▽ 館の捜索の事 | ▽ 闇司祭との対決の事 | ▽ 父のもとに帰る事 |
【GM】 ティガーにリンのペンダントを見せられたイアンは、「あっ、これは女房のペンダント!」と、驚いている。
「これをどこで?」
【シルヴィア】 じゃあ、森の中であったことを説明する。
【ティガー】 「その嫁さんって、誰かに誘拐されたっぽいよ。いつ、いなくなったん?」
【GM】 えーっと、2ヶ月前の夕方、ひとりで井戸に水を汲みに行って、そのまま帰ってこなかったらしい。2番目に失踪した女性です。
【ティガー】 いなくなったのは、全部で4人やったっけ
【シルヴィア】 ちなみに、他に失踪した3人は、どういう感じのひとたちなん?
【GM】 3人とも、メルフェー村に住む若い女性。16歳の娘、17歳の娘、22歳の人妻。
【ティガー】 失踪した時期とかは?
【GM】 最初に行方知れずになったのは、村はずれに薪を拾いに行ってた16歳の娘で、それが1月の末頃。最後にいなくなったのは、22歳の人妻で、10日ほど前。
この間、定期的に失踪事件が起きてたわけではない。
【ティガー】 それって、みんなひとりでいるとき?
【GM】 たぶんね。目撃者がいないから。
【シルヴィア】 「これから、もういちど森の館に戻るつもりなんやけど、リンさんに何か言づけはある?」って、イアンさんに聞くよ。
【GM】 「というか、生きてるのなら、連れて帰ってきて欲しいです」
【ティガー】 じゃあ、今から森に行ってみよう。
【GM】 今は夕方だから、じきに暗くなるよ?
【メイユール】 行こうよ。あの館、不夜城かも知れんで(笑)。
【ティガー】 今から出かければ、暗くなる前に行けるかな?
【GM】 途中で真っ暗になるやろね。
【ティガー】 途中まで行けるんなら、いいよ。行く。
【GM】 では、キミたちは薄暗い森の中に入った。
【シルヴィア】 ランタンに灯をつけるよ。
【GM】 ところで、館へ通じる道に、何か目印などは残してるかな?
【ティガー】 そんなこと、してない。
【GM】 なら、もう辺りは暗くなりかけてるし、難易度を高めにして、レンジャー技能で迷わなかったかどうかの判定をしてもらおうか。
【メイユール】 レンジャーで振るのイヤ〜。(ころっ)あっ、出た。よかった。夜の蝶や。
【シルヴィア】 夜行性か。暗くなったら、元気になるんや。
【GM】 んじゃ、やがて、あの館が見えてきた。辺りはすでに闇の底。月の冷めた光の下に、あの不気味な洋館はたたずんでいる。
【シルヴィア】 ランタンのシャッターを閉めて、向こうから見えないようにする。
【GM】 月光だけが、唯一の頼りになったね。
【ティガー】 館に明かりはついてる?
【GM】 1階の一室の窓から、明かりが漏れてる。門のところにいるキミたちから見ると、玄関の左側の部屋(B)の窓やね。
玄関を挟んで反対側にある部屋(D)には、明かりはついてないみたい。
【シルヴィア】 明かりのある部屋(B)に、動いてる影は見えたりせえへんの?
【GM】 見えない。
【ティガー】 鎧を脱いで、部屋(B)の窓の下に行く。で、[聞き耳]、(ころっ)。
【GM】 何も聞こえない。気配はないね。
【ティガー】 あの女に会いたいな。じゃあ、明かりのついてない、玄関の向こう部屋(D)の窓の下に行く。窓に鍵はかかってる?
【GM】 かかってるよ。
【ティガー】 じゃあ、[鍵開け]。(ころっ)成功。
【メイユール】 他人の家の鍵を開ける王子様や。
【ティガー】 中、誰かいる? [聞き耳]、(ころっ)。
【GM】 中に気配は感じない。ティガーが鍵をいじってても、誰も出てこなかったし。でも、そういうのって、普通[鍵開け]する前にせえへん?(笑)
【ティガー】 じゃあ、窓をそおっと開けて、こっそりおじゃましてみる。
【GM】 ティガーは部屋(D)に進入した。中は真っ暗です。
【ティガー】 見えない(笑)。この部屋、どこかからか、明かりが漏れてるとかはない?
