≪REV / EXIT / FWD≫

§烙印の天使:第15話§

永遠の待ち人

著:龍神裕義 地図:もよ
▽ ゴーレムの声の事 ▽ 闘争と栄誉を求むる事 ▽ 55年目の真実の事

ゴーレムの声の事

【GM】 さて、ティガーが水没した地下に潜ってゆくと、階段を下りきったところで、通路が十字に交わっている。
【ティガー】 まっすぐ行く。
【GM】 すると、半開きになってる扉の前に行き着いた。
【ティガー】 扉の向こうを覗いてみよう。
【GM】 どうやら、部屋(A)のようやね。部屋の中央には、高さ1メートルぐらいの石碑があるのが見える。
【ティガー】 じゃ、戻る。戻って、みんなに見てきたことを教える。
「なんか石碑みたいなんがあったから、息をいっぱい止めれる人が調べてきたら?」と言う。「敵とかおらんかったっぽいよ」
【シルヴィア】 じゃあ、僕が行こうか。
【GM】 ティガーから照明を受け取ったシルヴィアは、報告に聞いた石碑のある部屋(A)にやって来た。
【シルヴィア】 その石碑を調べてみる。
【GM】 表面は藻みたいなのがびっちり張りついてたけど、それを払い落としてみると、下位古代語の文字で何か文が刻まれているのがわかった。
【シルヴィア】 読んでみる。
【GM】 小咄が書かれてあったら、嫌やろな。
【ティガー】 ゴボってなって、溺れてしまう(笑)。
【シルヴィア】 とんでもないトラップや。
【GM】 しかし、刻まれてるのは、いたって面白みのない一文だった。
「3人の背徳者を信仰させよ。さすれば道は開かれん。地の底に降り立った者、闘争と栄誉を求むる者は日の方角に、真実の光を求むる者は月の方角に進むべし」と、書かれてある。
【シルヴィア】 それを覚えて、みんなに報告する。
【ジーネ】 う〜ん、やっぱり水中呼吸はいるよなぁ。これじゃ、どこにも行けないもん。誰か、キュレペさんを呼びに行ってくれんやろか。
【GM】 それはキュレペをここに連れてくる、ってことかね? メロウが水のないところにいられるのは、自分の生命力と同じ数のラウンドの間だけやけど。ちなみに、キュレペは9ラウンドしかもたない。
【ティガー】 ここに来るまでに、死んでしまう? 俺がおんぶして、ダッシュしても。
【GM】 9ラウンドで来れる距離じゃなかったからね。ダッシュでも5〜6分かかるので、間に合わないでしょう。
【ティガー】 あっ、〈ウォーター・ブリージング〉って1時間もつんやから、イルカの姉ちゃんに魔法をかけてもらってから、ダッシュで戻ってくればいいやんか。
 昨日、「ここに来といてな」と言ったところに行く。
【GM】 はいはい、キュレペはそこでみんなを待ってたよ。「あんまり遅いから、どうしたのかと思った」
【ティガー】 「遺跡を見つけて探索すんねんけどな、そこも水に沈んでるから、水中呼吸の魔法をかけて」って言う。
【GM】 じゃ、かけてもらった。キュレペはこれでヘロヘロ。
【ジーネ】 ごめんね、ごめんね。
【シルヴィア】 しばらく戻ってこないから、そこで休んで精神力回復してて。
【GM】 じゃあ、キュレペは腹を上にして、ぷか〜っと浮いて休んでる。
【ティガー】 死んだ魚みたい(笑)。
【シルヴィア】 じゃあ、遺跡を探索しよか。〈ライト〉は12時間もつから、まだ消えてないよ。

 水中での呼吸が可能になった冒険者たちは、水に沈んだ地下遺跡の部屋(D)にやって来た。

【GM】 部屋の奥には、祭壇がある。その前には、部屋の入口に向いて跪き祈る、女性の石像がある。
【ジーネ】 祭壇に背を向けて祈ってんの? ふーん、じゃあ、グルっと180度回転させる。
【GM】 では、水中に重々しい音を響かせ、石像は回転した。床に溜まっていた藻や泥などが、モワ〜っと巻き上がる。
【ティガー】 この部屋に変化はなし?
【GM】 とくにない。別に突然、遺跡が崩れはじめる様子もない。
【ティガー】 祭壇とかに何か書かれてあったりする?
【GM】 紋章のようなものが描かれてるだけやね。
【シルヴィア】 それじゃ、別のところに行ってみようか。

