▽ みんなそれぞれ夢を見る事 | ▽ 黒ずくめの襲撃の事 | ▽ 身勝手なパーティの事 |
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【GM】 あー、よっこいしょ〜。さて、前回の冒険から、キャラクターたちの時間で3ヶ月が経過してるから、そのつもりでいてね。皆さんは現在、ファノンの街にいるんですが、それぞれ何をしてはるんですかね。
【ハニィ】 リンツ神殿でお祈り。
【ユーリ】 酒場で酒飲んでる。
【エリオ】 家にいる。
【ジャニオス】 公園でハトにエサあげてる。
【GM】 なるほどね。ところで、この3ヶ月の間に、アリステア地方の情勢は少し変化しつつあります。
【ジャニオス】 何がどうなったんや。
【GM】 では、地図を見てください。
アリステア地方の北部に、レンベーヌ王国というのがありますわな。そして、そのレンベーヌとセフェリア王国に挟まれて、ヴァイス王国があるね。このヴァイス、セフェリアの2王国とレンベーヌ王国との間の雲行きが、怪しい感じになってきてるんです。
【ハニィ】 戦争が起こりかけてるんやな。
【GM】 早い話が、そう。
【エリオ】 そうか。なら、来るべき決戦の日に向けて、ランスを新調しとこっと。
【GM】 あと、ユーリは、酒場である噂を耳にする。
【ユーリ】 どんな噂?
【GM】 至高神シルファスの大神殿がある、ルナティア王国の王都ウェクス。レンベーヌ王国の王都エルゼク。そのレンベーヌに併合された、大地母神ミフォアの大神殿がある街ラトリア。マクルーア王国の王都のバニシア。それから、商人が力を持っている自治都市セラトン。この5つの都市で、あなた方が出会ったような魔神が出現したそうです。
【ユーリ】 そんで魔神に壊滅させられたん?
【GM】 いや、壊滅とまではいってないけどね。そういうのが現れて大暴れした、という噂が、ユーリの耳に入ってきたんですわ。
【エリオ】 クラリオン大戦の後遺症から立ち直りかけてるとこやのに、お気の毒なことで。
【ジャニオス】 そのうえ、この国はどこかと戦争しそうや言うしな。
【GM】 戦争はともかくとして、魔神の出現は災難以外のなにものでもないからね。まさに泣きっ面にハチ。
【エリオ】 やっぱり、アズナードが絡んできてるんかな。
【GM】 さあね。──っていうか、エリオはアズナードの『ア』の字も知らんはずやけど。
さて、ハニィ司祭には、再び啓示を思わせる夢を見た、というイベントがあります。内容的には、以前に見た夢と同じような感じですが、覚えてますか?
【ハニィ】 え〜っと、「暗闇の中に9つの光があり輝いていたが、ひとつひとつ消えていき、最後には真っ暗になって、不安感が残る」っていうやつですね。
【GM】 そう。ただ、今回見た夢では、最初の光が9つではなくて4つに減少していました。そして、そのうちのひとつの光が明滅して消えて、残る光は3つになる──という内容の夢です。
【ハニィ】 合計で6つの光が消滅したんか。いったい、何を表してるんやろ。
【GM】 そして、ジャニオス。あなたも夢を見ました。
【ジャニオス】 どんな夢や。
【エリオ】 親父が現れる夢。親父が呼びかけてくるんや。「ジャニオス、ジャニオス、ジャニオス……」
【ジャニオス】 なんや、この残響音は。
【GM】 パパさんが現れるのには違いないですけど、内容は、例の首チョンパされた場面のくり返し。それが脳裏に焼きついて離れないんやね。で、ユーリは──。
【ジャニオス】 それだけかぃな!
【ユーリ】 悪夢見てるだけ。
【ジャニオス】 最悪やな。
【GM】 で、ユーリは、例の婚約者リナとの楽しい思い出を夢に見る。
【エリオ】 ふたりで「アハハハ」言いながら花畑を走ってるんやな。ユーリが「ほら、捕まえてごらん!」って言うて、リナが「待ってよ、ユーリ」。
【ユーリ】 『ユーリ』って偽名やーッ!
【エリオ】 そんで「あっ」言うてふたりとも絡み合うように転んで、そのままジッと見つめ合うんやな。その後──。
【ユーリ】 ンなことするかぁーッ!!
