▽ 眠れる遺跡の大男の事 | ▽ 薬の探索の事 | ▽ ジーネ問題解決する事 |
【GM】 メイユールが〈トンネル〉で開けた瓦礫の先は、通路になっていた。ティガーは、そこに残された足跡を追いかける。
通路は、しばらくして行き止まりになった。土砂で埋もれてるわけじゃなく、普通に壁で行き止まり。
その壁にはハシゴが設置されていて、上に登れるようになっている。登った先の天井には、マンホール状の蓋があったみたいだけど、今はそれがずらされいて、出口がぽっかりと口を開けている状態。
【ティガー】 ハシゴを登って、穴から出るよ。
【GM】 出てみると、そこは建物の一室みたいな感じやね。壊れた窓から土砂が流れ込み、部屋の一部を埋めている。あと、開け放たれた扉がひとつある。
【ティガー】 ファンリーたちはいる?
【GM】 ここには誰もいない。
【ティガー】 じゃあ、部屋から出たんや。追いかける。
【GM】 部屋を出ると、そこは廊下だった。窓や外への出口からは、やはり、土砂が入ってきてるね。上に登る階段があるけど、壊れてて先に進めない。
廊下には、キミたちが出てきたところを除いて、3つの扉がある。そのうちふたつは開け放たれているけど、ひとつは閉ざされている。閉じた扉の隙間からは、明かりが漏れてる。
【ティガー】 扉が開けられてるとこを覗いてみるけど、何もない?
【GM】 ない。からっぽの水槽とか、ひからびた謎の生物の死骸とか、意味不明のガラクタの破片なんかが転がってる、無意味な部屋やね。半分土砂に埋もれてるし。
【ティガー】 じゃあ、鎧を脱いで、閉まってる扉の前で[聞き耳]してみる。(ころっ)
【GM】 すると、「ぐお〜、ぐお〜」と男のいびきが聞こえてきた。
【ティガー】 いびき?? 何か寝てるよ。
【メイユール】 開けてみよう。
【GM】 しかし、鍵がかかってる。
【ティガー】 [鍵開け]〜、(ころっ)失敗。ムリ!
【GM】 そうやって扉のところでガチャガチャやってると、扉の向こうから、「誰?」という女性の声がする。
【ティガー】 聞き覚えのある声? ファンリー?
【GM】 そう。
【ティガー】 「俺、俺」って答える。「こんなとこで何しとん?」って聞く。
【GM】 「帰れなくて、困ってた」
キミたちが〈トンネル〉で抜けて来たところが、戦闘の衝撃で通路が崩れて不通になり、帰ることができなかったらしい。
【メイユール】 ファンリーたちは、〈トンネル〉使われへんもんな。
【GM】 鍵がはずされて、扉が開き、ファンリーが顔を出した。
【シルヴィア】 「久しぶり〜」
【ティガー】 他の奴らは寝てんの?
【GM】 いや、前髪王子とロートシルトは起きてる。寝てるのは隊長やね。
部屋の中で寝てる隊長の体は、なんか3倍ほどの大きさになってるよ。着ていた鎧は壊れたらしく、部屋の隅に片づけられている。
【サテラ】 えっ!?
【ティガー】 「なに、これ?!」って言う。
【GM】 この部屋にあった、緑色のポーションを飲んだら、体が大きくなって、昏睡状態になってしまったらしい。いちおう、ファンリーが〈キュアー・ポイズン〉をかけたけど、効果はなかった。
ちなみに部屋の棚には、赤、青、黄色のポーションが入った瓶が、それぞれ1個ずつ並んでる。それ以外には、めぼしいものはない。
【ティガー】 3色のうちのどれかを飲ませたら、治るかも──。
【GM】 ──と、前髪とロートシルトも言うてた(笑)。いちおう、ファンリーがそれを止めてたんやけどね。これ以上、おかしくなってもらっても困るから。
【ティガー】 いや、これ以上、変にならんような気がすんねんけど(笑)。残り、3つ。3分の1の確率で、治る気がする。
【メイユール】 しかし、すごい色やな。ギャラク○ー・ドリンクや。
【シルヴィア】 瓶のどこかに、注意書きか何かないの?
