≪REV / EXIT / FWD≫

§落日の虎:第4話§

カリーニョ無惨

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ ハックの報告 ▽ 無断出撃 ▽ 捕らわれのリザローク

ハックの報告

【GM】 さて、前回は「カリーニョ村が滅ぼされた」というホット・ニュースが入ったところで、終わったんだったね。
【リザローク】 その情報って、ホンマなん?
【アイザック】 「カリーニョ村が全滅しただと!?」と叫んで、ハックの胸ぐらを掴んで「それはどーゆーことなんだ!? どーゆーことなんだッ!!」と揺さぶる。
【GM】 「お、落ちついてよ、アイザック!」って、ベタやな。
【アイザック】 じゃあ、手を放すから話してみろ。
【リザローク】 で、今度はオレが「どーゆーことなんだ、ハック!?」がしっ!
【GM】 「だから、落ちつけーッ!」
【アイザック】 「そうだ。まずは落ちつくんだ、リザローク」と、冷静に止めに入る。
【リザローク】 まったく、貴様という奴は(笑)。
【GM】 では、ハックが見てきたことを説明しよう。ハックは、双子の弟ベリーとふたりで、カリーニョ村へ向かう指令を受けてたらしい。
【リザローク】 カリーニョ村に何しに行ったん?
【GM】 じつは、5人の武器職人が、メカリア王国からガーヴェンに来てくれることになっていた。職人たちは、荒ぶる砂漠を越えて南方よりカルファン王国に入り、王国南端のカリーニョ村でガーヴェンのメンバーと落ち合うことになってたんやね。そのメンバーというのが、ハックたち。
【アイザック】 なるほどな。けど、武器職人だけで、荒ぶる砂漠を越えることができるのか? メカリアまで迎えに行ったほうが、安全で確実なんと違う?
【GM】 交渉時には、ガーヴェンの者がメカリアまで足を伸ばした。けど、何せこの組織は人材不足。渉外係は他の任務も兼ねていたので、護衛ができない。そういうわけで、職人たちが独自に護衛を雇ったんだよ。もちろん、そのための費用は契約金の中に含まれてたんだけどね。
【アイザック】 なるほど。
【リザローク】 その護衛ってのは、どういう奴らなん?
【GM】 さあ? きっと、ガーヴェンとはまったく無関係な冒険者たちでしょう。
【リザローク】 武器職人って全員人間? 職人というからにはやっぱり、ドワーフのクラフトマンとかが混じってるとか。
【GM】 全員人間です。
【アイザック】 で、ハックが見てきたものの話の続きは?
【GM】 はいはい。えーっとね、使命を帯びたハックたちは、カリーニョ村に向かったわけです。カリーニョをめざして、一路街道をひた走ってると、キャフタ方面から来た、大勢の歩兵だの騎兵だの何だのに追い抜かれた。
【リザローク】 それはどこに所属してる兵隊なん?
【GM】 『キャフタ方面から来た、カルファン兵』とだけ言っておこう。その街道は、カリーニョ村とキャフタを結ぶものだから、これはカリーニョ村で何かあったに違いない、聡明なハックたちはそう思った。
【リザローク】 そう思ってカリーニョに行ったら、本当に何かあったわけだ。村が全滅するような何かが。
【アイザック】 いったい、カリーニョ村で何があったん?