【GM】 まあ、そういう幸せな場面にレイクの高笑いが響きはじめ、やがてそれはあちこちからこだましてきて、最後にはリナの姿や花畑は暗闇に消えて、嘲笑するレイクの姿が闇に浮かぶ……そういう夢を見るんですな。
【ユーリ】 こっちも悪夢やんけ。
【GM】 そしてエリオは、牛魔神バリドスがたくさんのひとを殺すところを、夢に見ます。で、義憤を覚えて目を覚ます、と、こんな感じかな。
【エリオ】 毎夜毎夜、義憤を覚えてるんか。大変や。
【ジャニオス】 これは誰かに、夢見の術をかけられてるんちゃうか。
【ユーリ】 〈ナイトメア〉かけられてるんや。ハニィ以外、悪夢やし。
【GM】 まあ、誰に悪夢を見せられてるんや言うたら、それはGMになんやけどね。あ、そうそう、それからエリオは──。
【エリオ】 おう、顔が変わったか。
【GM】 なんでやねん!
【ハニィ】 わけわからん。
【GM】 キャンペーンが始まった当初は窓際族だったエリオは、いまは王都の衛兵を指揮する立場にある、と思ってください。地位的には小隊長ぐらい。
皆さんは現在、こんな感じでファノンにいます。それで、何かしたいことがあれば、宣言してね。
【ジャニオス】 じゃあ、再び公園でハトに餌やってる。餌づけして、意のままに操れるような技能を手に入れるんや。
【GM】 はあ、がんばってね。
【ハニィ】 あの〜、あたしには神殿に上司というか、上の立場のひとはおらんの?
【GM】 おるよ。まあ、上司というてもいろいろあるけど。ハニィのレベルなら、神殿長にも普通に面会できるかな。ファノンのリンツ神殿を任されとんのは、ユルクという男性です。
【ハニィ】 じゃあ、そのユルク神殿長に夢のことについて相談してみる。「こういう不吉な夢を見たんですけど」
【GM】 ユルク神殿長は「それはリンツ神の啓示に違いない」と言います。そして、「私はその夢を見てないので、できれば詳しく聞かせてほしい」とのこと。
【ハニィ】 じゃあ、これこれこういう冒険のあと、こういう夢を見た、と詳しく話す。で、「これは、あなたの考えでは、どういった結論に達しますか?」と尋ねる。「これは、いま起こっていることと関係あるんでしょうか」
【GM】 「まあ、なんとも言えませんが、魔神と接触したことのあるハニィ司祭に示された啓示であれば、関係があると考えるのが妥当でしょう」
【ハニィ】 う〜ん……。
【GM】 他になにかやりたいことはありますか?
【ユーリ】 ほんなら、盗賊ギルドにレイクの情報を聞きにいく。「こんな奴、見んかった?」
【GM】 じゃあ、何人かに聞いてまわると、「それによく似た人物を見た」というひとがいました。
【ユーリ】 どこで見たん?
【GM】 ヴァイス王国の、パドニカという街です。ヴァイス王国とレンベーヌ王国との間に戦争が起こりそう、という噂を聞いたこのひとは、情報収集のためにヴァイスに行ったことがあるんやけど、そのとき、パドニカの街で見かけた顔に似ているそうです。
【ユーリ】 そいつ、ひとりでいたの?
【GM】 「うん」
【ユーリ】 ひとりか……殺るならいまや。パドニカに行ってみようかな。
【エリオ】 きっと、向こうは向こうで「リナぁ〜」言うとんやろな。リナ似の踊り娘を見ながら。
【ジャニオス】 全国各地にリナ似はおるんやな。
【ユーリ】 なんでレイクが「リナぁ〜」って言うねん!
【エリオ】 それは双子やからね。同じときに思い出し泣きするねん。どんなに離れていても。
【GM】 そんでレイクがダメージを受けたら、ユーリも同じところをケガすんねんな。
【ユーリ】 そんなんやったら、レイクを殺せへんやん。
【ハニィ】 ヘタしたら相討ちやもんな。
【ユーリ】 ヘタせんでも相討ちや。
【ジャニオス】 で、他にイベントは?
【GM】 え〜、じゃあ、エリオが王城でお勤めしているところに、リーナスさんが現れます。
【ハニィ】 光るひとか。
【GM】 光るひとって言うな! まったく。リーナスさんは、ラトリアのミフォア大神殿が襲われたという話を聞いたんで、帰郷するそうです。エリオたちにはお世話になったんで、出立する前に挨拶に訪れたと。
【エリオ】 「そうか。息災でな」ってことをエリオ的に長々と言う。
【GM】 では、長々とした挨拶を終えたリーナスさんは、退室していきます。
【ユーリ】 ラトリアに行く途中にパドニカがあるんか。じゃあ、光る奴についてってやろうかな。
【GM】 それはいいけど、ユーリはどこでリーナスが帰るって話を聞いたん?
