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§失翼の魔術師:第1話§

去りし者の願い

著:林田ジュン イラスト:りょこ 地図:もよ
▽ 1 ▽ 2 ▽ 3

【GM】 「というわけで君たちはいつもと同じ町(ゼーエンブルク王国ゼーエンブルク)にいるんだけど」

 ちなみにこのパーティはヴァンパイアが二人もいるため行動するのは夜がメインになっています。もちろん今も夜です。
 不健康な奴等だ。

【GM】 「何か仕事がないかなぁと思っていつもの宿屋に来てみたわけなんですけどね。…ん?宿屋?あ、酒屋か」
【一同】 「酒場だよ(笑)」
【ヴェルナー】 「酒屋って言ったらなんかサザエさんの三河屋さんみたいや(笑)」
【GM】 「そうだね、酒場だね(笑)で、君たちは仕事を探しに来てみたんだけど、その酒場にはすでにほかの冒険者グループが3ついてね。彼らも仕事を探しに来たみたいだ」
【シュトルム】 「うわぁ。先を越されたか」
【GM】 「1つのグループはいかにも駆け出しって感じで壁の貼り紙を見て騒いでいる。そして後の2つはそれぞれ別の誰かに依頼を受けている最中のようだ。ちなみに依頼主の片方はエルフの男で、もう一人は人間の隻眼の男。あ、君らの友達のロード君もいるからね。大学生の」

 ここでGMは酒場にいる全員のキャラクターシートを見せます。

【シュトルム】 「(Aパーティを見て)おお!すごくかわいいぞ、このラヴァーズさんって人。しかも俺と同じヴァンパイアじゃないか!うわぁ。趣味がケーキ作りって書いてある。いいなぁ」

A パーティ・メンバー
名前 種族 性別 冒険者レベル
ジャスティス ハーフエルフ
ジャッジメント エルフ
チャリオット 人間
ハーミット ダークエルフ
フール 人間
ラヴァーズ ヴァンパイア
仕事の依頼主
ナヴィ・カージャール エルフ

【アンリ】 「(Cグループを見ている)あ、この眼鏡の子、可愛い。あれ?この人達の名前のオレンジ、レモン、キウイって。もしかしてみんな?」
【GM】 「そうだよー。みんなフルーツなの」

C パーティ・メンバー
名前 種族 性別 冒険者レベル
アップル 人間 1
オレンジ 人間 1
キウイ 人間 1
グレープ エルフ 2
ストロベリー ハーフエルフ 2
レモン ホークマン 1
仕事の依頼主

【ヴェルナー】 「本当だ。(Bグループを見て)こっちは星座だ」

B パーティ・メンバー
名前 種族 性別 冒険者レベル
アルタイル グラスランナー
アンタレス ドワーフ
シリウス 人間
ベガ エルフ
ペテルギウス 人間
リゲル 人間
仕事の依頼主
アンドリュー・ド・ゲーベル 人間

【シュトルム】 「あ、こっちはタロットカードか」
【GM】 「そうした方が覚えやすいっしょ?」
【ヴェルナー】 「あ。こいつダークエルフだ。GMダークエルフ好きだな」