【GM】 ハックたちが到着したときには、すでに騒ぎが起きていた。竹ヤリを持った村人が、兵士の剣でズンバラリンと斬られたり、逃げ後れた母娘が馬に踏み潰されたり、降伏した村人も槍で突かれたり、家に火を放たれたり、そりゃもう阿鼻叫喚の大騒動。
【アイザック】 兵隊にやられてたん?! 魔物とかじゃなしに。
【リザローク】 リムはどうしたん? カリーニョ最強の嫁がおるはずやけど……。
【アイザック】 そんなん、キャフタの領主がアホじゃなかったら、リムがおらん時にカリーニョに攻め入るよ。
【GM】 おいおい。あのね、いくらリムがキミにとって最強の嫁でも、その名が国内に轟くほど有名じゃないんやから。わかった。じゃあ、これまでの経過を整理する意味で、ハックたちが命懸けで手に入れた情報を、さらに教えてあげよう。
【アイザック】 それはありがたい。
【GM】 まず、キミたちがキャフタ領主館の牢から逃げ出してガーヴェンに加入してから、裏舞台で何があったのかを話そう。
【リザローク】 おう。
【GM】 朝になると、もちろん、キミらの脱獄はバレてしまった。そしたら、キャフタ領主カリムは、自領内での捜索を命じたわけだ。面目を保つ意味でも、必ず見つけ出せと。
【アイザック】 まあ、そうなるわな。
【GM】 それと同時に、キミたちの故郷カリーニョ村へ50人ほどのキャフタ領の正規兵を派遣し、村の出入りができないように封鎖した。
【リザローク】 なぜ、そんなことを……。
【GM】 キミたちが戻って来るかも知れないし、あるいは、すでに村の中で匿われてるかも知れないからね。また、領主カリムは、カリーニョ村民への見せしめのために、脱獄犯であるキミたちの家族を捕らえるように命じていた。
【アイザック】 はあ。
【リザローク】 果してリムがそんなに簡単に捕まるのかな?
【GM】 捕まったよ。そして、翌日の正午──キミたちが古代遺跡へ行く途中、ゴブレンジャーの襲撃を受けた頃──に、キミたちの家族は、村の広場で公開処刑された。
【リザローク】 うそや!
【アイザック】 公開処刑されたんは、俺らの家族全員なん?
【GM】 そう、全員。お父さんだの、お母さんだの、嫁さんだの何だのと、み〜んな磔にされて、槍でグサっとやられたそうだ。2日も前にね。
【アイザック】 これでリム伝説も、とうとう終わってしまったわけだな。
【リザローク】 いや。じつは、村を出る前に離婚届を出していたのだよ。
【GM】 そんな話は聞いてないな〜。だいたい、「豪邸を建てて家族で住もう」とか言うてた気がするけど?
【リザローク】 くそ〜……。じつはリムは記憶喪失になって、どこかで生きてるとか……。
【GM】 そんな都合のいい話はない。リムは殺されてます。GMが断言してしまった以上、そいつは事実として動かない。
【リザローク】 娘は? ファンリーは逃げ延びたと思うなぁ。よその家の娘が身代わりに殺されて……。
【GM】 なんちゅう身勝手な話や。だいたい、ファンリーの身代わりに殺されそうになった娘の親が言うやろ。「その子はリザロークの娘ではありません」って。
【アイザック】 ホンマや。だいたい、俺らは正義の味方なんやで? 「よその家の娘が身代わりになってよかった、へっへっへ」というわけにもいかんやろ。
【GM】 以上が裏舞台の情報。
【リザローク】 そんなことになってるってわかってたら、助けに行けたのに……。ファンリーだけでも助かってないの?
【アイザック】 そりゃ、無理だろう。村が全滅したらしいからな。とりあえず、カリーニョ村が滅ぼされた経緯を聞かせて欲しい。
【GM】 キミたちの家族の公開処刑が行われたとき、村人が暴動を起こしたのよ。理不尽に増税されて、村長を殺されて、キミたちの家族が惨殺されて、キレてしまったわけ。
【リザローク】 そのとき、リムは助けられたと?
