▽ 正義の冒険者たちの事 | ▽ レギト王子の告白の事 | ▽ ティガー対レギトの事 |
【ティガー】 じゃあ、魔術師ギルドに行って、フクロウ親父に「王子が殺すって言うてたよ」って、教えてあげる。
【GM】 では、ティガー、ファンリー、ジーネの3人は、“野蕗通り”を魔術師ギルドに向けて走る。
王城前広場への道と交差するT字路のとこで、ちょうど、魔術師ギルドから帰ってくるシルヴィア、メイユールと出会った。
【ティガー】 「なんで帰ってくるのん?」って聞く。
「フクロウ親父は?」
【シルヴィア】 「アルヌーさんは、城にいるらしいよ」と、答える。
【ジーネ】 いちおう、廃屋で[聞き耳]した内容を、ふたりにも教えとこか。
【メイユール】 じゃあ、早めにアルヌーさんに教えに行こう。
【シルヴィア】 ギルドの連中が、いつアルヌーに連絡を入れるかわからないしね。
【メイユール】 手遅れにならないうちに。
【ティガー】 それじゃあ、城に行く〜。
【ジーネ】 私らが城に行ってる間に、シルヴィアの使い魔のフクロウを、例の廃屋が監視できるあたりに飛ばしておいたら?
【ティガー】 フクロウは夜目もきくし。廃屋の場所は教えるから。
【シルヴィア】 じゃあ、GM、フクロウをレギト王子のいる廃屋の近くに飛ばしていい?
【GM】 いいよ。使い魔は、話に聞いた廃屋の向かいの建物の屋根にとまった。
なかなか大きな屋敷やね。昔は、裕福な一家が住んでいたに違いない。
ふと、廃屋の庭で、1匹のネズミがちょろちょろしてるのに気づいた。使い魔は、ネズミを捕らえたい衝動に駆られる。
「ご主人様、あいつ、捕まえていいですか!?」
【シルヴィア】 ダメ。
【GM】 なら、使い魔は必死にがまんする。
【ティガー】 「見ないふり、見ないふり」(笑)。
【GM】 目をつぶって天を仰いで、懸命に野性の本能と戦っている。
【シルヴィア】 ちゃんと見張ってろ〜!(笑)
【GM】 さて、シルヴィアのフクロウが健気にがんばってる間に、キミたちは王城の前までやって来た。
堀にかかる跳ね橋の前で、警護の衛兵ふたりが、ハルバードを交差させて、キミたちの行く手を阻む。
「こんな時間に、何の用かね?」
【シルヴィア】 「アルヌーさんに、火急に知らせなければならないことがあるんです」
【ティガー】 「フクロウ親父が死ぬかも知れへんねん。だから、通せ!」
【GM】 「そんなこと言われてもねぇ。にわかに信じられないよ」
【シルヴィア】 じゃあ、アルヌーさんが持ってた、ウソを看破する魔法の玉を借りてくることは可能?
「その玉で、僕たちを試せばいい」と、言う。
【GM】 なら、衛兵たちは顔を見合せ、「そこまで言うのなら……」と、衛兵長に相談しに行くことになった。
しばらくして、偉そうな口髭を生やした衛兵長が、キミたちのところにやってきた。
「キミたちの話を聞いてあげるから、城の中の警備兵の詰所へ来なさい」とのこと。
【メイユール】 やった。
【シルヴィア】 まずは第1関門突破やね。
【ティガー】 魔法の玉は?
【GM】 警備兵の詰所に、アルヌーさん自ら、わざわざ持って来てくださってるらしい。
部屋に入ると、テーブルの前に、アルヌーさんが座って待っていた。もちろん、テーブルの上には、例の魔法の玉が置かれているよ。
【ティガー】 玉を見て、「懐かしい〜」って思っとこ。
【GM】 じゃあ、玉に手を置いてください。
【ティガー】 うい〜。「オムライス嫌い」って、言ってみる。
【GM】 すると、魔法の玉はピカっと赤い光を放った。
【ティガー】 わーい(笑)。
【ジーネ】 そんなことやってたら、信用なくすでしょう! ホントにもう。
【ティガー】 「乞食、金持ち」って言う。
【GM】 魔法の玉は光らない。
【ティガー】 おおー、さすが!
