▽ よからぬ噂の事 | ▽ ひとときの平穏の事 | ▽ 前髪の陰謀の事 |
【シルヴィア】 女騎士の反応はどうなん?
【GM】 悲鳴のような声でアレックスの名を叫び、いきりたってティガーに襲いかかってくる。
が、その攻撃はかわされた。
【シルヴィア】 これ以上、無駄な戦闘を続ける必要はないんやけど、その様子だと、説得には応じてもらえなさそうやね。
【メイユール】 そりゃ、部下が殺されてるからなぁ。
【シルヴィア】 しょうがない、〈スリープ・クラウド〉で眠らせてしまおう。(ころっ)眠ったよ。
【GM】 ついでに範囲に入るティガー、ジーネも抵抗してください。
【シルヴィア】 がんばってくれ(笑)。
【ティガー】 (ころっ)成功。
【ジーネ】 (ころっ)成功。
【シルヴィア】 うん、計算どおり。
【メイユール】 そうなんや(笑)。
【ジーネ】 じゃあ、女騎士をロープで縛りあげてしまおう。アレックスの死体はどうする?
【メイユール】 そのままでいいんじゃない?
【シルヴィア】 埋葬ぐらい、してあげればええやんか。
【メイユール】 ええ〜? 手間や。
【GM】 それじゃあ、ファンリーが埋葬したことにしよう。これを放置しておいたら、司祭の名に恥じるからね。
【ティガー】 じゃ、ファンリーを手伝う〜。
【シルヴィア】 それが終わったら、女騎士を捕虜として連れて帰る。
【ジーネ】 ああ、とうとうキル・マークがついてしまった。
【ティガー】 俺はまだ、人間を殺したことはないけどね。
【シルヴィア】 パーティ初の殺人者やな。
【ティガー】 シルファスの司祭なのに(笑)。
【メイユール】 「できごころなんですぅ〜」って、懺悔せな(笑)。
【ティガー】 「できごころで脳を潰しましたぁ」
【GM】 「ぱっと花が咲いたように血が飛び散り、とても美しかったです〜」
【ジーネ】 それって、懺悔でもなんでもないやん! 街に帰って落ちついたら、シルファス神殿に行こう……。
【GM】 そんなことを言いつつ、キミたちはゴルドの街に戻りました。
キミたちは、解放軍戦士に捕虜を預け、もういちど森に向かう。残存勢力の掃討作戦は、夜を徹して行われるらね。
【メイユール】 う〜ん、こき使われてるなぁ。
【GM】 ──などと文句を言いながらも、キミたちは忠実に任務を果たした。
そして翌朝、朝日が昇る頃、フラフラになってゴルドの街へ戻ってきた。他の戦士たちも、次々と帰ってくる。
【メイユール】 「疲れた〜」とか言うてるんやろな。
【GM】 そうやね。キミたちも含めて、みんな、目の下にべっとりクマができてたりする。
ちなみに、王城はすでに陥落して“暁の将軍”ヴィンケルホックは討ち取られており、掃討戦の終了をもって、ゴルドの戦いは幕を閉じた。
偉い方々にはこれから事後処理などがあるけど、とりあえず、一兵卒に過ぎないキミたちは、ゆっくり休んでください。
【ティガー】 シーフとカルファン騎士のおっちゃんは、どうすんの?
【GM】 彼らは、ここでキミたちと別れる。シーフのフィリップは『山猫の歓談亭』に行き、カルファン騎士ペドロは、『甘き清流亭』に行くらしい。
「また、一緒に剣を振り回そうな」と、ペドロ・チャベス。
【ティガー】 「おう!」(笑)
【ジーネ】 じゃあ、私らも宿屋に行こうか。
【GM】 では、キミたちは手頃な宿を見つけて、そこで休むことにした。非常事態であるけれど、しっかり営業してるから、1泊30フィスを払うよーに。
ちなみに、5人でひと部屋ね。
【ジーネ】 男の子と女の子で分けてくれぃ。
【GM】 そんなことしたら、他の戦士たちから苦情が出るよ。どの宿も満杯なんやから。
【シルヴィア】 とにかく、僕はベッドに入ったら泥のように眠るよ。
【メイユール】 やっと、靴を脱ぐことができる(笑)。
【GM】 それじゃ、キミたちはぐっすり眠った。
で、目を覚ましてみると、次の日の朝になっていた。窓の外では、スズメが「ちゅんちゅん」と、鳴いている。
【ジーネ】 24時間眠ったのか……。
【シルヴィア】 よほど疲れてたんやろな。
【メイユール】 もう、わたしらは解放軍として働かんでいいんよね?