 放っといてくれ(笑)。いいじゃん。NPCなんだし。

【シュトルム】 「このダークエルフ、ハーミットっていう名前なのか。隠者。それっぽいなぁ」
【GM】 「ちなみに彼らの名前はプレイヤーは知っててもいいけど、キャラクターは知らないことにしておいてね。知りたかったら話しかけてよ」
【シュトルム】 「ようし。やっぱりこの人だな『ラヴァーズさぁん』」
【GM】 「(おいおい。名前は知らないって言ったところなのにいきなりこれかよ)『あーら、なぁに?』」
【ヴェルナー】 「おおー!GM、声が変わった(笑)」
【シュトルム】 「ドキドキィ!シュトルム、ノックダウンや(笑)」
【ヴェルナー】 「はやいー(笑)」
【アンリ】 「…いないよう」
【GM】 「何が?」
【アンリ】 「あたしのお友達(←ホークマンのこと)」
【GM】 「え?一人いるはずだよ。駆け出しパーティに。探した?」
【アンリ】 「え…(といってパラパラ)あ、いたーーー!(嬉)」
【GM】 「男の子だけどね」
【アンリ】 「いいの。でもヴェルナーはいいよね。お友達いっぱいいてさぁ。だってほとんど人間だもんね」
【ヴェルナー】 「うん(笑)」
【アンリ】 「それでこの駆け出しパーティは何してるの?」
【GM】 「話しかけるんだね?そしたらこのパーティのリーダーのオレンジ君が壁の貼り紙を見せながら『下水道のねずみ退治で一人50フィスなんだ』って(笑)」
【ヴェルナー】 「なんだそれ(笑)」
【シュトルム】 「目茶苦茶ショボいじゃないかー!」
【GM】 「『だって初めての冒険なんだもん』」
【ヴェルナー】 「だからってなぁ(笑)せめてゴブリン退治とか」
【シュトルム】 「GM、GM。もっとラヴァーズさんと話していい?『今度どこか行きませんか?』」
【GM】 「いきなりデートのお誘いかよ(笑)『そうね。今度の仕事で3万くらい手に入る予定だから、おごってあげてもいいわよ』」
【ヴェルナー】 「え?何?そんなに儲かるの?」
【アンリ】 「いったい何をするんだろう」
【シュトルム】 「キラーン。逆タマだぜ!」
【ヴェルナー】 「逆タマ?」
【シュトルム】 「逆玉の輿。おごってもらうから(笑)」

 そして一同はキャラクターにチェックをいれていきます。好みのキャラクターがいないか探しているようです(笑)

【シュトルム】 「(突然)かっこいい!アンドリューって人!」
【ヴェルナー】 「本当だ。なんか渋いと思ったら26才なのか」
【シュトルム】 「26ぅ?年下じゃないか(笑)」
【GM】 「君はヴァンパイアじゃないか。君だったらみんな年下になっちゃうよ(笑)」

 それからもプレイヤーはいろいろと騒いでいますが、結局話しかけたのはラヴァーズと駆け出しパーティだけでした。
(しかもラヴァーズとはどうでもいいことしか話していない)
 あーあ。ロード君以外からはうまくすればいろいろな情報が手に入ったのに。

【GM】 「(そろそろ話を進めるか)で、君たちがそうやって騒いでいると、酒場のマスターが来て『暇ならちょうどいい仕事があるんだが』」
【アンリ】 「『うん。暇だよ』」
【ヴェルナー】 「『何かあるの?』」
【GM】 「『この町の住宅地の一角に今は誰も住んでいない家があるらしいんだ。最近、と言っても三週間ほど前かららしいが、窓に人影が映るみたいで実害はないが近所の人が気味悪がっているようなんだ。人影の正体を調べて退治してくれると嬉しいんだが』」
【シュトルム】 「たいじ(といって腹部を押さえる)」
【ヴェルナー】 「何だよ?」
【シュトルム】 「胎児。赤ん坊(爆笑)」
【GM】 「(無視して)で、行ってくれるの?」
【ヴェルナー】 「楽そうだね。幽霊退治かな」
【GM】 「(おいおい。楽そうって…ファントムとかだったらどうするんだよ)『報酬は依頼主の町内会が一人1000フィス出してくれるらしい』」
【アンリ】 「ようし。行って、家の中片っ端からひっくり返してみよう」
【ヴェルナー】 「何かいいものあるかな」
【シュトルム】 「金庫とか(笑)」
【GM】 「(目的が違うぞ)それじゃあね、マスターに教えてもらったように行くと、閑静な住宅地の中に1軒だけ人気のない家がある。それで、噂によるとその家の人は少し前に死んだらしい」
【アンリ】 「少しってどのくらい前?」
【GM】 「3週間くらい前。人影が見え始めた頃と一致してるね」
【ヴェルナー】 「その人って何で死んだの?病気?」
【GM】 「さぁ?そこまでは分からないよ」
【アンリ】 「やっぱりその人影って幽霊じゃないのー?」
【GM】 「どうだろうね。で、玄関は誰も入れないように板が打ちつけてあるよ」
【ヴェルナー】 「それじゃあ入れないよ」
【GM】 「大丈夫。ちょっと力を入れればすぐに外れるようなものだから」
【シュトルム】 「外そう」
【アンリ】 「ベリベリ」
【GM】 「中に入ったら廊下があって、左右と正面に扉があるよ」
【シュトルム】 「どこに行こうか?右はどうなってる?」
【アンリ】 「罠…ないよね、民家だし。鍵はかかってる?」
【GM】 「ないよ。右だね?右の部屋は、開けたら台所になってるよ」
【シュトルム】 「やったあ!食べ物がある!(笑)」
【GM】 「あのなぁ。ここに人が住んでたのってかなり前のことだぜ?食べ物なんて、あっても腐ってるよ。あ、チーズくらいならあるかも知れない。かびが生えてても食べられるんじゃないか?(笑)」
【ヴェルナー】 「ええーっ!」
【シュトルム】 「それは!それは違うでGM!あんた納豆腐っても食べられるとか思ってる人やろ?(笑)」
【GM】 「え、違うの?」
【シュトルム】 「たぶん違うぞ!ちゃんと賞味期限とかあるし(笑)」
【ヴェルナー】 「何の話だ(笑)」
【GM】 「他にも探せばワインとかあるけど?」
【アンリ】 「それは大丈夫だよね。もらって行こうか」
【シュトルム】 「やったぁ。一本持って行こう」
【ヴェルナー】 「何だか僕たちコソドロみたい(笑)」
【アンリ】 「で、隠し扉とかないかシーフ技能で調べるけど(コロコロ)13。何もない?」
【GM】 「うん。何もないよ」
【ヴェルナー】 「それじゃ、次行こう。正面か左か。うーん、正面」
【GM】 「正面?風呂だよ」
【シュトルム】 「うわぁ。何かないのか?食べ物(笑)」

