≪REV / EXIT / FWD≫

§銀月の歌:第22話§

彼女が欲しい物

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ バウツェンでひと騒動の事 ▽ ティガー対ファンリーの事 ▽ 名乗りをあげた冒険者の事

バウツェンでひと騒動の事

【GM】 オレンブルク方面からやって来たキミたちは、まず、かつての砦跡がそのまま市街になったフュルトという町に入りました。
 フュルトの街の目の前に、クレムス川が刻んだ深い谷が、南から北に向かって走ってます。そのクレムス川の谷を挟んだ対岸に、バウツェンの街があるのが見える。
 バウツェンの建物は、谷の斜面に段々になって築かれてます。坂道と階段がとても多い街なんやね。
 ちなみに、バウツェンの西門――オレンブルク方面の街門は、谷底にあります。
【シルヴィア】 そこまで下って行かんとアカンのか。
【GM】 そう。フュルトを抜けたキミたちは、くねくね曲がりながら谷の斜面を下る道を進み、谷底にかかる橋を渡って、バウツェンに入った。
 街は、活気に溢れてる。
 頻繁に目にするのは、白い岩のような荷物を積んだ馬車。それは塩商人たちで、バウツェン南にある“白の湖”から切り出した塩を運んでるんやね。
【ティガー】 なんか、灰色が似合いそうな街やな。なんとなく。
【メイユール】 塩の湖か。
【GM】 湖といっても、水はとうの昔に枯れていて、今は湖底に積もった塩しかない。真っ白な雪原みたいな風景が広がってるらしいよ。
 “白の湖”の塩は大変質がよく、製塩技術がそれほど発達していないオムスク地方では、ものすごく重宝されている。高級ブランドの塩やね。
【シルヴィア】 ほほう。
【GM】 それを切り出したり、売りさばいたりするためには、バウツェンが運営する『塩ギルド』に加入しとかないとならないそうな。
 一般人の見学は自由だけど、無断で湖に踏み込むと、警備兵に捕まってしまう。
【メイユール】 ちょっと買ってみようかな。
【シルヴィア】 ところで、GM。今は何時ぐらい?
【GM】 昼過ぎぐらい。すでにキミたちは、フェルトの町の酒場で昼食をすませて、バウツェンに来てます。
【ティガー】 とりあえず、宿屋に入ろう。
【シルヴィア】 街で動くにしても、馬や荷物は預けときたいし。
【GM】 では、キミたちは、手頃な宿屋にチェック・インしました。ファンリーも、右手で宿帳にサインした。
【シルヴィア】 じゃあ、部屋に荷物を置いて、魔術師ギルドに行くよ……げっ、魔術師ギルドはいちばん高いとこにあるの?
【GM】 そう。谷の上の平野部に広がるバウツェン最上層にあるので、頑張って階段を昇って行って下さい(笑)。馬車が通れる大通りなら、馬で行けるけど?
【シルヴィア】 馬も宿に置いとくよ。階段の昇り降りで、足腰が鍛えられるし。使い魔のフクロウは、ティガーのそばに残しとく。
【サテラ】 わたしも、荷物を置いて、魔術師ギルドへ行きます。
【ティガー】 ティガーは、酒場でオムレツを食ってる。ファンリーと一緒に。
【メイユール】 あっ、賭場がある〜。レッドゾーンに乗って、賭場に行ってきまーす♪
【シルヴィア】 相変わらずやな(笑)。
【メイユール】 荷物とレッドゾーンの甲冑は、置いていこう。街中で甲冑馬というのも、アレやから(笑)。
【GM】 では、サテラとシルヴィアは、魔術師ギルドに来た。何をするのかな?
【サテラ】 図書館で書物を読んでます。
【シルヴィア】 その辺りの魔術師に、世間話という形で何か噂を聞いてみる。ここから先の、ダンフリーズ王国やロットバイル王国のことを。
【GM】 両国は、戦争状態にあります。ただし、1年前にロットバイル王国がダンフリーズ王国のルクルーゾを陥落して以来、直接ぶつかったことはない。
 ロットバイル王国の破竹の進撃が止まったのは、王国を率いる摂政ルートンが病に伏せているからだと噂されてるけど、真偽のほどは定かでない。
【シルヴィア】 ロットバイル王国に入るのは難しい?
【GM】 ダンフリーズ王国と接してるところから入るのは、まずムリでしょう。
【シルヴィア】 じゃあ、どうやってキャフタに行けばいいやろ?
【GM】 ティガーやファンリーが、かつてカルファン王国から脱出するときに通ったルート、“荒ぶる砂漠”を抜ける道やね。
【シルヴィア】 砂漠越えか。
【GM】 他のひとは何かある?
【メイユール】 賭場を堪能したので、城を見物しに行く。
【GM】 灰色の石組みの、かなり無骨な城やね。質実剛健といった感じ。
 城の主は王族の分家筋で、オレンブルク、メミンゲンと並んで『御三家』と呼ばれてる。本家に国王の後継者がなければ、メミンゲンか、ここバウツェンの家から国王が選出される。
