≪REV / EXIT / FWD≫

§烙印の天使:第14話§

真実への入口を求めて

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン
▽ ペネホプとの対面の事 ▽ 竜と虎と不死鳥の探索の事 ▽ 視線まじわるところの事

ペネホプとの対面の事

【ジーネ】 ペネホプさんって、若いの?
【GM】 まあ、妖精だから若く見えるね。当年88歳だけど。
【ジーネ】 けっこうなお年やんか。そろそろ曲がり角やな。
【シルヴィア】 妖精だから、関係ないって。
【ティガー】 キュレペは何歳なん?
【GM】 69歳です。
【ジーネ】 とすると、当時、姉は33歳、妹は14歳だったのか。ライアスの仲間の魔術師って、何歳だったんだろう。
【GM】 さあ、メロウたちには人間の年齢なんてわからんからね。なんで、そんなこと気にすんの?
【ジーネ】 だって〜、14歳の女の子に手を出したんでしょ? その人って、ロリコンやんか〜。
【GM】 魔術師は、自分に懐いた向学心旺盛なキュレペに、自分の持つ知識を伝授してあげただけだよ。それ以前に女性やし。
【ジーネ】 あ、女やったんか! じゃあ、ライアスはその魔術師とくっついたに違いない。
【ティガー】 違うってば、もう。
【ジーネ】 でも、お姉さんはそう思ってるのかも。それで気が狂ったとか。「信じてたのにぃ〜」って。
【シルヴィア】 その女魔術師のその後は、どうなってるかわかりますか?
【GM】 いや〜、よくわからない。名前すらわからない。アクアマリン家の歴史では、主役は常にアクアマリンの一族で、仲間について詳しく書かれることはないから。
【ティガー】 じゃあ、シルヴィア・アクアマリンの歴史では、俺らの名前は出ないんや。仲間A、B、Cって感じで(笑)。
【GM】 そうそう。「仲間たちは、よくシルヴィアを助けた」ぐらいにしか書かれない(笑)。シルヴィアは「弟の死を乗り越え──」とか、さんざん美化されるけどね。
【ティガー】 イヤやな〜。
【シルヴィア】 それで、こっちを見たペネホプさんの反応はどうなん?
【GM】 キュレペの呼びかけに振り向いたペネホプは、今は落ち着いているらしく、穏やかな声で「どうしたん?」と尋ねてくる。
 もちろん、妹の傍らにライアスの面影に似た男がいることには、気づいている。
【シルヴィア】 あー、じゃあ、「自分は、ライアス・アクアマリンの一族の者です」と名乗ってみる。
【GM】 「そうですか。何のご用ですか?」と聞かれるよ。
【ジーネ】 『一族』の意味がわからんのか、こいつはァ!?
【ティガー】 ああ、もう! お姉様を刺激したくないから、ジーネの口を塞いどく。
【シルヴィア】 そこで、ライアス・アクアマリンのその後について、ペネホプさんに話して聞かせる。
【GM】 しかし、ペネホプは「なぜ、そんなウソをついて、私を騙そうとするの?」と言う。……ちょっと、怒ってるかな。
【シルヴィア】 「ウソじゃないんだ〜。信じてくれぇ」
【GM】 「『信じてくれぇ』と言われても、信じられません。私はここで待ちつづけます」と言ってる。
 ──だんだん、イラついてきたかな。「誰も近寄るな!」とか叫びはじめた。
【ティガー】 怖い、怖い。
【シルヴィア】 う〜む、どうしたら信じてもらえるんや〜。
【GM】 キュレペも、「どうやったら、真実を語っていると証明できるんだろう」と、途方に暮れた様子。
【ジーネ】 シルヴィアの言葉を、信じさせないかんのか? 要するに、転移の魔法陣が使えたらいいわけやろ?
【シルヴィア】 その建物の前にペネホプさんがいて、「近寄るな」って言われてるんやん。
【ティガー】 やっつけて通るのは、絶対無理。
【ジーネ】 う〜ん……キュレペさんたちが、加勢してくれへんやろか。
【シルヴィア】 してもらえると思うほうが、どうかしてるよ(笑)。
【GM】 警告しとくけど、ペネホプと戦おうってんなら、キュレペや他のメロウたちをも、敵に回すことになるぞ。
【ティガー】 〈ウォーター・ブリージング〉を解かれて、すぐに溺れると見た(笑)。
【シルヴィア】 この海底都市に、何か真実を判定してくれるような、マジック・アイテムはないの? そういう噂を聞いたことがないか、キュレペさんに尋ねてみる。
【GM】 「そういうアイテムの話は聞いたことないけど、真実を判定する場所というようなものが書かれた本なら、前に書庫で見かけたことがあるよ」と、キュレペは答える。
【ジーネ】 とりあえず、書庫に行って、その本を見せてもらおか。
【シルヴィア】 じゃあ、この場はいったん退きましょう。「また、来ます」
【GM】 ペネホプは「キーッ!」って怒ってる。
【ティガー】 怖い、怖い(笑)。
