≪REV / EXIT / FWD≫

§烙印の天使:第10話§

天に召された戦神の使徒

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ 盲目のユニコーンの事 ▽ グリフィン退治の事 ▽ 新しい仲間の事

盲目のユニコーンの事

【GM】 さて、セオニ山のペガサスの集落で、ユニコーンの長老様が登場したところからやね。
【ジーネ】 長老様というぐらいやから、きっと立派な髭が生えてるんだろうな……。
【ランディ】 馬だから生えてないでしょう。山羊じゃあるまいし。
【ジーネ】 というか、山羊みたいなのを想像しちゃってるんだけど(笑)。
【ティガー】 んじゃ、毛の長いウサギの毛でつけ髭を作って、つけてあげよう。
【GM】 相手は仮にもユニコーンやで? 男のティガーがその身に触ろうとすると、怒られてしまうよ。
【ティガー】 じゃ、ファンリーにやってもらう。
【GM】 「どこにくっつければいいんですか?」
【ジーネ】 つけなくていいッ! なんて失礼なことやらせるの。言うとくけど、私もやらないからね。
【ランディ】 サインが欲しくても、もらえないな。僕は男だから。
【GM】 長老様はエドゥの生命の精霊力に働きかけ、折れた翼を治癒させた。
【ランディ】 さすがはユニコーン。
【GM】 そして盲た長老様は鼻をヒクヒクさせ、「おお、乙女の匂いがする。近くに来ておるのか?」と、なんかハァハァしてる。「11年ぶりじゃのう」
【ティガー】 イヤな爺ぃやな。
【ランディ】 さすがはユニコーン(笑)。
【ジーネ】 ああ、ユニコーンのイメージがぁ〜。
【GM】 長老様はジーネに近寄り、フンフンと体のあちこちの匂いを嗅いでるよ(笑)。「ほう、ほう」と言いながら、なんだかすごく嬉しそう。
【ティガー】 うわぁ……。隊長のほうがマシかも。
【ジーネ】 「何が嬉しいんだろう」と疑問に思いつつも、目が見えないんだからしかたないんかな、と緊張して立っていよう。
【GM】 続いて長老様はファンリーにも近づく。お尻はとくに念入りに「ふん、ふん」と嗅いでたりする。
【ティガー】 蹴ってやる。(ころっ)
【GM】 ひょい、と避けた。
「まったく乱暴な奴じゃ。ここの匂いが、いちばん嗅ぎたい──じゃなくて、重要なのじゃ」と憤慨してるよ。「尻にはさまざまな情報が秘められておる。ここの匂いを嗅ぐことによって、いろんなことを知ることができるんじゃよ。ハァハァ」
【ティガー】 知るかぁーッ!
【ジーネ】 いったい、何を知ることができるっての?
【GM】 角でファンリーを指して、「この娘は呪われとるじゃろ」と長老様は言う。
【ランディ】 おお、すげぇ。さすがやな。
【ティガー】 ダテに髭を生やしてないな、と思う。
【GM】 山羊やない、っちゅうねん。
【ジーネ】 呪われとるような奴に近づいて、大丈夫なんかしら。
【GM】 別に伝染病じゃないんやから、大丈夫。
「この娘は魂に暗黒神の烙印がしるされておるな。よほど強力な呪いを受けたんじゃろう。かわいそうにのう、辛かったじゃろう」と、ファンリーの頬に鼻をすり寄せて、フンフン言ってる。
【ティガー】 こらぁッ!
【ジーネ】 「その呪いを解く方法は、わかりませんか?」と聞いてみよう。
【GM】 「さてな。神の奇跡にすがるしかあるまいな」
【ランディ】 〈リムーブ・カース〉か……。それで解除できる程度の呪いだったら、いいんやけど。
【GM】 続いて長老様はランディに近寄り、匂いを嗅いで「間違うたぁー!」。
【ティガー】 やっぱり、老いぼれや(笑)。
【GM】 「老いぼれとは何事ですか!」と、エドゥが怒る。「長老様は、あの勇者シュカとも会ったことがあるんですよ。自らの角を削って、薬としてお渡ししたのでございます」
【ジーネ】 男なのに、助けたの?
【GM】 「それはな、勇者のお供をしておった、魔法使いのためじゃ」と、長老。「あの魔女に、上目づかいで頼まれてしまってのぉ」
【ジーネ】 あの人かぁ。オレンブルクの魔術師ギルド長。
【ランディ】 プリン様ですね。
【ティガー】 あちこち匂いを嗅いだんか?
【GM】 「嗅いだ! ええ匂いじゃったぁ」と、見えない眼で遠い目をする長老様。「彼女のパンツと引き換えに、ワシの角を少し粉にしてやったのじゃよ」
【ティガー】 最悪や、こいつ!(笑) この山、滅ぼせ!
【GM】 「なんでじゃあ!?」と激しく抗議されるよ。
【ティガー】 なんでもクソもあるかぁーッ!
【ランディ】 相当な女好きなんやな。
【ジーネ】 何か、亀○人を思い出すなぁ。偉大で腕前は確かなのに、とんでもなくスケベって……。
「何かしら秀でたところがあるひとは、どこかしら破綻してるものなんだな」と思うとく。
【ティガー】 よかった、秀でたところがなくて。
