▽ 蛮族登場 | ▽ ホルトーの報酬 | ▽ 地図に記された遺跡の探索 |
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【GM】 え〜、じゃあ始めさせていただきます。知らない間にサウルくんが胃を傷めたとかで降板してます。胃酸過多症のリーダーの代理には、カームが就きました。
【リィン】 冒険続けられないんならロバ買うてよ、リーダー。
【サウル】 わかりました、買ってあげますよ。
【GM】 そして、療養生活に入ったサウルくんに代って、アルフレッドという蛮族の精霊使いがパーティに加わってきました。
【シーザー】 おかしいな〜、求人広告には『魔術師の経験三年以上』と書いといたはずなんだけどな〜。しかも貴族だったリーダーに対して、そいつは蛮族。
【アルフレッド】 ええねん別に。仲間に入ってん。
【シーザー】 強引に入って来たんやな。ま、荷物持ちとして雇っといてやろう。
【リィン】 ロバの世話よろしく。
【アルフレッド】 はァ! なんてことを……。ええで、蛮族にはロバを食う習慣があるし。
【リィン】 食べたらダメっ!
【GM】 さて、皆さんは露店などが軒を連ねるメカリア王国の王都、メカリアの大通りを歩いているところです。先日、メカリア王国の王女の婚約が決まったということで、街は祝賀ムードで賑わっています。いつもより人通りは多く、昼間から酔っぱらってるひともいる。
【リィン】 人通りが多いってことは、[スリ]しやすい。
【GM】 行き交う人々もさまざまで、にこやかなひともいれば、目つきの悪いひともいたりして……まあ、中にはスリに襲われてるひともいるかも知れない。
【シーザー】 蛮族はきっとキョロキョロしてるんやろな。「オラ、こんなとこ始めてだ!」とか言うて。
【GM】 そうやって皆さんが通りを歩いていると、対面から人込みをかき分けてひとりの男が走ってきます。男はしきりに背後を気にしてるようです。そして同じようにキョロキョロしているアルフレッドに、まともにぶつかってしまいました。
【シーザー】 そこで蛮族は「いてーだ!」と言わな。
【アルフレッド】 いや〜、「大丈夫か?」って言うよ。
【GM】 転んだときに、男はひとつの箱を落としました。箱の大きさは、ダガーが一本入るぐらいです。そして男が来た方から、「誰か、その男を捕まえてくれ〜」という男の怒鳴り声が聞こえてきます。
【カーム】 じゃ、男を捕まえておく。
【リィン】 男が落とした箱を拾う。
【アルフレッド】 今日はいい日みたいやし、ぶつかってきた男を助け起こしてやろう。
【シーザー】 俺は背後に気を配っとく。
【GM】 ──と、皆さんがそういうふうに思ったことを実際に行動に移す一瞬前に、ぶつかってきた男は転がり起きて、皆さんが来た方向へ走り去り、人込みに紛れて見えなくなってしまいました。
そして、「捕まえてくれ〜」と怒鳴っていた中年の男が皆さんのところにやって来て、箱を拾ったリィンに、「ありがとうございました」と息を切らせながらお礼を言います。
【リィン】 なんで?
【カーム】 いつこれを渡すと言いました?
【GM】 ネコババする気なら、そうしてもらっても構わんけどね。ただ、衛兵に突き出されても、私ゃ知りませんよ。
【アルフレッド】 その男のひとって、どういう感じ?
【GM】 年齢は40過ぎから50といったところで、恰幅のいいおっさんです。
【リィン】 金持ちそう?
【GM】 そうですね、かなり裕福そうに見えます。
【カーム】 強そう?
【GM】 強そうではないです(笑)。表情も温厚な感じですから。ところで箱は返してもらえるんですか?
【リィン】 返してもいいけど、お礼はいくらもらえるの?