【GM】 では、キミたちは書庫にやって来ました。そこの造りは、キミたちが寝かされていた部屋と同じ。もちろん、広さは全然違うけどね。
 階段を登っていくと、やがて空気のあるところに出た。
【ティガー】 突入〜。
【GM】 ティガーは水中から、イルカみたいにザパ〜っと、飛び出してくるんやな。
【ティガー】 ザパーっ、ズサ〜。
【GM】 ここの天井も青白く光ってるんで、照明については問題ない。広い部屋にはたくさんの本棚が整然と並び、たくさんの本が収められている。
 ちなみに、階段の近くには、キュレペが読んだ本がたくさん散らばっている。いちいち本棚に戻したりしないから。
【ティガー】 ケンケンでしまいに行くの、大変やもんな。
【GM】 そういうこと。そしてキュレペは、散乱している本の山を指して、「たぶん、その中にあると思うよ」と言う。
【ジーネ】 じゃあ、人海戦術で探そうか。
【GM】 といっても、本はタイトルも含めて古代語で書かれてあるので、探せるのは、シルヴィアとキュレペ、ティガーにズバンチョの4人やね。
【ティガー】 ズバンチョも古代語が読めるんや。
【GM】 「ふっふっふ。このぐらい、常識ですよ」
【ジーネ】 くそっ……〈ターン・アンデッド〉かけたろかしら。
【シルヴィア】 とりあえず、片っ端から本を調べよう。タイトルはわかる?
【GM】 「たしか、『真実を語る者』だったかな」と、キュレペは答える。
【ティガー】 それじゃ、がんばって探そう。
【GM】 ま、探すことに判定はいらないな。ただ、本の量が膨大だから、4〜5時間はかかると思ってくれ。関係ない本もたくさんあるし。『いけいけ強いぞザンナール』とか。
【ティガー】 どんな本や!(笑)
【GM】 『時空を越える大竜巻』とか。
【ティガー】 何見てるねん(笑)。
【ジーネ】 私とファンリーは古代語が読めんから、手伝えないなぁ。
【シルヴィア】 関係ないと判明した本を、脇に避けてくれるだけでも、助かるよ。
【ジーネ】 じゃ、そういう雑用をしてよう。
【ティガー】 俺は関係ない本を見て笑ってる。「ザンナール、強い、強い〜」
【GM】 ファンリーに「ティガー、ちゃんと探してるんですか?」と、言われるよ。
【ティガー】 「ん? ザンナールがな、強いねん」
【ジーネ】 ダメだ、こりゃ。
【GM】 そんな感じで、ティガーを除く全員でがんばった結果、ようやく、キュレペが言ってた本が見つかった。
【シルヴィア】 ぱらぱらと読んで見て、有益と思える情報を拾ってみる。
【GM】 そうすると、『竜、虎、不死鳥は、真実への入口を見つめる』『真実の部屋にて偽る者、奈落に堕とされ滅ぶべし』というような文面が目に入った。
 後は、ご託っぽい感じで、実があるようには思えなかった。
【ティガー】 「そうか、滅ぶんか」って言うて、またザンナールを読んでる。もうじき読み終わるねん。
【GM】 じゃあ、いま読んでるのは、魔王軍を滅ぼした〈ザンナール〉が暴走して、ザントフールト帝国のあちこちに、異常な魔力がまき散らされてる場面やな。
 もうじき、勇者シフィルが月の表の塔に旅立つところ。
【ティガー】 「すげーっ!」とか言うてる(笑)。
【シルヴィア】 それは置いといて、キュレペさんに、竜とか虎とか不死鳥に心当たりがないか、尋ねてみる。
【ジーネ】 前回、竜の彫像がどうたらと言ってたから、それと同じように、虎や不死鳥があると思うんやけど。
【GM】 「彫像とか、レリーフとかはいっぱいあるから、これといった心当たりはないな。でも、探せばあると思うよ」
【ジーネ】 ふたりひと組ぐらいになって、手分けして探そうか。敵が出えへんのやったら。
【GM】 じゃあ、ズバンチョが立候補する。「わたしはファンリーさんと組みます」
【ティガー】 ダメ。おまえなんかには渡さん。何するやわからんし。俺とファンリーと3人で行くんなら、許したるわ。
【ジーネ】 ふたりひと組と言っとろうが。
【ティガー】 でも、俺らズバンチョを入れても、5人パーティやんか。
【ジーネ】 いや、キュレペさんに手伝ってもらう気でおったんやけど。
【シルヴィア】 じゃあ、手伝ってもらうよう、頼んでみよう。
【GM】 もちろん、OKするよ。好奇心が強いひとやしね。
【シルヴィア】 じゃあ、僕はキュレペさんと組むわ。いちばん頼りになりそうやし(笑)。
【ティガー】 俺はファンリーと組む!
【ジーネ】 ……ズバンチョと組むんか〜。
【GM】 「余りもの同士、仲良くしましょう」と、ズバンチョは言う。
【ジーネ】 『余りもの』って……あんたと一緒にして欲しくないな〜。ところで、ズバンチョって何か役に立つの?
【GM】 さあ? 彼自身は、「わたしはしがない執事です」と言っている。ジーネの班は、執事とメイドが組んだわけやね。
【ティガー】 なるほど、名コンビ!
【ジーネ】 なんでや〜!

