▽ 木の精になる妖魔たち | ▽ 悪魔の顔と妖魔たち | ▽ もひとつ仕事の妖魔たち |
【アヤ】 「族長が言った、あの御神木って、ホントに300年の木なんですか?」って聞いてみる。
「そんなふうには見えないですけどぉ。俺、250年ぐらいやと思うんですよー」(笑)
【GM】 「ゴブリンの巫女が、エントから聞いた樹齢なんだから間違いない。余計な心配はしなくていいよ」
【アヤ】 「じゃあ、ホントにあの木でいいんですね? 本当は樹齢300年じゃなくても」
【GM】 「あの木がいいんだよ」
【アヤ】 ふ〜ん。……「木の形とか覚えてるんかな、コイツ」って、思ってよう。
【GM】 いや、族長は御神木を直接見てないよ。インプと、ゴブリン・シャーマンの偵察隊が見つけてきたものだから。
御神木を見つけたゴブリン・シャーマンが、エントに「あなたは何歳ですか?」って聞いて、樹齢300年のめでたい木とわかったんやね。
【アヤ】 じゃあ、樹齢200年のエントに、「私は300歳です」って言わせれば!
【GM】 悪知恵を働かせてるな(笑)。
「こんなところで油を売ってないで、早くエントの木を取ってきなさい。それまでは、もう、集落に戻ってきちゃダメだよ」と、マレイツさまは言った。
【アヤ】 え〜?! キラも何か言ってあげてよ。
【キラ】 んーん、怖いから何も言えない(笑)。
【GM】 ゴブリンは後ろで小さくなってるんやな。で、族長の前から退いたら、「あいつ、ムカつくな〜」とか言い出すねんで(笑)。
【アヤ】 「あいつ、しばくで」とか言うねん(笑)。
【キラ】 ゴブリンっぽいな。
【アヤ】 じゃあ、樹齢200年のエントに、「300年」って言ってもらう方向で。族長は御神木を見てないから、大丈夫。しめ縄みたいなのを巻いとけば、ええんちゃう?
【キラ】 やるだけやってみよう。
【アヤ】 シースギ山のジャイアントさまのところに戻って、「しめ縄を作りたいな〜」って言う。
【GM】 シースギ山の巨人、“山の主”さまは、「それは殊勝な心がけだな。では、人間たちに頼んで、藁をもらってきなさい」と言う。
【アヤ】 ウト村に行くぅ。「あるかなぁ」ってか、今、夜やんね?
【GM】 うん、夜もだいぶ更けてる。ウト村は寝静まり、人けはない。藁は、家の裏手の木組みにかけられ、干されてるよ。
【アヤ】 じゃあ、藁なんか取り放題やん。ごそーっと持っていく。あと、白い紙がいる。
【GM】 紙は家の中にしかないかな。
【アヤ】 家の中か〜。
【キラ】 「というか、しめ縄なんか、いらんと思うぞ」って、ボソっと言ってあげるわ。
【アヤ】 あれ? もっともらしく見えるかな、って思ってんけど。いらんか。
じゃあ、「持って来ちゃった」って、藁だけ持って帰る。
【キラ】 しめ縄の作り方は知ってんの?
【アヤ】 ジャイアントさまが教えてくれるって。とりあえず、せっかく持ってきたから、作ってしまおうっと。
【GM】 アヤは、“山の主”さまに教わりつつ、しめ縄らしき物を作った。
【アヤ】 ヘタっぽいけど(笑)。たぶんインプならだませる、と思ってる。
【キラ】 んじゃ、ニサギ村の樹齢200年の木を取りに行こう。
【GM】 それではキミたちは、“山の主”さまと一緒に、シースギ山の裏の麓にあるニサギ村に向かいました。真夜中の移動も、妖魔のキミたちには苦にならないね。
冷めた光を投げかける月が天高く昇る真夜中、キミたちはニサギ村に入った。
【アヤ】 「200年の木はどこ?」
【GM】 「こっちだ」と、“山の主”が案内してくれる。ドシ〜ン、ドシ〜ン。
【アヤ】 静かに歩け、バレるっつーの!(笑)
【GM】 「バレるかね」
【アヤ】 「バレるよ!」
【GM】 じゃあ、忍び足であるこうか?