【GM】 はあ、こういう状況でどういうお礼が出せるかなぁ……。「じゃあ、100フィスお渡ししましょう」
【リィン】 う〜ん……。
【GM】 「少ないというんですね、わかりました。4人ということなので400フィス払いましょう」
【リィン】 わ〜い。
【アルフレッド】 僕はいらんよ。僕はいい人ですから。
【シーザー】 自分で自分を『いい人』という奴に、ロクなのはおらんな。それにしても、400フィスをポ〜ンと払っても惜しくない品物とは……。
【リィン】 中身は何だったんだろう。開けてみたかったな。
【GM】 男のひとは、「私はホルトーという商人です。皆さんは冒険者の方ですよね? ついでと言っては何ですが、実は依頼したい仕事があるのです。ここでは何ですから、酒場にでも行きませんか。きょうのお礼も兼ねて、御馳走しますよ」と、言ってきます。
【カーム】 よっしゃ、じゃ、とりあえずいちばん高そうな店へ行こう。
【GM】 別にどこでもいいけどね、ホルトーさんは金持ちやから。それじゃ、金持ちばかりが集まる最高級の酒場に入りました。そこは1階が酒場、2階が宿泊施設という、レムリア大陸における標準規格の造りになってます。
【シーザー】 その宿泊施設も最高級なんやろな。
【GM】 もちろん。ちなみに、今後、特に説明なく『酒場』とか『宿屋』とか言った場合は、豪華とか質素のちがいはあっても、こういう造りなんだと思ってください。
【シーザー】 じゃあ、席に着いて給仕に注文しよう。「この店の高い食い物を、ジャンジャン持って来い!」
【カーム】 上から3つゥ!
【GM】 さすがにホルトーさんの笑顔は、引きつってます。では、注文された豪華な食事が運ばれて、ホルトーさんと皆さんは食べはじめました。
そして、食事もたけなわになった頃、ホルトーさんは仕事の依頼を持ちかけます。
【アルフレッド】 聞こう。
【GM】 「先程も申したように、私は商いを営んでいる者です。そして明日、ルニオールの街に商品を届けなければならないのです」
【リィン】 それで護衛をしてくれと。
【GM】 「そうです。もちろん、報酬ははずみますよ」
【アルフレッド】 そのルニオールの街って、遠いん?
【GM】 ルニオールの街は、ここ王都メカリアの東に位置する、メカリア王国第二の都市。街道を徒歩で行けば、4日かかります。
【アルフレッド】 途中でモンスターが出るとか。
【GM】 「通り道は街道なんで、魔物が出ることはめったにありません。ただ、さっきのこともあるので……」
【アルフレッド】 そうそう、さっきの男は何なん?
【GM】 「さあ、まったく見当がつきません。ルニオールのさるお方との商談が成立したところで、奪われてしまったのです」
【シーザー】 届ける商品というのは、その小箱だけ?
【GM】 「いえ、他にもいろいろあります。けっこう量があるので、商隊で移動することになります」
【アルフレッド】 ということは、他にも何人かの商人が一緒に行くってことやな。
【GM】 そうやね。ただ、全員、ホルトーさんの傘下のものばかりやけどね。
【カーム】 大商人やな、ホルトーは。
【シーザー】 ちなみに、さっきの小箱の中身は何なん?
【GM】 「いや〜、それはちょっと……」モゴモゴと言葉を濁します。ただ「犯罪的なものではない」と、ホルトーさんは強調しますけどね。
【シーザー】 そう言われてもなぁ。
【リィン】 ちっ、やっぱ開けときゃよかった。
【カーム】 それで仕事の必要経費は出るんスか?
【GM】 「ええ、それはもちろんこちらで持ちます」
【カーム】 そして、報酬はズバリ!
【GM】 太っ腹のホルトーさんは、「2万フィス相当をお支払いさせて頂きますが、いかがでしょうか」と言ってきます。
【カーム】【リィン】 え??
【アルフレッド】 2万フィス?!
