≪REV / EXIT / FWD≫

§Orbit〜終焉を抱くもの〜§

オープニングフェイズ

著:真柴悠 イラスト:真柴悠&笹本ユーリ

―中年と犬―

【GM】 オープニングフェイズに入ります。最初のシーンはティガーから。
【ティガー】 ん。
【GM】 いつものように町を徘徊しています。
【ティガー】 徘徊してるでー。
【GM】 オムレツ通りを歩いていると、赤い首輪をつけた白い子犬が前方から走ってきて、あなたの横を通り過ぎていきました。
【ティガー】 ん?
【GM】 それから少しして、18歳くらいの女の子が、息を切らしながら正面から走ってくる。
【ティガー】 ほう。
【GM】 「おじさん! 白い犬、見なかった?」
【ティガー】 「ふっ、見たぜ」
【ペルゼン】 無駄にカッコいい(笑)
【GM】 「散歩に行くのにリードをつけようとしたら、隙をついて逃げちゃったのよ。大通りに出たら、馬車に轢かれるわ」
【ティガー】 「そうか。それは、いけない事だ。俺に任せな」
【GM】 では、少女とあなたは子犬を追って大通りを抜け、どっかの庭を横切って、サツキの植え込みを飛び越えて。
【ティガー】 ガサッて入って行くで。
【ペルゼン】 めっちゃ迷惑や(笑)
【GM】 公園らしき広場に出ました。逃げまくっていた子犬は、公園の隅のほうで、地面に向かって吠えています。
【ティガー】 おぉ、見つけた。近寄るぜ。
【GM】 真っ黒な水たまりのような穴に向かって吠えています。
【ティガー】 近付くで。
【GM】 子犬は、そこに飛び込んでしまった。
【ティガー】 あっ。イカンじゃないか(笑)
【GM】 やっと追いついた女の子が「ああっ! おじさん、どうしよう」
【ティガー】 じゃあ、江戸の服をバッと脱ぎ捨てる。
【GM】 「お、おじさん!?」(笑)
【ティガー】 ふんどし一丁になって、黒い穴にダイブする(笑)
【ペルゼン】 最悪や! それで、こっち来るんや(笑)
【ティガー】 どないなった? 突き刺さって、足がピクピクなっとるとか。
【GM】 消えていったよ。少女は、脱ぎ捨てられた江戸の服を拾って、2秒ほど穴を覗き込んでから、何事もなかったかのようにその場を離れる。
【ティガー】 あーあ(笑)
【GM】 クエストね。『子犬を助ける』
【ペルゼン】 服を取り戻す。
【ティガー】 2つになってしまった。あ、剣は持って行っとくから。
【GM】 怪しー!!
【ペルゼン】 だいぶイヤやな(笑)
【レイク】 ふんどし一丁で剣持ってダ〜イブ!
【GM】 登場が楽しみやな。

―狂犬は地獄を見るか―

【GM】 次のシーンプレイヤーはペルゼンさんです。
【ペルゼン】 うい。
【GM】 中尉からコールがありまして、「出頭しろ」とのことです。
【ペルゼン】 くっそ〜、って思いながら行く。
【ティガー】 出るまでもないで。呼び出し音が一回鳴ったら、それが合図やから。
【GM】 ワンギリや。
【ペルゼン】 イヤイヤ行く。
【GM】 おるねぇ。
【ティガー】 爪研ぎよるからな。
【GM】 こう?(←猫が板で爪を研ぐ仕草)
【ティガー】 なんでやねん(笑)
【ペルゼン】 「来ましたよ。何の用スかねぇ?」
【GM】 「上から貴様宛の書簡を預かった」封筒を渡します。
【ペルゼン】 ちょっと見てみよう。
【GM】 第36師団“リンドブルム”のマスコット“フリューゲル・ヌッピョン”柄の封筒。
【ペルゼン】 なに?(笑) 「……何だコレ?」
【GM】 硝煙の香りつき。
【ペルゼン】 うわぁ、誰やねん(笑) 開けるで。
【ティガー】 爆発する。
【GM】 それもいいけど、しない(笑) 紙が一枚入ってる。
【ペルゼン】 なになに?
【GM】 『参謀室に来てネ☆』
【ペルゼン】 えっ? 来てネ☆?(笑)
【GM】 中尉が「また何かやったのか」
【ペルゼン】 「やってませんてば! 俺を何やと思ってるんスか!」
【GM】 「まぁ、骨くらいは拾いに行ってやる」
【ペルゼン】 「うるせー!! あんたに言われたくないっスよ」(笑)
【GM】 「文句はそれだけか?」
【ペルゼン】 怖いなー(笑) 「じゃあ、失礼しま〜す」って出る。参謀室に行くで。
【GM】 “リンドブルム”の作戦参謀であるケッセルリンク少佐がいますよ。「元気そうだな、酔っぱらい」
【ペルゼン】 「あ、よ、酔っぱらい? ちゃんと名前あるんスけどね……」(笑)
【GM】 「ティシュリ進攻において軍規を冒したカーバッシュ中佐が、査問の翌日から行方不明になった」
【ペルゼン】 カーバッシュ中佐。
【GM】 ペルゼンの認識では、禍々しい真っ黒な剣を常にぶら下げている物騒な佐官ですね。
【ペルゼン】 また、イヤな奴やな(笑)
【GM】 初陣で、基地が壊滅する大惨事に遭ったんやけど、ただ一人生き残った経歴があります。殲滅はカーバッシュの仕業じゃないかという噂が立ちましたが、確証を得るには至らず、上下問わず恐れられています。
【ペルゼン】 イヤやな〜、そんな名前は聞きたくなかった、って思ってる。
【GM】 最終的には、チャンドラの敵として退けられたところまで分かってます。
【ペルゼン】 ちょっと知ってるな。
【GM】 「我々は大事な遠征を控えており、中佐の存在は不可欠なのだ。墓を暴いてでも連れ戻せ」
【ペルゼン】 「墓荒らしは、ちょっと趣味じゃないんスけどねぇ……」
【GM】 「中佐が姿を消す少し前、貴官の部下であったベナレス上等兵(チャンドラ)が逃亡している。接点があるかもしれない」
【ペルゼン】 汗いっぱいかいてる。多分、関係ある〜って思いながら(笑)
【ティアナ】 脱走ほう助したもんな。
【GM】 少佐も心なしか迷惑そう。「文句があるなら、チャンドラのプレイヤーに言え」
【ペルゼン】 言えねぇ(笑)
【レイク】 あははは(笑)