【アヤ】 いや……ジャイアントの忍び足姿って、気持ち悪いかも……(笑)。
【GM】 そんなことを言いつつ、キミたちは、問題の樹齢200年のエントの木のそばに来ました。
見てみると、なるほど、新しい家が木のすぐそばに建ってるね。根っこを踏んづけてるのは間違いない。
【キラ】 その家のひと、起きてしまった?
【GM】 いや、外から見る限り、そんな様子はない。
【アヤ】 家の中で震えてるんかな?
【GM】 さて。生暖かい風が吹き、雲が流れ、遮られていた月光が再び地上を照らし出すと、エントの木のごつごつした表面に、お爺さんみたいな顔が浮かびあがった。
【アヤ】 うわ、気持ち悪! 怖い話とかや。
【GM】 “山の主”の訪問で、森の精霊王エントが具象化したんやね。エントは、「は〜」と、ため息をついてる。
「重い。この家、重いわ。足が痛い」
【アヤ】 「その家、どかしてあげるからさ。ダークエルフのおっさんに年齢を聞かれたら、『300歳』って答えてくれへん?」
【GM】 「ふあ?」
【アヤ】 「これから、おまえの歳は300歳やから」って言う
【GM】 「……300?」
【アヤ】 「300歳でいいんなら、助けたるわ」
【GM】 「……ほんじゃあ、300歳でいいわ」
【アヤ】 「じゃあ、先生。この木を抜いちゃってください」って、ジャイアントさまに言う。
【GM】 “山の主”は、「抜きたいが、まず、その家をどかさないと、根っこがもげてしまうぞ」と応える。
【キラ】 そうか。根っこの上にある家は、1軒だけ?
【GM】 その1軒だけやね。
【キラ】 隣の家とは、けっこう離れてるんや。
【GM】 そうやね。農村なので、民家は拾い田畑の中に点在してる感じ。庭先がすぐ隣家の敷地、ってことはない。
【キラ】 ジャイアントさまがその家を押して、ズズズーっとずらされへん? ダイダラボッチみたく。
【GM】 不可能ではないけど。中のひとはどうなんの?(笑)
【キラ】 それは交渉なり、脅迫なりして、出ていってもらう。僕らは妖魔やから、襲撃という手でもええような気がするけど(笑)。
……あ、そうか。ムチャなことしたら、“山の主”の機嫌を損ねてしまうねんな。
【アヤ】 その家って、何人住んでるの?
【GM】 お父さんと、お母さんと、年頃の娘さんの3人住まい。
このうち娘さんは、この家に引っ越して来てから4ヶ月、ずっと病で伏せてるらしい。それが原因不明の病気で、どんな薬も効かないそうな。
【アヤ】 ん〜……。
「娘さんの病気は、この御神木の根の上に家を建てた呪いなんです。別のところに住んだら、治りますよ」とか。
【キラ】 「ほんなら、この木を切り倒す」と、言われるかも。
【アヤ】 「そしたら、全員死にますよ。私は、木の精です。『エントさま』とお呼びください」――って言ってみるとか。
【キラ】 悪くないと思うで。試してみ。
【アヤ】 じゃ、その方向で。木の精になりきるために、変な化粧とかする。
【GM】 どんな化粧なん?
【アヤ】 髪に木の枝をさして、頭から生えてるように見せたり、背中から変な草を生やしてみたり、ちょっと苔むしてみたり。とにかく、ダークエルフに見えないように。
【GM】 じゃあ、シーフ技能の[変装]ということで、判定してみようか。技能がないなら、ダイスの出目だけで。
【アヤ】 技能がないので、ダイスだけ。(ころっ)おおーっ、6ゾロ!
【GM】 それは完璧に化けれたね。まず、ダークエルフとバレる心配はないでしょう。アヤは木の精になりきってる。身も心も。
【アヤ】 なんか、またこれ、痛いキャラになってきた!(笑) あいた〜。
【GM】 はじめから痛かったやん……痛くなかったのって、最初の何行だけ?(笑)
で、一方のキラはどうするのかな?