【メイユール】 無骨か〜。おもしろくないな。
【GM】 ティガーは?
【ティガー】 オムレツ食ったしな〜。チーズ・フォンデュってある?
【GM】 あってもいいけど(笑)。
【ティガー】 じゃあ、それを注文する。ファンリーも食べる?
【メイユール】 ファンリーの胃袋、自分と同じ大きさやと思ってるやろ?(笑)
【GM】 ファンリーは、「疲れたので部屋で休みたい」と言ってるよ。
【ティガー】 そっか。じゃあ、ひとりで食べる。
【GM】 ファンリーは、2階へ上がって行った。ティガーの荷物を、部屋まで運んどいてあげるってさ。
【メイユール】 いい娘や〜。
【シルヴィア】 というか、ティガーは部屋に入る前にオムレツを食ってたんか。
【ティガー】 そうそう。まずはオムレツやから。
【シルヴィア】 使い魔のフクロウを、ファンリーにつけとくよ。
【GM】 部屋に入ったファンリーは、シルヴィアのフクロウに気づいて、ドアを開けて外に出るように促す。
【シルヴィア】 なんで?
【GM】 着替え、覗く?
【ティガー】 フクロウ、しばく。
【シルヴィア】 ああ、そういうことね(笑)。じゃあ、廊下のドアの前にいるから、何かあったら知らせて。
【GM】 さて、しばらくすると、酒場のティガーのテーブルに、ご注文のチーズ・フォンデュが運ばれて来た。
【ティガー】 それをひと口食べて、「うまい!」と思った瞬間に、2階のファンリーのところへ行く。
【メイユール】 ファンリー、寝られへんやんか(笑)。
【GM】 それはドアの外から声をかけるの?
【ティガー】 いや、ガチャっと開けて、「ファンリー、起きてるぅ?」って中に入る。
【GM】 ファンリーは、ベッドの脇に立ってるよ。
【ティガー】 「チーズ・フォンデュ、めっちゃうまいねんけど、どう?」
【GM】 ファンリーは答えない。その右手に、『天の鍵』が握られてる。
【ティガー】 は?? なんで? 「それ、どうすんの?」って聞く。
【GM】 「ちょっと、借りて行きます」
【ティガー】 「それ、まだ使えないって」
【GM】 「……使えなきゃいいじゃん」と、ファンリーは笑う。
【ティガー】 偽者!?
【サテラ】 ――え??
【メイユール】 なにぃ?!
【GM】 「無限のバッグなんかに入れるから、取り出すのに苦労したよ」
【シルヴィア】 どうやって取り出したん?
【GM】 逆さにしたら、中身が全部、落ちてきた。
【シルヴィア】 なるほど(笑)。
【GM】 さて、ファンリーは『天の鍵』を床に捨て、複雑な身振りを交えて、何か呪文を唱えた。すると、部屋の扉がバタンと閉まり、鍵がかかってしまった。
【ティガー】 ソーサラー!? 〈ロック〉か〈ハードロック〉やな。
【GM】 部屋のドアが閉まってしまったので、廊下にいるシルヴィアのフクロウが目撃できたのは、そこまでね。
【シルヴィア】 とりあえず、尋常でない様子ということはわかった。
【ティガー】 つーか、本物のファンリーはどこよ!?
【GM】 ファンリーはニヤニヤ笑うだけ。
 このまま戦闘ラウンドに入るよ。先攻はティガー。
【ティガー】 剣を抜いて攻撃。「この偽者がぁー!」ズバーって。
【GM】 ファンリーはそれを避けようとせず、「この体、傷つけていいのか?」と言う。
【ティガー】 えっ、中身だけ違うわけ?! ――って思っても、もうツヴァイハンダーを振るっちゃってる! (ころっ)
【サテラ】 まわった!
【ティガー】 でも、ふた回り目が1ゾロ! ダメージは17点。
【GM】 クロースやから、鎧の防御はなきに等しいねんな〜。(ころっ)血がドバっと出た。けど、まだ生きてるよ。
【ティガー】 「体は本物か?」って聞く。
【GM】 「さあね」
【ティガー】 なにぃ〜!?
【GM】 ファンリーは魔法を唱えるよ。
【ティガー】 抵抗! (ころっ)
【GM】 いやいや、ティガーにじゃなくて、自分にかけたのよ。薄い魔法の光が、ファンリーの体を守るように包み込む。
【シルヴィア】 〈プロテクション〉かな?
【メイユール】 ティガー、無駄に気張ってもたで。
【ティガー】 抵抗未遂(笑)。
【GM】 では、第2ラウンド。
【ティガー】 くそ〜、どうしたろっかなぁ。殺さんように攻撃したいけど、鈍器を持ってないからムリ。
【GM】 ティガーの頭の右斜め後ろに、ペドロ・チャベスがほわほわ〜んと現れて、「だから言ったでしょ? 打撃系の補助武器をお持ちなさい、と」って言ってる。
【ティガー】 うるさーい。鈍器を持つのは王子っぽくないからダメ。
 剣を捨てて、逃げられんようにファンリーの肩を掴む。そんでもって、素手の[手加減]で殴りつける。(ころっ)当たった、ダメージ9点。