【GM】 ラベルも何もない。
【ティガー】 そんなもん飲むなよ、隊長! ジーネ以上やな(笑)。
【GM】 いや、隊長は飲むのを躊躇してたんやけど、煽った奴がふたりいるねん。そのときの様子をリプレイにすると、こんな感じ。
【ロートシルト】 「こんなぐらいでビビってるから、女にモテないんだよ」
【パチモーン】 「ボクなら飲むね」ばさーっ。
【GM】 ──以上。
【メイユール】 ええコンビや。
【ティガー】 じゃあさ、こいつらふたりに、残り3本の薬を1個ずつ、ちょっと飲ませてみてさ、少しだけ体が縮んだら、それを隊長に飲ませてみたらえええねん。で、ふたりの体が小さくならなかったら、余った薬を隊長に飲ませるねん。
【GM】 それは、ふたりの男は拒否するよ。
【ティガー】 「ボクなら飲むね」じゃなかったの〜?(笑)
【GM】 パチモーンは、「そんな怪しいものを飲むなんて、おバカさんですよ」と言って、前髪をバサーっとかき上げてる(笑)。
【サテラ】 残ってる薬の匂いは?
【GM】 嗅いでみたけど、匂いはない。いちおう、薬の正体をセージ技能で調べることはできるよ。めちゃくちゃ難しいけど。
【サテラ】 やってみる。(ころっ)失敗。
【シルヴィア】 サテラにわからんのなら、僕らにはムリやな。
【GM】 6ゾロが出たらわかるけど?
【ティガー】 (ころっ)ムリ〜。
【シルヴィア】 (ころっ)振るだけ無駄やった。
【ティガー】 この部屋って、これだけ?
【GM】 あ、ファンリーたちが集めてきた宝物が、部屋の隅に集められてる。
【メイユール】 宝物、あったんか。
【GM】 そう。行方知れずになった冒険者の捜索と宝物の探索が、ファンリーたちの任務やから、宝物の回収もしてた。
フェス・パーマーという商人は、「オレンブルクの地下の下水道から、古代の遺跡に入れる穴がある」という情報を得て、ジョニーたちに遺跡の探索を依頼したんやね。儲けは、商人とジョニー・パーティとで折半する、という条件で。
【ティガー】 でも、ジョニーたちはフレッシュ・ゴーレムにやられてしまって、戻ってこなかった、と。
【GM】 戻ってこないジョニーたちの捜索と、遺跡の探索を請け負う冒険者を捜してると、そこへ前髪王子が現れた。
商人的には、ジョニーの捜索よりも宝物の探索のほうが大事なんやけど、もし、ジョニーたちが宝物を集めてたら、それを回収してもらわんといかんということで、行方不明者の捜索も仕事内容に含めてたんやね。
前髪王子は、探索料の支払いと、儲けの折半という条件で、商人に雇われた。
で、ロートシルトや隊長、ファンリーを誘って、パーティを組んだんやね。
【ティガー】 宝物の回収はできてるから、それを持って商人のところに行けば、まあ、おっさん以外はミッション・クリア(笑)。
【シルヴィア】 3色の薬を持って、チロカニントの族長のところに行って、聞いてみようか。ダメもとで。
【ティガー】 前髪たちは、ここで隊長を見といて。ファンリーは連れて行く。
【GM】 では、チロカニントの町にやって来た。外を歩いていたチロカニントたちが、いっせいに家の中に閉じこもってしまった。
【メイユール】 素早いな(笑)。
【GM】 族長の家に着いたよ。扉をそっと開けた族長は、「か、か、帰ったんじゃないのかね?」と言ってる。
【ティガー】 めっちゃ、どもってる(笑)。
【メイユール】 口から魂が出かけてるで。
【ティガー】 頑張って押さえてるねん。
【シルヴィア】 「こんなん見つけたんやけど、何かわかる?」
【GM】 「わ、わかるわけないでしょう……魔術師ならわかるかも知れんが」
【シルヴィア】 「どの魔術師? 心当たりある?」
【GM】 「大昔、エレベーターの上のほうには、我々の祖先を作ったという魔術師がいたそうな。その魔術師なら、そういう薬も作ってたかも。そこを調べてみたら、何かわかるんじゃないですか」
【ティガー】 エレベーター? ここの入口のとこにある、金属の円盤のこと?