 その後、冒険者たちは部屋(E)(F)でも、同じように女性像を祭壇に向けた。すると、どこかで何かが動くような音がした。
 冒険者たちはさらに探索を続け、部屋(B)にやって来た。

【GM】 その部屋は、かなり天井が高い。5メートルぐらいはあるかな。奥の壁一面に何かが描かれてるようだけど、藻が張りついてるのでよく見えない。
【ティガー】 じゃ、藻を払う。ひゅい〜って天井まで泳いで行って、上から順に掃除していく。
【GM】 部屋中の巻き散った藻がおさまると、壁に描かれたものが見えるようになった。
 深い青の空に浮かぶ真円の月、その銀の光を映して揺れる夜の海を描いた絵画やね。かなり美しい絵です。
【ジーネ】 壁画だけ? その絵を触っても、何も起こらない?
【GM】 とくに変化はない。

 冒険者たちは部屋(C)に移動した。

【ティガー】 奥の壁の藻を払う〜。太陽の絵があるやろ。
【GM】 よくわかったな。入道雲立つ真夏の太陽の下、ヤシの木を背にして、色とりどりの果物が盛られたトロピカル・ジュースを片手に持ち、胸に祭壇と同じ紋章入りのペンダントを下げたおじさんが、「ハハハハハ」と笑っている絵が描かれてる。
【ティガー】 どんな絵やねん!(笑)
【ジーネ】 で、触っても何もなし?
【GM】 ない。
【ティガー】 どこで「ゴゴゴゴ」とかいう音がしたんやろ。

 その答えは部屋(F)でした。

【GM】 祭壇が右へスライドしかけてる。下におりる階段が、半分顔を覗かせてるよ。
【ティガー】 半分だけ?
【GM】 藻と泥のせいで、祭壇は完全にスライドしきることができんかったんやね(笑)。
【ティガー】 じゃあ、ちょっと掃除して、祭壇を押してみる。がんばって全開きにしたら、階段を下りる。
【GM】 階段はまっすぐ続いている。かなり深く、長く、まるで地の底にでも向かうように下ってゆく。
 やがて下りきった先は、東西へのT字路になっていた。
【ティガー】 じゃあ、西に行く。
【GM】 迷いもせずに西に行くんやね。その先は部屋(G)になってるよ。ここも天井が高く、わりと広い部屋やね。
 その中央には、3メートルほどの鉄の巨人が佇んでおられます。シルヴィアなら、一発でわかるね。ゴーレムです。じゃっかん、錆びかけ。魔法の物品やのに。
【ティガー】 入口以外に扉はないん?
【GM】 見当たらない。
【ジーネ】 みんなで一緒に部屋に入ってみよう。
【GM】 すると、ゴーレムの目が藻の奥でぼやーっと光る。そして、キミたちの脳裏に、直接語りかけてくる声がする。
「汝、真実を求むる者よ、裁定者の証を示せ」と。その言語は、それぞれが理解できる母国語だと思ってください。
【ジーネ】 別に真実を求めてるわけでは……う〜ん、う〜ん。
【シルヴィア】 証とは何ぞや。
【ティガー】 ニョムヒダ?
【ジーネ】 んなわけないでしょ。攻撃してこないんなら、ここは無視して、T字路を東に行ってみる?
【GM】 そっちは部屋(H)になっていて、やはり鉄巨人が佇んでいる。部屋に踏み込むと、頭の中に「汝、闘争と栄誉を求むる者よ。いざ、我に打ち勝て。さすれば、繁栄への道が開かれん」と声が響く。
【ティガー】 あ、こっちは「打ち勝て」なんや。
【GM】 そう。拳と拳とゴスン、ゴスンと打ち合わせて、めっちゃやる気やで。そのたびに、関節から錆がパラパラと降ってるけど。
【ジーネ】 別に戦いたくないしな。あ、もしかしたら、部屋(G)の巨人はナゾナゾとか出してくれるんかも知れんぞ。
【ティガー】 とりあえず、部屋(G)に戻ってみる。
【GM】 すると、闘争のゴーレムはすごく寂しそうにキミたちを見送る。
 部屋(G)に入ると、さっきと同じように「証を示せ」と言われるよ。
【ジーネ】 証?? 証ねぇ……。ナゾナゾを出してくれると思ったのに。部屋(H)の巨人と戦いを挑んでもしゃあないしな。
【ティガー】 闘争のゴーレムをやっつけると、証が手に入る。
【シルヴィア】 そうかも知れんな。
【ジーネ】 違うと思うけど。