【GM】 いや、だから殺されたんだってば。見せしめで処刑すれば、村人たちは萎縮しておとなしく税金を払う、と聞かされてたカリーニョ派遣隊長は、あわてて領主カリムに応援を頼んだ。すると、さらに30名あまりの正規兵が派遣され、翌日、カリーニョ村に到着した。ハックたちが街道で追い抜かれたという軍隊は、こいつらのこと。
【アイザック】 なるほど。
【GM】 増援部隊は、領主カリムから『カリーニョ住人を皆殺しにせよ』と命令されていたから、それはもう、容赦なくビシバシと村人を虐殺しまくった。もともと人口200人弱のカリーニョ村は、1日経ったらほぼ全滅。それが昨日のこと。
【アイザック】 そして今日、俺らがその知らせを聞いたわけやな。
【GM】 そういうこと。
【アイザック】 「ちくしょお〜! 俺にもっと力があれば……」と悔しがる。さらに剣を抜いてカリーニョへ行こうとするんやけど、ラザラスさんにガシっと止められるねん。「行かせていくれ〜」って叫ぶねんけど、「おまえひとり行ったところでどうにもならん」とか言われるわけや。
【GM】 そんでも暴れるから、みぞおちを殴られて気絶させられるねんな。
【アイザック】 「父さん、母さん……ごめんよ」と言って、気を失う。はい、俺は気絶な。
【GM】 了解。リザロークは?
【リザローク】 「すまない。しばらく、ひとりにしてくれ」と言って会議室を出て、自分の部屋に行く。
【GM】 それじゃ、気絶したアイザックも、自分の部屋のベッドに運ばれたと。では、何時間か経過させましょう。情報を聞いたのが朝だったので、いまは昼過ぎ。アイザックが目を覚ますと、そこにハックがいます。ハックは「ベリーが、まだカリーニョ村で情報収拾してる。僕も、これからもう一度カリーニョへ行くんだ。……一緒に来るかい?」と、言ってくる。

無断出撃

【アイザック】 「行けるのか?」
【GM】 「もちろん。ラザラスには内緒だけどね」と、片目をつぶる。
【アイザック】 よし、じゃあ、リザロークも誘おう。5号室へ行く。
【GM】 すると、リザロークはベッドに伏せて泣いていた(笑)。
【アイザック】 「──かくかくしかじか──というわけだ。一緒に行こう!」
【リザローク】 「ああ、このままじゃいけない! 妻や娘たちのためにも、明日に向かって生きなくちゃいけないんだ」って、単純やな〜。とりあえず、『じつは生きていた』という設定を期待して(笑)。
【アイザック】 とにかく、カリーニョ村を見てみたい。それに、家族や村人の遺体が野ざらしにされてるなら、弔ってあげたいしね。
【リザローク】 食料は? 支給してもらえるんだろ。
【GM】 配給には、リーダーであるラザラスの許可がいるよ。ラザラスに内緒で出かけようというのに、許可を取りに行くのかね?
【アイザック】 じゃあ、「ハック、食料は持ってきてくれてるのか?」と聞く。
【GM】 「僕の分はあるよ」
【アイザック】 「わかった。それを3人で分けよう」
【GM】 「これは貸しだからね」
【リザローク】 ところで、どうやって本部から抜け出るんかな。また、滝の裏の出口?
【GM】 いや、どうやら、滝の裏とは違うところをめざしてるようです。天井から滴がピチョン、ピチョンとしたたる地下道をどんどん進んで行くと、やがて、真上に穴が開いてる場所にやって来た。そこには梯子がかけられていて、キミたち3人はそれを昇っていく。梯子を昇りきったところで、ハックが天蓋を左右に引き開けた。すると、地上の光が差し込む。
【リザローク】 ここからも外に出られるのか。
【アイザック】 よし、地上へ出よう!
【GM】 ちなみにその出入口は、普段は何でもない茂みにカモフラージュされてるんやけど、使用するときは茂みが左右にパカっと分かれて、地下への口を開けるようになってるみたいだね。
【リザローク】 さすがは秘密基地。
【アイザック】 じゃあ、ハックに案内してもらおう。さすがに街道を通るわけにはいかんやろから、裏道を通って行きたい。
【GM】 それは賢いね。では、キミたちは竹林の中を疾駆して行きます。ちなみに、半日ほどでカリーニョ村に着けるよ。つまり、順調に行けば、真夜中に到着することになる。
【リザローク】 「順調に行けば」って、なんか引っかかる言い方だな。
【アイザック】 『虎の王国』だけに、虎がおったりするんや。「ハック、この辺って虎が出るんじゃないのか?」
【GM】 「虎はいっぱいいるらしいよ。僕は出会わなかったけどね。でも、虎より山賊のほうが厄介だよ」
【リザローク】 山賊?
