≪REV / EXIT / FWD≫

§烙印の天使:第12話§

ファンリー誘拐事件

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ カバンタの策略の事 ▽ ファンリー争奪戦の事 ▽ ブレインへの船出の事

カバンタの策略の事

【ジーネ】 見張りの聖騎士を、突破する。儀式の間に向かうよ。
【GM】 そりゃ、とうぜん、ふたりの聖騎士はキミを止める。
「こらこら、向こうに行っちゃいかんよ」と、見張りはハルバートを交差させて、ジーネの行く手を阻む。
【ジーネ】 「やかましい!」って、突破できる?
【GM】 ふたりの聖騎士は、少なくともジーネよりレベルが上。押し退けて突破するのは、無理。
【ティガー】 逆に捕まってしまうんちゃう?
【GM】 そうやね、ジーネは取り押さえられてしまったよ。
【ジーネ】 とにかく、ギャーギャー騒ぐ。「ファンリーがさらわれそうなんや、仲間からの知らせなんや〜」って。
【GM】 聖騎士たちは困りながら、「誰か!」と、人を呼んだ。そして、駆けつけた別の聖騎士に、ジーネを神殿の一室に連れて行くよう頼んだ。
【シルヴィア】 牢屋じゃなくて、ラッキーやな。
【ジーネ】 そりゃ、私はシルファスの司祭やもん。
【GM】 神殿の一室に連れてこられたジーネは、椅子に座らされ、「まあ、落ち着きなさい」と〈サニティ〉をかけられ、お茶を出された。
「いったい、どうしたというのかね?」
【ジーネ】 ティガーたちから聞かされたサンチョスの話を、すべて話す。「きっと、カバンタは神殿長に変装していて、ファンリーを連れ去るつもりなんです」
【GM】 「はあ、そう言われてもねぇ……。私が見た限り、今朝のネルソン様は、普段とお変わりないご様子だったが?」
【ジーネ】 あんたの目なんて信用できるかぃ! と、心の中で思うとく。
【GM】 「何かの間違いだろう。今夜はもう、お休みなさい」
【ジーネ】 この聖騎士の首根っこをひっつかまえて、宿屋のサンチョスのところに行く。そこでサンチョスから話を聞けば、信用するやろ。
【GM】 う〜ん……(ころっ)じゃあ、ついて行ってあげよう。
【シルヴィア】 えらい、素直な聖騎士やな。
【ジーネ】 そりゃ、私はシルファスの司祭やもん。信用はあるんでしょ。
【GM】 うんにゃ。夜中に突然現れて、立入禁止の場所に押し通ろうとするわ、騒ぐからなだめてやれば、急に首根っこつかまえて、どこかに連れて行こうとするわ、怪しいことは怪しいけど、まっとうな犯罪者でないことだけは確か、というだけ。
【ジーネ】 いいの、素直についてくれば。犯罪者扱いされるよりはマシ。
【ティガー】 そういえば、カバンタが神殿長に変装してるとしたら、本物の神殿長はどこにおるんやろ?
【シルヴィア】 僕に聞かれてもわからんよ。いったん宿屋に戻って、あのおっさんに聞いてみたらどうや。
【ティガー】 サンチョスに? んじゃ、宿屋に帰る。
【GM】 では、ティガーたちは、港を後にした。宿屋の前に来たとき、ちょうど聖騎士の首を掴んで歩いてきたジーネと出くわす。
【ティガー】 何をやってるんやろ、と思う。
【ジーネ】 こいつらが私の話を信用せんから、証拠を見せにきたんやんか。
【ティガー】 ま、いいや。部屋に入って、サンチョスに尋問しよう。
【GM】 部屋に踏み込むと、ティガーたちが放置したときの形のまま、サンチョスはベッドの上にいた。
「この縄目を解いてください。血管が止まって、痺れるのです」
【ティガー】 おまえに血なんか流れてへんやろー!(笑) つーか、質問に答えたら、命だけは助けたる。
「そもそも、カバンタは誰に化けたん? 神殿長?」
【GM】 「そんなことを言ってたような気がします」
【ティガー】 「じゃあ、本物の神殿長は、どこに隠したん?」
【GM】 「私は別に、墓地の納屋に隠すようには、命令されてません」
【シルヴィア】 墓地の納屋か。
【GM】 「なぜ、それをッ!? さ、さすがは魔術師だな」
【ティガー】 つーか、自分でバラした(笑)。
【GM】 「なんですとぉ〜?!」
【ジーネ】 これで聖騎士は納得した?