【ランディ】 それはそれで悲しい。ところでGM、長老様にグリフィンのことについて尋ねてみるけど。
【GM】 「グリフィンか……あれには困っておるのじゃ」と、長老様はしみじみ言う。件の草原の真ん中には、古代遺跡の一部と思われる洞穴があるらしい。
【ジーネ】 洞穴か〜。やっぱ、古代の宝とかあるんだろうな。
【GM】 あると言えば、ある。
 じつは長老様は、600年程前に〈ザンナール〉の魔力の暴走を食い止めたと伝えられる、勇者シフィルに会ったことがあり、彼の傷を癒してあげたこともある。
 そのとき、人間の貨幣に興味を引かれた長老様は、それを代価として受け取った。
【ランディ】 草原の洞穴には、そういうものがしまわれてるんですか?
【GM】 そのとおり。プリン様のパンツも、大事にしまってるらしい。
【ティガー】 パンツなんかしまうなよ、ボケー(笑)。
【GM】 「グリフィンの奴は、そこを巣穴にしおったのじゃ!」と、白く濁った瞳からポロポロ涙を流して、長老様は言った。
【ティガー】 知らんわ!
【GM】 ペガサスたちも、「私たちもエサ場を失ったのです」「失ったのです」「失ったのです」と輪唱する。
【ティガー】 エサ場は大事やけどな、長老の宝物はな、ちょっとアカン。
【ジーネ】 まあ、言われんとしてることは察しがつくんだけど、長老様は、私たちでグリフィンに勝てると思ってるんだろうか。
【GM】 長老様は「勝てるんじゃないの〜?」と、太鼓判を押してくれる。
【ランディ】 太鼓判というには、いい加減な答えかただったけど(笑)。
【ジーネ】 とりあえず行ってみて、勝てそうなら突撃、負けそうなら逃げてくる、ってことでいいかな?
【ティガー】 勝てるやろ、グリフィンって馬サイズやし。
【ジーネ】 その根拠のない自信は、どこから出てくるの?
【ランディ】 たぶん、グリフィンのことをよく知らんからや。
【ジーネ】 じゃあ、行ってみますか。路銀を稼ぐために。報酬はどれくらいもらえるの?
【GM】 「では、首尾よくグリフィンを蹴散らした暁には、宝物庫の中から宝を分け与える、ということでどうじゃろう」
【ティガー】 パンツやろ? いらん。
【GM】 「パンツはやらん!」と、長老は怒鳴る。「シフィルの貨幣なら、持って帰っていいぞ」とのこと。
【ジーネ】 貨幣のほうがいいに決まってる。
【ランディ】 ということで、契約は成立ですね。それじゃ、明日の朝に出発しよう。
【GM】 ほい、翌朝になったよ。
【ジーネ】 ファンリーも来る?
【ランディ】 来てもらおう。回復要員は多いほうがいいし。
【ジーネ】 そっか。それに、離れてる間にさらわれても困るしね。
【ティガー】 あ、俺、今日はちゃんと鎧を着て行くから。
【GM】 では、そんな感じでキミたちは、セミがやかましく鳴きわめく森に入っていった。
【ティガー】 「うるせーッ!」って耳を塞ぐ(笑)。
【GM】 レンジャー技能を持ってるのはジーネだけか。当然、道なんてものはないから、ちゃんと中央草原に向かえているかどうか、ジーネはレンジャー技能でチェックしてくれ。
 ──それなら、迷わず進めてるようやね。
【ジーネ】 いちおう、周囲に注意を払いながら歩いてるよ。不意討ちをくらったりしたら、イヤだし。
【GM】 それでは2時間歩いたところで、レンジャー技能かセージ技能でチェックを入れてもらおうかな。ジーネは辺りに気を配ってたらしいから、ボーナスがあってもいい。
 ──ジーネだけが気づいたようやね。キミたちは、何だか変な植物の棲息域に踏み込もうとしている。
【ジーネ】 みんなに「ストップ」と言う。この植物は何かな?
【GM】 キラークリーパーという蔓植物です。その棲息域に踏み込んだ動物を蔓で締め殺し、土に還して養分となすらしい。1体が半径数十メートルにも及ぶそうだ。
【ティガー】 じゃあ、半径数十メートルに渡って迂回しよう。
【ジーネ】 それって、迷いそうでイヤ。戦って勝てるやろか?
【ティガー】 植物やし弱そうやけど、どこを攻撃すればええんかわからん。
【ジーネ】 じゃあ、燃やしてしまおうよ。
【ランディ】 それは山火事になってしまうかも。
【ジーネ】 う〜ん……。そっか、ペガサスは空を飛べるから、こんなの関係なかったんだなぁ……と、ふと思う。
【ティガー】 迂回してまおうぜ。こいつの長さ、数十メートルやろ? どっかで切れてるはずやから、そこから中央の草原に向かえばええねん。
【ランディ】 キラークリーパーがこの森を環状してるとも思えないしね。ティガーの言うとおり、迂回しよう。
【GM】 迂回するのね。そうすると、70メートル行ったところが、キラクリーパーの端っこだった。そこから中央草原をめざすことになるけど、もう1回、ちゃんと進めたかどうか、ジーネに判定してもらおう。
【ジーネ】 (ころっ)あーっはっは、1ゾロ振っちまったぃ!
【ティガー】 あーあ。

