≪REV / EXIT / FWD≫

§伏魔の街ルニオール:第4話§

悪魔の壺から出づるもの

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ 冒険者たち、再び闇司祭と遭遇す ▽ 闇司祭からの依頼 ▽ 魔王誕生す?

冒険者たち、再び闇司祭と遭遇す

【GM】 オルト村を発った皆さんは、馬車に揺られて旅をして、その日の夕暮れ、バジェット村に到着しました。

【リィン】 ここで1泊するから、宿屋に行こう。
【GM】 では、宿屋1階の酒場に入ったときに、リィンが気づきました。酒場の隅のテーブルに、ホルトー商隊の護衛のときリゼル村の酒場で見かけた、黒いローブの男がいます。
【リィン】 あの闇司祭か。
【カーム】 声かけよか。「よう、久しぶり!」って。
【アルフレッド】 それはおかしいやろ。だって、向こうはこっちを知らんはずやし。話しかけたいねんけど、話しかけるための話題がないねんな。
【シーザー】 それこそ、「伝説の剣を知らねえか」って話しかけてきたらええやんか。それにしても、ずいぶんのんびりした奴やな。リゼル村で奴を見かけたのって、もう10日以上も前のことやで。10日もどこに行っとったんやろな。
【リィン】 ゼム村で何かしてたんかも知れへん。実はあいつが全滅事件の黒幕とか。
【シーザー】 村1個滅ぼせるような奴やったら、ヘタにちょっかい出さんほうがええぞ。
【アルフレッド】 そいつまた、隅っこで黙々と何か食ってんの?
【GM】 隅っこにはいるんですけど、食事はしてませんね。ま、飲み物は頼んでるようですけど。その闇司祭の向かいには、もうひとり、人相の悪い男がいる。そして、ふたりで何事かコソコソ話しています。
【カーム】 悪巧みでもしてんのか?
【リィン】 よ〜し、闇司祭と背中合わせになるような席に着いて、[聞き耳]したれ。(ころっ)。
【シーザー】 で、俺らはリィンと同じテーブルで、大声で話してんのやろ。
【アルフレッド】 「ア〜ッハッハッハ!」
【シーザー】 「もっと食え、もっと食え!」
【リィン】 黙れ〜! GM、闇司祭たちの会話は聞こえる?
【GM】 そうですね、「オルトの村から南東に****」「バラスが****」。
【シーザー】 肝心なところが聞こえへんねんな。
【カーム】 『バラス』って何や。
【アルフレッド】 セージ技能でチェックや!
【リィン】 人の名前やったりして。(ころっ)これはアカンな。
【カーム】 オレもやっとこ。(ころっ)。
【GM】 ふたりとも、特に思い当たる節はないね。
【アルフレッド】 リーダー代理、僕はそこへ行ってみたいな。
【カーム】 どこによ。
【アルフレッド】 オルト村から南東に。
【カーム】 めちゃくちゃアバウトな位置なんやけど。
【シーザー】 それに、そろそろゼム村の犠牲者の検死結果が出てると思う。いったん、ルニオールに戻るほうがええんちゃうの。
【アルフレッド】 じゃあ、ふた手に別れて、ひとグループはルニオールの街に行って解剖結果を聞いて、もうひとグループはオルト村の南東に行けばええと思う。で、オルト村で落ち合うってのはどう?
【シーザー】 ってゆーか、なんでオルト村の南東に行かなアカンの?
【アルフレッド】 え……? だって伝説の剣が──。
【リィン】 伝説の剣の話なんか、出てなかったやん。
【シーザー】 ……よし、行動を決める。とりあえずルニオールに戻って、魔術師ギルドでゼム村の死体を調べた結果を聞く。それで何にもわからんかったら、俺らの出番はなしってことやから、オルト村の南東行くなり何なり、好きなように行動しようや。それでええな、リーダー代理?
【カーム】 おう。ルニオールの街に戻るぞ〜。
【GM】 では、時間を飛ばして翌日の夕方、皆さんはルニオールに戻ってきました。
【カーム】 じゃあ、魔術師ギルドにゼム村の住人の検死結果を聞きに行こう。
【GM】 「残念ながら、曖昧なことしかわかりませんでした。どうやら、呪い系に近い力によって、殺されたのではないかと思われます」
【シーザー】 毒やガスや病気とかじゃなかったんやな。
【アルフレッド】 呪いってことは、それを解く方法はないんかな?
【GM】 「呪いを解くと言われても……。村人は、すでに死んでますんでね」
【アルフレッド】 はあ、死んでるわけやね。
【シーザー】 「死んでるわけやね」って死んでたんや! だから司法解剖に回したんやろ。生きてんのに解剖してもてどうすんのよ。腹ワタだって抜かれてまうやろに。
【アルフレッド】 仮死状態なんかも知れへんやん、もしかしたら。