【ユーリ】 盗賊やから盗賊ギルドで。
【GM】 はあ、まあ、ええか。
【ハニィ】 じゃあ、あたしも一緒に行くよ。「ちょっと気になるんで」と。
【ユーリ】 ほんなら、リンツ神殿でハニィを誘って、それから公園に行ってジャニオスにも「行かへん?」って声をかける。
【GM】 声をかけられたジャニオスはどうすんの?
【ジャニオス】 「ハト隠れ!」ってやって、ハトをぶわ〜っと舞い上がらせる。
【エリオ】 で、ハトはそのままどこかに飛び去って、『ハト隠れ』のポーズをとったままのジャニオスだけが、後に残されるんやな。
【ジャニオス】 ぜんぜん隠れてへんやないか。
【エリオ】 ちなみに俺は、その公園で昼メシの弁当食べてるから。
【ユーリ】 寂しい騎士や。
【エリオ】 ジャニオスのハト技の開発を眺めるのが、昼休みの楽しみやから。「おーおー、またハトに逃げられとら」って見てるねん。ちなみに弁当箱は3つな。ご飯が入ってるやつと、おかずが入ってるやつと、デザートが入ってるやつ。
【ユーリ】 じゃあ、デザートつまみに行こ。
【ジャニオス】 僕はいっつもエリオの弁当を食べるからな。
【ハニィ】 じゃあ、あたしも。お弁当カラッポになるかも。
【GM】 そんな感じで、公園に全員集合するんやな。で、ユーリとハニィはリーナスさんについて行くらしいけど、エリオとジャニオスはどうすんの?
【ジャニオス】 どうすんの、って言われてもな。どうなってるんやろな。
【ユーリ】 パドニカにレイクがおるから、一緒に行くんじゃ。
【ハニィ】 「ついて来んかー」って言う。
【エリオ】 じゃあ、俺は主君に旅に出る許可を申請しに行く。「リーナスの護衛をするんで〜、旅に出させて〜」ってことを、エリオ的に。
【GM】 却下です。最初に言うたように、アリステア地方の情勢は不穏やからね。騎士であるエリオに勝手な行動をしてもらったら、王国側としては非常に困るんよ。
【エリオ】 「人類の希望たるリーナスに万が一のことがあったら、どうすんねん」ってことを、エリオ的に15分に引き延ばして言う。「そのような事態になったとき、誰が、どのようにして責任を取るのか、お聞かせ願いたい!」
【GM】 「リーナスが『人類の希望だ』という根拠は?」
【エリオ】 光る。
【ユーリ】 光る。
【ハニィ】 光る。
【ジャニオス】 これでじゅうぶんのはずや。
【GM】 あのな〜。とにかく国王は「護衛が必要であれば、おまえの仲間である冒険者たちをつけておけばいいだろう」と言います。はっきり言うとね、エリオはレベルが高い騎士やから、国王としては手放したくないんよ。
【エリオ】 なんてこったい。新しくキャラクターを作れってか?
【GM】 いやいやいや、別にそういうわけじゃないけどね。ただ、王都ファノンを離れることは許可できない、って言われてるだけやから。
【ユーリ】 こっちは早く出発したいんやけど。しゃあないから、エリオだけ置いていく? 来れるんなら、ブルーシャドウで追いかけて来るやろ。
【ハニィ】 そやな。じゃあ、3人で行く?
【ジャニオス】 いや、僕はどっちつかずやから。
【GM】 どんな状態や。
【ジャニオス】 そうやな、「行こうかな〜」って思ってるんやけど、行かへん!
【ハニィ】 えー!?
【ユーリ】 しゃあないな、ふたりで光る奴の護衛をしとこ。
【GM】 じゃあ、ユーリとハニィのふたりが、リーナスさんの護衛で一緒に旅立ったわけね。それでは6日後、ユーリたち3人はアスリアの街に到着いたしました。
【エリオ】 う〜む、ごっつい離れてもたな。
【ユーリ】 今度はこっちがピンチになっても、エリオたちは来れへんな。とりあえず、盗賊ギルドに行ってレイクの情報を集める。
【GM】 じゃあ「この街でそんな感じの人物を見た」という情報が入ってきた。
【ユーリ】 えっ、いつ? ひとりやった?