【キラ】 変装はせえへんよ。アヤのすぐ近くの物陰に潜んでる。
【アヤ】 じゃあ、家の扉を叩くよ。
【GM】 しばらくして、扉がそっと開けられた。応対に出たのは、ほのかな明かりが灯る油皿を手にした、この家のお父さんやね。
「どなたですかな? こんな時分に」
【アヤ】 「山から来ました……木の精です……。この家に、不幸がとり憑いているので、お知らせに来ました……」
【GM】 「ええ。うちの娘は、原因不明の病に冒され、ずっと床に伏せております」
【アヤ】 「じつは……あなたの家の裏手にある木は、シースギ山の守り神なんです……。その根っこをこの家が踏んでるから、えらいことに……なってるんですよ……」
【GM】 「なんと?!」
【アヤ】 「この場所に、家を建てたこと自体が、間違いでして……」
【GM】 「そうなんですか……。まだ、ローンはたっぷり残ってるのに! 金利最悪のときのローンなのに!」
【アヤ】 「大丈夫です……こちらで何とかします……。この家は、根っこの上から、壊さずにどかすことができますので……。
その間だけでも、ちょっとよそに移ってくれないと、3人まとめて呪われて死にますよ?」
【キラ】 あはは(笑)。
【アヤ】 「手遅れにならないうちに、言いに来たんで……」
【GM】 「それはご親切に、どうも」
【アヤ】 「じゃあ、今、のいてください」
【GM】 「今からですか!?」
【アヤ】 「じゃないと、明日の朝には、娘さんの顔に死斑が……!」(笑)
【GM】 悪ノリし過ぎ(笑)。
【キラ】 勢いでいっとくしかない(笑)。
【GM】 ほんなら、お父さんは「ぜひ、家の移動をお願いします」と、アヤに頼む。
【アヤ】 「それじゃあ、今から2時間ぐらいでいいんで、どっかに行っといてくれませんかね。本物の神様は、ひとに姿を見られたらいけないんですよ」
【GM】 じゃあ、お父さんとお母さんは、病気の娘を布団ごと大八車に乗せて、近所のひとの家のところに行くことになった。
「よろしくお願いします」と、アヤに頭を下げて、一家は立ち去ったよ。
【アヤ】 あー、疲れた(笑)。「じゃあ、先生。やっちゃってください」
【GM】 「どうれ」と、“山の主”は家に手をかける。
【キラ】 押せ、押せ〜。
【GM】 と、いい感じで家を移動させられそうなそのとき、家のほうから、「やめんか〜」と、地の底から響くような低い声がした。
【キラ】 家のほうから?
【アヤ】 誰?
【GM】 家全体から黄色い靄のようなものが立ち込め、もわ〜っと宙に集まり、悪魔みたいな恐ろしげな顔が形成された。
「何をするんなら〜」と、悪魔の顔は憤慨してる様子。
【アヤ】 「家の神様ですか?」って聞く。
【GM】 「あほう、ちがうわ〜。せっかくエントの力が弱まって、若い娘の生気を吸えていたのに、じゃますんな〜」
【アヤ】 なんだ。でたらめが、けっこう当たってたんじゃん。
【GM】 「でたらめで言うたんか!?」と、悪魔の顔は怒る。
「でたらめでホンマのことを言うなッ!」
【キラ】 そんなこと言われても――。
【アヤ】 ――ねえ(笑)。「やっぱ、俺のアマタ、いいじゃん」って思ってよう。
【キラ】 野生の勘?
