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§銀月の歌:第7話§

地面の下で過ごす日々

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ まだ続く探索の事 ▽ ティガー、ピンチの事 ▽ 財宝発見の事

まだ続く探索の事

【GM】 部屋(D)で一夜を明かして精神力を回復させたキミたちは、ウィル・オー・ウィスプを呼び出し、ついでにたいまつに火を灯して照明を確保し、2日目の探索を開始しようとしています。
【シルヴィア】 ところで、円柱に変化はない?
【GM】 ない。昨日、見たときと同じまま。

 冒険者たちは部屋(D)を出て、迷宮を奥へ進み、地下2階におりた。そして、部屋(G)にやって来た。

【GM】 部屋(G)の中央には、キミたちの背丈よりもひとまわり大きな、四角い台座のようなものがある。
 キミたちが入ってきた扉と向き合う台座の面には、大きな穴があいてます。
 台座の上には何も載ってない。
 台座の右脇には、1体の鉄人形が片膝を立てて座っている。鉄人形は、台座の側面に取り付けられた、ハンドルレバーのようなものを握って、じっとしています。
【メイユール】 何やろ? 通販のCMみたい。
【ティガー】 「この箱を使えば、キミもマッチョに」とか。
 とりあえず、鉄人形に「何してんの?」って聞いてみる。
【GM】 反応はない。
【シルヴィア】 ノーコメントらしい。
【ティガー】 入っちゃえ。鉄人形、動く?
【GM】 ピクリとも動かない。
【ティガー】 この部屋には、他に何もないの?
【GM】 扉の横の壁に、上にあげられたレバーが設置されてるのを見つけた。それ以外は、何も目につくものはありません。
【ティガー】 そのレバーを下にしたら、人形が襲ってくるのかな。
【シルヴィア】 ここはほっといて、他の場所を調べに行こうか。

 冒険者たちは部屋(H)にやって来た。
 ここにも、部屋(G)で見たのと同じ台座があった。同じく正面に穴があけられており、部屋(G)の台座の穴とは、通路をとおして一直線に向かい合っていることになる。

【GM】 ただ、この部屋の台座の横には、ハンドルレバーも鉄人形もない。台座の上に、大人3人が手をつないで輪になるほどの大きさの円柱が、天井を貫いて立ってます。
【シルヴィア】 位置的に、ここの円柱は、1階の部屋(D)の円柱につながってそうやな。
【ティガー】 入ってみる。奥に続く通路とかない?
【GM】 見当たらないね。部屋(H)はしんと静まり返っていて、松明に燃える炎の音とか、キミたちの足音とか、キミたちの咳払いとか、「ゲコっ」という物音しかしない。
【サテラ】 「ゲコ」?? カエルがいるの?(笑)
【メイユール】 探すで、そんなん(笑)。
【ティガー】 たいまつを近づけて、台座の穴を覗いてみる。
【GM】 するとティガーは、穴の中に潜んでいたカエルと目が合った。カエルは穴から飛び出し、ぴょこぴょこ跳ねて、どこかへ行ってしまった。
【メイユール】 あーっ、ティガー、もっと慎重にいこうよぉ。
【ティガー】 ホンマにカエルがおった(笑)。
【GM】 ちなみに穴の奥のほうには、大きな歯車などが複雑に組み込まれていて、何やら仕掛けめいた造りになってます。
【ティガー】 部屋(G)のレバーを下げたら、こっちで何か起こるのかな。

