≪REV / EXIT / FWD≫

§遠雷:第6話§

評議会の罠

著:林田ジュン 地図:もよ
▽ 王子の思いつき ▽ サイード評議会 ▽ 消えた王子

王子の思いつき

【GM】 じゃあ、前回の冒険から2週間ぐらい経ったことにしましょう。そんなある日、君達がいつものように炭鉱の食堂でたむろしてると、シュウさんの部下が来て、「シュウさんが呼んでるから、時間が空いたときでいいから城まで来て下さい」って言われる。
【ヨッヘン】 いっつも空いてるから、すぐ行く。
【リーディス】 穴掘りは手伝ってないんや。
【セフィーロ】 俺は穴掘り優先やで。まぁ、呼ばれたならすぐ行くけど。
【GM】 行く?
【セフィーロ】 行った。
【GM】 じゃあ、城に入ると応接室でシュウさんが待ってて、その横に見たことない男の人がいる。ところで君達の中にこの国出身の人っていてる?
【リーディス】 わたし!
【GM】 じゃあ、知ってるかな。第1王子のレッグ王子――ていうか、王子1人しかおらんねんけど。とにかく、その王子がシュウの横にいる。
【リーディス】 お〜。
【GM】 で、炭坑のほうが今もう山の出口まで掘り進んでてトンネル開通間近で、あとは地上でハインベルまで道をつなぐだけやから楽やねんけど、いつまでも2ヶ国を敵に回してるのは危険だからどっちかと和平交渉をしたいと王子が言い出したわけですよ。
【リーディス】 どっちかと? めっちゃ優柔不断や。
【ヨッヘン】 トンネル掘る前に、なんでやらなかったん?
【リーディス】 ホンマや。トンネル掘る前に片付けろよ、そんなん。
【GM】 いや、王子もさっき考えついたらしいねやん。
【リーディス】 遅(笑)
【セフィーロ】 イヤなことは後回しにしたんやな。
【リーディス】 なんか、思いつきに振り回されてない?
【GM】 で、王子が考えついて、とりあえず、どうしようかって考えたときに、穴掘り部隊の中にヨヒムっていう奴がいるんやけど、そいつがサイード連合王国のほうの反戦レジスタンスの幹部と従兄弟でそのレジスタンスの力を借りてなんとかするんやったら連絡取ってみてもいいと。
【リーディス】 なんか、裏口入学みたいや。国家レベルやんな、これ? いちおう。
【ヨッヘン】 そうやで。一国の命運を握ってんねんで。
【GM】 それでシュウさんがそれを聞いて、部下にそのレジスタンスと連絡を取らせたらしい。すると、レジスタンスの回答は、サイードで開かれる評議会を利用しようと言って来た。
【ヨッヘン】 評議会?
【GM】 うん。重要な事を決める会議で、それで国家が運営されてる。そこに出られるのはそれぞれの都市の統治者の一族だけやねん。その人たちは、生まれたときに指輪をもらってて、その指輪が評議会メンバーの証になってるわけやけど、レジスタンスにその指輪がなぜかあるらしい。一族の誰かがいるのかもしれないけど。
【ヨッヘン】 ほうほう。
【GM】 んで、それを王子に貸してあげるから、一緒に評議会入ってうまいことやりましょうっていうことになって、王子がサイード連合王国まで行くことになってんけど、とりあえず、向こうの国に着くまで護衛をして欲しい。
【ヨッヘン】 ああ、そういうことね。
【GM】 で、向こうの国に着いたら、そのレジスタンスの隊長が来て、王子に指輪を渡して、城の中に入って行くから、出て来るまで待ってていう依頼。もし無理やったら、他の人に頼むからいいけど。ゼノとか。
【リーディス】 ゼノに任せるのは心配。
【ヨッヘン】 「いいよ」って答える。
【セフィーロ】 行くけど、シュウさん俺たちをそんなに信用していいの? 仮にも王子なんやろ? 王子の護衛をこんな冒険者なんかに任せていいの?
【GM】 だって、君ら前回力貸してくれたし。騎士とかが大げさについていったら道中バレて襲われるかも知れないし。
【ヨッヘン】 騎士は全く行かへんの?
【GM】 騎士は1人だけ来るみたい。王子直属の奴が。
【セフィーロ】 そのナイト、強いん?
【GM】 強いよ。レベル5とか言ってるよ。
【リーディス】 おお〜。強い、強い。
【セフィーロ】 セージレベル5とか。
【GM】 何が5なのかは知らんけど、とりあえず、5。
【リーディス】 微妙やな。
【GM】 王子は何レベルか知らんよ。
【リーディス】 王子レベル20とか。
【GM】 王子レベルはいっぱいある。8ぐらいある。
【セフィーロ】 ノーブル8ぐらいやな。
【リーディス】 役立たずや。
【セフィーロ】 騎士の名前は?
【GM】 ジャック。それで出発は明日の朝やから、今日は好きなように過ごしてください。
【セフィーロ】 報酬は?
【GM】 報酬は、帰ってきたときに全員で2000。もし、向こうの国で説得に成功したら、全員で1万。
【セフィーロ】 ほほう。じゃあ何もする事無いし、適当に過ごす。
【GM】 べつにすることがなかったら、次の日にするけど。何もしない?
【ヨッヘン】 うん。俺は特に何も――え? 具体的にはサイードのどこに行くの?
【GM】 えっとね、評議会が開かれてるのが“空中都市”ソロン。だからソロンまで行く。馬で2週間ぐらいの距離ね。まず隣のノイブルクまで1週間で、そこからソロンまで1週間。計2週間。たぶん帰ってくる頃には、トンネルが完成してる。
【リーディス】 それは楽しみや。
【ヨッヘン】 開通式には出られまへんな、アクアマリンよ。
【セフィーロ】 待っとってくれるんちゃうん。
【リーディス】 えーっ、マジ?
【セフィーロ】 俺じゃなくて、王子を。
【GM】 あ、そりゃ王子を待ってるわな。
【リーディス】 紙、切らな。テープカット。

