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【GM】 レムリア暦552年の4月のこと。カルファン王国中部の草原を旅する、3人の冒険者の姿があった――3人の冒険者すなわちキミたちは、もうすでにパーティを組んでるってことで。
【ゼシカ】 あ、そうなんや。
ゼシカ――ゼシカ・ラー・イスファハーン。カルファン王国の王都シュヴァンガウの裏山に住んでいた、491歳の男性エルフです。
シャーマン、ファイター、シーフの技能を持っている彼は、最近、「自分は王になるべきである」と思いつき、裏山から人里へ下りてきました。
ゼシカ・ラー・イスファハーン
エルフ/男/491歳:カルファン王国シュヴァンガウの裏山出身
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【ガラード】 どこでどうやって知り合ったんですか、これは(笑)。
チェイン・メイルに身を包み、得物であるバトル・アックスを背負っているガラードは、レムリア大陸南部のサリア地方にある鉱山都市、クロニス出身の男性ドワーフです。
今年50歳になった彼は、ファイターを主技能として、共通語の読み書きのためにセージ技能も修得しています。
ガラード
ドワーフ/男/50歳:鉱山都市クロニ出身
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【ダンデ】 やっぱりシュヴァンガウで出会ったのかなぁ。
この15歳の人間の女性はダンデ。カルファン王国の王都シュヴァンガウ出身の、幸運神ノプスの司祭です。
生まれが旅人であったため、プリースト技能の他にバード技能を持っています。
しかしかなりの貧乏人で、オカリナとハードレザー・アーマー以外の装備を持っていません。そのオカリナも、ガラードから借金して買った物です……。
ダンデ
人間/女/15歳:カルファン王国シュヴァンガウ出身
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【GM】 キミたちは、春の草原を旅しています。道端の草の葉で羽を休めていたてんとう虫が、キミたちの影に驚きサッと飛び去った。
天は青、地は緑、はるか右手に黒い森。森を破って佇む小高い丘の頂きには、遠い昔の砦の跡があります。
緑の大地に垂らした一本の白い糸のような道を進んでゆくと、やがて、柵に囲われた小さな農村が見えてきたよ。
この道は、その村の門に続いております。
【ゼシカ】 あれとかいてる? 「メヘぇ〜」って鳴く奴。
【GM】 羊? 村の中にいてるよ。
【ゼシカ】 じゃあ、門から村に入って、ふらふら〜ってそっちに行く。
【ガラード】 ついて行きます。
【ダンデ】 ついてく。
【ゼシカ】 やった、俺、リーダーや(笑)。
【GM】 門には見張り役の男性がひとりいて、生まれて初めて見るエルフとドワーフに驚きつつも、簡単にキミたちの素性を改め、怪しくないということで門を通してくれる。
「エルフなんて、初めて見たよ」
【ゼシカ】 じゃあ自慢するで、エルフを。
【GM】 「ここは名もない村だよ。でも今はちょっと困ってるんだ」と、自慢し返された。
【ゼシカ】 「それは全然、自慢じゃねえな」って笑う。
【GM】 「見たところ、あんたらが世に言う『冒険者』って奴だな」
【ゼシカ】 「そうみたい。未来の王様だぜ」
【GM】 「……」
【ガラード】 「ま、気にしないでください」
【GM】 「なあ、是非、村長に会ってくれないか」
【ゼシカ】 「いいぜ。まかせな」
【GM】 じゃあ、キミたちは見張りに村長さんの家の場所を教えてもらい、村の中へ入っていった。
その村は、中央に流れる川で東西に分けられてますな。川には橋がひとつ架けられている。
柵で囲われた村の中には畑が広がり、その間に転々と民家が建てられてます。南は高台になっていて、そこに教会がある。