ティガー対ファンリーの事

【GM】 そいつはガイーン。ファンリーは、片手でティガー拳をパシっと受け止めた。
【ティガー】 なにー!
【メイユール】 ファンリーって、そんなに固かったっけ?
【ティガー】 たぶん、〈プロテクション〉か何かがかかってるからやろけど、くっそ〜。
【シルヴィア】 肩を掴んだ感触で、何かわからへんかな?
【ティガー】 ……夜、抱いたファンリーと、鎖骨の感じが違うとか。
【GM】 はあ?!
【ティガー】 だって、女の子がふたりいてたら、骨格とか違うやん。
【GM】 そんな、覚えてんのか?
【ティガー】 うん(笑)。
【シルヴィア】 いつの間に(笑)。
【GM】 それじゃあ、冒険者レベルと知力ボーナスで判定してみ。
【メイユール】 何の判定よ!(笑)
【ティガー】 エロ判定。(ころっ)成功。
【GM】 ……なんとなく、違和感を感じるかな。
【ティガー】 じゃあ、体も偽者か。
【GM】 ファンリーはティガーの手を払いのけて、魔法をかけてくる。レジストしてみ。
【ティガー】 (ころっ)抵抗できない。
【GM】 なら、銀色の魔法の網がティガーを絡めとる。全部の判定にペナルティがつく上に、ムリに動こうとするとダメージを受けるからね。
【ティガー】 また、これか。レベル7以上のソーサラーやな。
【GM】 次のラウンド。とりあえず、ファンリーは『天の鍵』を拾うでしょう。
【ティガー】 それは阻止する。絶対、動く。
【GM】 「動かんほうがいいよ」と、ファンリーは言う。
【ティガー】 でも、偽ファンリーの言うことやし。
 攻撃してダメージを与えるのと、動いてダメージを受けてしまうのは、どっちが早い?
【GM】 同時やから、どっちもある。
【メイユール】 ふ〜む。
【GM】 「動かんとじっとしてたら、きっと、そのうち仲間が助けに来てくれるよ。シルヴィアが見てたから」
【ティガー】 目の前で盗まれてしまうのがな〜。それに、本物のファンリーがどうなってるのか、わからんし……ティガーは行くんちゃうかなぁ。
【GM】 この魔法のダメージは、けっこうでかいよ。こっちの魔力も高いし。
【メイユール】 一撃で死ぬかも。
【ティガー】 そうやねんな〜。キャラがティガーでなくなってしまうかも(笑)。
【シルヴィア】 ちなみにGM、僕は異変を察して駆けつけることはできる?
【GM】 今から?
【シルヴィア】 いちおう、〈フライト〉で飛んで行くつもりやけど。
【GM】 なるほど。それなら、1分ぐらいで現場に到着できることにしよう。今から、6ラウンド後ってことやね。
【ティガー】 間に合わへんな。『天の鍵』を拾ったら、絶対、次のラウンドで〈テレポート〉するねん、偽ファンリーは。
【シルヴィア】 とにかく、飛んで帰るよ。サテラはメイユールに知らせてきて。
【メイユール】 わたしは城を見学してるぞ〜。
【シルヴィア】 魔術師ギルドから宿屋に行く道筋に、ちょうど城がある。