【GM】 ドアがひとつあるみたいで、その隙間から明かりが漏れてる。外から見た感じでは、そこは玄関ホールのはず。
【ティガー】 ドアのそばまで行ってみて、ちょっと開けてみる。
【GM】 予想どおり、玄関ホールやね。昼間、リンと会った場所です。
リプレイでは、すでに完成した館の見取り図が載せられていますが、セッションのときは、ティガーが調べたところを、その都度、GMがメモ用紙に描き足して説明していました。
つまりティガーは、未探索の場所がどのような造りになっているか、知っていません。
【ティガー】 こそ〜っと見てみるけど、誰かいる?
【GM】 人影はない。ホールには、上に行く階段と、今、キミがいるところも含めて5つの扉がある。
【ティガー】 ホールから明かりが入ってきたから、部屋(D)の様子が見れたりしいへん?
【GM】 ああ、見えるよな。そこは書斎っぽい。机があるし、窓と反対側の壁際には、からっぽの本棚が並んでる。
【ティガー】 からっぽか。館の主が何者か、わかりそうな本はないのか。
【GM】 残念ながら。ちなみに、本棚には埃が溜まってる様子もないよ。
【ティガー】 じゃあ、玄関ホールに出てみる。リンが出てきた扉はどれ?
【GM】 部屋(D)の扉の斜交いにある扉。
【ティガー】 そこに行って、[聞き耳]する。(ころっ)──気配はない、と。ドアを開けてみよう。
【GM】 そこは部屋(A)。真っ暗だけど、ホールの明かりが差し込むので、多少は中の様子が見える。どうやら、厨房のようやね。無人です。
【ティガー】 誰もおれへんの? 怖いな〜。帰ろうっと。入ってきた部屋(D)の窓から出る。鍵は開けたままで。
【メイユール】 窓からティガーがカサカサと出てきたで。玄関を開けて出ようよ〜。
【ティガー】 「とりあえず、部屋をふたつ見たけど、誰もおらんかった。女の人も、昼いたとこにはおらんかったよ」って言うとく。
【シルヴィア】 明かりがついてる部屋(B)は、何やったん?
【ティガー】 さあ? 誰かいそうやったから、中を見るのやめてん。
【シルヴィア】 誰かいそうなとこを調べてよ(笑)。
【ティガー】 え〜!? いそうなとこ見るのん? じゃあ、見てくる。
もう1回、部屋(D)から中に入って、明かりがついてた部屋(B)の扉の前で[聞き耳]。(ころっ)
【GM】 気配は感じない。
【ティガー】 そぉ〜っと開けて、中を覗く。誰かいる?
【GM】 誰もいないよ。部屋(B)は食堂っぽいね。もちろん、テーブルの上にごちそうが並んでたりはしない。
【ティガー】 じゃあ、部屋(D)の隣の扉のとこに行って、[聞き耳]。(ころっ)──気配はないのか。どうしよう、中を見てみようかな〜……開けていい?
【GM】 いや、俺に聞かれても(笑)。
【ティガー】 そ〜っと開ける。
【GM】 倉庫のようで、誰もいない。奥の一角に、毛布がきちんとたたまれて置かれてある以外は、ガラクタばっかり。変なお面とか。
【メイユール】 王子様、もらっとき(笑)。
これで完成した館の見取り図を見ていたティガーは、何かに気づいた。
【ティガー】 ん?? 部屋(C)と部屋(D)の間に、不自然な隙間が。なに、これ?
……部屋(D)の本棚を動かしてみたい。
【GM】 ティガーが本棚のひとつに手をかけると、本棚がガコンと奥に引っ込み、隠し通路が口を開けたよ。
【ティガー】 あはははは(笑)。中はどんな感じ?