【アヤ】 そう、野生の勘。じゃ、苔むしたまま戦う。
……ってか、悪魔の顔に「あの娘について行かへんの?」って、聞いてみる。
【GM】 「ワシは地縛霊だから、ここから離れられんのじゃ〜」
【アヤ】 あ、じゃあ、先生。かまわず押しちゃってください(笑)。
【GM】 「うむ」と、“山の主”は力を込めて、家を押し始めた。腕や肩の筋肉が盛り上がり、真っ赤になった顔に血管が浮かび上がる。
【キラ】 巨人をもってしても、さすがに重そうやな。
【GM】 それを見た悪魔の顔は、「させるかぁー!」と、アヤたちに襲いかかってきたよ。
【アヤ】 あっ! 「とり憑くのに、いい相手がいますよ」って、悪魔の顔に言う。
【GM】 「なにぃ?」
【アヤ】 「けっこうレベルの高そうなダークエルフなんですけどね」
【GM】 族長か!?
【キラ】 どうやって連れて来るの?(笑)
【アヤ】 やっぱ、来てくれへんかなぁ。
【GM】 今はたぶん、寝てるよ。
【アヤ】 寝てる間に、こっそり運ぶ(笑)。
【GM】 想像してもた。変な絵(笑)。
【キラ】 絶対、起きるわ。
【GM】 どうする? それ、やるの?
【アヤ】 やんない(笑)。
【GM】 なら、悪魔の顔は襲いかかってくる。行動の順位は、アヤ、キラ、悪魔の顔。
【アヤ】 先生は何もせえへんの?
【GM】 先生は家を押し続けてる。
【アヤ】 暗黒魔法、使お〜っと。……〈サモンインプ〉でインプを召喚できるねんて。
【キラ】 してどないすんの?
【アヤ】 「こいつの生気を」(笑)
【キラ】 「まずい!」とか言いそう。
【アヤ】 そんなら、〈ウーンズ〉をかける。(ころっ)抵抗されちゃった、ダメージは6点。
【GM】 ちこっとダメージ来た。
【アヤ】 悪魔の顔は6レベルではない、ってことで。
【キラ】 そんな、6レベルもあるような奴やったら、娘さんはとっくに死んどるよ。
悪魔の顔を、爪でひっかく。(ころっ)当たり。ダメージは9点。
【GM】 お、ちょこときた。
【キラ】 いちおう、物理攻撃は有効なんやな。
【GM】 悪魔の顔の反撃はキラへ――それは、かわしきれてないね。ダメージは2点。
【キラ】 ひゃ〜、2点もきた。
【アヤ】 残り生命力、19点もあるやん。
【GM】 固いなぁ、ゴブリンは。
【キラ】 能力値を決めるときのダイス目がよかったから、ゴブリン・ロード並みやで。
【GM】 それでは、第2ラウンド。
【アヤ】 さっきと同じ。〈ウーンズ〉、(ころっ)効いた、9点。
【GM】 うわっ、やべ。悪魔の顔は、弱ってきた。
【キラ】 今度は牙で噛みつく。(ころっ)あ、避けられた。残念や。
【GM】 悪魔の顔は、アヤの精神力を奪おうとするので、精神力で抵抗してください。
【アヤ】 (ころっ)……あれ?? しょぼ。
【GM】 でも、抵抗された。なんで?
【アヤ】 ダークエルフだから、精神力抵抗にプラス4♪
【GM】 そっか、忘れてた。では、第3ラウンドね。
【アヤ】 〈ウーンズ〉〜。(ころっ)効かなかったので、ダメージは5点。
【GM】 まだ、生きてるよ。へろへろやけど。
【キラ】 よし。噛みついて、とどめを刺す。
【アヤ】 いっちゃえ、いっちゃえ。
【キラ】 (ころっ)あーっ、1ゾロや。
【GM】 悪魔の顔は、キラへ物理攻撃――当たり。ダメージは3点。
【アヤ】 ぜんぜん、痛くなさそう(笑)。
【GM】 第5ラウンド〜。
【アヤ】 〈ウーンズ〉しかしない。(ころっ)効いた。7点ダメージ。
【GM】 「ぎゃあああぁ〜!」と悲鳴をあげて、悪魔の顔は消滅してしまった。
【アヤ】 わ〜い!(笑)
【キラ】 ほんじゃあ、“山の主”さま。がんばって、家をどかして。
【アヤ】 家を壊したらアカンよ?