グリフィン退治の事

【GM】 「森を抜けた!」と思ったら、ペガサスたちが「えっ?」と振り返る。どうやら、振り出しに戻ったみたいやね(笑)。ちなみに今は、昼間の2時頃。
【ジーネ】 どうする? 今から行くと、夜になるかもよ。
【ティガー】 明日、もう1回行こか。
【GM】 じゃあ、翌朝になった。
【ティガー】 さあ、行こう。最初からキラークリーパーを迂回するルートで。
【GM】 迂回するルートで、ね。それはいいけど、ちゃんと目印は残してきたんかい?
【ティガー】 残してへんから、野性の勘で行く。
【GM】 勘で行くのなら、ジーネのレンジャー技能でチェックやな。
 ──おお、今度は無事に草原に出たようやね。
 目の前には広大な緑の草原、風の足跡を刻んで揺れる。青い空には入道雲。キミたちはセミの喧騒を背後に聞いて、草原の中央にあるという古代遺跡の洞穴をめざした。
【ジーネ】 もう、迷うことはないやろな。
【GM】 大丈夫。ほどなくして、ちょっとした丘の上に、明らかに人の手で積み上げられたと思われる、小さな岩場が見えてきた。
【ティガー】 あの中にパンツが。呪われた遺跡や(笑)。
【ジーネ】 どこか身を隠せるようなところはない?
【GM】 いちおう、いくつか岩が転がってるよ。古代遺跡の一部やった岩かも知れんね。
【ジーネ】 じゃあ、そこに身を潜めて、洞穴の様子を窺う。
【ランディ】 グリフィンはいるのかな?
【GM】 いる。今、1匹のグリフィンが洞穴から出てきて、翼をグッと広げて、嘴を大きく開けて、「ふあ〜っ」とあくびをしてる。
【ティガー】 変な奴。
【ジーネ】 ファンリーにネットを渡して、投げてもらおうかしら。投げれそうなら投げて、敵の動きを止めてくれたら助かる。
【GM】 ファンリーがシーフ技能で投げるのなら、筋力が足りないんでペナルティをくらうけど?
【ランディ】 じゃあ、僕が投げつけよう。ティガーが囮でグリフィンの気を引いておいて、僕がネットを投げる。そしてジーネがとどめを刺す、と。
【ティガー】 うまく行くかな?
【ジーネ】 じゃあ、バラけて突撃だね。ファンリーは、誰についてってもらう?
【ティガー】 俺のとこには、ついて来ないほうがいいと思う。
【ジーネ】 そりゃそうや(笑)。じゃ、私の後ろにいてもらおう。間違っても、ファンリーはグリフィンと接敵状態にならないでね。
【ランディ】 グリフィンまでの距離はどのくらい?
【GM】 約25メートルとみた。
【ジーネ】 気づかれないように岩場を移動することはできる?
【GM】 試みることはできる。レンジャー技能があれば[忍び足]で。なければ、ダイスの出目だけで。
【ティガー】 (ころっ)成功。奴の正面に回り込んだよ。
【ランディ】 じゃあ、僕は側面に回る。(ころっ)成功。
【GM】 む〜、修正値なしで成功しおったか。じゃ、ティガーからどうぞ。
【ティガー】 あくびが終わったところを見計らって、正面から[全力移動]で突撃する。
【ジーネ】 あくびしてる最中に行ってよ!
【GM】 [全力移動]なら、グリフィンの前に行くだけやね。ま、不意討ちだから、グリフィンも何もできないけど。「きしゃあ!」と、驚いてるよ。
【ランディ】 僕は[通常移動]で側面から近づく。
【ジーネ】 私とファンリーは待機。
【GM】 では、次のラウンド。
【ティガー】 「長老のパンツのためやねん、何か知らんけど」と、攻撃。(ころっ)クリティカルして19点。
【GM】 いきなりクリティカル!?
【ランディ】 ネットを投げます。(ころっ)はずれた。地面にパサっと落ちてしもた。
【ジーネ】 私はファンリーと一緒に、このラウンドの最後で岩陰から飛び出る。
【GM】 では、グリフィンの反撃やね。目標はティガー。グリフィンはティガーを嘴で突き、左右の鉤爪で引き裂こうとしてくる。
 ──ティガーはその3つの攻撃を、ひらりひらりと回避した。動くたびに、弾みで背中のニョムヒダの像が「にょ〜、にょ〜」と泣いている。
【ティガー】 めっちゃ迷惑や(笑)。
【ジーネ】 3回も攻撃がくるの? 恐ろしいなぁ。ファンリーは5メートル離れたところにいてもらう。私は接敵する。
【GM】 それじゃ、3ラウンド目に移ろう。

 ティガーはツヴァイハンダーで攻撃、普通に当たって14点のダメージを与えた。
 ネット投げをはずしたランディは、バスタード・ソードを抜き放って、グリフィンに攻撃する。しかし、かわされてしまった。
 続いてジーネがモーニングスターで攻撃したが、鉄球は地面をえぐって、カブトムシの幼虫を露出させただけに終わった。

【ジーネ】 カブトムシの幼虫……食べるとおいしいんだってね。
【ティガー】 じゃあ、後で拾って食べ。
【ジーネ】 いらん!

 グリフィンの反撃の狙いはランディ。なんと、嘴と2つの鉤爪、すべての攻撃を受けてしまった。

【GM】 ランディは、なんとか鎧の頑丈なところで受け止めようとしたけど、健闘及ばず、合計で26点のダメージをくらってしまった。
【ジーネ】 26点!? 恐ろしい……!
【ティガー】 うひゃ〜。ランディ、生きてる?
【ランディ】 んなわけないよ。生命力がマイナス4点になってしまった。
【GM】 ならば[生死判定]。目標値は11やね。
【ランディ】 じゃあ、2Dで5以上の出目が必要ですな。
【ジーネ】 それぐらいなら、大丈夫っしょ。
【ランディ】 (ころっ)3です。
【ジーネ】 えーッ?!
【ティガー】 うっそ。
【ジーネ】 今のは出目が悪すぎるっ!
【GM】 悪すぎるからって、振り直しはできないからねぇ。最期に何か言い残すことがあればどうぞ。
【ランディ】 何もないよ。
【GM】 じゃあ、ランディ・アクアマリンは死んだ。プレイヤーには、臨時でファンリーをやってもらおう。鈴を転がすような、かわいい声でしゃべってな。
【故ランディ】 それは難しい(笑)。
【GM】 それでは戦闘を続けよう。第4ラウンド。
【ジーネ】 仇は討ってあげるよ、ランディ。