 冒険者たちは、1階の壁画の部屋(B)(C)に戻って隠し扉などを探したが、見つ出すことはできなかった。
 しょうがないので、書庫で調べることにした。

【ティガー】 じゃあ、今度は『裁定者』検索で。
【シルヴィア】 僕はもういちど『真実』検索する。
【ジーネ】 『真実』検索は、最初にやったんじゃなったっけ?
【シルヴィア】 いや、最初にやったのは、キュレペが読んだことのある本に限って、やったやろ? まだ本棚にあるやつは調べてないから、そっちを中心に調べる。
【ジーネ】 じゃ、私は『遺跡』検索しよう。

闘争と栄誉を求むる事

【GM】 ジーネは古代語が読めないよ。
【ジーネ】 そっか。じゃあ、ズバンチョに遺跡について調べてもらおう。
【GM】 ズバンチョは、「ここにある本自体、古代の物なんですから、『遺跡』として、あの場所が書かれてあるとは思えませんよ」と、答える。
【シルヴィア】 たしかに(笑)。
【ジーネ】 つべこべ言わずに調べろーッ!!
【GM】 しかし、今回の検索でヒットしたのはティガー。日誌みたいなのが見つかった。
 どうやら、あの場所は裁判のようなものをするところらしい。罪に問われた者が、無実であるかどうかを証明するための場所だという。
【ジーネ】 む〜じ〜つぅ〜?
【GM】 あの遺跡の奥には、オールドマン・ライアー・バニッシャーという魔法の道具があるらしい。このアイテムについて知りたければ、セージ技能でチェックをどうぞ──誰にもわからなかったようやね。まあ、要するに嘘を看破する道具だと思ってください。
【ジーネ】 それがあるとしても、ペネホプさんをあの遺跡まで連れてけないぞ。
【GM】 まあ、他にもいろいろ書かれてあるわけやけど、とりあえず、裁定者はその証であるペンダントを身につけているものらしい。3人の背徳者だとか、鉄巨人だとかは、裁判をするときの一種の儀礼・儀式みたいなものだと思ってくれたまえ。
【ジーネ】 ペンダントはどこにあるんだ?
【GM】 本は何も答えない。ただ静かに「第一部・完」と告げるのみ。
【ティガー】 終わられた(笑)。闘争のゴーレムについては、何も書かれてなかったん?
【GM】 えーっとね、あっちはゴーレムに勝つと、ご褒美が貰えるらしい。あの遺跡のどこかに、ご褒美などをしまっている倉庫があるそうだ。
【シルヴィア】 闘争のゴーレムに勝つと、その倉庫に行けるようになるんやな。
【ティガー】 そこにペンダントがあると見た!
【ジーネ】 違うと思う。
【シルヴィア】 僕も違うと思う。もしそうなら、裁判をやるたびに、いちいちゴーレムをやっつけなアカンようになってしまうで(笑)。
【GM】 ちなみに、裁定者に選ばれた者は、常にペンダントを身につけてたらしいけどね。
【ジーネ】 ペネホプさんが持ってないやろか。キュレペさんに聞いてきてもらおう。
【GM】 キュレペは「えーっ、行くんスかぁ?」と言う。
【ティガー】 行くんスよ〜。
【GM】 じゃあ、行ってきた。1時間ぐらいして、目の周りにアザを作って帰ってきた。「持ってないらしいッスよ」
【シルヴィア】 ごめんよぉ〜(笑)。
【GM】 さて、これからどうすんの?
【ジーネ】 どうしようもないわ。だって、できることが何もないんだもん〜。
【ティガー】 だから、あの遺跡をもういちど調べようや。ご褒美の倉庫とかさ。今日は休んで、明日、また遺跡に行く。
【GM】 今日の夕食は海草サラダね。
【ティガー】 うわ〜、ヘルシー。オムレツ食いたいぃ〜。肉、食いたいぃ〜。
【GM】 ブレインに行けば、焼肉があったのにな。それじゃ、翌朝になったよ。
【シルヴィア】 裁定者の遺跡に行く。キュレペさんに〈ウォーター・ブリージング〉をかけてもらって、〈ライト〉で照明を作って準備を整えた。
【GM】 準備OKやね? 命乞いの準備はOK?
【ティガー】 OK、OK。そっちがする番〜。