【GM】 「注文が多いのう」
【アヤ】 ひとつだけやん(笑)。
【GM】 “山の主”は、西へ20メートルほど家を移動させたよ。
【アヤ】 これでエントの木は、もう大丈夫?
【GM】 大丈夫。根の上から重荷がなくなった樹齢200年のエントは、「あぁ」と、安堵のため息をついてる。
「善き哉……」
【アヤ】 「じゃあ、先生。エントの木を抜いて」
【GM】 “山の主”は木を傷つけぬよう、ていねいに抜いた。
【アヤ】 これさ、エントの木がなくなってたら、村人、不審に思わへんかな。
【キラ】 さあ?
【アヤ】 「エントの木を抜いた跡に、似たような木を植えて欲しいな☆」って、巨人に頼む。
【GM】 仮にも“山の主”と呼ばれる人物を、見事に使い倒す気やな(笑)。
【アヤ】 後で何かお礼するから、何をして欲しいか言うてよ。
【キラ】 僕らにできる範囲でね。
【GM】 では、“山の主”は注文どおりにしたよ。これで、明け方近くになったかな。黒い空が、だんだん深い青色に変化してきて、星の瞬きは弱々しくなってきてる。
【アヤ】 じゃあ、家の人を呼んでくる。
【GM】 変装は解いてなかったっけ?
【アヤ】 うん、苔むしたまま。
【GM】 それなら、アヤは木の精と思われたままやね。
【キラ】 僕は隠れてるよ。
【アヤ】 「家の移動は終わりました……。呪いのもとは断ち切ったので、もう大丈夫ですよ。
では、私は山に帰ります……」って言うて、立ち去る。
【GM】 巨人もドシ〜ン、ドシ〜ンと一緒に帰るの?
【アヤ】 そうそう、木を担いで。
【GM】 その後を、ゴブリンがちょこちょことついて行くんや。
【アヤ】 変なパーティ(笑)。
【GM】 でも、お父さんたち一家や、目を覚まして窓から覗く村人たちは、「おお、“山の主”さまじゃ」って拝んでるねん。
ニサギ村に、変な伝説が生まれそう(笑)。
【アヤ】 たぶん、娘は元気になるから、きっとホンマに伝説になってしまう。
【GM】 でも、娘の呪いを解いてあげたのが、まさかダークエルフとゴブリンやとは――。
【アヤ】 ――絶対、誰も思わへん(笑)。
とりあえず、先生に、エントの木をうちの集落まで持って来て欲しいねん。
【GM】 「いいよ」と、“山の主”。
そうして2匹の妖魔は、“山の主”にエントの木を運ばせて、森の沼のほとりの集落に戻りました。
【アヤ】 族長に「エントの木を持って帰ってきましたぁ!」って言う。
【GM】 「おお、でかしたぞ。……っていうか、なんだね、その巨人は」と、マレイツさま。
【アヤ】 「え? 先生です」
【キラ】 「“山の主”さまです。手伝ってもらいました」
【GM】 「そうか、そうか。では、その木を、あそこに据えつけてくれたまえ」と、マレイツさまは、櫓が組まれた広場の奥の偉そうな場所を指した。
【アヤ】 植えた!
【GM】 さっそく、飾り付け担当の子供妖魔たちが、「わ〜」と、小動物の髑髏で作った飾りをつけていく。
【アヤ】 エント、びっくりや。「なんだ、この村は!?」って(笑)。
【GM】 うん、「なに、これ」って言うてる。
【アヤ】 「とりあえず、これからは300歳ってことだけ、忘れんといて」
【GM】 すっかり飾り付けされたエントに、マレイツさまが「あなたは何歳ですかな?」と、聞いてる。
するとエントは、「2……300歳」と答える。
【アヤ】 頼りねー(笑)。
【GM】 大丈夫。これからは聞かれもしないのに、「ワシは300歳」って言うてるから。
【キラ】 怪しいな……(笑)。
【GM】 族長のマレイツさまは、約束どおり、キミたちにブタの丸焼きをくれた。
【アヤ】 やった〜!
【GM】 ツバメの巣のスープもある。
【アヤ】 食べる、食べる!