【ヨッヘン】 この冒険の予想。ノイブルクで事件が起きそう。
【リーディス】 で?
【ヨッヘン】 起きないように、祈る。
【セフィーロ】 エルフのくせに。
【GM】 あ、ちなみにノイブルクからレジスタンスが合流して、裏口使って通してくれるから。
【ヨッヘン】 その反戦レジスタンスっつーのは何してんの、具体的に。
【GM】 政府の要人をこっそり呼び出して説得したり――
【ヨッヘン】 あー、説得ね。暗殺とは違うんや。
【リーディス】 無血らしい。
【セフィーロ】 でも説得される当人にとったら脅迫やと思う。
【ヨッヘン】 じゃ、もういいかな。行こうか。何か起きたら、向こうで調べることにしよう。
【リーディス】 OK。
【ヨッヘン】 じゃあ、馬車を用意してくれたまえ。
【リーディス】 馬車!?
【GM】 うん、王子の馬車は、めっちゃいい馬車な。キミらの馬車は、普通の馬車な。
【ヨッヘン】 あれ?(笑)
【リーディス】 王子の馬車、3ナンバー。
【GM】 それで馬車でノイブルクまで行くと、ノイブルクの入口のところに若い男の人が立ってます。そいつがレジスタンスのリーダーらしい。
【ヨッヘン】 ほう。リーダー自ら。
【GM】 で、通行証の偽造のやつをみんなに渡してくれる。そしてノイブルクは何事もなく通り抜けて――
【リーディス】 おおー、すごい、すごい。テロや、テロや。
【GM】 リーダーの人もキミらの馬車に乗り込んで、ソロンに向かうことになんねんけども。
【リーディス】 リーダーにミカンを渡す。
【GM】 「あっ、ありがとうございます。いいんですか?」
【ヨッヘン】 おばちゃんや。
【リーディス】 「いくらでも食べてー」とかって言うで、おばちゃんは。
【ヨッヘン】 「どこまで行きはるんですかー?」
【リーディス】 「ウチも息子がねぇ」とか言うで〜。
【GM】 乗合馬車みたいや。
【リーディス】 ミカン食べ終わったら、おかきが出てくるからな(笑)
【GM】 「皆さんは護衛なんですか?」って聞かれる。
【リーディス】 「そうでぇす」いえーい。
【GM】 「強そう……ですね」
【リーディス】 そうなん? 強そうなん?
【GM】 でもレジスタンスのリーダーも、けっこう強そうやけど。
【ヨッヘン】 ほう。じゃあ、「アクアマリンと勝負したまえ」って言う。
【セフィーロ】 遠慮するわ。
【リーディス】 ここ、馬車の中。
【GM】 「なんで勝負しなきゃいけないんですか」って言われる。ちなみにリーダーの名前はケインさん。ハーフエルフ。
【ヨッヘン】 おお、ハーフエルフか。てことは耳はそこまで長くないな。ぐる〜んぐるん回らへんねんな?
【GM】 うん。ぐる〜んぐるんは回らへん。
【ヨッヘン】 じゃあ厭味ったらしく耳をぐるんぐるん回してみる。これ見よがしに。
【GM】 気持ち悪っ。「なんですか、あなた!?」
【リーディス】 きもエルフや。

