≪REV / EXIT / FWD≫

§落日の虎:第6話§

モゴチャ要塞の戦い

著:龍神裕義 地図:もよ
▽ 決起の日 ▽ モゴチャ軍組織 ▽ モゴチャ攻防戦

決起の日

【GM】 前回のセッションから1週間が過ぎた。その間にも、新しい冒険者が次々ガーヴェンに加入して、ついには30人の大所帯になった。
【リザローク】 そりゃすごい。後輩がどんどん増えてるんやな。
【GM】 そして、無事にモゴチャ村に入った武器職人たちは、村人たちに匿われながら、秘密のアジトでトンテンカン、トンテンカンと武具・防具をどんどん作っている。横流しされたカルファン鉄を豊富に使ってね。
【リザローク】 ここは鉱山の村やから、鉄はいくらでもあるしな。
【GM】 村の中央にある製鉄所──砂鉄を鉄材に加工する施設は、24時間絶え間なく煙を吐きつづけ、フル稼働してるよ。
【アイザック】 たたら場や、たたら場(笑)。
【GM】 それはひょっとして、某アニメ映画のことを言ってるのか? 別にそんな感じのをイメージしてもらってもかまわないけどね。まあ、そういうふうに準備は着々と進んでるわけだ。
【アイザック】 そうしてできあがった武器や防具が、俺らにどんどん支給されるんやな。
【GM】 支給というか、ガーヴェン・メンバーには買ってもらうことになるけど。
【リザローク】 タダでくれるんとちゃうの?
【GM】 武器職人はあくまで商売に来てるんやし、キミたちには給料を支払ってるんやからね。タダでもらえるのは民間人。といっても、ガーヴェンで武具・防具を買い上げて、それを配ってるんだけど。
【リザローク】 民間人になんで武器が必要なん?
【GM】 そりゃ、いくらキミたちが手練の冒険者でも、わずか20名ちょっとで王国相手に戦うのはしんどいからやろ。
【アイザック】 つまり、民兵として使うってことか。
【GM】 そういうこと。キミたちが組織に加入する以前から、モゴチャ村はもちろん、アクシャ村やキャフタでも民衆の不満を煽ったりして、蜂起の下地を地道に作ってきてる。
【アイザック】 で、この組織の最終的な目標は何なん?
【GM】 リーダーの掲げる最終目標は、端的にいうとカルファン王国の立て直し。今、この国はちょっと苦しいからね。
【リザローク】 どういうことかな?
【GM】 順を追って簡単に説明しよう。事の発端は、レムリア暦472年のカルファン王国西部のロットバイル独立。もともとロットバイル王国は、カルファン王国の一部だった。
【アイザック】 なるほど。
【GM】 で、オムスク地方の地図を見てもらえばわかるように、カルファン王国とオムスク地方西南部を結ぶ街道は、ロットバイル王国を通る道一本だけ。ロットバイル王国は独立するとすぐに、多額の通行税をかけた。このせいで名産品のカルファン鉄の輸出や、塩の輸入が滞ることになってしまった。
【リザローク】 塩ぐらい、自分らで作ればいいのに。海がそばにあるんやから。
【GM】 いや、別に塩だけを輸入してわけじゃないから(笑)。それにカルファン王国では、製塩技術がそれほど発達しておりません。ついでに、そばにある海というのは〈ザンナール〉暴走の地の近くなんで、いい塩が作れまへん。ちなみに、輸入してたのはオレンブルク王国バウツェンの塩で、世界でも有数の名品です。
【アイザック】 そういうわけで、カルファンの暮らしはどんどんきつくなってるわけだな。
【GM】 そういうこと。現国王サパロ5世は塩の道を確保するため、魔物や砂嵐が横行する『荒ぶる砂漠』の中でも、比較的穏やかなアルカーラ山脈の麓沿いに新しい街道を築こうとしたことがある。付近の魔物を駆逐した後、トロワ王国に抜ける道を開こうとしたんやね。
【リザローク】 で、それは失敗したと。
【GM】 あくまでロットバイルの奪回を唱える老臣たちの猛反対にあってね。けっきょく、ロットバイル王国に何度か戦争をしかけ、そのたびに撤退を余儀なくされ、いたずらに国力を疲弊させただけに終わった。
【アイザック】 よく逆襲にされなかったもんやな。
【GM】 ロットバイル王国はその頃、種族浄化を掲げて『残されし者の森』の妖魔や妖精たちの殺戮を始め、それが森のエルフたちと盟友関係にあったファラリア王国との戦争に発展して、結果、大敗したというエピソードがあるから。
【リザローク】 そ、そんなことが……(笑)。