【GM】 地下へおりる階段があるけど、その先は真っ暗で何も見えない。
【メイユール】 さっき戻って来たとき、照明を持って行けばよかったのに。
【ティガー】 2階には何もなさそうやから、調べなくてもよさそう。どうせ、照明がないし。怪しいのは地下と見た。
【メイユール】 今ので、「行ける」と思い込んでしまったんやな(笑)。
【ティガー】 とりあえず、みんなのところに戻って、「地下へ行く階段を見つけた」って言う。あ、今度は玄関の扉を開けて出るから。
4人は、その隠し階段から、地下へ行ってみることにした。ティガーは戦闘に備えて、鎧を着なおした。
隠し階段は幅が狭く、螺旋状になっていた。ティガー、メイユール、サテラ、シルヴィアのの隊列で進む。
長い長い螺旋階段を下ってゆくと、やがて、鉄製の扉の前にたどり着いた。
冒険者たちは、扉を開けた。
【GM】 中は照明が灯っていて明るい。部屋の奥の壁には、こちらと同じ鉄製の扉があり、その前に、寝台がある。
寝台の上には、薄絹の衣を着せられたリンが、横たえられている。意識はないみたい。
その向こうに、黒いローブを纏ってダガーを手に持した、40代ぐらいの男がいる。
【ティガー】 そいつは、領主じゃないねんな? ノプスの神父でもない?
【GM】 そのどちらでもないよ。
黒いローブの男は、「我が主、全き自由の神クートラよ……」とか何とか、ごにょごにょと祈りを捧げてる。
【ティガー】 「ちょっと待てーッ!」って言う。
【シルヴィア】 クートラとか言うてる時点で、悪者確定やね。
【GM】 「あ、クートラじゃなくて、シルファスかも」
【ティガー】 間違えるな!(笑)
【シルヴィア】 とりあえず、いきなり〈エネルギー・ボルト〉をかけるよ。
【メイユール】 荒っぽいな。
【シルヴィア】 まずは、あのヤバそうな儀式を中断させんと。はったりかます。
【メイユール】 『はったり』って、マジ撃ちやんか(笑)。
【GM】 じゃあ、戦闘ラウンドになるね。ティガーからどうぞ。
【ティガー】 祭壇に行って、お姉さんを降ろす。
【サテラ】 男に〈エネルギー・ボルト〉をかける。(ころっ)抵抗されてしまった……8点のダメージ。
【GM】 メイユールと男は同時行動。
【メイユール】 男に〈シェイド〉。(ころっ)あッ、1ゾロ! もう、イヤや〜。
【GM】 シェイドは、メイユールの呼びかけに耳を貸してくれなかった。
黒ローブの男は、背後の扉から逃げだしたよ。
【シルヴィア】 〈エネルギー・ボルト〉の目標がなくなったので、キャンセルする。
【GM】 では、第2ラウンド。
冒険者たちは、男を追って寝台の奥の扉を飛び出した。その先も細い螺旋階段で、地上に向かっていた。
4人は、敏捷度順にティガー、サテラ、メイユール、シルヴィアの隊列となり、男を追って螺旋階段を駆け登る。
【ティガー】 お姉ちゃんを担いでるからね。
ティガーに追いつかれそうになった男は、魔法を唱えた。
【GM】 戦闘を走るティガーの目の前に、行く手を塞ぐような感じで、モコモコモコと石の壁ができあがった。
【ティガー】 シャーマンか?