【GM】 そう、山賊。キミらが税金の輸送を頼まれたとき、村長から聞いたやろ。「最近は何かと物騒だ」と。この辺りを根城にしてる山賊一団がいるらしい。
【アイザック】 なるほどな。
【GM】 では、小休止などを織りまぜつつ行脚すること8時間後、真夜中になりました。今日も空には月がでていて明るいですが、竹林の中なので、明かりなしで進むのはかなり難しいでしょう。
【リザローク】 んじゃ、たいまつに火をつける。
【GM】 OK。しかし、そうして進もうとすると、キミたちの行く手を塞ぐように、パラパラと矢の雨が降ってきた。
【アイザック】 横っ飛びで転がりながらそれを回避して、「な、なにぃ!?」。
【GM】 ハックが「囲まれたみたいだ!」と言う。そうすると、あちこちの茂みから人相の悪いゴロツキが6人姿を現す。「へっへっへ、おめえら、金目の物を置いていけ」
【リザローク】 いわゆる山賊だね。
【アイザック】 俺らの戦略としては、囲みの薄いところを突破して逃げる!
【リザローク】 あるいは、まとまって追いかけてくる山賊たちに〈スリープ・クラウド〉をかます!
【GM】 突破は困難やと思うよ。囲まれてるんやから。ま、誰かが突破口を開いたら、ひとりぐらいは離脱できると思うけど。
【リザローク】 じゃあ、オレとハックで山賊を何人が引き受けるから、アイザックは戦線を離脱してくれ。で、〈スリープ・クラウド〉をかけてくれたらええ。
【アイザック】 なるほど、キミごと〈スリープ・クラウド〉をかけろ、ってことやな。
【リザローク】 そういうこと。じゃ、GM、そんな感じでよろしく。
【GM】 ハックとリザロークが山賊を引き受けてるので、アイザックは何のペナルティもなしに戦線離脱できた。そして、ハックの行動。攻撃してはずれ。次はリザローク。
【リザローク】 たいまつを捨てて[パリィ(防御姿勢)]。たいまつ捨てても大丈夫?
【GM】 そうやな。地面に積もる枯れ笹は、湿気てるやろし、山火事みたいなことにはならないでしょう。ホントはカルファン地区の冬はすごく乾燥するから、火の元にはじゅうぶんな注意が必要なんやけどね。
 そんじゃ、山賊の攻撃。ハックに山賊A、B、Cが、リザロークに山賊D、E、Fが攻撃する。おっと、リザロークは回避できたけど、ハックはダメージをくらったようだね。「いてえ!」
【リザローク】 戦闘終わったら〈キュアー・ウーンズ〉してやるから、[パリィ]でなんとか耐えろ!
【GM】 「わかった!」。ハックは[パリィ]してます。
【リザローク】 オレも[パリィ]。さあ、アイザック、〈スリープ・クラウド〉だ!
【GM】 リザロークやハックはもちろん、山賊たちも全員が効果範囲に入るよ。
【アイザック】 よっしゃ。山賊が全員範囲に入るなら、OK。全員に〈スリープ・クラウド〉〜、(ころっ)山賊A、B、D、Fが寝た!!
【GM】 じゃあ、リザロークもレジストしてくれ。(ころっ)ちなみにハックは、眠ってしまったよ。
【リザローク】 (ころっ)ぎりぎり成功! あ〜、わたしは起きています。
【GM】 それでは、山賊C、Eの行動。山賊Cは眠ったハックに攻撃。どうやらこれは、とどめになったようだね。では、オープン・ダイスで[生死判定](ころっ)1ゾロ。
【アイザック】 なにぃ?!