【ヴェルナー】 「また言ってる」
【GM】 「何でそうなるんだよ(笑)」
【アンリ】 「…石けんとか(笑)」
【GM】 「それ、食うんかい!(笑)」
【ヴェルナー】 「(突然)あ、シャンプーしよ、シャンプー!」
【シュトルム】 「俺はそんな事しなくても朝シャンしてるからきれいだぞ(笑)」
【アンリ】 「朝って、あんた蝙蝠じゃん。蝙蝠がシャンプーするの?」
【ヴェルナー】 「変な蝙蝠(笑)」
【シュトルム】 「失礼な(笑)」
【アンリ】 「GM、他に何もない?(コロコロ)14!」
【GM】 「何もないよ。…ねずみの死体とかならあるけど(笑)」
【アンリ】 「それって干からびた死体?普通の死体?」
【GM】 「(どうしてそんな事聞くんだ?)どっちでもいいよ、そんなこと。お好きなように」
【シュトルム】 「持って行こう(笑)」(←何で?)
【アンリ】 「それじゃあこの部屋は何もないよね。左の部屋、行く?」
【GM】 「左の部屋に行くんだね?」
【アンリ】 「鍵はないよね」
【GM】 「ないよ。この部屋は書斎になってて、大きな本棚の向こうにベッドが見えてる。見えてると言っても本棚の死角になってて半分くらいしか見えてないけど。で、プリースト。知力ロールしてみて」
【ヴェルナー】 「(コロコロ)あ!6ゾロ!」
【GM】 「じゃあ何か感じるね。本棚の影になってて見えないところから」
【ヴェルナー】 「え?何か感じるの?…嫌だなぁ」
【アンリ】 「それってもしかして幽霊とか言わない?」
【GM】 「言うよ(笑)」
【シュトルム】 「げーーー」
【ヴェルナー】 「ねぇ。そっち側に行ってみる前にちょっとこっちを調べてみようよ。本棚とか。悪魔の本とかない?」
【GM】 「じゃあサイコロ振ってよ。シーフで」