【GM】 アルヌーや衛兵長は困惑してるよ。「乞食が金持ち??」
【ティガー】 「うん。ふかふか」
【メイユール】 わたしらも、「何のことやろ?」って思うやろな(笑)。
【シルヴィア】 乞食のことを知ってるのは、ティガーとファンリーだけやから。
【ティガー】 ふたりで、「この玉、すごいなぁ」って笑ってる。
「ふかふかやったもんな〜」
【ジーネ】 ジーネは、「何をしとったんや、あいつら」って思う。
【ティガー】 「あんな、橋の下の乞食の家で、ごちそうになっててん。
その乞食、盗賊ギルドの偉い奴で、めっちゃ金持ちなんやんか」
【GM】 アルヌーは、「ははぁ。彼の家に行ってたんだね」と、うなずいた。
【メイユール】 その乞食を知ってるんか。
【ティガー】 「でな、メシ食ってたら、ギルドに人間が来て、『レギト王子がアルヌーを殺そうとして、大勢で集まってる』って言うてたのを、聞いてん」
【GM】 魔法の玉が光らないので、アルヌーやそばにいた衛兵長は、驚いた。
【ティガー】 「あ、でも、乞食が金持ちってことは内緒な」って、言っておく。
【シルヴィア】 廃屋でじっさいに王子の声を聞いたファンリーも、証言してみれば?
【GM】 なら、ファンリーは玉に手を置いて、レギト王子が「アルヌーを討つ」と言ってたのを聞いた、と証言した。
もちろん、魔法の玉は光らない。
【ジーネ】 しかし私ら、なんでここまでして、このじいさんを助けようとしてるわけ? このじいさんが死んだところで、私らは別に腹が痛むわけでもないのに。
【シルヴィア】 今、ひとが死ぬかも知れないような事態になってるのを、僕らは知ってしまったんやで?
正義感で動いてるに決まってるやん。
【メイユール】 義憤に駆られて、体が勝手に動いてるんやな。
【ティガー】 おお〜、かっこいい。
【ジーネ】 ティガーが余計な情報を持ってこなければ、こうやって動くこともなかったんだよっ!
【ティガー】 だって、聞いてしまってんもん。
……ジーネとシルヴィア、司祭役を交代すれば?
【GM】 たしかに(笑)。
至高神シルファスは、法と秩序を重んじる正義の女神なんやから、信仰の道義からはずれた言動は、なるべく慎むようにね。あまりにひどいと、シルファスはジーネの声に応えてくれなくなるかもよ。
【ジーネ】 きっとシルヴィアは、レギト王子が気に食わないんだな。王子の邪魔をしたいだけやねん。
【シルヴィア】 それはジーネだけだよ(笑)。
【メイユール】 じつはわたしも、シルヴィアと同じ動機で行動してる……のよ(笑)。
【ジーネ】 少なくとも、ティガーは王子を嫌ってたよね。
【ティガー】 つーか、カルファンの騎士を死なせたくないねん。
【GM】 じゃあ、ファンリーが、ティガーにビッと親指を立ててくれるよ。
【ティガー】 イエー!
【シルヴィア】 それでアルヌーさんは、どういう対応するつもりなん?
【GM】 そうやね。罠をしかけて待ち構えようか、と考えてるみたい。
【ティガー】 こっちから乗り込もうや。先手必勝!
【ジーネ】 だから、後はじいさんたちに任せとけばいいじゃん。なんで、そう首を突っ込みたがるの?