サイード評議会

【GM】 馬車はソロンに向かいます。ソロンは山の上にあるのでだんだん坂の傾斜がきつくなってきて馬が疲れるねんけど、キミらには関係ないな。
【リーディス】 頑張れ。
【ヨッヘン】 じゃあ、〈ファナティシズム〉をかけてあげる。馬に。
【GM】 それ、何? 興奮すんの?
【ヨッヘン】 そうそうそう、元気になる。
【GM】 じゃあ、前の馬が牝馬やって、興奮してそっち行った。
【ヨッヘン】 そういう興奮じゃないんやけど。戦意高揚やで。
【リーディス】 最悪や。無駄に興奮した。
【ヨッヘン】 バルキリーを何だと心得とるのかね。天に向かってプリプリ怒る。
【GM】 馬やしな。
 じゃあ、1週間後にソロンについた。ここも偽造通行証使って入れたよ。で、ケインに「明日、お城のところで僕の部下が指輪を持ってくるんで、今日はソロンの町でゆっくりしてくださ〜い」って言われる。
【セフィーロ】 ゆっくりしよう。
【GM】 神殿とか全部そろってるし、ギルドも全部あるし、やりたいことがあったらどうぞ。
【リーディス】 温泉に入るで〜。
【GM】 温泉、あんのかな。
【リーディス】 山やし。火山っぽいんちゃうん。そんなことない?
【GM】 んー、どっちかっつーと、スイス系?
【リーディス】 スイスの山……温泉あるって。水着で入るとこ。
【GM】 じゃあ、あることにしよう。
【リーディス】 その温泉、カニ料理は?
【GM】 カニはいませんな。沢ガニぐらいならいるけど。
【リーディス】 それじゃ厳しいな。
【ヨッヘン】 ロッコウは散髪に行く。
【GM】 散髪に行く? 「どのような感じにいたしましょう。耳は切ってもいいんですか?」
【リーディス】 ずばっといっちゃってください(笑)
【ヨッヘン】 「ずばっといったらおかしい感じになるから、耳は1センチぐらいカットしてもらえますか?」
【GM】 「耳をですか?」(笑)
【ヨッヘン】 ほっといたら、長くなるねんもん。
【GM】 散髪屋じゃないとこに行って欲しいですねぇ。耳切り屋とか。
【リーディス】 怖っ。
【ヨッヘン】 じゃあ、さらに美しくなって帰ってくるから。
【リーディス】 それには気付かずにその辺の羊追いまわして遊んでる。
【GM】 王子だけ気づいてくれる。
【リーディス】 王子、ヒマなんや。