【シーザー】 怪しい。
【リィン】 ウソだ。
【カーム】 ひとり5000フィスか……乗用馬が買えるで。
【リィン】 おおっ。
【シーザー】 やっぱりその小箱の中身、ヤバイ物とちゃうか。念のためにホルトーに〈センス・イービル〉をかけてみよう。(ころっ)。
【GM】 ホルトーさんは疑われてもしょうがないと思っているので、特に抵抗などはしません。ただ、ちょっと顔がひきつってるけど。ちなみに〈センス・イービル〉の結果は『白』です。「で、仕事は引き受けてもらえるんですか?」
【カーム】 邪悪でないんなら、引き受けよか。
【シーザー】 というリーダー代理のひと言で決定された。
【GM】 「じゃ、商談成立ということで。出発は明朝です」
【カーム】 それなら、今夜はこの宿屋に泊めさせてもらおう。これは必要経費やから、宿泊費はホルトー持ちで。
【GM】 「わかりました」と、ホルトーさんはまたまた顔を引きつらせながら、答えます。そして明日の待ち合わせ場所を告げておいて、ホルトーさんは宿屋のマスターに皆さんの一泊分の宿泊費を支払い、帰って行きました。
では、翌朝になりました。
【カーム】 ウイ。待ち合わせ場所に行く。
【GM】 すると、馬車と商隊を仕立てて、ホルトーさんが待っていました。「きょうから4日間、よろしくお願いします」
【アルフレッド】 「わかりました。この仕事、引き受けましょう!」
【シーザー】 いや、昨日のうちに引き受けてるから。
【GM】 ホルトーさんも「何を言ってるんだ、コイツ」という感じで、目を丸くしてます。「大丈夫かな〜」とちょっと不安げ。
【カーム】 大丈夫、こいつはただのロバの世話係やから。
【GM】 「それなら安心しました」
【アルフレッド】 どーゆー意味や。──ちょっと待て、リィンのロバも一緒に連れて行くんか?
【リィン】 あたりまえやん。ちゃんと世話しといてよ。
【アルフレッド】 なんてことを……。
【GM】 アルフレッドは商隊の馬係と仲良くなれそうやな。さて、そうこうしてるうちに準備も整い、商隊はルニオールへ向けて出発しました。
行程1日目は、街道を東へ10時間ばかり歩いたところにある、マルパナという村を目指した。
そして、無事にマルパナ村に入った一行は、そこで宿泊することになった。
しかし、護衛が役目の冒険者たちは、夜も仕事を果たさなくてはならない。アルフレッドが荷物を積んだ馬車の見張り、カームが件の小箱を持ったホルトーの部屋の前の見張り、シーザーがホルトーの部屋の外の見張りについた。リィンだけが、自分に割当てられた部屋で寝た。
何事もなく朝を迎えた一行は、マルパナ村を後にして、行程2日目の夕方、予定どおりリゼルという村に着いた。
【GM】 リゼル村の宿の酒場には、近隣の村や町でも有名な看板娘がいます。
【カーム】 看板娘は何歳だ。
【GM】 16歳。
【カーム】 やった! 歳が近い。
【GM】 なにが「やった!」なのかは知らんけど、その可愛い娘さんがお給仕などをしてまして、酒場は変に盛り上がってます。
【アルフレッド】 看板娘に話しかけよう。この辺りに強い魔物が出たり、山賊なんかが出たりする噂がないか、聞いてみる。
【GM】 看板娘はとても人気があるので、引っ張りだこになっています。話しかけるのはかなり難しいと思いますが……。
【アルフレッド】 うそぉ?! じゃ、ワインなんかを注文してみよう。看板娘さん、来る?
【GM】 いや、他の給仕さんが持ってきますね。看板娘は来ません。
【アルフレッド】 来ないの?! うそォ……。
【シーザー】 情報収集の相手なら誰でもええやん。その辺の奴らに、世間話をしかければええねん。看板娘めあてに、遠くからでも来てたりするんやろ?