【GM】 したみたい。「こ、これは大変だ」と、困惑してる。
【ジーネ】 まったく、最初から信用しろっちゅーの。
【ティガー】 「でさ、いつ、ファンリーをさらっていくつもりなん?」
【GM】 「可能ならば今晩にでも、ということになっています。
 しかし、私がこんな状態では、きっとカバンタ様は、私を置いて行ってしまうでしょう。あのお方は冷たいですから。
 だから、どうか私を解放してください」
【ティガー】 あー、なるほどねぇ。
【シルヴィア】 で、ファンリーをさらった後、どうやって逃げるつもりなんや?
【GM】 「じつはですね〜、カバンタ様は、グリフィンを捕まえておられたんで、それで逃げるおつもりだったんでしょう。
 しかし、グリフィの奴は、我々の一瞬の隙を突いて縛めを脱し、セオニ山のほうへ飛んで逃げてしまったんです、これがまた」
【ティガー】 あははは(笑)。「悪いけどそのグリフィン、やっつけたわ」
【GM】 「は??」と、サンチョスは驚く。「しかし、そこはカバンタ様。すでに次ぎなる手を打ってございます」
【ティガー】 なに? 空飛ぶ椅子?
【シルヴィア】 そんなん、すぐにかじるで(笑)。
【GM】 「違いますよ、でかい鳥です。特殊な笛を吹くと、飛んできてくれるそうです」
【ティガー】 でかい鳥……ロック鳥?
【ジーネ】 そこまでいったら、無理やろ。
 私は聖騎士と一緒に墓地の納屋に行ってみるけど、ティガーはどうするの?
【ティガー】 また、港を見張っとく。「とりあえず、おまえ、俺たちと一緒に来い」って、サンチョスも連れていく。
 シルヴィアは?
【シルヴィア】 僕も港にいるよ。ジーネのほうには聖騎士がいるから、大丈夫やろ。
【ジーネ】 その聖騎士は、墓地の場所くらい、とうぜん知ってるよね?
【GM】 もちろん、知ってるよ。
【ジーネ】 じゃあ、案内してもらおか。ティガーたちとは、後で港で合流するってことにしといていい?
【ティガー】 OK〜。
【GM】 「あの〜」と、サンチョスがおずおずとティガーに言う。「すべてお話ししましたし、お約束どおり、縄目を解いてくれませんか?」
【ティガー】 いや、俺は「命を助ける」としか言ってへんぞ?(笑) おとなしく港についてこい。とりあえず、ファンリーを取り戻すまでは、絶対に縄はほどかない。
【GM】 じゃあ、ティガーとシルヴィアは、縛り上げたサンチョスを伴って、再び港にやって来た。
【ティガー】 また、樽の後ろに隠れる。
【シルヴィア】 その間、僕は無言でサンチョスに蹴りを入れとく。「おまえが逃がしたグリフィンのせいで、弟は〜」って。
【GM】 「し、知りませんよぉ〜。あれを連れていたのは、カバンタ様なんですよ。逃がしてしまったのは、どちらが悪いとも言えませんし……」
【ティガー】 知らんわ! つーか、どこでグリフィンなんか捕まえてん、あいつ(笑)。
【ジーネ】 GM、こっちの様子は? いちおう、聖騎士を捕まえて、「おらおら、墓地に行くぜー!」って、墓場まで来たけど。
【GM】 はいよ、夜の帳の墓地ですよ。人魂がフワ〜っと飛んでたりする(笑)。
【ジーネ】 今はかまってるヒマがない。「後でね!」と言って、納屋を探す。
【GM】 それらしき納屋は、すぐに見つかった。
【ジーネ】 バンっと開ける。
【GM】 すると、パンツ一丁で後ろ手に縛られ、足も縛られた上に猿轡まで噛まされた、60代ぐらいの禿げたおっちゃんが転がり出てくる。
 聖騎士が「ネルソン様!?」と、叫んだ。「なんてお姿に……」
【ジーネ】 「ご無事ですか、神殿長さまっ」
【GM】 多少は衰弱してるけど、生きてるよ。ケガも大したことはなく、かすり傷程度。ただ、体のあちこちを蚊に刺されてるので、めっちゃかゆそう。
【ジーネ】 ロープを解いてあげよう。
【GM】 「ありがとうございました」と、シルファス神殿長ネルソンさんは言う。「いや、もう、ここがかゆくてっっ!!」
【ティガー】 とりあえず、早くシルファス神殿に行け、おまえら!