【サテラ】 じゃあ、メイユールさんを見つけて、事情を話す。
【メイユール】 レッドゾーンにふたり乗りして、宿屋に向かおう。
【GM】 さて、ティガー。第3ラウンドの行動を決めてください。
【ティガー】 う〜……〈テレポート〉する前に、一撃で殺してしまえば。相討ちでも、鍵を盗まれるのは阻止できる!
【メイユール】 ムリやろ。素手の攻撃、さっき受け止められてしまったやん。
【ティガー】 ツヴァイハンダーは、床に捨ててもてんな〜。……でも、ティガーは絶対、阻止しようとすると思う。
【GM】 「やめとき?」と、ファンリーは言う。
【シルヴィア】 もし死んだら、僕らが生き返らせてあげるよ。
【ティガー】 よし! 素手で殴る。(ころっ)はずれてしまった。
【GM】 では、魔法の網のダメージが行くけど、それは自分でダイスを振って決めて。
【ティガー】 OK。(ころっ)ぶっ!
【メイユール】【サテラ】 あーッ!!
【シルヴィア】 ここでクリティカルか(笑)。
【GM】 ダメージは21点ね。冒険者レベルで止めて。
【ティガー】 通ったダメージで、生命力、ぴったり0点。(ころっ)[生死判定]には成功した。
【GM】 なら、ティガーの意識は、ここで途切れた。これで戦闘ラウンド終了。
【サテラ】 ああ……。
【GM】 しばらく後、〈フライト〉で飛んで来たシルヴィアが部屋で目にしたものは、血の海に突っ伏するティガーだった。その体は、まだ〈ブレード・ネット〉の網に絡めとられてる。
【シルヴィア】 〈ディスペル・マジック〉で解除するよ。(ころっ)消えない? なんてこったい。
【GM】 まあ、サテラとメイユールが戻って来る頃には、網は自然に消えてるけどね。
【メイユール】 〈ヒーリング〉をかけまーす。(ころっ)全快したよ。
【GM】 ティガーは気がついた。
【シルヴィア】 「何があった?」と、聞くやろね。
【ティガー】 「ファンリーが、さらわれたっぽい。あと、『天の鍵』を盗まれた。ファンリーの偽者が来て、持って行ってもてん。で、本物のファンリーがおれへんねん。偽者、めっちゃ強かった。それだけ」
【サテラ】 『それだけ』って……。
【メイユール】 大事件やんか。
【シルヴィア】 ティガーとタイマンで勝てるって、相当の強敵やね。
【ティガー】 あれは、ファンリーの顔をしてたんが悪かってん。1ラウンド、無駄な[手加減]攻撃してもたし。
【メイユール】 それにしても、『天の鍵』って大人気やなぁ。また、盗られた。もう、穴あけて紐を通して、首からぶら下げとき。
【シルヴィア】 とりあえず、〈ロケーション〉をかけるさ。(ころっ)
【GM】 かすかに『天の鍵』の存在を感じる。南の方角にあると、かろうじて感じる程度で、正確な距離まではわからない。はるか遠くにありそうやね。
【サテラ】 ほえ〜……。
【ティガー】 バウツェンの南って……いろんな国とかがあり過ぎ。