【シルヴィア】 それが冒険者というものやから。
【ティガー】 アルヌーたちは、レギト王子が罠にかかったら、殺してしまうやんな?
【GM】 まあね。容赦する必要はない、と考えてるよ。
【ティガー】 だから、俺らが廃屋に行って、王子たちを捕まえるねん。
【ジーネ】 捕まえたって、けっきょく一緒じゃないの? 最後に死刑にされるなら。
【ティガー】 俺らが捕まえたら、「逮捕してやったから、こいつらの命だけは助けてやってくれ」って、言えるやんか。
【シルヴィア】 アルヌーに恩を売って、王子たちの命乞いをしてあげるんやね。
【ジーネ】 そこまでする必要があるかぁ〜?
【メイユール】 ティガーはやさしい子やねん。ちょっと惚れるかも。
【GM】 すると、その気配を感じたファンリーが、心配げにメイユールを見てたりして(笑)。
【メイユール】 あははは!(笑) 単にミーハーなだけやし、すぐ飽きるよ。
【シルヴィア】 それじゃあ、廃屋に乗り込むか。
あ、報酬はちゃんといただきますよ。それは別問題やからね。
【GM】 もちろん。この情報をもたらしてくれただけでも、じゅうぶん褒美に値する。後ほど、ふさわしい恩賞をいただけるよ。
【ティガー】 じゃあ、廃屋に行く〜。
【GM】 衛兵も大勢ついてくるよ。相手の数も多いし。
【ティガー】 いいけど、カルファン騎士や、前髪王子を殺したらアカンで。
【GM】 「承知した」「善処します」──などと言ってるうちに、例の廃屋にやって来た。
見張っていたシルヴィアのフクロウは、館に異常を見出していない。
【メイユール】 王子たちの襲撃の予定は、明け方だっけ? 今の時間は?
【GM】 真夜中の1時ぐらい。
【シルヴィア】 なら、まだ中に潜んでると考えていいね。
【GM】 衛兵たちは、万が一にも取り逃がさないよう、廃屋をぐるりと囲んだ。
【ティガー】 俺らは中に踏み込む。
【GM】 キミたちの他に、11人の衛兵も一緒に突入するよ。
【シルヴィア】 ティガーとジーネは、いつもどおり前に出るの?
【ティガー】 出る。
【ジーネ】 出るしかないよな〜。
【シルヴィア】 じゃあ、〈プロテクション〉をかけておこうか。ふたりとも、普段着で来てるし。(ころっ)ちょっと危なかったけど、かかった。
ついでに、ティガーの剣に〈エンチャント・ウェポン〉しておくよ。(ころっ)
【ティガー】 よし、いちばんに飛び込む。
【メイユール】 じゃあ、ティガーの次に。
【ジーネ】 私が3番目になるのかな。
【シルヴィア】 僕は最後についていく。魔術師やし、乱戦には巻き込まれたくないからね。
【ジーネ】 ファンリーはどうするの?
【ティガー】 前に出てきてほしくない。
【GM】 なら、ファンリーは、シルヴィアと一緒に後方にいよう。
では、キミたちと衛兵たちは、レギト王子が潜伏する廃屋に突入した。
家具も何もない広い居間に、レギト王子とカルファン騎士4名がいる!
【ジーネ】 広い、ってどれくらい?
【GM】 大人数が剣を振り回せるぐらい(笑)。
【シルヴィア】 王子に協力する、冒険者くずれたちの姿は?
【GM】 ここにはない。
【ティガー】 じゃあ、俺らが王子たちを相手にしとくから、衛兵たちは、他のならず者を見つけ出してきてよ。
【GM】 「承知!」と、衛兵たちは別の部屋に向かった。
……どうやら、そこでならず者と遭遇したらしく、ほどなくして、怒号や剣戟が聞こえてきた。
【メイユール】 あ、戦う用意をしてたんか、そいつら。
【ティガー】 ひょっとして、来るのわかってた?