【GM】 「こりゃ、大変だ。えらいこっちゃ」ってことで、ジーネたち3人は、シルファス神殿に帰って来た。
【ジーネ】 神殿に戻って、どうしようかな。とりあえず、儀式の部屋を覗いてみて、カバンタたちの姿がなければ、港のティガーのところへ行く。
 儀式の間の扉を開けるよ。
【GM】 すると、神殿長そっくりのおじさんが、開け放たれた天窓から垂らしたロープに掴まって、壁をよじ登ろうとしてるところだった。
 ファンリーは薬でも飲まされたのか、ぐったりと気を失っていて、神殿長のそっくりさんに、紐でくくりつけられて背負われている。
【シルヴィア】 間に合ったか。
【GM】 神殿長に酷似したおじさんは、「なんだね、キミたちは!? 今は大切な儀式の途中だよ!」と、怒る。
【ティガー】 どんな儀式やねん!(笑)
【ジーネ】 カバンタにタックルして、取り押さえる。
【GM】 ちなみに、カバンタまでの距離は、12メートルね。
 では、戦闘ラウンドに入ろう。敏捷度はカバンタのほうが速いから、ジーネのタックルは、その後になる。
 カバンタは、懐から変な玉を取り出し、床に投げつける。すると、玉からまばゆい閃光が放たれた。ジーネは、精神力抵抗してくれ。
【ジーネ】 (ころっ)失敗。
【GM】 すると、目が眩んでしまったので、すべての行動にマイナス4のペナルティね。タックルにもとうぜん、ペナルティがつく。
【ジーネ】 (ころっ)はずれてしまった。
【GM】 ジーネは、あさっての方向に突進した。奥の祭壇にぶつかって、香炉が床に転がり、灰があたり一面にまき散らされる。
【ジーネ】 そんなんはどうでもええ。聖騎士たちは?
【GM】 (ころっ)顔を押さえて、「目がァ、目がァ〜!」と、悶えてる(笑)。

ファンリー争奪戦の事

【ジーネ】 ちっ、役立たずめ。
【GM】 次のラウンド。カバンタは、「では、さらばだ、明智くん」と言って、ロープで壁を登って、天窓から逃げ出してしまった。
「重い〜。椅子かじりたい〜」と、外から声がする。
【ジーネ】 そのロープ、私も登れるかしら。
【GM】 シーフ技能じゃないんで、ちょっと厳しめの判定が必要やけど、試みることはできる。
【ティガー】 普通に外へ出たほうが、早いかも。
【ジーネ】 じゃあ、ロープを登るのは、あきらめよう。扉のところから出ていく。で、聖騎士に「とっととついてこ〜い!」と言う。
【GM】 ついてはいかないよ。すぐに他の聖騎士たちを呼び出し、ばらけて付近一帯を捜索することになる。一団となって行くより、そのほうがずっと効率いいしね。
【ジーネ】 そっか。とりあえず、私は広場に出ます。
【GM】 ここで、ちょっと時間を巻き戻す。
 その間、港にいるティガーたちは、どんな感じやったんかね?
