≪REV / EXIT / FWD≫

§輪廻の聖者:第6話§

狙われた僧院

著:龍神裕義
▽ おかん、リーナスを気に入る事 ▽ 怪しい領主の事 ▽ ハニィ爆発の事

おかん、リーナスを気に入る事

【GM】 おのおの方、よろしいかな。ゲーム世界では、前回のセッションから半月という時間が経過しとりますぞ。
【エリオ】 だいぶ回数を重ねてきたな。ほんなら、これまでの状況をちょっとおさらいして、整理しとこか〜。
【GM】 おー、それは助かる。
【エリオ】 まずはアリステア地方の情勢から。前々回の話では、「ヴァイス王国とレンベーヌ王国の関係が悪化している」ってことやったけど、前回すでにヴァイス王国のパドニカはレンベーヌ王国に占領されてたな。
【ハニィ】 ヴァイス王国とレンベーヌ王国の間で、戦争が起きたってことや。
【ユーリ】 そのせいでレイクを見つけられんかった。
【GM】 戦争のせいだけやとは思えませんけど……。あと補足させてもらうと、ヴァイス王国のカストアという街も、あの後レンベーヌ王国に占領されたよ。ヴァイス王国の所有する主な都市は、もはや王都ヴァイスを残すのみ。
【ジャニオス】 そこを取られたら大変や。
【GM】 『大変や』いうより、王都が陥落したら、ヴァイス王国は消えますがな。
【エリオ】 そんで、ハニィが見た夢の啓示。「9つあった光のうち、4つが既に消滅し、5つ目が明滅して消えた」ってやつ。
【ユーリ】 たぶん、これ、魔神に襲われた都市の数やと思うねん。
【ハニィ】 前々回に情報で聞いた、魔神が出現した街の数と同じやもんな。じゃあ、5つ目の街が新たに襲われたってこと?
【ユーリ】 そんで、あと4つの街が襲われる予定なんや。
【ジャニオス】 場所が特定できんから、僕らには何ともしようがないけどな。
【ハニィ】 それから前回の最後に、ラトゥーリの知識神リンツの大神殿で、大司教派と、反大司教派とがゴタゴタやってるらしい、って言いよったよ。
【ユーリ】 それにレイクも何をしようとしてるんか、よくわからん。何か悪いこと企んでそうやねんけど。だいたい、どこにおるんかがわからんし。
【エリオ】 レイクに初めて会ったセルマの神殿では、混沌を打ち払ったという『セルマの宝玉』があったような痕跡が発見できたけど、肝心の宝玉はなかったな。
【GM】 誰が持ち去ったのかはわからんけどな。
【ジャニオス】 こないして見ると、何にも解決できてへんぞ! セッションも6回目やのに!
【エリオ】 身近なところですら、何ひとつ謎を解いてない。光る男リーナスが、なんで牛魔神バリドスに狙われてるんか。初登場のときはレンベーヌ騎士にも襲われてたやろ。
【ジャニオス】 それはたぶん、光るからやな。
【ハニィ】 でも、なんで光りよるんかが、まだわからん。
【エリオ】 そもそもバリドスって何やねん、って話や。
【ユーリ】 できたことは、レクターを助けてやったことぐらい? あとはユーリとハニィがレンベーヌ王国でお尋ね者になって──。
【エリオ】 俺がファノンに帰れなくなったことぐらい。
【ジャニオス】 ダメダメやな。この、ダメダメどもが!
【エリオ】 このキャンペーン、ちゃんとまとまりがつくのか?
【GM】 私ゃ知りません。責任も持ちません。あなた方の働きいかんですよ。それでは、セッションを再開しましょか。
 さて、現在、皆さんはアスリアの街のシルファス神殿、レクターさんのところに身を寄せています。居候ってやつですな。そしてド厚かましくも、午後のお茶を飲んですっかりくつろいでいるところに、リナ似の女性セレアさんがやって来ます。
【ジャニオス】 何の用や〜。
【GM】 「用事で街に出かけるんで、どなたかご一緒してもらえませんか」とのこと。
【ジャニオス】 荷物持ちさせる気か!
【GM】 いや、別に買い物とは言ってないよ。
【エリオ】 何にしろ、喜んでついて行く奴が約1名おるぞ。
【ユーリ】 行かへんって。似ててもリナじゃないもん。そんな浮気症じゃない。盗賊ギルドにでも行ってくる。
【ジャニオス】 しゃあないな、エリオ行っとき。
【エリオ】 じゃ、完全武装してついて行ったる。
【ユーリ】 なんで完全武装やねん。
【エリオ】 絶対、街で事件が起きよるから(笑)。
【ハニィ】 あたしもついて行くよ。
【ジャニオス】 僕は残ってお茶でも飲んどく。
【エリオ】 ジャニオスも来い。首根っこ掴んで引きずって行く。
【ジャニオス】 じゃ、変わり身の術を使う。
【エリオ】 変わり身の術を使った、と思うたジャニオスの後ろに俺が立ってる。
【ジャニオス】 そのエリオの影の中に隠れてる。
【エリオ】 俺の影や、思うたんは実は丸太人形の影で、その中に隠れてるジャニオスに、俺の剣の一撃が──。
【GM】 ええ加減にしなはれ! ほっといたらどこまで続けるねんな。
【ジャニオス】 ええわ、行く行く。セレアについて行ったる。できるだけ早く用事を終わらすため、ダッシュで。
【GM】 じゃ、セレアさんの用事は、さっさと済まされました。そして、ええ荷物がおるということで、ことのついでに買い物なんかもしまして、シルファス神殿への帰路につきます。
【ジャニオス】 やっぱり荷物持ちやないか!