【GM】 さらには、クラリオン大戦のドタバタもあった。カルファン王国は、ロットバイル王国に隔てられてるのが逆に幸いして、国力が衰退しても他国や妖魔たちに攻め入られることはなかったけど。
【アイザック】 そうしてダラダラ過ごしてきたわけや。
【GM】 まあね。国王は、老臣たちの言いなりになるしかないんで、しまいに国政に関心を示さなくなり、7年前、52歳にして待望の我が子を手に入れてからは、まったく政治に手を出さなくなったし。
【アイザック】 それでキャフタの領主みたいな奴が、信任されてるんやな。
【リザローク】 うちのリーダーは、そういうのを何とかしようとしてるわけか。
【GM】 さて、リーダーが画策してる反乱の蜂起だけど、じつは予定より早めなくてはならなくなった。
【リザローク】 なんで?
【GM】 なんでって、モーニングスター作戦の後、キャフタ側はモゴチャ村で何か怪しげな動きがある、と察知したから。
【アイザック】 俺たちの存在を知られてしまったのか。
【GM】 ガーヴェンの詳細まで把握してるのかどうかはわからない。でも、旅の目的を「モゴチャ村で商売するため」と答えていた武器職人たちを連れ去った者がいる。生き残った兵士の証言では、襲撃者の中にお尋ね者リザロークの仲間アイザックらしき人物もいた。で、そいつらはモゴチャ村方面へ逃げた、となればもう、疑わないほうがどうかしてるわけで(笑)。
【リザローク】 でも、ここは秘密基地だからだいじょうぶ(笑)。
【GM】 詳し〜く捜査されなければね。どっちにしろ、戦力の乏しい反乱軍としては、相手に警戒されたくない。不意討ちでなんとかしたいところだから。
【アイザック】 しかし、もう警戒されてるんやろ?
【GM】 だから、準備を急ぐ必要があるわけ。モゴチャ村とアクシャ村で同時に決起して、キャフタに出兵させて、手薄になったキャフタで本命の反乱軍が蜂起して、一気カリム・スコエ・ハオトを討って決着をつけるという青写真。
【リザローク】 そんなにうまくいくかなぁ……。
【アイザック】 ってゆーか、それ、王国がキャフタに援軍を送ったりしたら、どうしようもないんとちゃうの?
【GM】 援軍はない、とラザラスさんは踏んでる。
【リザローク】 ほう。その根拠は?
【GM】 王国に援助を求めるということは、自分が領主として無能だと言ってしまうようなもの。もし、反乱を鎮圧することができても、それを理由に領主の座を追われてしまうかも知れない。成り上がろうとしてる者は、国内にいくらでもいるし。というわけで、恐らくカリムは内々に処理したがるはず、と判断されてるんやね。
【アイザック】 なるほど。
【GM】 ま、問題なのはクーデターを成功させた後やね。必ず出てくる王国軍を、どうやってしのぐか。ラザラスさんは「3ヶ月耐えればいい」と言ってるけどね。
【アイザック】 なぜ、3ヶ月?
【GM】 それはわからないけど、とにかく3ヶ月耐えきれば、ガーヴェンの理想は叶えられるそうだ。
【リザローク】 む〜。
【GM】 さて、そのための第1歩、モゴチャ村とアクシャ村の同時蜂起が7日後に決定いたしました。
【リザローク】 いよいよか。
【アイザック】 しかし、準備不足のような気がしてならない。
【GM】 確かに。でも、さっきも言ったように悠長にしてられないしね。モゴチャやアクシャの決起は陽動作戦でしかないから、簡単に鎮圧されなければそれでいい。というわけで、これから突貫工事で両村の要塞化を進めます。といっても、柵で囲むだけだけど。
【リザローク】 村人総出で働くわけやな。
【GM】 もちろん、キミたちも働くよ。
【リザローク】 げっ。
【アイザック】 たった7日で要塞化? きっと、不眠不休で工事するんやろなぁ。
【GM】 本気で不眠不休だと、いざというとき使い物にならんかったりして(笑)。
【アイザック】 ああ〜、なんでこんなことになってるんやろ。俺はオレンブルクに行きたかっただけやのに(笑)。
【リザローク】 とりあえず、村長やカリーニョ村の仇を討ってからや。旅立つのは。
【アイザック】 うん、まあ、そうやな。ところで、俺たちはモゴチャ村で働けばいいのかな?
【GM】 そう。アクシャ村では、また別のメンバーが働いてるから。で、要塞化が終わったら民兵とともにここにたて籠もって、キャフタの軍を引きつけるわけやね。