 すいません。間違えてますね。ここは書物を見つけることができるかどうかの判定ロールですので、シーフではなくセージで振ってもらうべきでした。

【ヴェルナー】 「(威張って)ふふーん。平目で。(コロコロ)ヘボ」
【アンリ】 「あたしがやるよ。(コロコロ)12」
【GM】 「それなら見つかるね。悪魔の本はないけど、普通の本の中に混じって『誰でもできる魔術入門』とかいう本が何冊かあるよ」
【ヴェルナー】 「いんちきくさいなぁ」
【アンリ】 「うーん。ねぇ、そっちに行く前にベッドのとこちらっと覗いてみるけど何かある?血の跡とか」
【GM】 「それはないけど液体の入った小さな瓶が見えるよ」
【ヴェルナー(ムーン)】 「よし、セージだ。(コロコロ)12。何が入ってるか分かる?」
【GM】 「近づかなきゃ良く分からないけど、ま、いいや。毒薬みたいだよ」
【シュトルム】 「ええ?それは自殺か?」
【アンリ】 「じゃあ仕方がないからベッドの方に行く。幽霊は?」
【GM】 「うん。ベッドの脇に女の人の霊が立ってるけど」
【アンリ】 「え?その人の死体はないの?」
【GM】 「そんなものはない。死んだときに近所の人が運び出してるよ。で、その女の人は君たちの方を見て怒ったように言う。『あなたたちはあの男の関係者ですか、娘を返して!』」
【アンリ】 「…へ?」
【ヴェルナー】 「なんだなんだ?」
【アンリ】 「あのー…話が見えないんですけどぉ?」
【シュトルム】 「(突然)『さてはお前だな!』」
【GM】 「何が?」
【シュトルム】 「『実はあの「誰でもできる魔術入門」でこっそり勉強していただろう』!」
【アンリ】 「なんじゃそりゃーーーーー!」
【GM】 「そしたらそれを聞いて女の人が言うけど『あれは娘のものです』」
【アンリ】 「え?娘?この家って何人家族?」
【シュトルム】 「『俺たちはただの冒険者だ』って言って詳しく聞いてみよう」
【GM】 「女の人はそれを聞いて『信じたわけではありませんが、今はあなたがたしか頼る人がありません』と話し出すよ」
【ヴェルナー】 「おお!頼られてる(笑)」
【GM】 「この家はこの人と娘と息子の三人家族。で、彼女が言うには『半年ほど前に娘がソーサラーになりたいと言いました。それでどうせならいいところで学ばせてあげたいと思い、魔法学院に娘を生徒にして頂きたいと手紙を書きました』」
【シュトルム】 「ほほう」
【GM】 「『そうしたら4日程たって、ローブで顔を隠したエルフの男がやって来て、魔法学院の者だが娘を預かっていくと言うのです。でも魔法学院の人にしては証拠になる物も持ってないし、名前も名乗ろうとしなかったので怪しいとは思ったのですが、娘を預けてしまったのです』」
【アンリ】 「怪しいと思ったら渡さないでほしかったな」
【GM】 「『それから数日して魔法学院から正式な書類が届きました。そこには一週間後に娘に会いに来ると書いてありました。あの男にだまされたと気づいたときには遅過ぎました。娘を捜そうにも手掛かりはないし。息子は娘を連れ戻してくると言って家を飛び出したきり帰ってきません。私辛くて毒を…』」
【シュトルム】 「うわー…、そうだったのか」
【GM】 「『でもそのままでは死んでも死にきれなくて…。せめて一目でいいから二人に…いいえ、どちらか一人にでも会えれば…そうすれば思い残す事はないのに』」
【シュトルム】 「よし!捜すぞ!二人を」
【ヴェルナー】 「おお、やる気だね」