 というわで、ティガーが部屋(G)に戻って、壁のレバーを下げてみた。

【GM】 すると、台座の横の鉄人形が、ハンドルレバーをぐるぐる回しはじめた。
【ティガー】 なんや、それだけか。変化はないの?
【メイユール】 どこからか、ゴゴゴ……と音がするとか。
【GM】 部屋(G)の台座の中で、カリカリカリカリと音がしてる。ただ、それだけ。
【ティガー】 部屋(H)の円柱が伸びるとか、縮むとかしないん?
【GM】 メイユールたちは部屋(H)で様子を見てるけど、何も変化はないよ。
【メイユール】 台座の穴の中の歯車も、動いたりとかしてない?
【GM】 ぴくりとも動かない。
 部屋(G)では、そのうちレバーがカチンと上に跳ね上がり、鉄人形がハンドルを回すのをやめた。
【ティガー】 1階の部屋(D)の円柱も見に行ってみよう。
【シルヴィア】 じゃあ合流して、ゾロゾロと行こうか。
【GM】 キミたちは、部屋(D)に来た。円柱は、前に見たときと同じように、黒い丸を正面にして、ひんやりと佇んでいる。
【ティガー】 変わってないじゃん。
【メイユール】 まだ行ってないところがあるから、先にそっちを調べてみよう。

 というわけで、冒険者たちは部屋(I)の前にやって来た。

【GM】 鉄の扉が閉められており、キミたちの行く手は阻まれている。
【ティガー】 開けるで。
【GM】 鍵がかかってるよ。
【ティガー】 えっ、鍵? やった〜♪
【メイユール】 うれしそうやな(笑)。
【GM】 [鍵開け]するなら、その鎧を脱がないといけないね。
【ティガー】 じゃあ、鎧を脱いでから[鍵開け]する。(ころっ)
【GM】 ティガーは確かな手応えを感じた。鍵は乾いた音をたてて、はずされた。
【ティガー】 扉を開けてみる。
【GM】 扉の向こうは、部屋(I)のようやね。床の中央には、魔法陣が描かれてます。その魔法陣をはさんで、2体の悪魔像が座っている。
【ティガー】 この部屋もこれだけ? 奥に続く通路とかはないの。
【GM】 見当たる範囲では、それだけ。
【メイユール】 扉を開けても、悪魔像とかに変化はなし?
【GM】 今のところ、何の変化もないね。
【シルヴィア】 中に入ると、何か起きそうやな。
【ティガー】 じゃあ、鎧を着て、中に入ってみる。
【シルヴィア】 僕は扉のところで待機しとくよ。
【メイユール】 わたしらを見て、「アホやな」とか思ってるんやろ(笑)。
【ティガー】 「あいつら入りよった」とか思ってるんやで、きっと。
【シルヴィア】 僕は後ろを見張ってるから(笑)。
【GM】 入るのは、ティガー、メイユール、サテラでいいんやね?
 ティガーたち3人が部屋(I)に入ると、魔法陣が怪しく光りはじめた。不気味に明滅する魔法陣から、1体の人影が、徐々に姿を現す。見た感じ、ミミズクっぽい顔をしてる。
【ティガー】 かわいいーっ!
【メイユール】 気持ち悪いわ〜。
【GM】 全身が羽毛に覆われていて、その下半身は山羊の後ろ足。背中に翼があります。両腕は、先が尖ったうねうね動く触手です。
【メイユール】 ゴージャスやなぁ。
【ティガー】 いろんなものがくっついてるで。「どないしたん、その体」って聞いてみる。
「自分、誰?」
【GM】 「契約により、この迷宮を守護するもののひとつだ。力なき者に、財宝を渡すわけにはいかぬ。弱き者は、我が触手が届かぬうちに立ち去るがよい」
【ティガー】 「財宝よりも、さっきの仕掛けのことを知りたいねんけど」
【メイユール】 財宝はいらんの?(笑)
【シルヴィア】 知的好奇心が旺盛やねん(笑)。
【ティガー】 「で、あの仕掛け、どうなってるの?」
【GM】 「頭が悪い奴も、さっさと帰れ」と、謎の怪人。
【メイユール】 心のせまい奴やな〜。
【シルヴィア】 セージチェックで、そいつの正体を探ってみていい?
【GM】 どうぞ。──誰も成功しなかったね。キミたちは、この怪人を“ミミズク男”と名付けた。
【メイユール】 未確認生物、UMAや。
【GM】 キミたちがこの部屋から立ち去らないのなら、ミミズク男は襲いかかってくるよ。戦闘になります。
【ティガー】 じゃあ、剣で殴りつける。