【キラ】 豪勢や。
【GM】 “山の主”は、向こうで所在なげに座ってる。
【アヤ】 ちょっと持っていく。
【キラ】 「食べます〜?」
【GM】 「いやあ、悪いね」と、“山の主”。
キミたちは、そんなふうに、賑やかで豪勢な食事をした。
それもたけなわになった頃、族長のマレイツさまが、お付きのダークエルフふたりを従えて、キミたちのところにやって来た。
【アヤ】 「何?」って思う。
【GM】 族長は、「食事はどうだったかね?」と、尋ねてくる。
【キラ】 「うまかったッス〜」
【GM】 「ツバメの巣など、絶品だったろう」
【キラ】 「そりゃ、もう」
【GM】 「幻の高級食材だからねぇ。キミたちぐらいだよ、あんなのを口にできたのは」
【アヤ】 は??
【GM】 「そうか、うまかったか……それはよかった」と、族長はニヤニヤ笑う。お付きのダークエルフも、にこにこしてる。
【アヤ】 「いや、今から吐き出しますけど! 吐きます! 吐きますわ! 吐くから、俺!」(笑)
【GM】 「いやいや。称賛に価する、見事な働きだったよ」
【アヤ】 「だから、吐きますって」
【GM】 「キミたちは素晴らしい仕事をしたんだから、胸を張りなさい」
【アヤ】 いやいやいやいや。
【キラ】 「それほどでもないッス」
【アヤ】 「さっきのツバメの巣、そのまま元に戻せますよ。今なら! ホカホカ〜!!」(笑)
【GM】 ブタの丸焼きが混じってるやん(笑)。
【アヤ】 胃液も混じって、ほどよい酸味があるかと思いますが(笑)。
【GM】 バコ〜ンってされるで。
【アヤ】 先生の後ろに隠れよっと。「怖ーい」って。
【キラ】 キラは黙っとこ。
【GM】 「とにかく、キミたちふたりは、とてもいい仕事をした」と、マレイツさま。
【アヤ】 「でしょ、でしょ? ちょっと、俺、今から用事があるんで――」
【GM】 「その腕前を見込んで! もうひとつ、仕事に取り掛かってもらうよ」
【アヤ】 いや、こっちの用事が先(笑)。先生にお礼をせなアカンねん。
【GM】 「1日ですむ仕事だから。明日のカンス祭りまでに、やってもらわねばならん」
【アヤ】 「なによ?」
【GM】 じつは、今回は300周年記念のカンス祭りやから、徳の高い人間のダークプリーストを招待してたらしい。
ところが、ダークプリーストはぜんぜん来ない。
「そこで、インプを偵察に行かせたんだが、報告によると、どうやらオレンブルクに捕まってしまってるようだ」と、マレイツさま。
【アヤ】 ――「助けてこい」って?
【GM】 「さすが、ものわかりがいいね。キミたちなら、明日の朝までに終わるだろう」
【アヤ】 はあ?!
【キラ】 なんですと〜?
【アヤ】 「だって、オレンブルクって、人間の街じゃないですか〜。『木の精』は通用しませんよ?」って言う。
【GM】 「そこを、何とかしたまえ」
【アヤ】 「え〜?!」
【GM】 エントの木だって、何とかできたやん(笑)。
【アヤ】 あれは、相手が純真無垢な村人やもん(笑)。
【GM】 「とにかく、キミたち以外に、頼める人物はいないのだ」
【アヤ】 ……じゃあ、「先生、待っとってな。今度はついて来たらアカンで」って言う。
【GM】 偵察インプの情報では、ダークプリーストは、オレンブルクの南区、材木係留所の西にある刑務所の牢屋に入れられてるらしい。
【アヤ】 そいつが助けてきたらよかってん。
【GM】 「ムリだよー」と、向こうで偵察部隊のインプが言ってる。
「さて、救出作戦に際し、これを渡しておこう」と、マレイツさまは、お付きのダークエルフに合図した。
ダークエルフは、青い液体が入った小さなビンを4つ、キミたちに渡した。
【キラ】 液体の正体はなに?