【GM】 いや、出撃するつもりでいたところに、キミたちが踏み込んだだけ。
【メイユール】 そっか。
【ティガー】 じゃあ、王子も準備完了?
【GM】 まあね。ただ、「な、なにぃ!? バ、バカな!」と驚いてるけど。
そして、「無礼者っ、余を誰だと心得る!」と、前髪を逆立てて怒ってるよ。
【ティガー】 あのひとは? 森で一緒に掃討作戦をやった──。
【GM】 ペドロ・チャベスなら、王子を守るようにして立ってる。もちろん、ツヴァイハンダーを抜いて構えている。
「小僧、おまえか!」
【ティガー】 俺も剣を構える。
で、ペドロに「そこをどけ」って言う。
【GM】 「それはできん。王子をお守りするのが、我らカルファン騎士の務めだからな」
【メイユール】 また、ドラマや。ドキドキして見とく(笑)。
【ジーネ】 しかし、ホントに前髪は王子なのかしら。
【シルヴィア】 自称王子かも知れないね。
【GM】 少なくともカルファン騎士たちは、前髪をレギト王子と信じてるよ。
ペドロの他に、カルファン騎士3名がティガーの前に立ちはだかる。見るからに気性の荒らそうな無骨者のA、若い剣士のB、右目に黒い眼帯をあてたベテランのC。
「王子、今のうちにお逃げください!」
【ティガー】 え? 逃げる気?
【GM】 そうみたいやね。ペドロに匿われつつ、屋敷の奥へ行こうとしてる。
【ジーネ】 外に出たって囲まれてるのに。
【シルヴィア】 気づいてないんやな。
【ティガー】 じゃあ、教えてあげるわ。外に出ても無駄ってことを。
【GM】 「うぬっ」
「しかし、我らの命を楯にしてでも、王子は逃がしてみせる」
【ティガー】 じゃあ、ペドロに、「おまえが守らなくちゃいけないのは、その前髪王子じゃないぜ」って言う。
【メイユール】 おお?? どういうこと?
【GM】 「何を言う。我が命は、レギト王子に捧げたもの。我が主君への侮辱は、許さんぞ」
【ジーネ】 それとも、レギト王子は他の場所にいる、ってこと?
【ティガー】 ずっと前に、王子の見た目は20代半ばの優男、って言ってたよな?
「レギト王子は、17歳だ」
【GM】 王子は「見た目を言うな!」と、怒る。
「オレは17歳だ」
【ジーネ】 老け顔なんやな。
【GM】 すると、別の部屋で戦っていた若い衛兵が顔を出し、「そうだ、見た目を言うたらいかん。オレも足が短いと、何度バカにされたことか」と、口をはさむ。
さらに別の部屋から中年のならず者が顔を覗かせ、「そうだ、そうだ。ハゲのどこが悪い!」と憤る。もちろん、そのひとの頭はまばゆいよ。
【ティガー】 知らんわっ!(笑)
【メイユール】 すごい。精神的な戦いや(笑)。
【ティガー】 カルファン騎士の攻撃を回避できたら、王子に近づくことはできる?
【GM】 ティガーの前には、A、B、Cがいるからなぁ。仲間がカルファン騎士を受け持ってくれるのなら、可能やね。
ただし、レギト王子の前にはペドロがいるよ。
【ティガー】 じゃあ、ペドロのところまで行くから、誰かA、B、Cを受け持って。
【ジーネ】 私が前に行こう。モーニングスターを構えます。
【GM】 来たな(笑)。モーニングスターを、ぶるんぶるん振り回しながら。
【シルヴィア】 また、脳ミソを吹き飛ばしに行った。
【メイユール】 「次の獲物だぁ〜」(笑)
【ティガー】 「へっへっへ。後〜頭〜部っ!」(笑)。
【ジーネ】 そんなこと、せぇへんわ〜!