 冒険者たちは、祭壇の部屋や石碑などを細かく調査したが、やはり何も見つけられなかった。

【ジーネ】 もう、できることが何もない。
【シルヴィア】 ないわけじゃないけどね。
【ティガー】 闘争のゴーレムをやっつける!
【ジーネ】 絶対、殺されると思う。
【ティガー】 やってみんとわからんやん。
【シルヴィア】 危なかったら、逃げるということで。大きさからすると、通路までは追ってこれないやろし。
【ティガー】 じゃ、GM、戦いのゴーレムのところに行く。突入じゃ〜!
【シルヴィア】 ちょい待ち。ティガーの剣に〈エンチャント・ウェポン〉をかけてあげよう。
【ティガー】 やったぁ。
【ジーネ】 私も戦わなきゃダメ? いちおうチェイン・メイルを着てるんで、固い人なんだけど……。
【ティガー】 どっちでもいいぞ。ファンリーは後方支援。
【シルヴィア】 僕ももちろん、後方支援やね。
【GM】 ズバンチョは後方で応援。
【シルヴィア】 支援じゃないんやな(笑)。
【ジーネ】 じゃ、私はティガーと一緒に前に出よう。
【GM】 ちなみに、水中ということで、動きにペナルティが課せられる。でも、それはゴーレムも同じことなので、プラスマイナス0ってことになる。
【ティガー】 突撃ぃー! (ころっ)へぼ〜、はずれた。ダイス、3が出てん。
【ジーネ】 モーニング・スターで攻撃。(ころっ)当たったけど、ダメージなし。
【GM】 ガイーンと弾かれた。鉄球が自分のところに跳ね返ってくるんやね。
 ファンリーは後ろで待機。「ティガー、がんばって(はぁと)」と、ズバンチョと共に声援を送る(笑)。
【ティガー】 ズバンチョはいらん(笑)。
【シルヴィア】 〈エネルギー・ボルト〉を撃つ。(ころっ)抵抗されて、ダメージは6点。
【GM】 エネルギー弾は、はじけて消えた。
【ティガー】 おお!?
【シルヴィア】 困ったもんや。
【GM】 ゴーレムの反撃がティガーに──かわされた。第2ラウンド。
【ティガー】 攻撃。(ころっ)当たったけど、ダメージで1ゾロやねん。「ズバンチョのせいや〜」と言うとく。
【GM】 「なんでですか、ティガーさん! 心から応援してるのに」と、ズバンチョ。ニョムヒダも「にょ〜」。
【ジーネ】 もういちど攻撃。(ころっ)当たった、ダメージは13点。
【GM】 少し効いたかな? ファンリー、ズバンチョは何もしない。
【シルヴィア】 さっきと同じ、〈エネルギー・ボルト〉。(ころっ)またレジストされた。ダメージは4点。
【GM】 ゴーレムは再びティガーに攻撃。今度は当たって、9点のダメージを与えた。鎧がないから辛いよのぉ(笑)。
【ティガー】 ファンリーがいるから大丈夫やもん。じゃあ、どつき返す。(ころっ)当たった。ダメージ15点。
【ジーネ】 次のゴーレムの攻撃は私にくるから、[パリィ(防御姿勢)]しとります。
【GM】 ファンリーはティガーに〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)7点回復させた。
【シルヴィア】 あいかわらず〈エネルギー・ボルト〉。(ころっ)ダメだ〜、ダメージは6点。また消されたな。
【ジーネ】 もう、やめたら? 今度、私に〈エンチャント・ウェポン〉かけて。
【シルヴィア】 攻撃すんの?
【ジーネ】 してるじゃん、さっきから(笑)。
【GM】 さあ、ゴーレムの反撃だ。その標的はジーネ──かわされた。では、第4ラウンドにいこう。