【ゼシカ】 羊を追いかけ回して遊んでる。
【ガラード】 何をしてるんですか、491歳は。
【ゼシカ】 裏山から出てきたら、いっぱいいろんな物があるじゃんよ。王様になる者としてはな、いろんな物を見てとかなアカンねん。だから、羊と遊ぶのも重要。
【GM】 そんなふうにして、キミたちは、畑で農作業する村人たちを横目に見つつ、見張りに教えてもらった村長さんの家にやって来ました。
【ゼシカ】 羊を連れて、家に入りますな。
【GM】 村長は家の前の庭で藁を打ってるねんけどね。
【ゼシカ】 家の前にいたんや(笑)。
『村長』ってエルフみたいなん想像しててん。自分の故郷の村を思い浮かべとったから、爺ぃやとは思わんかってん。
だから、入っていった。
【ダンデ】 村長を確認して、入ってった。
【ガラード】 じゃあ、頑張ってふたりを連れ戻す。
それで、庭で作業してるひとに「村長さんですよね」って、声をかける。
【GM】 庭で藁を打っていた男性は手を止めて、首にかけた手ぬぐいで額の汗を拭きながら、「これはこれは旅のお方。そうです、私が村長ですじゃ」と応えた。
【ゼシカ】 「おまえが村長? 見えねえなぁ」
【GM】 「ええ、村の皆もそう言いますじゃ。『とても80歳には見えない』と」
【ゼシカ】 そういう意味じゃなくって(笑)。
【GM】 「見たところ、冒険者のようですな」
【ゼシカ】 「そのようですな。でも、将来は王様になるから」
【ガラード】 横から「気にしないでください、村長さん」と言っときます。
【GM】 「エルフというのは、話に聞いてた以上に愉快な民族なんですなぁ。まあ、是非、この村に滞在していってください」
【ゼシカ】 「何かいいものがあるの?」って聞く。
【GM】 「じつは今、少し困っとりましてな」って答える。
【ゼシカ】 そういえば、見張りがそんなこと言ってたね。
【GM】 「この村を囲う頑強な柵を見てもらってもわかりますように、外部からの侵入者に脅かされておりましてな」
【ダンデ】 ほう。
【ゼシカ】 「シュヴァンガウの塀のほうがもっとすごかった」って思いながら、「羊泥棒?」って聞く。
【GM】 うん、そんな感じ。羊だけじゃないけどね。畑が荒らされたり、墓が荒らされたりもしてる。
【ゼシカ】 それ、猿の仕業ちゃうん。
【GM】 「やはり、猿ですか」と村長。
【ゼシカ】 「猿でしょうなぁ」
【ガラード】 「たぶん違うだろうな」と思いながら、何も言わない。
【ダンデ】 ゼシカの手を取って、「犯人を捕まえました」って言う。
【ゼシカ】 捕まえられた……ちょうど羊持ってるし!(笑)
【GM】 で、「冒険者でも雇いたいなぁ」とか村で話し合いが持たれてたところへ、折りよく冒険者ふうのキミたちが来たもんやから、門の見張りが「村長さんのところへ行って欲しい」と言うたんやね。
【ゼシカ】 その猿か何かを捕まえたらいいわけ?
【GM】 元凶を断ってくれたら、これから安心して生活が送れる。
【ガラード】 なるほど。
【ゼシカ】 ゼシカは猿退治やと思ってるから、やってもいいで。
【ガラード】 じゃあ、村長さんに「報酬はいくらになりますか?」と聞いてみる。
【GM】 パーティに1000フィス。
【ゼシカ】 安いな、未来の王だぞ。
【ダンデ】 割り切れないね。
【ゼシカ】 割り切れる額にして。
【GM】 じゃあ、999フィス。
【ゼシカ】 いや、1002フィス!
【GM】 「では、1002フィスでお願いします」交渉成立。
【ダンデ】 そこなんや。もうちょっと上げとこうや。1200フィスとか(笑)。
【ガラード】 私は1002フィスでもじゅうぶんだと思うから、何も言いませんが(笑)。
【ゼシカ】 王様は、1000より多くなったから満足。
【GM】 じゃあ、キミたちは仕事を引き受けたということで、これからどうしますか?