【GM】 その帰り道、街の広場で人だかりができているのに出くわしました。
【ジャニオス】 人だかりを避けて通ろうとするけど、つまずいてよろけてフラフラと人だかりの真ん中に出てまう〜。で、何で人だかりができてんのかな。ド真ん中に出たからわかるやろ。
【GM】 そこでは、木箱の上に立った司祭らしきおっちゃんが、演説をかましていました。
「もうすぐ世界の終わりがやって来る! 混沌により、生きとし生ける者すべてが死に絶えるのだ! そしてそのとき救われ生き残るのは、知識神リンツの敬虔な信者のみである!」
【ハニィ】 イエ〜イ、このパーティの中ではあたしだけや。
【エリオ】 で、「そして敬虔な信者は、この壺を買うのである!」ってか。
【GM】 ま、それに近いね。「救われるためにも、リンツ神殿への寄贈、寄付を行え」と言てるんですわ。その額によって、救われるか救われないかが決まるんだそうです。
【エリオ】 「知識神ってそういう教えなん?」とハニィに聞く。
【GM】 ま、知識神の教義とはまったく関係のない演説であることは、確かやね。ただ、聞いてると、何の理由もなくこんなことを言ってるんではなさそう。「この世の光がいま、消えつつあるのだ!」とか言うとるんですわ。
【ジャニオス】 おう、消えとるな。9つのうち5つが。
【ハニィ】 夢の啓示か。このひとらも啓示を受けたんかな。
【エリオ】 そんで群衆の反応は?
【GM】 「おー」とどよめいたりしてます。
【ユーリ】 アホや。
【GM】 『アホや』て……。で、その演説が終わって群衆がザワザワとしているとき、人だかりの一角で「うぎゃあーッ!!」という悲鳴が上がる。
【ハニィ】 なんやー!?
【GM】 そっちを見ると、人から人でないものに変化しつつある者が、ふたりばかりいた。腕が4本になったり、鉤爪が伸びたり、尻尾が生えたり、頭がふたつに増えたりする。そして、それを見た周りのひとびとは、「キャー!」とパニックを起こして逃げ出す。
【エリオ】 フッ、やはり魔物が現れたか。じゃ、剣を抜いて戦闘態勢。
【GM】 演説をぶっこいてたおっさんは、「おお、あれこそまさしく混沌!」と叫ぶ。
【ユーリ】 サクラちゃうか。おっさんこそ混沌やったりして。
【エリオ】 とりあえず、前回混沌と戦う決意をしたからな。混沌Aに攻撃、(ころっ)当たった、14点。
【ジャニオス】 僕はパス。
【GM】 ちなみにセレアさんは、逃げまどう群衆に飲み込まれ、エリオたちからはぐれてしまってます。混沌Aはエリオに攻撃してはずれ、混沌Bは手近な人間を攻撃、背中に鉤爪で重傷を負わせた。次のラウンド。
【ハニィ】 ケガ人の治療にまわろかな。
【GM】 あ、ケガ人の治療は演説のおっさんがやってますんで、おかまいなく。
【ハニィ】 それじゃ、混沌Aに〈フォース〉(ころっ)クリティカルで40点!
【GM】 あー、死んだ死んだ。上半身吹っ飛んだって感じやな。
【エリオ】 混沌Bに攻撃。(ころっ)ダメージ15点。
【ジャニオス】 僕は群衆に飲まれたセレアさんを探しに行く。
【GM】 では混沌Bがエリオに攻撃──かわされた。
【ユーリ】 弱いぞ、こいつら。
【GM】 いや、この人らが強過ぎるだけや。第3ラウンド。
【ハニィ】 〈フォース〉(ころっ)またクリティカル! 32点ダメージ。
【GM】 あ〜、やられたやられた。胸に大穴を開けられて、倒れたわ。
【ハニィ】 じゃ、演説のおっさんのとこに行こう。で、「あなたたちは、どうのこうの」と言うて聞く。
【ジャニオス】 『どうのこうの』ってどういうこっちゃ。ごっつい肝心なとこが抜けてへんか?
【GM】 そんなん、おっさんも「私が何か?」と聞き返すしかないわな。
【ハニィ】 いや、だから「何を根拠に、民衆に『世界が滅ぶ』って言うんですか?」って言う。
【GM】 「それが事実やからやんか。神の啓示を受けたんやし」
【ハニィ】 啓示って夢の? じゃ、「あたしも夢を見たんですよ」。
【GM】 で?