【シーザー】 それやったら、シャーマンのあんたにはすぐに分かるやろ。それを踏まえて、GMは「死んでる」って言うたんやから。
【GM】 そうやね。それに、魔術師ギルドの先生は「呪い系に近い力」と言ったのであって、『呪い』とは言ってないから。そういう超自然的な力によって、彼らは死に至ったというわけです。
【アルフレッド】 闇司祭の暗黒魔法にそんなんあったっけ。
【GM】 シーザーなら知ってると思うけど、高レベルの暗黒魔法の中に、そういうものがあるようです。ま、人間超えてるような連中の魔法ですけど。
【シーザー】 たとえ犯人がいて、それを割り出せたとしても、俺らじゃ勝てんやろな。
【カーム】 ……することがなくなってしまったな。どうしよう。
【アルフレッド】 よしッ、今こそオルト村の南東に行くべきや! 楽しいで〜、きっと。
【カーム】 することないし、行くしかないよな〜。明日の朝、出発や。
【GM】 それじゃあ、翌朝になりました。もう一度、バジェット村経由でオルト村に向かうんですな。では、その日の夕方に、再びバジェット村に入りました。そのままバジェット村を素通りする、ということでいいんですか?
【アルフレッド】 いや、やっぱり情報を聞くよ。今回はまずいからァ、口が固そうな宿屋の主人に──。
【GM】 はい??
【シーザー】 何をぬかしとんねん、この蛮族は。
【リィン】 わけがわからん〜。
【GM】 バジェット村には、宿屋は1軒しかないんやけどね。この頃、皆さんが頻繁に利用している宿屋です。そこで情報収集するわけね。
【シーザー】 闇司祭はもうおらへんの?
【GM】 見当たりませんね。
【シーザー】 それじゃ、酒場のオヤジに闇司祭の容姿を説明して、そいつらがどこへ向かってそうやったか、聞いてみよう。
【GM】 う〜ん……難しいですね。宿屋の主人は、「メカリアから来て、ルニオールには向かわないようなことを言っていた」と言います。
【リィン】 じゃあ、オルト村の南東に行ったんや。そこに何があるんか聞いてみる。
【GM】 「オルトの南東には、もうひとつ村があるよ」
【カーム】 バラスという村か?
【GM】 「いや、そんな名前の村はないよ。トリスという村だ」
【リィン】 そこも滅びてたりしてへんかなあ。
【カーム】 とりあえず、トリス村に行ってみよか。
【GM】 では、翌日、オルト村に到着し、そこからトリス村に向います。トリス村への道は1本しかないので、迷うことはありません。オルトを発った翌日には、トリス村に着くことができました。が、人の気配がしません。
【リィン】 また全滅してんのか?
【アルフレッド】 大声で村人を探すんや。「お〜い、誰かいねえか!?」
【GM】 まあ、見てもらったらわかるんですけど、村の道端にオーガーの死体が転がってます。その周辺には、オーガーに殺された人の死体も散乱してるけど。
【シーザー】 オーガーの死体を調べてみる。
【GM】 刃物による切り傷もあれば、炎で焼かれたような跡もあります。
【シーザー】 冒険者あたりに殺されたんかな。とりあえず、生存者を探してみよう。手近な家に入ってみる。
【GM】 しかし、家の中には誰もいませんね。
【リィン】 死んでるんじゃなくて、おれへんの?
【アルフレッド】 どっかで働かされてるとか。
【シーザー】 人間の死体を数えてみよう。
【GM】 すると、村の総人口というには、あまりに少ないことがわかります。
【アルフレッド】 オルト村の奴らみたいに、どこかに避難したんとちゃうか。大移動したような足跡がないか、レンジャー技能で調べてみる。(ころっ)。
【リィン】 うちも調べてみよっと。(ころっ)。
【GM】 アルフレッドは、村のはずれに大勢の人間の足跡を発見しました。それは、南東の森の中に続いてるよ。
【カーム】 よっしゃ、その足跡を追跡して行く。
【GM】 では、皆さんは森の中に入りました。そして、足跡を追いつづけて行くと、森が切り開かれた場所に出ました。前方には、遺跡らしき石造りの建物が見える。足跡は、そっちのほうに続いているようです。
【アルフレッド】 遺跡……宝箱……伝説の剣……突撃ィ〜!!
【GM】 アルフレッドは突撃するわけね。
【アルフレッド】 いや、やっぱり敵に注意しながら進みます。
【GM】 でも、そうやって注意を払うまでは、突撃してたわけやから。隊列は──リィンが最後尾か。なら、いちばん後ろのリィンは、背後から何者かに捕らえられます。
【リィン】 何に捕まったん?
【GM】 背後からだから、それはリィンにはわからない。そしてリィンの喉もとには、ダガーが突きつけられた!