 しかし、ランディの死に動揺したのか、ティガーの剣先は鈍ってしまい、有効打を与えられない。逆にグリフィンの鉤爪に引っかかれて、負傷してしまう。

【ジーネ】 もう生命力が半減したの!?
【ティガー】 だって、生命力そんなに高くないし。しかも俺の鎧、筋力に足りてないすぐれ物♪
【GM】 短所を補おうという努力の痕跡が見られへんな。
【ティガー】 あははは(笑)。
【ジーネ】 こ、こいつはぁ……。

 仇討ちと意気込んだはずのジーネは、ビビって[パリィ(防御姿勢)]をとるようになってしまった。それでもグリフィンの攻撃でダメージを受けてしまう。
 ティガーやジーネの負傷は、ファンリーが〈キュアー・ウーンズ〉で癒す。

【ファンリー】 じゃあ、ジーネの傷を治す。(ころっ)あっ、1ゾロ。魔法が発動しなかった、ごめ〜ん。
【ジーネ】 やめてくれぇ〜!!
【GM】 グリフィンの反撃はティガーに──全部かわされた。次のラウンド。
【ティガー】 攻撃。(ころっ)はずれた。ニョムヒダを泣かせて悲しみを表現してみる。今、この人形に夢中やねん。
【GM】 捨てろッ、そんなもの!(笑)

 グリフィンから距離をとったジーネは、〈フォース〉で攻撃。しかし、ほとんどダメージを与えられない。
 それでも10ラウンド目、ティガーのツヴァイハンダーがグリフィンの体を貫き、なんとか倒すことができた。

【ジーネ】 ぜいぜい。傷を治しとこうか。ティガーも治してあげようか? それとも、ファンリーに〈キュアー・ウーンズ〉をかけてもらう?
【ティガー】 じゃ、ファンリーに。
【ジーネ】 やっぱりね。ティガーはずいぶんファンリーにコナをかけてるけど、ファンリーはティガーをどう思ってるんやろ?
【GM】 さあ。隠しパラメータだから、誰にもわからない(笑)。
【ジーネ】 ま、いいや。自分の傷を治します。(ころっ)ほぼ治癒した。
【ファンリー】 これで、いちおうグリフィンは退治できましたね。
【ティガー】 長老の宝物庫を取り戻した。でも、きっとロクな物が入ってないんやろな。
【ジーネ】 とりあえず、退治した証拠にグリフィンを引きずって、長老様のところに帰ろか。私とファンリーはランディを運ぶから、ティガーはグリフィンを運んでね。
【ティガー】 OK〜。
【GM】 んじゃ、ペガサスの集落に帰ってきた。

