▽ 冒険者たち、森を彷徨う事 | ▽ ジャニオスの淡い恋の事 | ▽ レイク画策の事 |
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【GM】 それでは、続きを始めましょう。皆さんはハズール村を出発して、〈ロケーション〉が指し示す、リーナスさんがいると思われる地へ向かっているところです。方向的には、ちょうど真東ね。そうして何日かすると、道が南東と北東に分岐する地点にやって来ました。ちなみに、正面は森。
【エリオ】 向かうは真東やろ。これは森を抜けろということかな。
【ジャニオス】 森を焼き払ってから行こか。
【GM】 そんなことしたら、この地方の自然環境が大きく崩れてしまうよ。
【エリオ】 ホンマや。せっかくアリステア地方、大戦の後遺症から立ち直りかけてるのに、ふたたび焦土が増えてしまう。その名はジャニオスによって。
【ユーリ】 悪魔の名前や。
【ジャニオス】 ひゃっひゃっひゃ。
【エリオ】 というわけで、森の中を進むぞ。
【GM】 どういうわけなのか、さっぱりわからんのですけど。ま、焼き払わないんなら、それでええわ。では、レンジャー技能を持ってるひと、森の中を迷わず真東に進めるかどうか判定してみて。
【ジャニオス】 レンジャー持ってるのは、エリオだけ。
【エリオ】 (ころっ)。さ、どうや。
【GM】 う〜ん、3時間ほど進んでると、なんか見覚えのあるような場所に出てきた。
【エリオ】 じゃあ、「ここは見覚えがあるぞ」と宣言する。
【GM】 見覚えある『ような気がする』場所やで?
【エリオ】 『ような気がする』は宣言せえへん。どのへんで見た覚えがあるんや。
【GM】 森に入って間もない頃やね。出てきたら道があるかも知れん。
【エリオ】 じゃ、出てみる。
【GM】 出るのね。すると道がある。完璧にもとの場所やね。
【エリオ】 じゃ、改めて東に向けて森に入る。みんなには何も言わへん。
【ハニィ】 おいおいおいおい。
【ユーリ】 なんでやねん。
【ジャニオス】 なんかわからんねんけど。出たり入ったり。
【エリオ】 黙ってついて来てたらええがな。今度は木の幹に矢印を刻みながら進もか。(ころっ)。
【GM】 そうやって2時間ばかり進んでると、木の幹に小さな矢印がついてる場所に出た。
【ジャニオス】 この、ダメレンジャーが!
【エリオ】 知るかよ。レンジャー技能は1レベルしかないんやし。
【GM】 ちなみに5時間過ぎてるからね。そろそろ薄暗い森の中が、さらに暗くなってきてるよ。
【エリオ】 夜の森をうろつくのは危険やからな。無言で、バサっ、バサっと毛布を広げて、黙々と野宿の準備をはじめよっと。
【ユーリ】 なんや、このレンジャーはよ。
【エリオ】 だーいじょうぶ。キミらはレンジャーの技能すら持ってないから、俺が黙ってれば、自分らがどこにおるかも把握できてないはず。
【ハニィ】 そりゃまあ……。
【エリオ】 これは、無用の混乱を避けるための処置である。リーダーが泰然と構えとけば、パーティがパニックに陥ることはない。
【ジャニオス】 らしいで。
【ユーリ】 ま、そういうことにしといたるわ。
【ハニィ】 じゃあ、ここで野宿やな。見張りの順番はどーすんの?
【エリオ】 俺、ジャニオス、ハニィ、ユーリで2時間ずつやな。
【GM】 合計で8時間の休憩ということね、わかりました。(ころっ)え〜、エリオくん、キミが見張りをしていると、茂みの向こうにひとつ、赤い光が揺らめいているのに気づきます。
【エリオ】 アンデッド・ナイトやな。全員を蹴り起こす。ジャニオス、奴の正体を見抜いてや。
【ジャニオス】 振るで〜、振るで振るで〜。ダイスを振るで〜。(ころっ)どうだ、これでわからんと、もうわからんぞ。
【GM】 はいはい、正体を見抜きました。アンデッド・ナイトやね。モンスターレベルは8。
【ユーリ】 高い!