竜と虎と不死鳥の探索の事

 冒険者たちは、書物に記された竜というのは、ペネホプの丘に行く途中にあった竜の彫像のことだろうと予測し、同じような手法の虎と不死鳥の彫像を探すことにした。
 そして、キュレペに魔晶石を使って〈ウォーター・ブリージング〉をかけてもらい、三手に分かれてジャカレパグァの都市を駆けめぐる。
 1回に捜索できる時間は、移動に費やす時間も含めて、魔法の効果が続く1時間。

【GM】 彫像はいっぱいあるからねぇ。制限時間もあることやし、それらしい物が発見できたかどうか、やはりダイスでチェックしようか。ダイスを振るのは3回。
【シルヴィア】 難しいのは、そこにないから見つからないのか、あるけど見つけられなかったのか、の判断やな。
【ティガー】 それは、ダイスの出目を判断材料にするしかないな。
【GM】 あと、向かった先によっては、水泡の地があるから注意してな。
【ジーネ】 私は歩くから関係ない。
【GM】 では、まずは執事とメイドのコンビから──う〜ん、それでは、めぼしいものを見つけることはできなかったね。
 ズバンチョなんか1ゾロ振ってるから、裸の女の人の像を見て喜んでる。「いいですな〜、この曲線!」
【ジーネ】 私も1ゾロに近い出目を振ってましたわ。
【GM】 じゃあ、素っ裸の男性像を見て、「きゃっ☆」と手で顔を覆ってる。けど、指の隙間から、しっかり観察しとるんやな。「あんなことになってるんだぁ」って。
【ティガー】 何しとんねん!(笑)
【シルヴィア】 あの出目だと、彫像はないのか、見つけられないだけなのか、どっちかわからんなぁ。
【GM】 つづいて、ティガーとファンリーのデート・コース。
【ジーネ】 いちゃいちゃしとらんと、ちゃんと探してよ。
【ティガー】 誰がいちゃいちゃなんかするか! (ころっ)6ゾロ。
【GM】 おおっと、すごい目を出したな。
 ティガーはいきなり見つけた。雄々しく翼を広げる、それらしい不死鳥の彫像を。
【ティガー】 火の鳥、宝塚。「ああ、あれちゃうん。あるしィ」とか思う。
 じゃあ、余った時間は、ファンリーとその辺を見学して帰る。
【シルヴィア】 デートですな。
【ジーネ】 けっきょく、いちゃいちゃしてるやんかぁ。
【ティガー】 いちゃいちゃなんかせえへん、っちゅうねん。普通に見学するだけ。
 GM、虎の像はなかったん?
【GM】 その地域で見つかったのは、不死鳥の彫像だけやね。