新しい仲間の事

【ティガー】 「やっつけて来たで。グリフィンって、これやろ」って見せる。
【GM】 するとペガサスたちは、「きゃー!」と空に逃げてしまう。
【ティガー】 死んどる、っちゅうねん。
【GM】 「ホントに?」「ホントに?」と、上空で輪唱してる。
【ティガー】 ホンマ、ホンマ。どーすんのよ、この死体。
【GM】 「捨てて」「捨てて」「捨てて」「捨てて」
【ティガー】 んじゃ、山から投げ捨てる。
【GM】 グリフィンの死体はあちこちの岩にぶつかりながら、人形のように転がり落ちていった。
 そして麓の村に落っこちて、村人たちが「きゃー!」。
【ティガー】 知らん!(笑)
【ジーネ】 さて、もうひとつの死体はどうしよう。
【ティガー】 せっかく、『飛び魚』になったのに……。
【ジーネ】 生き返らせるのって、いくらかかるんかしら?
【ファンリー】 8万1000フィス(完全版に合わせるなら、9000フィス)やね。問題は、どこに〈リザレクション〉をかけてくれる人がいるか、です。
【GM】 オムスク地方なら、この時代、オレンブルクのミフォア大神殿の神殿長、アジャン・ラーシャ様しか使えない。しかも、強力なコネがないと、会ってもらえないやろね。
【ティガー】 ランディのコネで何とか(笑)。
【GM】 故人はそこまですごいコネは持ってないなぁ。
【ジーネ】 ファンリーのコネなら?
【GM】 それなら、取り次いでもらえる可能性がある。ファンリーの上司のイリア司祭から、その上の立場の人、さらの上の立場の人……と、うまく繋がっていけばの話だけど。
【ティガー】 とりあえず、金やコネは置いといて、どうやってランディをオレンブルクに持って帰るか。
【ファンリー】 持って帰るうちに、体が腐ってしまいそう。
【ティガー】 ロンデニアかウィスに、〈プリザーベイション〉が使える司祭はおらへんの?
【GM】 長老様の話だと、ウィス王国のシルファス神殿長が使えるらしい。
【ジーネ】 でも、私たちには死体を持って歩く手段がないんだよな〜。
【ティガー】 この島に〈テレポート〉が使える魔術師はいない?
【GM】 小さい島の、小さい国々やからね。そこまでの実力者はいない。
【ジーネ】 体の腐敗は食い止められても、魂は日数が経つと離れていっちゃうんだよね。う〜ん、これはもう、丁重に葬るしかないのでは……。
【ファンリー】 葬ってくれていいよ。
【GM】 「ならば、ワシの宝物庫のそばに埋葬するがよい」と、長老様。
【ジーネ】 ランディは男でっせ。いいの?
【GM】 物珍しいからね。きっと、この次に来た旅人に「これは、グリフィンから草原を取り戻してくれた、勇者の墓なのじゃ」と、自慢する気でおるんやろ(笑)。
【ジーネ】 そうだ、ついでにユニコーンからのお礼をもらわないと。
【GM】 「うむ。約束どおり、勇者シフィルの貨幣を譲ろう。例の洞穴に入ってるから、持っていくがよい。中に青白い炎のような光を蓄えた小石じゃから、見てすぐにわかるはずじゃ。じゃが、間違ってもプリン姫のパンツは持っていくなよ」