【エリオ】 もう、ボス級が現れたで。
【ジャニオス】 すると、こいつを倒すと今回のシナリオは終わりやな。
【GM】 誰がこれがボスやと言うてん。ちなみに通常の武器では、こいつにダメージを与えられんよ。
【エリオ】 プラス1ソードやから、大丈夫やも〜ん。
【GM】 あと、治癒魔法でダメージをくらうらしい。
【ユーリ】 それは面白い。
【ハニィ】 〈キュアー・ウーンズ〉使いまくろ。
【ジャニオス】 もったいないからやめて。
【エリオ】 それやったら〈ターン・アンデッド〉を使いまくってくれ。
【ハニィ】 え? こいつに〈ターン・アンデッド〉って効くん?
【GM】 そら、アンデッドやと言うてるんやから。
【ジャニオス】 ほんなら、ハニィから行ってや。〈ターン・アンデッド〉して。
【ハニィ】 〈ターン・アンデッド〉(ころっ)失敗、ごめんな。
【エリオ】 しゃあない、ユーリ行って。〈バルキリー・ジャベリン〉でも何でもしたって。
【ユーリ】 じゃあ、〈バルキリー・ジャベリン〉。(ころっ)かかって、ダメージ13。
【GM】 エリオとアンデッド・ナイトは同時行動ね。
【ジャニオス】 相討ちで死ね!
【エリオ】 おまえが死ね! (ころっ)クリティカル・ヒット、25発〜。ついでに回避もしといたる。(ころっ)ひょいっと。
【ジャニオス】 〈ライトニング〉いこっかな〜。ちょっとやる気出してるで〜。
【エリオ】 「はよ寝させろ」ってことやな。
【ジャニオス】 (ころっ)効かへん〜、ダメージ10点〜。
【ハニィ】 もう1回〈ターン・アンデッド〉。(ころっ)今度は効いた。あっ、逃げてもた! ごめ〜ん。
【ジャニオス】 あーあ、回復して出てきよるわ。
【ユーリ】 ま、いいや。寝よ。
【GM】 はいはい、朝になりました。が、周囲は真っ白で何も見えません。辺り一面に、霧が出とるんですな。
【ジャニオス】 霧か。誰か吸え!
【エリオ】 シュゴぉぉぉぉ。
【ジャニオス】 どや、消えたか? 消えてないようや。
【エリオ】 じゃ、吐く。フぉぉぉぉ。
【ジャニオス】 霧が増えてもた!
【GM】 そんなんで増えたり消えたりするか! すぐ意味のないことするぅ〜。
【ユーリ】 ふつうの霧かな〜。いちおう[センス・オーラ]しとく。
【GM】 とくに変な精霊力は感じません。ふつうの霧やね。
【ジャニオス】 どれくらい濃い霧なんや。視界はどれくらい効くの?
【GM】 5メートルぐらいかな。
【エリオ】 視界5メートルの霧!?
【ジャニオス】 なかなかや。
【エリオ】 こりゃ、今日は動かんほうがええかも。
【GM】 でも、明日になったからって、晴れるとは限らんよ。
【ハニィ】 ホンマや。断固、進む!
【ジャニオス】 進むらしいで。
【エリオ】 しゃあないな。ほんなら切り株の年輪とか見ながら、東を目指そか。
冒険者たちは霧の中をさまよい、途中、サイクロプスを小バカにしたあげく逃げ出したり、狂った氷の精霊フラウを退治したりしながら、ある湖のほとりにたどり着き、そこでキャンプをすることにした。
【GM】 朝になったよ。
【エリオ】 じゃ、朝メシを食って出発しよか。朝日の方向へ。
【ユーリ】 霧はまだ出てんの?