【GM】 ピクシー・メイカーという、体を小さくする魔法の薬です。
【アヤ】 じゃあ、先生を小さくして、「かわいいーっ☆」(笑)。
【キラ】 そんなことして、どうすんの。
【アヤ】 あ、族長を小さくして、プチっとか。
【キラ】 そんなん、飲んでくれへんし(笑)。
【アヤ】 「族長、ツバメのスープ、飲みます?」(笑)
【GM】 スープの中に仕込むんか(笑)。
【アヤ】 族長がちっちゃくなったら一件落着かな〜、と思って。
【GM】 そんなもん引っかかるか、っちゅーねん。抵抗する、っちゅーねん。
【キラ】 解毒薬はあるの? 元には戻せるんやろ、ちゃんと。
【GM】 「〈レストア・ヘルス〉で戻れるんじゃない?」って言ってる。「たぶん」
【アヤ】 じゃあ、街から戻ってくるまで、小さいまま?
【GM】 オレンブルクの神殿に行って、〈キュアー・ポイズン〉をかけてもらうとか。
【アヤ】 ムリ(笑)。
【キラ】 そのダークプリースト、徳が高いらしいから――。
【アヤ】 ああそうか。自分で〈キュアー・ポイズン〉かけれるんか。
【キラ】 かけれるんちゃう?
【アヤ】 ……オレンブルク行くのぉ?
【キラ】 行くしかないで。
【アヤ】 「じゃあ、先生、お礼は待っとってな。仕事終わったら、帰ってくるから。たぶん」って言うとく。
【GM】 んじゃ、オレンブルクへ行くのかな?
【キラ】 行くよ。あきらめて行くよ。
【アヤ】 しぶしぶ行くよ。
【キラ】 逆らおうてもムリなん、わかってるもん。
【GM】 観念したキミたちに、マレイツさまが、「この仕事を果たしたら、何を食べたい?」と聞いてくる。
【キラ】 「食べ物よりも、僕らを自由にしてください」
【アヤ】 「おっ。キラ、えらい!」って思ってよう(笑)。
【GM】 「じゃあ、10日ほど休暇をあげよう」
【アヤ】 10日て。
【キラ】 微妙やで。
そして、2匹の妖魔は、オレンブルクへ赴きました。
北区ノプス神殿近くの“開運門”付近の草むらに、2匹は潜みます――。
【アヤ】 普通に門番はいるん? ここの門って。
【GM】 うん、ふたりほど衛兵がいるよ。まだ日は高く、ひとの往来はけっこうある。
【アヤ】 ここでちっちゃくなって街に入っても、牢屋に行くまでが長いんやんね。
【GM】 ダークプリーストが捕らえられてるのは、南区の刑務所。
人間サイズでも、ここから徒歩で1時間以上かかる距離やね。空を飛ぶなら数分で行けるやろけど、道が曲がりくねってるから。
小さくなって歩いて行くなら、5時間以上はかかるかも。街を東西に横切る川も、渡るのに苦労しそう。
【アヤ】 どうやって街に入ろう。川でいけるかな。小さくなって流れていって、刑務所の近くの岸から上がるとか。
【GM】 あー、また変な絵が浮かんだ。アヒルのおもちゃに捕まって川を流れる、小さいダークエルフとゴブリン(笑)。
【アヤ】 かわいい〜☆
【キラ】 ええ感じで、海まで流れていってまいそうや(笑)。
【アヤ】 川の水門のとこにも、もちろん警備いるんやんな?
【GM】 うん、見張り塔がある。
【アヤ】 川から入り込むのも、難しいか……。
薬を飲んで小さくなって、〈サモンインプ〉でインプを召喚して、18ラウンドで行けるとこまで運んでもらうとか。
で、その後、がんばる。
【キラ】 撃ち落とされそうや。
【アヤ】 夜なら大丈夫かも。インプ1匹ぐらい、まぎれこんでも。
【キラ】 辺りが暗くなってたら、いけそうやな。
【アヤ】 じゃあ、それでいこう。
【GM】 では、この続きはまた後ほど、ということで。