【GM】 そう。
【シルヴィア】 そういえば、あの大穴、古代の下水道に繋がる横穴のとこから、まだ上に続いてたな。
【GM】 「調べても何もわからないかも知らないけど、それは私の責任ではないですけん、私に抗議されても困るわけでして」と、族長は念を押す。
【メイユール】 必死や(笑)。かわいそー。
【GM】 汗、ダラ〜ってかいてる。
【ティガー】 じゃあ、汗を拭いてあげようっと。
【GM】 「ひゃー!」と悲鳴をあげて、族長はついに気絶した。口から泡を吹いてる。
【メイユール】 ティガー、悪モンや〜。
【ティガー】 イエ〜イ。
冒険者たちは、エレベーターだったという金属の円盤が落ちている大穴に戻った。
【ティガー】 シーフ技能で上まで登って、ロープを垂らすことはできる?
【GM】 試みることはできるよ。シーフ用ツールに、壁登り用の鉤爪が入ってるし。ロープはあるの?
【メイユール】 20メートルのを持ってる。
【GM】 くさびは?
【メイユール】 10個持ってる。
【ティガー】 じゃあ、それを持って登る。
【GM】 目標値は14ね。鎧を着てたらアカンよ。
【ティガー】 鎧は脱ぐけど、2Dで10以上の出目がいるんか。ファンリーやったら、9でいけるけど。
【メイユール】 ファンリーに行ってもらう?
【ティガー】 いや、先に俺がやってみて、アカンかったらファンリーにやってもらう。(ころっ)おっ、行けた!
【メイユール】 おーっ、すごい!
【GM】 ティガーは、カサカサカサと壁を登って行った。
【メイユール】 ヤモリや〜(笑)。
【ティガー】 「これ、おもろいー」って、喜んでる。
【GM】 登りきると、そこは窓のない部屋やね。地下室って感じ。その床の中央に、直径4メートルほどの穴が開いていて、ティガーはそこからカサカサと出てきた。
【ティガー】 どこか、ロープを結べそうなところはある?
【GM】 扉のノブがあるけど、人がぶら下がるには、心もとないかな。
【ティガー】 じゃあ、どこか適当なところに、くさびを打ち込んでそこに結ぶ。で、ロープを下ろす。
【GM】 メイユールたちが下で待ってると、しばらくして、上からロープが降りてきた。
【ティガー】 先に俺の鎧を引き上げるから、誰かロープでくくって。
【メイユール】 じゃあ、わたしがレンジャー結びでくくってあげる。
【GM】 では、ロープで登るひとたちは、それぞれ[登攀]の成功ロールしてみて。
【メイユール】【シルヴィア】 (ころっ)成功。
【サテラ】 (ころっ)あっ、出ねえ。
【GM】 なら、サテラは8メートルの地点から落っこちた。このままだと、24点のダメージを受けるけど、どうする?
【サテラ】 防御はできたっけ?
【GM】 できるよ。じゃあ、何点止まるか判定してみて──それだと、19点のダメージ。
【サテラ】 あ、死んでる。
【GM】 それじゃあ、[生死判定]してみよう──かろうじて生きてるね。
【ティガー】 ファンリーは、まだ登ってないから下におる。落ちてきたサテラに、〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)12点回復。もう1回かけとくね。(ころっ)
【GM】 サテラは完全回復して、意識を取り戻した。
【シルヴィア】 ひとりだけ冒険者レベルが低いから、厳しいな。
【GM】 ファンリーが、「〈フォーリング・コントロール〉をかけてから、登ってみてはどうですか?」と、言ってる。
【サテラ】 そっか、そうします。〈フォーリング・コントロール〉、(ころっ)成功。じゃあ、ロープを登る。
【メイユール】 がんばれ〜。
【サテラ】 (ころっ)あッ、また失敗!