【GM】 じゃあ、次の日になっちゃったよ。
 えーっと、ケインさんからの昨日の伝言では「朝10時に城の前に来てくれ」ってことやってん。みんなは城の前に行きますか? 王子と騎士は、行くけど。
【ヨッヘン】 それはもちろん――
【セフィーロ】 【リーディス】 ついて行く〜。
【GM】 城の前に着いたらケインさんとファイターっぽい女の人がいて、その人が王子に指輪を渡して、「じゃ、ちょっと行ってくるんで。評議会がお昼過ぎぐらいに終わるんで、待っててください」って言われる。
【リーディス】 待っとくわ。
【ヨッヘン】 ん。じゃあ、〈インビジビリティ〉で消える。
【GM】 「何してるんですか?」って言われる。
【ヨッヘン】 「いや、王子について行かな。護衛ですから」って、王子に言う。
【GM】 「騎士がいますから」って言われる。
【リーディス】 騎士は一緒に入るん?
【GM】 騎士は一緒に入る。
【リーディス】 私らは無理?
【ヨッヘン】 だから、俺も消えて一緒に入る。「危ないじゃないですか」って王子に言う。
【GM】 「ジャックがいるから大丈夫ですよ」
【ヨッヘン】 「いえ、評議会で事件が起きるんですよッ」って言う。地団太踏む。
【GM】 「そんな危ないとこじゃないですよ。みんな、武器、預けて入りますし」
【ヨッヘン】 王子、傍から見たら誰もいないとこにしゃべってんねんで、今。
【GM】 周りの人、君が消えた事知ってるもん。
【リーディス】 みんなに注目されてるねん。消えてるけど。
【GM】 「まあ、2時間ぐらいで戻ってきますんで」
【ヨッヘン】 じゃあ、「あきらめた」って言う。
【GM】 じゃあ、とりあえず姿を。
【ヨッヘン】 なんで? 「じゃあ、俺、遊んできますね」って言うとく。
【GM】 ケインにも「この指輪は1人しか入れないんですよ。僕達も騎士の方も、城の入口までしか入りませんし」って言われる。「見抜かれますよ、〈インビジビリティ〉やってても」
【ヨッヘン】 なんで? ずっと消えとくやん。
【GM】 ソーサラーが〈センス・マジック〉したらバレると思う。「バレたときどうなってもいいんだったら、ついて来てくださいね」って言われる。
【ヨッヘン】 これは「バラすぞ」って言われてるような気がする。あ、そういえば女戦士の名前、聞いてなかった。
【GM】 名前? ナツコ。
【リーディス】 なんでまた日本名?(笑)
【ヨッヘン】 なんで『ナツコ』なん? 聞く。ナツコさんに。
【GM】 「そんなこと、言われましても……」
【リーディス】 お母さんが「優しい子になるように」って。
【GM】 夏に生まれたから。
【ヨッヘン】 納得した。
【GM】 で、この2人は王子と騎士を城の入口まで案内した後、「一度レジスタンスの他のメンバーのところに戻るから」って言って、「2時間後にまた来ますんで」って帰ってく。
【セフィーロ】 レジスタンスまでついてっていい?
【GM】 「来ても入れませんよ」って言われる。メンバーじゃないんで。
【セフィーロ】 退屈やのに。2時間もヒマ潰すの?
【GM】 「じゃあ、町のその辺でもうろうろしてたらどうです?」
【セフィーロ】 観光案内はしてくれへんの?
【GM】 案内はしてくれないけど、案内屋があるから紹介してくれる。
【リーディス】 有料やったりして。
【GM】 有料やで。
【セフィーロ】 「じゃあ、いらない」
【リーディス】 金に汚いな、おぬしは。
【ヨッヘン】 俺は2時間の間、王子の無事を祈り続ける。こうやって。(と言ってヘンな格好をする。ヨガか?)
【GM】 何してんの、それ? まわりの人は大道芸かと思ってお金投げてくるよ。
【リーディス】 ヨッヘンの横に袋置いとくわ。口開けて。
【GM】 けっこう貯まる。サイコロ4つ振って出た数。
【リーディス】 マジ!?
【GM】 観光地やから、みんなサイフの紐が緩いねん。
【セフィーロ】 何かのパフォーマンスや思われてるんやな。
【GM】 「兄ちゃん、何か出えへんの?」とか言われる。
【ヨッヘン】 ほんなら、耳がぐる〜んぐるん回り出す。この姿勢のまんま。
【セフィーロ】 「おお〜」
【GM】 きもっ!
【ヨッヘン】 (ころっ)うわ、しょぼ!
【GM】 しょぼ! 耳がキモかったんや。
【ヨッヘン】 8フィス。
【リーディス】 買い物したお釣とか入っとんねん。
【GM】 そうそう。「これ、端数やからいらんわ」って、おばちゃんが小銭捨てたり。
【リーディス】 レシートも入ってたりね。
【GM】 飴の棒とかな。
【リーディス】 ゴミも入ってるらしい。きもエルフ。稼いだな。荒稼ぎや。
【GM】 で。
【セフィーロ】 適当に時間潰して――
【リーディス】 観光した。
【GM】 2時間後。お城の前で待ってても、王子は出てこないし、ケインさんたちもまだ来ない。
【リーディス】 王子が出てこないってのは、城の扉が開いてないってこと?
【GM】 いや、評議会は終わって他の人はぞろぞろ出てくるけど、王子と騎士は出てこない。
【ヨッヘン】 じゃあ、様子を見に行こう。
【GM】 「入らないでください!」って言われる。衛兵に。
【ヨッヘン】 じゃあ、ちょっと繁みに行く。
【リーディス】 なんで?
【ヨッヘン】 〈インビジビリティ〉ふよ〜って消える。
 ってか、あの人らに聞けばええんちゃうん。普通に評議会終わって出てきた人らに。「もし、そこの旅のお方」
【GM】 それじゃあ誰も振り返らない。貴族っぽいもん、みんな。
【リーディス】 最後に出てきた人を呼び止める。
【GM】 振り返ったのはおじさん貴族。
「なんですか?」
【リーディス】 「レッグ王子、見ませんでした?」
【GM】 「誰ですか? 評議会のメンバーじゃないですよね?」って言われる。
【リーディス】 おお〜? でも王子、中に入ってったよな。
【GM】 「今日は3人欠席がいましたけど、レッグ王子なんて登録されてませんよ」
【ヨッヘン】 欠席した人は?