【ハニィ】 「だけど、そんなふうに御布施とかをせびるのは、よくないんじゃないですか」
【GM】 って言うのね。ならおっさんは、「これはリンツ大神殿からの命令で行っているのである!」と答える。
【ジャニオス】 あの、大司教派と反大司教派に分かれた大神殿か。
【ユーリ】 そんな命令を出したんは、たぶん大司教じゃないと思う。
【ハニィ】 聞いてみよか。「大司教がそんな命令を出したんですか」って。
【GM】 するとおっさんは、「あのような甘い人物に、民衆を救うことはできんのである!」と答える。
【エリオ】 なるほどな。反大司教派が、救済とは別の何らかの目的で、御布施集めをはじめたんやな。たぶん、軍資金やと思うけど。
【GM】 ずいぶん穿った見方するなぁ。
【エリオ】 とりあえず、シルファス神殿に戻ろうや。
【GM】 はいはい。で、盗賊ギルドに行ったユーリは何をすんの?
【ユーリ】 別に〜。世間話しに行っただけ〜。
【ジャニオス】 遊びに行っただけやな。この、ボケ盗賊が!
【GM】 では、シルファス神殿に戻った来たエリオたちに、レクターさんが声をかけてきます。「ジャニオスくん、母上が遊びに来られてましたぞ。もう帰られましたが」
【エリオ】 ここに来ようと思うたら、泊まりがけの旅になるやろ。宿屋とかに行けば、まだ会えるんとちゃうの。
【GM】 うんにゃ。ジャニオスの母上様は〈テレポート〉が発動する、魔法のアイテムを持ってはりますから。
【ジャニオス】 おおー、そのアイテム欲しい〜。何かお土産は置いていかんかったか〜?
【GM】 ジャニオスには何もない。でも、リーナスにプレゼントを渡して帰ったらしい。
【ジャニオス】 そんなどこの馬の骨ともつかん奴にプレゼントするぐらいなら、僕にくれ〜。
【GM】 リーナスを『馬の骨』呼ばわりすんな!
【エリオ】 それはええけど、リーナスは何をもろたん?
【GM】 何らかの魔力がかかった指輪。
【ジャニオス】 じゃ、リーナスのとこに行って「返して」って訴える。
【GM】 『返して』って、これは母上がリーナスにあげたもんやから。
【ジャニオス】 いやいやいや。預けてん、これは。
【GM】 ちゃうわっ! これは母上がリーナスを気に入って、プレゼントしたんやがな。
【ジャニオス】 ……。
【エリオ】 おお、ジャニオスがごっつい寂しい顔になってる。
【ハニィ】 母に見捨てられた子供やな。

怪しい領主の事

【GM】 では、時間を進めましょう。いまは夜半前、皆さんが深い眠りに落ちています。と、その時、静まり返ったアスリアの街に、「ドーン!」という爆音が響きわたります。
【ハニィ】 なにー!?
【エリオ】 神殿の外に出て、音がした方向を見てみる。
【GM】 すると、街の中心のほうで、粉塵が月に照らされて白い煙のように舞い上がっているのが見える。
【エリオ】 ほんなら、ブルーシャドウ号、牝4歳、5戦3勝の背に鞍を乗せてまたがって、ランスを構えて急行しよう。粉塵がわき立つ方向へと。
【ハニィ】 馬にはかなわんけど、あたしも走って行くで。
【ユーリ】 じゃ、うちは歩いて行く。
【ジャニオス】 僕は神殿に残る〜。シルファス神殿を……いや、セレアさんを守らなアカンからな。
【GM】 いつの間にそんな関係になってたんや。セレアさんも当然起きてきて、神殿長やレクターをはじめとする神殿の上層部たちと共に、不安そうな表情で礼拝の大広間にいる。他の住み込みの信者たちは、情報を集めるために街に散った。
【ジャニオス】 ほんなら僕は、セレアさんと共に礼拝の間におる〜。
【ハニィ】 楽ばっかしよって。
【GM】 外に出たエリオたちは、驚きざわめくひとびとの間を走り、粉塵がわき立つ現場に駆けつけた。まずは馬で疾駆したエリオが先着、ハニィとユーリはまだやって来る途中ね。
 さて、エリオが辿り着いたのは、アスリアの領主エランザートの館。館というても、小さな城といってもいいぐらい立派なものやけどね。エリオはその館の門の前にいます。もちろん、門は固く閉ざされてるよ。
【エリオ】 じゃ、ファノン騎士時代の癖で「開門ー」と叫んでしまう。
【GM】 すると、その声を聞いた門番のひとりが、「何者か」と問いかけてくる。ちなみに門番は3人いるからね。
【エリオ】 「ファノンの騎士のエリオや〜。爆発音が聞こえたから、来てやった」とエリオ的に言う。
【GM】 「では、主人に取り次ぐので、しばしお待ちを」と言い、門番のひとりが走り去った。そうして待たされることウン十分、徒歩のハニィやユーリまでもが追いつくぐらいの時間が経過し、先ほどの門番が戻って来て「それでは騎士様、お入りください」と告げる。
【ハニィ】 あたしらは〜?