【リザローク】 オープン・ダイスなんて見えない(笑)。何が起きたんだ。
【GM】 ちゃんと目を開けて見据えなさい、現実を。
【リザローク】 うそォ……一撃で死ぬかぁ?
【GM】 一撃じゃないよ。最初のラウンドにダメージ受けてたやん。
【リザローク】 そんなん、さっさと逃げればよかってん。
【GM】 逃亡するためには、アイザックのように誰かに敵を引き受けてもらわんとな。つーか、「[パリィ]で耐えろ」と言ったのは、どこの誰?
【アイザック】 ……しくじったな、作戦ミスや。
【リザローク】 いや、敵がちゃんと眠ってくれてたら、うまくいってたはずや。
【GM】 とりあえず、山賊Eはリザロークに攻撃……はずれた。
【リザローク】 くそっ、ハックの仇ぃ〜!!

 リザロークの怒りの攻撃が炸裂し、山賊どもは全滅させられた。しかし、その代償は、あまりに大きい……。

【リザローク】 山賊の財布や特別な剣をあさろう。
【GM】 財布を持ち歩く山賊なんか聞いたことないし、特別な剣なんて持ってないよ。
【アイザック】 俺はハックの亡骸に駆け寄って、「ハック〜!」と抱き起こす(笑)。……完全に死んでるのか?
【GM】 死んでる。アイザックの腕の中で、ハックの身体は、徐々に冷たくなっていく。騒乱が去った竹林を風がなぶり、笹と笹がざわめく音、青竹と青竹が打ち合わされる甲高い音が静寂に響く。生命を失くした髪が風に揺れ、たいまつの火に照らされてもなお青白い血の気の失せた顔は、眠っているかのような穏やかな表情。そりゃそうや、眠らされてたんやからね(笑)。
【アイザック】 しゃあない。この場で埋葬しよう。「ぼ、ボクは取り返しのつかないことをしてしまった……」
【リザローク】 「ハック、キミの死は無駄にはしない」
【GM】 さて、これからどーすんの?
【アイザック】 あと4時間で、カリーニョ村やろ。無理してでも行くよ。
【GM】 了解。そんでは4時間後、キミたちはカリーニョ村付近に到着しました。村の近く──竹林の終わりにいるからね。ちなみに、現在、夜中の2時です。
【リザローク】 そこから村の様子は見える?
【GM】 いくつもかがり火が焚かれているけど、細かいところまでは見えない。カルファン王国の兵士がたいまつを持って、たくさんうろついているのは確認できる。
【アイザック】 闇に紛れてひとりずつ殺していきたい。
【リザローク】 とりあえず、村に近づけないかな。
【GM】 村の周囲は開けてるので、近づこうとすれば、即座に見つかる危険があるでしょう。見つからずに最も近づける場所は……そうやな、竹林と村の間、どっちかというと竹林よりの場所に、茂みがひとつある。
【リザローク】 そこへ行って隠れる。
【GM】 じゃあ、キミらがその茂みに身を潜めようとすると、「うわっ!」と驚いたような声がします。先程死んだグラスランナーとそっくりな声。
【リザローク】 すばやくそいつの口を塞ぐ。「落ちつけ、ベリー」
【GM】 「モゴモゴ……」ってありがちやな。口を塞がれたベリーは、リザロークの掌をペロペロとなめる(笑)。
【リザローク】 やめろ〜! 手を放す。
【アイザック】 そんで、それこそ「落ちついて聞けよ」やな。「ハックが死んだ」
【GM】 「何だって!?」キミらの胸ぐらを掴んで、がくがくがくと揺する(笑)。
【リザローク】 あ、あれは不幸な事故だったんだ!
【GM】 事故か? あれを事故と言っていいのか?(笑)
【アイザック】 で、ベリーはここで何をしてんの?