【GM】 今度は〈フォーリング・コントロール〉がかかってるので、サテラはゆっくり落ちていった。もういちどチェレンジするかい?
【サテラ】 はい。
【メイユール】 がんばれ、サテラ(笑)。
【サテラ】 (ころっ)やっと出た。今度は成功。
【ティガー】 ファンリーの鎧はソフト・レザーやから、シーフ技能で登れるよね。(ころっ)余裕で成功。
冒険者たちは、謎の建造物を探索した。
階上へ続く階段もあったが、その先は土砂に埋もれて進むことはできない。地下にあった部分だけが、形を留めているようだった。
建造物の中には書庫があった。下位古代語を読めるティガー、サテラ、シルヴィアの3人は、そこに残された文献を片っ端から調べた。
【GM】 そこにある書物は、ほとんどが人工生命体に関する理論をまとめたものやね。
その中に、薬物に関するものもちょっとあって、「緑の薬で大きくなったものは、黄色の薬で小さくなる」とか、「ギルピエトキシンは、ドーピングによる肉体の変化をキャンセルする」とかいうふうな記述を見つけた。
【ティガー】 ふたつめのやつは、それをジーネに飲ませたら、かわいくなるってことか?
【GM】 さあ?
【ティガー】 青と赤の薬の説明はないん?
【GM】 えーっと、赤いのはゲリ止めで、青いのは下剤。
【ティガー】 もし、あそこで青いの飲んでたら、大ピンチやったんや(笑)。
ティガーたちは隊長の眠る場所に戻り、黄色の薬を飲ませた。
【GM】 隊長は、みるみる縮んでゆく。「う、う〜ん」って唸ってる。
【ティガー】 パンっ!
【GM】 「なんであるか!?」と、目を覚ました。
【ティガー】 「変なもん飲むな。ジーネになるぞ」って言うとく。
【シルヴィア】 もう、他にすることはないね。
【メイユール】 じゃあ、帰ろう。
【ティガー】 あ、そうや。チロカニントの族長が、「人間が来たらイヤ」って言うてたから、あの穴に行ける通路を壊して塞いどこうよ。
【メイユール】 やさしいな、ティガー。
【シルヴィア】 横穴そのものを壊すと、下に影響があるかも知れんから、横穴にいちばん近い十字路のところで、〈ファイア・ボール〉を唱えるよ。
【GM】 十字路を壊すってこと?
【シルヴィア】 いや、そこから横穴のとこに行く道のみを、土砂や瓦礫で塞ぐつもり。うまくいくかどうかは、わからんけど。
みんな、忘れ物はないか?
【ティガー】 たぶん、ないと思う。
【メイユール】 もし忘れ物があったら、また、わたしの〈トンネル〉で取りに行けばええねん(笑)。
【シルヴィア】 じゃあ、〈ファイア・ボール〉を唱えた。(ころっ)
こうして冒険者たちは、無事に地上に帰還した。もう、すっかり夜だった。ティガーたちは、手近な宿屋で1泊し、翌朝を迎えた。
前髪たちは、依頼主である大商人のところへ、仕事の報告と報酬の受け取りをしに行った。
ティガーたちは、『青い波の美し亭』に帰った。
【GM】 で、ティガーたちは何しとくの?
【メイユール】 酒場で飲んでるよ。「あー、疲れた」って。
【シルヴィア】 僕も酒場でくつろいでるよ。
【サテラ】 わたしは、ローブを黒く染めて欲しい……。
【ティガー】 まだ、ハデなままやったんや。
【メイユール】 それは染めてもらっとこ(笑)。
【GM】 仕上がりは明日ね。
【サテラ】 じゃあ、ローブを預けて宿屋に帰る。酒場で食事しとく。
【ティガー】 俺は、部屋に戻って何か描いてる。
【GM】 は?? 何を描いてるの?