 このラウンド、ティガーがわずかにゴーレムに打撃を与えた。そして、エンチャントを受けたジーネのモーニング・スターも、鉄の巨体にヒットする。
 第5ラウンドも、ふたりの武器が炸裂する。シルヴィアは、鎧のないティガーに〈プロテクション〉をかけて、防御力を上昇させた。ゴーレムの反撃はジーネにいき、6点のダメージを与えた。

【GM】 それじゃ、第6ラウンドな。
【ティガー】 攻撃。(ころっ)当たったー。ダメージは13点。
【ジーネ】 モーニング・スターを振るいます。(ころっ)当たったけど、ダメージなし。
【GM】 ファンリー、ズバンチョ、シルヴィアは見てるだけやね。ズバンチョが作戦を『ガンガンいこうぜ』に変更させたよ。
【シルヴィア】 拒否する(笑)。
【GM】 拒否されたので、ゴーレムはティガーに攻撃。文字通りの鉄拳が、ティガーを殴り飛ばす。ダメージ10点。
【ティガー】 うぃ〜。残り生命力は2点、ぴしゃ! ファンリーに〈キュアー・ウーンズ〉をかけてもらおっと。
【ジーネ】 私もかけますわ。
【ティガー】 やったー、人気者。
【GM】 ズバンチョが「やばいですよ、ティガーさん! その魔法は、ダメージをくらいます」と、必死で警告するけど。
【ティガー】 治癒魔法でダメージくらうのは、おまえやろ!(笑)
【GM】 ズバンチョは親切のつもりで言うてんのに。
【ティガー】 おまえと一緒にすんな〜。ゴーレムに攻撃。(ころっ)当たって、ダメージ15点。
【ジーネ】 ティガーに〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)9点治ったよ。
【シルヴィア】 いい感じや。
【ティガー】 あと3点で完全回復。ファンリー回復に期待。
【GM】 ファンリーもティガーに〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)6ゾロで12点回復させた。
【ティガー】 完全回復〜。
【ジーネ】 ちっ、それなら自分のケガを治しとけばよかった。
【シルヴィア】 世の中、うまくいかんもんや。あ、僕は見てるから。
【GM】 ならばゴーレムの反撃、ティガーへ──当たったね。ダメージは10点。
【ジーネ】 はい〜!?
【ティガー】 また、ファンリーに治してもらう。
【ジーネ】 次は、私はゴーレムに攻撃するからね。
【GM】 では、第8ラウンド。
【ティガー】 攻撃。(ころっ)当たり、ダメージ13点。

55年目の真実の事

【GM】 すると、ゴーレムの右腕がゴスンと落ちた。それをきっかけに、体がバラバラと崩れてゆく。藻と泥と錆が部屋にうずまき、キミたちの頭の中に声がする。
「勘違いするな。おまえたちが強いのではない。私が弱いのだ〜!」
【ジーネ】 わざわざそんなこと言うなぁーッ!(笑)
【GM】 さて、ゴーレムは崩れながらも、最後の務めを果してくれたんやろ。部屋の壁の一部がスライドし、奥へ続く戸口が姿をあらわした。
【ティガー】 入ってみる。
【GM】 その奥(部屋I)は、どうやら、ご褒美の景品などの倉庫みたいやね。いろんなアイテムが、雑多に保管されている。
 クロース状の物とか、プレート・メイル状の物、スモール・シールドになぜかモーニング・スターなどが1つずつある。
 あと、細かい物なら、ペンダントとか魔晶石とか。
【ティガー】 ペンダントがあるらしいよ。
【ジーネ】 それは後で。とりあえずシルヴィア、ほら、〈センス・マジック〉を。
【シルヴィア】 (ころっ)どうかな?
【GM】 さっき言ったものが、ぜ〜んぶ光ったよ。
【シルヴィア】 やった。持てるだけ持って帰ろう。鎧とかは着れそうなら、着ていこう。
【ティガー】 プレート・メイルを着てみる。
【GM】 なぜか、ティガーにぴったりな鎧だった(笑)。防御力にさらにプラス5されるプレート・メイルです。
 ちなみに、鎖帷子の部分は白銀、それを覆う板金部分は目の覚めるような真っ青で、ちょっと恥ずかしい。ついでに、赤いマントも付属してる。
【ティガー】 うわ〜、やめて! 誰よ、これ。
【シルヴィア】 おお、かっこええ(笑)。勇者の鎧や。
【GM】 トリコロール・カラーやで。
【ティガー】 フラ〜ンス! あー、もう、じゃあ主人公になった。
【シルヴィア】 クロースを確かめようかな。とりあえず、着替えてみる。
【GM】 必要筋力3のクロースで、防御力にプラス5されている。色はメタリック・グリーン。ただし、光が当たるところは黄色や紫色に反射する。ぬめ〜っと。
【ティガー】 最悪や。うちら、最悪や(笑)。
【シルヴィア】 ファンリーと僕と、どっちが装備したほうがええやろ。
【GM】 ファンリーは丁重に辞退する。
【ジーネ】 そりゃあねぇ……(笑)。
【シルヴィア】 じゃ、僕がもらおう。