【GM】 出てます。昨日よりかは、いくぶんマシになったかな、って感じやけど。
【エリオ】 では、着々と進むぞ。東、東へとな。
【GM】 はいはい。それでは皆さんは、さらに3時間あまり進んで行きました。すると、前方に村っぽいものが見えてきたよ。
【エリオ】 そりゃ、近づくやろ。通り道にあるのなら。
【GM】 村に近づいて行くとね、地面に倒れているひとを発見します。ズタズタのボロボロで、既に死んでるのは一目瞭然。そんなに古い死体ではないね。
【エリオ】 すると、あれは死霊の村か。
【ユーリ】 村に入ってみる。
【GM】 入ってみると、村のあちこちに、さっき見たのと同じような死体がた〜くさん転がってます。
【ユーリ】 いちおう、[センス・オーラ]でアンデッドでないか調べとく。
【GM】 負の生命力は感じないよ。
【ハニィ】 生存者を探してみよう。
【GM】 ざっと村を見て回ったけど、生存者は見つかりませんでした。やはり、死体はそんなに古いものではなく、腐臭もがまんできないほどではない。家屋もたいがい被害を受けてるけど、見た感じでは魔法によって破壊されたような気がするね。
【ハニィ】 この村の先はどうなってるの?
【GM】 南に道が伸びている。
【ユーリ】 東はどんな感じ?
【GM】 またしても、森が広がってるよ。
【エリオ】 じゃ、ここで昼メシを食ったあと、ふたたび森の中を進もか。
【GM】 それでは、昼食後に森に入り、2時間ばかり進んでいって抜けきった。前方には、草木がほとんど生えていない、荒れ地が広がってる。岩などがゴロゴロしてますな。
【エリオ】 どっかにトロールが潜んでたりして。気をつけつつ、進む。
このあと、3時間ばかり進んだ冒険者たちは、そこでふたたびキャンプを張り、3日目を迎えた。何度も巨人族と遭遇しながら進んでゆくと、その日の夕方、ひとつの村が見えてきた。
【エリオ】 その村、また、死んでたりせんやろな。
【GM】 うん、まだ死んではないようです。その証拠に悲鳴が聞こえる。
【ジャニオス】 襲われてる真っ最中やな。
【ハニィ】 ひええー!?
【ユーリ】 行ってみる。
【GM】 すると、3メートルあまりの巨人が、村人を襲ってるんですな。
【ジャニオス】 セージ技能でチェック。(ころっ)。
【GM】 巨人の名はオーガー、人肉が大好物な怪物です。数は3匹。
【ハニィ】 接近して斧で殴る。オーガーAに(ころっ)当たり、ダメージ13点。
【ユーリ】 オーガーAに〈バルキリー・ジャベリン〉。(ころっ)効かんかったけど、16点しかダメージいかへん。
【エリオ】 な〜んとな〜くデジャヴを感じながら、オーガーBに攻撃。(ころっ)当たってダメージ13発。
【ジャニオス】 何もすることがないので〜、[パリィ]。
【GM】 オーガーたちは村人を襲う。では、第2ラウンド。
【ハニィ】 Aに攻撃、(ころっ)当たりだろ、ダメージ16。
【GM】 Aは死んだ。
【ユーリ】 オーガーB、Cに〈スリープ〉。(ころっ)両方寝た。これでオーガー全滅ね。
【エリオ】 じゃ、村人に「だーいじょうぶですか〜? わたしがエリオ・デ・アンジェリスだ」と言う。
【GM】 すると、「わたしが村長です」っていうおじさんが、「ありがとうございます」とお礼を言うてきますわ。
【ハニィ】 「どうして、オーガーに襲われてたんですか?」
【GM】 「わかりません」
【ユーリ】 「襲われたんて、はじめて?」
【GM】 「はじめてです」
【ハニィ】 「昨日も同じように何者かに襲われて、全滅してた村があったんです」って言う。
【GM】 「えっ、本当ですか!?」と村長は驚き、まわりに集まってた村人たちもザワザワする。
【ユーリ】 この辺に村があるの知ってる?