【ゼシカ】 とりあえず、どこで寝ればいいのかな?
【GM】 村長の家に泊めてもらえるよ。
【ガラード】 荷物を置かせてもらったら、村人に話を聞きに行きましょう。
【GM】 牛に鋤を引かせて畑を耕すひとや、耕した畑に種をまくひと、あぜ道で遊ぶ子供たちなど、そこかしこに村人がいてるよ。
【ダンデ】 じゃあ、手近な畑で働いてる村人に声をかけよう。何を聞く?
【ゼシカ】 「羊は盗まれたか?」
【GM】 「ああ、ベンのとこの羊が盗まれたことがあったよ。羊が盗まれたのは、その1回だけだけど」
【ゼシカ】 他には何を盗まれるん?
【GM】 軒下に吊るしてた大根が盗まれたり、芋を掘り返されたり、墓をあばかれたり、果樹園の果実が青いうちに毟り取られてたり。
【ゼシカ】 泥棒が来るのって、夜? 昼?
【GM】 夜。いつも寝てるときの被害だったらしい。
【ゼシカ】 夜も見張りをしてるの?
【GM】 してるよ。
【ゼシカ】 見張りするようになってからも、盗まれたことある?
【GM】 うん。
【ゼシカ】 「おまえら、無能じゃん」
【GM】 「でも、今月、柵ができてからの被害は2回だけだよ」
【ゼシカ】 それまでは、けっこう盗まれたりしてたんや。
【GM】 4ヶ月ぐらい前から被害が出るようなって、先月まではけっこう頻繁に盗難に遭ったらしい。
【ゼシカ】 4ヶ月前に何かあった? 村人がひとり失踪したとか、勘当された奴がいるとか。
【GM】 それはない。みんな仲良く暮らしてる。
【ゼシカ】 誰か死んだとかは?
【GM】 3ヶ月前にフリーさん家のお婆ちゃんが亡くなってるけど。
【ゼシカ】 村の周りって、森?
【GM】 周囲は草原。森は、北東へ3時間ほど行ったところに広がってるよ。この村に来る途中に見えた、少し遠くの黒い森。
【ガラード】 村を囲む柵が壊れたことはありますか?
【GM】 それはないらしい。
【ガラード】 柵の高さってどれくらい?
【GM】 2メートルほどかな。一般男性よりちょいと高いぐらいやね。
【ダンデ】 普通なら乗り越えるのに苦労しそうや。
【ガラード】 この村の真中に、川が流れてるんですよね。
【GM】 うん、南から北へ向かって流れてるよ。
【ガラード】 そこの柵はどうなってるんですか?
【GM】 川には柵がない。
【ガラード】 そこに見張りは?
【GM】 当番の若い衆が3人ひと組になって、ときどき夜中に見に行ってるよ。
【ゼシカ】 『ときどき』ね。それはあんまりアテにならへんなぁ。
【ダンデ】 柵ができてからの被害は、そこから犯人が入ってやったもんなんかな。
【ゼシカ】 空を飛べる奴が犯人、ってわけじゃなさそうやな。空を飛べるんなら、柵ができたからって、前より被害が減ったりせえへんもんな。
【ダンデ】 じゃあ、川の辺りを張っておけばいいってことかな。
【ガラード】 川の入口になる南側と出口になる北側、2箇所に柵がない場所がありますよね。
【ダンデ】 そこにひとりずつ張り込む。で、残ったひとりは村長さんの家にいてる、と。
「じゃ、そういうことで」
【ガラード】 いやいや、例え犯人と遭遇したとしても、私ひとりじゃ何もできませんよ。全部の能力値が、ドワーフとしての平均を下回ってるのに!(笑)
【GM】 3人分の能力値を振ってみて、いちばんマシなのを選んでもそんなんやったもんな(笑)。
【ゼシカ】 川沿いのどっか1箇所にさ、大根を山積みにしといたら、そこにやって来るんちゃうん。
【ダンデ】 おお、何か納得してしまった。
【ガラード】 相手によったら、怪しまれるんじゃないかと(笑)。
【ダンデ】 たぶん、上流から来るんちゃうかなぁっていう気がするねんけど。
【ゼシカ】 うん、あんまり流れを遡っては来ないと思う。
【ダンデ】 しんどいもんな。
【ゼシカ】 じゃあさ、下流のほうの川の出口に柵を作ってしまえばいいねん。そしたら、上流からしか入って来れないから、見張るのに分散する必要がなくなる。
【ガラード】 そうしてみましょうか。
【GM】 じゃあ、キミたち村人に手伝ってもらいつつ、簡素な柵を作ったよ。その頃にはもう、日が暮れかけてるね。
【ゼシカ】 どこか見晴らしのいいとこはない?
