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§銀月の歌:第9話§

鶏哀歌

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ 地上への帰還の事 ▽ 魔術師ギルドでの話の事 ▽ ヒデヨシの災難の事

地上への帰還の事

【GM】 ティガーは、隠し部屋にあった宝箱を開けた。そこには、長さ50センチほどの、星型をした不思議な光沢の金属の棒が入ってます。
【ティガー】 『天の鍵』って、これのことかな。
【メイユール】 さっきのやつとちがうの?
【シルヴィア】 たぶん、今見つけたほうが『天の鍵』や。わからんけど。
【メイユール】 じゃあ、シルヴィアが掲げたのは偽物?(笑)
【シルヴィア】 あれはダミーやったんかも知れん。両方持っとけばええねん。
【ティガー】 とりあえず、シーフ技能で部屋を[捜索]。(ころっ)
【GM】 他には、とくに何も見つからなかった。
【ティガー】 じゃ、見つけた棒を持って、猫のところに戻ろう。
【GM】 キミたちが2本尻尾の黒猫のところに戻ろうと、スフィンクスの部屋(M)に差しかかったとき、スフィンクスが声をかけてくるよ。
「おめでとう。よく見つけたな」……ちなみに、シルヴィアの背負ってる鍵型の板ではなく、ティガーが持ってる棒を見て言ってます。
【ティガー】 やっぱり(笑)。
【シルヴィア】 こっちのダミーの鍵、記念にもらっていい?
【GM】 「別にかまわんぞ」
【ティガー】 地下1階にあった、金属盤も?(笑)
【GM】 「いいだろう。この迷宮は、役目を終えたからな。私も、ようやく永き呪縛から解き放たれる」と、スフィンクスが言ったとき、突然、ゴゴゴ……と地響きがして、遺跡が揺れはじめた。
 石造りの天井や壁に亀裂が走り、石のかけらがパラパラと降ってくる。
【ティガー】 崩れるの?
【GM】 「うむ。間もなく、崩れる」と、スフィンクス。何か呪文を唱えると、壁の一部に隠し扉が現れた。
「この先に、転移の魔法陣がある。汝らを、一瞬で地上へ送り届けるであろう」
【サテラ】 でも、猫とドラゴン……。
【GM】 インファント・ドラゴンは、部屋(L)の溶岩の海に、気持ちよさそうに浮いてます。「ま〜だかなぁ」とか言いながら。
【ティガー】 溶岩の部屋に行って、「早く袋に入れー!」って言う。
【GM】 「なんで〜?」
【ティガー】 「遺跡が崩れるねん。急げ、バカーっ」
【GM】 じゃあ、幼竜はするっと無限のバッグに入って、顔を出す。そうこうしてるうちに、揺れはどんどん激しくなり、降ってくる土砂や石の量も増えてきた。
【メイユール】 このドラゴン入りのバッグ、持って行けるんか?
【ティガー】 〈ディクリーズ・ウェイト〉で軽くして持って行こう。
【シルヴィア】 僕は14倍で重量を128kgにできる。サテラは何倍がけできる?
【サテラ】 6倍までいけるけど、気絶する。だから、5倍かな。
【シルヴィア】 さらに、僕の使い魔のフクロウの精神点から、3倍がけしよか。
【GM】 そうすると、ドラゴン入りのバッグの重さを、約55kgまで減少させられるね。
【シルヴィア】 また、シルヴィアがバッグを持つよ。
【GM】 余裕で可能やね。
【ティガー】 じゃあ、魔法陣で地上に出て、猫を迎えに行こう。
【GM】 部屋(M)のスフィンクスが、袋に入ったドラゴンを見て、「なに、それ?」って言うてる。
【ティガー】 「かわいいやろ〜? じゃあねー」って言うて、隠し通路へ行く。
【GM】 その先には、床に魔法陣が描かれた、小さな部屋があるよ。