【ティガー】 カルファン騎士を殺したらアカンで?
【ジーネ】 わかってるよ。今回は武器を構えたまま、[防御専念(パリィ)]しとく。
【ティガー】 じゃあ、俺はカルファン騎士を突破する。
【GM】 カルファン騎士Aが、ティガーに攻撃──かわされたね。
では、ティガーはペドロの前まで来た。
「やるな、小僧!」
【メイユール】 カルファン騎士B、Cの行動は?
【GM】 もちろん、防御しているジーネに攻撃。──だけど、避けられてしまった。
【シルヴィア】 僕は、居間の様子が見えるところに移動。いつでも魔法で援護できるように。
【GM】 そのそばに、ファンリーがいる。
【メイユール】 私は防御したまま、ドラマを見つづける。
【ジーネ】 そればっかりかぃ!
【メイユール】 だってぇ〜。ティガーがどうするのか、気になるんやもん(笑)。
【GM】 では、第3ラウンド目に移行しよう。
【ティガー】 「ヘタな芝居はやめろ。偽王子」と、前髪王子に言ってやる。
「おまえに、『レギト』を名乗る資格はねえよ」
【GM】 「なんだとぉ!?」と、王子は怒る。
【ティガー】 「おまえは偽者だ」
【GM】 「えーい、だまれッ。ペドロ、殺っちまえ!」と、レギト王子は言う。
そう命令されたら、しかたない。
ペドロは、ティガーに斬りかかってくる。なるべくなら、殺したくないんやけどね。
【メイユール】 そうなんや。
【GM】 そりゃ、肩を並べて戦った仲やし。
【メイユール】 う〜ん、ドラマや。
【ジーネ】 私は、「投降しなさい!」と言いながら、カルファン騎士Aに攻撃。(ころっ)はずれてしまった。
【GM】 鎖の先についてるドリアンが、木の床を砕いてめり込む。
【ティガー】 怖い怖い(笑)。
【メイユール】 わたしは、防御したまま、なりゆきを見守る。
【GM】 そんなメイユールに、カルファン騎士Cが襲いかかる。
――この攻撃は当たって、ダメージ3点。
【メイユール】 いった〜。ゆっくりドラマが見られへんやんか!(笑)
【GM】 ジーネには、カルファン騎士A、Bが「なら、オレたちを逃がせ!」と怒鳴りながら、攻撃。
【シルヴィア】 「逃がせ」なんや。偉そうやな(笑)。
【GM】 騎士Aが攻撃を当てて、ダメージ1点。
【ジーネ】 〈プロテクション〉がかかっててよかった。
【GM】 ティガーには、ペドロ・チャベスが攻撃する──しかし、かわされた。
【シルヴィア】 僕は、居間の入口あたりで待機。
【GM】 では、第4ラウンド。
【ジーネ】 ティガーはさ〜、さっきからしゃべってるだけ? このラウンドも、何もしないおつもり?
【ティガー】 おしゃべりモードのままやで。
【メイユール】 わたしは観戦モード。
【GM】 でも、メイユールはカルファン騎士Cの攻撃を受けてるから、あまりゆっくり観戦してられないけどね。
【メイユール】 もう。一緒にドラマを見とこうよ〜。
【シルヴィア】 ムチャを言うたら、アカン(笑)。
【ジーネ】 というより、やばくない? あなたは修正なしで回避するんだし。
【GM】 それなら、ファンリーがメイユールのところに行こう。
「交代してください」
【ジーネ】 ファンリーが前に出るの!?
【GM】 ファンリーは、ティガーに買ってもらったショート・ソードを抜いて、スモール・シールドで身構える。「さあ、来い!」
【ティガー】 ファンリー、強い!
