≪REV / EXIT / FWD≫

§Aphelion〜深遠の使者〜§

ミドルフェイズ・3

著:真柴悠

−美しさは脳から−

【GM】 続きになりますね。全員登場です。
 山に囲まれた荒野に、巨大な遺跡が半分埋もれるようにして眠っています。一見して、神殿などではなく、古代のレリクス兵器であると分かります。
【ティアナ】 ピキーン(笑)
【ティガー】 分からない。
【GM】 昔、月に行った時みたいな感じ(笑)
【ティガー】 ああー! 「あれ、飛ぶんかなあ」(笑)
【GM】 記憶力はいい。そういう所に知力使い果たしてるんや。
【ティガー】 そうそう。脳の半分がそれや。一番容量占めとるんは、今まで食ったオムレツや。味の評価とか、全部入っとるからな。
【GM】 オムレツ履歴や(笑)
【レイク】 周りを見ますけど、何かありますか?
【GM】 遺跡の他は、目につくものはない。
【チャンドラ】 入るしかないよ。
【ティガー】 近付こうぜ。
【GM】 建物というよりは、盆地に平らなものが埋もれてる感じですね。
【ティガー】 埋もれてる?
【GM】 入り口らしき扉は、ちょうど歩いて行く先にあります。
【レイク】 警備兵とかは?
【GM】 いない。
【ティガー】 開けてみよう……と思ったけど、いつも通り、まず罠チェックをしたいんだが(笑)
【GM】 シーフ技能持ってるのかなぁ?(笑)
【ティガー】 ううん(笑)
【GM】 サイコロをふたつ転がして、上に出た●の数を足してみようかな〜?
【ティガー】 4かな?
【GM】 罠の存在は分からない。そのかわり、横に開く扉やと思った。それが恐ろしいトラップかもしれない。
【ティガー】 「罠はない」って皆に教えるで。開け方が分からへん。「君たちの挑戦を求む」
【チャンドラ】 押してみる(笑)
【GM】 開いた。
【チャンドラ】 オヤジを見て、ニヤッと笑う。
【ティガー】 「やるな」って顔して、ニヤッと笑い返す。
【GM】 バカにしてるんやろ?
【チャンドラ】 そう(笑)
【ティガー】 こっちはコネが“幼子”やからな。子供を見るような目で「成長したな」って頷いてる。
【チャンドラ】 気付いてない。
【レイク】 レアミューに乗って歩く。
【チャンドラ】 中に入っていくー。
【GM】 中は暗いですね。照明を持たずに歩くのは危険でしょう。
【レイク】 照明、誰か持ってます?
【ティガー】 俺は着の身着のままやったからな。
【GM】 最初に「買い物しろ」って言いましたよねぇ?
【チャンドラ】 うん。化粧セットを買った(笑)
【GM】 あの時、あれだけ「特技がない」って言ったのに(笑)
【レイク】 あーあ、買ってない。
【チャンドラ】 そこらへんの木を燃やして入るとか。
【レイク】 たいまつらしきものを作って。
【GM】 油とか布とか、たいまつを作るのに必要なものがないで。木だけ燃やしたって煙が出るだけやからな。
【ティガー】 これはもう、飛べる人がさっさと買ってきてくれた方が、早いような気がする。
【レイク】 お金渡すし。
【ティアナ】 どこにあるん?
【チャンドラ】 一番近い町か村でいいんちゃう?
【GM】 初めてのお遣いやな。ちゃんと買えるかどうか……何で判定しよ。[幸運]で。
【ティアナ】 9。
【GM】 ……ちょっと待ってな。

 例によって、お買い物が苦手なGM(笑)