 スモール・シールドとモーニング・スターは、それぞれプラス1の効果があるアイテムで、ジーネが持つことになった。
 魔晶石は、残り魔力20の代物だった。
 そして冒険者たちは、ペンダントを持って部屋(G)に向かった。

【ティガー】 フランスやから「ボンジュ〜ル」と入る。で、「ヘイ、ムッシュ!」って、ペンダントを見せる。しゃきーん。
【GM】 なら、「裁定者よ、進むがよい」と声がして、ゴーレムが脇に退く。そして、壁の一部がスライドして、隠し通路への入口があらわれた。

 冒険者たちは奥に進み、部屋(J)にやって来た。

【GM】 その部屋の天井には、2.5メートル四方の穴が開いている。その奥がどうなっているかは、ちょっとわからない。
【ジーネ】 梯子とかはない?
【GM】 ない。
【シルヴィア】 まあ、泳げば上に行くことはできるでしょ。
【ティガー】 じゃあ、シルヴィア行ってきて。俺、もう泳がれへんし。シーフ技能持ってるから、ファンリーにも行ってきてもらおう。

 シルヴィアとファンリーは穴を上がって行った。18メートルほど上がった先にあったのは、1階の部屋(K)。そして、その壁にはめ込まれた、口を半開きにした老人の顔のレリーフ──オールドマン・ライアー・バニッシャー(『真実の口』)だった。

【シルヴィア】 魔力がある物なのか、調べてみる。〈センス・マジック〉(ころっ)。
【GM】 そのレリーフから、ビシバシと魔力を感じる。
【ティガー】 それ、壁から取られへん? ファンリーに調べてもらう。
【GM】 力任せに試みれば、取り外すことはできそうやね。
【ジーネ】 それはちょっと、まずいんでないかい。
【ティガー】 でも、お姉さんをここに連れて来るのは無理やねん。
【ジーネ】 いや、ペネホプさんはレベルが高いから、もしかしたら耐えきれるかも。
【シルヴィア】 そうじゃなくて、あの場所を離れさせるのが不可能ってことやろ。
【ティガー】 だから、そのアイテムを持って行こうと思うねん。お姉さんは、絶対ここに来ない。──って、ファンリーがシルヴィアに言うたことにして。
【ジーネ】 そのレリーフを持って歩くことはできるの?
【GM】 可能でしょう。だいたい、直径80センチほどの円盤状のレリーフやから。
【シルヴィア】 じゃあ、がんばって引き抜いてみようとする。
【GM】 では、筋力を使って成功ロールをしてもらおう。目標値13以上を出してくれたら、取り外すことに成功できる。
【ティガー】 ファンリーも手伝ってあげる。
【GM】 じゃあ、ティガーが代役でダイスを振っていいよ。
【シルヴィア】 (ころっ)13。
【ジーネ】 素晴らしい! なんて無駄のない出目なんだ。
【ティガー】 (ころっ)ファンリーは14。
【シルヴィア】 おおぅ!?
【ジーネ】 きっと、シルヴィアは「壊しちゃいけない」と思って慎重に作業してたのに、ファンリーは力任せに引っこ抜いたんやな(笑)。
【ティガー】 ティガーの影響が出てきてん。
【GM】 おまえ、責任取れよ。
【ジーネ】 大丈夫、10年もしたら結婚して、どこかで落ちついてるでしょ。生きてたら。
【シルヴィア】 ファンリーの尻に敷かれてたりして。
【ティガー】 「あれ〜?? こんなはずじゃなかったのに」って。「でも、オムライス作ってくれるから、いいや」
【ジーネ】 どっちかというと、オムライス作ってあげてたんは、私なのになぁ……。