【GM】 「あなたたちは何者ですかな?」
【エリオ】 「俺の仲間や」とエリオ的に説明。
【GM】 すると門番は、「申し訳ないが、従者の方々の入館は認められておりません」と言う。
【ユーリ】 じゃあ、門の前で待ってる。
【ハニィ】 あたしは敷地内をうろつきたいんやけどなぁ。しょうがないから、ユーリと一緒に門の前におる。
【エリオ】 俺は館に入るぞ。
【GM】 了解。それでは、エリオはブルーシャドウを館の者に預けて、館内に入った。建物の中も、やはりザワザワ慌ただしい。「馬を引けー」「兵を集めろー」とかいう声も聞こえます。で、エリオくんは、ある一室に通されてドアをがちゃりと閉められます。
【ジャニオス】 そんなん、ある一室なんかに通してる暇はないはずやのにな。
【エリオ】 窓から外を見てみる。
【GM】 すると、建物の一部が壊れているのが見えます。そしてその周りでは、10人余りの兵士たちが、かがり火の中で後始末に従事しとります。
【ハニィ】 いったい、何が起きたんやろ……。
【GM】 では、時間が5分、10分、20分──と経過したところで、門の前のユーリたちは、敷地内から騎士が6人、歩兵が30人ぐらい出てくるのを目にします。
【ユーリ】 どこに行くんやろ。ついて行ったれ。
【ハニィ】 あたしも一緒に行こう。
【GM】 ついて行くのね、OK。さて、一方のジャニオスですが──。
【ジャニオス】 何か起きたか。セレアさんの身に何が!
【GM】 セレアさんには何も起きへんよ。シルファス神殿を、初老の騎士が訪ねて来ただけ。神殿長は「おお、カニングではないか」と懐かしそうに声をかけ、老騎士を礼拝の間に招き入れた。
【ハニィ】 旧知の仲のようやな。
【GM】 カニングという老騎士は、挨拶もそこそこに神殿長に言います。「エランザートが、この神殿にいる大地母神の司祭を捕らえるよう、部下たちに命令を出した。間もなく、アスリア騎士たちがここに押し寄せてくるだろう。いまのうちに早く逃がすんだ」
【ジャニオス】 リーナスを逃がすんか。「では、セレアさんも一緒に!」
【GM】 何を言うてまんねん。セレアさんを巻き込もうとしないように(笑)。それに、神殿長は「領主様の命令ならば、引き渡しもやむを得まい」と答えてるよ。
【ジャニオス】 「逃がしてくれ」と言われてんのに、引き渡すつもりなんか、そいつは。
【GM】 そりゃ、ヘタに領主に逆らって危ない目を見るのは、この神殿やからね。神殿長という立場から、それは避けたいんでしょう。ただ、そんな神殿長に対して、レクターが「神殿長! そんなことは──」と口を挟んで、もめだすわけや。
【ジャニオス】 もめてる隙にリーナスのところに行って、一緒に裏口から逃げ出すぞ。もちろん、セレアさんにお別れの言葉を言うてからな。
【ハニィ】 お別れなんか言うてる間、ないんとちゃうの。
【ジャニオス】 いや、しっかり挨拶はしとかなアカン。ジャニオスとの思い出を、心に刻んでもらうために〜。
【エリオ】 おまえとどんな思い出がいつの間にできてん。
【GM】 さて、セレアに別れを告げたジャニオスが、リーナスを伴って裏口まで来てみると、なんと、すでに神殿はアスリア騎士たちに包囲されていた!
【ジャニオス】 なんてことだよ。
【ユーリ】 さっさと逃げへんからや。
【GM】 そして、若い騎士がジャニオスに「その男を渡してもらおう!」と言う。ちなみに、兵士たちの後をつけてきたユーリたちふたりも、神殿の外まで戻って来てるよ。
【ハニィ】 あたしら、神殿の外のどのへんにおるの?
【ユーリ】 うちら、最後尾の兵士を追いかけ来たから、最後尾の奴が配置されたあたりにおると思うけど。
【GM】 それなら裏口やな。アスリア騎士2名と10名余りの兵士が裏口にまわり、騎士3名、兵士20名弱が正面の表口を押さえています。
【ユーリ】 裏口の様子を見てみる。
【GM】 すると、開け放たれた扉の前に、ジャニオスとリーナスがいるのが見えます。そのふたりの前に、2名の騎士の片割れ、いかついおっさんが立ちはだかっている。
【ジャニオス】 僕はリーナスを庇うようにして立ってるで。
【GM】 いかつい騎士は、ジャニオスを睨みつけて「リーナス司祭を引き渡してもらおうか。邪魔立てすると、貴様の命はないぞ」と言い、兵士約10名が「ないぞ」「ないぞ」「ないぞ」「ないぞ」と輪唱する。
【ジャニオス】 じゃあ「なぜ、このひとを〜」と言うとく。
【GM】 「おまえの知るところではないわ!」──って言うてると、騒ぎを聞きつけたのか、神殿の奥からレクターやセレア、老騎士、神殿長などが駆けて来る。その背後には、表口にいた兵士たち10人ぐらいも、ワラワラとついて来ている。
【ユーリ】 表は表で問答してたんやな。
【ジャニオス】 とりあえず、「理由も言わずにリーナスを連れて行くつもりなら、命を捨てる覚悟でかかって来い!」と言うとこか。もちろん、そのセリフがセレアに聞こえるように〜。
【エリオ】 バカや、こいつ。
【GM】 おいしいとこもらおうと企んどんやろ。そのジャニオスに、神殿長が「バカなことはやめるんだ!」と怒鳴る。
【エリオ】 で、対立するレクターは「バカなことを続けろ!」と言うんか。
【GM】 そのセリフ、何か変。もちろん、レクターは神殿長を非難してるけどね。
【ハニィ】 そんでリーナスさん自身はどうすんの?