【GM】 目撃されたのは3ヶ月前で、ひとりだったそうです。
【ハニィ】 3ヶ月前いうたら、セルマの神殿で出会った頃やな。
【ユーリ】 ほんなら「パドニカで見た」っていうんも、古い話かも知れんな。
【ハニィ】 もう移動してしまってるかも知れん、ってことやな。
【ユーリ】 何となく、ラトリアの街で出会いそうな気がするけど。光る奴を送り届けたら、そこにおるとか。
【GM】 さあ、それはどうでしょうねぇ。
【エリオ】 あっ。そういえば俺、そろそろ非番の日やな。確か偶然にも、連チャンで休みが入ってたはず!
【GM】 いや、いまのエリオに非番なんてありまへん。密偵が潜入してる可能性もあるから、毎日見回りとかしとかなアカンねん。
【エリオ】 なんやと〜?! なんちゅうシフトの組み方や。労働基準法に違反してる恐れがあるんとちゃうか。
【GM】 非常事態やからね。それに、セフェリア王国にそのような法律はございません。で、ユーリたちはどうすんねや?
【ユーリ】 ついでやから、レクターのところに行ってみる。シルファス神殿におるやろ。
【GM】 いますよ。レクターさんと再会しました。
【ハニィ】 「その後、どうでっか」って様子を聞く。
【GM】 「ボチボチですわ」ってな具合で話ししてると、リナ似のセレアさんがお茶を出してくれたりするわけやな。
【ユーリ】 今日はここに泊めてね。
【GM】 キミらは恩人やから、別にええけど。ちなみに、リーナスさんは別の宿屋に泊まるからね。じゃあ、アスリアの夜が更けて──星のない夜空に、ひとびとの悲鳴がこだまするわけですな。
【ハニィ】 なんや? 外に出て辺りをうかがってみる。
【GM】 すると、ある建物の向こう側から火の手があがり、闇夜を真紅に染めている。
【エリオ】 そこへ駆けつける。
【GM】 駆けつけるのね。では──って、エリオは王都におるんでしょうが! 今頃、夢の中のはずやで。
【ジャニオス】 いや〜、また悪夢やからな。ハッと目覚めるんやな。
【エリオ】 ほんで「なんだろう、胸がドキドキする」ってつぶやくねん。
【GM】 素晴らしい第6感の持ち主やけど、距離が距離だけにどうしようもないですな。とりあえず、エリオとジャニオスはここにはおらんのやから、しばらく黙っといてんか。
【ハニィ】 ホンマや。こっちがいっこも進まんやん。
【ユーリ】 とりあえず、燃えてるところ見に行く。
【GM】 ユーリとハニィは、現場方面から着の身着のままで逃げてくる民衆をかき分けて、ヤジ馬しに行くわけやね。
【ハニィ】 ついでに逃げてくるひとを捕まえて、「何事ですか!?」って詰問する。
【GM】 そのひとは「見たままだよ!」と怒鳴って、ハニィを振り払って逃げて行った。
【ユーリ】 そんで何が燃えてるの?
【GM】 宿屋やね。ただ燃えてるだけじゃなくて、建物は崩れて半壊に近い。で、その火が隣の建物に燃え移りかけてます。
【ユーリ】 ひょっとしてそこ、光る奴が泊まってた宿屋ちゃう?
【ハニィ】 とりあえず捜索しようや。
【GM】 じゃあ、ちょっとサイコロ振ってみ。
【エリオ】【ジャニオス】【ハニィ】【ユーリ】 (ころっ)。
【ジャニオス】 おっ、これは素晴らしい目が出たで〜。
【GM】 関係ない! ではユーリは、燃えさかる宿屋の裏で、黒い影が動いたのに気づく。
【ユーリ】 見に行くじゃ。見に行くじゃ。
【ハニィ】 「何者だ!」と誰何する。
【GM】 すると、立ち去ろうとしていた黒い影の動きが止まった。そして、炎に照らしだされる黒の一団が、気絶したリーナスさんを担いでるのが見えた。
【ジャニオス】 その黒い影の正体とは?!
【GM】 正体はわからんけど、黒ずくめの衣装の謎の人物。それが4名。顔まで頭巾で隠されてるため、男か女か、若いか年寄りか、人間か亜人かの判別はつかない。
【ユーリ】 そいつらを追いかけられる?