【GM】 丘の上の教会の屋根の上が、この村の中ではいちばん見晴らしがいいかな。
【ゼシカ】 じゃあ、そこにいる。シャーマン技能があるから、何か生き物が上流から入ってきたらわかる。アンデッドでもわかるけど(笑)。
【ガラード】 私は屋根に登ったら降りられそうにないなぁ。敏捷度7では。
【ダンデ】 教会の中にいるほうがいいかもね。
【ガラード】 じゃあ、そうしておきます。
【ダンデ】 同じく教会の中でくつろいでます。
けっきょくその日は何も起こらず、朝を迎えた。
【GM】 何かすることがあったら言うて。
【ガラード】 もう村人に話を聞かなくてもいいですかね。
【ゼシカ】 どっちゃでもいいで。とりあえず王様は、日の当たる場所に藁を敷き詰めて、ふゎ〜っと昼寝してる。
【ダンデ】 ダンデはちゃんと夜寝たから、散歩しとこう。
【ゼシカ】 寝てたんや!(笑)
【ガラード】 とくにすることはないかな。
【ダンデ】 うん、この策で様子を見てていいと思うで。
そうして何も起こらないまま、4日が過ぎた。
その間、冒険者たちは川の上流へ向かい、怪しいものがないか調べてみたりもした。
【GM】 そこはちょっとした小山だけども、とくに怪しいものは見当たらない。
若葉萌える木々の合間から陽光が細く差し込む山の中、鳥のさえずりが聞こえてきたり、滝の下の岩場で鹿が頭を垂れて水を飲んでたり、穏やかな雰囲気やね。
【ダンデ】 むう。
【ゼシカ】 砦がある森ってのは、ここのこと?
【GM】 いや、それはまったく反対側。村の北東3時間ほどのところに広がってるよ。
【ゼシカ】 今いてる山から行くと、遠い?
【GM】 そうやね、山から村に戻るまでに2時間かかるから、森までは合計で5時間ほどかかるかな。
【ダンデ】 じゃあ、明日にしよう。
【ガラード】 今日はまた村で見張りをして。
【ゼシカ】 そういえば、前に「墓が荒らされた」って言うてたやんな。それって、誰の墓?
【GM】 ズィーさんのお爺ちゃんと、ペールさんのお爺ちゃんと、キュウさんのお婆ちゃん。
【ゼシカ】 なんで羊を盗む回数より、墓のほうが多いの?
【ダンデ】 ほんまやねぇ。
【ガラード】 その3人の墓には、他の墓と違う特徴とかなかったんですか?
【GM】 見てみたらわかるけども、どれも同じような墓標ばかりで、とくに「あの墓がすごい」とかいうようなことはないね。
【ゼシカ】 その3人は、埋められて間もなかった? それとも、完全に白骨化してそうなぐらい経ってた?