【GM】 うん、キミたちの仕事はもう終わってる。ゴルド解放作戦は、明日の正午、王城で行われるゴルド解放宣言をもって、達成されたことになる。
【ティガー】 じゃあ、城を見に行こうっと。
【メイユール】 まるで観光客やな(笑)。
【ジーネ】 彼女は連れて行かないの?
【GM】 ファンリーはまだ、ベッドの中でもぞもぞ寝返りをうってるよ。
【ティガー】 じゃあ、連れて行かへん。
【GM】 では、ティガーは城を見るために広場にやってきた。
解放軍戦士や街の住人が、行き交っております。
【ティガー】 城はどんなん?
【GM】 周囲を堀で囲まれた、2階建ての小さな石造りの城です。
広場に面した城門の上に、演説用のバルコニーがある。明日の、解放宣言とゴルド王国の新体制の発表は、ここで行われる。
【シルヴィア】 僕は魔術師ギルドに顔を出す。
【GM】 シルヴィアは、城を眺めてるティガーを見ながら、広場を抜け、街の北東にある魔術師ギルドにやって来た。
で?
【シルヴィア】 挨拶だけして、宿に戻ります。
【ジーネ】 それだけ!?
【メイユール】 まじめやなぁ(笑)。
【シルヴィア】 ま、ただの散歩のつもりだからね。そのついで。
【ティガー】 俺も、城を見たら、宿屋に帰る。
【GM】 一方、その頃、メイユールとジーネはどうしてるんかな?
【メイユール】 わたしは、1階の酒場で朝御飯を食べてます。
【ジーネ】 同じく。
【GM】 ふたりは、それぞれ朝食を注文し、しばらくして運ばれてきた料理を、食べ始めた。
そこへ、ティガーが広場から帰ってきた。
【ティガー】 「あ、メシや。いいなぁ」
【メイユール】 「いいやろ。卵、ついてるねんで」(笑)
【ティガー】 あ、じゃあ、メイユールと同じのを頼む。
【GM】 「すまんな。スーパー・モーニングは、今ので最後なんだ」と、酒場のオヤジ。
【ティガー】 「うっそ〜ん?! じゃあ、何でもええわ。くっそー、城のバカヤロー!」
【メイユール】 城が悪いんか(笑)。
【ジーネ】 城を見に行きたくなるから、朝ご飯を食いそこねた、って考え方なんやな。
【GM】 そのとき、2階からファンリーがおりてきて、昨日のうちに予約しておいたオムレツを受け取ってる。
【ティガー】 予約制か、くっそ〜!
【GM】 じゃあ、ファンリーは「食べますか?」と、半分差し出してくれるよ。
【ティガー】 「うん、食べる〜」
【GM】 そんな感じで賑やかな酒場に、シルヴィアは帰ってきた。
【シルヴィア】 また、賑やかやなぁ。
【GM】 ──と、言いつつ、もはや酒場に自分の座席がないことに気づく。
【シルヴィア】 弱ったなぁ。
【GM】 さて、そんな感じで、みんなは食事をしてます。
そのとき、他の席で解放軍戦士の冒険者ふう男数人が話してるのが、漏れ聞こえてきた。
【メイユール】 何やろ?