【ティガー】 魔法陣に乗った!
【GM】 魔法陣の乗ったティガーの姿は、一瞬にして、仲間たちの前からかき消える。
【シルヴィア】 僕らも乗ろう。
【GM】 では、キミたちは、瞬時に地上へ転移しました。3日ぶりの太陽は、西に傾いて、辺りを赤く染めております。
【ティガー】 ここ、どこ? あの遺跡はある?
【GM】 キミたちがいるのは、低い地鳴りが轟く、森が開けた場所。向こうに、人工ものめいた丘と、3日前にキミたちがくぐった地下への入口が見える。
【ティガー】 猫は外にいない? じゃあ、遺跡へ迎えに行く。
【GM】 遺跡の揺れや地鳴りは、さっきよりもひどくなってるよ。
【ティガー】 猫のとこに行く!
【GM】 じゃあ、ティガーは崩壊間近の遺跡に潜った。
 地下に入って最初の部屋に、例の2本尻尾の黒猫がいる。飛び込んできたキミを見て、ちょっと驚いてるみたいやね。
「何しに来たんですか? もうじき、ここは崩れますよ」
【ティガー】 「『天の鍵』を取ったんやけど、もう出れそう?」
【GM】 「さっき試みたのですが、ダメでした」
【ティガー】 じゃあ、〈パーフェクト・キャンセレーション〉のカードを使っちゃう。カードをちぎって、「パーフェクト・キャンセレーション!」
【GM】 すると、青い光が猫の体を包み込む。次の瞬間、光は渦を巻いて消えた。2本尻尾の黒猫は、「にゃあ」と言ってます。
【ティガー】 しゃべれなくなったの?
【GM】 「しゃべられますが?」
【ティガー】 あ、なんや、よかった(笑)。じゃあ、とっとと逃げようぜ。
【GM】 ティガーと黒猫が地上に出たそのとき、背後で丘が陥没して崩れてしまった。辺り一面に、もうもうと土埃が立ちこめる。
【ティガー】 インファント・ドラゴンも、袋から出してでかくしよう。べろっ。
【GM】 ドラゴンは、ずもももも〜と元のサイズに戻りながら、袋から出た。
【メイユール】 不思議や(笑)。
【GM】 黒猫は「まさか、助けていただけるとは」と、お礼を言う。
「この御恩は忘れません。困ったときは、いつでも近くの猫に語りかけてください。ネコネットで、いつでも私のもとに知らせが入ります。そのときは、きっと恩返しをいたしましょう」
【シルヴィア】 『ネコネット』か(笑)。その黒猫の正体は何なん?
【GM】 ツインテール・キャットという幻獣です。知力が高く、ひとの言葉を話し、古代語魔法や精霊魔法などを操る実力も持っている、猫族の王やね。
【ティガー】 たぶん、俺より賢いんやろなぁ(笑)。
【GM】 ツインテール・キャットは、インファント・ドラゴンの頭に乗った。「それでは皆さん、ご機嫌よう」
 ドラゴンは、夕日を浴びながら、森のさらに奥へ──北へ飛び去っていきました。
【ティガー】 ばいばーい。
【GM】 さて、キミたちはこれからどうするのかな?
【ティガー】 オレンブルクへ帰るで。
【GM】 なら、約2週間後の3月13日、キミたちは無事、オレンブルクに到着しました。出発してから、ちょうど1ヶ月後の帰還やね。
【メイユール】 長い旅やったな〜。シルヴィアとティガーは、髭ぼーぼーやで。
【GM】 ヒデヨシなんかもう、髭かニワトリか、わからん状態。
【ティガー】 『髭かニワトリか』って、どんなんやねん(笑)。
【メイユール】 種族=髭? イヤや〜(笑)。
【ティガー】 オレンブルクに帰ってきたなら、魔術師ギルドへ『天の鍵』を持ってって、鑑定してもらおう。
【GM】 じゃあ、鑑定依頼の書類にサインしてな。
【ティガー】 うい〜。「てぃがあ(はぁと)」って書いてとこ。