【ティガー】 パンツはいらん!
【ジーネ】 とりあえず、ランディを埋葬しに行こか。
【GM】 なら、ペガサスが遺体とキミたちを運んだことにしよう。夕方頃、草原の洞穴付近にやって来た。
【ティガー】 じゃ、埋める。ランディのバスタード・ソードを墓標にしてあげよう。
【GM】 墓には「『アリステアの飛び魚』ランディ・アクアマリン、ここに眠る。511年〜529年」と刻まれるんやな。
【ジーネ】 そうそう、彼の所持金は私たちで受け継いどこうか。
【ファンリー】 お金は持っていってくれてもいいよ。ランディのコレクションは、一緒に埋葬してな。
【ジーネ】 コレクションて……?
【GM】 ニセ勇者のサインとかやろ(笑)。
【ティガー】 あ、長老の洞穴に入れさせてもろといたら?
【ファンリー】 じゃあ、そうさせといてもらって。
【ジーネ】 んじゃ、ランディの遺品を抱えて洞穴に入りましょか。
【ティガー】 ついでに、お礼の宝物を探す。
【GM】 すると、洞穴の中に白いシルクの布切れがあるのを見つけた。
【ティガー】 あー、パンツか。いらん。
【GM】 誰もやるとは言ってない。
【ジーネ】 それ、腐ってへんの?
【GM】 腐ってないよ。たかだか11年で腐ってしまうシルクもどうかと思うけど、この洞穴自体、古代遺跡の一部であるからか、物が腐りにくくなってるんやね。
 ただし、パンツに手を触れると、長老様に叱られるよ。
【ティガー】 触れる気なんかねーよっ! パンツ以外の宝物を探す。
【ファンリー】 持って帰っていい宝物は、指定されてましたよね。長老様が言ってた、中に青白い光を蓄えた小石を探す。
【GM】 そういう石コロを4つ見つけた。長老様は貨幣としてもらったと言ってたけど、どうやらそれは、いわゆる魔晶石のようやね。
【ファンリー】 古代の貨幣ってことね。
【ジーネ】 そんなのもらってもな〜。
【GM】 いらないんなら、置いてけば? ちなみに蓄えられている魔力は、4個とも24点ね。
【ティガー】 ランディの遺品は置いていく。魔晶石はもらっていくよ。
【ファンリー】 ランディも普段から「もらえるもんは、もろうときや」と言ってましたし。
【ティガー】 どんな戦神の司祭やねん!
【ジーネ】 魔晶石の配分はどうする?
【ティガー】 俺は魔法使わないから、ファンリーとジーネで2個ずつ持てば。
【ジーネ】 それじゃ、そうする。
【GM】 なんや、けっきょくジーネも持つんかぃ。
【ジーネ】 そりゃ、当然ですわよ。おほほほほ。
【ティガー】 関西のおばちゃんみたい。
【ファンリー】 ランディは普段から「もらえるもんは、もろうとき」と言ってました(笑)。
 ところでGM、これからはファンリーを使えばいいんですか?
【GM】 いや、キャラクターを作り直してもらおう。麓のパーグ湖畔で、パーティに合流してもらうから。
【ジーネ】 あそこには旅人がたくさんいるし、そのうちのひとり、ってことになるのね。
【ティガー】 じゃ、明日の朝、ペガサスたちに麓に連れてってもらおう。