【GM】 ハックを待ってたんだよ。じつは、彼らがガーヴェンに案内するはずだった、メカリアから来た武器職人たちが、宿屋に捕らえられているんやね。で、それを奪回するべく、ハックは応援を呼びに本部へ戻ったわけ。

捕らわれのリザローク

【アイザック】 応援を呼びに来てたのか!
【GM】 そう。でも、人手不足で新人ふたりを確保するのがやっと。ちなみにリーダーは、ハックから話を聞いて、キミたちを連れだす許可を出してるよ。
【リザローク】 それやったら、別にコソコソ出かけんでもよかったんちゃうん。
【GM】 こっそり出かけることにしたら、食料とか給料とか配給せずにすむやんか。物資は節約せんといかんからね。
【アイザック】 俺ら、ハックとリーダーにしてやられたわけやな。で、ベリーに聞くけど、ここは安全なのか?
【GM】 「うん。とりあえず、ボクは見つからなかったよ」
【リザローク】 そりゃ、あんたは小さいから。
【アイザック】 まあ、大丈夫だと信じて、とりあえず、精神力を回復させるために、俺は寝たいんだけど。
【GM】 「えー? でも、奪回作戦は夜のほうがよくない?」
【リザローク】 どういう作戦を立ててるのかな? 聞かせてくれ。
【GM】 「それは、ハックと相談しようと思ってたんだ。いや、ボクも考えてたんだけどね。アハハハ」
【リザローク】 笑えるのか、こんな状況で!(笑)
【アイザック】 わかった。じゃあ、作戦を立てよう。村の中の様子がどんな感じか、教えてくれ。兵士の配置とか。
【GM】 「うん、ボクは村の中をまだ見てないんだ。ハックは偵察に行ったけどね」
【リザローク】 そんとき、中の様子を訊ねんかったんかい!
【GM】 「うん」
【リザローク】 あんた、最悪やな(笑)。
【GM】 「職人たちが捕らえられていることは、聞いたけどね」
【アイザック】 ところで、村から引き上げた兵士の数はわかるか? 村に派遣された兵士の数はわかってるから、それでだいたい何人ぐらいの兵がいるか、見当つくだろう。
【GM】 「村から出てった兵は見なかったよ。明日、帰るんじゃない?」
【アイザック】 とすると、村には80人ほどの兵士がいるわけか。
【リザローク】 村人は全滅?
【GM】 そう考えてもらって、かまわない。たぶん、キミたちの家も、カルファン兵たちに勝手に使われてるんだろうね。
【アイザック】 何にしろ、正面から行くわけにはいかんよな。精神力の回復はあきらめて、夜陰にまぎれて侵入するしかない。見張りの隙を見て、忍び込もう。自分の村だ、地の利はこっちにあるはず。
【リザローク】 職人たちは、どこに捕らえられてるんやろ?
【アイザック】 たぶん、サッツィーの宿か、村長の家だと思う。少なくとも、見張りが厳重に立てられてる建物が怪しいやろな。
【リザローク】 ま、どちらにしろ、村に入って調べるしかないか。
【アイザック】 とりあえず、見張りの兵士をふたりほど殺っちまおう。それで兵士の装備をいただく。
【リザローク】 〈スリープ・クラウド〉のほうがよくないか? 殺そうとすると、騒ぎが起きてしまうかも知れんし。
【アイザック】 〈スリープ・クラウド〉か……あと、2回使える。
【リザローク】 ソーサラーの魔法はもうちょっと使えたほうがいいよな。〈キュアー・ウーンズ〉は、ひとりにつき1回分あればじゅうぶんやろ。じゃあ、精神力を6点ほど送るわ。
【アイザック】 サンキュー。
【リザローク】 これで〈キュアー・ウーンズ〉は2回しか使えんからな、あんまり負傷とかすんなよ。
【GM】 (ころっ)そうこうしてるうちに、キミたちが隠れている茂みのほうへ、警邏中の兵士がひとり、用を足しに来ます。
【アイザック】 よしよしよしよし! 〈スリープ・クラウド〉や。
【リザローク】 いや、ひとり相手なら、無駄に精神力を使わんでもええやろ。わざと見つかって、奥の竹林のほうに誘い込むという手もある。
【アイザック】 でも、騒がれたりしたら、困るぞ。だいじょうぶ、さっき精神力を分けてもらったから、少しは精神力に余裕がある。〈スリープ・クラウド〉(ころっ)効いた。
【GM】 兵士はパタっと倒れて、いびきをかきはじめた。
【アイザック】 そいつの足を掴んで、茂みに引きずり込む。で、着てる物を脱がした後、首をダガーで切ってとどめを刺すんだ。ほれ、リザローク、こいつの装備を着ろ。
【リザローク】 オレに変装しろというわけだね。その兵士って、オレと顔が似てるの?