 その後、シルヴィアとキュレペも自らの担当区域を調査したが、残る虎の像を発見することはできなかった。
 ちなみに、その際シルヴィアは、水泡の地に落ちて顔にアザを作ってしまった。(ダメージを負うようなケガではなかった)
 それぞれに調査を終えた冒険者たちは、最初に寝かされていた部屋に集合した。

【ティガー】 「鳥があったで」って言う。
【シルヴィア】 「よくやった!」
【GM】 ──と、目の周りが青くなってるシルヴィアが、言うわけや(笑)。
【ジーネ】 治してあげましょか?
【ティガー】 「でもな〜、虎がないねん」
【ジーネ】 とりあえず、今日はもう休もうじゃないか。キュレペさんに精神力を回復してもらわんと。魔晶石を使いまくられたら、困るし。
【GM】 それでは、ひと晩休んで、翌朝になったよ。……朝なのかどうか、よくわからんけど(笑)。
【ティガー】 ってゆーかさ〜、腹減ってるんやけど。持ち物全部なくしてしまったし。
【GM】 しょうがないなぁ。じゃあ、キュレペさんが魚を捕ってきてあげよう。
【ティガー】 やったー!
【GM】 「はい」って、5匹の魚をもらったよ。
【ティガー】 ──って、生?!
【シルヴィア】 刺し身にするしかないなぁ。
【ティガー】 蛸がいい、蛸。
【GM】 「蛸……? あれは悪魔の生き物だから、ダメっ!」
【ティガー】 えぇー!? 捕ってきてぇな。
【GM】 「しょうがないなぁ」と言って外に出かけたキュレペは、しばらくして蛸を携えて帰ってきた。「ああ、気持ち悪い」
【ティガー】 蛸は生で食う。
【GM】 生どころか、まだ生きてるよ。「やめて〜や〜」と、うね〜っと蠢いてる。
【ティガー】 ぷちっ、ぷちっと叩いてから、ニョロニョロニョロと食べる。
【シルヴィア】 蛸の踊り食いや(笑)。
【GM】 にょろにょろにょろ、ちゅるん! と、ティガーは蛸を食べたわけやな。
【シルヴィア】 ひとりで食っちまいやがった!
【ジーネ】 まったく、この人は〜。しゃあない、魚をどうにかして食べるしかないな。シルヴィアに魔法で火を起こしてもおうか。
【シルヴィア】 燃やす物がないよ。
【ジーネ】 魚に〈ティンダー〉をかけるんやんか。
【シルヴィア】 なんか、生焼けで終わってしまいそうな気がするな。
【GM】 それ以前に、生魚は可燃物じゃないやろ(笑)。それに、焼くのと燃やすのとは、まったく別物のよーな気がするぞ。
【ジーネ】 ……ま、言うとるだけやから。メイド技能で刺し身でも作りますわ。
【GM】 調理道具は? 最低でもダガーぐらいないと、さばくことすらできんぞ。
【シルヴィア】 僕は刃物は持ってないよ。
【ティガー】 カルファンの剣があるけど。
【GM】 そんなもんで魚をさばけるわけないやろ(笑)。
【ジーネ】 私はモーニング・スターしか持ってない。
【GM】 じゃあ、モーニング・スターで調理するしかないな。魚を叩きつぶして、「みんな、肉片拾って食べて!」とか。
【シルヴィア】 魚のたたきやな(笑)。もういいわ、そのままかぶりつく。これがメロウ式の食べ方なんやろ、ということで挑戦する。
【ティガー】 うへ〜。いける?
【シルヴィア】 蛸を踊り食いした奴が、何を言うてんの(笑)。まあ、生臭い味しかせえへんやろな。きっと、おいしくはないよ。
【ジーネ】 けど、そうするしかないか。
【GM】 ちなみにズバンチョは、血をチューチュー吸ってるだけ。
【ジーネ】 楽でいいな、ズバンチョは。
【GM】 そんなこんなで、キミたちは、なんとか朝食を食べることができた。
【ティガー】 食った気にならん! 肉が食いたい!
【ジーネ】 蛸をひとりで食べたやんか。
【シルヴィア】 魚肉じゃアカンの?
【ティガー】 そんなん肉じゃない。牛とか、鳥とか。
【GM】 海底にそんなのいるわけないっしょ。
【シルヴィア】 ウミウシならおるかも知れんけど。
【ティガー】 それは名前に『ウシ』が入ってるだけ(笑)。
【GM】 さて、キミたちは今日、どういう行動をするのかな?
【ティガー】 虎を探す。
【ジーネ】 今日は3人組の2チームに分かれようね。男組と女組でいこう。