【GM】 例のレギト王子が、参謀のアルヌーさんともめて、解放軍と決別したらしい。
で、王城を飛び出したレギト王子が、元カルファン騎士や傭兵などを集めて、何やらよからぬことを企んでいる、という噂がたっている。
【ティガー】 前髪同盟! 40人ぐらい、前髪の長い奴らがおるねん(笑)。
【GM】 それは、『よからぬ企み』なのか?(笑)
【ティガー】 うん、すごくよからぬ。
【ジーネ】 そのひとたちに、詳しい話を聞いてみよう。
【GM】 このひとたちも噂で聞いた程度だから、詳しいことは知らないよ。
「前髪王子は、アルヌー暗殺を企ててる」というぐらいの話かな。
【メイユール】 おお、すごい。
【GM】 「もっとも、そんなことすれば、レギト王子たちが返り討ちになるだけだろうな」
【シルヴィア】 だろうなぁ。
【GM】 さて、そんなこんなで朝食が終わったけど、キミたちは、これからどうするのかね?
【ジーネ】 私は買い物に行く。一般装備を、海に落っこちたときになくしちゃったから、いろいろ買いなおさないと。
【メイユール】 わたしは、アルヌーさんに会いに行ってみる。
【シルヴィア】 僕もお供しよう。ひまだし。
【ティガー】 じゃあ、俺とファンリーも行く。
【GM】 アルヌーさんは、魔術師ギルドにいます。ということで、メイユールたち4人は、魔術師ギルドに来た。
受付のお兄さんが、「何かご用ですか?」と、尋ねてくる。
【ティガー】 「アルヌーさんはいる?」って聞く。
【GM】 「おられますよ。私室で、明日の解放宣言の準備をなさっておられるはずです」
【ティガー】 「会える?」
【GM】 「アポイントメントは、お取りになってますか?」
【ティガー】 「いや、ないけど、顔パス?」
【GM】 『顔パス』て(笑)。
「あなた方は、どちら様ですか?」と、言われるよ。
【ティガー】 「ティガー」って言うて通じるかな。アルヌーさん、覚えてるかな。ウソついた、ってことは覚えてると思うけど。
【メイユール】 「焼き肉食べに行きたかったティガーです」って(笑)。
【ティガー】 じゃあ、そんなふうに名乗って、「ちょっと、伝えなアカンことがあるねん。大事なことやねん、たぶん」と言う。
「メイユールもいるし」
【GM】 では、待つこと十数分、アルヌーの腹心の部下の、偉い魔術師さんがやって来た。
【シルヴィア】 どんなひと?
【GM】 エマニエル・ピロという、20代後半のしゃきっとした男性で、この魔術師ギルドのナンバー4ぐらいの地位のひと。
【メイユール】 おお〜。
【シルヴィア】 ランディなら、絶対サインをもらってるなぁ。
【ティガー】 なんや、アルヌー本人じゃないんか……。
【GM】 アルヌーさんは、ここのギルド長でもあるからね。よほど身分が高いひとじゃないと、飛び込みで会うのは難しいよ。
【シルヴィア】 ナンバー4が用件を聞きに来てくれただけでも、大したもんや。
【メイユール】 「ふっ、わたしの名前が効いたな」と、思うとく(笑)。
【ティガー】 ティガーは、「ウソついてよかった〜」って思ってる(笑)。
「やっぱ、インパクト大きいよなぁ」
【GM】 じゃ、ファンリーが「さすが、ティガー」と、思っといてあげるわ。
【メイユール】 目をキラキラさせてるんやな(笑)。
【GM】 ナンバー4のピロさんは、「大事なお話があるそうで。アルヌー様はご多忙ゆえ、私が承りましょう」と、言う。
「で、お話というのは何ですか?」
【ティガー】 シルヴィア、後は任せた!
【シルヴィア】 僕かぃ!?