闇司祭からの依頼

【シーザー】 武器はダガーか。1回刺して生命力を0にするほどの攻撃力はないやろ。問題なし。
【GM】 あのね。ふつう、喉を刺されると1発で死んでしまうと思うけど?
【アルフレッド】 とりあえず、異変に気づいて振り向くでしょう。
【シーザー】 そして俺は剣を構えて、「武器を捨てろ!」と言う。
【リィン】 逆や、逆!
【GM】 すると「それはこっちのセリフだ!」と言い返された。リィンを捕らえたのはどうやら、人間の男のようです。人相はかなり悪いね。
【シーザー】 ほんなら、武器を捨てる。
【アルフレッド】 あっさりやな。
【シーザー】 そいつは闇司祭か?
【GM】 え〜、そう言われてもGMとしては答えにくいんですけど……。
【シーザー】 いや、聞いてん。「おまえは闇司祭か」と。
【GM】 それなら男は「ちがう」と答えます。
【カーム】 じゃあ、何者や。
【GM】 「それもこっちのセリフだ」
【シーザー】 では「シーザー・マルケスだ」と答えておこう。
【GM】 「名前が聞きたいわけじゃない! おまえたちは何者だ」
【アルフレッド】 「通りすがりの正義の冒険者だ」
【GM】 「ここへ何しに来た」
【カーム】 「いや、別にねぇ……何かないかなぁ、って」。で、相手の反応は?
【GM】 う〜ん、そういう受け答えをされると……困るんやけどね。
【アルフレッド】 きっと僕が、「ゼム村とトリス村に起こっている、不可思議な事件を調べに来た」と正直に言ってしまうねんで。
【GM】 その答えもまた、男側にとっては、あまり的を射たものではないんですけど。男は、「この遺跡に何があるのか、知っているのか?」と訪ねてきます。
【カーム】 「知らん、知らん」
【シーザー】 って言うより、ここに遺跡があることも知らんかったからな。
【リィン】 来てみたらあっただけ。
【シーザー】 逆に「あの遺跡は何なんだ?」と質問しよう。
【GM】 じゃあ、そのとき別の男がやって来て、「本当に何も知らないようだな。放してやれ」と言います。リィンは解放されました。
【リィン】 すぐにそいつらから離れる。
【シーザー】 で、俺は剣を拾って「へっへっへ、バカめ〜」。
【GM】 なんて悪い奴だ。それは置いといて、新しく現れた男は、リゼル村とバジェット村の酒場で見かけた、暗黒神クートラの闇司祭です。
【リィン】 ほう。
【GM】 そいつは「私の名はアシュベル」と名乗ります。
【シーザー】 「俺はシーザー・マルケスだ」。ちなみに俺が至高神シルファスの司祭であることは、そいつには秘密。
【GM】 「よろしく、シーザー」とアシュベルは握手してきて、「ところでキミたちは冒険者のようだが、正当な報酬を支払えば、仕事をしてもらえるだろうか」と言ってきます。
【シーザー】 内容による。「できることと、できないことがあるさ」
【カーム】 遺跡で土木作業というのは、なしの方向で。
【GM】 アシュベルの話では、彼らはあるものを追って、この遺跡までやって来たらしい。
【カーム】 その物とは?
【シーザー】 バラス。
【GM】 それについては答えられないけど──。
【リィン】 バラス。
【GM】 よっぽど『バラス』が気になってるんですね。
【カーム】 アシュベルに直接、バラスのことを聞いてみる?
【シーザー】 「どこでそれを聞いた」と言われたら困るから、やめとこ。
【GM】 話を続けますよ。アシュベルが依頼したい仕事内容は、「ある物を持って帰るためにこれから遺跡に入るんだが、手伝ってくれないか」ということです。
【アルフレッド】 ある物というのは?
【GM】 壺です。
【リィン】 その壺、悪魔が入ってるんやろ。
【GM】 それはわかりません。
【カーム】 闇司祭たちはついてくんのか?
【GM】 もちろん。
【アルフレッド】 どうすんの、シーザー。シルファスの司祭として、クートラの闇司祭の仕事を引き受けれるんか?
【シーザー】 引き受けるよ。こいつらの目的がホントに、『デーモン・ジャー』みたいな物を持って帰ることやったら、俺たちにはそれを阻止する使命がある。その決意を心に秘めて行くぞ。
【カーム】 で、報酬はいくらなんかな。
【GM】 「報酬は、ひとりあたり1000フィスでどうだろう」
【カーム】 おお、けっこう多い。引き受けた!
【アルフレッド】 リーダー代理のひと言で、決定されたな。
【シーザー】 じゃあ、遺跡に入ろう。
【GM】 では、皆さんの隊列を教えてくれませんか?
【アルフレッド】 先頭はまあ、僕とリーダー代理やろな。
【シーザー】 なら、真ン中で。
【リィン】 いちばん後ろがうちか。
【GM】 アシュベルと人相の悪い男は、リィンの後ろにつくよ。リィンにはわかるんやけど、人相の悪い男──さっきリィンにダガーを突きつけた男は、身のこなし方から見て、どうやら盗賊のようです。
【リィン】 盗賊がうちの後ろにおるんか。イヤやな〜。
【シーザー】 警戒しとけ。目的の場所に着いたとたん、「ご苦労だったな。消えてもらうぞ」とか言われかねんから。
【リィン】 ほんじゃ、背後にじゅうぶん気ィつけとこっと。
【GM】 ちなみに、この人たちは遺跡の内部は知りませんから、案内なんかできへんからね。

