャカチャ切りながら、「うるさいわねぇ。いったい、何事?」と、そっちを見る。
【GM】 そこには、いかにも無法者っていう感じの、人相風体が悪くて、ごつい身体のおっちゃんと、それの取り巻きって感じの男が3人、計4人の男が立っています。
【カノン】 さっきの騎士の部下かな。
【GM】 いや、違うようですね。ごつい身体のおっちゃんは、さっきの騎士と同じデザインの鎧を着てるんで、彼もこの国の騎士なんでしょう。取り巻きは部下のようですけど。
【ムードロ】 何の用や〜。仲間の仕返しにでも来たんか〜?
【GM】 彼らが用があるのは、キミらじゃないようやね。ズカズカと酒場に入って、まっすぐにカウンター席に行きます。そして、宿屋の主人に「さっさと、あの娘を領主代行のところに寄越せ」と、看板娘を指して、店中に響くでかいダミ声で言うんですわ。
【バルバッツァ】 酒場の主人の反応は?
【GM】 「そ、そんなことを言われましても、ゴッズ様……」と、困ってるようですな。カウンターの奥では、胸にトレイを抱えた看板娘が、不安そうな眼差しで事の成り行きを見守っています。
【カノン】 じゃあ、カウンターに行く。
【GM】 すると、ゴッズというダミ声騎士の取り巻きAが、「なんだ、てめえは!?」と、カノンにすごみますよ。
【カノン】 うん、おかわり。
【バルバッツァ】 なんじゃいな、それ。
【GM】 カノンの冒険者姿を見て、何か期待してたような酒場の主人と看板娘の表情は、一瞬にして、失望と絶望のものに取って変わられた。
【ムードロ】 どーしようもないな。
【GM】 いや、ホンマに。カノンは、「邪魔すんじゃねえ!」とばかりに、ゴッズ一味に囲まれてしまった。
【ムードロ】 どーしようもないな。
【バルバッツァ】 まったくもって。
【ルミオス】 しゃあない、「ま、待ってください!」と、そこへ駆け寄る。「こいつはこーゆー奴なんです。ちょっと頭が足りなくて……」
【カノン】 違う〜。足りてるけど、使わないの。出し惜しみ。もったいぶってるねん。
【バルバッツァ】 最悪やないか。
【GM】 ゴッズたちは、カノンが頭脳を出し惜しみしてるなんて知らへんからね、ただのおバカさんだと思ったんでしょう。「ケッ、ちゃんと面倒みてろ!」と、カノンをルミオスに突き飛ばします。
【カノン】 おぼえてろ〜!
【ムードロ】 いったい、何をしに行ったんや、カノンは。
【カノン】 だから、おかわりしに行っただけ。
【GM】 で、ゴッズたちは、看板娘の腕を掴んで連れて行こうとします。主人は「待ってくだせ〜」と泣きつくけど、騎士たちはそれを無視して酒場の出口へ向かう。
【ムードロ】 しょうがないな。「お待ち!」と言って、バラを投げつける。バラが足元の床にスコーンと突き刺さったやろ。
【GM】 どんなバラやねん。とりあえず、騎士たちは立ち止まったけど、どーすんの?
【ムードロ】 ダミ声騎士に〈ホールド〉をかける。(ころっ)バラの茎がシュルシュルと伸びて、ダミ声騎士を縛り上げるで〜。
【バルバッツァ】 棘がチクチクするで〜。
【GM】 じゃあ、ダミ声騎士は「なんだ、このバラは!? なんだ貴様は!」とわめくよ。
【ムードロ】 ほんなら、バラの花びらがパ〜っと渦巻いて、その花霞の中で腕組みして立ちながら、「ルミオス一行だ!」と答える。
【ルミオス】 え〜ッ!? 名前バレるの私だけ?!