 冒険者たちとミミズク男との戦闘がはじまった。
 2ラウンド目には、魔法陣の左右の悪魔像も動きだし、ミミズク男の命令でメイユールとサテラに襲いかかる。

【GM】 ミミズク男はカッと目を見開き、ティガーを睨みつける。
【ティガー】 じゃあ、カッと目を見開き返す。「それぐらい、できるわ!」
【GM】 ティガーは精神力でレジストしてみ。──なに、1ゾロ? んじゃあ、経験点を10点あげると共に、恐ろしい幻覚をプレゼントしよう。
【ティガー】 楽しい幻覚じゃないんや。
【GM】 そう。ジーネがモーニングスターを振り回しながら、キミに迫ってくる。
【ティガー】 それは怖いね(笑)。
【GM】 めちゃくちゃ怖いので、ティガーは精神力に9点のダメージを受けます。ついでに、恐怖にすくんで、次のラウンドは何もできないよ。
【シルヴィア】 〈ファイア・ウェポン〉をかけるつもりだったけど、どうしよう。いちおう、かけとくか。(ころっ)
【ティガー】 ムダに燃えてるね(笑)。

ティガー、ピンチの事


 ティガーを失うと、パーティの戦力はガタ落ちになる。
 ミミズク男も幻覚の集中のために動けないが、2体の悪魔像が、接近戦向きではない残りのふたりに襲いかかる。
 とくに、冒険者レベルが低く鎧が薄いサテラは、噛まれてひっかかれ、大きく負傷して苦しめられた。

【サテラ】 残りの生命力が4点……。
【ティガー】 シルビーの後ろに隠れとくとか。
【シルヴィア】 僕はファイター技能を持ってるから、回避に支障はないし。
【メイユール】 じゃあ、前に行け!(笑) なんで、わたしが接近戦になってるんよ。
【シルヴィア】 そりゃ、しかたがない。いちおう、バックアタックに備えてたんやけどね。
【メイユール】 いちばん後ろにいただけやんか。知的好奇心はどこへやら。
【シルヴィア】 背中にあるねん。
【メイユール】 さようでございますか。
【シルヴィア】 じゃあ、サテラ、入れ替わろうか?
【サテラ】 はい。
【GM】 その行為は、次のラウンドね。ちなみに魔法使いふたりは、入れ替わりのために、次のラウンドは魔法を使えないよ。

 第3ラウンド、ティガーは恐怖におののき、何もできない。メイユールは目前の悪魔像に〈ウィル・オー・ウィスプ〉をぶつけ、ダメージを与える。
 サテラはシルヴィアと入れ替わり、最後方に下がった。前に出たシルヴィアは、すぐさま悪魔像の牙と爪を受け止める。
 第5ラウンド、ティガーは精神力抵抗に成功し、ようやく恐怖の幻覚から解放された。

【GM】 気がつくと、ツヴァイハンダーが燃えている。
【ティガー】 「あれ〜? ジーネのせい?」(笑)

 その間に、メイユールが〈ウィル・オー・ウィスプ〉のクリティカルで、目の前の悪魔像を打ち砕いた。
 次のラウンド、冒険者たちは順調にミミズク男と、残った悪魔像にダメージを与える。