【GM】 「ええ知ってます。いおばん近いのは、トーラスという村です」
【ハニィ】 昨日、壊滅してたんは、そのトーラス村である可能性が高いな。
【GM】 でも、さすがにトーラス村が全滅してたら、このひとたちも知ってると思う。だって、徒歩で1時間ちょっと行ったところの村やからな。しかも、方角は東。
【ジャニオス】 ということは、昨日のは別の村か。
【ユーリ】 この村に近い村って、トーラス以外に何個ぐらいある?
【GM】 1時間で行けるのがトーラス村、1日ほどで行ける距離にあるのが、カラル村とカサフ村で、それよりもうちょっと時間がかかる位置にあと2つの村が存在してるそうです。
【ユーリ】 じゃあ、壊滅してたんは、カラル村かカサフ村のどっちかっぽい。
【ハニィ】 その他の村も全部、同じように襲われてる可能性もあるけど、何のために襲われてるのかようわからん。
【エリオ】 どーせ、バリドスが何かしてるんやろ。昨日の村は、建物が魔法で壊されてるっぽい、ってGMが言うてたしな。
【ハニィ】 「それにしても、また、オーガーが襲ってきたら困りますね」と言う。
【GM】 「そりゃ、困りますよ!」
【エリオ】 ま、策でも立てて頑張って。それより今夜は、村長ん家に泊めてや。ついでに、食料と水も分けてな。
【GM】 「はいはい、もちろん。助けていただいたのですから、おもてなしさせていただきますとも」。──で、翌朝になりました。霧はまだ漂ってます。
【ユーリ】 この霧、いつ晴れるんやろ?
【ジャニオス】 じゃ、出発する〜。もちろん、東に向かって。
【GM】 では、1時間ほど進むと村が見えてきた。トーラス村です。
【ユーリ】 ひとはおる?
【GM】 おるよ。
【ハニィ】 ピンピンしてる?
【GM】 してるしてる。みんな歓待してくれてるよ。
【エリオ】 歓待? なんでそんなことされるの?
【ジャニオス】 何も助けてやった覚えないんやけどな。
【GM】 いや、単に冒険者が珍しいからやろ。
【ハニィ】 じゃあ、「オーガーに気をつけろ」と言う。前の村が襲われてて、あたしらが助けてやった、ってことを教える。
【エリオ】 警告を置き土産にして、素通りしよう。出発してから、1時間しか経ってないんやから。
【GM】 それでは、どんどこ進みまして、その日の夕方、またしても霧の向こうにひとつの村が見えてきました。夕暮れ近くということで、夕食の支度をしとるんでしょうな。各家庭からいい匂いが漂ってきます。
【エリオ】 村に入る。そして、最もいい匂いをさせている家に向かう。
【ハニィ】 おいおい。
【GM】 いちおう、この村には酒場みたいなんもあるよ。
【ユーリ】 ふーん、じゃ、酒場に行く。
【GM】 ま、酒場といっても、ほとんどふつうの家なんやけどな。ここでもキミたちは歓待を受けるよ。「ようこそいらっしゃいました、旅のお方」と、オヤジが揉み手で現れる。
【ジャニオス】 ようこそいらっしゃったぞ。
【エリオ】 「俺がエリオ・デ・アンジェリスだ」
【GM】 そう言われたらしゃあないな、村長が出てきて「わたしがガルナード村長だ」と言うしかない。
【ユーリ】 誰やねん!
【GM】 このカサフ村の村長やないか。ガルナードさんは「ここは宿泊施設がないゆえ、ぜひ我が家でお休みください」と勧めてくれる。
【エリオ】 この酒場は宿屋じゃないのか?