 しかし、虎の彫像を見つけることはできず、再び最初の部屋に戻ってきた。

【ティガー】 虎の像は、見えないことろにあるんちゃう。3体とも見えてることはないような気がする。
【ジーネ】 壊れちゃってるとか。
【ティガー】 ここ、虎の伝説とかはないん?
【GM】 キュレペはそういうのは知らないらしい。
【ジーネ】 書庫に行って、調べてみようか。虎の伝説に限らず、この都市の地図のようなものがないか、探してみよう。
【シルヴィア】 また、〈ウォーター・ブリージング〉をかけてもらおう。魔晶石を使わないとダメだろうけど。
【ジーネ】 ああ、魔力24の魔晶石が、どんどん減っていくぅ〜。
【GM】 では、再び書庫にやって来ました。
 今度の捜索は時間がかかるよ。本の内容を確かめながらの捜索だからね。今はまだ昼前だけど、これでほぼ1日が潰れると思ってください。
【ジーネ】 地図なら絵なわけだし、古代語が読めない私でも探せるよね。ファンリーにも手伝ってもらおう。
【シルヴィア】 文字によるガイドブックみたいなものがあるかも知れないし、僕はそういうのを中心に探してみる。この都市にまつわる情報なら、何でも。
 ズバンチョとキュレペさんにも、協力してもらおう。
【ティガー】 俺は、タイトルに『虎』と書かれてあるのを、全部調べる。みんなと探すものがちょっと違うねん(笑)。
【GM】 じゃあ、ティガーは「ザントフールト大陸の中部には、多くの虎が住む。そして虎たちの王、偉大なる白き巨虎マドナガルもまた、その地に住まうのである」とか、変な知識を身につけた。
【ティガー】 ザントフールト大陸って、どこ?
【GM】 セージなら、無条件で知っている。レムリア大陸の旧称。
【ティガー】 じゃあ、「関係ないなぁ」と思いながら別の本を探す。虎検索しかしないから、みんな、がんばってな。
【ジーネ】 なんよ、それ〜。ちゃんと調べてぇな。
【GM】 しかし、ジャカレパグァの地図は見つからない。ガイドマップみたいなものは、さすがにないね。
【ジーネ】 む〜。
【ティガー】 あのさ、不死鳥って、どういう方角に向いてた?
【GM】 北西かな。
【ティガー】 竜は?
【GM】 北だったと思う。
【シルヴィア】 微妙に方向が違うんやな。