 冒険者たちは、闇司祭たちを従えて遺跡を進む。途中に入った美術品だらけの部屋で──。

【GM】 リィンは、どこからか何者かに見られているような気がするよ。
【リィン】 後ろのふたりじゃなくて?
【GM】 そう。はっきりと視線を感じとることはできないけど、確かに覗かれてるような感じがする。
【カーム】 呼んでみる。「出てこい、そこにいるのはわかってるぞ!」
【シーザー】 『そこ』ってどこやねん。
【GM】 しかし、カームの呼びかけに反応はないよ。
【アルフレッド】 うわっ、哀し〜!
【シーザー】 リィン、美術品の山に〈センス・マジック〉してみ。ひょっとしたら、魔法の物品が隠されてるかも知れん。
【リィン】 〈センス・マジック〉するの? (ころっ)成功したよ。
【GM】 するとね、部屋の左隅のあたりのある空間が反応します。
【シーザー】 空間が? そこに幻覚の魔法がかかってんのかな。
【カーム】 地縛霊ちゃうか。
【アルフレッド】 そこを調べんのは後でええんちゃう? 早く先に進もうぜ。

 冒険者とアシュベルたちは、美術品の部屋を出て、さらに遺跡の奥へと向かった。途中、地下へ伸びる階段を下った一行は、その突き当たりの小部屋の奥に、両開きで大きめの扉があるのを見つけた。
 その「いかにも」という造りに、「ボスの部屋や!」と大騒ぎする冒険者たち。
 中の様子を探ろうと、リィンが[聞き耳]してみると──。