「えー、ひとに聞かれるとまずいんで、どこか、話が漏れないところで、お話したいんですが」と、言う。
【GM】 「はあ、わかりました。では、私の部屋で伺いましょう」ということで、キミたちは、ピロさんの私室に案内された。
「まあ、おかけください」
【シルヴィア】 レギト王子が何か企んでる、という噂を話す。
「こんな噂が、まことしやかに流れてるんですが──」
【メイユール】 「アルヌーさんの身の回りに、最近、変わったことはなかったですか?」
【GM】 「いや、何か危ない目にあったという話は、聞いてないですね」と、ピロさんは答える。
「しかし、いちおう、気をつけておきましょう。アルヌー様にも、伝えておきます」
【ティガー】 ん、伝わった。じゃあ、帰る。
【GM】 ピロさんはギルドの外まで見送ってくれ、別れ際に、「少ないですが、これは謝礼です」と、10フィスが入った小袋を手渡してくれた。
すでに昼を過ぎてるよ。
【シルヴィア】 僕は、ギルドの書庫で読み物をしたいんですけど。
【GM】 「一般公開されているものなら、受付で手続きをすませたあと、自由に閲覧できます。ただし、持ち出しは禁止ですよ」
【ティガー】 勝手に持ち出したら、ブザーが「ビーっ」て鳴るねん(笑)。
【シルヴィア】 さすがは魔術師ギルドや。
【GM】 ちなみに閲覧料は、30フィスね。
【メイユール】 金取られるんや。
【シルヴィア】 マンガ喫茶みたいやな。
【GM】 ドリンクを注文する必要はないけどね。
んじゃ、シルヴィアは書庫に行くと。
【シルヴィア】 使い魔のフクロウだけ、宿に戻しておくよ。
【GM】 ティガーとメイユールは?
【メイユール】 広場の東の公園に行って、絵を描きます。
【GM】 ところが、公園は現在、捕虜になったランダース兵のキャンプになっている。ゴルド騎士などが見張りに立ってるよ。
【ティガー】 じゃあ、捕虜を描こう(笑)。
【GM】 絶望に沈んで疲弊しきった様子を描くんやな。
【メイユール】 あんまり描きたくな〜い。……しょうがない、どこかで買い物して、帰ります。
【ティガー】 俺は、そのまま宿屋に帰る。
【GM】 帰り道、ティガーは、買い物袋を抱えたジーネと合流したよ。
メイユールは、それと入れ替わりで、道具屋に入っていった。
【ジーネ】 私は、宿の部屋で買ってきたものの整理をしておきます。将来、バード技能を取ろうと思って、竪琴も買ったんだ。
【ティガー】 俺は1階の酒場にいる。
【GM】 酒場では、解放軍戦士たちが、まだどんちゃん騒ぎをしている。
【ティガー】 まだやってるんか(笑)。じゃあ、それに混ざる〜。
【GM】 「おう、おまえも飲め、飲め」と、並々と注がれたビールジョッキを突きつけられた。ティガーが一気に飲み干すと、「おお〜」と歓声があがる。
んじゃ、生命力抵抗して。
【ティガー】 (ころっ)成功。ほろ酔い気分。
【メイユール】 おお、強い!
【GM】 戦士たちは、「やるじゃねーか、坊主」と大喜び。
【ジーネ】 ファンリーはどうしてるの?
【GM】 ティガーと一緒に、宿屋に戻ってきてる。これから買い物に行きたいそうだけど、ファンリーの所持金は、海底都市に落ちたあたりで、ティガーに渡してたよね。
【ティガー】 じゃあ、ファンリーについてく。
【ジーネ】 私は、シルファス神殿にでも、お祈りに行っとこうかな。
【GM】 ゴルドの国教は至高神シルファスなので、かなり大きく立派なシルファス神殿が建てられている。
先の戦いで負傷した者が、たくさん神殿に運び込まれていて、今も治療が続けられている。
【ジーネ】 とりあえず、「ひとを殺してしまいました」と、懺悔しよう。
【GM】 「あのときの、頭を潰す快感が忘れられなくて──」(笑)
【ティガー】 「どうか、次の獲物をお与えください」(笑)
【メイユール】 こうしてジーネは、モーニングスターを振り回しながら、夜の街を徘徊するようになるんやな。
【ジーネ】 ちがーう!! なんでみんな、喜々として盛り上がってんの。
普通に懺悔して、その後は、奉仕として治療のお手伝いをしますわ。
【GM】 じゃあ、ジーネは、婦長さんの指示の下、シーツを洗ったり、繃帯を取り替えたりして、奉仕活動に従事している。
【メイユール】 殺人の罪滅ぼしやね。
【GM】 宿に残るのは、シルヴィアのフクロウだけか。
【シルヴィア】 みんな出かけたな、と思いながら、書物を読みあさってる。
【GM】 ティガーとファンリーは、さまざまな店が立ち並ぶ通りに来たよ。先にメイユールが立ち寄ってる市場やね。
【メイユール】 わたしは、道具屋に来てるよ。
【ティガー】 ファンリーは何を買いたいの?