モゴチャ軍組織

【アイザック】 え、俺らがたて籠もるの? 味方が敵を引きつけてるうちに、俺らが遊撃部隊として手薄になったキャフタに攻め込んで、ほんで最後のボスか何かがおって、俺らがブシュ〜とやっつけるんちゃうん。
【GM】 それをやるのは、選ばれた他のメンバーやね(笑)。
【リザローク】 なんでオレらが選ばれへんねん〜。何が不満だというのですか、リーダー!
【GM】 いや、だって、また捕虜になってもらったら、面倒が増えるでしょ。
【リザローク】 うぐっ、痛いとろを……!
【GM】 あのね〜、キミたちに与えられる任務はけっこう重要なんやで? 何といっても、作戦の第1歩。これがうまくいかなきゃ、後々の計画が実行できなくなるんやから。たとえ地方で騒ぎを起こすだけという地味〜な役目でも、誇りを持って任務にあたるべきだ。
【アイザック】 そんな〜。
【GM】 リーダーも言うよ。「キミたちがいなければ、この反乱は成り立たないんだ」
【アイザック】 「そんなこと言われたって、選ばれた戦士は全員NPCじゃないですか! 僕たちはプレイヤーキャラクターなんですよ!?」(笑)
【GM】 「たしかにキミたちは、組織の主人公ではないかも知れない。しかし、リプレイの主人公なんだから、それでいいだろう」(笑)
【リザローク】 そ、そうなのか……。
【GM】 そうそう。そして、あっという間に7日が過ぎた。モゴチャ村は立派なモゴチャ要塞に変貌しております。ま、とってつけたような乱雑な柵ができただけやけど。
【アイザック】 どこが立派やねん。
【GM】 んで、モゴチャ村とアクシャ村は村民の総意として、「税の引下げ」だの「カリム・スコエ・ハオトの退陣」だの、呑めもしないような要求をキャフタに発信した。
【リザローク】 呑めない要求を出してどーすんだ……。
【GM】 つーか、要求を呑んでもらっちゃ困るわい(笑)。「よーし、そっちの要望に応えてやるから、反乱の首謀者の首を出せ」なんて言われたら、村人は大喜びでそれに従うよ。まあ、万が一にもそうならないように、村人の領主に対する不信感をめいっぱい煽ってるけどね。
【アイザック】 ちなみに反乱の首謀者ってのは、各村の村長になるの? それとも、ラザラスさんになるの?
【GM】 ガーヴェンのリーダー、ラザラスさんが首謀者となっております。いちおう「憂国の勇士」として紹介された。
【リザローク】 オレたちはその仲間、ってことね。
【GM】 さてさて、翌日には期待どおり、キャフタの兵士が80人ほどやって来た。さすがは税金を払わなかったぐらいで1つの村を滅ぼす領主だけあるね。で、「キミたちは完全に包囲されている」とばかりに降伏を勧告する。「カリーニョ村のようになりたいか」
【リザローク】 むかっ。
【アイザック】 敵は80人か。こっちの人数は?
【GM】 村の総人口400人のうち、直接の戦闘員として使えるのは150人ほどかな。ちなみに女子供、お年寄りは村の製鉄所──たたら場だったか──に集まってる。後方支援ぐらいならできるけど。
【アイザック】 戦闘員150人といっても、こっちの手勢のほとんどは、ロクに訓練されてない兵士ばかりやんな。ま、ただ防衛するのだけが目的やから、レベルの差はなんとかなるかな。