【メイユール】 幻覚かもよ。
【ティガー】 ちょっと触ってみる。
【GM】 ティガーの腕はすり抜けた。
【ティガー】 幻覚か(笑)。じゃあ、先へ行く。レベル6シャーマンかと思ってびっくりしたけど、ソーサラーやった。
【シルヴィア】 これが〈イリュージョン〉やとしたら、相手はレベル5ソーサラーってことになるけど。もしそうなら、どっちにしろかなり凶悪やで。
やがて、螺旋階段を登りきると、そこは粗末な小屋の中だった。男は外に出たようだ。
冒険者たちも外に出てみると、どうやら、館の裏庭らしい。隠し階段の出口になっていたのは、納屋だった。向こうには、厩も見える。
男はそこにいた。
【GM】 ついに追いつかれたか。では、改めて戦闘ラウンド。
【ティガー】 お姉ちゃんを、納屋のとこに置いとく。
【GM】 置くという行為で1ラウンド使うよ。投げ捨てるなら、即座に武器を手にして攻撃できるけど。
【ティガー】 そんなん、しない。
【GM】 ティガーがお姉ちゃんを投げ捨てて、サテラとシルヴィアが、ふたりで〈フォーリング・コントロール〉したらええがな。
【ティガー】 するかーッ!
【シルヴィア】 「生贄に何すんねん」って、敵も一緒にかけたりして。
【ティガー】 ちやほやや(笑)。
【サテラ】 男に〈エネルギー・ボルト〉。(ころっ)ああ、ダメ……6点。
【GM】 男に当たったエネルギー弾は、バシュっと消えた。
【ティガー】 うわっ。そいつ、レベル6?
【メイユール】 男に〈ホールド〉。(ころっ)抵抗された。
【GM】 それと同時に、黒ローブの男は厩のかんぬきをはずし、「出でよ!」と、中のものに叫んだ。
【メイユール】 ロバが出てくる。
【シルヴィア】 フォレスト・ジャイアントやな。
【GM】 シルヴィア、正解。ただし、そのフォレスト・ジャイアントの胸には、ぽっかり穴が開いてるけどね。傷口が焦げてるところを見ると、魔法でやられたみたい。
【メイユール】 風通しよさそう。
【GM】 これで空力性能が30%向上してるからね。軽量化も図れて動きも俊敏に──というわけではない。動きはひどく緩慢です。
【ティガー】 「なんだ、ありゃー!?」って言う。
【GM】 メイユールは、そいつから黄色いオーラを感じる。「カレー味!」とか言ってる。
【メイユール】 オムレツかも。ティガー、食べ。
【ティガー】 イヤや〜。まずそう。
【GM】 男が、ジャイアントに「あの者たちを殺せ!」と命じたところで、敵方の行動は終わり。シルヴィア、どうぞ。
【シルヴィア】 男に〈エネルギー・ボルト〉。(ころっ)抵抗された。ダメージ8点。
【GM】 次のラウンド。
【ティガー】 どっちを殴ろうかな。黒ローブの男に攻撃。
【シルヴィア】 情報を聞きたいから、とどめを刺したらアカンで。
【ティガー】 OK〜。(ころっ)あっ、2回まわっちゃった! ダメージ30点。手加減、手加減!
【GM】 刃物で手加減はできんよ。おまけに後付けで宣言してるし(笑)。男は倒された。(ころっ)いちおう、死んではないけど。
【メイユール】 あーあ、一撃や。
【ティガー】 あははは(笑)。
その後、胸に穴の開いた黄色いオーラのフォレスト・ジャイアントを倒した。
【シルヴィア】 男を縛りあげて、[応急手当]しよう。
【GM】 では、男はメイユールに[応急手当]されて、意識を取り戻した。あ、寝たふりしとこう。
【ティガー】 ぺちっ。
【GM】 「痛え。……なぜ、殺さない?」
【シルヴィア】 まだ、聞くこと聞いてないから。とりあえず、質問。「キミは、あそこで何をしてたん?」
【GM】 「暗黒神に生贄を捧げ、我が望みを叶えてもらうための儀式だ」
【シルヴィア】 「どんな望み?」
【GM】 「ちょっとバンパイアにしてもらおっかな〜、とか」と、闇司祭の男は答えた。
「最初のひとりを捧げたとき、暗黒神から『さらに3人の魂を捧げよ』と言われたから、協力してもらって、生贄を捧げ続けてたのだ」
【ティガー】 なんで、リンをさらって、すぐに儀式せんかったん?