【GM】 武器や防具が欲しいそうだ。
【ジーネ】 わざわざそんなの買わんでも、ティガーが守ってくれるでしょ。
【GM】 「自分の身は、自分で守ります」とのこと。
【ティガー】 じゃあ、武器屋に行こう。
先に市場に来ていたメイユールは、道具屋で一般装備を買い求め、ファンリーは、武器屋でショート・ソードやスモール・シールドなどの武具防具を買いそろえた。
【GM】 ただいまの時刻は、午後4時ぐらい。
そろそろ、魔術師ギルドの書庫の一般開放が終了する頃。神殿の奉仕活動は、気がすむまでやってくれていいけど。
【シルヴィア】 書庫が閉鎖されるギリギリまでねばって、「閉館ですよ」と言われてから、ようやく席を立つ(笑)。
その後、街をぶらぶらしながら、宿屋に戻ります。
【ジーネ】 しかし、メイユールはずいぶん買い込んだね。何を買ったの?
【メイユール】 水袋とか、毛布とか、旅の道具。
【シルヴィア】 出て行く気、満々やな(笑)。
【メイユール】 そら、契約は終わったんやし、いつまでもこんなところにいないよ。
ラクダも買えるんだけどな〜。
【ティガー】 ラクダ!? 脱出用?(笑)
【GM】 ゴルドは山岳地帯の街やし、ラクダは売ってないなぁ。ロバなら、売られてるけど。
【メイユール】 ロバかぁ。いいや、ロングボウでも買っておこう。フッ、これで呪文を封じられても、地面に絵を描いて過ごさなくてすむ(笑)。
【ジーネ】 ティガーのほうは、買ったの武器だけ? あなたもファンリーも、一般装備は何も持ってないやんか。
【ティガー】 剣だけあれば、何でもできる。それに、所持金があと11フィスしか残ってへんから、一般装備なんか買われへん。
【GM】 それどころか、宿にも泊まれへん(笑)。
【ティガー】 この11フィスは、その辺の乞食にあげた。
【GM】 ボロを纏った小汚い乞食のおっちゃんは、大感激して礼を言う。
【ティガー】 OK、所持金ゼロ!