【シルヴィア】 酒が残ってるんかな……。
【メイユール】 じゃ、後ろにさがる。「任せたよ。すてきー☆」(笑)
【ジーネ】 見物ばかりしとらんと、ファンリーのことを気をつけてあげといてね。
【メイユール】 ところで、レギト王子は、なんで反乱を企てたんやろ? ちょっと尋ねてみるけど、答えてもらえる?
【GM】 「ならば答えてあげよう」と、王子は前髪をバサーっとはね上げる。
「聞くも涙、語るも涙の裏話を」
【ティガー】 どんな裏話やねん!(笑)
【ジーネ】 単に自分が実権を握りたかった、っていうだけでは?
【GM】 早い話が、そういうこと。まあ、ややこしい事情があるんやけど……。
レギト王子と宮廷魔術師アルヌーの間には、ある約束が交わされていた。
それは、「ゴルドが解放されれば、レギト王子が、ゴルドの新国王になる」というもの。
その条件にひかれて、レギト王子は、アルヌーの誘いに乗った。そして、そういう約束があったからこそ、アルヌーのいいように利用され、言うとおりに働いてきた。
しかし、その約束は、反故されてしまった。
明日の解放宣言で発表される新体制の政府のどこにも、レギト・グニク・イーニン・ハオトの名前がなかったのだ。
新しいゴルドの王位には、“暁の将軍”ヴィンケルホックの侵攻の際に命を落とした、ゴルドの前国王ピエル-ルイジ・シュレッサーの実弟、ジャン-ルイ・シュレッサーが就くことになっていた。
ジャン-ルイ王子は38歳の男性で、「ゴルド王家は断絶した」といわれる中、密かに生き延び、山賊団『隻眼の狼』の棟梁におさまっていたのだった。
【ジーネ】 山賊団!? 王子が?
【GM】 陥落するゴルドから逃れた後に、隻眼の狼の元棟梁を倒して、山賊どもを掌握したんやね。
【ジーネ】 なんでそんなことを……。
【GM】 もちろん、いつかゴルドを奪還するため。
同じく生き延びた宮廷魔術師アルヌーが、連合軍の協力で『ゴルド解放組織』を結成している、と知ったのは、かなり経ってからやったし。
連合軍は、邪神の眠る島のパワーバランスを保つため、何が何でもランダース軍をゴルドから追い出し、かつ、スパニアがゴルドを奪わないようにしたかった。
連合軍は、戦闘によって自軍の兵力の消耗を避けるため、補給線を遮断し、ゴルドを占領するランダース軍に対して、兵糧攻めを行うことにした。
だが、これでは、ランダース軍とともに、ゴルド国民も飢えてしまう。
歯がゆい思いのアルヌーであったが、連合軍の協力を得ている以上、ゴルド解放組織は、飢えるゴルド国民に救援物資を届けることができない。
そんなとき、アルヌーは、山賊団『隻眼の狼』の棟梁が、ジャン-ルイ王子だと知った。
アルヌーは、ゴルド解放組織が連合軍に全面的に従う形を作った上で、密かにジャン-ルイ王子と連絡を取り合い、『隻眼の狼』と対立する体を装いながら、ゴルド国民が飢えないよう、物資を届けるルートを確立させた。
【ジーネ】 ジャン-ルイ王子を解放組織の棟梁にしなかったのは、なぜ?