【GM】 おのれ〜。ミミズク男は、2本の触手でティガーに反撃──左の触手がヒットしたね。んじゃ、必死で防御してみ。
【ティガー】 (ころっ)あっ、1ゾロ。
【GM】 なら、尖った触手が鎧の隙間からティガーを突き刺し、16点のダメージ。
【ティガー】 あー、生命力がマイナスになっちゃった。
【メイユール】 マジで!?
【GM】 ティガーはぶっ倒れた。生死判定の目標値は8ね。
【ティガー】 じゃあ、1ゾロじゃなかったら、いいんちゃうん。(ころっ)
【サテラ】 うわっ。
【メイユール】 もぉ〜、やめてよぉ!
【ティガー】 あはははは(笑)。
【GM】 今のは、いい感じで振れたなぁ(笑)。片方が先に1を出して、もう片方が、もったいぶって回り続けてたもんな。
【サテラ】 怖かった……。
【GM】 出目は1と3なので、ティガーはかろうじて生きてるよ。意識不明だけど。
【メイユール】 臨死体験や。
【ティガー】 じゃあ、カバンタに会っとこ。
【シルヴィア】 ミミズク男に〈エネルギー・ボルト〉。(ころっ)おっ、2回クリティカルして、ダメージ19点。
【メイユール】 怒りのエネボや。
【GM】 こういうときは、そういうふうに美化されるもんな(笑)。ミミズク男は倒された。ドロドロと解けて崩れていきます。
【ティガー】 あー、なんかそばを通り過ぎて行った〜。ミミズクが〜(笑)。

 そして残された悪魔像は、冒険者たちに降伏した。

【メイユール】 ティガーを指して、「これをちょっと説明してもらおうかな」って言う。
【GM】 「それをやったん、ボクじゃないですやん」
【ティガー】 じゃあ、サテラを指させば(笑)。彼女をボコってたの、こいつやし。
【GM】 「あのミミズクにですね、妻と娘を人質に取られて、やむを得ず、言いなりになってただけですよ〜。これからは、まっとうな石像として生きていきます」
【シルヴィア】 どうする、サテラ? 別に情けをかける必要なんてないけど。
【サテラ】 とりあえず、恨みつつ睨んでみる。
【GM】 悪魔像は縮こまってる。「故郷には、病に伏せる母もいて──」
【ティガー】 どんな石像やねん! ……石像の故郷、見てみたいけど。
【シルヴィア】 じゃあ、こうしよう。僕がグレート・ソードで攻撃するから、それに耐え切ったら、逃げてもええわ。
【メイユール】 根性試し?(笑)
【シルヴィア】 (ころっ)あ、耐え切ったか。じゃあ、見逃してあげよう(笑)。

 こうして悪魔像は姿を消し、倒れたティガーと負傷したサテラは、メイユールの〈ヒーリング〉で癒された。
 そして遺跡の探索を再開したが、ここからが大変だった。

 黒い丸などの図形が彫り込まれた円柱がある部屋(D)が、2本尻尾の黒猫が言った『月の部屋』だと見当はついた。
 おそらく、地下2階の部屋(G)の鉄人形の仕掛けが関係してる、と予想もできた。
 しかし、どうすれば遺跡に変化が起こるのか、わからなかった。
 とりあえず、「黒猫が言ったとおり、『月の部屋』である部屋(D)で15日待ってみよう」ということになった。どうやら、15日間、地下遺跡で過ごすつもりらしい……。

【ティガー】 俺は保存食を60個持ってるから、大丈夫!
【メイユール】 半月も待つのか。ティガーやシルヴィアは、ヒゲぼーぼーになるで。
【ティガー】 ヒデヨシもぼーぼーになる。
【シルヴィア】 ニワトリやのに、ヒゲが生えるんや。
【GM】 というか、翌日になったら、2本尻尾の黒猫が様子を見にくるよ。
「何してるんですか?」
【ティガー】 「え? 15日待ってんねんけど」
【メイユール】 「ここに居ついたわけじゃないよ」
【ティガー】 「15日経ったら出るんで。たぶん。知らんけど」
【シルヴィア】 「ところで、地下2階でミミズク男を倒したんやけど、まずかった?」って、猫に聞いてみる。
【GM】 「いえ、あれはパワーの試練ですから、別にかまいませんよ。友達でもないし」
【メイユール】 おー、パワーには勝ったぞ。
【シルヴィア】 「じゃあ、他にも試練があるわけ?」
【ティガー】 たぶん、頭を使う試練があるんやろうけど、それはまずい。
【メイユール】 力押しやのに。
【GM】 「──で、15日待つんですか?」と、猫が尋ねる。
【ティガー】 「だって、おまえ、言ったやん」
【GM】 猫は呆れて笑ってるよ。猫笑いしてる。
【メイユール】 笑われたー。
【シルヴィア】 15日、ボ〜っとして待つのもヒマやし、その『知の試練』にチャレンジしてみようか。
【GM】 「というか、今、あなた方が直面しているのが、その試練なんですけどね」と、2本尻尾の黒猫。
「見た目にだまされないでくださいね」と言い残して、姿を消した。
【メイユール】 いい猫や。
【シルヴィア】 どういう意味やろ? 誰か、わかるひと、考えて。
【メイユール】 何がチャレンジや(笑)。