【GM】 儀式には準備がいるし、縁起のいい日じゃないとアカンし。それまでの間、身の回りの世話とかさせてたんやね。ゾンビとかサーバントよりか、使い勝手がいいし。
【メイユール】 リサイクルや。
【GM】 そう、リサイクル、リサイクル。環境にやさしいね。
【シルヴィア】 他の3人はすでに生贄にされたん?
【GM】 「したよ。リンでちょうど4人目やったんやけど」
【メイユール】 残念やったね〜。
【GM】 「まあ、いいや。また、別のところでやろうっと」
【ティガー】 いや、『次』なんてないから。
【GM】 「なんで?」って、イヤな予感がよぎってる。
【メイユール】 ここで、あんたの人生が終わるからかも。
【GM】 「そんな、ひとの生命を軽々しく扱うべきではない」と、闇司祭は説教する。
【ティガー】 おまえがな、そんなこと言われへんな?(笑)
【シルヴィア】 「何で死にたい?」って聞いてあげよう。
【ティガー】 選ばしてあげるわ。剣か、魔法か。魔法の種類もいっぱいあるよ。
【GM】 「法に則ってさ、官憲に突き出すとかして欲しい」
【ティガー】 それでも死刑やで、きっと。絶対。うん。
【GM】 「たとえそうでも、裁判を受けた結果なら納得できる。だから、メルフェー村の領主に突き出してくれたら、ええがな」と、闇司祭は言う。
【ティガー】 グルっぽいから、ダメ。あいつは怪しいねん。
【GM】 「怪しくないって〜!」
【シルヴィア】 あの領主とは、どういう関係なん? ちなみに〈センス・ライ〉を使うのは、めんどくさいねんけど。
【GM】 「じゃあ、使わなきゃいいじゃん。精神力をムダ使いするのは、よくないなぁ」
【ティガー】 「精神力をムダ使いしないために、今、殺す!」ちゃき!
【GM】 「わーッ、待ってくれぇ!」
【シルヴィア】 「もう、全部言いなさいよ。白状したら、共犯者と一緒に官憲に突き出してあげるから。キミだけここで死ぬのはイヤやろ?」
【ティガー】 「巻き添えにしたいやろ? もしあれなら、ノプスの神官もつけてあげるよ」
【GM】 「……領主には、ちょっと手伝いしてもらったかも」と、闇司祭は答える。
【ティガー】 何をしてもらったのかな?
【GM】 生贄の提供。「この儀式は、領主の提供でお送りしました」
【シルヴィア】 じゃあ、村に戻ろうか。こいつは、縛ったまま連れて帰ろう。証人や。
【ティガー】 お姉ちゃんも連れて帰ろう。
冒険者たちは、メルフェー村に戻った。
夜明け近いが、まだ陽が昇る気配はなく、深闇の底に村は眠っている。
4人は、イアンの家にリンを送り届けた。イアンにすべての事情を話し、村人リーダーのマッカイに伝えてもらうように頼んだ。
そして、闇司祭を連れたまま、まず、ノプス神父がいる教会に踏み込んだ。
【GM】 2階が神父の寝室。キミたちが踏み込むと、神父はベッドでぬいぐるみを抱いて寝ていた。
【ティガー】 そのぬいぐるみを取る。
【GM】 取られたので、目を覚ました。「な、なんですか、あなたたちは?!」
【ティガー】 さっき捕まえた闇司祭を見せる。
【メイユール】 闇司祭の顔を、ランタンでガーっと照らして。
【ティガー】 「見覚えあるやろ」
【GM】 「あーッ、お師匠〜!」と、神父は驚く。
【サテラ】 えー?!
【ティガー】 師匠!?