【GM】 うん、ホントにただの酒場です。
【ハニィ】 じゃあ、村長の家に泊めてもらうしかない。
【ジャニオス】 この酒場、こんな辺境の村で、どうやってきりもりしてるんやろな。
【GM】 さて、村長の家に案内された皆さんは、彼の家族から温かいもてなしを受けるんやな。彼の妻と、長男、その嫁と、孫息子ピピンくんの5人家族。娯楽の少ない村のことやから、噂を聞きつけた他の村人もヤジ馬に来てたりするけど。
【ハニィ】 さすが田舎や。噂が早い。
【GM】 彼らは冒険者を見るなんてほとんど初めてやからね、何か珍しい話を聞きたがってるよ。
【エリオ】 では、ドラゴンを倒したときの話など……。
【ユーリ】 やっぱりな。
【GM】 村人たちは固唾を呑んで話を聞いて、エリオがドラゴンにとどめを刺した場面で「おおーっ」と拍手喝采。
【ハニィ】 純朴なんやな。
【GM】 とくに子供たちが大喜び。村長の孫のピピンなどが鎧とかを見て、「わー、すごいね、かっこいいね!」と、はしゃいですますわ。
【エリオ】 「かっこええやろ」って言う。
【GM】 そして、ジャニオスにはね──。
【ジャニオス】 ──えっ!? 突然ふられてびっくりした。
【エリオ】 ボーっとしとるからや。
【GM】 村長の姪が、ジャニオスの給仕を買って出てるんですわ。
【ジャニオス】 姪? どんな奴や。
【GM】 年齢は15か16といったところで、なかなか可愛らしいお嬢さんですな。名前はミリィ。それでお酒を注いだときに、緊張のあまりちょっとこぼしてみたりやな──。
【ジャニオス】 「オレは酒、飲まんのじゃ!」って言う。
【ハニィ】 硬派や。
【GM】 ミリィさんは「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝ります。
【ユーリ】 かわいそー。
【エリオ】 でも、話ができたので嬉しかったりして。
【GM】 うん、「叱られちゃった。でも、お近づきになれたので幸せ♪」って感じかな。
【エリオ】 それを傍でニヤニヤしながら見とく。
【ユーリ】 同じく。
【ジャニオス】 見られてる〜。
【GM】 では、そろそろ夜も更けてきたので、村人たちは自宅に戻り、村長さんも孫たちと一緒に寝室に戻って行く。皆さんにも、村長の妻が「お部屋の用意ができました」と声をかけてくるよ。
【ハニィ】 それなら、部屋に行く。
【ユーリ】 姪はまだおるの?
【GM】 おるよ。
【ユーリ】 じゃ、ジャニオスに「がんばれよ」と言うて、部屋に行く。
【ジャニオス】 何をがんばるんや〜?!
【エリオ】 俺はジャニオスの肩をポンっと叩いて、親指をビッと立ててニヤリとして、ユーリに続く。
【GM】 なんか、絵が想像できるわ。なら、後に残されたのは、ミリィさんとジャニオスだけやね。
【ジャニオス】 なんで、僕だけ残されるんや〜。
【GM】 まあ、ミリィはもじもじしてたりするわけや。
【ジャニオス】 ああ〜、なんでふたりっきりなんやろ。
【GM】 そんなこんなで、朝になりました。皆さんには、朝食が用意されてます。もちろん、ミリィもまた給仕しとりますわ。ジャニオスが外の井戸で顔を洗ってると、タオルを持って待ってたりなんかして。
【エリオ】 そんでジャニオスは、エリオがタオル持ってると勘違いして、よく見ずにガシっとタオルを取ろうとするんやな。
【ユーリ】 そのとき、手と手が触れ合ったりするねん。「あっ」とか言うたりして。
【ジャニオス】 うわ〜、遊ばれとる〜。
【ハニィ】 あー、おもしろ(笑)。
【GM】 霧の中で、そんなことしてるんやな。
【ユーリ】 え?? 霧、まだ出てんの? 「この辺って霧が多いん?」って村長に聞いてみる。
【GM】 「いや、別にそんなことはないんだがねぇ。このところ、ずっと、霧が出てるんですよ。珍しいことに」
【エリオ】 よくない兆候かもな。
【ハニィ】 そやなぁ。なんか、隠蔽工作が行われとんちゃう。
【GM】 『隠蔽工作』って何のや!? って言うか、何がや?!