【GM】 ジャン-ルイ王子は、そのときすでに、山賊団を掌握してたから。さっきも言ったけど、表立って解放組織と山賊団が手を結んでしまうと、せっかく作った国民への補給ルートを失ってしまう。
【ティガー】 だから、補給の裏ルートはジャン-ルイ王子に任せて、ゴルドを解放する仕事は、アルヌーがやってたんやな。
【シルヴィア】 解放組織が連合軍と対等につき合うために、レギト王子を利用して。
【GM】 そういうこと。ジャン-ルイ王子の生存を確認しても、レギト王子にはそれを隠したまま、いかにも約束を果たすような感じでね。
【メイユール】 で、ゴルドは解放されたから、レギト王子は、用済みになったわけか。
【GM】 そう。それで、アルヌーとレギト王子がもめたんやね。
【シルヴィア】 じゃあ、この反乱のことも、ある程度、予測してたかも知れんわけやな。
【ジーネ】 なんや、アルヌーのほうが悪者やったんか。
【メイユール】 それはどうやろ。
【シルヴィア】 どういう目で見るかによるね。
【GM】 アルヌーはもちろん、レギト王子の4年に及ぶ働きに相応しい報酬を提示した。
何も、裸で砂漠に放り出そうというんじゃない。
それこそ、城1個買えるぐらいの、普通の人間が一生働いても手にできないほどの金額を示したよ。
【シルヴィア】 それで王位はあきらめてもらおう、と思ったんやな。
【GM】 ところがレギト王子は、テーブルをガーンとひっくり返した。
静まり返った室内で、床に散らばった金銀財宝が乾いた音をたてて転がる中、アルヌーに、「ふざけるなッ!」と怒鳴りつけたんやね。
【ティガー】 キレたんや。
【GM】 そして話はまとまらず、今に至ったわけ。
「一国の王子に対して、このような無礼が許されていいだろうか!?
いや、王子としてだけではない。男としてだ!」
【メイユール】 う〜ん。ちょっと、レギト王子がかわいそうかな……。
【GM】 カルファン騎士たちも、悔しがってる。
「王子は涙して我らに頼んだのだ。男のメンツにかけてアルヌーを討つから、力を貸してくれと」
「国を失いし王といえど、かような扱いは許されぬ」
「我ら命をかけて、アルヌーに目にもの見せてくれん!」
【メイユール】 なるほど〜、そうやったんか。うん、これで胸のつかえがなくなった。
「さ、つづきを見よか。これで、ますますドラマがおもしろくなる」(笑)
【ジーネ】 戦闘に参加してよ〜。
【メイユール】 危なくなったらね。今は、なんかやりにくいし。
【シルヴィア】 あんな話を聞いたあとではね。
【ティガー】 「まあ、そんなことは、どうでもいいねんけどな──」
【GM】 いいんかぃ!(笑)
【メイユール】 一蹴されてもた!(笑) せっかく、レギト王子がいろいろと告白してくれたのに。
【シルヴィア】 ティガーには、興味がなかったんやな。
【ティガー】 「おまえ、それ以上レギトの名を騙って、王家を汚すな」と、言ってやる。
【GM】 「おまえこそ、一国の王子を侮辱するのはやめろ!」と、レギト王子は言う。
【ティガー】 「レギト・グニク・イーニン・ハオトを名乗っていいのは、おまえじゃない」
【メイユール】 思いっきり、存在を否定されてしまってる(笑)。
【GM】 「なんだと〜?!」と、レギト王子は顔を真っ赤にして怒る。
カルファン兵も動揺するよ。あんまりそんなことを言ってると。
【ティガー】 前髪王子に目を合わせて、ニヤリと笑ってやる。
【ジーネ】 レギト王子が偽者という根拠はなに? なんで、そんなに自信満々に、偽者呼ばわりできるの?
【ティガー】 さあ?
【ジーネ】 ま、いつものことか。
モーニングスターで、カルファン騎士Aを殴ります。(ころっ)こりゃダメだ、はずれ。
【メイユール】 わたしは防御。
【GM】 ファンリーも同じく防御。頭を抱えて、うずくまってる。
【ティガー】 かわいい〜♪
【GM】 そして、カルファン騎士たちの反撃。
【ティガー】 GM、次のラウンドで、前髪王子のそばに行きたいんだけど、ペドロの攻撃を避けたら、行けますか?