【GM】 通える範囲に住んでるひとなら、よその村からでもやって来てるね。ちなみに冒険者は、皆さん以外に見当たりません。
【アルフレッド】 じゃ、近くにいるひとに、魔物や盗賊団などの噂を聞いてみる。
【GM】 「そういう噂は聞いたことがないな」と、答えが返ってくる。
【シーザー】 俺はこの宿屋に怪しい奴がいないか、何気なく見回してみる。
【GM】 それなら、酒場の隅っこのテーブルに、黒いローブを着てフードを目深にかぶった男がいるのが、目につきました。
【リィン】 怪しい。
【アルフレッド】 そいつはこっちをチラチラ見てたりすんの?
【GM】 いえ、黙々と食事をしているようです。
【アルフレッド】 普通のひとかな。
【リィン】 ちがうと思う。
【シーザー】 とりあえずマークしとこう。そいつも泊まり客なん?
【GM】 そうみたいやね、旅人のようです。そして食事を終えたその男が、2階に上がろうと席を立ったとき、マントの隙間から、胸に下げた暗黒の神クートラの聖印がチラリと見えた。
【リィン】 お〜、いいもの見ちゃった。闇司祭だ。じゃ、きょうの夜は、そいつの部屋を、廊下で見張っといたるねん。
【シーザー】 ちなみに男3人は、昨夜と同じポジションにつくで。
【GM】 すると、カームとリィンが廊下におるわけやな。
【アルフレッド】 他の客、「何やねん」って思うやろな。
【GM】 ま、泊まり客は皆さんと商隊の方々、そして闇司祭しかいませんけどね。
それじゃ、何事もなく夜が明けました。眠そうな顔をして、ホルトーさんが部屋から出てきます。そして朝食をとりに、酒場へ下りて行きました。
【カーム】 そんじゃ、オレらも酒場へ行く。闇司祭は?
【GM】 昨夜と同じテーブルで、食事をしてるよ。そうこうしてるうちに、皆さんは朝食を終え、出発の準備をして、街道をさらに東、今度はバジェットという村へ向かうことになりました。
【シーザー】 闇司祭はついて来てたりする?
【GM】 いえ、ついてきてませんね。さて、街道を進んで昼頃、進行方向右手側、つまり南の茂みの中から、大きな人型の生き物が一体現れた!
【カーム】 [怪物判定]、(ころっ)。
【GM】 カームは名前すらわからない。そいつは腰にボロ布を巻きつけて、手には大きな棍棒を持ってます。
【リィン】 攻撃する!
冒険者たちと巨人との戦いがはじまった。カーム、アルフレッドともに攻撃が当たらず、リィンは当ててもダメージが少ない。シーザーは「周りを警戒する」と言って戦闘に参加しない。 第4ラウンドが経過したところで、カームのクリティカルヒットが炸裂。巨人に大ダメージを与えた。
【GM】 巨人が逃げ出そうとしたとき、先程の茂みの中から、新たに2体の同じような巨人が現れたよ。ただし、その2体の巨人は、既にかなりの傷を負っているようです。
【シーザー】 その傷は新しい?
【GM】 いや、見たところそんなに新しくない。さて皆さん、どうします?
【リィン】 逃げようとしてる奴に攻撃。(ころっ)ヒット、13点。
【GM】 そいつは倒された。新たに出てきた2体の巨人は、踵を返して逃げだし、出てきた茂みの中へと消え去りました。
ホルトーさんはドキドキしながら「さっきのはいったい、何だったんです?」と言います。
【カーム】 「怪物です」とだけ、言っておこう。
一行はバジェット村の宿屋に入った。そこで酒場の主人に街道で怪物に出会った情報を流して警戒を呼びかけた。
そのついでに冒険者たちは、リゼル村で見かけた闇司祭が、一緒に来ていないかどうか確かめてみたのだが、その姿を見い出すことはできなかった。
そして夜が明け、商隊と冒険者たちは、終着地ルニオールに向けて出発した。
【GM】 では、何事もなくルニオールに着いたよ。ホルトーさんは、「私はこれからすぐに仕事があるので、さっそく報酬を支払いましょう」と言います。
【リィン】 えっ、マジで? ほとんど何もしてないよーな気がするけど。
【カーム】 これで2万フィスもらえるの?