【GM】 えーと、ランタンが2ゴルトやって。いいや。ランタン買ってきた。
【ティガー】 買ってきたんや。
【GM】 補充用のオイルは2本で1ゴルト、1本につき6時間ほど持つ。
【ティアナ】 買えるだけ買っとく(笑)
【ティガー】 加減を知らへんのや。お金使いきらなあかんと思っとるからな。
【GM】 物を運ぶのは得意やからな。無事帰ってきたよ。
【ティアナ】 火って、どうやってつけるん? 剣の火花でいける?
【チャンドラ】 木の棒ゴリゴリやって、火ぃおこしたら?
【GM】 いいよ。
【チャンドラ】 進んでみよう。
【GM】 延々と廊下が続きます。時々曲がっていたり、緩い下りだったりしながら進んでいきます。
【ティガー】 進むでー。
【GM】 ずーっと歩いていくと、やがて大きめの扉に前方を塞がれます。
【ティガー】 じゃあ、アホやから、また罠チェックしに行くぜ。
【GM】 扉の手前に祭壇のようなものがあって、そこに細い棒が幾つか並べられています。その横に、ルーン文字が書いてある。
【ティアナ】 ヴァルキリー、読める?
【GM】 《3本動かして正方形を3つ作れ》。これは簡単やろ。
【ティガー】 マッチ棒パズルかね。
【GM】 この手のリドルは、初めてじゃないですか?
【ティガー】 そうやな。言葉の謎解きばっかりやったもんな。
【チャンドラ】 (ぱっぱっと動かして)三角形がいっぱい出来た(笑)
【GM】 それは、矢が飛んでくるで。
【チャンドラ】 こうやったら、正方形1個になる!(笑)
【GM】 もう芸術の域や(笑)
【レイク】 絶対3本動かすんですよね。
【チャンドラ】 中のやつじゃないような気がするな。

 意外に試行錯誤するクエスターたち。黙って眺めていましたが、ティアナの沈黙が妙に気になってみたり。

【チャンドラ】 あかん、三角にしかならへん(笑)
【GM】 メイユールが、テレビの向こうでゲラゲラ笑ってる。
【ティアナ】 ……こう。(いきなり正解の位置に並べる)
【一同】 おおーっ!(拍手(笑))
【GM】 なんで今まで黙ってたん?
【ティアナ】 せっかく頑張っとるから(笑)
【ティガー】 イヤな奴やね〜(笑)
【GM】 祭壇を囲んで悩む3人の後ろから、ティアナが棒をひょいっと動かした。
 扉が、申し訳なさそうに開いた。
【レイク】 扉の奥には?
【GM】 同じような通路が続いてますね。
【チャンドラ】 進む進む〜。

◇  ◇  ◇

【GM】 ずーっと進んで行きますと、通路の中央にヴァルキリーが一人、立っています。
【ティガー】 ほう。
【チャンドラ】 ちょっと身構えて、反応を見ながら近付く。
【GM】 「お久しぶりです、ティアナ」
【ティアナ】 記憶にある?
【GM】 ない。
【ティアナ】 「すみません。私は昔の記憶を失っているんです。あなたは誰ですか?」
【GM】 「セリカです」
【ティガー】 ライバル。敵やんか。
【GM】 はっ、ライバル? こっちは世界のナントカですわよ(笑)
「……クエスターですね?」
【ティガー】 「クエスターなん?」
【レイク】 「そうです」
【GM】 「奈落の敵対勢力と判断します。殲滅を開始します」
【ティガー】 「クエスターってなに?」
【GM】 「古の神々に選ばれし者です」
【ティガー】 そこは“かくかくしかじか”でええで。
【GM】 全てを理解できるんやったらな。
【ティガー】 古の神やろ? 「そうか、俺、ミフォアのプリーストやしな」(笑)
【GM】 ふぅ〜ん(笑)
【ティガー】 「プリースト取っといてよかった!」……で、ええんかな(笑)

 レベルが高くてイイ気になってるクエスターどもの鼻をベキッとへし折るべく遣わされた天使に対し、やっとMPを消費する特技を使い始め、着実にダメージを与えて、あっけなく壊してしまった。