【GM】 えっ、どうやろ。ん〜……別に行けてもいいよ。
【ティガー】 んじゃ、がんばって避ける。(ころっ)ほら、かわした。
【GM】 ジーネには、カルファン騎士A、Bの攻撃──片方が当てて、ダメージ5点。
ファンリーは、騎士Cの攻撃をひらりと回避した。
【ジーネ】 う〜ん。次のラウンドで、傷を治したほうがいいかなぁ。微妙なところだけど。
【メイユール】 防御で1ゾロを振らなきゃ、大丈夫。
【シルヴィア】 GM、僕は〈ライトニング〉を唱えたいけど、レギト王子を目標にした場合、その射線上に味方は入る?
【GM】 入らない。入るのは、カルファン騎士Bと、レギト王子だけ。
【シルヴィア】 なら、発射するよ。(ころっ)ありゃ、どっちにも抵抗されてしまった。騎士Bには8点、レギト王子には9点のダメージ。
【メイユール】 前髪、焦げたかな?
【GM】 焦げた。王子の前髪がチリチリになってしまった。
「なんてことしてくれるんだ!」と、王子は必死でまっすぐに伸ばそうとしてる。
【ティガー】 戦闘中とは思えない(笑)。
【ジーネ】 というか、こんなにベラベラしゃべりまくる戦闘って、何やねん。
【メイユール】 ドラマ、ドラマ。目が離せない(笑)。
【ジーネ】 目が離せないって……それより、ファンリーを援護してあげてぇ。
【メイユール】 じゃあ、次のラウンドで、ファンリーの前にいるカルファン騎士に、〈ウィル・オー・ウィスプ〉を飛ばすよ。
【GM】 では、第5ラウンドに移ろう。
【ティガー】 前髪王子のすぐそばに行く。
で、肩を掴んでグイっと引き寄せて、「いいかげんにしろよ、偽者」と言う。
【GM】 「いててて。何をするんだ、無礼者っ」と、レギト王子は抗議する。
【シルヴィア】 まだ、しゃべりつづけてんの?
【ジーネ】 いいかげんに攻撃してほしいなぁ。
【メイユール】 ティガーは、『レギト偽者説』を押し通すんやな。
【ジーネ】 たしかに、前髪王子は偽レギトっぽいけど、その証拠がないじゃん。
あんまり「偽者、偽者」と言っても、しょうがないんとちゃう?
【ティガー】 王子に、「おまえが死ぬんは勝手やけどな、カルファン騎士たちを巻き添えにするのは、やめろ」って言う。
【GM】 「バカめ、彼らはオレに忠誠を誓っているのだ。主君と命運をともにするのは、あたりまえだろう」
【ティガー】 「おまえは、あいつらの主君じゃねーよ」
【ジーネ】 たとえ、カルファン騎士たちが偽者にだまされてるだけだとしても、それは彼らが悪いんやないか。
【GM】 「おまえらのような下賤の者にはわからんだろうが、我ら主従は、厚い信頼関係で結ばれているのだ!
おまえこそ、オレを貶めて、何を企む!?」
【ティガー】 「だから、王子の名を騙って、カルファン王国の名を汚すな。カルファン騎士たちをだまして、無駄死にさせるな。これは命令」びしっ!
【メイユール】 命令なん!?(笑)
【シルヴィア】 王子に対して偉そうや(笑)。きっと、前髪王子のことなんか、屁とも思ってないんやろな。
【ジーネ】 ちゅーか、そこまで言うなら、前髪王子が偽レギトだっていう証拠を見せれば? まあ、そんなものがあるなら、の話だけど。
【GM】 レギト王子も、ジーネと同じように、
「オレが偽者だという証拠があるのかッ!? これ以上の無礼は許さんぞ!」と、怒ってる。
【ティガー】 じゃあ、言うたるわ。前髪王子にしか聞こえない声で、教えたるわ。
「よく聞けよ。レギト・グニク・イーニン・ハオトは──俺の名だ」
【ジーネ】【シルヴィア】【メイユール】 ──!!!?