【GM】 リィンは[精神力抵抗]と、回避ロールをしてもらえますか。ドアが弾け、中から何かが飛び出てきた。
【リィン】 え?? (ころっ)。
【GM】 それじゃ、弾け飛んだドアのダメージはなし。中から飛んできたもののダメージを、7点受けます。
【シーザー】 何が飛び出てきたん?
【GM】 魔法のエネルギー弾です。そして壊れた扉から、中の様子が伺えます。中はかなりの大部屋で、その奥に、人影がふたつある。片方は人間の男性のように見えるけど、もう片方は、肌の色が赤色の怪人です。
【カーム】【リィン】 [怪物判定](ころっ)。
【GM】 赤い肌の怪人の名前は、ザルバード。デーモン系のモンスターです。ふたりにわかったのは、そのぐらい。それから人間男性のほうは、小脇に壺を抱えてるよ。
【カーム】 きっと、名前呼ばれて返事したら吸い込まれる壺やで。
【リィン】 ちがうよ。そいつでデーモンを呼び出したんに決まってるやんか。
【カーム】 で、その男たちの反応はどうなん?
【GM】 皆さんの登場に驚いた様子もなく、すでに戦闘態勢ですね。そしてアシュベルたちに、「おまえらの思いどおりにはさせん!」と、敵意剥き出しで言い放ちます。
 それに対してアシュベルは、「バラス、おとなしくその壺を渡すんだ」と言います。
【リィン】 『バラス』って、そいつの名前やったんか。
【カーム】 仲間やったんやな。バラスがアシュベルを裏切ったか何かしたんや。
【シーザー】 大事な壺を小脇に抱えてるわ、すでに戦闘態勢やわ、きっとそいつは、俺らがその壺を取りに来たということを知ってたんや。
【アルフレッド】 いや、いっつも壺を持ってるような奴なんかも知れへん。
【シーザー】 見張られてたんや。美術品の部屋で誰かに見られてた、っていうのは、こいつのことや。遠見の魔法か何かで覗いてたんやろ。
【リィン】 ああ、〈センス・マジック〉で反応したところに、覗きの魔法が働いてたんか。
【カーム】 戦闘態勢ということは〜、戦闘しなくちゃ〜。
【アルフレッド】 その前にシーザー、そいつが悪者かどうか、〈センス・イービル〉で調べてみてよ。
【シーザー】 調べてみるまでもなく、悪者に決まってるがな。デーモンを呼び出してる奴なんか、邪悪な人間以外の何者でもない。シルファスの教えでは。
【リィン】 じゃあ、アシュベルがいい奴なんかも知れへん、実は。
【シーザー】 クートラの信者にええ奴なんかおるはずがないやろ。邪悪な目的を持った者同士で争ってるんや、きっと。そんで俺らは、双方の争い漁夫の利を得るために、両者を成敗せんといかんねん。
【GM】 さて、バラスはアシュベルの勧告を無視して、その代わりに何か呪文のようなものを唱えます。すると、新たにデーモンが現れました。直立したドラゴンのような顔をした、人間大の悪魔です。
【シーザー】 やっぱりその壺は『デーモン・ジャー』か。
【GM】 そしてアシュベルさんが、「あの壺を取り戻してくれ」と皆さんに言います。
【カーム】 壊れてもええか?
【シーザー】 というより、壊してしまおう。どさくさに紛れて。
【リィン】 わざと落っことすとか。
【アルフレッド】 確かにそうやな。『デーモン・ジャー』やからな。
【シーザー】 ──ということを、こっそり打合せする。アイ・コンタクトで。
【GM】 わかりました。
【カーム】 戦闘開始!

魔王誕生す?

【リィン】 自分のスピアに〈エンチャント・ウェポン〉(ころっ)かかった。
【シーザー】 俺はバラスに攻撃。(ころっ)はずれ。
【アルフレッド】 自分に〈ファナティシズム〉(ころっ)成功。
【GM】 下位魔神ザルバードが、シーザーとバラスの間に割り込んで、シーザーに攻撃。ヒットして、3点のダメージね。アシュベルたちは動きません。カームの番。
【カーム】 ザルバードに移動攻撃。(ころっ)はずれ。
【GM】 ドラゴン魔神がシーザーに攻撃してはずれ。第2ラウンド。
【リィン】 自分に〈カウンター・マジック〉(ころっ)かかった。
【シーザー】 ザルバードに攻撃。(ころっ)ヒット、ダメージ10発。
【アルフレッド】 僕もザルバードに攻撃、(ころっ)はずれ。
【GM】 魔神たちの反撃ですね。ザルバードがシーザーに攻撃、1点のダメージ。カームはドラゴン魔神に炎を吐きかけられて、5点のダメージ。
【カーム】 楯を捨てて、バスタードを両手持ちにする。で、ザルバードに攻撃。(ころっ)はずれ。
【GM】 では、第3ラウンド。