【GM】 リーナスは「わかりました。ついて行きましょう」と、自ら騎士のほうに歩み寄る。そして騎士は「殊勝な心がけだな」と笑って、連行していくわけや。
【ハニィ】 連れて行かれてしまうで。
【ユーリ】 ジャニオス、せっかくカッコつけたのにな。
【ジャニオス】 じゃあ「ちぇっ」と言うしかない。片膝ついて、拳で地面を叩いて悔しがっとこっかな〜。
【エリオ】 何を敗れたヒーローみたいに振る舞ってんねん。
【GM】 そうや、ついでやからジャニオスも連行しよか。騎士にたてついたんやし。
【ジャニオス】 「ちくしょう、放せ!」と言うとくしかないな。そんでチラっとセレアさんのほうを見たりして。
【GM】 ほんなら、セレアさんに心配そうな顔をさせといたろか。
【エリオ】 そんなセレアの肩を、レクターがそっと抱くんやな。
【ユーリ】 「きっと大丈夫だ」とか言いながら。
【ジャニオス】 これはレクターに何か飛ばしとかなアカンな。
【GM】 いまのキミには、嫉妬の視線以外に何も飛ばせんけどな。さて、リーナスとジャニオスを連行する騎士は、例の老騎士カニングを見つけ、「おや、こんなところで何をなさっておいでかな、カニング殿」とあざ笑うように言う。
【ユーリ】 知り合いやったんや。
【GM】 カニングは何も言えず、唇を噛みしめて唸るばかり。そうしてジャニオスとリーナスは、領主エランザートの館に連行されていきました。
【ユーリ】 よし、またこっそりついて行く。
【ハニィ】 あたしも。
【GM】 では、領主の館にいるエリオの場面に行きましょか。場面転換ついでにちょっと時間を巻き戻して、アスリア騎士たちがシルファス神殿に向かったあたりのことね。
【エリオ】 窓から外を見ながら、「おー、兵士がいっぱい出かけよんのぉ」と思うとく。
【GM】 そのとき、エリオのところに取次ぎのひとがやって来た。そして「こちらにどうぞ」と、エリオを案内する。通されたのは部屋では、領主エランザートの腹心としてアスリアの行政に携わっている、ゾルフなる人物が待ち構えていました。
【エリオ】 悪者っぽい名前やな。これでええ奴やったら大笑いや。
【GM】 ま、確かに目つきが鋭く、性格的にもきつそうな顔をしてるけどね。ゾルフは「エリオ殿とやら、いったい、エランザート様に何の御用ですかな」と、問いかけてきます。
【エリオ】 「国王から『リーナスを守れ』とか言われてる。だから、あの爆発を調べなアカンのや。あれは何や」と、エリオ的に20分に渡って熱弁を振るう。
【GM】 なんか前後のつながりがまったくない2文やったけど……。ゾルフは「こっちにはこっちの事情があるんや」ということを、ゾルフ的に25分に渡ってしゃべる。
【エリオ】 「そちらの事情がいかなるものでも、王国内で起こる事件はすべて、中央におわす国王陛下にお知らせせねばならんのだ。調査の拒否は陛下に対する反逆と見なすが、それでもよいか」ということを、エリオ的に30分かけて説得する。
【ハニィ】 ごっつい時間の無駄や。
【GM】 ほんなら、エリオとゾルフの駆け引きが白熱してる最中に、ひとりの兵士が「報告します!」と部屋に入って来た。「リーナス司祭と、妙な魔術師を1名、確保いたしました!」
【ジャニオス】 妙な魔術師扱いか。
【エリオ】 「リーナスを確保とは、どういうことだ」と聞く。
【GM】 ゾルクはそれに答えず、「申し訳ないが急用ができた。貴殿にはここでお待ちいただこう」と言って、部屋から出ていきます。もちろんその際、外から扉に鍵をかけてね。
【エリオ】 じゃ、お待ちしてやろう。
【ハニィ】 ところで、あたしら連行されるジャニオスたちを追って来たんやけど、館の敷地内には入られへん?
【GM】 当然、入れませんよ。門番がおりますからな。
【ユーリ】 じゃあ、うちは〈インビジビリティ〉で消えて敷地に入る。
【ハニィ】 あたしもどさくさに紛れて、何気なく中に入ろうとする。
【GM】 ユーリは門の中に入れた。でもハニィは、あたりまえのように門番から「何だ、おまえは!」と誰何されたよ。
【ハニィ】 ニコっと微笑む。
【GM】 「えーい、怪しい奴め。こっちへ来い!」
【ハニィ】 なんでやのー!?
【GM】 というわけで、ジャニオス及びハニィは、館とは別棟、どうやら衛兵の詰所らしき建物へ連れて行かれた。
【ユーリ】 あ、ハニィも敷地の中に入れたんか。ほんなら、消えたままで詰所に連れて行かれるハニィを尾行する。
【エリオ】 リーナスも一緒のところへ行かれたんか?