【GM】 そうしようとすると、キミらの前に立ちはだかるものがあります。人のように2本足で立ってるけど、先がヤリのように尖った細い尻尾や、背中に蝙蝠のような翼を生やしている、醜い怪人です。
【ユーリ】 デーモンかな。
【ハニィ】 「そこをどけ!」と、剣を構えて攻撃する。(ころっ)はずれ。あ〜ん、あたし弱い。魔法を使ったほうがええんかな。
【ユーリ】 デーモンに〈スリープ〉、(ころっ)効いた。じゃ、寝て。
【GM】 精霊魔法の〈スリープ〉って、永遠の仮死状態やもんな〜。かなわんわぁ、ホンマに。パタっ。じゃ、あとの黒ずくめたちは遠ざかる、と。ほい、次のラウンドね。
【ユーリ】 黒ずくめの奴らとうちらとは、何メートルぐらい離れてる?
【GM】 そうやな、目測で100メートルぐらいかな。
【ハニィ】 じゃあ、魔法も届かんな。「コラ〜」言うて追いかける。
【ユーリ】 うちも。
【GM】 ハニィは黒ずくめとの距離34メートルの地点まで、ユーリは46メートルの地点まで近づいた。すると、4人の黒ずくめのうち、リーナスさんを担いだ者を除く3人が立ち止まって、キミらの相手をする構えを見せる。
【ハニィ】 黒ずくめBに〈フォース〉。(ころっ)効いた、ダメージ9点。
【ユーリ】 黒ずくめAとCに〈スリープ〉、(ころっ)寝たで。
【GM】 やるな。立ち止まった黒ずくめBは、ひるむことなくハニィに攻撃。しかし、かわされた。リーナスを担いだ黒ずくめDはさらに遠ざかって、第3ラウンド。
【ユーリ】 このままやと、光る奴連れていかれてまうで。
【ハニィ】 ホンマや。どーしよ〜?
【エリオ】 そのふたりのピンチを、俺とジャニオスは遠見の水晶で見てるんやな。
【GM】 見てへん、見てへん。キミら、そんなアイテム持ってなかったやろ。
【ジャニオス】 いや、僕らが持ってなくても、魔術師ギルドにならあるはず!
【GM】 それはそうやろけど、だからといって、なんでキミらがそれを使えるの?
【ハニィ】 ホンマや。筋が通っとらん。
【ジャニオス】 ギルド長は僕のじっちゃんやから、見せてもろとんやないか。
【GM】 こらこら、そんな勝手な設定を作ったらアカンで。
【エリオ】 いや、血の繋がりは確かにないで。でもな、ジャニオスは幼い頃からギルド長にかわいがってもらってて、そのうち「じっちゃん、じっちゃん」と呼ぶようになったんやがな。
【GM】 そんな事実はないッ! だいたい、真夜中に魔術師ギルドに入れるわけないやんか。
【ジャニオス】 そこはそれ、僕はギルドのメンバーやから。
【エリオ】 それに俺にはレベル6の肩書と、衛兵小隊長というの地位があるから、職権を乱用したら大丈夫。
【GM】 はあ、そんで職権を乱用してギルドの中に入って、何をすんの?
【エリオ】 〈テレポート〉が使えるレベル7の魔術師に会いに行く。
【ジャニオス】 うちのおかんやったら、使えるんちゃうか。
【GM】 いや、残念ならがら、ジャニオスのお母ちゃんは〈テレポート〉を使うには、1レベル足りまへん。
【ジャニオス】 しゃあないな、じゃあ、レベル7の奴がいてそうな部屋の扉を「ゴンゴン!」とノックする。
【エリオ】 そんで「俺はレベル6で衛兵小隊長のエリオ・デ・アンジェリスだ。出てこい!」ということを、エリオ的に言う。
【GM】 ほんなら、眠そうな顔をした魔術師が顔を覗かせて、「こんな夜更けに、騎士様が何の御用でしょうか」と聞いてくるよ。
【エリオ】 「遠見の水晶を出せ」
【GM】 魔術師は「いくら騎士様のお言葉とはいえ、それはちょっと……。いったい、なぜです?」と、さすがに困惑してます。
【エリオ】 なら、「これは上からの命令である」と言う。
【ハニィ】 うわっ、勝手に国王の名前出してるで。
【ユーリ】 国賊や。
【エリオ】 いや、俺は「上からの命令」としか言うてない。「天からのお告げ」という意味で、そう言うただけ。それをこの魔術師がどう解釈しようと、それは関係ないわ。
【GM】 それなら、どう解釈したかは知らんけど、魔術師は驚いて、慌てふためきながら遠見の水晶を出して来ました。