 冒険者たちは遺跡を後にした。
 そして翌日、遺跡から持ち出したオールドマン・ライアー・バニッシャーを携えて、再びペネホプのところに行った。

【GM】 (ころっ)おっと、ペネホプはそのレリーフの正体を見抜けたようやね。でも、どこから持って来たんだろう、と思うとるやろね。
【シルヴィア】 この口の中に手を入れればええねんな。じゃあ、そうして、ライアス・アクアマリンのその後のことを話して聞かせる。
【ジーネ】 しかし、なんでここまでして、あのひとにライアスの死を信じさせんとアカンのやろ? ずっと、不思議に思ってたんだけど。
【シルヴィア】 それは僕がアクアマリン家の一族やから。少なくとも僕は、その責任感で動いてきてたんやで?
【ティガー】 俺はなんとなく(笑)。
【GM】 ともかく、ペネホプはシルヴィアの話がウソじゃないと知った。そして「ライアスが死んでしまったなんて」と泣く。
【シルヴィア】 「えー、まあ、とりあえず、ライアスはあなたを裏切ったわけではありません。少なくとも、約束を果たそうとしていました」と言うておく。
【GM】 ペネホプは、おいおい泣いてる。
【ジーネ】 そりゃ、55年も待ったんだもんなぁ。途中で狂ってたけど。
【シルヴィア】 じゃあ、最後に「きっぱり忘れなさい」と言ってあげよう。「あなたの人生は、まだまだこれからです」と。
【ジーネ】 「今までの想いは、けっして無駄にはならないはずです」と言う。
【GM】 そんじゃ、キュレペがキミたち近寄って、お礼を言おう。そして、「彼女がライアスの死を受け入れられるように、わたしたち一族が支えます。どうぞ、お気兼ねなくご出立ください」と言う。
 庵の中に転移の魔法陣があるから、それに乗れば地上に戻れるらしい。逆に言うと、メロウは絶対に乗っちゃダメやな(笑)。
【ティガー】 地上に出たら、死んでまうもんな。じゃあ、魔法陣のところに行く。そんで、試しにズバンチョに乗らせてみる。
【GM】 すると、ズバンチョの体が、まばゆい光に包まれた。それが収まったとき、もはやそこに彼の姿はなかった。
【ティガー】 じゃあ、次、乗ったー!
【ジーネ】 全員で乗るのッ!
【シルヴィア】 キュレペさんやペネホプさんに、お別れを言ってからね。
【ジーネ】 「どうも、お世話になりました〜」
【GM】 「いえいえ、こちらこそ。姉がお世話になりました」
【シルヴィア】 「また、アクアマリン一族の誰かが訪れるかも知れません。そのときは、よろしく」と、言づけしておこう。
【GM】 「アクアマリンの名は、我が一族に永遠に語り継がれてゆくことでしょう」
【ジーネ】 どんな伝説や(笑)。
【シルヴィア】 最後に、庵の中に記念のサインを残して、旅立つ。
【GM】 ランディはサインをもらう側で、シルヴィアはサインをあげる側なんやな(笑)。
【ティガー】 そんじゃ、みんなで手をつないで、魔法陣に乗る。
【GM】 キミたちの視界を、光の粒が覆ってゆく。やがて目の前が真っ白になり、一瞬の浮遊感を覚えた後、視界が戻ってきた。もちろん、周囲から水は消えてなくなってるよ。
 キミたちがいるのは、どこかの岩場、崖の上。下のほうから、波が打つ音がする。海の正面には森が広がっており、その手前に、道らしきものがある。
【ティガー】 ここ、どこや? ズバンチョは? 周りを見回してみるけど。
【GM】 ズバンチョの姿はない。
【ティガー】 おれへんの!?
【ジーネ】 あーあ。
【GM】 と、そのとき。突然、森の中から矢がパラパラと降ってきます。
【ティガー】 ファンリーを庇う。で、「なに〜?」って、森を見てみる。
【GM】 何でしょう。それがわかるのは、次回のセッションということで。

÷÷ つづく ÷÷
©2002 Hiroyoshi Ryujin
Map ©2002 Moyo
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