 Aphelionをプレイした後日、ヘボGMの手元にあったカーバッシュのキャラクターシートを何気なく見たチャンドラのプレイヤーが「こんな男前やったら、殺すんじゃなかった」と不純な後悔を始めたのがきっかけで、ヤツの奪回(?)をするにあたり、ペルゼンに白羽の矢が立ちました。

【ティガー】 そうやったんか。
【チャンドラのプレイヤー】 そうそう(笑)
【GM】 コイツね→
【ペルゼン】 おおー!
【レイク】 かっこいいー!!
【ティガー】 オッサンを想像しとった。
【レイク】 めちゃくちゃ格好いいっすねえ。
【GM】 そうですか?
【レイク】 へぇ〜……
【GM】 ……顔がイイだけで生き返らせてもらえるんやから、得やな。カーバッシュ。
【ペルゼン】 ほんまや。いいなぁ。
【GM】 影で苦労する人がいる訳やけど。
【ペルゼン】 くそー(笑) チャンドラが何かしたんかな〜、って思ってる。
【GM】 「貴官のクエストは『カーバッシュを連れて帰る』だ」
【レイク】 生死問わず?
【GM】 生きてるのに越したことはないですが。
「容易でないことは想像がつく。無事に達成できた暁には、賞与を約束しよう」
【ペルゼン】 え、何? しょーよ? 酒?
【ティアナ】 (笑)
【GM】 「……臨時ボーナスの事だ」
【レイク】 で、それを酒につぎ込む?
【ペルゼン】 うん。
【GM】 達成する気満々や。
【ペルゼン】 高い酒を買ってやる! って思ってる。

―歪んだ日常―

【GM】 次はティアナです。
いつものように、する事もなく、じっと自分の席に座ってます。隣の席の女子社員が、暇つぶしに色々聞かせてくれるので、TVネタは豊富になりました。
【ティアナ】 だんだん染まっていきよるんや。
【GM】 そんな日常。突然、ガタガタガタ……と机が激しく振動して、いちばん細長い引き出しがパーンと勢いよく開いた。
【ペルゼン】 イヤな予感が(一同爆笑)
【ティガー】 飛び込んだからな。ザバァッと出てくる。
【ティアナ】 「生きていると思っていましたよ」
【ペルゼン】 えっ、ふんどし一丁やのに(笑)
【ティガー】 机の上に仁王立ちやで(笑)
【GM】 隣の女子社員のアゴが落ちてる。
【ティアナ】 「お元気そうで何よりです」
【ティガー】 「お前もな」
【GM】 めっちゃクールや(笑)
【ティアナ】 「で、今日はなんの用ですか?」
【ティガー】 「白い犬、先に来んかった?」
【ティアナ】 「なんの事ですか?」
【ティガー】 「その犬を助ける為に、飛び込んだのさ」キラーン。
【ティアナ】 「生憎そんな犬は、ここにはいませんけど?」
【ティガー】 「ちょっと探していい?」
【ティアナ】 「どうぞ」
【GM】 では、ティアナのクエストね。『ティガーに協力する』
【ティガー】 フランソワ・ヤマグチの机にあるズゴックを手に取って、「これ何?」って言うてる。