【ティガー】 ずっとサンチョスを蹴ってた。
【GM】 そうしてると、シルファス神殿のほうで一瞬、鋭い光があがった。
【ティガー】 サンチョスに「今の、なに?」っ聞く。
【GM】 「あれはたぶん、閃光弾ですね」と答える。「あれ、私が作ったんですよ」と、なんだか自慢そう。
【ティガー】 サンチョスを引っ張って走る!
【GM】 「痛いです、痛いですぅ」
【ティガー】 あー、うるさい、うるさい。シルヴィアも来い!
【シルヴィア】 シルファス神殿に向かうわけやね。もちろん、一緒に行くよ。しかし、サンチョスはあんな物まで作れるんか。
【GM】 「いや〜、照れますな」と、サンチョスは顔を赤くしてる。「旦那様の屋敷の地下の、魂晶石を精製する薬品も、私が再現させたんですよ〜」
【ティガー】 どうでもいいわ。あれ、手を入れたら痛かったんじゃ。腕毛抜けたし。ロープをくいっと引っ張ってやる。
【GM】 「あうっ」──とか何とかやってるうちに、ティガーたちは、時計台のある中央広場にやって来た。
 ちょうど、シルファス神殿からジーネが出てきたところ。
【ジーネ】 広場に怪しい人影はない?
【GM】 大通りに続く脇道に、3つばかりあるけど(笑)。
【ジーネ】 いや、カバンタのことよ。
【GM】 それなら、ファンリーを背負った60代ぐらいのおじさんが、30代並みの颯爽さで、時計台に向かって走ってゆくのが見える。
 これは、ティガーたちも目にするよ。
【ジーネ】 時計台から逃げる気か。
【ティガー】 じゃあ、筋力2のジャベリンを投げてみる。
【ジーネ】 やめてよ、ファンリーに当たったらどうすんのよ!?
【ティガー】 いや、カバンタの目の前に、すこーんと刺さる感じで。
【シルヴィア】 威嚇というわけやね。
【GM】 なら、判定はいらないや。神殿長もどきは立ち止まって振り返り、「何者だ!?」と誰何する。
【ティガー】 「よう、カバンタ」と、カルファンの剣を構える。
【GM】 「何のことかね? ワシはしがない神殿長だよ」
【ティガー】 もう、正体はわかっとんのじゃ。サンチョスから全部聞いたし。
【GM】 「カバンタさまぁ〜、すみません〜」
【シルヴィア】 ほら、ここでも正体を言うてくれてるし(笑)。
【ジーネ】 ネタはあがっとるんや、おらおら。
【GM】 神殿長もどきは「ばーれーたーかぁー」と言って、顔をべりべり剥がしてゆく。
 その下から現れた素顔は、ティガーやジーネもよく知っている、あのカバンタだった。
「サンチョスめ〜」
【シルヴィア】 いい部下を持って、幸せやな。
【GM】 「すみません、カバンタさまぁ。こいつらが、私を縛った上に暴行を働いて、無理やり情報をしゃべらせたんですぅ」と、サンチョスは泣く。
「なに、それは本当か〜」と、カバンタ。「なんてひどいことを〜」
【ティガー】 ひどいんはそっちや。ファンリーを放せ。
【ジーネ】 それにサンチョスは、自分で勝手に情報を漏らしてしまってたような気が(笑)。
 とりあえず、モーニングスターを構えて近寄るよ。
【GM】 カバンタは「近づくんじゃねぇ〜」と警告する。
【ティガー】 知らん。剣が届くとこまで近づく。
【GM】 「それ以上近寄ると、こうしてやる!」と、紐を解いて背負ったファンリーを抱きかかえ、その細い首筋にダガーを押し当てる。「血がブシューっと出るで〜」
【シルヴィア】 「こっちも、サンチョスの首を刎ねるぞ」と、言い返してみよう。
【GM】 「そいつは、どうとでも好きにするがいい。爪先から1センチずつ切り刻むなり、十字架にかけてニンニク責めにしてやるなり」
【ジーネ】 この世界のバンパイアに、十字架やニンニクが効くのかぁ?