【エリオ】 じゃ、朝食を食って、食料と水を分けてもらったら、出発しよか。
【GM】 それなら、村長以下、村民総出のお見送りを受けて、皆さんは旅立ちます。いちおう、お弁当をいただいてるから。もちろん、ジャニオスの弁当はミリィのお手製で、包む布もかわいらしく、明らかに他のメンバーのものとは違っとります。
【ジャニオス】 あ〜、もろた、もろた! いいもん、もろたった! じゃ、先へ進めてや。
冒険者たちはさらに1日、森の中をさまよった。そして、キャンプを張って一夜を明かすと、霧が少し晴れてきていた。
一行はさらに森を進む。
【GM】 すると皆さんは、見覚えのあるところに立っています。向こうのほうに村が見える。昨日、出発したカサフ村、ミリィのいる村やね。
【エリオ】 なるほどな。それでミリィだのピピンだの、ひとの名前がいっぱい出てきたんやな。
【ハニィ】 なんで〜? どういうこと?
【エリオ】 どーせ、滅ぼされてたりするんやろ。行ってみる。
【GM】 シナリオを先読みしないよーに。行ってみるとですね、村の入口に、村人の死体が転がってるんですわ。
【ハニィ】 ガーン!
【ユーリ】 ミリィの家に行ってみようや。村長ん家。
【GM】 村長の家へ向かってると、その方向から、悲鳴が聞こえる。若い女のひとの声やね。
【エリオ】 ジャニオス、ダッシュで行け。それより〈フライト〉で飛んで行け!
【ジャニオス】 行かへ〜ん。普通に歩いて行く〜。
【GM】 村長の家の前まで来ると、そこでピピンの首を締めあげている、村長の姿が見えます。
【ハニィ】 村長!?
【ジャニオス】 村長、やるなぁ。
【GM】 ピピンは「おじいちゃん、やめて。苦しいよ」と言い、村長は──。
【エリオ】 ──「苦しいか、苦しいか!?」って喜ぶ。
【GM】 ちゃう〜! 村長は泣きながら首を締めてるんや。
【ハニィ】 操られとんのか。
【GM】 そして、その隣では──。
【エリオ】 ──お婆さんが包丁を研いでる。
【ユーリ】 「今日のご飯はピピンだぁ」って、イヤやん!(笑)
【GM】 そんなんじゃなくて、赤い鎧を着て槍を手にした女のひとがいるんです。その傍らでは、3つ首の大きな化け犬、地獄の番犬ケルベロスが、首のないミリィの死体を食い漁ってます。ちなみに、ミリィの首は、ケルベロスの右端の頭がくわえてる。そうこうしてるうちに、「苦しいよ」と言ってたピピンくんが、動かなくなります。
【ハニィ】 とりあえず、赤い女に攻撃。
【GM】 ハニィがそうしようとしたら、その前に、赤い鎧の女が「慌てるんじゃないよ!」とハニィに言って、槍を振りかざす。槍の先から出た筋状の炎が村長の胸を貫き、村長は絶命した。さらに女が魔法を唱ると、エリオやジャニオスが見たことのあるひとが現れるんです。
【ジャニオス】 おーおー、僕らが何かしようとしてる間に、2回も魔法を唱えよったで。ダブル・コマンドを使いよった!
【エリオ】 これはキーロック・イベントやから、しゃあないねん。黙ってAボタンを連打しとくしかないな。
【ハニィ】 で、誰が現れたん?