【シルヴィア】 月へ行く船が眠ってるっていう、アステア大砂海があるね。
【メイユール】 ホンマや。
【ティガー】 もしかすると、サリア地方っていう可能性も。さすがに、ヴァンパイアの島ってことはないと思うけど。
【メイユール】 どーする?
【シルヴィア】 南に行くしかないか……。
【GM】 街道を通って行くなら、まずメミンゲンに戻らんといかんね。
【シルヴィア】 なんてこった。
【ティガー】 っていうかさ、ファンリーはどこ〜?
【シルヴィア】 ファンリーは、〈ロケーション〉じゃ調べられへんな(笑)。
【ティガー】 どこで入れ替わったんやろ。
 ……あそこか? アンデッド爺ぃの家で変装してるとき、ファンリー、散歩に行った。
【メイユール】 2日ほど前? そんな前から入れ替わってたんかな。
【ティガー】 だって、意味もなく、散歩になんか行かへんもん。この宿屋に入ったときは、もう偽者やったと思うねん。
【シルヴィア】 どうすんの?
【メイユール】 引き返す?
【シルヴィア】 グラランボンバーの暴走までは、あと何日?
【GM】 現在は、5月22日の夕暮れ。あと5ヶ月と23日。残り153日やね。
【メイユール】 これから、ファンリーの消息を調べて、『天の鍵』を探して取り戻して、『天の心』を取りに行くわけ?
【サテラ】 間に合うかな。
【シルヴィア】 さらに、5色の玉の残りふたつと、『天の衣』もいる。これはまあ、他の冒険者にも協力してもらってるけど。
【ティガー】 ……40万フィス貯めようかな……。
【メイユール】 仕事のキャンセル料?(笑)
【ティガー】 とりあえず、ティガーはファンリーを探すから、あの村に戻るぞ。
【シルヴィア】 鍵は何とか手がかりがあるけど、ファンリーはどうなってるんか、さっぱりわからんもんな。どこかで入れ替わったのか、もとからファンリーはついて来てなかったんか、それすら判断つかへん。
【ティガー】 そっか、最初から偽者がついて来てた可能性もあるんか。それやったら、ファンリーはオレンブルクにいることになるから、問題ないねんけど。
【サテラ】 それがわからない。
【ティガー】 とりあえずさ、南に行くんなら、メミンゲンまで戻らんといかんのやろ? そのついでに、アンデッド爺ぃの村に立ち寄ろうや。
【サテラ】 『天の心』は?
【ティガー】 冒険者を雇う……しかないよな。
【メイユール】 じゃあ、うちが報酬を用意するわ。3万フィス出す。
【ティガー】 うちも2万フィス出す。
【シルヴィア】 全部で5万? すごいな(笑)。
【メイユール】 そんじゃ、「冒険者募集!」って告知しよう。
【ティガー】 んで、面接とかするねん。「うちを希望した動機は?」(笑)
【GM】 「報酬がいいから」しかないと思うけど(笑)。

名乗りをあげた冒険者の事

【メイユール】 とりあえず、成功報酬ね。『天の心』を手に入れるのが条件。
【ティガー】 俺ら、ファンリーを探した後は、『天の鍵』を取り戻しに行くねんな。
【シルヴィア】 そう。はるか、南に向けて旅立たんと。
【ティガー】 はるか南……もし、サリア地方まで行くことになったら、どれくらい時間がかかるんやろ。
【GM】 馬でも軽く3ヶ月半はかかる。サリア地方の玄関エストリアまで、105日。
【メイユール】 じゃあ、行って帰ってくるだけで7ヶ月? 全然間に合わへんやん。
【GM】 ドラゴンなら、馬の5倍のスピードで、しかも道なんか関係なく行けるから、20日ちょいで往復できるんやけどね。
【ティガー】 『天の鍵』を取り戻しても、バウツェンに戻る時間がないかも知れんから、「『天の心』を見つけて、11月までにミドル地方ボア王国まで来い」っていうのを、仕事の条件にしよう。
 というか、「見つけたものを全部持って来い」って。
【シルヴィア】 ボアからなら、月の船があるアステア大砂海は目の前みたいやし、待ち合わせるのに最適やね。
【GM】 バウツェンで雇う冒険者はそれでいいとして、オレンブルクで『天の衣』や玉のために雇った冒険者は、そういう条件を聞かされてないけど?
【ティガー】 郵便屋さんとかに、冒険者の店へ伝言を頼んどく。
【シルヴィア】 それにしても、ワールドワイドな冒険になってしまったな(笑)。