【GM】 い〜え、ちがいますよ。ホルトーさんは、「2万フィス相当をお支払いする」と言ったんですよ。
【シーザー】 つまり、銀貨でなくて品物で寄越すのか。
【GM】 そのとおり。渡されたのは、30センチ×20センチの箱。もちろん、メカリアで盗賊の男から取り戻した物とは、別物ですよ。
【カーム】 この場で中身を確かめよう。
【GM】 ところがフタを開けようとしても、開きません。ホルトーさんは、「これが必要なんです」と言って懐から鍵を取り出し、それをカームに手渡しました。ちなみにその鍵は、淡い光を放ってるよ。
【カーム】 じゃあ、その鍵を使って開けてみる。
【GM】 箱を開けると、中には1枚の地図、小さな水晶球がひとつ、そしてメダルが1枚入っていました。知識のある人間が見ればわかるんやけど、メダルとさっきの鍵は、ミスリル銀という特殊な金属でできてるよ。それから水晶球は、何らかの魔法がかかった物品のようやね。
【アルフレッド】 この品物が2万フィス相当なんか? この地図はいったい何だ。
【シーザー】 地図のある地点に、バツ印が書かれてあるとか。そんでそこにある宝物が、2万フィス相当やとか言うんちゃうやろな。
【GM】 よくおわかりで。実はこれらは、ある冒険者たちがメカリア王国のはるか南にある、オリッサ砂漠、別名『炎の蠍の砂漠』の遺跡で発見し、ホルトーさんに2万フィスで売り渡した品物です。
ホルトーさんはそれを4万フィスで転売するつもりだったんだけど、冒険者である皆さんにはピッタリじゃないかと思って、今回の仕事の報酬として譲ることにしたわけです。
【アルフレッド】 なるほど。
【GM】 「ちなみにその品物一式は、売れば確実に2万フィスするものです。だから、売ってもらっても構いません。ただ、噂によると、そこに隠されている宝は、かなりの代物らしいですよ」と、ホルトーさんは言う。
【カーム】 そのバツ印がつけられてる場所は、ここから近いの?
【GM】 はい。現在の地図に照らし合わせてみると、ルニオールの街から、わりと近い場所であることがわかる。
「じゃ、頑張ってください」と言って、ホルトーさんは町へ去っていきます。
【シーザー】 去られる前に捕まえよう。「2万フィスの宝も魅力的やけど、これじゃしばらくメシが食えん。当座の生活費として、現金もくれ」
【GM】 なるほどね。じゃ、手切れ金として、パーティに500フィスを支払いましょう。「それでは皆さん、ごきげんよう」
【アルフレッド】 ところで水晶球の使い方とか、僕らにわかるの?
【GM】 地図上に色々と文字が書かれてあるよ。ただしそれは、下位古代語の文字です。
【リィン】 誰も読めん。
【シーザー】 サウルがいてくれたらな〜。いちどメカリアに戻って、サウルに読んでもらうか?
【アルフレッド】 それより僕が、魔術師ギルドに持って行って調べてもらうわ。
【シーザー】 じゃ、俺たちは酒場で打ち上げしとくか。
【カーム】【リィン】 わ〜い。
【GM】 では、アルフレッドはルニオールの魔術師ギルドに来ました。ギルドは3階建ての塔で、この街でもひときわ目立つ建造物です。受付のひとが、「何かご用でしょうか」と言ってくるよ。
【アルフレッド】 「この地図に書かれてる文字と、水晶球とメダルを調べて欲しいんですけど……」
【GM】 「承知しました。では、2、3日待ってください。鑑定料は700フィスで、前金として400フィスをいただきます」とのこと。
【アルフレッド】 あっ、僕の所持金、246フィスしかないわ。
【シーザー】 自分の財布の中身と相談してから持って行け、っちゅうねん。
【リィン】 さすがは蛮族だ。
【アルフレッド】 酒場に戻って、「みんな100フィスずつ出してくれ〜」。
【GM】 まるでサ○エさん状態やな。
【シーザー】 しょうがないやっちゃ。俺が前金を出したるわ。
【カーム】 ほんなら、鑑定の結果が出るまで宿屋で過ごしとこか。ダラ〜っと。
【GM】 わかりました。では、3日後にギルドの方から知らせがあります。鑑定に成功したそうです。
【シーザー】 まず、地図に書かれてあった古代文字の訳文を教えてもらおう。
【GM】 「天空に近きところで水晶を掲げよ」と書かれてあるそうです。
【リィン】 バツ印の場所は?