【GM】 エリオの弟、ディノ・デ・アンジェリスです。病弱で、ファノンにいるはずの、弟くんですね。
【エリオ】 享年15歳。
【ユーリ】 えっ、弟って死んでたん?
【エリオ】 いや、これから俺に殺されるねん。
【GM】 おいおいおい! 弟を殺す気かッ?!
【エリオ】 え? じつはディノが事件の黒幕やったんとちゃうんか。
【GM】 ちゃいまんがな〜。ディノくんは「に、兄さん、これはいったい!? ゴホゴホ」と言ってますよ。
【エリオ】 じゃあ「ディノ!」と叫ぶ。ジャニオスも「ディノくん!」って言う。
【ジャニオス】 『ディノくん』なんや。ふつうに『ディノ』って呼ばせてよ。
【ユーリ】 ユーリは「誰?」って思う。
【GM】 鎧の女は「どうだい、久しぶりに兄弟に会った気分は。嬉しいかい」と言う。
【エリオ】 ほんなら「まだ生きてやがったのか、こいつぅ」と言って、ディノに握手しに行く。そんで「家はいま、どーなってんの?」って聞く。
【GM】 なにめっちゃ普通に会話しとんねんッ!! ちょっとぐらい、緊張感とか悲壮感とか持ってくれよ!
【エリオ】 いや、だって家飛び出して来てから、ファノンのことあんまり知らんから……。
【GM】 そーゆー問題じゃない!! 鎧の女はエリオとディノの会話を遮って、「あたしのかわいい妹は、おまえたちに殺されてしまったんだがね」と言う。
【ユーリ】 ああ、それたぶん、ヌレヌレの沼でレイクに殺された女のことやろ。
【エリオ】 「あれあれ。あんな顔した、別の男がやってん」って、ユーリを指す。
【GM】 鎧の女はそれを無視して、さらに魔法を唱えるわけや。
【ジャニオス】 もう! いつまでムービーが続くの。
【GM】 女が魔法を唱えると、ディノくんの身体を黒い鎧が包み、その手に剣が生じるよ。そんで、エリオに襲いかかって来るわけや。
【エリオ】 もう、キーロックは解除されたな?
【GM】 どうぞ、行動してください。
ケルベロスはレベルの上がった冒険者たちの敵ではなく、ディノはエリオに向かうものの、すでに大陸でも屈指の戦士に育ったエリオに、歯が立つはずがない。エリオは、そばで必死に攻撃してきてははずすディノを完全に無視し、鎧の女に攻撃する。
こちらも虚しい攻撃を繰り返すケルベロスは、ジャニオスの作った2体のスケルトン・ウォリアーとハニィにタコ殴りにされ、わずか3ラウンドであえなく昇天した。
鎧の女は、ジャニオスに〈パラライズ〉で麻痺させられたあげく、首を刎ねられ死亡した。
【ユーリ】 ついでに女幹部、燃やしたれ。
【エリオ】 じゃあ、死体に油まいて焼いたろ。
【ユーリ】 そんでジャニオスの猫に食わすとか。
【ジャニオス】 やめて。そんなん食ったら、腹こわすから。
【GM】 安心し。焼いたら後には死体も何も残らへんから。ただ、女幹部が手にしていた槍だけが、あとに残るけど。
【ハニィ】 こいつから炎が出てたよな。
【ジャニオス】 〈センス・マジック〉〜。(ころっ)。
【GM】 当然のように、魔力を感じます。
【ユーリ】 これを持ったら操られたりして。
【ジャニオス】 じゃ、持ってみよう。がちっ。
【GM】 別に操られるとか、そういうことはありません。
【ジャニオス】 んじゃ、もらっとこ。
【ユーリ】 で、ディノはどーなってんの?