 鑑定の結果、それは文字通り、何かの鍵になっている魔法の物品だとわかった。ただし、どこで、どうやって使用するものかまでは、判別がつかなかった。

【GM】 ちなみに、シルヴィアが入手したダミーの鍵は、ミスリル銀でできた板です。もはやミスリルは、加工する技術が失われて久しいけど、仮にも貴重な金属だし、好事家が1万5000フィスほどで引き取ってくれそう、とのこと。
【メイユール】 おお〜。
【シルヴィア】 「天の鍵うんぬん」と書かれてあった、あの金属板は?
【GM】 あれは、ゴミですね(笑)。
【シルヴィア】 そうか。まあ、いいや。記念に持っておこう。
【ティガー】 とりあえず、1万5000フィスのダミーの鍵は、売っちゃおうよ。
【シルヴィア】 金はみんなで山分けやね。ジーネを除いて(笑)。
【GM】 そうすると、各自3750フィスを手に入れた。
【メイユール】 〈ファイアボール〉のカードは、いくらになるの?
【GM】 3200フィスやね。
【メイユール】 中途半端な値段やな。売る?
【シルヴィア】 置いとけばええやん。
【ティガー】 困ったときに売ろう。
【GM】 他にすることは?
【メイユール】 別にないよ。
【GM】 それでは、キミたちは『青い波の美し亭』に戻り、ゆっくり身を休めて、旅の疲れを癒す。この1ヶ月の冒険の経験を活かして、レベルを上げられる人がいれば、上げといて。
【サテラ】 ソーサラー技能とセージ技能が、2レベルになりました。
【メイユール】 わたしは変化なし。
【シルヴィア】 僕も成長なし。でも、もうじきソーサラー技能が上昇する。
【GM】 そんなこんなで3月13日は過ぎてゆき、翌14日を迎えます。
 今回のシナリオは、オレンブルクの街が舞台。タイムテーブルでイベントを構成してて、キミたちがいないところで、重大な事件が起こったりする場合もあります。
 で、今から配る白いタイムテーブルに、キミたちの今日1日の行動予定を、書き込んでください。だいたいでいいよ。遭遇するイベントによっては、予定が狂ってしまうだろうし。

 プレイヤーたちは、各自のキャラの、3月14日0時ちょうどから23時30分までの行動予定を書き込みました。
 タイムテーブルは30分刻みになっていて、1分で終わる行動でも、29分かかる行動でも、今回のシナリオでは一律30分かかると見なされます。