【GM】 場所はルニオールの近くの遺跡。ただ、以前から知られてる遺跡なので、冒険者たちもけっこう入った場所らしい。
【シーザー】 それじゃ、その遺跡、もう枯れてるかも知れんな。
【カーム】 そのときは、この物品を売り飛ばそう。とりあえず、その遺跡に行ってみる。
【GM】 「その前に、残りの300フィスを支払ってください」
【カーム】 100フィス払ってやろう。
【リィン】 同じく。
【シーザー】 俺も。けっきょく蛮族は一銭も出しとらんな。
【アルフレッド】 ええねん、別に。
【リィン】 うちらがよくないわ!
【カーム】 ちゃんとロバを世話して恩返ししぃや〜。
【リィン】 今回はロバは宿屋に預けて行くけどね。
【GM】 それじゃ皆さんは、噂の遺跡にやって来た。そこは崩れた塀に囲まれた廃墟です。いちおう門があるけど、それも朽ち落ちて原型をとどめていない。
【シーザー】 門から中に入る。
【GM】 皆さんは、かつて前庭だったようなところに、足を踏み入れました。そこには枯れた円形の噴水跡があり、その向こうに大きな館がある。もちろん、廃墟やけどね。その館の右側には、ちょっと小さめの館があり、左側には塔がそびえ立っている。
【シーザー】 そこが『天空に近き場所』やな。
【カーム】 よっしゃ、塔に行こう。
【GM】 塔の扉は開け放たれてるよ。たくさんの冒険者たちがここに来てるから、恐らく先に来たひとたちが、開けて行ったのでしょう。塔の中には、螺旋階段が見えるよ。
【リィン】 じゃあ、階段を登る。
【GM】 では、皆さんは螺旋階段をグルグル昇り、最上階の部屋まで来ました。その部屋の中央には、かなり埃をかぶったひとつの台座があります。
【シーザー】 台座に水晶球を置いてみよか。
【GM】 そうすると、水晶から光が一瞬放たれました。
【リィン】 それだけ?
【シーザー】 水晶球に何かが映ってるとか。
【GM】 別に何も映ってないよ。
【リィン】 他の場所に何かが起きたんかな。
【カーム】 窓から外を見てみよう。
【GM】 すると、大きな館の裏手に、ドーム状の建物があるのが見えた。その他には特に目立ったものは見つかりません。
【シーザー】 そのドームは初めからあったのか、いま出現したのか……。
【カーム】 水晶球を台座から取って、もういちど見てみればわかる。
【GM】 ところが水晶球は、台座から離れません。
【リィン】 とりあえずさ、そのドームに行ってみようよ。
【GM】 では、皆さんは裏庭のドームに入りました。中は丸天井の円形広間で、東西南北の位置にひとつずつ、扉がある。その内、南の扉が皆さんが入ってきたところで、他の扉はいずれも、開け放たれています。
【リィン】 西の扉の向こうを見てみる。
【GM】 右に曲がりながらの、下りの廊下で、地下に潜っています。東の扉の向こうも、同じような廊下で、ただし左にカーブしています。
【シーザー】 北の扉の向こうは?