【GM】 墓標そのものは、わりと新しめやったらしい。
【ゼシカ】 肉はついてた、ってことやな。犯人は雑食か。
【ダンデ】 そやなぁ、ベジタリアンではないな。
【ガラード】 食べたかどうかわからないですけどね。
その夜もとくに変わったことは起こらず、朝を迎えた。
【ガラード】 じゃあ、北東の森へ行ってみますか。
【ゼシカ】 そうやな。
【ダンデ】 行きましょう。
冒険者たちは、村の北東の森へ旅立った。森は、頂きに砦の跡を持つ小高い丘をぐるりと囲むように、その裾野に広がっている。
森に踏み込んだ冒険者たちは、まず、足跡を調べてみた。
すると、ガラードが何やら不審な足跡を発見した。
【GM】 そのものは、二足歩行をしているようだけども、どうも人間やエルフ、ドワーフなどといった亜人のようではないみたい。
もし、この足跡が何のものかを探ってみたければ、セージ技能でチェックをどうぞ。
【ダンデ】 ガラードがセージ持ってたね。がんば☆
【ガラード】 私、知力弱いんですけど……怖いなぁ(ころっ)12。
【GM】 ほう、そいつはすごいな。一発で見抜いたで。
その足跡の主は、妖魔ゴブリンです。
【ダンデ】 おおー。
【ゼシカ】 ゴブゴブ。その足跡ってさ、村に向かおうとしてる?
【GM】 縦横無尽やね。どこへ向かってるのかまではわからないけども、けっこう森を出入りしてるみたい。
しかも複数。
【ガラード】 村方面から来た足跡がどこへ向かってるか、追跡はできますか?
【GM】 レンジャー技能の[足跡追跡]なら。みんな技能がないようなので、ひら目でチャレンジしてもいいけど。
【ゼシカ】【ガラード】【ダンデ】 (ころっ)無理。
【ダンデ】 しかたがないから、このまま砦へ行ってみようか。
森の真中にある丘をめざし、木々の合間を縫って進む冒険者たち。
と、ダンデの頭上の枝から、蛸のような触手をもつ不気味な生物が、ダンデの頭に取りつかんとばかりに脚をいっぱいに広げて落ちてきた。
【GM】 ひら目で[危険感知]してみて。
【ダンデ】 (ころっ)成功。
【GM】 おっ、じゃあ、ダンデはすんでのところで気づいたので、ペナルティなしで回避できるよ。
【ダンデ】 これもひら目でチャレンジなんやなぁ。無言で避ける。(ころっ)
【ガラード】 何か言ってくれたら、私たちも気づくのに〜(笑)。
【GM】 ダンデはひらりと回避した。気味の悪い触手生物は、ぼとりと腐葉土の上に落っこちた。
【ゼシカ】 おっきな果物が落ちた音かと思って、そっちを見てみる。
【GM】 なら、頭のない蛸のような形の触手生物が、地面でくねってるのが目に入った。
【ゼシカ】 気持ち悪っ!
【ガラード】 セージ技能で[怪物判定]はいけますか?
【GM】 いけますよ。
【ガラード】 (ころっ)ダメだ。
【ゼシカ】 山に棲む蛸やと思っとく。
【GM】 山蛸は、ジャーンプして取りついてこようとしてますな。その目標は……(ころっ)またしてもダンデ。
【ダンデ】 もう、やんなるッスよ。
【GM】 とりあえず、こちらの敏捷度は18ね。
【ダンデ】 早っ! わたしは敏捷度16だ。
【ゼシカ】 敏捷度22〜。
【ガラード】 ……敏捷度7です。最後だ。
【GM】 では、ゼシカ、山蛸、ダンデ、ガラードの順で行動やね。
【ゼシカ】 ウォーハンマーで攻撃〜、(ころっ)当たらへん。
【GM】 では、ダンデは山蛸の攻撃を回避して。
【ダンデ】 (ころっ)今度はダメだー!
【GM】 ならば、ダンデの頭に山蛸がべったりと張りついた。次のラウンドには、触手の先のトゲを頭に刺し込んでくるから。
さて、ガラードはどうする? 目標はダンデの頭にくっついちゃったけど。
【ガラード】 どうしよう……。
【GM】 バトル・アックスで殴る?