魔術師ギルドでの話の事

【GM】 できた? いちばん早起きなのは、シルヴィアか。6時に起きて、体操するんか。健康的やな。
【シルヴィア】 宿屋に泊まってるときは、いつもやってるという設定。僕は肉体派ソーサラーやからね。
【GM】 さすが、ランディの兄貴。
【メイユール】 わたしも6時に起きるよ。たぶん、そばでゴソゴソされて、目が覚めてしまうんや(笑)。
【GM】 キミらが宿泊してるのは、4人の共同部屋やからね。
【メイユール】 6時30分に酒場に下りて、朝食を取るよ。
【シルヴィア】 僕も一緒に行くけど、その前に、サテラとティガーを起こす。
【サテラ】 6時30分に起こされて、7時から朝ごはんを食べます。
【ティガー】 みんな、6時台に起きてるぞ。早いのぉ。
【GM】 ヒデヨシは寝てるけどね。あいつ、ニワトリのくせに、朝になっても鳴かへん。10時ぐらいになったら、「こけぇ」とか投げやりに鳴く。
【メイユール】 最悪や(笑)。
【シルヴィア】 いちおう、サテラと一緒に、ティガーも起こしてるんやけど。
【メイユール】 ティガーにいたずらする。鼻をつまんでみる。
【ティガー】 起きへんで、そんなん。無反応。
【メイユール】 じゃあ、「今日もムリか」って、あきらめる。
【シルヴィア】 いつもやってるんか(笑)。
【GM】 ティガーは──9時に起きて、9時30分にベッドから出る? 30分も何してんの?
【ティガー】 もぞもぞしてる。
【GM】 その他の3人は、朝食を食べ終えると、魔術師ギルドに向かうんやね?
【メイユール】 わたしは、レッドゾーンで行くよ。
【シルヴィア】 僕とサテラは歩いて行く。
【GM】 馬で移動するメイユールだけ、先に魔術師ギルドに着くね。メイユールは、8時に魔術師ギルドの受付へやって来ました。
 ちょうどそのとき、受付のところでジーネと出会うよ。ジーネは、ピーター博士の診察を受けるために、シルファス神殿から来たところ。
【メイユール】 あぁ〜! 「おはようございますっ」と、さわやかにあいさつする(笑)。
【GM】 で、メイユールは、何しに魔術師ギルドへ来たん?
【メイユール】 ピーター博士に会って、ジーネのことを聞きたかってん。
【GM】 じゃあ、ジーネと向かう先は一緒やね。メイユールは有名だし、ギルド内に入る許可は簡単に得られるよ。
 では、ジーネとともに薬学部の建物へ行き、ピーター博士の研究室を訪れた。例の痩せておでこの広い小柄なおじさんが、「おはようございます」とあいさつする。
【メイユール】 え〜っと、とりあえず、ジーネの検査が終わるまで待ってようかな。
【GM】 検査が終わるのは、いつも10時30分頃やけど?
【メイユール】 長いなぁ。じゃあ、ちょっとだけ、ピーター博士を廊下に呼び出す。
【GM】 呼び出された。「いや〜、先日いただいたサイン、息子が大変喜びましてねぇ──で、何の御用ですか?」
【メイユール】 「ジーネの調子はどうですか?」
【GM】 「とくに問題ないですよ。すこぶる健康です」
【メイユール】 「2月の満月のときには、何もなかったですか?」
【GM】 それについて、ピーター博士は悩んでるらしい。じつは、先月の満月の夜、なんにも起こらなかったそうな。
【ティガー】 ジーネ、暴れなかったん?
【GM】 暴れなかった。それ以外にも、グラランボンバーによるものと思われる騒ぎは、まったく起きなかったらしい。
【メイユール】 そうなんや。
【GM】 キミたちの話を聞いて厳戒体制に入っていたオレンブルクは、拍子抜けしたみたい。明日は満月なんだけど、2月ほどには警戒されてないらしい。
「もし、今後暴走が起きないのなら、グラランボンバーの効果を消す薬の開発は、必要なくなるんですけどねぇ」
【ティガー】 2ヶ月に1回発行される雑誌みたいな感じで、暴走するのかも。
【メイユール】 隔月暴走?(笑)
【GM】 「もちろん、それも考えられます。私の助手が、何が暴走のきっかけとなるのか、伝承知識などをあたって、いろいろ探っているところなんですよ。私はこのまま、抗グラランボンバー剤の研究開発を続けますが」
【メイユール】 がんばって。じゃあ、「ありがとうございました」と言って、薬学部の建物を出る。
【GM】 現在、メイユールの時間は9時です。ちょうど、サテラとシルヴィアが魔術師ギルドに到着したところやね。3人はギルドの受付のところで顔を合わせるよ。
【シルヴィア】 「何してたん?」
【メイユール】 「ジーネのことを聞いてたんや」
【シルヴィア】 「何か変わりなかった?」
【メイユール】 じゃあ、博士から聞いた話を説明した。立ち話が終わったら、貧民街の賭場へ行く。「バイバイ」