【カノン】 うちらは匿名希望ってことで。
【GM】 すると、ゴッズの取り巻きどもが「やっちまえ!」と、皆さんに殴りかかってきます。
【バルバッツァ】 なんだ、俺まで戦闘に巻き込まれるのか。
【ルミオス】 なんでこんなことに〜。

 と、泣いてる間もなく、ダミ声騎士ゴッズ一味は追い払われた。

【GM】 ゴッズたちは「おぼえてろ!」と怒鳴って、店から出ていきました。そして、看板娘や酒場の主人が「ありがとうございます」と、お礼を言ってきます。
【バルバッツァ】 これで食事代と宿泊費はタダになるな。
【GM】 まー、そこはそうしとかんと、しゃあないわな。
【ムードロ】 よっしゃ、これはもう、食えるだけ食っとかんとな。
【GM】 はいはい。じゃあ、食えるだけ食っといてください。
【バルバッツァ】 食いきれん分はテイクアウトで。
【GM】 最悪や。
【ルミオス】 しかし、この国ではあんなゴロツキなんかを、騎士に取り立てるのかね。
【GM】 すると、酒場の主人が「ラーナがレンベーヌに支配されてからというもの、ああいう輩が増えまして……」と、答えます。
【バルバッツァ】 気の毒にの〜。
【GM】 「レンベーヌ騎士の食費の踏み倒しなど、日常茶飯事なんですわ」
【カノン】 かわいそうに。
【GM】 酒場の主人の話によると、ラーナを統治する領主は、レンベーヌの国王シャノンの息子。ただし、それは名目上の領主であって、実際にこの街に赴任してきているわけではありません。ラーナを直接統治しているのは、国王配下の貴族、ダルディスという『領主代行』なんだそうです。
【バルバッツァ】 悪そうな名前や。
【ルミオス】 さっきのゴッズという騎士は、そのダルディスの部下ってことですか?
【GM】 そのとおり。「ここ最近の奴らといったら、以前にも増して横暴になりまして……。領主代行の館では、毎夜毎夜、酒宴でバカ騒ぎしておるそうです」
【ムードロ】 ダメダメやな。
【バルバッツァ】 領主がダメダメなら、神殿にでも泣きつけばええのに。
【GM】 ラーナ王国は大地母神ミフォアを国教としていたので、かつて、この街にもミフォア神殿がありました。しかし、領主代行ダルディスの乱暴なやり方に反対したところ、即座に叩き潰されたという悲しい過去があるんですわ。そういうわけで、ラーナには神殿がなくなっております。
【ムードロ】 弱っ!
【カノン】 ミフォア以外の神殿もなくなったん?
【GM】 というより、ここにはミフォア神殿しかなかったんで。ちなみにミフォア信者たちは、ラーナの街から西に位置するラトリアという街にある、ミフォア教の大神殿に移っております。オレンブルクのミフォア大神殿と双璧をなす、大陸でもかなり大きなものです。今のところレンベーヌに逆らうようなことはしてないので、潰されたりはしていません。
【バルバッツァ】 「ミフォア信者は皆殺しじゃあー!」とはならんかったんやな。
【ルミオス】 それ以来、表立った反対運動とかは起きてないの?
【GM】 表立ったものはね。
【ムードロ】 ということは、裏立ったものはあるんやな?
【カノン】 この酒場の食器棚をどかしたら、地下に下りる階段とかあったりして。合言葉を言うたら、中に入れるねん。
【ムードロ】 レジスタンスやな。
【GM】 ただ、そのラトリアについては最近、穏やかならざる噂も出てるよ。あくまでも旅人の間での噂、という程度の情報やけど。ラトリアのミフォア大神殿に『聖者』の力を持つ若者が現れたそうで、その聖者を擁する主なき騎士が、信者に軍事訓練を施し、神殿の財産で傭兵を集めているとか……。
【ムードロ】 そのうち戦争やな。
【バルバッツァ】 どう考えても反乱の準備やないか(笑)。領主は何をしとる。
【GM】 ここの領主代行は、知ってのとおりダメダメなんで、危機感というものが欠如してるみたいやね。噂は噂として、大した調査もせずに聞き流してるみたい。
【GM】 さて、食事が終わり、皆さんは2階に上がって割り当てられた部屋に入って休むことにしました。割り当てられたと言うても、4人、同じ部屋やけどね。
【バルバッツァ】 そういうの、『割り当てた』とは言わんぞ。
【ムードロ】 で、朝になって、セフェリア王国に向けて出発する。
【ルミオス】 そしてついにこの親書を――。
【バルバッツァ】 ――って、懐のニセの親書を大事そうに触って確かめるんやな(笑)。
【カノン】 本物はバルバッツァが持ってるのに(笑)。
【ムードロ】 そんな感じで翌朝にしてや。
【GM】 勝手に朝にしてもろたら困りまんな〜。陽が沈んで辺りが薄暗くなった頃、酒場の主人がドアをノックします。
【ムードロ】 なんや〜。
【GM】 「ルミオスさん、いらっしゃいますか」
【ルミオス】 なんでございましょう?