【GM】 そこには下り階段があって、やはり地下へ伸びてます。
【カーム】 階段を下りてみよう。
【GM】 そうすると、ひとつの部屋に入ります。特に変わった調度品などもなく、殺伐とした部屋やね。扉は東西の壁と、北側の壁にあり、ぜんぶ開いています。
【シーザー】 東西の扉はきっと、ドームの部屋の東西の扉につながってるんやな。
【カーム】 ほんじゃ、北の扉を進もう。
冒険者たちは、地下通路をどんどん進む。そのうちひとつの部屋の壁には、この館の主だった者らしき人物の肖像のレリーフが施されていた。
全員でそのレリーフを調べていると、ミルリルのメダルとほぼ同じ大きさの凹みを見つけた。一行が喜々としてそこにメダルをはめると、隠し扉があらわれた。
その隠し扉の向こうには廊下が続き、その先には、床の中央に魔法陣が描かれた部屋があった。
【アルフレッド】 僕が魔法陣に乗ってみるよ。
【GM】 そうすると、アルフレッドの体は淡い光の粒に包まれた。そして、しだいに光は強くなり、最後に爆発したように強烈に光って消えました。アルフレッドの姿も、そこにはありません。
【アルフレッド】 さいなら〜。
【シーザー】 ま、たぶん転移の魔法陣やろ。俺たちも入るぞ。
やはりそれは転移の魔法陣で、冒険者たちは、地下とも地上ともつかない見知らぬ部屋に飛ばされた。
一行は廊下に出ると、目にした扉を片っ端から開けつつ、どんどん進んだ。しかし、外に繋がる扉はなく、たいがいが何らかの部屋だった。目にする部屋にはことごとく窓がなく、階段もなかった。
中には、床に転移の魔法陣が描かれているだけの部屋もあった。冒険者たちがその上に乗ると、やはりどこか別の部屋の魔法陣に飛ばされるのであった。冒険者たちは迷わぬよう、魔法陣に乗る前と、転移した後には、その部屋の壁などに印をつけ、そこが一度来た部屋だという証にした。
そしてある扉を開けたとき──。
【GM】 その部屋の床にも、魔法陣が描かれてるよ。そしてその上にはね、人影がある。正確に言うと、青銅色の肌をした人型の謎の生物です。
【カーム】 [怪物判定]、(ころっ)失敗。こっちを見たそいつの反応は?
【GM】 もちろん、皆さんの存在には気づいてる。が、反応は無関心と言ったところですか。表情が読み取れないし、「わからない」というのが正解かも。
【アルフレッド】 これは戦闘になるかも知れんな。カーム、共通語魔法で〈エンチャント・ウェポン〉をかけよか?
【カーム】 いや、いらないでしょ。剣を片手にゆっくり近づきます。
【シーザー】 待て待て。反応が読み取れないから、とりあえず話しかけてみよう。「こんにちは〜」って、人間の共通語が通じるんかどうか知らんけど。
【GM】 通じてないね。謎の人型生物も、シーザーにはわからない言語で応答してきます。お互いにお互いの言ってることが理解できないんやね。
【カーム】 じゃあ、ゴブリン語で話しかける。
【アルフレッド】 オムスク語で。
【リィン】 エルフ語では?
【GM】 やっぱり通じません。
【シーザー】 こんなときにサウルがいてくれたらなぁ。たぶんそいつ、デーモン系のモンスターやと思うけど。あの魔法陣で召還されて、何か事故があって、魔界に帰ることもこっちの世界に出て来ることもできなくなったとか。
【カーム】 そいつはなに、魔法陣からは出てこようとはせえへんのか?
【GM】 そうやね、いまのところ出てくる気配はないよ。
【リィン】 じゃあ、ここはほっといて、他のトコを先にまわろ。
冒険者たちは、謎の青銅色の魔人のことを後回しにし、転移の魔法陣で、部屋から部屋へと飛び回りながら探索を続けた。
【GM】 その扉を開けるんですね? 開けたらすぐ、中から猛烈な暑さを感じるよ。そこには床も天井も壁もなく、はるかかなたまで、炎が燃え広がっています。
【リィン】 なんじゃー!?