【エリオ】 じゃあ「アスリアの街を映してみ」と、エリオ的に言う。
【GM】 映りました。炎が夜空を焦がしているのがわかります。
【エリオ】 「火元をクローズアップしてみ」と、エリオ的に。
【GM】 そうすると、さらわれようとしているリーナスさんや、怪人たちと戦うユーリたちの姿が見えます。
【エリオ】 「ここに〈テレポート〉で送ってくれ!」と、エリオ的に頼む。
【GM】 楽や思うて『エリオ的』を乱発しよるな。じゃあ、エリオたちがホンマにレベル7の魔術師に出会えたのかどうか、サイコロで判定してみよか。
【エリオ】【ジャニオス】 (ころっ)。
【GM】 それなら偶然にも、このひとはレベル7魔術師だったことにしよう。魔術師は、「わかりました。ただ、アスリアの魔術師ギルドに出ることになるますが、よろしいですか」と尋ねてくるよ。
【エリオ】 しゃあないな、それでええわ。じゃあ、ジャニオスと、我が愛馬ブルーシャドウをアスリアに送ってくれ。
【GM】 馬ごとかいな。
【ジャニオス】 もちろん! それに向こうに着いたら、すぐに走れるように用意しとくで。ブルーシャドウにふたり乗りやな。
【エリオ】 ついでに俺は、買うたばかりのランスを構えとくで。
【GM】 わかりました。とりあえず、レベル7魔術師は呪文の詠唱に入ったよ。そして、魔術師の魔法が完成すると同時に、エリオたちは一瞬にしてアスリアの魔術師ギルドの建物の中に移動いたしました。
【ジャニオス】 じゃあ、ギルドの玄関の扉をバーンとぶち破って、火災現場へ向かうで。
【GM】 すると、街のひとが「うわっ、何だ!?」と驚くんやろな。
【ハニィ】 でも、あたしらがどこで戦ってるかなんて、わからんのとちゃうん?
【ジャニオス】 わかるやろ。夜中の火災は目立つから。
【GM】 まあね。ただ、その現場に到着するには、もうちょっと時間がかかるな。では、エリオたちが駆けつけてくるまでの間に、戦場のユーリたちの処理を再開しとこか。
【ハニィ】 どうする〜? リーナスさん、連れて行かれてまうかも知れんで。
【ユーリ】 立ち止まった黒ずくめBはうちが押さえとくから、ハニィはリーナス担いで逃げてる奴を追っかけろ。
【ハニィ】 わかった、全力で追いかける。ほんで手が届く距離になったら、タックルして押し倒す。
【GM】 了解。でも、このラウンドでは、まだタックルできる距離じゃない。
リーナスさんを担いだ黒ずくめDは、さらに逃げる。しかし、気絶した人間ひとりを担いでるだけあって、次のラウンドもハニィが全力移動するなら、接敵状態になるよ。黒ずくめBはユーリに攻撃──はずした。
【ユーリ】 じゃあ、黒ずくめBに[組み合い]する。(ころっ)成功。
【GM】 なら、黒ずくめBとユーリは、組み合って地面に倒れた。第4ラウンド。
【ハニィ】 全力移動するから、接敵状態やな? ほんなら、タックルしようかな。
【ジャニオス】 それではずしたら、自分がこけるだけやな。
【ハニィ】 え、そうなん? じゃ、GM、リーナスさんを担いでる奴の前に回り込むことはできる?
【GM】 う〜ん、このラウンドでは全力移動で、追いつくだけやね。前に回るとなると、もう1ラウンドかかるな。
【ハニィ】 じゃあ、次のラウンドで前に出るようにする。
【ユーリ】 うちは組み合った相手に[押さえ込み]をするで。(ころっ)成功。
【GM】 では、黒ずくめBはユーリを振りほどこうとすることしか、できないわけですな。(ころっ)失敗、押さえ込まれたまま。
リーナスを担いだ黒ずくめDは、ハニィに追いつかれて観念したのか、リーナスを地面に落とし、ダガーを抜き、それでリーナスを刺そうとします。
【ハニィ】 えーっ!?
【GM】 そこへ、お待ちかねのエリオとジャニオスの登場。ふたりは駿馬ブルーシャドウで颯爽と駆けつけて来たわけやけど、どう行動すんの?
【エリオ】 リーナスを殺そうとしてる奴に、新品のランスで[チャージ(突撃)]。(ころっ)あたり、ダメージ16点。で、向こうまで通り抜けて、急停止してブルーシャドウの向きを反転させる。
【ジャニオス】 急停止したときに、僕はブルーシャドウから飛び降りる。シュバっ、ザン!