【GM】 「魔術師ギルドの遣いというひとから、お手紙を預かったんですが……」と封筒を手渡して、主人は退出。
【バルバッツァ】 ラーナにも魔術師ギルドがあったんか。
【GM】 そりゃね、占領されたといっても、もとは王都やったわけやから。
【ルミオス】 手紙を読んでみる。
【GM】 手紙の内容は、ルミオスの呼び出しです。地図が入っていて、どうやら郊外の公園に来るようにとのこと。
【カノン】 罠や。昼間の騎士たちが待ち伏せしてるで、きっと。
【バルバッツァ】 じゃあ、ルミオスについて行ってやるか。
【ムードロ】 ムードロは寝とく。「あたしは眠たいのよ!」
【GM】 はいはい。じゃあ、ルミオス、カノン、バルバッツァが公園に行くわけね。では、指定の公園に着きました。すると、ご期待どおり5人の男たちに囲まれてしまいます。ひとりは騎士っぽく、残りはその部下の戦士って感じかな。
【バルバッツァ】 ゴッズのリベンジか?
【GM】 うんにゃ。そいつらは、レンベーヌ騎士ではありません。ちなみに、顔は黒い頭巾で覆われていて、見ることはできない。
【ルミオス】 じゃあ、「なんだ、おまえたちは!?」と言う。
【GM】 男たちは、ルミオスの問いかけに答えない。ただ、「親書を渡してもらおう」と言うのみ。
【カノン】 それだけで何者かわかるよ。
【バルバッツァ】 ボア国王のリベンジか。しつこいな〜。
【GM】 「おとなしく渡せ」と言って、男たちはスラリと剣を抜きます。
【ルミオス】 「渡すわけにはいかないね」と、メイジ・スタッフをスラリと抜く。
【バルバッツァ】 いや、仕込み刀やないんやから。せっかくやから、ニセの親書を渡してやればいいのに。
【GM】 でも、ルミオスは自分が持ってるのがニセ物とは知らんのやろ?(笑)
【カノン】 交渉決裂やな。戦闘になる。
【GM】 いつものごとく、交渉の『こ』の字もなかったような気がするけど?
【カノン】 いつものごとく、気のせい、気のせい。
【バルバッツァ】 戦闘態勢に入るぜ。
【GM】 では、いちばん速いルミオスさんからどうぞ。
【ルミオス】 「スケさん、カクさん、懲らしめてやりなさい!」と、バルバッツァに〈ファイア・ウェポン〉。(ころっ)バルバッツァの剣に炎が宿った!
【バルバッツァ】 これが噂の太陽剣。シャキ〜ン! 遠からぬ者は見るがいい。驚け、有象無象ども。
【GM】 敵は「おお〜」と驚いてます。
【カノン】 自分でやったわけちゃうのに。
【ルミオス】 しかも、剣を構えただけやろ。ちゃんと敵を斬ってや〜。


 3ラウンドに渡る戦闘は、バルバッツァの太陽剣が敵リーダーを倒したことによって、決着がついた。有象無象どもはクモの子散らすように逃げ去った。
 ちなみに、ルミオスは何点かのダメージを受けてボロボロになってしまった。

【GM】 敵残党はすみやかに退却して行きました。後に残ったのは、敵リーダーの死体のみ。
【バルバッツァ】 じゃあ、敵リーダーに死体は埋めて、奴の剣を墓標にしたる。
【カノン】 公園で?
【バルバッツァ】 うん。
【カノン】 砂場で?
【バルバッツァ】 うん。子供らが「こんなとこに山ができてる〜」って掘っていくとびっくり。
【ルミオス】 ワイドショーで紹介されそうな事件になるな。
【バルバッツァ】 じゃあ、俺らの姿を見られんうちに宿屋に帰るぞ。
【カノン】 別に犯罪者ちゃうのに〜。
【GM】 じゃあ、皆さんは宿屋に戻って来ました。
【ルミオス】 は〜、ボロボロや〜。
【バルバッツァ】 かっこよく言うと、ヴォロヴォロや〜。
【カノン】 どこがカッコええねん。
【ムードロ】 「そんなにボロボロになって、どこで遊んでたの? さっさと帰ってきなさいよ!」と言うたる。
【ルミオス】 最悪や〜。もう、この人イヤ〜。
【GM】 ───と、カメラ目線で泣くんやな。じゃ、翌朝になりました。どうしますでごわすか?
【バルバッツァ】 そりゃあ、あんなこともあったし、さっさと出発するでしょう。
【GM】 なるほど。では、皆さんはラーナの街を出発し、街道をセフェリア方面、南に向かって旅していくわけですな。
 じゃ、ひとまず、アリステア地方の冒険はこれで終わりです。
【ムードロ】 でも、次はサリア地方に入るんやろ? 親書は?
【GM】 無事、セフェリア王国王都ファノンの魔術師ギルドに届けることができましたよ。
【バルバッツァ】 ――って、ひと言で終わりかぃ!(笑)
【カノン】 ボアの国王って、けっきょく何がしたかったん?
【GM】 さあ、それは次のGMさんが考えてくれるんでしょう。
【カノン】 そんなこと考えへんもん〜(笑)。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Map ©2001 Moyo
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