【GM】 ちなみにモゴチャ軍150人を30人からなる5つの中隊に分けて、キミたちふたりを含むガーヴェン・メンバー5名が、それぞれ1中隊ずつ率いる。1個中隊はさらに10人編成の3つの小隊に分けられている。小隊はひとりの隊長、3人ひと組の3つの分隊で編成されている。
【アイザック】 間に合わせの軍のわりには、けっこうきちんと組織化されてるんやな。
【GM】 ラザラスさんの尽力のおかげやね。そして、それらの5個中隊からなるモゴチャ軍の総帥は、なんとモゴチャ村の村長です。
【リザローク】 おお、村長が指揮をとるのか。
【GM】 まったくのド素人だけどね。
【リザローク】 おい〜(笑)。
【GM】 だから、リザロークやアイザックが参謀として補佐してやって。自分の部隊を指揮しながらやから、めっちゃしんどいかも知れんけど。
【アイザック】 まあ、しゃあないな。
【リザローク】 ところで、80人ってのはちょっと少なくないか? 守るほうとしては楽やけど、これじゃキャフタがそれほど手薄になってないかも知れん。
【アイザック】 GM、キャフタにはどれくらいの兵士がいたん?
【GM】 人口約9000人のうち、正規兵は500人ほどだと報告されている。
【アイザック】 とすると、アクシャ村にも同じだけの兵士が派遣されたとして、キャフタに残ってる正規兵は340人ほどか。
【リザローク】 キャフタに乗り込んだ、こっちのメンバーの数は?
【GM】 20名。正規兵を除く約8500人の市民のうち、どれだけの数が呼応して立ち上がってくれるかにかかってる。もちろん、領主側の味方をする者がいないとは言い切れないけど、そこはそれ、長い時間をかけてじっくりとカリムへの不満の種を蒔いてきたからね。とうぜん、カリムの家臣のうちの何人かとも内通してたりするし。それが実を結ぶものと、信じるしかない(笑)。
【アイザック】 危ない橋を渡るんやなぁ。もし、この革命が失敗したら、俺らめちゃくちゃヤバイんちゃうん? そうなったら、俺は逃げるよ。
【GM】 ご自由に(笑)。それはそれでひとつの物語になる。
【リザローク】 んで、目の前にいる80人の敵はどないしよ。当然、降伏勧告なんか無視するよな。
【アイザック】 石でも投げてやれ。
【GM】 というわけで、アイザック隊は柵の内側からキャフタ兵に向けて投石をはじめた。
【リザローク】 向こうの反応は?
【GM】 弓矢で返してきた(笑)。それじゃ、ダメージを決めよう。オリジナルの集団戦闘ルールだけど、簡単やろ?
【アイザック】 基本的にはモンスターとの戦闘と変わらんねんな。ダメージが生命力じゃなくて、人数にくるだけか(笑)。(ころっ)回避……ということは、ダメージなしでいいんかな?
【GM】 いいよ。
【リザローク】 受けたダメージを回復させることはできるの?
【GM】 いちおう、〈キュアー・ウーンズ〉で生命力を回復させるのと同じようにできる。ただし、1日にプリースト技能レベルと同じ回数だけ。つまり、リザロークなら1日に2回までなら使える。
【アイザック】 使いどころに気をつけろ、ってことやな。ところで、ソーサラーの魔法は?
【GM】 使えない。ややこしいから(笑)。
【アイザック】 うそ〜ん!
【GM】 プリーストの魔法も〈キュアー・ウーンズ〉だけ。ややこしいから。
【リザローク】 うそ〜ん!
【アイザック】 魔法が使えないってことは、俺の持ち味がなくなってしまうってことやで。
【GM】 魔法の再現まで考えたら、本格的に集団戦闘ルールを作らなきゃいけなくなるからなぁ。どーせ今回だけの特別ルールなんやから、ガマンしてくれ。