【GM】 第5ラウンド。ちなみに、エリオに攻撃された黒ずくめDは、フラフラしながらも、最後の力を振り絞って、リーナスさんにとどめを刺そうとしてるよ。
【ジャニオス】 別に振り絞らんでもええのに。
【ハニィ】 このラウンドで決着をつけんとやばいな。〈フォース〉(ころっ)11点のダメージ。
【GM】 う〜ん、血を吐きながらもまだ死なない。
【ハニィ】 やばい〜。
【ユーリ】 うちは押さえ込んでるから何もできない。
【エリオ】 いざとなったら、リーナスはまた光りよるやろ。
【GM】 それはどうかな。ちなみに、リーナスを殺そうとしている黒ずくめDとエリオは、同時行動やからね。
【エリオ】 ほんなら、ランスとシールドを捨てて、鞍に携えた剣を引き抜いて、なおかつ馬上から「とおッ!」と飛び降りつつ、その自由落下のエネルギーを加えた一撃を見舞う。
【GM】 えらい複雑な行動をすんねんな。ま、別にええけど。
【エリオ】 (ころっ)当たり、ダメージは11点。
【GM】 黒ずくめDは頭をかち割られた。ただし、同時行動やから、その瞬間にダガーの一撃がリーナスに加えられてるんやけど。
【ハニィ】 やばいんちゃうん。
【GM】 しかし、エリオの攻撃で息の根を止められたこともあって、その攻撃はリーナスの頬にかすり傷を作っただけに終わった。
【ハニィ】 おお、間一髪や!
【GM】 ユーリに押さえ込まれてる黒ずくめBは、もういちど脱出を試みて……今度は成功。
【ジャニオス】 その黒ずくめBに〈エネルギーボルト〉。(ころっ)ダメージは14点。
【GM】 痛いな〜。では、第6ラウンド。
【ハニィ】 黒ずくめBに〈フォース〉。(ころっ)13点ダメージ。
【ユーリ】 黒ずくめBより先に起き上がる。
【エリオ】 通常移動で攻撃。(ころっ)1ゾロ!
【GM】 黒ずくめBは起き上がった。
【ジャニオス】 もういっちょ、〈エネルギーボルト〉。(ころっ)ダメージは10点な〜。
【GM】 はいはい、死んだ死んだ。
【ユーリ】 じゃあ、光るひとを起こす。
【エリオ】 「喝ッ!」
【GM】 「うがっ」──って、普通に起こしてぇな。リーナスさんは目を覚ましたよ。
【ハニィ】 あと、〈スリープ〉で眠らされてる奴らを〈サニティ〉で起こして、情報を聞き出そう。
【ジャニオス】 起こすんは、黒ずくめAだけでじゅうぶんや。縄で縛ってから起こすで。
【GM】 はいはい、黒ずくめAは起こされました。で、情報って、具体的に何が聞きたいの?
【ジャニオス】 「おまえらは何モンや。何しに来てん。言え!」
【GM】 黒ずくめAは……(ころっ)ああ、舌を噛み切って死に絶えましたな。
【ユーリ】 じゃ、黒ずくめCを縛って起こす。また死なんように、猿轡もかましとこ。あれ?? これじゃ、しゃべられへん!
【ジャニオス】 いったい何がしたいんや。
【ハニィ】 とりあえず、黒ずくめCに〈サニティ〉。(ころっ)起きたよ。
【GM】 「はっ、これはいったい、どういうことだ!?」
【ハニィ】 「おまえは何のためにリーナスさんをさらおうとしたんだ!」
【ユーリ】 そいつのほっぺたを剣でペシペシってする。
【GM】 ペシペシすんのね、(ころっ)よっぽど忠誠心があるんやろな、黒ずくめCも舌を噛んで死にましたわ。
【ユーリ】 もう、モンスターしか残ってへんがな。
【ハニィ】 どうする、この怪人……。
【エリオ】 こんな厄介なモン、始末するしかないやろ。
【ハニィ】 そうやな、とどめ刺しとこか。グシャっ。
【GM】 というわけで、怪人は仮死状態からホントの死亡状態になりました。しかし、騎士と司祭のものとは思えんような会話がなされていたな。
【ユーリ】 後で「こいつが火事の犯人です」って、衛兵のとこにこいつらの死体を持って行こ。
【エリオ】 で、「何があったんですか」と光る奴に聞く。
【GM】 リーナスさんの話では、宿屋に泊まっているところに黒ずくめの連中が現れて、あて身をくらわされて気絶させられた、とのこと。
【エリオ】 「こいつらに心当たりは?」
【GM】 「黒ずくめの連中にはありませんが、その怪人は、例のバリドスの仲間なんじゃないですか」
【エリオ】 「じゃあ、なぜおまえは光らなかった!」と、怒る。
【GM】 そんなもん、怒られたってしゃあないがな。リーナスさんが光るのは、いちおう一定のルールがありますから。
【エリオ】 そうなんか。じゃ、ま、とりあえず『栄光の騎士亭』に行って、今日はもう寝る。リーナスには、俺とジャニオスと同じ部屋に泊まってもらおう。
【ユーリ】 じゃ、うちはレクターの神殿に戻る。
【ハニィ】 あたしも。
【GM】 では、そんな感じで夜が明けます。そしたらリーナスは、朝食の席で「啓示を受けました」と言うんですな。
【ハニィ】 どんな啓示? あたしのと同じ?