 このラウンド、リィンは自分に〈プロテクション〉をかけて、なおも準備に余念がない。シーザーは、このラウンドまでに生命力を大幅に削られたため、隣の小部屋まで後退。アルフレッドは武器での攻撃をはずした。そしてアシュベルが、リィンとシーザーに〈フィジカル・エンチャント〉をかけて、ふたりの器用度を上昇させた。
 ザルバードの両手攻撃で、合計5点のダメージを受けたカームの反撃は、はずれ。そしてドラゴン頭の両手攻撃が、アルフレッドに合計11点のダメージを与えた。
 第4ラウンド、魔法で自分を強化しまくったリィンが、ようやく出動。ザルバードに少しばかりのダメージを与える。シーザーは、自分とリィンに〈キュアー・ウーンズ〉をかけて傷を全快させた。
 ザルバードのカームへの攻撃は鎧で止められ、その反撃で、カームがザルバードに痛手を負わせた。しかしその直後、リィンがドラゴン頭から炎による5点のダメージをくらった。

【リィン】 痛〜。ドラゴン頭に仕返し。(ころっ)はずれ。
【シーザー】 〈キュアー・ウーンズ〉で、リィンの傷を治す。(ころっ)8点回復。
【アルフレッド】 僕はザルバードに攻撃、オラぁ〜っ! (ころっ)ミス!
【GM】 アシュベルが、皆さんを巻き込まないよう爆心地をずらして、〈ファイア・ボール〉をかけます。その結果、ザルバードが消滅しました。
【カーム】 ドラゴン頭に攻撃。(ころっ)クリティカルヒット、22点!
【GM】 22点? ──ああ、死んだ。
【アルフレッド】 よっしゃ〜!! あとはバラスだけや!
【カーム】 バラス、降伏せえへんかな。
【シーザー】 またデーモンを召喚したりして。
【GM】 では、ご期待に沿いまして、(ころっ)ヘルハウンドが4匹出ました。
【カーム】 ヘルハウンドって、調べんでもわかったの?
【GM】 あ、前に出さへんかったっけ? じゃ、アシュベルが「ヘルハウンドだ!」と叫んだんやね。ちなみに、バラスへ直接攻撃できる位置にいるのは、アルフレッドとリィンのふたりです。では、第6ラウンド。
【アルフレッド】 しかし、ヘルハウンド4匹はきつい……。
【リィン】 バラスに攻撃。(ころっ)クリティカルヒットで19点。
【GM】 それは殺されましたね。バラスが「バカな〜」と叫びながら倒れる拍子に、壺は手から離れて宙に舞います。
【アルフレッド】 「うらぁ〜」と走って、その壺をキャッチする。
【GM】 じゃあ、アルフレッドはビリっときて、10点のダメージを受けたよ。
【シーザー】 別にキャッチなんかせんでも、放っといたら壊れたのに。壊すのが目的なんやぞ。
【アルフレッド】 はっはっは、すっかり忘れとった! 無駄なことして、残り生命力が2点やがぃ。
【GM】 ちなみにアルフレッドは、衝撃で壺を手放してしまったよ。壺は淡い光を放ちながら、宙に浮いてます。で、召喚されたヘルハウンドたちは、4匹でもってカームを取り囲む。とりあえず、そこまでね。
【カーム】 犬どもをまたいで逃げようとする。
【GM】 『犬』と言うても、ヘルハウンドは小型の馬ほどの大きさやで。まあ、またぐのは無理でも、ふつうに囲みを突破することは可能ですよ。囲むと言っても半円やから。
【シーザー】 小部屋まで逃げてこい、カーム。
【カーム】 でも、背後から攻撃くらうと痛いからな〜。楯を拾って[パリィ(防御姿勢)]する。
【アルフレッド】 なるほど、それは賢いな。
【シーザー】 ヘルハウンドって、火ィ吐くぞ?
【カーム】 それは困る。しゃあないな〜、ほんならラージ・シールドを拾いつつ、小部屋に逃げるか。
【アルフレッド】 その小部屋で待ち伏せするというのは、どう? 扉は壊れてるけど、そこなら1匹ずつしか出てこられんはずやろ。モグラ叩きみたいにして、やっつけれるで。
【シーザー】 そうやって出て来てくれるんならええけど、入口のそばで炎を吐くかも知れんぞ。ま、とりあえず次のラウンドで、蛮族も逃げてこい。そんな生命力じゃ一発で死ぬやろ。
【GM】 カームは逃げるんですね? じゃ、第7ラウンドです。リィンからどうぞ。
【リィン】 うちも小部屋まで逃げよっと。
【シーザー】 俺は小部屋から出て、階段まで後退。