【シルヴィア】 サンチョスに「おまえの主人は、あんなこと言ってるぞ」と、言ってみる。
【GM】 「ひ、ひどいですよ、カバンタ様ぁ!」と、泣いてる。はずみで、ティガーの背中のニョムヒダの像も、泣いている。「にょ〜」
【ティガー】 ニョムヒダ、うっとおしい(笑)。サンチョスにあげよっと。
【GM】 「何スか、これ??」
【ティガー】 「おまえの気持ち」(笑)
【ジーネ】 ファンリーの首にダガーが突きつけられてる以上、ヘタに動けないなぁ。睨み合いになる。
【GM】 真夜中、人けのない石畳の広場で、キミたちはそうして対峙してるんやね。
【シルヴィア】 「カバンタとやら、神妙にお縄につけぃ」と、警告するよ。
【ジーネ】 カバンタに、「ファンリーを返しなさい!」と言う。
【GM】 「それはできんな」と答える。「こいつは持っていかんと、アカンからな」
【ジーネ】 「どこに」と、冷やか〜に言ってやる。「なんで、そんなにファンリーをさらいたいわけ?」
【GM】 「そらな──」
【ティガー】 ──気に入らんのやろ、ファンリーの「守ってもらおうとする意思」が。
【GM】 「……うん」
【ジーネ】 「あなたがファンリーを気に入らなくても、私たちはファンリーが大好きなんだから、返しなさいっ!」と言う。
【GM】 「ダメ〜」と、カバンタ。「じゃあ、3万フィスで買う?」
【ティガー】 ファンリーは物じゃねえッ!
【ジーネ】 埒があかんなぁ。
【シルヴィア】 こういうとき、口火を切るのは、切り込み隊長のティガーやろ。
【ティガー】 よし、行ってみようか。とりあえずカバンタ、死ねや。
【GM】 「『死ねや』ったって、おまえの攻撃、当たった試しがないし」
【ティガー】 「これから当ててやるよ」
【GM】 「いや、ファンリーを楯にして、防御するから」
【ジーネ】 ああ、カバンタなら言いかねん。
【ティガー】 〈スリープ・クラウド〉で、奴の動きを止めるとか。
【ジーネ】 それ、効かなかったときが大変だよ。ファンリーが殺されしまう。
【ティガー】 殺されへんのとちゃう? だって、カバンタは、ファンリーをどこかに持って行かんとアカンのやろ。殺してしまったら、さらっても意味がない。ぴしっ!
【ジーネ】 そりゃ、そうだけど……。ファンリーに傷がいったらどうすんのよ。
【ティガー】 〈キュアー・ウーンズ〉で治せばいい。
【ジーネ】 あなた、それでも彼氏なの?(笑)
【ティガー】 大丈夫、治せないような傷はつけられない。何に使う気か知らんけど、ファンリーを殺してもかまわんのなら、儀式のふりをしてるとき、とっくに殺してるはず。
【シルヴィア】 それは一理あるな。じゃあ、〈スリープ・クラウド〉をやってみる?
【ジーネ】 魔法が効かなかったら、どうする?