 そして、3人の冒険者が、『天の心』探索に名乗りをあげた。

【プレイヤー1】 プレセア・アクアマリン。シルヴィアの親戚という設定。会ったことはないけどね。169センチ、59キロの女性で、17歳の盗賊。
 接近戦武器は両手用ブロード・ソードに、予備のシミター。飛び道具は中型の長弓ね。完全鎧のリングジョイント・プレート・アーマーで身を固めてます。
 技能は[捜索]を1レベル。
【プレイヤー2】 将来、ウサギになりたいエルフの男のキャロット。105歳。本名はレスティネイルやけど、呼ばれたらキレる。“キャロット”が魂の名前やから。
 身長は194センチで、75キロ。職業は呪術師ね。
 接近戦武器はソード・ケイン(仕込杖)で、飛び道具は手裏剣。完全鎧のスケール・アーマーを着てて、ウサ耳帽子と、モコモコした手袋を装備してるよ。
 あと、エスキモー犬の“チョビ”と、飛べない鳩の“銀次”を連れてる。銀次は羽根とかむしって、モヒカンにしてるから。
 技能は[魔法抵抗]を1レベルね。
【プレイヤー3】 ファベルという23歳の人間、男性。175センチ75キロ。職業は戦士ね。
 接近戦武器はグラディウスと、クックリ。完全鎧のスケール・アーマーを装備してます。
 技能は[乗馬]を1レベル。ホルスタイン牛の“田吾作”を連れてます。

 ちょっと変わった感じの用語が並ぶ自己紹介になってますが、これは、彼らがソード・ワールドRPGではなく、ハイパーT&Tのキャラクターだからです。
 プレセアたちの冒険は、ハイパーT&Tのシステムを使って行われます。ただし、例によってハイパーT&Tで用意された世界は使わず、オリジナルの世界を使用します。

【GM】 キミたち3人は、金貨5000枚(5万フィス)で、ティガーたちに雇われました。仕事のために必要な情報は、すべて教えられたことにします。
 あと、前金として、報酬から金貨500枚を受け取ってるよ。
【キャロット】 北に行くなら馬がいるけど、所持金が全然足りない。
【GM】 ティガーの馬を借りて行くとか。
【ティガー】 ぼちのこと? 「俺のやー!」
【メイユール】 なんか、そっちのウサギエルフも、変な動物いっぱい連れてるな。
【GM】 うん、ティガーのヒデヨシと、キャロットの銀次が、メンチ切り合ってるよ。あ、ヒデヨシがシュゴ〜って7色に光り始めた。銀次のモヒカンも逆立つ。
【ティガー】 戦闘モードに入ったんや(笑)。
【メイユール】 ヒデヨシに新たなライバルが(笑)。
【ティガー】 じゃあ、ティガーがキャロットに馬を買ってあげる。
【GM】 乗用馬は金貨500枚なので、5000フィスやね。ちょうどソード・ワールドの乗用馬と同額か。
【キャロット】 イボが左目の上あたりにある馬ね。
【メイユール】 イボ?! いや〜!
【GM】 ティガーとウサギの買い物風景を思い浮かべると、頭が痛くなるな(笑)。
【ティガー】 アホ同士、けっこう仲良くなったと思うよ。オムレツ王国とウサギ王国の話で盛り上がってるし。
【キャロット】 ふたりとも妄想モードに入ってるけど、誰も止めてくれへんから、帰ってこない。
「ウサギがオムレツを売ってるんスよ〜」って言うて。
【メイユール】 統合されてしまってるで。
【ティガー】 俺らの周り、ピンク色〜。
【GM】 最悪や(笑)。
【プレセア】 プレセアは、同じアクアマリン一族のシルヴィアに馬を買ってもらう。
【メイユール】 じゃあ、ファベルに馬を買ってあげる。
【GM】 ファベルの魅力度は10だから、残念ながら、メイユールの目をハートにするまでには至らんね。
【メイユール】 すごい事務的に接するで。
【GM】 では、キャロットたちに後事を託したティガーたちは、まず、ファンリーの消息を確かめるため、翌日、封印の老人がいる集落に戻りました。
 現在、5月23日の夕方。
【ティガー】 アンデッド爺ぃに「ファンリーおらん?」って聞いてみる。
【GM】 「あの娘さんですかの? 一緒に出かけたんじゃなかったですかの?」
【シルヴィア】 いないか……。
【メイユール】 どこかに連れて行かれてるか――。
【ティガー】 ――どこかに隠されてるか、それとも、もとから偽者か。
【メイユール】 もとから偽者、っていうのがいちばんいいねんけど、連れて行かれてたりしてると、やっかいやな。
【ティガー】 どこかに隠されてるのもやばい。もう、死んでるかも知れん。
【メイユール】 げ〜。じゃあ、その辺探してみよか。ファンリーが散歩に行ってた時間って、どれくらいやった?
【GM】 10分もかかってなかったと思うよ。
【メイユール】 じゃあ、小屋から10分ぐらいの範囲で調べてみよう。