【アルフレッド】 僕も小部屋に退避。ってゆーか、傷を治して欲しかった。
【リィン】 アシュベルに治してもらい。
【GM】 じゃあ、アシュベルさんが〈キュアー・ウーンズ〉を唱えます。(ころっ)11点回復。
【アルフレッド】 助かりました。
【GM】 「我が偉大なる暗黒神に感謝するのだな」
【アルフレッド】 ありがとうございます〜。
【リィン】 蛮族、闇信者になったりして。
【シーザー】 全員、階段のところまで後退して来い。バラスの間の扉は砕け散ってるけど、小部屋の扉は残ってる。小部屋の扉を閉めて、〈ロック〉をかけてしまおうぜ。
【リィン】 でも精神力が足りないよ〜。
【シーザー】 俺が〈トランスファー・メンタルパワー〉で分けたる。
【アルフレッド】 でも、それじゃまずいやろ。たとえヘルハウンドを閉じ込めても、けっきょく、壺を取りにバラスの間に戻らんとアカンねんで? アシュベルさんの依頼を果たすためには。
【リィン】 うちらは壺なんかいらんやん。
【カーム】 それに、別にアシュベルの依頼を果たしてやるのが目的じゃないからな。逆に『デーモン・ジャー』を渡さへんようにするのが、オレらの目的やのに。
【シーザー】 アシュベルには、「全力を尽くしたけど無理でした」ってことにしといて、『デーモン・ジャー』はここに封印してしまうんや。
【リィン】 あっ、蛮族の奴、さっき傷を治してもらったから、アシュベルに寝返ったんちゃうか。
【GM】 ヘルハウンドの行動。皆さんは、隣の小部屋にいるんですね? では、2匹が壊れた扉近くまでやって来て、カームとリィンを牙で攻撃──どちらも回避された。
【アルフレッド】 みんなでそいつらを殴ったれ〜。
【リィン】 ヘルハウンドBに攻撃。(ころっ)はずれ。
【シーザー】 俺は後ろやからな。ヘルハウンドAに〈フォース〉! (ころっ)9点のダメージ。
【アルフレッド】 Aに攻撃! (ころっ)残念〜。
【GM】 ヘルハウンドは、2匹ともカームを攻撃する。1匹が当てたけど、鎧で止められた。
【カーム】 バスタードソードを両手持ちにして、Bに攻撃。(ころっ)クリティカルヒット2連発で、28点のダメージ。
【GM】 「キャン」と鳴いたかどうかは知らんけど、Bは死亡。第8ラウンドの始めに、バラスの間の奥で浮いたままになってた壺に、ひびが入ります。
【アルフレッド】 ヘルハウンドを倒すたびに、ひびが多くなっていくんや。そんで最後には、砕け散ってしまうと。
【GM】 ──かどうかは知りませんが、壺を包んでいた淡い光は消え失せ、ひびからドス黒い靄みたいなものが噴き出てきます。
【アルフレッド】 なるほど、なるほど。ヘルハウンドを攻撃!
【シーザー】 待て。もっとすごい魔神がやって来ようとしてるのかも知れんぞ。
【アルフレッド】 ええがな、ええがな。どんどん倒していったれ〜。
【シーザー】 ったく、蛮族ときた日には。
【GM】 え〜っと、じゃあ、第8ラウンド目を開始するで。
【リィン】 黒い靄ってイヤやけど、あと1ラウンドぐらいなら攻撃していいかな。ヘルハウンドAに攻撃。(ころっ)ヒット、でもダメージがへっぼ〜。
【シーザー】 Aに〈フォース〉! (ころっ)7発。
【アルフレッド】 Aに攻撃。(ころっ)10点のダメージ。アシュベルたちはどうしてんの?
【GM】 アシュベルたちは、シーザーの話を聞いて逃げにかかってるよ。すでに小部屋を出て、階段を登ってますね。
【アルフレッド】 僕はどんな魔神が出てくるか、見るだけ見ときたいな。
【シーザー】 おう、勝手に見とけ。俺たちはさっさと外に出て、小部屋の扉に〈ロック〉をかけよう。
【リィン】 うん、扉を封印してしまう。
【アルフレッド】 え!? みんな逃げるの?
【カーム】【シーザー】【リィン】 うん。
【GM】 部屋の奥にいたヘルハウンドCが、大部屋の入口までやって来ます。ヘルハウンドAはカームに攻撃。はずれました。
【カーム】 最後にもう一度だけ、ヘルハウンドAに攻撃。(ころっ)はずれ。
【GM】 第9ラウンド。壺のひび割れはひどくなり、靄はどんどん広がっていく!
【リィン】 小部屋から逃げる。