【ティガー】 そのときは突っ込む。ダガーを持ってる腕をねじあげて、押し倒す。
【シルヴィア】 それでいこう。
【GM】 では、戦闘ラウンドに入るわけね。いちばん速いのは、ティガー。
【ティガー】 このラウンドの最後で、タックルするつもり。今は立ってるだけ。
【GM】 続いてカバンタだけど、(ころっ)彼はそちらの行動を察知していないようやね。ファンリーの首筋にダガーを突きつけたまま、このラウンドはとくに何もしない。
【シルヴィア】 じゃあ、〈スリープ・クラウド〉をかけるで。(ころっ)あっ、低い。こりゃダメや、抵抗された。
【ジーネ】 うわーッ! 私はじりじりと、カバンタの背後に回ろうとします。
【ティガー】 ラウンドの最後! タックルする。(ころっ)よっしゃ、初めてカバンタに攻撃が当たったぞ〜。
【GM】 では、カバンタは、ファンリーともども押し倒されてしまった。「ぎゅう」
【ジーネ】 よっしゃ!
【GM】 では、次のラウンド。ティガーからどうぞ。
【ティガー】 ダガーを持ってる手をねじりあげて、石畳にガンガンぶつける。
【GM】 (ころっ)するとカバンタは、たまらずダガーを放してしまった。
「あうあう、悪かった、悪かった」と言ってる。「返す、返す〜」
【ティガー】 知らん、知らん(笑)。とりあえず、誰かファンリーを引き離してよ。
【ジーネ】 じゃ、ファンリーを取り戻す。お姫さま抱っこして、すぐにカバンタのところから離れる。
【シルヴィア】 よしよし。これでこちらの目的は果たしたな。
【ティガー】 さて、このカバンタをどうしたろ。
【ジーネ】 「別に首をかっ切っても、私は怒りませんわよ」にっこり。
【ティガー】 ──って言われてるけど、シルヴィアはどうしたい?
【シルヴィア】 僕は別に、どないでもいいけど。
【GM】 カバンタは「逃がしたほうがいいと思う〜」と、言ってるよ。
【ティガー】 「おまえの意見は、尊重されませ〜ん」ぱこん!
【GM】 「なんてことを〜」
【ジーネ】 縄で縛り上げて、シルファス神殿に突き出してやろうよ。神殿長を誘拐したんだしさ。
【ティガー】 そだね。

ブレインへの船出の事

【ジーネ】 サンチョスはどうする、逃がしてあげる? 連れてったらね、彼は絶対殺されると思うんだよ。相手は至高神の神殿だもん。
【ティガー】 とりあえず、サンチョスは置いといて、カバンタを神殿に連れてく。
【GM】 「連れて行くのん〜?」
【ティガー】 うん、連れて行くのん。
【ジーネ】 私は、ファンリーをお姫さま抱っこして宿屋に帰るから、シルヴィアさんは、サンチョスを持って来てくれませんか。
【シルヴィア】 いいよ。じゃあ、サンチョスを小突きながら歩こう。で、ティガーが帰って来るまで、宿の部屋でずっと説教しとく(笑)。
【GM】 それじゃ、カバンタはシルファス神殿の聖騎士に引き渡された。「おのれ〜。殺さなかったことを、後悔させてやるっ」
 で、ティガーが宿屋に戻ってみると、床に正座させられたサンチョスが、シルヴィアに説教されていた。「つい、魔がさして……」とか言ってる。
【ジーネ】 あんたは魔がさし過ぎ。まあ、でも「命は助ける」と約束しちゃったから、今回は見逃してあげようと私は思うんだけど。
【ティガー】 うん。「でも、次はないからね」と言っておく。
【GM】 「はい、もう、たぶん、あんなことは、2度としないかと思いますです」
【ティガー】 『たぶん』?