視線まじわるところの事

【ティガー】 別に虎の彫像が見つからんでも、不死鳥と竜の視線が合わさる辺りを探してみれば、ええんちゃうん。
【シルヴィア】 そうか。じゃあ、ふた手に分かれて、それぞれの彫像の視線を、まっすぐ辿ってみるか。
【ティガー】 空中を泳げるから、まっすぐすすむのは簡単、びしっ! 速度を調節しとけば、問題なし。
【シルヴィア】 で、ふたつのグループが出会ったあたりを、捜索してみよう。
【ジーネ】 あの〜、私は歩くしかないんですけど〜。
【ティガー】 がんばってついてきて。
【GM】 キュレペが「街の北部には、巨大な水泡の地があるから、気をつけて」と、警告する。
【ティガー】 OK!
【シルヴィア】 それじゃ、いつものように、キュレペさんに水中呼吸の魔法をかけてもらおう。
【GM】 ──といっても、精神力は残り1点なんですが。
【シルヴィア】 また、魔晶石を使ってもらうか。
【ジーネ】 でも、そんなに魔晶石があるわけじゃないよ。ファンリーに渡してたのはなくなってるから、魔力24のが2個と、魔力9のが1個だけ。
【GM】 じゃあ、ズバンチョが「しょうがありませんな」と、進み出る。
「これでよければ、お使いください」と差し出すのは、青いビー玉みたいな宝石。淡く光ってるような気もする。
【ティガー】 何、それ?
【GM】 「魂晶石です。出来はよくないので、すぐに壊れちゃうと思いますけど」
【ティガー】 コン……??
【GM】 キュレペはそれを使って、キミたち全員に〈ウォーター・ブリージング〉をかけてくれた。そのとき、青い宝石は輝きを失って、粉となって崩れ去った。
【ジーネ】 それじゃ、女チーム、男チームに分かれて視線を辿ろう。女チームは不死鳥の視線、男チームは竜の視線で。
【GM】 キミたちは、どんどん海底都市を北に進んで行く。
 やがて、キュレペが警告した巨大な水泡の地が見えてきた。しかし、まだ2チームが出会うことはない。
【ジーネ】 向こうのチームの姿は見えない?
【GM】 建物よりも高い位置にいれば、向こうのほうに仲間の姿を見ることができる。
【ティガー】 水泡の地に入ろう。
【シルヴィア】 後は地面を歩いて行くしかないし、キュレペさんには、ここで待っていてもらおう。
【ティガー】 帰ったらアカンで。
【ジーネ】 水中呼吸の魔法がなくなったら、一生、この水泡の中にいるハメになってしまうもんな。
【ティガー】 で、GM、まっすぐ進める?
【GM】 地上は道が入り組んでたり、行く手に建物があったりするから、宙を泳ぐようにはいかないね。視線に沿ってまっすぐ進みたいのなら、シーフ技能による成功ロールに成功する必要がある。
【ジーネ】 じゃあ、こっちはファンリーにチェックしてもらおう。男性チームはどうするの?
【ティガー】 どうしよ?
【シルヴィア】 技能がないなら、頭を使うしかないな。GM、水の中から、水泡の地の中の様子を見ることはできますか?
【GM】 いちおう、できるよ。
【シルヴィア】 じゃあ、竜の彫像の視線をまっすぐに延ばして、その先にある目印になりそうな地形や建物を、覚えておこう。それを頼りにして街を進む。
【GM】 OK。じゃあ、男チームはそうやって進んだ。ジーネはファンリーの誘導で、不死鳥の視線を辿る。やがて、ふたつのチームは、一面瓦礫に覆われた区域で出会った。
 この辺りは、ずいぶん損傷が激しい。
 すぐそこに、何か大きな建築物の一部だけが残ったという感じの、小さな石造りの建物がある。その建物は、金属製の両開きの扉に閉ざされている。
【ジーネ】 これが『真実への入口』?
【シルヴィア】 たぶん、そうやろ。
【GM】 では、皆さん。ここで[危険感知]をしていただこう。
 ──おっと、それならシルヴィアが、ボヤ〜っとした黄色い光を放つ者たちが、周囲から近づいて来ることに気づく。その数、5体。
【シルヴィア】 みんなに警告する。
【ティガー】 じゃあ、セージ技能でチェックしてみる。(ころっ)
【GM】 ティガーは、それがワイトというアンデッド・モンスターであることがわかった。
【ジーネ】 5対5か。
【ティガー】 鎧がない! ま、いっか。避けれるやろ。
 まずは、目の前のワイトを殴ってみる。通常武器無効やった気がするけど、ティガーはそんなこと知らへんし。(ころっ)当たった。
【GM】 しかし、手応えはない。
【ティガー】 やっぱりね。
【GM】 続いてズバンチョの行動。「どうしましょ、どうしましょ」「にょ〜、にょ〜」
 はい、次の方。
【ティガー】 えぇー?! それだけ??
【ジーネ】 役立たずぅ〜。