【メイユール】 すっきりや(笑)。
【ジーネ】 ファンリーの宿代は立て替えてあげる気になるけど、ティガーの宿代を出してやる気にはならんなぁ。
【ティガー】 広場で寝るから、別にかまわん。
【GM】 「じゃあ、寝やすい場所を見つけておきましょう」と、ファンリー。
【ティガー】 あっ、そういえば、毛布がないけど……ま、いっか。
【メイユール】 そんな会話をしてるふたりを見て、「たいへんなことになってるな〜」と思いながら、宿屋に帰る(笑)。
部屋に荷物を置いたら、1階の酒場で飲んで過ごす。
【GM】 山ほど買い物袋を抱えて帰っていくメイユールを見送りながら、ファンリーは、「ミフォア神殿に行ってみましょうか? 泊めていただけるかも」と、言う。
【ティガー】 おー、行こか。
【GM】 では、ふたりはミフォア神殿にやって来た。
ところが、ミフォア神殿にも負傷者が担ぎ込まれてて、泊めてあげる余裕がないらしい。
【ティガー】 しゃあないな、ファンリーだけでも宿屋に預けてこよう。
【GM】 そうしてしょんぼりと神殿を後にするキミとファンリーに、さっきの乞食が声をかけてきた。
「旦那、一部始終聞いてましたぜ」
【ティガー】 げっ、聞かれてたんや。カッコ悪ぅ〜って思うとく。
【GM】 「何でしたら、あっしの
【ティガー】 家、あったんか。
【メイユール】 どんな家やろ。
【ジーネ】 家があるのに乞食をやってるなんて、何だかな〜。
【GM】 乞食も立派な職業やからね、ここでは。
ゴルドでは、貧乏人に優しくすると天国に行ける、という教えが信じられており、そのために彼のように『恵まれてやる』という職業が成り立ってたりするんやね。
【シルヴィア】 なるほど。
【ティガー】 すごい職業や。
【GM】 もちろん、彼には他の仕事もあるけど。
「しかし、11フィスも恵んでくださる方は、めったにおりやせんぜ」
【シルヴィア】 ティガーは、めっちゃ幸せになれそうやな(笑)。
【ティガー】 乞食の家がどんなんか見てみたいから、ついてく。
【GM】 魔術師ギルドから宿屋に戻る途中のシルヴィアは、ボロボロで汚いおっさんについて行くティガーとファンリーを見た。
【シルヴィア】 「あいつら、何やってんのやろ?」と思いながら、宿に帰るよ。
【GM】 宿屋に帰ると、酒場でメイユールが酒を飲んでるところだった。
【メイユール】 「こんなところに連れてこられて……わたしの青春を返してっ」と、近くのひとに絡んでます。
【GM】 絡まれた男性も、「まったくだ、何が『いい儲けになる』だ!」と、酒を仰いでる。
【メイユール】 「飲もう、飲もう」と、すっかり意気投合する(笑)。
【シルヴィア】 えらいところに帰ってきたな。
夕食の時間になるまで、部屋で剣を振って体を鍛えておきます。
【GM】 その頃、ティガーとファンリーは、乞食に案内されて、ゴルドの街の西区、市街を流れる小さな川のほとり、橋の下にやって来た。
そこには、粗末なほったて小屋が建っている。
【メイユール】 やっぱり(笑)。
【ジーネ】 さ、ファンリーを宿屋に帰しに来てねっ。ティガーは好きにしていいから。
【GM】 ティガーとファンリーは、乞食に勧められるまま、ボロ小屋の中に入った。
するとそこは、外観からは想像もつかないほど、豪華な内装の家だった。
天井にはシャンデリアがあり、床には雲のようにフカフカな絨緞が敷かれ、比類なき荘厳な調度品やソファが並び、芸術的なテーブルに椅子、王族ご用達かと思うような、でっかいベッドなどが設置されてある。
【ティガー】 うわっ、すげー!