【メイユール】 めちゃめちゃ親しいやんか〜(笑)。
【GM】 神父は「誰ですか、それは」と、言い直してるで。
【ティガー】 ふざけんなっての(笑)。
冒険者たちはノプス神父(に、なりすましていた男)を捕らえ、闇司祭とともに領主の館へ連行した。
【GM】 館に近づくと、見張りの兵士に「何をしてる」と、咎められるよ。
【ティガー】 兵士は関係ないんやんな、きっと。
【GM】 「いや、あいつもグルだ」と、闇司祭が言う。
【メイユール】 じゃあ、違うわ(笑)。
4人は、見張りの兵士とひと悶着起こしつつも、強引に領主ベッカー卿の寝室まで案内させてしまった。
【GM】 寝巻の上に質素なガウンを羽織ったベッカー卿が出てきた。
「なんだ、おまえら。立ち去ったのではないのか」と、キミたちに言う。
【シルヴィア】 じゃあ、連れて来た闇司祭と、ノプス神父の実体を話す。「で、あなたも闇司祭のグルだと聞いたのですが」
【GM】 「何かの間違いだろう」と、ベッカー卿はそっけなく答える。
しかし、シルヴィアには〈センス・ライ〉がある。卿の言葉の真偽など、簡単に看破できるのだ。
かくして冒険者たちは卿の嘘を見破り、一連の失踪騒ぎはベッカー卿、ノプス神父によって行わたものと判明した。
ベッカー卿はこの小さな村の領主という立場に不満を持っていた。しかし、直接的な戦争をしてないオレンブルク王国では、武勲で成り上がることができない。
コネを作り、政敵を滅ぼして上に昇るしかないが、そのためには資金がいる。
卿は、暗黒神に生贄を捧げる儀式〈イモレイト〉を行えば何でも望みが叶う、という闇司祭の誘いに乗って、村の女性をさらう手助けをした。
誘拐を実行したのは、闇司祭の助手のノプス神父もどき。
冒険者を森に近づけさせようとしなかったのは、万が一、森の中の闇司祭の住処を見つけられては、困るからだった。
【GM】 ベッカー卿は、「自ら官憲に出頭しよう」と言う。嘘ではなさそう。
【メイユール】 20年後かも知れん(笑)。
【シルヴィア】 ベッカー卿がそういうことしてたの、奥さんや息子さんは知ってるの?
【GM】 知らないよ。
【シルヴィア】 じゃあ、奥さんにはいちおう説明しとくけど、息子には黙っとこう。
【ティガー】 村人にも、息子には言わんように言うとく。
【GM】 でも、村人はおさまりがつかんでしょう。娘や嫁さんを殺されてるからね。ブーイングしてる。
【シルヴィア】 たしかに、領主と闇司祭とノプス神父の3人は悪い奴やけど、領主の奥さんや息子さんには罪がないねんで。
【メイユール】 いたぶるなら、領主をいたぶれと。
【シルヴィア】 そこまで言わんけど。「ちょうど犠牲者3人分やし」とは言わへん(笑)。
「人の道に背くようなことはしたらアカンで」と、言うとく。
【GM】 魔術師がそう言うので、村人たちはしぶしぶ了解した。
では、長い長い夜が明け、朝になった。マッカイさんが、巨人の退治と事件解決のお礼として、キミたちに2820フィスを渡す。
【サテラ】 ひとり、705フィス。
【シルヴィア】 僕の分は返すよ。これから、何かと入り用やろしね。
【GM】 じゃあ、シルヴィアにはリンからお礼がある。イアンに届けるように頼んだ、彼女の首飾り。オレンジ色のビー玉みたいな石がついてるペンダントやね。
【シルヴィア】 それはもらっとこう。
4人は馬に跨がり、リバル村をめざしてさらに東へ旅立った。
そして2日後、ついにリバル村に到着した。カルファン王国を脱したレギト王子が、リザロークやアイザックによって匿われ、育てられた村である。
【GM】 何ら変わったところのない、ごく普通の農村です。
【シルヴィア】 ここに、ティガーの育ての親がおるねんな。
【GM】 まあ、アイザックはこの村に来てしばらくして結婚したんで、リザロークが男手ひとつでティガーを育ててくれたんやね。何度も挫折しながら。
【メイユール】 そうやろなぁ。
【ティガー】 あははー(笑)。じゃあ、自分の家に行く。
【GM】 やって来た。村はずれのオンボロ小屋が、ティガーが幼少期を過ごしたリザローク・ハウス。
帰ってきたティガーを見て、昼食中のリザロークは驚いた。驚いたはずみで茶碗を落とし、転がった茶碗が壁に立てかけてあった鍬を倒し、倒れた鍬がザルの端をぶっ叩き、ザルに入れてあった鎌がテコの原理で発射され、ティガーの頬をかすめて入口の柱に突き刺さった。
【ティガー】 なんやねん、これ!(笑)
【GM】 「おお、よう帰ってきたな」と、リザローク。
【ティガー】 よう帰ってきたわ!