【アイザック】 まあ、しゃあないか。
【リザローク】 で、敵のようすはどうなんかな?
【GM】 モゴチャ村に投降の意志なしと見て、武力でもって事態の解決にあたることにしたようだ。突撃の準備を始めてる。
【アイザック】 よ〜し、くるなら来い!
【GM】 さて、要塞化されたモゴチャ村だけど、地図を見てもらったらわかるように、東側──村の裏手には切り立った険しい山があるので、そこから敵が侵入してくることはまずない。敵の行く手を阻む柵は、西側──キャフタ方面に向けて築かれている。その柵を10個のエリアに分ける。北から順にA〜Jエリアと名づけられた。
【リザローク】 そのエリアに味方を配置して、守り抜けってことやな。
【GM】 そう。そして敵との戦闘処理はエリアごとに行う。もし、守備隊が全滅したら、そのエリアが突破されたことになるからね。ちなみに、1つのエリアに配備できる人数の上限は、敵、味方ともに30人まで。
【アイザック】 なるほど、敵も30人までということは、少なくとも3エリアが襲われるわけだ。熟練度で劣るこちらは数に頼むしかない。突破されそうなエリアに、順次守備兵を投入できるような配置にしとかんとアカンな。
【リザローク】 移動の処理はどうなってんの?
【GM】 敵、味方ともに1ターンに1センチまで。
【リザローク】 1センチ!?
【GM】 そう、その地図上で定規を使って、移動の処理を行うんやね。
【アイザック】 マスかヘクスを用意してほしかったな〜。
【GM】 いま明かされる驚愕の事実。それを用意する時間がなかったのだ。
【リザローク】 なるほど(笑)。
【アイザック】 ま、マスやヘクスに制限されずに、どんな方角でも1センチまで移動できるってのは、考えようによっては面白いことになるかも知れんな。
【GM】 ただし、障害物は通り抜けられないよ。
【アイザック】 そらそうや。じゃないと、何のための防護柵かわからん(笑)。
【リザローク】 よっしゃ。とりあえず、俺の部隊30人をぜんぶ、敵の真正面Eエリアの守備につかせるよ。
【GM】 そうそう、NPCの部隊の配置もキミたちで決めてくれ。モゴチャ軍の総帥はモゴチャ村長だけど、ド素人だしNPCなんで何もしない。そうやな、リザロークがモゴチャ軍の隊長、魔術師アイザックがその参謀ということで、軍の指揮をとってくれ。
【アイザック】 事実上の大将はリザロークということやな。
【リザローク】 よっしゃ〜。まかせろ!
【アイザック】 ちなみに俺の部隊は、2個小隊をGエリアに、1個小隊をHエリアに配備する。
【リザローク】 他のガーヴェン・メンバーの部隊も配置したいんやけど、NPCの名前は?
【GM】 とくに考えてなかったな。部隊の名前が欲しいんやな? ややこしくなるから、第1中隊、第2中隊、第3中隊でいいよ。
【リザローク】 じゃあ、第1中隊をぜんぶFエリアに配置。第2中隊のうち2個小隊をDエリアに配置する。
【アイザック】 残った第2中隊第3小隊と第3中隊は、どこにでもすぐさま補充できる位置に、予備として置いとくべきだ。
【リザローク】 じゃあ、第2中隊第3小隊をDエリアとEエリアの後方に置いて、第3中隊第1小隊をEエリアとFエリアの後ろ、第3中隊の残り2個小隊をFエリアとGエリアの後ろに配備するってことでええか?
【アイザック】 OK。