【シュトルム】 「だってなぁ。可哀相だし、何より1000フィスのためだ(笑)」
【ヴェルナー】 「本音はそれかい(笑)」
【アンリ】 「それで、お母さんに聞くけどその二人の顔とかわからないの?」
【GM】 「それだったらベッドの脇の机に写真が置いてあるよ。活発そうな女の子と頭よさそうな兄ちゃん」
【アンリ】 「その二人って、名前わかる?」
【GM】 「うん。聞けば教えてくれるよ。男の方がジャック。大学生。ちなみにロードと同じ大学だよ」
【シュトルム】 「うわぁ。ロクな大学じゃないな(笑)」
【GM】 「(ロクでもないのはロードだけだよ)で、女の子がユリア。ちなみにこんな顔だよ(と言ってユリアのイラストを見せる)」
【シュトルム】 「わー!すごい!かわいい!これはぜひ助けねば!」
【GM】 「あんたはそればっかりかよ(笑)」
【ヴェルナー】 「さっきのラヴァーズさんといい(笑)」
【アンリ】 「女の子ならここに二人もいるのにー(と、自分とムーンを指差す)」
【シュトルム】 「だってアンリ怖いじゃないか。怪力で(笑)。それにムーンもなんかなぁ。嫌だ(笑)」
【アンリ】 「ひどぉい」
【ヴェルナー】 「ねー、僕は?(笑)」
【シュトルム】 「あんた男だろ!」
【ヴェルナー】 「えーん。ふられちゃったぁ(笑)」
【シュトルム】 「ところでGM。ジャックってロードと同じ大学なんだよね?」
【アンリ】 「それならロードにジャックのこと知ってるか聞いてみようよ」
【ヴェルナー】 「ロードってどこにいたっけ?」
【シュトルム】 「確か酒場にいたと思うんだけど」
【GM】 「うん。いたよ。行くの?」
【アンリ】 「行く。それじゃ、お母さんには『お二人は必ず…』って言って家を出よう」
【GM】 「お母さんは『ユリアの方はどうなってるか分かりませんがせめてジャックにだけでも…』と頭を下げる。
で、酒場だね?もうかなり夜遅いから他の冒険者はもうみんないないよ」
【ヴェルナー】 「ロードは?ロードもいないの?」
【GM】 「ロードはいるよ。隅のほうで酒を片手に机に向かってレポート書いてる。『締め切り、明日なんだー(笑)』」
【ヴェルナー】 「なんだよお前ー(笑)」
【シュトルム】 「でもまじめにやってないだろう。酒持ってるあたりがやる気なさそうだ。実は大学8回生だったりして」
【GM】 「企業秘密じゃ(笑)」
【シュトルム】 「むぅ。じゃあ真面目に聞こう。『今度おごってやるからこいつのこと教えて』」(←真面目か?)
【アンリ】 「『この写真の人なんだけど、見たことある?』」
【GM】 「『ああ、こいつか。たまに見かけたよ。いつも友達と二人でいたっけなぁ。でもこの頃見てねぇな』」
【ヴェルナー】 「見てないって言うけど実はロード君がサボって学校行ってないだけだったりして(笑)」
【アンリ】 「あ、ありそう(笑)」
【GM】 「そしたら君たちがそんなふうに話していると酒場のマスターが来て、『ああ、そいつなら知ってるぜ』」
【ヴェルナー】 「『え?知ってるの?』」
【GM】 「そいつなら二か月ほど前にうちに来て、そうそう、この女の子を捜しているんだが知らないかって聞いてきたぜ。で、知らねぇって答えたらその辺にビラ貼ってたけど。
あれ?ねぇなぁ。誰かはがしたのかなぁ』」
【アンリ】 「『内容は、ユリア知りませんか、だよねぇ?』」
【GM】 「『そうだと思うぜ』」
【シュトルム】 「うーん。じゃあジャックの場所とか分からないかな」