【シルヴィア】 「あんまり、散財せんように」って、釘を刺しといてあげるわ。
【メイユール】 「えー、何がー?」って、右から左に抜けてるわ。
【GM】 メイユールはレッドゾーンに跨がって、賭場へ去っていった、と。サテラとシルヴィアはどうするのかな?
【シルヴィア】 ジーネの様子を見たいから、ピーター博士の研究室に行くよ。
【サテラ】 ジーネさんがどんなものか、ちゃんと見てみたいから、一緒に行きます。
【メイユール】 好奇心の対象なんや(笑)。
【GM】 では、ふたりの魔術師は、ピーター博士の研究室にやって来た。寝台の上でジーネが血を採取されているところです。
 博士が「やあ、シルヴィアさん。おはようございます」と、挨拶してくる。
【シルヴィア】 「ジーネの様子はどうですか?」と、尋ねてみる。
【GM】 すると、メイユールにしたものと同じ答えが、返ってきた。
【シルヴィア】 「グラランボンバーの特効薬の開発は、どんな感じ?」
【GM】 「何かわかりかけてる、といったところでしょうかな」と、博士は答える。「ジーネとテリーの血液を比較して、調べてるところなんですよ」
【ティガー】 テリーって、誰?
【GM】 ジーネの他に、グラランボンバーを飲んで、ここに通っていた人物。テリー・ターノックという男性の冒険者で、2月18日の夜、大ケガをして郊外に倒れていたところを、通りかかった別の冒険者に発見され、ミフォア大神殿に担ぎ込まれたらしい。
【シルヴィア】 それで「体がおかしい」ってことで、ここを紹介されたわけやね?
【GM】 そう。ファンリーは、ティガーからグラランボンバーのことや、ピーター博士のことを聞いてたから。
【ティガー】 あ、ファンリーがそいつを助けたん?
【GM】 実際に看病したのは、ファンリーの友人シューシャ。そのおっちょこちょいな友人を手伝ったとき、テリーがグラランボンバーを飲んでるんじゃないか、と思ったんやね。
 で、テリー本人に聞いてみると、「飲んだ」って答えられた。
【シルヴィア】 「そのテリーってひとは、今日は来てないの?」
【GM】 もう、ここには来ないよ。
【メイユール】 なんで? 死んだん?
【GM】 いや、元に戻ったから。2月22日からここに通うようになったんやけど、日ごとにグラランボンバーの効果が薄れていき、3月3日頃、彼の体からグラランボンバーは完全に消えたらしい。
【ティガー】 ジーネは、マッチョなままやんな?
【GM】 そう。
【メイユール】 ジーネとそのひとと、何が違うんやろ。
【ティガー】 ジーネが「元に戻りたい」と思ってないのが、原因とか。
【シルヴィア】 そのテリーってひと、今、どこにいるかわかる?
【GM】 4日ほど前まで、ミフォア大神殿に滞在して奉仕活動に従じてたけど、すでにメカリア方面に旅立ったそうです。もちろん、彼のサンプルは、ちゃんと保管してるけどね。
「そういうわけで、何がテリーの体からグラランボンバーを消したのか調べ、それを元に、抗グラランボンバー剤を開発したいんですよ」
【シルヴィア】 「ぜひ、がんばってください」と、励まそう。で、ジーネは起きてるの?
【GM】 起きてるよ。キミたちをじ〜っと見てる。
【シルヴィア】 「じゃあ、ジーネ。研究の結果が出るまで、おとなしく待ってるように。こっちのことは、何も、心配しなくていいから」(笑)
【GM】 ジーネはがしゅいんとうなずいた。で、サテラを見て、「そのひとは何?」と尋ねてくるよ。
【サテラ】 じゃあ、自己紹介しました。
【GM】 ジーネも自己紹介した。これで、顔見知りになれたね。他にすることはある?
【サテラ】 とりあえず、ショックを受けてる(笑)。
【シルヴィア】 じゃあ、これ以上ショックを受けると毒やから、サテラを連れて研究所を出よう(笑)。
【GM】 研究所を出て、どこに行くのかな?
【シルヴィア】 僕は、このままギルド内に留まって、他の魔術師と魔法談義でもしておくよ。知識の交換とか。
【サテラ】 わたしはギルドを出て、南の正門広場に行きます。
【GM】 そうすると、サテラは受付を通ることになるね。そこでキミは、紫がかった長い銀髪の青年を目にします。身を包むのは、若草色のローブ。裾のあたりは桜色。見た感じ、魔術師っぽいね。
【メイユール】 なんか、極彩色やな。
【ティガー】 すごいなぁ。派手〜。
【シルヴィア】 ──負けた。
【GM】 シルヴィアはトリコロールやろ?(笑) 胸が青で、脇腹が赤で、アクセントに黄色が配置されてて、『アリステアの白い奴』と呼ばれてるし。
【シルヴィア】 トリコロールというより、ガ○ダムやん。
【GM】 それはともかく、サテラは、そういう男性が、受付のひとにいろいろ尋ねているのを見たわけやね。