モゴチャ攻防戦

【GM】 ほう。EエリアとFエリアを決戦の地に選んだ配備やな。
【アイザック】 敵はこっちの半分近くしか人数おらんからな。一点突破してくるしかない、と踏んでるわけや。
【リザローク】 ところで、飛び道具はどんな感じになってるの?
【GM】 それやねんけど、今回はシンプルにすることだけしか考えてないんで、弓兵は敵、味方の小隊に1つずつ自動的に配備されてることにした。一律打撃力0で、2つ以上の小隊で攻撃するときは、魔法の『ダメージの確実性』と同じ処理をする。
【リザローク】 打撃力0って……ほとんどダメージがいかんのと違う?
【GM】 決戦武器にはならんね。
【アイザック】 弾幕みたいな扱いになるわけやな。
【GM】 あと、有効範囲は2センチ以上4センチ以下ってことで。
【リザローク】 なるほど。こっちの準備は終わったぞ。さあ、来い! キャフタ兵!

 かくしてモゴチャ防衛戦の火蓋が切って落とされた。
 アイザックの読みどおり、数に劣るキャフタ軍は一点突破を狙って、Eエリア、Fエリアに1個中隊ずつ取りつかせた(手薄なエリアを狙っても、すぐそこに守備を回されてしまうため、真正面からぶつかった)。
 実力で劣るモゴチャ軍は、それでもよく戦い、初日の戦闘はモゴチャ側8人、キャフタ側5人の被害を出したところで終わった。

【GM】 キャフタ軍はとりあえず戦闘区域から離脱して、野営の準備にかかったようだ。
【リザローク】 なんや、キャフタに帰るんとちゃうんか。
【アイザック】 帰ってもらったら困るぞ。おまえ、そもそもの目的を忘れてるな?(笑)
【リザローク】 そやった。なるだけ引きつけとかなアカンねんな。GM、〈キュアー・ウーンズ〉を唱えて、ダメージを回復させておきたいんやけど。
【GM】 いいよ。どうぞ。
【リザローク】 1日2回回復できるねんな。今日はもう戦闘はないやろから、使い切ってしまおう。(ころっ)完全回復ね。
【アイザック】 OK〜。
【GM】 完全回復て……。キャフタ側は回復できんし、ジリ貧やないか。
【アイザック】 冒険者がいる強みやな。ただ、初日の戦闘でほんど互角に戦えたんは、こっちのダイス目がかなりよかったのもあるからな。もし、普通の出目やったりしたら、もうちょっと被害を受けてたかも知れん。
【リザローク】 なんせ、民間人の寄せ集めやから。
【GM】 さて、日が沈み、空が藤色に染まりはじめた頃、キミたちふたりは辺りの見回りで並んで歩いていた。柵がない裏山の崖のふもとにさしかかったそのとき、頭上から「うはははは!」という笑い声が聞こえてきた。
【リザローク】 聞き覚えのある声かな? とりあえず、声がしたほうを見てみるよ。
【GM】 すると、崖の上に仁王立ちする怪しい人影──というか、ゴブリンの影が5つある。
【アイザック】 なんでこんなところにゴブリンがおるねん(笑)。
【GM】 ちなみにそいつら、様々な色彩のソフトレザーを着込んでるよ。「アオ!」「キ!」「ミド!」「モモ!」「クロ!」「5人そろって、ゴブレンジャー!」
【リザローク】 おかしいなぁ。この前、崖から飛び降りた壊滅してはずなのに(笑)。
【アイザック】 ってゆーか、微妙にメンバーが入れ替わってるし(笑)。そいつらに「やっぱりおまえら、そこから飛ぶんだよなぁ」と言ってみるぞ。
【GM】 「ふっふっふ、バカめ! 隊長の死をムダにすると思うか。2度とその手はくらわんわッ!」とアオゴブリが言う。ちなみに、ミドゴブリがアカゴブリの遺影を大事そうに抱えてたりしてる。
【リザローク】 あれはそっちが勝手に飛び降りただけじゃないか(笑)。
【GM】 「これを見よ!」とアオゴブリが言うと、クロゴブリが重そうな岩を一所懸命ゴロゴロ押して来ている。ちなみにここの崖は単なる急斜面なので、「くらうがいい!」って手を放すと、ゴロゴロゴロ〜と転がってくる。はい、回避して。
【アイザック】【リザローク】 (ころっ)回避。
【GM】 すると岩は、たたら場へズッガ〜ン! 幸いにも、ケガ人は出なかったようだ。「おのれ、俺の攻撃をよけるとは! かくなる上は、突撃ィ〜!」と、ゴブレンジャーたちは急斜面を駆け降りてくる。
【アイザック】 集団で来るんだな? なら、〈スリープ・クラウド〉。(ころっ)アオ、ミド、モモ、クロが寝た。
【GM】 なんせ急斜面やから、眠ったゴブリンはそのままゴロゴロ転がってくるよ。回避してくれ。
【アイザック】【リザローク】 (ころっ)回避。
【GM】 すると4匹のゴブリンは、たたら場へズッガ〜ン!
【アイザック】 そこって、いろんなものがグツグツ煮えたぎってるんと違うの?(笑)
【GM】 そのとおり。たたら場にいた人たちが驚き騒ぐ声に混じって、「うわ〜! 隊長ぉ〜!」「と、とろけちゃうぅ〜!」と悲鳴が聞こえてくる。
【リザローク】 残ったキゴブリはどーすのかな?
【GM】 「お、覚えてろ〜!」と捨てゼリフを残して、逃げ去りました。
【リザローク】 逃げたか(笑)。じゃあ、たたら場のゴブリンたちに、ブチッブチッととどめを刺そう。
【GM】 ん?? 溶鉱炉に入るのかね?(笑)。
【アイザック】 骨も残さず消えてそうやな(笑)。ま、手間が省けてえんちゃう。