【シーザー】 リィンに〈トランスファー・メンタルパワー〉。(ころっ)3点渡し。
【アルフレッド】 [パリィ]しながら下がる。ゆっくりとな。
【シーザー】 え、見に行かへんの、キミ。
【アルフレッド】 そのためにゆっくり下がってるんやんか。
【GM】 こちらの番ですね。ヘルハウンドAはカームに炎を吐きました。5点のダメージね。Cは蛮族に攻撃して、はずれ。
【カーム】 ヘロヘロ〜ンと小部屋から脱出。
【GM】 そうすると、小部屋に残ってるのは蛮族だけやね。第10ラウンドです。いよいよ壺は割れてしまい、中から噴き出た黒い靄が、雲のように宙に漂います。では、そちらの行動を教えてください。
【シーザー】 いちばん速い人が扉を閉めて封印。
【アルフレッド】 僕はどうなるねん。
【シーザー】 だから「早く逃げてこい」って言うたのに。
【リィン】 ホントに閉めるの?
【アルフレッド】 「開けてくれ〜!」ダンダンダン!
【シーザー】 そのノックが途中で途切れて、中から「うぎゃあああ〜ッ!!」っていう悲鳴が聞こえたりして。まあええわ、蛮族が小部屋から出てくるのを待とう。リィンは行動を最後尾に回してやって。
【リィン】 うん、蛮族を待ってやる。
【アルフレッド】 じゃ、ま、魔神も見たし「うひょ〜!」って逃げよう。
【シーザー】 小部屋から出るとき扉を閉めてな。
【アルフレッド】 閉めました。ガチャン。
【GM】 こちらの行動は、特にありません。
【リィン】 じゃ、〈ロック〉。(ころっ)うわっ、あぶねー。よかった〜、何とかかかった。達成値はかなり低いけど。
【シーザー】 安い封印やなぁ、障子と変わらん。ところで、何でいきなり壊れてしまったんやろ、あの壺。
【GM】 アシュベルが言うには、「あくまで推測だが、使い過ぎてしまったようだ」らしいです。「壺の乱用が、制御できないものを呼び出すきっかけになってしまったのではないか」ということです。
【アルフレッド】 あの魔神や、ヘルハウンドってどうなるんやろ。勝手に魔界に戻るんやろか。
【GM】 さあ、それはどうでしょうねぇ。扉を閉める直前には、壺から出た黒い靄が、殺されたバラスの死体に潜り込みつつあったように見えましたけど。
【リィン】 やっべ〜。
【シーザー】 たぶん、ここはボスの間になってしまうんや……魔王の誕生や。
【GM】 ところで、アシュベル的には冒険失敗なんですけど、「いちおう手伝ってくれたから」ということで、約束どおり彼は謝礼を払ってくれます。ひとり1000フィスを手に入れた。
【リィン】 やったー!
【シーザー】 闇司祭の目的も阻止できたし、一石二鳥や。
【アルフレッド】 「ところでアシュベルさん。あんた、伝説の剣を知らねえか」
【GM】 「いや、知らん」。この人はかなり南のアリステア地方から来てますからね。オムスク地方の伝承については、あまりよく知らないんですよ。
【シーザー】 そういえば、アリステア地方に、クローヴィアっていうクートラが国教の王国があったな。アシュベルはそこの出身なんか。
【GM】 それについては答えない、と。「それではさらばだ」と、アシュベルさんは盗賊と風を引き連れて、去って行きました。
【シーザー】 よし、俺たちもルニオールの街に戻ろう。
【アルフレッド】 あ〜あ、僕はまた伝説の剣の情報を集め直そっと。思いきって、オレンブルクにでも行ってみようかな。
【カーム】 けっきょく、トリス村の奴らはどこに消えてしまったんや。
【シーザー】 ホンマや。な〜にも解決してへん。オーガーもけっきょく、何やったんかわかってへんし、ゼム村の全滅事件だって『呪い?』やし。最後の黒い靄がどーなったんかも、実はわかってへんし。
【リィン】 ナゾだらけ。謎が謎を呼んでいる。
【アルフレッド】 いつか全部の謎が解ける日が来るんやろか。

÷÷ つづく ÷÷
©2000 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2000 Jun Hayashida
Map ©2000 Moyo
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