【ダンデ】 無言のプレッシャーを与えとこう。
【ガラード】 いやぁ、ちょっとそれは……でも……いちおう、殴ってみます。
【GM】 んじゃ、まず1Dを振って、ちゃんと攻撃できたか判定してみて。1〜3なら敵を殴れた、4と5なら狙いが定まらずにまごまごした、6なら味方を殴ってしまった。
【ダンデ】 これでわたしに当たったら、後が……覚えとけよ?(笑)
【ガラード】 (ころっ)……6。ああーっ!?
【GM】 そうすると、ガラードはダンデを殴ってしまった。
【ゼシカ】 あーあ(笑)。
【ガラード】 ごめんなさ〜い! あの、アックスは片手持ちだったんで、打撃力は23ということで。
【ダンデ】 23!? すごいわぁ。
【GM】 これでクリティカルしたりして。
【ガラード】 (ころっ)いやっ、クリティカルじゃないです、クリティカルじゃないです! アックスだから、1個足りない。
【ダンデ】 「殺されるぅ〜!」(笑)
【ガラード】 ダメージは13点。
【ダンデ】 (ころっ)ハード・レザーで5点防いで、8点受けた。一気に生命力が半分に減った!
【GM】 初ダメージが仲間からとはね(笑)。
では、第2ラウンドいきましょう。
このラウンド、ゼシカが山蛸に〈デストラクション〉をかけるも不発。
山蛸(その正体はハンガー・レッグ)は、ダンデの頭に触手のトゲを打ち込もうとするも、失敗。
そして、ダンデは――
【ゼシカ】 頭から〈フォース〉を出せ!
【ダンデ】 イヤや〜ん。〈ダンス〉の呪歌を歌います。『歌う』というか、オカリナやから『吹く』か。
【ゼシカ】 頭に蛸がついてても吹けるの?
【GM】 まあ、取りつかれてても窒息しないみたいやから、触手の隙間からなんとかいけるんちゃうかな。
【ダンデ】 よっしゃ、いくぜ。皆さん、抵抗してな。(ころっ)はい、6ゾロ(笑)。
【ガラード】 抵抗なんて無理です! (ころっ)やっぱり踊った。
【ゼシカ】 (ころっ)そんなの出ねぇよ。
【GM】 山蛸はタコ踊りを始めて、ダンデの頭から転げ落ちた。
【ゼシカ】 王様はあやしい踊りを踊っている。
【GM】 色っぽいで。
【ゼシカ】 脱ごっか。
【ガラード】 それはちょっと!
【GM】 どうする? 山蛸は丸まったり伸びたりしてるけど。
【ガラード】 こちらも踊ってるので、どうしようもないんですけど(笑)。
【ゼシカ】 早いとこ何とかせんと、王様が全裸になってしまうで。
けっきょくダンデは呪歌を続け、踊ってる者同士で殴り合うことになった。
そしてその直後の第4ラウンド、ゼシカの2回りのクリティカルヒットによって、山蛸ことハンガー・レッグは倒された。
【GM】 必要筋力2のウォーハンマーって、ぴこぴこハンマーみたいなもんやのに。「ぴこっ」言うて死んだ。
【ゼシカ】 ぴこっ♪ エルフ、強い!
【ダンデ】 歌をやめる。
【ゼシカ】 服を着ようっと。
【ガラード】 ……なんか、すごい申し訳ないんですけど、私。
【ダンデ】 うん、もう一生恨み続けるから。無言のプレッシャーを与えつつ、ぴったり背後についてくから。10センチぐらいしか離れてへんで(笑)。
【ゼシカ】 「仲良いな」って思ってよう。
【ダンデ】 とりあえず、出発する前に傷を治しとこう。これ見よがしに、〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)
「あー、あと2点だけ傷が残ってるわ」
【ガラード】 すみません〜。
【ゼシカ】 じゃあ、空気を読まずに「俺の裸、どう?」って聞く(笑)。
【ダンデ】 まだ着てなかったん?