【GM】 えー、女幹部が首を刎ねられた時点で、この場から姿が消えてしまいました。
【エリオ】 帰ったんかな。
【ユーリ】 何やったんやろな。
【ハニィ】 魔法が切れたんやろ。
【エリオ】 いまごろ家で、「何をやってたんだろう」とか言うとるやろ。
【GM】 ま、そうやとええんやけどな。
【ジャニオス】 スケルトン・ウォリアーが残ってしまった。持続時間が永久やからな。これ、どないしよう。
【エリオ】 ピピンとミリィの代わりにここに置いとくとか。ふたりの死体から皮を剥いで、スケルトン・ウォリアーに張りつけとけば、すっかり生きてる気分。
【ユーリ】 気持ち悪ぅ〜。
【ハニィ】 えっ、ピピンって絶命してんの?
【GM】 してるよ。
【ジャニオス】 ま、ええわ。スケルトン・ウォリアーには、ずっとついて来てもらっとこう。
【GM】 まあ、そんなふうに皆でワイワイ言うとりますと、空間の一部に歪みが生じます。
【エリオ】 歪まれそうになったので、そこを必死で直そうとする。
【GM】 ンなことできるかぃ! その空間の歪みからレイクが現れて、「やれやれ、ディアニもやられてしまいましたか」と言います。
【ハニィ】 あれは、レイクがけしかけたんか。
【ユーリ】 何のために? こいつ何がしたいん?
【GM】 さあね〜。
【エリオ】 さっさとゴタクを並べろ。
【GM】 ゴタクて……。レイクは「兄上たちが探してらっしゃる司祭どのは、ここから山を越えたところにある、地下迷宮にいますよ」と言う。
【ユーリ】 信じられるのか、その情報。
【エリオ】 「そのリーナス、本物やろな。また、ドッペルゲンガーとちゃうやろな」と、エリオ的に言う。「ウソやったらしばくで」
【GM】 じゃあ、レイクは笑ってあげるわ。「もっとも、急がないと手遅れになるでしょうがね」
【エリオ】 「じゃあ、ちょっと連れてってよ」
【ユーリ】 うわ、そんなこと言うの?
【GM】 ホンマに言うねんな?
【エリオ】 うん。「その空間の歪みで、連れてってくれたらええがな」って言う。
【GM】 「では、地下迷宮への入口まで、運んでさしあげましょう」と、レイクは言う。
【エリオ】 なんでや。リーナスのおるところまで、運べばええやんけ。
【GM】 「それはムリです」
【エリオ】 「貴様に入れない理由があるんやな」
【GM】 「そのとおり。〈テレポート〉が効きませんから」
【エリオ】 そうじゃなくて、なんで自分でリーナスを助けに行かんのや。
【GM】 レイクはそれに答えず、〈テレポート〉を唱えよう。では、皆さんはレイクの言う、リーナスがいるはずの地下迷宮の入口まで運ばれたよ。
【ユーリ】 あーあ、弟の助けなんか借りてしまった。
【ハニィ】 ユーリは屈辱なんとちゃうの。
【エリオ】 でも、エリオはユーリとレイクの過去なんか知らんからな。使える物は使う、ぐらいにしか考えてへんで。
【ユーリ】 まあな。ユーリは過去のことなんか、話せへんからな。
【GM】 レイクは「それでは、せいぜい頑張ってくださいね。世界の命運がかかってますから」と言う。
【エリオ】 「どうもありがとう」と言っておこう。
【GM】 あ、スケルトン・ウォリアーA、Bは置き去りにされたからね。
【ジャニオス】 なんてことだよ。
【GM】 そしてレイクは、消えてしまいます。しばらくして、ふたたび空間に歪みができる。
【ジャニオス】 今度は何の登場や〜。
【ユーリ】 レイク、忘れ物でもしたか?
【GM】 こっちの空間の歪みは、レイクによるものではなく、そこから現れたのも当然、別人です。
【ハニィ】 誰や?
【GM】 その正体は、次回のセッション、いよいよこのキャンペーンの最終回、その冒頭で明かされるであろう! ってとこで終わっとこっかな。