【GM】 うん、いちおうね。一行は詰所の中に入り、地下へと下りて行く。もちろん行き先は、牢屋です。リーナスだけ別の牢で、ジャニオスとハニィは同じ牢に放り込まれました。
【ユーリ】 それを見届けたら、爆発したようになった場所を見に行く。
【GM】 ああ、最初のほうで粉塵を巻き上げてたところね。そこはかがり火が焚かれているのでよく見えるんですが、どうやら本館の壁に大穴が開いているようです。
【ユーリ】 燃えてたりはせえへんねんな。
【GM】 うん。大きな岩とかそういう類の物が、ぶち込まれたような感じやね。

ハニィ爆発の事

【エリオ】 なんでこんなときに、リーナスを連行して来たんやろ。やるべきことは他にいくらでもあるはずやのに、いちばん関係ないことに熱心やなぁ。
【GM】 関係ないかどうかはわからんけどね。
【エリオ】 とりあえず、ここにいてもしょうがなさそうやから、俺、外に出るぞ。
【GM】 外に出るって、この部屋の扉は外側から鍵をかけられてるんやで? それに廊下には見張りだっておるんやし。
【エリオ】 じゃ、見張りに「トイレに行きたい」って言う。
【GM】 扉の向こうからは、「そ、そんなこと言われても、おら、困るだよ」という答えが返ってきます。
【エリオ】 「こっちは朝からガマンしとんのじゃ、トイレ行かさんかぃ!」とエリオ的に言う。
【GM】 でも、この兵士は鍵なんか持たされてへんからね。「じゃ、ちょっと聞いてくるだ!」と言って、そこから立ち去る気配がします。
【エリオ】 そんじゃあ、扉を体当たりで壊す。(ころっ)。
【GM】 簡単に壊れたよ。エリオにとっては、朝メシ前やね。
【エリオ】 ほんなら、堂々と廊下に出る。そんで館の外に出て、破壊されたという場所を見に行ってみる。
【GM】 了解。
【ユーリ】 GM、GM。うちはひとりでいる兵士を殴って気絶させて、衣服を取って兵士に変装したいんやけど、できる?
【GM】 ひとりでいる兵士ね……ま、試みることはできるよ。なんか、前にも同じようなことしてたなぁ。別にええけど。
【ユーリ】 (ころっ)成功したよ。裸にした兵士は、近くの茂みにでも隠しとく。
【GM】 それでどうすんの?
【ユーリ】 さっきハニィたちが連れていかれた、兵士の詰所に行く。
【GM】 詰所の中に入ると、テーブルを囲んで3人の兵士が談笑している。特に誰もユーリに注意を払いませんね。
【ユーリ】 じゃ、地下に行ってみよう。
【GM】 地下への階段を下りきると、廊下がまっすぐに伸びていて、その左右の壁に鉄格子を嵌められた扉が3つずつあります。
【ユーリ】 じゃ、ハニィとジャニオスがいる牢屋に行って、「よう」。
【ハニィ】 「ピース」とか言うたりして。
【ジャニオス】 とりあせず〈アンロック〉で鍵開けたいねんけどな。魔法は使える?
【GM】 ジャニオスは魔法の発動体になる指輪を持ってたな。なら、魔法は使えるよ。杖やハニィの武器なんかは、廊下の突き当たりの壁に立てかけられてるよ。
【ユーリ】 ほんなら、いまのうちにそれを取って来る。
【ジャニオス】 〈アンロック〉! (ころっ)成功。
【GM】 では鍵は開きました。
【ユーリ】 リーナスも助けたいんやけど。
【GM】 リーナスはすでにここにはいません。牢にいたジャニオスやハニィは知ってるけど、投獄されてからすぐに、領主が取り調べるとかで連れ出されたんよ。
【ユーリ】 じゃあ、しゃあないな。とりあえず、3人でここから出よう。ハニィに兵士に衣服を渡して変装させる。ジャニオスは魔法で兵士に化けて、うちは〈インビジビリティ〉で姿を消す。
【ジャニオス】 そのようにして、ほな、出ていこか〜。
【GM】 でも、入ってきたときひとりやった兵士が、出てくるときふたりになってたりしたら、怪しまれると思うよ。詰所の兵士が疑惑を持ったかどうか、判定してみよう。(ころっ)どうやら、話に夢中で気に留めんかったようやね。
【ジャニオス】 うむ、バカ兵士どもやな。
【GM】 外に出たジャニオスたちは、エリオと出会った。兵士のかっこうはしてても、顔を見ればエリオにはすぐ仲間やとわかるからね。もっとも、ユーリの姿は見えてないけど。
【エリオ】 「ユーリはどうした?」
【ユーリ】 「ここやで」って、エリオの耳元で囁いたるねん。
【エリオ】 気色悪いからやめれ。
【ハニィ】 エリオにこれまでの経緯を話す。
【エリオ】 話された。とりあえず、リーナスを探そう。リーナスがどこに連れて行かれたのか、近くの兵士に聞いてみる。
【GM】 すると、エリオたちの素性を知らない兵士が、「エランザート様がお取り調べなさるとかで、本館の謁見の間に連れていかれたようですが」と答える。
【エリオ】 「謁見の間ってどこにあるんや」
【GM】 「かくかくしかじかと行けば着きます」
【エリオ】 じゃあ、かくかくしかじかとダッシュで行く。
【GM】 はいはい。では、謁見の間の重々しい扉の前に着きました。
【ハニィ】 扉をバーンと開ける。「おまえたちの悪事はバレてるぞ!」
【エリオ】 中も確かめず、いきなりそう言うわけやな。
【ジャニオス】 そこにリーナスはおるんか? ハニィの肩ごしに中を見てみる。
【GM】 謁見の間には、領主エランザートとリーナス、リーナスを牢からここに連れてきた衛兵長、それからふたりの兵士がいます。しばし一同は唖然としてたけど、衛兵長が気を取り直して、「なんだ、チミたちは!?」と怒鳴りつけてきます。
【ハニィ】 「リーナス親衛隊だ!」
【ユーリ】 それ、イヤ。
【ハニィ】 じゃあ、「知識神リンツの司祭だ」。
【GM】 兵士のかっこうしてそう言うんか?