 この戦闘で、ジーネやファンリーは〈ホーリー・ライト〉を唱えていたのだが、GMが抵抗されたときの処理を効果消滅と勘違いしていたため、ワイトとの死闘はかなり長引いた。
 役立たずと言われたズバンチョも、戦いに参加してみる。

【GM】 ズバンチョは、「光の精霊よ、我が世界に姿を現し、我が指すところの敵を撃て!」と、ウィル・オー・ウィスプを呼んでみる。
【シルヴィア】 あ、そんなことができるんや。
【GM】 シャーマン技能はないけどね。だから、言ってみただけ。
【ティガー】 「あほー!」と怒鳴りながら、ワイトEに攻撃。

 最後は、ファンリーに〈ホーリー・ウェポン〉をかけてもらったティガーの剣が唸り、13ラウンドに及ぶ激闘に終止符を打ったのだった。

【シルヴィア】 しかし、あれだけ魔力を蓄えてた魔晶石が、残り魔力14のが1個だけになってしまった。
【ジーネ】 私の魔晶石なんか、残り魔力3だよ〜。精神力だって、残り11点しかないし。
【シルヴィア】 このまま進むかい?
【ティガー】 精神力を回復させてから、先に進んだほうがいいと思う。また、戦闘があるかも知れんし。
 どこか、近くの建物の中で休憩する。
【ジーネ】 ……するの?
【シルヴィア】 それがいいと思うよ。ついでに、キュレペさんに報告しといたほうがいいな。
【ティガー】 じゃあ、「明日、また来てよ」と言うとこか。
【GM】 キュレペはねぐらに帰って行った。「覚えてたらね〜」
【ティガー】 「覚えてろー! 来なかったら、ズバンチョが死ぬで」
【GM】 「別にいいッスよ〜」
【ティガー】 いいんやって。ズバンチョ、かわいそうやな(笑)。
【GM】 ズバンチョは、無言でニョムヒダを泣かせてる。「にょ〜」
 そんなこんなで、翌朝になった。しっかり休んだので、精神力は完全回復している。
【ジーネ】 そんじゃ、例の建物の扉のところに行ってみましょかね。
【ティガー】 扉を開けてみる。
【GM】 開いたよ。
【ジーネ】 開いたの? うわぁ、錆びもせんと。金属製の扉のくせに。
【シルヴィア】 そりゃ、普通の金属なら錆びてるかも知れないけど、古代魔法帝国の遺跡なんやから、ミスリル銀とかの魔法の金属でできてても、不思議じゃないやろ。
【ジーネ】 じゃあ、この扉、持って帰らないと。
【ティガー】 絶対、無理。それより、中はどんなん?
【GM】 真っ暗です。
【ティガー】 見えねー! 〈ライト〉くれ。
【シルヴィア】 じゃあ、僕のメイジ・スタッフにかけよう。(ころっ)かかった。
【GM】 すると、奥のほうが見える。どうやら、地下におりる階段のようやね。
【シルヴィア】 地下に向かおうか。
【GM】 しかし、階段は途中から水に浸っている。要するに、地下は水に沈んでしまってる、ということ。
【ティガー】 ちょっとだけ見てくる。明かり持ってくで。
【シルヴィア】 じゃあ、ニョムヒダの像に〈ライト〉をかけて、ティガーが戻ってくるのを待ってるよ。う〜ん、こんなところで、精神力を無駄使いしたくないんだけどなぁ。
【GM】 水の中で息を止めてられるのは、生命力と同じ数のラウンドだけやから、ティガーは注意してな。
【ティガー】 14ラウンド潜れるんか。じゃあ、7ラウンドだけ進んで、8ラウンド目から来た道を戻るようにする。
【GM】 OK。では、ティガーは地下に潜って行った……。

÷÷ つづく ÷÷
©2002 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2002 Jun Hayashida
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