ヒデヨシの災難の事

【サテラ】 っていうか、いったい、どんな色のセンスをしてるんやろ?
【GM】 では、青年はキミの視線に気づいて、そっちを見るよ。
【サテラ】 とりあえず、話しかけてみる。「おもしろい色の服を着てますね」
【GM】 「大きなお世話ですよ」
【メイユール】 意外と普通の答えやな。
【ティガー】 なんや、ナルシストじゃなかったんや。
【GM】 銀髪の男性は、受付の人に鑑定依頼の名簿を借りて、向こうで見はじめた。
【サテラ】 じゃあ、「おもしろいものを見たなぁ」と思いながら、正門広場へ行きます。
【GM】 その時点で、時刻は10時ね。

【GM】 少し時間を巻き戻して、場面は『青い波の美し亭』。ティガーは、扉が開く音で目を覚ました。
【ティガー】 「なに〜?」
【GM】 どうやら7色のニワトリが、顔を洗いに外へ出るところのようやね。ヒデヨシは扉を閉めて、階下におりていった。
【ティガー】 顔を洗うんや。進化したなぁ(笑)。じゃあ、30分ぐらいもぞもぞしてから、起きて酒場におりる。
【GM】 時刻は9時30分。魔術師ギルドでは、サテラとシルヴィアが、ピーター博士から話を聞いている頃やね。ティガーが酒場におりてくると──。
【ティガー】 ──ヒデヨシが俺の朝食を注文して、待ってくれてるねん。
【メイユール】 便利やな〜。
【GM】 んなわけあるかい。ヒデヨシが、泣きながら酒場に飛び込んできて、ティガーに抱きつく。
【ティガー】 ヒデヨシが?!
【GM】 うん、おいおい泣いてるで。
【ティガー】 「どうしたん、ヒデヨシ!?」
【GM】 なんかね、全身の毛が抜けて、つるっパゲになってるよ。
【メイユール】 うわ〜っ!(笑)
【GM】 さらに、ヒデヨシを追いかけて酒場に入ってくる人物がいる。頭にターバンを巻いた、怪しい髭づらの中年の商人やね。
「待つアル! 実演販売中に逃げるなアル!」
【ティガー】 「食いモンちゃうわー! これ、俺のペットやねん」って、そいつに言う。
【GM】 「知らないアル。髭が生えた、珍しい鳥アル」
【メイユール】 髭を剃ってから出て行けよ、ヒデヨシ〜。
【GM】 いや、顔を洗って髭を剃るために外へ出たところで、この商人に捕まってしまったんやね。
【ティガー】 その商人、何を売ってるの?
【GM】 商人はニカっと笑って、懐から何やら怪しい液体が入った小ビンを取り出した。「これ、強力な脱毛剤アル」
【ティガー】 「こんなん(ヒデヨシ)なるん!?」
【GM】 「そんなんなるアル!」
【メイユール】 全身エステのニワトリや〜(笑)。
【GM】 ピンク色のヒデヨシは、おいおい泣いてるね。
【メイユール】 そりゃ、泣くわ。
【ティガー】 毛が生える薬はないん?
【GM】 「あるアルよ。脱毛剤は300フィス、発毛剤は500フィスね」
【ティガー】 500フィスぅ〜? それ、ホントに生えてくるの?
【GM】 「24時間後、ホントに生えてくるアルよ。嘘なら、腹かっさばくアルね」
【ティガー】 よっしゃ、買ったろ。じゃあ、「モヒカンみたいになるかなぁ」って、ヒデヨシの首筋だけに薬を塗ってみる。馬のたてがみみたいなのをめざすねん。
「ヒデヨシ、全体的に塗ったから」って、嘘を言うとく(笑)。
【GM】 ヒデヨシは、「コケかぁ〜?」と疑ってるけど。
【メイユール】 あーあ。かわいそうに、ヒデヨシ。モヒカンにされるんや。
【ティガー】 かっこいい!
【メイユール】 えー!?
【GM】 ターバン姿の商人は、「ところで、あんたはこれを髭に塗らないアルか?」と、ティガーに脱毛剤を勧めてくるよ。
【ティガー】 「いらないよ」
【GM】 「じゃ、また御用があったら、私、セフテムの店に来るよろし」と言って、ターバン姿の商人は去っていった。たいてい、さかな広場で露店を開いてるらしい。
【ティガー】 じゃあ、オムレツを食べよう。

 その頃、賭場に着いたメイユールは1700フィスを投じて、100フィス入手した。

【メイユール】 見てん、100フィスも勝ったで。
【シルヴィア】 1600フィスも負けてるやん。
【メイユール】 ギャンブラーは、使った金額を覚えたらアカン(笑)。

 シルヴィアは、魔術師ギルドで魔術師たちと語らい、サテラは正門広場で露店や大道芸などを見物して過ごす。
 オムレツを食べ終えたティガーは、宮廷広場へ繰り出し、有名ブランド『マックホープ』の服など1000フィス分を買い込んだ。
 そうして時間は進み、正午になった。