【GM】 「場所なら分かる。『連絡先なら聞いているよ』」
【アンリ】 「あの家でしょ?さっきの」
【GM】 「違うね。『なんか、川沿いの小屋らしいぜ。よく知らねぇけど、そこに掘っ建て小屋みたいなのを建てたらしい』」
【ヴェルナー】 「『建てたって、ジャックが?』」
【GM】 「『そんな事言ってたなぁ。何か分かったり、もしその女の子がここに来たら教えてほしいとさ。ま、二ヵ月前に聞いたことだから今はどうなってるか知らないけどな』」
【アンリ】 「家に帰りなさい、家に!」
【ヴェルナー】 「そうだぞ。お母さんが心配してるのに」
【シュトルム】 「取りあえずそこに行ってみるか」
【GM】 「行ってみると確かに小屋だったようなものが見えてくる。ちなみにまわりには川以外何もないし、夜だから人もいない」
【アンリ】 「小屋だった…ってことは今は小屋じゃないと」
【GM】 「うん。目茶苦茶に荒らされて、壁も破壊されている」
【ヴェルナー】 「え?中は?」
【GM】 「壁がつぶれてるから外から丸見え。暗くてよく見えないけどぐちゃぐちゃだ」
【ヴェルナー】 「いったいどうなってるんだ?」
【アンリ】 「じゃあジャックはそこにいないの?」
【GM】 「ジャックはいないけど、代わりに別の男の人がいる」
【アンリ】 「誰?ジャックじゃないんだよね?」
【GM】 「違うよ。で、君らに気付いた彼は大声で怒鳴るよ。
『貴様ら!ジャックをどこにやったんだ!』」
【アンリ】 「あ、もしかしてこの人、ジャックの友達って人かも」
【ヴェルナー】 「あー、そうかも知れない」
【シュトルム】 「どうしよう。何て言おう。…『コンパ行かない?』」
【ヴェルナー】 「なんだそりゃ(笑)」
【GM】 「彼はそんな事無視するよ(笑)で、ひたすらジャックの居場所を聞いてくる。『ジャックはどこにいるんだ!』」
【アンリ】 「信じてもらえるかわかんないけど本当の事言うね。ジャックのお母さんに頼まれたって。この人はジャックのお母さんが死んだこと知ってるの?」
【GM】 「知らなかったみたいでびっくりしてるね」
【アンリ】 「写真あったよね。それを見せたら信じてくれるでしょ」
【GM】 「うん。そうだね。『俺はジャックに妹を一緒に捜してくれといわれて協力していたんだ。でも、一ヵ月位前から俺は用事があってしばらくこの町を離れていた。そうしたら数日してジャックから「ユリアを連れ去った組織の手掛かりをつかんだ。これから潜入する」という内容の手紙が来たから戻ってみたらこうなっていたんだ。いくら待ってもジャックは戻らないし、夜ごとここが誰かに荒らされてるみたいだし。それで昨日の夜隠れて見ていたらシーフが来ていた。それで今日こそそいつを捕まえて色々聞いてみようと思っていた訳なんだ』」
【アンリ】 「どうでもいいけどジャックは何で家に帰らずにこんな所にいるのよ?」
【ヴェルナー】 「お母さん心配してんのに」
【GM】 「ジャックはもし何かあったら家に迷惑がかかると思っていたらしいよ。だから家に帰らずにこんなところにいたんだ」
【ヴェルナー】 「偉いなぁ。ちゃんと考えてるんだ。でも手紙ぐらい書けばいいのに」(←それもそうですな)
【シュトルム】 「きっと字が書けなかったんだ」(←そんな訳あるか)
【アンリ】 「でさ、そのシーフって何しに来てんの?」
【GM】 「『ジャックが調べたことがもし世間に知れたらその組織にとって致命的だと思うんだ。だから痕跡を消してしまおうとしているのかもしれない。ま、もしそのシーフがその組織の息がかかった者だとしてだけど』」
【シュトルム】 「なるほどな」
【GM】 「『ちなみに足跡とか、昨日のシーフの様子から、どうやら毎日同じ奴が来ているわけではなさそうだ』」
【ヴェルナー】 「え、じゃあシーフって今日も来るの?」
【GM】 「今はいないけどそのうち来るだろうね。で、ジャックの友達が言うけど『ここにシーフたちには開けられなかった引き出しがある。コマンドワードがいるやつだ。俺も中身は知らない。ジャックが戻るまで置いておこうと思ったが協力してくれるなら教える』」
【ヴェルナー】 「開けごま、みたいな感じかな。わーい『開けごま』」
【GM】 「開かないよ(そんな事しなくても聞けば教えてくれるのに)」
【シュトルム】 「じゃあコマンドをラヴラヴユリア♥に変えてみる(笑)」
【GM】 「(鋭いな)でも開かない」