【GM】 ファンリーもびっくりしてる。
【メイユール】 すごいアンバランスな家やな(笑)。
【GM】 そりゃ、乞食は商売やから、外観はそれっぽいのを保っとかんとね。おっさんが小汚いのも、じつはメイクやで。
【シルヴィア】 あのボロの服も、じつは、商売用のコスチュームなんやな(笑)。
【GM】 そう。でっかいタンスを開けたら、貴族のような礼服や、一般市民の通常服に混じって、ボロの服が何着かハンガーにかけられてる。
【ジーネ】 貴族の礼服なんか、いつ着ることがあるんだろう……。
【ティガー】 きっと、乞食同士の会合のとき。
【メイユール】 うっ、その会合、ちょっと見てみたい(笑)。
【シルヴィア】 裕福なのがバレたらアカンから、きっと、秘密の会合なんやろな。
【ジーネ】 ちゅーか、それだと現場を目撃しても、誰も乞食の会合だなんてわからないと思うよ。
【メイユール】 でも、会話の内容は、「おまえ、いくら恵んでもらえた?」とかやねん。
【GM】 その話、じつはそんなにはずれてない。といっても、おっちゃんが出席するのは、盗賊ギルドの会合。
このおっちゃんは、ベイカーを装いながら、諜報部の部長を務めるひとなんやね。
【メイユール】 おお、偉いひとなんや。街に座って、いろんな情報を集めてるんやな。
【ティガー】 そうなんか。じゃあ、裕福なこと、秘密にしといてあげるわ。
【GM】 乞食のおっちゃんはメイクを落とし、もわもわしたスリッパを履いて、豪奢なガウンに身を包んでいる。
ソファに腰掛けて、ブランデー・グラスを傾けながら、「まあ、やってくださいよ」と、ティガーに勧める。
【ティガー】 ソファに座る〜。ブランデーを飲む〜。
【GM】 身が沈みそうなぐらい、ふかふかしたソファやね。
ティガーがブランデーをラッパ飲みしてるのを見て、おっちゃんは、「お強いですなぁ」と感嘆する。
【ティガー】 ファンリーはジュースで。
【GM】 もう遅い。ひと口ブランデーを飲んでしまった。しばらくすると、ゲラゲラ笑ってティガーの背中をバシバシ叩きだすから。
【ティガー】 ひぃ〜!
【ジーネ】 ああ〜、ファンリーのイメージがぁ〜……。
【GM】 ティガーの前に並ぶ夕飯は、とんでもないごちそうやね。
タレをたっぶりかけて焼き上げた鳥のもも肉とか、新鮮な魚介類をふんだんに取り混ぜたスパゲッティとか、幻の高級野菜を惜しみなく使った極上のスープとか──。
【ティガー】 11フィス恵んだだけで、すごいお返しや。ラッキー♪
【シルヴィア】 日本昔話で出てきそうな展開やね。
【GM】 その頃、シルファス神殿での奉仕活動を終えたジーネは、シルヴィアとメイユールがいる宿屋に帰ってきた。
シルヴィアたちは、酒場でいつもの夕食をとっている。しかし、ティガーとファンリーの姿が見あたらない。
【ジーネ】 テーブルについて料理を注文しながら、「あのふたりはどうしたの?」と、聞くでしょう。
【メイユール】 なんか、市場で「宿に泊まれないから、広場で寝よう」とか言ってたのを、見たよ(笑)。
【シルヴィア】 僕は、乞食について行くふたりを見たよ(笑)。
【ジーネ】 その説明だけ聞くと、「いったい、何が起こったんだ?」って、思うやろな。
【GM】 さて、ティガーたちが乞食の家でごちそうを食べてると、そこに、ひとりのシーフらしき若い男がやって来た。
男は、玄関のところで、小声でおっちゃんに何やら報告する。おっちゃんは、真剣な顔でうなずきながら、それを聞いている。
【ティガー】 何やろ? シーフ技能がないから、ダイス目だけで[聞き耳]をたててみる。(ころっ)
【GM】 なら、何となく内容が聞こえた。
どうやら、やって来たシーフは、「レギト王子が行動を起こす」という情報を掴んだらしい。それを、諜報部長のおっちゃんに知らせに来たんやね。
【ティガー】 行動ってなにするん?
【GM】 噂どおり、アルヌーをはじめとする政府要人の暗殺。
【ティガー】 いつ?
【GM】 明日の明け方。現在、街の北の“野蕗通り”にある廃棄された屋敷に、元カルファン騎士や傭兵などが集まって、行動の準備をしているらしい。
報告を聞き終えた乞食のおっちゃんは、
「旦那、すみませんが、ちょいと野暮用ができちまいやした。
あっしはこれから出かけますが、どうぞ、ゆっくりしていってくだせぇ。ベッドは好きに使ってくれて、かまいやせんぜ」と、言い残して出ていった。
【ティガー】 俺もすぐに出てく。ファンリーを連れて、宿屋に戻る!