【メイユール】 賭場の近くの大衆食堂で、食事する。
【GM】 チャーハンね。
【シルヴィア】 僕はギルド内の食堂で、昼ごはんを食べるよ。
【GM】 はい、カレーうどん。
【ティガー】 宮廷広場の屋台で、昼飯を食う。
【GM】 牛丼特盛りな。
【サテラ】 正門広場の近くの酒場で、食事します。
【GM】 サテラが正門広場で手近な酒場を探していると、ギルドのほうから、例の銀髪の青年が来るのを見た。青年は、『大いなるナマズ亭』という酒場兼宿屋に入っていったよ。
【ティガー】 向こうはサテラに気づかなかったん?
【GM】 (ころっ)いや、チラっと見たようやね。とくに反応はなかったけど。
【サテラ】 じゃあ、極彩色の兄ちゃんが入っていった酒場に、行ってみる。
【ティガー】 追っかけや(笑)。いつか恋に発展すんねん。
【メイユール】 「え〜?」と思いながらも、気になる相手なんやな。最後にはお決まりのシーン。
【GM】 サテラが酒場に入ると、チェックインをすませた青年が、2階へ上がっていく後ろ姿を見ました。
【サテラ】 とりあえず声をかけて、男前かどうか確認。「そこの変な服着た、お兄ちゃん」
【GM】 ムっとして振り返った顔は、そこそこカッコいいよ。切れ長の目やね。切れ長の目で長髪とくれば、すぐ失明して、戦うときは上半身裸になると推測できるね。
【ティガー】 できるかっ! 何の話しやねん。
【サテラ】 「服は変だけど、似合ってないわけじゃない」とか、フォローしてみる。
【シルヴィア】 苦しいフォローやな(笑)。
【GM】 青年は困惑してるね。「忙しいんだから、用がないのなら、放っといてくれないか」と、言ってる。
【サテラ】 とりあえず、「一緒にごはんを食べないか」と誘ってみる。
【GM】 「せっかくだけど、やらなきゃいけないことがあるので」と青年は断って、2階に上がっていった。
【サテラ】 じゃあ、ナマズ亭で普通に食事します。
【GM】 髪の生え際が脳天まで後退してる、体格のいいナマズ髭のおじさんが、ここの主人。カウンターで、変なブラシで額をぽんぽん叩いてたおじさんは、サテラの注文を聞くと、さっそく料理に取りかかった。
【ティガー】 そいつに、発毛剤を1000フィスぐらいで売れば……。
【メイユール】 ティガーが何か企んでる(笑)。
【サテラ】 そのマスターに、「あの変なひとは何?」って聞く。
【GM】 「何って、さっきうちに来たお客さんだよ」
【サテラ】 「何か知ってることない?」
【GM】 知ってること? う〜ん、「名前ぐらいなら、宿帳を見ればわかるな」と言う。「ジョン・J・スミスってひとだ」
【ティガー】 えーっ? 嘘くさぁ〜。
【メイユール】 めっちゃ、偽名っぽい。
【サテラ】 じゃあ、食事が終わったら、マスターにお礼を言って、魔術師ギルドの王立図書館に行きます。
【GM】 キミたちは、それぞれの場所で昼食をとった。時刻は12時30分。
 宮廷広場にいるティガーは、背後から声をかけられたよ。
【ティガー】 振り向く。男? 女?
【GM】 男性です。キミはその顔を知ってるよ。ピーター博士の助手やね。
「ピーター博士が、お話があるらしいんですが……」
【ティガー】 えーっ、俺??
【GM】 彼は『青い波の美し亭』へ呼びに行く途中だったんだけど、ちょうど、ここでティガーを見かけたんで、声をかけてきたんやね。
【ティガー】 「あー、そうですか。15時ぐらいまでなら、いいよ」って言うとく。
【メイユール】 なんで、15時なん?
【ティガー】 18時になったら、ミフォア大神殿にファンリーを拉致しに行くから。19時から高級レストランでディナーを食べる。
【GM】 19時なったら、街の門が閉まって、ファンリーは神殿に帰れなくなるよ。
【ティガー】 いいねん。今日は、ファンリーとおしゃれな高級ホテルに泊まるから。
【メイユール】【サテラ】 おおーッ!!
【シルヴィア】 それで、いい服を買いよったんか(笑)。
【ティガー】 というわけで、15時までね。
【GM】 OK。では、ティガーは助手と一緒に、魔術師ギルドへ向かいます。

÷÷ つづく ÷÷
©2004 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2004 Jun Hayashida
Map ©2004 Moyo
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お名前
ひと言ありましたら
 
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