【GM】 いや、ぜんぜん似てないけど。
【アイザック】 そんなの気にせんでもええねん。だいたい、80人からの顔、いちいち覚えてると思うか? それにこの兵士、下っぱの奴とちがうの。
【GM】 まあ、着てるものが量産型のスプリント・アーマーやから、身分の高い者ではないやろね。
【アイザック】 こいつに化けて、もうひとり兵士を殺して身ぐるみ剥いでくれ。
【リザローク】 わかった。じゃあ、変装する。で、他の兵士を大声で呼んでみよう。
【アイザック】 ここに呼ぶのか!? 危ないことするなぁ。
【GM】 (ころっ)それじゃ、ふたりの兵士がたいまつを掲げてやって来たよ。ちなみに、片方のヘルメットには角が生えてるからね。
【アイザック】 ああ、きっと兵士長クラスや。最悪や。
【GM】 「何事か?」「こんなとろで何をしている。どこの部隊のものだ」
【アイザック】 しゃあない、〈スリープ・クラウド〉! (ころっ)うげっ、失敗!
【GM】 それじゃあ、兵士たちは茂みの中のアイザックにも気づく。「くせ者だッ! であえ、であえーい!」と叫び、笛をピーっと鳴らす。すると、村のほうから御用提灯が一重二重でやって来る。「御用だ、御用だ!」
【アイザック】 その間にもう、俺は逃げてるよ。竹林にな。
【GM】 その前にベリーは逃げてたりする(笑)。
【リザローク】 じゃあ、オレは兵士になりすまして、「早く追いかけろ!」と他の兵士たちに言う。
【GM】 ちなみに、新たに来た兵士の数は6人ね。じゃあ、笛を吹いた兵士と、新手のうち3人がアイザックたちを追いかけて行った。この場に残ったカルファン兵は4人ね。で、角つきメットの兵士は、うさんくさそうな顔でリザロークを見る。「あいつらは何者だ?」
【リザローク】 「わからない。怪しい奴らがここにいたから、キミたちを呼んだんだ」
【GM】 「あいつらがここに隠れていると知ったから、オレたちを呼んだのか?」
【リザローク】 「そうだ」
【GM】 「どうも引っかかるな。なぜ、奴らは駆けつけたオレたちに攻撃を加え、すぐそばで大声で助けを呼んだ貴様には攻撃しなかったんだ? おい、おまえの所属はどこだ。隊長の名前を言ってみろ」
【リザローク】 はぁ……?
【アイザック】 「最近、入隊したばかりだから、隊長の名前は覚えてないんスよ」と言えばええねん。
【リザローク】 じゃあ、そう言う。
【GM】 「ずいぶんと頭の悪い奴だな。しかし、これは覚えてないとは言わさんぞ。『虎の牙は』」
【リザローク】 は??
【アイザック】 合言葉か!