【ティガー】 将来、オムレツの国を創るつもりやから、その設計図。オムレツ型の門とかがあって、ケチャップで「Welcome」とか書いてるねん。
【メイユール】 そんなん、創るつもりなんや(笑)。
【ティガー】 みんなには内緒にしてるけどな。ファンリーにだけは、たまに設計図を見せてるけど。「ここにオムレツ城を作るねんけど、どう?」って。
【GM】 「どう?」って言われても(笑)。
【メイユール】 ファンリー、大変や。
【GM】 そうそう、そのファンリーが、『青い波の美し亭』にやって来たよ。
【メイユール】 おっ、一緒に飲もう。
【GM】 いや、ティガーに用事があるみたいやけど。
【シルヴィア】 「ティガーは上におるで」って教えてあげる。
【GM】 じゃあ、上の部屋に行った。
【ティガー】 「なに〜? どうしたん? オムレツ城の形、決まったで。ファンリーは、オムレツの城の女王な」って言う。
【GM】 はあ。じゃあ、「嬉しいな」って応えてる。
【ティガー】 やった〜! じゃあ、設計図を机の引出しに入れて、見つからんように鍵をかける。
「で、なに?」って聞く。
【GM】 ファンリーは、「今日はおおきにありがと」とお礼を言う。
そして、お金が入った小袋をティガーに渡す。これは、この前の〈リジェネレーション〉のときに借りた代金ね。
【ティガー】 は?? あれ、別に貸したつもりじゃなかったんやけど。
【GM】 えっ?
【GM】【ティガー】 ……。
【メイユール】 なんか、変な空気が流れてるで。
もしかして、借金を返すつもりで、前髪たちの誘いに乗ったん?
【GM】 そう。
【メイユール】 ああ〜、ファンリぃ〜!(笑)
【シルヴィア】 僕がティガーに出した分は、ティガーに貸した金やけど、ティガーがファンリーに出した金は、貸したわけじゃなかったんやで。
【GM】 なんや、そうやったんか。それで、あんな変な金の流れになってたんか。マジで勘違いしてた。
じゃあ、しょうがないから、ファンリーがシルヴィアにティガーの借金を返しとくわ。
【シルヴィア】 これで、ティガーの借金は消えた。
【ティガー】 俺はそれを知らずに、シルヴィアに金を返しそう(笑)。
【GM】 ファンリーは神殿に帰っていった。イリア・ザーマス助祭が心配してるしね。
【メイユール】 バイバイ。
【GM】 それと入れ違いで、サテラが『青い波の美し亭』に帰ってきた。
【ティガー】 俺も酒場に下りて、メシを食う。
【GM】 じゃあ、4人は顔を揃えて、憩いのひとときを過ごしてるわけやね。
そうそう、経験点があるから、レベルが上がるひとは上げといて。
【サテラ】 ソーサラーが3レベルになった。あと、セージが4レベルに。
【GM】 使い魔を召喚できるようになったけど、儀式をするかい?
【サテラ】 いや、まだいいッス。
【メイユール】 シャーマンが6レベルになったぞ〜。
【シルヴィア】 〈ディクリエーズ・ウォータープレッシャー〉が使えるな。深海に行けるで。久々に行ってみる? メロウの海底都市に(笑)。
【メイユール】 わたしは、そこに行ったことがないよ。
【ティガー】 俺はプリースト技能を取った。宗派はミフォアね。
【メイユール】 ファンリーとおそろいや。
【ティガー】 幸運神か、ミフォアかで迷ってんけど、こっちにした。でも、ピーマンを食べさせられそうやから、イヤやなぁ。
【シルヴィア】 ついに、ソーサラーが5レベルになった。〈センス・ライ〉を、自前でかけれるようになったよ。〈エネルギー・ボルト〉なんか、精神力1点で使えるし。
【GM】 ぎゃー。シルヴィアはそろそろ引退やな(笑)。豪邸を用意してあげるから、快適な引退生活を送れるよ。
【シルヴィア】 いやいや、まだまだ現役でがんばるよ(笑)。
【GM】 さて、キミたちがそうやって過ごしてるところに、前髪王子と隊長がやって来た。
【シルヴィア】 「報酬はもらえた?」って聞いてみる。
【GM】 「もらえたさ」バサーっと答える。6万4000フィスもらえたそうで、これを前髪パーティと、助けてくれたキミらのパーティで折半にするらしい。
キミたちパーティは、3万2000フィスを手に入れた。それをどのように分配するかは、キミたちの自由。
【メイユール】 勝ち残った者がいただく。
【GM】 それでもいいけど。バトル・ロワイヤルする?