【ハニィ】 「これは変装してるんだ」
【ユーリ】 もう、頭イっちゃった奴にしか見えへん。
【ハニィ】 今や〜、今のうちにリーナスを〜。はよはよはよはよ。あたしが奴らを引きつけてるうちに、はよはよはよはよ。
【エリオ】 いや、あんたが扉を開けたときのポーズのままで、入口の真ン中に陣取ってるから中に入られへんねんけど。
【GM】 「ええ〜い、わけがわからん! あいつを取り押さえろッ!!」と、衛兵長がハニィを指して叫ぶと、ふたりの兵士がハニィに駆け寄って来るよ。
【ハニィ】 なんやの〜。暴れるで、バタバタバタいうて。
【エリオ】 領主に「ハニィはやる。だからリーナスをこちらによこせ」と、持ちかけてみる。
【GM】 「それはできん相談だな」と、領主とは別の声が答えます。そこに現れたのは、ジャニオスのパパさんの仇、牛魔人ことバリドスくんです。「久しぶりだな、ファノンの騎士よ」
【エリオ】 「久しぶりだな、牛の魔人よ」
【GM】 「牛って言うなッ!!」。まあ、そういう一連のバタバタ劇のどさくさに、エランザートがリーナスに首飾りをかけた。
【ジャニオス】 すると!?
【GM】 リーナスの瞳から、自我を失ったかのように光が消え失せます。そして、エランザートはリーナスをバリドスに差し出し、「さあ、バリドスよ。約束を果してくれ」と言う。
【ハニィ】 約束??
【エリオ】 ちょっと待ったー!
【ジャニオス】 おおーっと、ちょっと待ったコールだ〜。
【GM】 すでに周囲のバカ騒ぎは、エランザートの目にも耳にも入らんようやね。エランザートは恍惚とした表情で、バリドスに「さあ、私に大いなる力を……!」と懇願する。
【ハニィ】 バリドスの奴、約束守るふりして領主を殺したりしてな。
【ジャニオス】 だいたいそんなもんや。
【エリオ】 さあ牛よ、領主を倒せ。
【エリオ】【ジャニオス】【ハニィ】【ユーリ】 う〜し、う〜し、う〜し、う〜し。
【GM】 なんで牛コールやねん。だいたい、牛とちゃうわっ! リーナスを小脇に抱えたバリドスは、領主に向かって「承知した。約束は守ろう」とニヤリと笑い、呪文を唱えます。
【ハニィ】 ジャンジャジャーン、ジャジャージャジャ♪
【GM】 呪文の詠唱が終わった瞬間、エランザートの肉体は、内からボコッボコッと膨れ上がりはじめ、「なんだこれはッ!?」という悲鳴が終わるか終わらんうちに、醜い化け物に変わり果てた。
【ユーリ】 うわー、気持ち悪ぅ〜。それって生きてんの?