【アルフレッド】 “炎の間”か。本物の炎かどうか、精霊力を確かめてみる。
【GM】 思いっきり、炎の精霊力を感じる。まちがいなく、本物の炎やね。それから、扉のそばに、人間が10人ぐらい乗れそうなゴンドラが、宙に浮いて佇んでおります。
【アルフレッド】 よっしゃ、ゴンドラに乗ってみる。
【GM】 乗り込みましたが、動きません。
【アルフレッド】 ……降りる。
一行はとりあえず“炎の間”から時計回りに廊下を1周し、扉という扉を開けてまわった。そうすると“炎の間”と同じような“水の間”、“氷の間”、“風の間”を発見した。やはりいずれも、それぞれの精霊力が強烈に働く空間だった。
「どうせゴンドラの動かし方がわからないから」と、冒険者たちは、とりあえずその不思議な空間を放っておき、別の部屋を探索に行った。
そして、鍵がかけられた扉の前に来た──。
【カーム】 このダンジョンで、はじめて鍵がかかった扉に出会ったな。
【リィン】 きっと宝があるんや。[鍵開け]してみる、(ころっ)。
【GM】 しかし、鍵は開きません。
【シーザー】 魔法がかかってんのとちゃうか。〈アンロック〉は──。
【カーム】 ──誰も使えないっス。しょうがない、ぶち壊そう。
【GM】 でも、その扉の材質は銀です。ちょっとやそっとでは壊れないよ。
【アルフレッド】 銀!?
【シーザー】 はずして持って帰ろう!
【GM】 いや、だから開かないんですってば。
【カーム】 ぶち壊せへんのかぁ。
【シーザー】 コボルド連れてきて、腐らせてもらうとか。
【リィン】 サウルさんがいてくれたらなぁ……。ここも後回しにしよう。
冒険者たちは、まだ入っていない転移の魔法陣に乗り、未探索の部屋へ向かった。たどり着いた部屋にある扉も、先程と同じ銀製のものだった。リィンが[鍵開け]に挑戦するも、あえなく失敗。
【カーム】 ミスリル銀の鍵を使ってみよか。ホルトーからもらったやつ。
【GM】 使います? じゃあ、扉は開きましたよ。
【リィン】 おお〜、さすがはリーダー代理。
【カーム】 よっしゃ、中に入ろう!
その扉の向こうは、武具・防具の倉庫だった。喜々として武器をあさりまくる冒険者たち。その結果、リングメイル1つ、チェインメイル1つ、プレートメイル1つ、バスタードソード1つ、ブロードソード1つ、グレートソード1つが見つかった。いずれも魔法の物品であった。
【シーザー】 装備できんやつは売ってまえばええな。たぶん、万単位は下らんやろ。確かに銀貨2万枚以上の報酬やな。
【アルフレッド】 さっき扉が開かんかった部屋も、ミスリルの鍵を使えばきっと開くで。
冒険者たちは、ひとつ目の銀製の扉の前まで戻り、ホルトーの鍵で中に入った。
そこは、薬品の研究室として使われていたかのような部屋だった。さっそく部屋を荒らした冒険者たちは、魔晶石を2つ見つけ、赤、青、黄色、白、緑、赤青黄のマーブル色の計7つ(白だけが2個あった)の飴玉が入った小瓶も手に入れた。
冒険者たちは、その飴玉を、炎によるダメージを無くしたり、水で溺れなくなったりする、精霊力中和剤だと考え、さっそく“炎の間”に向かった。しかし、宙に浮くゴンドラの動かし方がわからず、“炎の間”の探索はできなかった。
もはや行ける範囲はすべて行き尽くしたと判断した冒険者たちは、ルニオールの街に戻ることにした。
一行は、いちばん最初に転移させられてきた部屋の魔法陣に乗り、ドーム地下の迷宮に転移した──つもりだったのだが……。
【GM】 部屋から出ると、廊下が続いています。その廊下を進んでいくと、銀製の扉に行く手を阻まれたよ。
【シーザー】 あれ? 入ってきたときと、構造が変わってるぞ。
【アルフレッド】 とうとう迷ったか!
【リィン】 帰れなくなった?
【カーム】 ん〜。