【GM】 「どないしたん?」
【ティガー】 「ちょっと聞きたいことがあるねん。何やったっけ? なんちゃらかんちゃの──目ェのぉ──……洞窟ぅ?」
【GM】 「『どおくつぅ?』 ……わからへんわ!」
【ティガー】 俺にもわからへんわ!
【シルヴィア】 「かくかくしかじか」と言えば通じるねん。
【GM】 それなら、事情はわかる。リザロークは、サテラたちに「まあ、お上がりください」と言う。
「オムレツでも食べますか?」
【ティガー】 「食う、食う!」
【メイユール】 お茶じゃないんや。
【GM】 このひと、オムレツしか作られへんから。
【ティガー】 だから俺、オムレツ好きになってん。他に選択肢がなかってん。
【GM】 「で、何が聞きたいの?」
【ティガー】 何が聞きたいんやったっけ??
【サテラ】 古文書の地図の、竜の絵が描かれてあった場所に、何があったか。
【シルヴィア】 古文書の地図を見せて尋ねる。
【メイユール】 「酢くさいけど、ガマンしてね」(笑)
【GM】 「ああ、難しい謎解きをすると、地下への入口が開く館があったな」
【ティガー】 地下には何かあったん?
【GM】 「ミミックだ。ミミックがいてなぁ。オレはケツを噛まれた」
【ティガー】 それだけ!?(笑)
【GM】 「いや、宝箱には水晶でできた、竜の彫像があった。頭と両翼と尻尾で玉を支えた──ちょうど、その地図のイラストと同じような感じのやつだ。リーダーに取られたけど」
【シルヴィア】 『リーダー』って誰?
【GM】 「ラザラス・ミリガンという、レジスタンス組織“ガーヴェン”のリーダーだ。じつは、ロットバイル王国の工作員だったらしい。
オレたちがティガーを連れて逃げた後、母国に謀叛を起こそうとして、返り討ちにされたと聞いたが」
【ティガー】 じゃあ、竜の玉ってどこに行ったん?
【GM】 「さあな。ガーヴェンの財産は、ロットバイル王国に没収されたと聞いた。使い道があるものは、本国に持ち去ったらしいが、使い方がわからない物や使えない物は、カルファンの城に置いてるらしい」
【メイユール】 竜の玉は、使い道があった?
【GM】 「オレたちには、使い方がわからなかった」
【シルヴィア】 ロットバイルにあるのか、カルファンにあるのか。
【サテラ】 う〜ん……。
【メイユール】 んー……。
【GM】 悩んだままやと、ティガーの友達が来てしまうで。ティガーの頭をぱこんと叩く。
【ティガー】 「何すんねん、久しぶりー」って言うて、どこかに遊びに行った。
【メイユール】 バンジー・ジャンプしに行ったんや。
【GM】 「オレのほうが、10センチ深かったな」
【ティガー】 「いや、俺のほうが2センチ!」
【GM】 ──で、家に残ってる方々は、何かすることはある?
【サテラ】 古文書のバツ印がついてる場所には、何があるか心当たりなし?
【GM】 「うん、そっちは知らないなぁ」
【シルヴィア】 とりあえず、質問はこんなもんかなぁ。
【GM】 それじゃ、今日はここまでということで。