消えた王子

【GM】 えーっと、農業都市サマルの長老の爺さんサイモンさん70歳、鉱山都市クロニスの統治者の従兄弟で25歳ぐらいの男カッツォ、ノイブルクの統治者の末娘のリオ22歳くらい。「その3人が今日は欠席でしたが」
【リーディス】 ああ、そう。
【GM】 「もちろん、指輪持ってる人しか参加できないんで、いっつも同じメンバーが参加するんで、部外者がいたら一発でわかる……というか、入れないんですけどね」って言われる。
【リーディス】 どっか止められたんちゃうの。入口から評議会までの間に。
【ヨッヘン】 牢屋に?
【リーディス】 どっか連れられて行ったんや。イェイ、解決! びし。
【ヨッヘン】 なんや、指輪持ってても入れるんじゃないんや。
【リーディス】 顔で入ったようなもんか、みんな。
【GM】 指輪はまあ、飾りみたいなもんらしいよ。この人いわく。
【ヨッヘン】 その人が持ってる指輪と王子が渡された指輪、一緒かどうか、シーフは記憶判定できるかね? 確かあったやろ、[記憶術]が。
【GM】 じゃあ、振ってみて。達成値17。
【リーディス】 17!? 6ゾロじゃないとアカンで、これ。知力。(ころっ)あ、無理。
【ヨッヘン】 そんな目じゃ。いっそ1ゾロやったらよかったのに。
【GM】 うん、分からないねぇ。指輪の見た目は、おっきい宝石がはまっててその周りを見たことない文字が囲んでんねんけど、王子がもらったのもそんな感じやった気がする。宝石はルビー。
【リーディス】 「似てるで」って言う。「一緒っぽい」
【GM】 「その人、ホントにこれ持ってたんですか?」って言われる。「本人じゃなければ、どっかで止められるはずなんで」
【ヨッヘン】 止められた人はどこ行くの? 追い出されるの? それとも、どっか牢屋に連れて行かれるの?
【GM】 「さあ、今までそんな人はいなかったんでねぇ」
【ヨッヘン】 どこで止められるの? 誰に止められたん? 俺が入ろうとしたとき。
【GM】 普通の衛兵に、キミらは止められた。
【ヨッヘン】 で、普通の衛兵は王子が持ってる指輪を見て通したんやな?
【GM】 うん。
【ヨッヘン】 その衛兵、まだいる?
【GM】 いてるよ。
【セフィーロ】 「2時間ほど前にな、入ってった人なんやけど」って。
【GM】 「ああ、指輪持ってる方ですよね。評議会のメンバーの方ですよね」って言われる。
「いっぱい入っていきましたよ、あの時間帯は」
【リーディス】 超適当や。
【セフィーロ】 「誰もおらへん空間に向かって話しかけとった人」
【GM】 「えーっ?」
【リーディス】 覚えてねえ?
【GM】 「あー、いたかも。入っていかれましたよね。どうしたんですか? もう評議会終わったんで、その辺にいるんちゃいます?」
【セフィーロ】 「それが出てきてないんだよ。とくに何も騒動はなかったわけ? その評議会が始まるまでに」
【GM】 「うん、ここではなかったですよ」
【セフィーロ】 「中では」
【GM】 「知りません」
【セフィーロ】 「聞いてよ」
【GM】 「中で何かあった?」って聞いてる。
【ヨッヘン】 「ちょっと調べてもいい?」って聞く。
【GM】 「どこをですか?」
【ヨッヘン】 「城の中を」
【GM】 「ダメです。入れません」
【セフィーロ】 「案内してよ」言うて。
【GM】 「ダメです。そんなん、僕、クビになるんで」
【ヨッヘン】 王子が城の中入っていくとき、誰か案内いた?
【GM】 うん。入口に衛兵は2人いて、1人が連れてって、「この奥なんで、どうぞ」って城の扉を開けて、「右側に進んでくださいね」とか言って、おしまい。
【ヨッヘン】 こっからその会議室までは遠いの?
【GM】 えーっとですね、誰に聞いたんですかい?
【セフィーロ】 評議会から出てきたおじさん。
【GM】 まず城に入ったら右に行って、突き当りまで行って、階段を上がって、また渡り廊下があって、次に広い廊下があって、その奥。