【GM】 「いえ、きっと、です」
【シルヴィア】 『絶対』と言えよ(笑)。
【ティガー】 「とりあえず、次、何か悪さして目の前に現れたときは、死ぬと思え」
【GM】 「わかりましたです」
【シルヴィア】 じゃ、さっさと行け。
【GM】 サンチョスは、ティガーからもらったニョムヒダの像を抱いて、部屋から出て行った。
【ティガー】 「あ、その像、背中のボタンを押したら泣くから〜!」
【GM】 廊下の向こうから、「にょ〜」と泣き声がする。試してみたんやろね。
 そしたら、「うるせーぞ!」と他の客の怒鳴り声が響き、「すみません、すみません」と謝るサンチョスの声が聞こえてきた。
【シルヴィア】 悲惨やな。
【ティガー】 行っちゃった。ちょっと仲間にしたかったな。
【ジーネ】 じゃあ、呼び戻せば?(笑) 今ならまだ間に合うよ。
【ティガー】 ん、別にいいや。
【ジーネ】 ところで、ファンリーは大丈夫かな。
【GM】 大丈夫。翌朝になったら目を覚ましたよ。部屋を見回して、「あれ、ここは?」とか言ってる。
【ジーネ】 「無事でよかった〜」って、ギューっと抱きつく。
【GM】 とうぜん、ファンリーは状況がよくわかってない。「儀式は成功したんですか?」
【ティガー】 まあ、成功したというか何というか、儀式そのものがなくなってん。
【シルヴィア】 というわけで、僕がこれから儀式をしてあげるよ。
【GM】 ──「だから服を脱いで」と続きそうやな(笑)。
【ジーネ】 飛び蹴りくらわすぞ、シルヴィア〜!
【シルヴィア】 そんなこと言わないって。
【GM】 さて、キミたち。これからどうするのかね?
【ジーネ】 また、シルファス神殿が関わってきて、ややこしくなる前に、船に乗ってブレインに渡ってしまおう。
 それからファンリーは、これからは偽名を使って、変装しておいたほうがいいね。
【ティガー】 じゃあ、服装を男の子ふうにして、髪の毛は帽子の中に入れとこう。名前はジョン。
【ジーネ】 ジョンとくれば、名字はスミスだな。ジョン・スミスということで。ファンリーはシーフ技能を持ってるから、自分で変装したほうがいいよね。
【シルヴィア】 でも、外に出すのはまずいから、僕が街で変装道具一式を購入してこよう。
【ジーネ】 私はその間に、酒場で情報収集でもしときたいんやけど。
【ティガー】 ウィスからブレインまで、船でどれくらいかかるの?
【GM】 1日。
【ジーネ】 んじゃ、けっこう近いんだな。ブレインについて、何か噂とか聞けない? 儲け話とか。
【GM】 儲け話ねぇ。ブレイン自体には、儲け話の類はないよ。いちおう、大きなカジノがあるらしいけど。
 ブレインから西に行ったところにある、ヒルド砦になら、傭兵募集の話があるという。ただ、最近は傭兵が過剰気味になってきてるんで、応募しても、二束三文で雇われることになるそうだ。
【ティガー】 ブレインでいちばんうまい食べ物は何ですか?
【GM】 焼肉。
【ティガー】 おっし、OKー! ミッション・コンプリート。
【シルヴィア】 うまい食べ物を聞いて、終わりかぃ(笑)。
【ティガー】 それが重要。ブレインに行って、焼肉を食うぜ。
【ジーネ】 それはいいとして、ブレインに到着してから、向こうの島で、近寄らないほうがいいような場所とかある?
【GM】 あるよ。たとえば、ヒルド砦からゴルドに続く街道。
 ここには、連合軍がゴルドへの物流を断ち切るために兵士を置いている。むやみに近寄ると、攻撃される恐れがある。
【シルヴィア】 ゴルドは敵国の領地やもんな。
【GM】 まあ、中には、警備網をかいくぐってゴルドに物資を密輸しようとする、危ない闇の商人みたいなのもいるけどね。
【ジーネ】 きっと、ボロ儲けができるんやな。
【GM】 ただ、ゴルド付近には山賊がいて、そういう商隊を襲っているらしい。
 噂では、そいつらはおかしな山賊団で、積み荷や金品を奪うことは奪うけど、根こそぎ持っていくわけではなく、3分の1だけ接収して後は見逃すそうだ。
 場合によると、無事にゴルドに届けられるように、手配してくれるらしい。
【シルヴィア】 まあ、根こそぎ奪ってたら、そのうち誰も通らなくなるからなぁ。
【ティガー】 じゃあ、ゴルドは、そういう密輸だけに補給を頼ってんの?