 冒険者たちは地下2階の部屋(G)に行き、再び壁のレバーを下ろしてみた。

【GM】 鉄人形は、ハンドルをくるくる回しはじめる。
【ティガー】 こっちの台座にも、穴があいてたんやんな。中身はどうなってんの?
【GM】 部屋(H)の台座と同じく、ギアが複雑に組み込まれていて、ぐるぐる回ってる。やがて壁のレバーが跳ね上がり、鉄人形は動きを止めた。ギアの回転も止まったよ。
【シルヴィア】 たぶん、部屋(G)の台座の歯車と、部屋(H)の台座の歯車を、なんとかしてつなげてレバーを下げたら、部屋(H)の歯車が回って、円柱が回転して何かが起きるんじゃなかろうか、と思われるんでございますが。
【メイユール】 回転?
【ティガー】 部屋(H)の円柱と、部屋(D)の円柱はつながってるから、回転したら、月の絵が変わるんや。レムリアの月は15日で満月になるから、あの月の絵を白丸(満月)にしたら、何か起こるんかも。

 ──と、ここまでは推理できたが、どうやって離れた部屋の歯車を連動させるか、冒険者たちは大いに悩んだ。
 ティガーが部屋(D)の円柱のてっぺんに登ったりなどと、無意味な行動をくり返してると、またしてもふた尾の黒猫が姿を見せた。

【GM】 「まだ悩んでるんですか?」
【ティガー】 この部屋の円柱を回せばいいのはわかったけど、どうやって歯車をつなげたらいいかが、わからへんねん。
【GM】 「隅々まで調べてみましたか? 見ただけで満足してませんか?」と、猫は言う。
【メイユール】 じゃあ目をつぶって、部屋の壁をペタペタする。
【GM】 なんで目をつぶるの?(笑)
【メイユール】 だって、「見た目にだまされるな」って言うたやん(笑)。
【GM】 部屋(D)の壁は、ペタペタしてみても、どれも頑丈なものだった。
【ティガー】 じゃあ、他の部屋も調べる。

 4人は、今までに入った部屋を、もういちど探索するすることにした。
 ティガーが、シーフ技能を使って、床の化け物と戦った部屋(B)の壁をチェックしてみると……。

財宝発見の事

【GM】 壁の一部の音がおかしい。向こうが、空洞になってるような気がする。
【ティガー】 蹴ってみる。
【GM】 すると、壁の一部がクルっと回った。一瞬、隠し通路のようなものが見えたけど、乱暴に蹴られたので、回転した壁は、また元のように閉じてしまった。
【ティガー】 回転扉か。シーフのふりをしながら、入って行く。
【メイユール】 「ふりをしながら」って、シーフ技能持ってるやんか(笑)。
【GM】 行くのはいいけど、照明はどうなってんの?
【ティガー】 シーフは何でもできると思い込んでるから、そのまま行って、「やっぱり、ムリや〜」って思う。
【メイユール】 じゃあ、照明を持って、後から隠し通路に入る。