 というけで、3人となってしまったパーティは、しゃべるペガサスのエドゥたちに運ばれて、パーグ湖畔に帰って来た。
 その間に、故ランディ・アクアマリンのプレイヤーは、新しいキャラクターを作り直した。

【GM】 ティガーたちが湖畔に戻ってみると、湖を見つめて佇む男の後ろ姿がある。それを見たキミたちは、思わず「ランディ!」と呼びかけてしまった。
【ティガー】 「あれっ、生き返ったん?」(笑)
【GM】 しかし振り返った男は、雰囲気は似てるがぜんぜん別人。恰好からすると、ソーサラーのようやしね。んじゃ、自己紹介して。
【故ランディ】 シルヴィア・アクアマリン、人間の男、20歳。ランディ・アクアマリンの兄貴で、技能はソーサラーとセージです。
【ジーネ】 ランディのお兄さんか。じゃあ、事情を説明しないわけにはいくまい。
「じつは、かくかくしかじかで……私たちの力が及ばなかったばかりに」
【シルヴィア】 「いや、あいつが未熟やったんや」
【ティガー】 めっちゃクールや。
【ジーネ】 ずいぶん、死者に鞭打つようなことを言うなぁ。仲、悪かったん?
【シルヴィア】 いや、仲はよかったよ。
【GM】 きっと、誰も見てないところで泣くんやな。
【ティガー】 夜、寝る前とか(笑)。
【ジーネ】 それにしてもランディは、ここに兄ちゃんがいるって、知ってたんやろか。
【シルヴィア】 いや、たまたまやってん。そのうちどこかで会うだろう、とは思ってたけど。お互い冒険してたから。
【GM】 アクアマリン家は、冒険一家なわけやな。
【シルヴィア】 どうせ行くあてもないし、弟の代わりにパーティに加わりましょう。
【ティガー】 ソーサラーが入ってきてくれた。
【GM】 これで多少はパーティのバランスが改善されるかもね。
【ジーネ】 あとは精霊使いか。
【GM】 さて、と。めでたく仲間が増えたところで、これからどうしますかね?
【ティガー】 キャラバンから食料を買って、ウィス王国に向かう。
【ジーネ】 ここからウィスに行くキャラバンはいないかなぁ。護衛というわけじゃなくて、単に同伴して欲しいだけ。
【GM】 いちおう、ウィスに向かうキャラバンはいるみたいやね。では、キミたちは彼らと一緒に、ウィスに向かう。
【ティガー】 普通にウィスに行ける?
【GM】 行けたよ。4日後、峠を越えたところで、キラキラ輝く海面の入江に面した街ウィスが見えてきた。
 人口約4500。邪神の眠る島の西島の街ブレインと結ぶ航路を抱える港街で、ウィス王国の王都です。
【ジーネ】 それじゃ、街に行こうか。
【GM】 といったところで、今回はこの辺で。

÷÷ つづく ÷÷
©2002 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2002 Jun Hayashida
Map ©2002 Moyo
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ひと言ありましたら
 
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