【GM】 いちおう、ランダース本国の北西にあるソラという港町から、ゴルドに向けた輸送船が出てる。
 しかし、スパニア西の海上には海賊がいて、頻繁に輸送船が襲われてるんで、やっぱり、補給は心もとない。
【ジーネ】 海賊かぁ……。
【GM】 山賊はどうか知らないけど、海賊のほうは、連合軍の私掠船だそうです。
【ティガー】 じゃあ、海賊じゃなくて、海軍やと思っていいと。
【GM】 そういうことやね。
【ジーネ】 海賊に入って、ゴルドの船を奪ってソラからランダースに入るか、山賊に与してゴルドに入り込むか、さて、どっちを取る?
【シルヴィア】 船を奪うのは難しそうな感じがするけど。
【ティガー】 うん。ゴルドに行って、そこからソラ行きの船に乗せてもらうほうが、やりやすそう。
【ジーネ】 問題は、山賊とコンタクトが取れるか。
【GM】 ゴルドに行く気なら、山賊以前に、警備の目をかいくぐらんといかんよ。
【ジーネ】 そっか。じゃあ、もう、スパニアから街道を北上して、直接ランダースに乗り込むしかないかな。
【シルヴィア】 同じことやろ。しかもそっちは、連合軍とランダース軍の両方の警備があるはず。両方からお尋ね者になるかもよ。
【ティガー】 正面突破はムリやな。
【ジーネ】 やっぱ、非合法に裏ルートで潜り込むしかないんだよな〜。シルファスの司祭が言うことじゃないけど(笑)。
【シルヴィア】 裏ルートのうちで、いちばん安全と思われるものを、選ばんとアカンな。さて、どれを選ぶ?
【ティガー】 海賊に入れてもらえば、連合軍の味方ってことになるから、安全っぽい。けど、船を奪った後、ソラに行くのが難しそう。
【ジーネ】 組織に組み込まれると、自由がきかなくなるもんねぇ。じゃあ、やっぱり、何とか山賊とコンタクトを取って、ゴルドに入れるようにしてもらうルートを選ぼうか。
【シルヴィア】 何にしろ、まずは船でブレインに渡らんとアカン。港に行こう。
【ジーネ】 また、運賃を取られるのかな?
【GM】 もちろん。おひとり様、150フィスになります。
【ティガー】 じゃあ、払った。船に乗っちゃえ。
【GM】 キミたちが乗り込むのは、ブレイン海洋ギルドが所有する、アイリス級輸送戦艦マーク3。
【シルヴィア】 名前はすげぇ。
【GM】 約30年前に新鋭艦だった船です。
【ティガー】 じゃあ、今はボロっちいんや。
【ジーネ】 沈まなきゃいいのよ、沈まなきゃ。
【GM】 そして、船は岸壁を離れてゆく。旅立つ人々は、残る人々とリボンで握手しながら、別れを惜しむ。
 キミたちもリボンを握りながら、「さよ〜なら〜」と手を振っている。
【ジーネ】 そんな大げさなこと、する必要なんかなかろうに。
【ティガー】 だいたい、俺らが誰とやるねん、そんなこと(笑)。
【シルヴィア】 カバンタとやろ(笑)。
【ジーネ】 カバンタは牢屋の中でしょうが。
【GM】 いや、今朝になってみると、牢に彼の姿はなかったらしい。今、シルファス神殿が血眼になって探してる。「あっちの宿屋の椅子がかじられてた」という情報があると、すぐにそこに飛んで行ったり。
【ティガー】 あいつめ〜、逃げたんか〜。
【GM】 そんなことを言いつつ、船はブレインを目指します。
 ──といったところで、今回はここまでとしましょう。

÷÷ つづく ÷÷
©2002 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2002 Jun Hayashida
Map ©2002 Moyo
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ひと言ありましたら
 
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