【GM】 いや、まったく別ものやね。なんでも、ミントンの街の西にある湖が夢に出てきたそうです。その湖にはいくつかの小島があり、そのひとつに遺跡があったと。そして「私はそこに行かねばならない気がするのです」と言うんですわ。
【ジャニオス】 夢見たぐらいでそんなとこ行きよったらアカンで。
【エリオ】 だいたい、そこにどうやって行くつもりやねん。
【GM】 そりゃ、舟を調達するんでしょうな。
【エリオ】 リーナスはそんなに金を持ってんのか? そんなに坊主は儲かるかー!
【ジャニオス】 御布施がそんなに入るのか!
【GM】 教団自体はどうか知らんけど、ただの司祭が大金持ってるわけがないわな。でも、そんなもん、リーナスさんは愚直に頼み込むに決まってるやんか。じゃ、リーナスさんはミントンに向けて出発しました。
【ジャニオス】 なんや、早いとこ僕らと離れたかったんやな。
【エリオ】 命の恩人やのにな。あいつ、きっと友達おらへんで。
【GM】 ムチャクチャ言いよるな〜。
【ユーリ】 じゃ、うちもミントンに向かう。パドニカに行くには、そこを通らなアカンし。
【エリオ】 なんや、おまえもかぃ。ひとりじゃ危ないと思うで〜。素直に仲間に「一緒に来て」言うたほうがええで〜。
【ユーリ】 でも、たぶんユーリはそんなこと言わへんと思う。
【ジャニオス】 なに、置き手紙して行く感じ?
【ユーリ】 うん、それが近い。
【ジャニオス】 じゃ、置き手紙して。「朝九時ぐらいにアスリアを出て、ミントンに向かいます」って。
【エリオ】 なんや、ホンマはめっちゃついて来てほしいんや。
【ユーリ】 そんなこと書かへんわッ。
【GM】 まあ、ユーリはひとを信用してなさそうなキャラクターやもんな。
【ハニィ】 とりあえず、あたしはユーリについて行くよ。
【ユーリ】 ほんならユーリは、「来るんなら、勝手に来い」って言う。
【GM】 ユーリは他人となぁなぁになりたくないタイプなんやろね。エリオたちはどうすんの?
【エリオ】 そうやな、命令違反してるから、もうファノンには戻られへんし……。そうや、ジャニオス。一緒にオレンブルクにでも行くか!
【ジャニオス】 何しにや!?
【エリオ】 知らんのか、あそこは魔術師と賢者と冒険者たちの王国やぞ。あそこには大陸中の賢者や冒険者、知識と財宝が集まる──って、家出する前の日に姉ちゃんが言うとった。
【ジャニオス】 やったー! じゃあ、魔法の本場オレンブルク製のメイジ・スタッフを買いに行こう。これで魔力がプラス4されるはず!
【GM】 あるかッ、そんなもん! もう、どこへなと好きに行ってくれ。
【エリオ】 よし、そうと決まれば、とりあえず我が家に「お父上様、身勝手な僕をお許しください」という手紙を出す。そんで、俺とジャニオスは街道を北に向かうわけや。
【ユーリ】 あ〜あ、エリオ、ついに家出や。
【ハニィ】 減俸されるわ。
【GM】 減俸ですめばええけどな。
【エリオ】 いや、姉ちゃんだってオレンブルクに家出してるんやし、俺も家出してええはずや。
【GM】 どんな理屈や! で、けっきょく全員が街道を北へ──まずはミントンに向かうわけね。まあ、バラバラに行動してるんで、到着に時間差はできるけど。
というところで、この続きはまた後ほどにいたしましょう。