【GM】 ティガーが外に出ると、すでに夜の帳が降りていた。ふたりは宿へ走る。
シルヴィアたち3人が、夕食後のお茶をすすっていると、腹がぽっこりふくれたティガーとファンリーが戻ってきた。
そして開口一番、げっぷした。
【メイユール】 どこ行っとったんやー。
【ティガー】 「そんなことより、これから、フクロウ親父が殺されるよ」って、さっき聞いたことを、みんなに話す。
【ジーネ】 アルヌーさんのことね。“前髪王子”に“フクロウ親父”、ろくでもない名前ばっかりつけて……(笑)。
【ティガー】 いいから、早く行こうぜ!
【シルヴィア】 じゃあ、魔術師ギルドに急ごう。
【ティガー】 いや、前髪王子は、『“野蕗通り”の廃屋』におるねん。
【シルヴィア】 “野蕗通り”は、どこにあるの?
【ティガー】 酒場のオヤジに聞いてみる。
【GM】 魔術師ギルドの近く。というより、魔術師ギルドは“野蕗通り”の東端にある。
【シルヴィア】 それなら、僕は、まずギルドに直行して、アルヌーさんに急を知らせよう。
【メイユール】 わたしも魔術師ギルドへ行きます。
【ティガー】 俺とファンリーは、前髪王子のところに直行。
【ジーネ】 私は、リーダーのほうについて行こう。果してリーダーが心配なのか、ファンリーが心配なのか。
【GM】 ところで、キミたちの装備はどうなってる? くつろいでたところだし、まさか、ガチガチに武装してるとは思えないけど。
【ティガー】 鎧は着てない。剣はいつも持ってる。
【ジーネ】 私も奉仕活動してたし、チェイン・メイルは着てないよなぁ。部屋に戻って、モーニングスターだけ取ってくる。
【メイユール】 クロースとクラブしか装備してないやろなぁ。
【シルヴィア】 僕は魔法のクロースやし、常に着こなしてるよ。杖を持てば完全。
【GM】 了解。
では、キミたちは夜の街に飛び出した。城の前の広場を抜けて、北に走ってゆく。
T字路で“野蕗通り”に出た。東西にのびる大きな通りです。シルヴィアたち3人とファンリーは、昼間、魔術師ギルドへ行くのに通った道やね。
東に行けば魔術師ギルド、西に行けば、噂に聞いた廃棄され無人となっている屋敷がある。
【シルヴィア】 ここで、ふた手に分かれるわけやな。
【ティガー】 廃屋を探す〜。
【メイユール】 魔術師ギルドに行く〜。
【GM】 では、メイユールとシルヴィアは、魔術師ギルドに来た。
閉館の準備をしていた受付のお兄さんが、「どうしたんですか?」と、ふたりに声をかける。
【シルヴィア】 「今朝、ここに来た者ですが、火急に知らせなきゃいけない、大変なことができたので、導師のピロさんに取り次いでほしいんですが」と言う。
【メイユール】 わたしたちの顔を覚えてるかな。
「ウソつきティガーの仲間です」というのも、つけ加えとこう(笑)。
【GM】 では、帰宅寸前のピロさんが呼ばれて来た。
「火急の知らせというのは、何ですか?」
【シルヴィア】 「かくかくしかじか」と、ティガーから聞かされた話を伝える。
【GM】 「なるほど。アルヌー様は現在、城のほうに詰めておりますので、使者を送り、念のため警備を強化しておくよう、伝えておきましょう」
【ティガー】 俺ら、廃屋を見つけれた?
【GM】 そうやね。ちょうどその頃、ティガーたちは、それらしき寂れた廃屋を見つけたよ。
窓という窓には木板が打ちつけられ、中の様子をうかがうことはできない。
【ティガー】 ひとがいる気配はする? [聞き耳]してみる。(ころっ)無理、わからん。大失敗。
ファンリーにやってもらう。
【GM】 (ころっ)「ひとがいる気配がします」
【ティガー】 前髪王子の声はする?
【GM】 「します。『今宵、アルヌーを討つ』と、言ってます」
【ティガー】 お〜!?