【メイユール】 んーん、しない(笑)。山分けする。
【サテラ】 ひとり、8000フィス。
【GM】 ちなみに前髪たちは、すでに自分たちの3万2000フィスをメンバーで頭割りして、ひとりにつき8000フィスずつ分配し終えてる。
【ティガー】 シルビーに借金を返そうっと(笑)。
【シルヴィア】 受け取った。
【GM】 受け取るんかぃ!
前髪と隊長は、向こうのテーブルについて、もらった宝物を手にとっている。
【シルヴィア】 どんな宝物?
【GM】 なんか、黒い筒みたいなの。卒業証書とかを入れそうなやつ。
【サテラ】 何が入ってるんやろ。
【GM】 紙が入ってるらしい。何か書かれてるか確かめたいんやけど、中に貼りついてしまってて、なかなか取り出せないみたいやね。
そのとき、酒場に入ってきて、キミたちのテーブルに近寄ってくる中年の男性がいる。髪の毛がくるくると巻かれてて、ヒラヒラな飾りがついた服を着てる。
【ティガー】 昔のフランスっぽい恰好?
【GM】 そうそう。シルクハットもかぶってるけど。
【メイユール】 ちょっと注目。
【GM】 「ティガーさんと、メイユールさんですね?」と、その男性は聞いてくる。
【ティガー】 「そうだよ」
【GM】 「私、サーカス団『やさいフライ』の座長をやっております、ネス・ワーキナンと申します」と、帽子を脱いで、男性は名乗る。
「今度、新しい演し物で、『悲劇の類人猿』というのを企画してるのですが」
【ティガー】 ほう(笑)。
【メイユール】 それだけで、もうわかったん?
【ティガー】 ジーネが主役やろ。
【GM】 正解。
【メイユール】 しかし、すごいタイトルやな(笑)。
【GM】 「それで、ジーネへの債権を、譲渡していただきたいのです。もちろん、おふたりのあれへの貸付金は、こちらがおふたりにお支払いいたします」
【メイユール】 えー? そんな複雑な。
【GM】 「いやいや、一筆したためてくださるだけで、けっこうですから」
ちなみに、〈リザレクション〉での債権を持つミフォア大神殿からは、すでに承諾を得ている。なので、後はキミたちしだいという状況。
【ティガー】 というか、言ってる意味がわからない。
【GM】 要するに、座長さんがジーネの借金を肩代わりするから、貸付金を取立てする権利を譲ってくれ、ってこと。
座長さんはその権利を行使して、借金のカタに、あれをサーカス団に入らせるつもり。
【ティガー】 なるほど。最初からそう言えばいいんだ。「OK、OK〜」
【メイユール】 ジーネを売るのか!?
【GM】 ティガーはOK、と。メイユールは?
【メイユール】 恨まれたりせえへんかな……。
【シルヴィア】 恨まれる筋合いはないと思うよ。いっこも借金を返そうとしてへんのやし。
【メイユール】 じゃあ、OK。類人猿、見てみたいし(笑)。
【GM】 では、契約書にサインしたということで、それぞれジーネに貸してる金を支払ってもらったよ。ジーネへの貸付金を消して、その額を所持金に加えといて。
【ティガー】 えっ?! 所持金、増えるの?
【GM】 何を聞いて納得してたの、キミはッ!(笑)
【ティガー】 ジーネの借金が帳消しになるんかと思ってた。
【メイユール】 帳消しじゃないよ。ジーネから見たら、借金を返す相手が、わたしらから座長さんに変わるだけのことやで。
【ティガー】 なんや、帳消しとか言うたらなんか得するっぽいから、「やったー」って思ってた(笑)。
【メイユール】 わたしらが貸してる金が帳消しになって、なんでわたしらが得するんよ!?