【GM】 いちおう、ゴポゴポといいながら動いてますな。一度溶けて崩れたプラスチックの人形が、冷えて固まったみたいな感じの化け物です。身体の各パーツが、本来ありえぬ箇所にそのままの形で残ってたりするから、かなりグロテスクやな。
【エリオ】 「領主気持ち悪い〜」って言うたろ。
【GM】 「エンガチョ切〜った」って、子供やがな、それ。バリドスは「約束どおり、大いなる力を与えてやったぞ。もっとも、姿は少し変わったがな。貴様にはお似合いだ」と笑って、テレポートで消えていくんやな。
【ハニィ】 あーあ、リーナスさん浚われた。
【ジャニオス】 とりあえず、残った奴とパパ〜っと戦い。
【ハニィ】 謁見の間に入って[パリィ]。
【ユーリ】 領主に〈バルキリー・ジャベリン〉、(ころっ)16点。これで精神力が尽きたから、もう魔法は使えん。
【GM】 そんなことじゃ死なんよ。
【エリオ】 攻撃、(ころっ)はずれ。けっこうええ出目やったのに、これは厳しい。
【ジャニオス】 〈ライトニング〉(ころっ)ダメージ12点。
【GM】 ちなみに、衛兵長とふたりの兵士は「ヒー!」と悲鳴をあげて、逃げ出しました。すると、エランザートの身体から触手のようなものが伸びて兵士Bを絡めとり、自らの体内に取り込みました。哀れな兵士Bは、エランザートの身体から上半身だけを出して、「た、助けてくれ〜」と血を吐きながら叫ぶんやな。第2ラウンド。
【ハニィ】 そんな能力まであるんや。離れたところから〈フォース〉。(ころっ)9点。
【GM】 エランザートの身体の表面を波うたせただけやね。

 魔法の対する抵抗力が高く、素早い身のこなしと強力な一撃が自慢のエランザートに、冒険者たちは手こずった。
 途中でエリオが死にかけながらも、17ラウンドかかってなんとか倒した。

【エリオ】 領主が死んだということは、アスリアの支配者の座は空位になったわけやな。
【GM】 それを狙っとんやろけど残念でした。すぐに新しいひとが派遣されて来るがな。
【エリオ】 ちっ。そんならリーナスを浚われたので悔しがる。「ちくしょー、必ず取り戻すからな、牛男」と朝陽に向かって誓う。
【ユーリ】 むっちゃ棒読み。
【GM】 と、まあ、皆さんがエランザートを倒して「ふぅ」とか安堵しているそのとき、荒れ果てた謁見の間の空間の一部に、歪みが発生するんやね。そして、そこから出現したのは、レイクです。
【ユーリ】 弟か!
【GM】 レイクは皆さんに向かって、「まったく愚かなひとたちだ。フッ」と笑う。
【ユーリ】 ムカつく〜! 「愚かなのはおまえだ」って言い返したる。
【ジャニオス】 また、わけのわからん会話が始まりそうやぞ。
【GM】 レイクは兄貴の戯言を軽く無視して、「裏混沌への唯一の対抗手段ともいうべき者を、まんまと浚われてしまうなんて」と言います。
【ユーリ】 じゃあ、「おまえは何を知っているんだ?」って聞く。
【GM】 レイクはユーリの質問に答えず、逆に「兄貴たちは裏混沌の存在を知ってるのかニ?」と問いかけて来ます。
【ユーリ】 「知らないニ」
【エリオ】 アホアホ兄弟の押し問答や。
【GM】 「まったく、これだから兄貴は──。フッ」
【ユーリ】 ムカつく、殺したんねん。ソード・ブレイカーで攻撃、(ころっ)。
【GM】 ひらりとかわしたレイクは、「兄上様は短気でいらっしゃる」と鼻で笑う。
【ユーリ】 腹立つわ〜。もう1回攻撃、(ころっ)スカ。
【ハニィ】 兄上ダサ〜。
【ジャニオス】 何にもせんほうがええって、もう。
【エリオ】 見てるほうが悲しくなってくる。
【ユーリ】 うるさいわっ!
【GM】 さて、レイクの話では、連れ去られたリーナスさんは、聖者セルマと同様の力──裏混沌を封じる能力の持ち主なんだそうです。
【ハニィ】 光りよったんも、そのせいか。
【ジャニオス】 さりげなくすごいひとやったんや。
【GM】 まあ、なんでその力を身につけたのか、セルマの子孫なのか生まれ変わりなのか、ということまでは知りませんけど。とにかく、リーナスが持つ聖者セルマと同じ能力が、裏混沌に対抗する唯一の手段。
【ハニィ】 だけど、もう連れて行かれて食べられたから、終わりや。
【ジャニオス】 なんで『食べられた』って決定されるんや。
【GM】 「ま、このままだと裏混沌が解放される日も近いでしょうねぇ」
【ユーリ】 なんでこいつ、こんなことをわざわざ言いに来たんやろ。
【エリオ】 「おまえは混沌の仲間じゃなかったのか」とエリオ的に言うたる〜。
【ユーリ】 「リナを殺したおまえが、混沌じゃないはずがないんだ」って言うたる。ビシっ。
【ジャニオス】 えらいこじつけや。
【GM】 レイクは笑うだけで、ユーリの言葉には答えません。ただ、なぜ教えに来たのか、ということに関しては、裏混沌のとめどない流出は彼の目的の邪魔になるから、というふうな答えを寄越します。
【ユーリ】 じゃあ、おまえがリーナスを助けろよ!
【エリオ】 「それとも、助けられない理由でもあるのかね」とつっこむ。エリオ的に。
【GM】 では、つっこんだエリオには、兄貴に対するものとは違う意味の笑みを浮かべてあげよう。答えはしないけどね。
【エリオ】 で、レイクはリーナスの所在を掴んでるのかね?
【GM】 その質問に対しては、「リーナスの身体からは魔力を感じる。──とだけ言っておこう。ではアディオス、アミーゴ」と言い残し、消えて行きました。
【ユーリ】 なんて奴や。
【ハニィ】 イヤなキャラや。
【GM】 で、今日はこれで終わりということで。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
▼ もしよろしければ、ご感想をお聞かせください ▼
お名前
ひと言ありましたら
 
≪REV / EXIT / FWD≫