【リザローク】 そんなん、知ってるわけないやんか〜! 3択にしてくれ。
【GM】 敵味方を区別する合言葉が、選択問題になるはずないやろ(笑)。じゃあ、言葉に詰まったリザロークは、ふたりの兵士に取り押さえられた。
【リザローク】 「オレは昨日来たばかりで、そいうことは教えられてないんだ〜!」
【GM】 もはや、聞く耳は持ってもらえない。角つきは兵士たちに「連れて行け」と命じた。この後、もちろん、茂みの中は調べられるからね。
【アイザック】 殺した兵士の死体が見つかるわけか。
【GM】 それでは、リザロークは村に連行された。で、竹林に逃げ込んだアイザックだけど、とうぜん、辺りは真っ暗ですよ。
【アイザック】 とりあえず、あんまり動き回らんほうがいいから、適当なとこを見つけて隠れる。真っ暗ってことは、あっちからも見つかりにくい、ってことやから。
【GM】 しかし、たいまつを手にした兵士たちは、怪しそうな茂みを槍でつつきながら捜査してる。じゃ、ダイスを2個振って。出目が4以下なら、運悪く槍に刺されてしまったことにしよう。
【アイザック】 (ころっ)5!
【GM】 じゃあ、目の前を槍の白刃が通り抜けた。鼻の頭ぐらいはかすったかもね。
【アイザック】 口を押さえて、声を立てそうになるのをこらえる。
【GM】 兵士たちは気づかず、向こうに行ってしまったよ。
【アイザック】 助かった〜。OK、OK。
【GM】 ぜんぜんOKじゃないのは、リザローク。リザロークの連行先は、村の中の一軒──そうや、キミの家にしよう。妻や娘の思い出が詰まった、実家に連れ込まれたよ。もちろん、いまはカルファン兵たちが使ってるからね。リムが娘の将来のために、秘かにコツコツとためていたヘソクリも、カルファン兵たちの手に渡っている。
【リザローク】 そういうのは、見つかりにくいところに隠すと思うんだけどな〜。
【GM】 もちろん、ロクでなしの夫に見つからないように隠してた。でも、家中、あさられたんだからしょうがない。ま、キミたちが遺跡や他人の家でやってるようなことを、やられただけのことさ。
【アイザック】 ぐうの音も出ない……。
【GM】 角つきは、テーブルの上に足を載っけて酒を飲んでる髭ヅラの男に敬礼し、「怪しい者を連行しました」と報告する。
【アイザック】 そいつ、角つきよりまだ偉いんか。
【GM】 角つきは兵士長。髭ヅラは騎士で中隊長。髭ヅラはリザロークをジロリと睨み、「何者だ、こいつは? 我が兵卒のかっこうをしているようだが」と迫力のある声で言う。角つきは事情を説明する。
 そのとき、ひとりの兵士が入ってきて、角つきに何か耳打ちした。角つきはうなずき、髭ヅラに言う。「先ほど、村はずれの茂みの中で、我が軍の兵士と見られる者の死体を発見したそうです」そしてリザロークに向かい、「貴様がやったのだな?」と言う。
【リザローク】 どうしたろっかなぁ……。「オレの隊長の名前は、タクラマカン・ソーサンだ」と言う。
【GM】 じゃあ、「質問に答えろ!」と殴られた。第一、そんな名前の騎士はいないよ。
【リザローク】 おかしいなぁ、たしかにそんな名前だったはずなのに。「ある場所に行けば、そのひとに会えるから」と言って、案内しようとするよ。何人、ついてくる?
【GM】 何を言ってますのや? そんな名前の隊長はいない、って言ってんのに。キミが家から出ていこうとすると、また殴られた。つーか、今度は縛り上げられたよ。
【アイザック】 どんどん墓穴を掘っている……。ってゆーか、人質が増えてしまってるやんけ。ああ、いったんレジスタンス本部に戻って、作戦の立て直しや! 少し危険やけど、〈ライト〉を唱えて、夜道を走る。
【GM】 わかった。ちなみに、もうあと1時間ほどで、夜が明けるからね。では、アイザックは救援を求めて、ガーヴェンの秘密基地をめざす。果して間に合うか! リザロークの運命はいかに!? ってところで、続きはまた今度。
【アイザック】 友のために走る俺。なかなか、かっこいいじゃないか(笑)。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2001 Jun Hayashida
Map ©2001 Moyo
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