【ガラード】 とりあえず、早く服を着せないと!
【ダンデ】 保護者や、保護者(笑)。
王様が服を着たところで、冒険者たちは再び砦に向かっていった。
【GM】 じゃあ、キミたちは森を抜けて、低木や草が生い茂る丘を登っていく。
【ゼシカ】 砦は見えてる?
【GM】 丘の頂きに、石造りの城壁の跡が見えてるよ。ところどころ崩れてたり、積み上げられた石材の隙間から草が生えてたり、すっかり荒れ果ててしまってるね。
城壁には、かつて門だった跡もある。たぶん昔は頑丈な扉に閉ざされてたんだろうけども、今は門の向こうの青空が覗いて見える。
【ガラード】 じゃあ、門の前ぐらいまで進んでいって、足跡を調べてみます。
【GM】 じゃあ、ひら目でどうぞ。
【ガラード】 (ころっ)うーん、微妙ですね。
【GM】 森の入口で見たのと似たような足跡が、いっぱい残されてますな。
【ダンデ】 いますな、ゴブリンが。
【ゼシカ】 入りますか。
【ガラード】 入ります。
【GM】 門をくぐると、まず瓦礫の山が目に入る。古の時代の建物は、もうその原型を留めておらず、壁の一部や柱を残し、小虫が飛び交う雑草の中に埋もれてしまってる。
ただひとつ、石造りの小さな建物が、脇のほうに今も残ってた。入口の上に、古い時代の戦神オーシュの聖印が刻まれてるのを見ると、もしかすると礼拝堂だったのかも知れない。
【ダンデ】 はいっ!
【GM】 何?
【ダンデ】 今更なんですけど、〈ラック〉をかけといてもいいですか?
【GM】 いいよ。何に対する幸運にするのかな?
【ダンデ】 [生死判定]にしときます。(ころっ)かかった。
ガラードを見ながら、ニコニコ微笑んで「まだ死ねませんからね♪」って言うとく。
【ガラード】 50歳のドワーフ、怯えます。
【ゼシカ】 15歳の小娘に(笑)。
あ、その側で[センス・オーラ]しとく。辺りにゴブリンの精霊は見える?
【GM】 ゴブリンの精霊は見えないけども、あちこちに生命の精霊力をいっぱい感じる。
まあ、ゼシカが周囲を見回したら、瓦礫や崩れた建物の壁の陰から、赤褐色の醜い怪人が5体ほど姿を現してるのを発見するねんけどね。
【ガラード】 5体か、多い。
【GM】 怪人のうちの1体が、ゼシカに石を投げつけてきたよ。
【ゼシカ】 避けずに打ち返す。(ころっ)失敗。
【GM】 そしたら、デッドボール。ゼシカは6点のダメージをくらった。
【ゼシカ】 だいぶ削られたな。
【ダンデ】 ちなみに生命力なんぼなん?
【ゼシカ】 12。エルフをなめるなよ。
【ガラード】 ええっ、今のでめっちゃ飛んでるじゃないですか。打ち返すとかじゃなしに、ちゃんと避けてくださいよ!(笑) 普通にやれば避けれるでしょ。
【ダンデ】 すごく正しいツッコミや(笑)。
【GM】 ガラードには、そいつらの正体がわかる。足跡の主である、ゴブリンやね。
ゴブリンたちは、それぞれ手に石やら木の棒やらを持ち、「とう!」とキミたちに襲いかかってくる。
そちらの隊列は?
【ゼシカ】 前衛にゼシカとガラードが並んでる。
【ダンデ】 ガラードの背後10センチのところにぴったりくっついてる。
【ガラード】 怖いよぅ。
【GM】 では戦闘を始めましょう――ってところで悪いけど、以下次回。