【アンリ】 「やっぱりお母さんの名前とか、それこそユリアとかじゃないの? あ、お母さんの名前聞くの忘れたなぁ。じゃあ、『ユリア!』」
【GM】 「大正解。OK。開いたよ」
【アンリ】 「やったぁ! 中、何が入ってる?」
【GM】 「なんかね、くまのぬいぐるみ」
【アンリ】 「それってどんなくま?」
【GM】 「結構古そうで手ちか一度取れて直したあとがあったり、耳から綿がはみ出してたりする」
【ヴェルナー】 「なんだそれ」
【アンリ】 「ジャックの友達はそれを見てどんな顔してる?」
【GM】 「『何だこれ。もっと重要な物が入っているかと思った』と言って首をかしげてるよ」
【ヴェルナー】 「このおなか開けてみたら重要な書類が出てくるかも知れない」
【アンリ】 「開けるのは後にするとしても魔法とかかかってない?」
【シュトルム(サウス)】 「よし、やってみよう。センス・マジック。(コロコロ…出目は1ゾロ)別に(笑)」
【ヴェルナー(ムーン)】 「あたしがやるよ(コロコロ)1ゾロ!? うそぉ(爆笑)」
【シュトルム】 「すごい、通じ合ってる(笑)」
【アンリ】 「情けないーーーーー(笑)」
【GM】 「じゃあ何もわからなかった(魔法はかかってないけどね)」
【アンリ】 「とりあえずくま持って一度ここを出よう? 持ってて意味のある物かも知れないし、シーフがまた来るといけないし」
【シュトルム】 「兄ちゃん(←ジャックの友達)はどうするんだ?」
【アンリ】 「兄ちゃんも一緒に来よう?」
【GM】 「いいけど兄ちゃんは一般人だよ」
【アンリ】 「わかってるよ。でもここにいたら危険かも知れない」
【GM】 「そういうことなら兄ちゃんも来よう。で、しばらく行くとだね。シーフ。敏捷ロールしてみ」
【ヴェルナー】 「なんだなんだ。何かあるぞ」
【アンリ】 「うん。いやな予感だ(コロコロ)15」
【GM】 「それじゃ気付いた。尾行がついてるよ。二人」
【アンリ】 「一回ばらばらに散った方がいいかな」
【GM】 「いいけど、一般人もいるのに大丈夫か?」
【シュトルム】 「二人しかいないんだよな? 尾行。じゃあ…よし」
【GM】 「何すんの?」
【シュトルム】 「チャーム(笑)」
【GM】 「戦闘だね。不意打ちはなしで、敏捷順に行こう。アンリ?」
【アンリ】 「あたしはくまを取られないように、くま持って飛ぶ」
【GM】 「次19同時。そっち先にいいよ。シュトルムはチャーム?」
【シュトルム】 「うん(コロコロ)15。かかった?」
【GM】 「抵抗してやる。(コロコロ)一人目はかかった。二人目は(コロコロ)大丈夫だもんねー」
【シュトルム】 「ふーん。一人にしかかけてないもーん」
【GM】 「……え?」
【シュトルム】 「だって二倍がけとか言ってへんやん(笑)」
【GM】 「うわぁ、騙された。バードのチャームと一緒にしてた(笑)」
【アンリ】 「GM、大丈夫か?(笑)」
【GM】 「じゃあどっちにかけたことにする?」
【シュトルム】 「そりゃあ、かかった方。当たり前(笑)」
【GM】 「で、こっち敏捷度19がまだ残ってるけど19の人いる?」
【ヴェルナー(ムーン)】 「あたし。何しよっか。ライトニングかな。あ、ねずみの死体投げるとか(笑)」
【GM】 「ねずみってお母さんの家の風呂にあったあれ? 持って来てたの? 最低(笑)」

 結局ムーンはライトニング。抵抗はされませんでしたがダメージが走りません。シーフの攻撃は外れ。サウス、ヴェルナーの攻撃でちまちま削られ、次のラウンド。

【アンリ】 「あたし、このラウンドから加勢するね。(コロコロ)14と言って殴る」
【GM】 「(コロコロ)ぐはぁ。1ゾロと言って避ける(笑)」
【アンリ】 「避けられませーん(笑)プチッ(←とどめを刺した音)」

 と言うわけで簡単に葬り去られてしまいました。
 所詮4レベルシーフ。パーティーの敵ではありません。

【アンリ】 「さあ、尋問ー(妙に嬉しそう)」
【ヴェルナー】 「チャームのまま尋問できるの?」
【シュトルム】 「いいんじゃないの?」
【GM】 「いいよ。どうぞ」

÷÷ つづく ÷÷
©2004 Jun Hayashida
Illustration ©2004 Ryoko
Map ©2004 Moyo
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