【ティガー】 おお、そうか。
【GM】 (『帳消し』なんて単語、ひとことも言ってないのに)じゃあ、ジーネを手に入れた座長さんは、ご機嫌で酒場を後にした。
【シルヴィア】 ジーネって、今、どうなってるの。傷害罪で懲役刑をくらってたよね?
【GM】 まだ服役してないけど、そのうち、街道の整備工事に駆り出されるはず。何せ、通常の人間の2倍以上のマン・パワーを持つから、それはもう、ものすごい勢いで石畳を設置するでしょう。
パワーだけじゃなく、ドワーフ並の器用さ、グララン並の敏捷性も持ち合わせてるから、人間重機として大活躍できるはず。もちろん、サーカスでも。
【メイユール】 天職や。なんか、本人がなりたがってたものと、全然ちがうで(笑)。
【シルヴィア】 それはしゃあない。あの薬に手を出した時点で、道を誤ったんや。
【メイユール】 わたし、飲まなくてよかった。
【GM】 おそらく座長さんは、多額の保証金を積んでジーネを仮出獄させて、サーカス団に持って帰るんでしょう。
これで、ジーネ問題はすべてクリアしたね。おめでとう。
【ティガー】 一気に金持ちになった。軍馬が2頭買えたりして。メシ、いっぱい食える。
【メイユール】 わたしのは、すぐになくなる気がするな〜。賭場、行くし。
【GM】 おっ、行くかね。全額、賭けてみるかね?
【メイユール】 ノーノー。それはさすがに、ちょっと学習してるから。
【GM】 そのとき、前髪王子と隊長の席の辺りから、ビリっと何か破れる音がした。
前髪の持つ筒の中から、1枚の紙切れがヒラヒラと落ちる。どうやらムリし過ぎて、中に貼りついていた紙を、破いてしまったらしい。
【サテラ】 あらら。
【GM】 前髪は、なおも筒の中に残る部分を剥がし出そうと、躍起になっている。そこへ、カウンターから隊長が戻ってきた。
「これで剥がすのである」と、差し出す小瓶には、お酢が入っている。酒場のオヤジから借り手きたんやろね。
「こんなので取れるのかい?」ばさーっ。
「取れるのである。以前、お酢魔人から聞いたのである」
【メイユール】 なによ、『お酢魔人』って(笑)。
【GM】 しかし、お酢をドボドボ入れ過ぎて、貼りついていた紙片は、モソモソとした屑になって掻き出された。
「あー! もう、これ読めないよ」
【メイユール】 楽しそうやな。笑ってよう。
【GM】 ふたりはがっかりしてる。その辺、酢臭いし。
【ティガー】 どんだけ入れてん!
【メイユール】 ブーイングや。「臭いやんか〜」
【ティガー】 「帰れ、帰れ〜」(笑)
【GM】 じゃあ、前髪と隊長は、筒と紙片を残して立ち去った。
【メイユール】 持ってけよ!
【ティガー】 それが、いちばん臭いんやんか。
【GM】 臭いから、逃げ出したんやんか。
【メイユール】 逃げたんか、あいつらめ(笑)。
【シルヴィア】 その酢臭い紙切れに何が書かれるのか、がんばって読もうと試みるよ。
【GM】 それには、地図の一部と、文章の一部が残されている。
文章の一部は古代語の文字で、「天の心」「竜が背負いし宝玉を捧げ」「鍵となる言葉」「闇の中にひと筋の」と、解読できた。
地図は、こんな感じ。
【シルヴィア】 竜の絵が描かれてある。
【サテラ】 竜が玉を背負ってる……。
【シルヴィア】 その玉を、どこかに捧げるんやな。
【GM】 あ、その竜の絵のそばにはね、「禍つ神の像の目を」という、古代語の文の一部が残ってるよ。
【シルヴィア】 この地図がどこを描いてるのか、わかる?
【GM】 それは次回、セージ技能でチェックしてみよう。