【GM】 セリカは壊れました。
【ティガー】 ティアナの過去を知ってそうな人やったのに。
【ティアナ】 大丈夫や(笑)
【レイク】 先に進みましょうか。
【チャンドラ】 進むー。
【GM】 では、どんどん進んで行きますと、2つ目の扉が現れます。
【ティガー】 おっ。開けられそうかね?
【レイク】 なんかおる?
【GM】 横の壁に石盤があって、そこにはタテ長の長方形が3つ並べて書いてあります。で、下にペンのようなものが置いてあって、その横に問題文がつらつらと。
【レイク】 あう(笑)
【ティガー】 じゃあ、またヴァルキリーに読んでもらおか。
【GM】 《3つの数を答えよ》その数字は、1を足すと2で割り切れ、2を足すと3で割り切れ、3を足すと4で割り切れ、4を足すと5で割り切れ、5を足すと6で割り切れ、6を足すと7で割り切れる。
【一同】 …………。
【チャンドラ】 戦線離脱(笑)
【GM】 早っ! これは、まともに考えるとかなり大変ですね。
【チャンドラ】 1を足して2で割り切れるってことは、元の数字は奇数やろ。
【ティガー】 3ケタじゃないとあかんらしいで。
【GM】 ヴァルキリーだけ、電卓使っていいや(笑)
【レイク】 あははは(笑)
【チャンドラ】 1の位は、1しかないよな。
【GM】 書いてみ。
【チャンドラ】 右のマスに1って書いてみる。
【GM】 「ピンポーン♪」

 黙々と電卓に適当な数字を打ち込むティアナ。
 脳みそ掻きむしるレイクと、考えているのかボーッとしているのかイマイチ分からないティガーとチャンドラ。
 年齢にバラつきはあれど、義務教育という時代を離れて時の経つプレイヤーたち。
 誰が答えを導き出すのやら。

【チャンドラ】 121?
【GM】 黄金のタライが落ちてくる。
【レイク】 あははは(笑)
【GM】 小官は厠に行って来るので、頑張ってください。
【ティガー】 ……7で割り切れるってことは、77じゃないと行けへん。
【チャンドラ】 え、ちょっと待って。

 ティガーの言葉で、どうやら核心に至ったようです。

【チャンドラ】 841!
【一同】 ……(計算してみる)おおーっ!!(拍手)
【レイク】 じゃあ、書きますよ。
【ティアナ】 マスターおらへんから、分からへん(笑)
【ティガー】 よう分かったな。
【チャンドラ】 だって、120が6までクリアしてたから、次は7の最大公約数。
【ティガー】 その言葉知ってたのがすごい(笑)
【レイク】 素晴らしい!

 そして、大絶賛の拍手の中、GMが卓に帰還。

【チャンドラ】 841!
【GM】 あ、正解。早かったね。
【ティガー】 これ(チャンドラPL)が解いたんやで(笑)
【GM】 おお。
【ティガー】 最大公約数っていう数字を知ってたよ。
【GM】 それで一発やな。お見事。
【チャンドラ】 一年分の算数運は使い果たした(笑)
【GM】 頭から煙上がってるんや。
【レイク】 けっこう沸き上がった。
【チャンドラ】 だいぶ沸いたで(笑)
【GM】 どうしても解けんかったら、《トール》2個で扉を破壊できることにしてたんやけどね(笑)
【ティアナ】 もうティアナとチャンドラは仕事終えたで。
【ティガー】 後は肉体派やから、ラスボスで頑張るわ。
【GM】 この謎かけがラスボスやねーん。
【ティガー】 うそーん。
【GM】 では、重々しい音をたてて扉が開く。
【レイク】 進む。
【GM】 そこでシーンを切りますね。
【レイク】 長かったっすね〜。
【GM】 最初のマッチ棒の方が長かったような気がするで。
【ティアナ】 誰も答えてくれへんから。
【ティガー】 じぃ〜……(ティアナを見る)
【ティアナ】 いやいや、頑張って解きよるから、分かるかな〜って思って見よったんやけど。
【チャンドラ】 さっぱりやったで。
【ティアナ】 三角にしよるから、これはあかんと思って(爆笑)
【GM】 棒を斜めに置いた時はショックやったな(笑)
【ティアナ】 さっきので名誉挽回できたで。

÷÷ つづく ÷÷
©2005 Haruka Mashiba
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