 そして翌日の昼、再びキャフタ軍がEエリアFエリアに侵攻した。2日目の戦闘もほぼ互角の争いで、モゴチャ側12人、キャフタ側7人の被害が出たところで戦いを終えた。

【リザローク】 またもや回復。(ころっ)完全回復。
【アイザック】 よ〜し、よしよし。敵は昨日と合わせて11人の被害を回復できないからな。時間が経てば、どんどんこちらが有利になる。
【GM】 ところがその夕暮れ、キャフタから援軍が駆けつけた。その数およそ80名。
【リザローク】 げっ。
【アイザック】 これで敵の勢力は149人になったわけか。
【リザローク】 こっちの数の有利はなくなったんやな。向こうのほうがレベル高いぶん、こっちが不利になったかも知れん。
【アイザック】 まあ、俺らの任務は陽動やからな。援軍が来たってことは、そのぶんキャフタが手薄になったというこっちゃ。ところでGM、キャフタに入った奴らはいつ行動を起こすの?
【GM】 3日以内と聞いてるよ。2日目にまだ援軍が送られる余裕があるということは、明日、行動を起こすんだろうね。たぶん今日も、兵士の出動にかこつけて街の人々の不安を煽るようなことをしてたはず。
【アイザック】 なるほど。リーダーたちを信じるしかないわけや。
【リザローク】 信じよう。明日1日踏ん張れば、なんとかなるやろ。