 隠し通路は部屋(C)につながっていた。
 部屋(C)の奥の壁には、1枚の金属盤がはめ込まれている。金属盤には、下位古代語の文章が刻まれていた。
「月へ昇るもの『天の鍵』『天の心』『天の衣』を見出さん。ここに眠るは『天の鍵』。鍵は鍵の形にあらず。形に惑わされることなかれ」と、書かれてあるようだ。

【シルヴィア】 その金属盤、ひっぱがすことはできる?
【GM】 判定してみようか? ──成功やね。シルヴィアは、壁にはめ込まれた金属盤を、力任せに引き剥がした。
【ティガー】 「うわ〜。猫、怒るんちゃうか」と思って見てる(笑)。
【メイユール】 これでメモする必要がなくなったな。
【GM】 メモしろよ!
【メイユール】 この部屋は、他に何もなし?
【GM】 さっきまで金属盤があったけどね。壁に窪みが残ってるだけ。
【メイユール】 しょぼい部屋になってしまった。他の部屋をペタペタしてみよう。どの部屋へ行く?
【サテラ】 じゃあ、ミミズク男と戦った、魔法陣の部屋(I)に。
【GM】 それでは、キミたちは地下2階におりて、部屋(I)にやって来ました。魔法陣は、もう光らない。
【ティガー】 シーフ探し〜。(ころっ)
【GM】 ティガーが壁の一部を調べていると、その手がスポっとすりぬける箇所があった。
【メイユール】 わたしらには、ティガーの腕が壁に突き刺さったように見えるんやな。
【ティガー】 「これがシーフの力だ」って言う(笑)。
【メイユール】 わたしもやってみよう。
【GM】 もちろん、メイユールの腕も壁をすり抜けるよ。
【シルヴィア】 はいはい。いいから、奥に入って入って。
【メイユール】 わたしらを先に入れさせるんか〜。自分が行け〜!

 幻覚の壁の向こうは、隠し部屋(J)になっていた。
 そこには、長さ3メートルほどの太い筒が7つ転がっている。そのうち2本の筒は、それぞれ片方の先端が、かさ歯車になっていた。

【シルヴィア】 これを連結させて、部屋(G)と部屋(H)の歯車に差し込めば、円柱を回転させることができるんやね。じゃあ、みんな、これをあの通路に運び出して。
【メイユール】 おまえもやれよっ。

 4人は協力して筒を通路に運び出し、部屋(G)と部屋(H)の歯車をつなぐシャフトにしあげた。

【ティガー】 部屋(G)のレバーを下ろす。ガチャ〜ン。
【GM】 すると、鉄人形がハンドルをぐるぐる回しはじめた。台座から伸びるシャフトも、ちゃんと回転しています。
【シルヴィア】 じゃあ、部屋(D)に行って、様子を見てみよう。
【GM】 キミたちが部屋(D)に到着したとき、ちょうど円柱が1周して、再び黒丸を正面に向けるところだった。そして、黒丸が正面に来たところで、回転は止まった。
【シルヴィア】 1回レバーを下ろして、跳ね上がるまでほっとくと、1周してしまうみたいやな。
【ティガー】 半周させて、白を正面にして止めなアカンねんな。あの鉄人形は、何回ハンドルを回してた?
【GM】 60回。
【ティガー】 んじゃあ、鉄人形がハンドルを30回まわしたところでレバーを上げたら、白丸が前に来るんや。
 部屋(G)に行って、レバーを下ろしくる。ハンドルが30回まわったところで止めるから、みんな、この部屋で様子を見といてな。
【GM】 というわけで、ティガーはたいまつを借りて、部屋(G)に行った。
 しばらくすると、サテラたちの目の前で、円柱がゆっくり回転しはじめる。白黒半分の丸が正面に来たあたりで、奥の壁の一部が横にスライドしはじめ、白丸が正面に来たとき、完全に隠し扉が開いた。円柱の回転は、そこで止まった。
 またしばらくして、ティガーが部屋(D)に帰ってきた。
【メイユール】 おかえり〜。迷子にならへんかったな。
【シルヴィア】 パン屑を道に落として行ってたんやろ。
【GM】 全部、ヒデヨシに食われたけど。
【ティガー】 何すんねん、ばかヒデヨシーっ!
【GM】 「コケぇーッ!」──ってことが、シルヴィアたちの見えないところで、繰り広げられてたんやね。
【メイユール】 激しいな(笑)。
【シルヴィア】 じゃ、隠し扉の奥に行ってみよう。
【GM】 はいはい、そこは隠し部屋(E)です。そこには、蓋が閉まった宝箱が3つ、行儀よく並んでおります。
【ティガー】 左から順に開けちゃえ。