フランソワ・ヤマグチ
 Circumpolar starに登場するエージェント。
 普段はアフロ頭とサングラスで変装し、会社のデスクにはヤマグチ専用ズゴック、シャア専用ザク、フルスクラッチのゲバルト・ギア等が所狭しと並べてある。
 ほとんど出張に出ており、他人がコレクションを触ると怒るので、机はホコリまみれの状態。当人は「白いヨゴシ」と言い張る。

【GM】 ヤマグチ出張中。事務のお姉さんが「触らないでください! 怒られるんです!」
【ティガー】 シャアザクのツノが折れた。
【GM】 あぁっ! ピンチや。
【ティアナ】 「私はなにも見ていません」(笑)
【ティガー】 やば、って顔して、ツノをそーっと元に戻す。一生懸命バランス取ってんねん。
【ティアナ】 じゃあそれを、画像記録で残しといてあげるわ。
【ティガー】 いらん事を(笑)

―路地の花―

【GM】 次はレイクです。
【レイク】 はい。
【GM】 前回押しかけてきた少女は、さすがに同棲はマズいので、今はレイクの紹介で、お城で下働きをしています。
【レイク】 さすがに同棲はねぇ(笑)
【GM】 ティシュリの子やったな。じゃあ、名前はソーマ。
【レイク】 ソーマちゃん。
【GM】 ウェストリでは、レイクが女王様の為に持ち帰った魔除けの像がブームになっています。ニョムヒダをあしらった陶器や織物が貴族たちに人気。
【ペルゼン】 わぉ(笑)
【ティガー】 良かったやん、産業ができて。
【GM】 あなたは、前回の功績によって休暇をもらいまして、真帝国のシモン・ペトロという都市に来ています。
華やかな上の階層に行きたかったんやけど、道に迷って、そのまま貧民街層の寂れた表通りを歩いています。
【レイク】 上に行きたいなぁと思いながら、その辺りをてくてくてく。
【GM】 路地の方から、怒鳴り声が聞こえてきます。
【レイク】 そっちへ行ってみます。
【GM】 建物の向こう側から、「嬢ちゃん、ぶつかっといて礼ナシかい」
「ご、ごめんなさい!」「誠意が足りねぇなあ!」(笑)
【レイク】 そーっと覗いてみます。
【GM】 16、7歳くらいの可愛らしい女の子が、チンピラ親分子分に絡まれてる。
「カネじゃなくてもいいんだぜぇ〜?」
【レイク】 割って入る。
【GM】 「なんだテメェ? お強い騎士様が、か弱い一般市民に手を上げてもいいんスかねえ?」
【レイク】 「そっちこそ、か弱い女の子に何をするんだ!」
【GM】 「この女が先にぶつかってきたんスよぉ」
【レイク】 「無理にでも連れて行くなら、相手になる。かかって来い」
【GM】 「……ちっ、気に入らねえ! 逃げるぞ!」(笑)
【ティガー】 狡っ!(笑)
【GM】 男たちは逃げて行きました。少女は気が抜けたらしく、その場にへたりこむ。
【レイク】 「大丈夫ですか?」手を貸して、立たせてあげる。
【GM】 「……ありがとう」と言って、じっとレイクを見る。
【レイク】 はいはい?
【GM】 「強い人を探して来いって言われて……」
【レイク】 わーぉ! 強い人、強い人……
【GM】 「一緒に来てくれる?」
【レイク】 うーん。
【ティアナ】 選択肢が“はい”か“Yes”しかない(笑)
【GM】 じゃあ、それで。
【ティアナ】 もしくは、“いいえ”を選んだらセリフがループするねん。「そんなこと言わずに……一緒に来てくれる?」
【GM】 まだ、“はい”か“Yes”の方がマシや(笑)
【レイク】 「何が出来るか分からないけど、僕でよかったら付いて行くよ」
【GM】 「ありがとう。私、リアーネ。よろしくね」キラキラ(笑)
【レイク】 ……でも、その時脳みそにソーマちゃんの顔が、ふわーふわーって浮かぶんやろなぁ。
【GM】 すぐに消えるけどな。
【ティアナ】 天秤の絵が出てくるんや。
【ティガー】 古いな、また(笑)
【GM】 この王道シチュエーションには相応しかろう。
【ペルゼン】 あはは(笑)
【GM】 レイクのクエストは『リアーネを守る』
【レイク】 今回の恋愛フラグはレイクでしたね。
【GM】 ティガーかもしれん。……不倫?
【ペルゼン】 すげー(笑)
【レイク】 ペルゼンさんかも。
【GM】 それも見たい。

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©2005 Haruka Mashiba
Illustration ©2005 Haruka Mashiba
Illustration ©2005 Yu-ri Sasamoto
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