 しかし、3日目は大激戦となった。
 80人の補強を受けたキャフタ軍は、Eエリア、Fエリアの他にDエリア、Gエリアにそれぞれ2個小隊ずつ、Hエリア、Iエリアにそれぞれ1個中隊ずつ配置し、攻めてきた。
 リザロークたちは敵の動きを見て、守備の配置を変更した。
 Hエリアのアイザック隊第3小隊とGエリアの同第2小隊を、Iエリアに移動。HエリアはGエリアから移動させたアイザック隊第1小隊に、後詰めの第3中隊第2・第3小隊を加えて守る。Gエリアには、同じく後詰めの第2中隊第3小隊と第3中隊第1小隊を守備につかせた。Dエリア、Eエリア、Fエリアには変更なし。
 敵・味方とも予備の部隊をも投入しての、総力を挙げた攻防戦である。しかし、初日、2日目にいいダイス目を出し過ぎた反動か、3日目のリザロークたちは、4回も1ゾロを振るなどさんざんな出目に悩まされた。
 もともと熟練度で劣るモゴチャ軍は、深刻な被害を受けた。Dエリアの守備隊は合計で9名の戦闘不能者を出した。Eエリアのリザローク隊も、1個小隊壊滅と8名の被害。Fエリア守備隊は9人の被害。Gエリアの被害がもっとも大きく、残ったのが6名だけというありさま。Hエリアのアイザック隊第1小隊及び第3中隊第2・第3小隊は、合計で8名の被害を受けた。Iエリアのアイザック隊第2・第3小隊は、わずか8名を残して壊滅した。
 リザロークの〈キュアー・ウーンズ〉でも、10名を回復させるのがやっと。使える戦闘員は96名に激減した。部隊を編成しなおすと、3個中隊に2個分隊ができる程度である。
 もちろん、キャフタ側とて無事なわけではなく、32名の戦闘不能者を出して残り戦闘員は116名に数を減らした。

【リザローク】 勢力が逆転してしまったな。
【GM】 この時点で、キャフタ軍の勢力はキミたちの約1.2倍だよ。
【アイザック】 そして何度も言ってるように、戦闘レベルはあちらが上。
【リザローク】 ものすごく不利なんちゃうん。
【アイザック】 とりあえず、計画どおりなら今日、キャフタでとんでもないことが起こってるはずや。それで早馬が知らせに来て、明日の戦闘はないものと祈るしかない。
【リザローク】 念のためいちおう明日の朝いちばんに、〈キュアー・ウーンズ〉を使っていくらかでも戦力を回復させよう。
【アイザック】 それがいいな。そうしてくれ。
【GM】 それでは、翌朝になったよ。
【リザローク】 回復(ころっ)……えーっと、15人回復した。
【GM】 これで3個中隊に2個小隊、1名の予備ができたわけやね。さて、白い靄たちこめる中、モゴチャの戦士たちは、生きてるんだか死んでるんだか、地面に横たわって泥のように眠る者、柵にもたれかかって槍を支えにうなだれてる者、皆、無言でそれぞれ4日目の朝を迎えた。どの顔も汗と泥と埃に黒ずみ、疲労のため目の下にべっとりとクマを浮かばせている。
【アイザック】 そりゃ、3日も連続で戦闘したんやからなぁ。
【GM】 それでもキミたちは、防衛戦のために守備隊を編成しなくちゃいけない。残った111名でどうやって116人の敵を凌ぐか頭を悩ませていたそのとき、まさに天佑とはこのこと、キャフタ軍があわてて撤退しはじめた!
【リザローク】 よっしゃー! キャフタで革命が成功したんや!
【アイザック】 しかし、たった3日で革命が成功していいんだろうか。
【GM】 それまでに何年も時間をかけて、下ごしらえしてきた結果だからね。キミたちがガーヴェン入りしてからは、まだそんなに時間は経ってないけど。
【アイザック】 キャフタに戻った兵士たちが、リーダーたちを襲うってことはないやろな?
【GM】 その辺はぬかりなく。キャフタの詳細について話してあげたいけど、今日は戦闘ばかりで疲れただろうし(笑)、この続きはまた次回ということで。他のモゴチャ戦士たちとともに、ゆっくり休んで疲れを取ってください(笑)。
【リザローク】 じゃあ、泥のよーに眠ろう(笑)。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Map ©2001 Moyo
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ひと言ありましたら
 
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