【リーディス】 けっこう広いぞ。
【GM】 「そうですねぇ、歩いてだったら、6〜7分かかるんじゃないかな」
【リーディス】 迷ってるんちゃうん。今頃、トイレで泣いてると思う。
【ヨッヘン】 騎士と2人でか?
【リーディス】 うん。「どうしよう、どうしよう」
【セフィーロ】 「入れてくれへん。出られへん〜」
【リーディス】 入ったことは入ったんや、じゃあ。
【ヨッヘン】 城の中には入ったみたいやな。ケインとナツコも何やったんやろ?
【GM】 まだ来ないけど。
【リーディス】 呼びに行ってみるか。
【GM】 どこに?
【ヨッヘン】 知らん。
【セフィーロ】 ついて行こうとしたら断られたもん。ま、レジスタンスがあるんやったら、盗賊ギルドが場所知ってそうやけど。
【ヨッヘン】 うん、調べてみよう。
【リーディス】 じゃあ、レジスタンスを探す。シーフギルド行ってきま〜す。
【GM】 観光地のギルドらしく、山の地図とかおみやげの広告とかいろいろ壁に貼ってあるけど。「おいしい牛乳」とか。
【リーディス】 牛乳?! そこはギルドなわけ?
【GM】 うん、いちおうギルドなわけ。
【リーディス】 まぁいいや、聞いてみよう。
【GM】 「見慣れない顔だなぁ」って言われる。
【リーディス】 「ああ、初めて」
【GM】 「観光で来たシーフ? 仕事で来たシーフ?」って聞かれる。
【リーディス】 「仕事なんだけど。ちょっと人を探しに」
【GM】 「へえ。誰ですかい?」
【リーディス】 えーっと、ハーフエルフのケインと、人間女のナツコ。
【GM】 「さあ? うちのギルドには登録されてないから、知らない。この街のシーフじゃないことは確かだね」
【ヨッヘン】 レジスタンスのことを聞いてみたら?
【リーディス】 「この町でレジスタンスが活動してるって話は?」
【GM】 「それは……お金が欲しいな」
【リーディス】 じゃあ、200ぐらい。
【GM】 おお!?
【リーディス】 金持ちやで。なんか知らんけど。
【GM】 だったら「レジスタンスは、とりあえず活動はしてる」って教えてくれるけど。
 で、本部の場所とかもあるけど。
【リーディス】 それも知りたい。
【GM】 うん、200フィスもくれたから教えてくれる。
 町外れの酒場のマスターに、すごい苦いまずいチーズ――黒チーズときゅうりの漬物をセットで頼んだら、そのマスターが「コーヒーも一緒にどうですか?」って聞いてくるから、「ちょうだい」って言ったら酒場の地下に連れて行ってくれる。そこだよ。
【ヨッヘン】 で、そのレジスタンスのリーダーの名前は?
【GM】 リーダー? 追加でお金が欲しい。
【リーディス】 じゃ、100で。
【GM】 人間の男で30歳ぐらいの、シリウス。銀髪。「銀髪が珍しいから、道歩いてたらすぐわかるけど」
【ヨッヘン】 バレバレやな。
【GM】 でも彼がレジスタンスしてるってことはギルドとかしか知らんから「町で見かけても声かけないように」って言われる。
【リーディス】 「は〜い」
 レジスタンスの規模はどれくらい?
【GM】 規模は、そんなにでかくない。本部がノイブルクにあって――
【ヨッヘン】 シリウスは支部長か。
【リーディス】 ケインとナツコがメンバーにいるかどうかわからない?
【GM】 わからないねぇ。この街のメンバーは15〜16人いるみたいやけど。
【ヨッヘン】 じゃあ、その酒場に行ってみる。
【GM】 うん。いいけど営業時間が4時からやからちょっと待って。まだ閉まってる。
【リーディス】 だったらそれまで銀髪の人探しながら、ぶらぶらしとく。

÷÷ つづく ÷÷
©2007 Jun Hayashida
Map ©2007 Moyo
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