 冒険者たちは、懸命にファンリーを探してみたが、何も見つけられなかった。

【メイユール】 あー、よかった。
【ティガー】 死体があったらどうしよう、って思った。
【シルヴィア】 これで、ここで入れ替わったという線は消えたね。
【ティガー】 〈ディスインテグレード〉で消されてなければ。
【メイユール】 やめて〜(笑)。
【ティガー】 入れ替わったぽいとこって、ここだけやんな?
【メイユール】 じゃあ、連れて行かれたか、オレンブルクにいるかのどっちかやな。
【シルヴィア】 オレンブルクに戻ってみて、ファンリーがミフォア大神殿にいるかどうかを調べてみる?
【サテラ】 オレンブルクに戻るのは、ちょっと……。
【ティガー】 日数的にやばい。
【メイユール】 オレンブルクにいるならOKなんやし、拉致されたとしたら、『天の鍵』を盗んだ奴に連れて行かれたんやろ。
【シルヴィア】 どうする、ティガー?
【ティガー】 『天の鍵』がある南へ行こう。
 そうそう、ハーフエルフの子供から、青い玉を受け取りたいねんけど。
【GM】 「月の王国へ行きたい」と言っていたハーフエルフの少年は、けっきょく、爺さんと一緒にここに残ることにしたらしい。
 快く青い玉をティガーに渡してくれた。
【ティガー】 さんきゅ〜。
 じゃあ、南へ出発する。
【GM】 レムリア大陸南部へ向かうには、とりあえず街道の分岐点メミンゲンまで戻ることになるね。
 では、街道を引き返してきたキミたちは、6月4日にメミンゲンに入りました。そこで、思いも寄らないことが起きた。
 なんと、サテラが熱を出して寝込んでしまったんやね。
【メイユール】 なんだよ〜。
【GM】 メイユールたちも、ずいぶん旅にくたびてるので、ここで丸1日休むことにした。
 では、時間を少し巻き戻し、場面を5月23日のバウツェンにしよう。ティガーたちが、封印の老人のところへ行った直後やね。
 さて、ウサギさんたちは、どうしましょうか?
【プレセア】 そりゃ、キャフタに向けて出発するでしょう。
【キャロット】 イボ馬に乗って、旅をする〜。

 オレンブルク王国の国境を出た3人の冒険者たちは、ダンフリーズ王国領の手前から街道をはずれ、荒野を旅していった。
 道中、襲い来る怪物と戦い、退け、“荒ぶる砂漠”に乗り込んだ。

【GM】 砂漠といっても、辺り一面砂の世界というわけじゃないよ。うだるような暑さでもないし。
 大きな岩や、角張った石ころなんかが転がってて、ところどころ、枯れたような細い草がチョロチョロ生えてたりする。昆虫とか小動物の姿なんかも、見かけたりする。
 ただ、常に風が吹いていて、無風の日はない。この砂漠でいちばん恐ろしいのは、頻繁に現れる竜巻やね。
【プレセア】 ほう。
【GM】 そうした困難を乗り越えて、キミたちは“荒ぶる砂漠”を北上して行きます。

÷÷ つづく ÷÷
©2006 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2006 Jun Hayashida
Map ©2006 Moyo
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お名前
ひと言ありましたら
 
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