 いちばん左の宝箱には、魔晶石が2個入っていた。残っている魔力は、それぞれ12点、16点だった。
 真ん中の宝箱には、何だか変てこな材質でできた背負い袋が、ひとつ入っていた。

【メイユール】 何、この袋。笑うとか。
【サテラ】 笑い袋?(笑)
【ティガー】 中に何か入ってる?
【GM】 何も入ってないよ。
【シルヴィア】 まあ、何でももらっておきなさい。「もらえる物はもらう」というのが、アクアマリン家の家訓やし。

 そして、ティガーがいちばん右の宝箱を開けようとしたとき──。

【GM】 不用意に開けようとしたティガーの指に、毒針が突き刺さった。生命力でレジストしてみ──抵抗できたね。なら、単に針が刺さっただけ。
【メイユール】 中身は何?
【GM】 爆炎が描かれたカードが1枚、吹雪が描かれたカードが1枚、「?」と書かれたカードが1枚、計3枚のカードが入ってます。
 ちなみに、爆炎カードには「ファイアボール」、吹雪には「ブリザード」、「?」には「パーフェクト・キャンセレーション」と、下位古代語の文字で書かれてあります。
【メイユール】 何やろ、これ?
【シルヴィア】 とりあえず、ゲットしたものに〈センス・マジック〉。(ころっ)
【GM】 シルヴィアは、すべての財宝に魔力を感じた。
【サテラ】 袋も?
【ティガー】 わかった! 袋にカードを入れて敵のほうに向ければ、絵に描かれたことが起こるんや。吹雪のカードなら、吹雪。
【GM】 ティガーが袋に吹雪のカードを入れて、口を下に向けてみたら、カードがひらひらと落ちてきた。
【ティガー】 あー、くっそ〜。はずれか。
【GM】 財宝の正体が知りたければ、セージ技能でチェックしなさいよ。
 ──ティガーは、魔法のカードの正体を見抜いた。カードに書かれた下位古代語のコマンドワードを唱えながらちぎると、その魔法が発動するという、使い捨てのアイテムです。
 ──袋の正体は、誰も見抜けなかったね。
【ティガー】 「俺のよりボロい」って言うとこ。猫に聞いたら、教えてもらえるかな?
【メイユール】 見つけた財宝を、見せに行く約束やしな。
【シルヴィア】 じゃあ、黒猫のところへ行こう。
【GM】 キミたちは、最初に2本尻尾の黒猫に出会った部屋(A)にやって来た。例の黒猫が座って待ってました。
「どうやら、迷宮の財宝を入手したようですね」
【シルヴィア】 「こんなん見つけたんやけど」と、黒猫に財宝を見せる。
【メイユール】 金属盤以外の物だけね(笑)。
【シルヴィア】 「この袋の正体だけわからんかってんけど、こいつが何か、教えてらえる?」って、猫に聞いてみるよ。
【GM】 「いいですよ。では、私について来てください」と、黒猫は再びキミたちを迷宮の奥へいざなう。
【サテラ】 また、奥に行くの?
【ティガー】 何やろ。ついて行く〜。

÷÷ つづく ÷÷
©2005 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2005 Jun Hayashida
Map ©2005 Moyo
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