≪REV / EXIT / FWD≫

§遠雷:第2話§

工事現場の一夜

著:林田ジュン
▽ 肉入りシチューとわがままエルフ ▽ ギャル冒険者、現る ▽ 精霊見えますか?

肉入りシチューとわがままエルフ

【セフィーロ】 いちばん最初に発症したのは、1週間前?
【GM】 うん、1週間ぐらい前。
【セフィーロ】 その頃、変わったことは何もないの?
【GM】 とくにないよ。
【セフィーロ】 以前から比べて変わったことも?
【GM】 うん。
【リーディス】 そうか〜。
【ヨッヘン】 その前後に、急に来るようになった人とか、急に来なくなったような人とか。でもその頃は許可証なかったんやんな?
【GM】 そう、なかったけど今許可証持ってる人以外は他の隊員の家族がたま〜に来る程度やったみたい。で、その人らが入ってこなくなったからと言って、発病が止まったわけでもないし。
【リーディス】 継続してるんやんな。
【ヨッヘン】 今も出るんやからな。いちばん最近は?
【GM】 いちばん最近は、昨日の前の日。
【ヨッヘン】 昨日の前……おとといか。
【リーディス】 すごい計算や。
【ヨッヘン】 で、1週間前に1人?
【GM】 1週間前に1人。6日前に1人。5日前に1人。3日前と一昨日に1人の計5人。
【セフィーロ】 いっぺんに2人なったりしたことは?
【GM】 いっぺんに2人はならない。ちなみに5時ごろになったら、隊長の彼女が来るけどね。
【ヨッヘン】 あー、そうなんや。
【GM】 まかないの2人(カリンとカトレア)は、食堂で待ってたら夕方頃来るけど。
【ヨッヘン】 じゃあその前にまかないとちょっと話してよう。「ひとつ聞きたいことがあるんですが」
【GM】 「あなた、誰?」
【ヨッヘン】 「エルフです。ロッコウのエルフです」
【GM】 「許可証を持ってるんですかぁ?」と聞かれる。
【ヨッヘン】 胸に、こう、ぴしっ。名札みたいに。
【GM】 あー、じゃあ、いいや。「あれ? 新しい人ですかー」って言われる。
【ヨッヘン】 「ヨッヘンです。ヨッヘンと覚えといてください」
【GM】 「あー、はあ。あなたの分のご飯も作らなきゃいけないんですか?」て聞かれる。
【ヨッヘン】 「もちろんです」
【リーディス】 あーっ、なにー!?
【GM】 「えー?」
【ヨッヘン】 「オムレツをお願いします」
【GM】 みんな決まった物しか作らない、めんどくさいから。
「今日はシチューなんで」
【ヨッヘン】 「シチューですか」
【リーディス】 やったー。
【ヨッヘン】 じゃあ、シチューで。
「シチューでいいよ」
【GM】 「ダメって言われても、シチューですから」
【ヨッヘン】 「肉は入れないでください」
【GM】 「入れます! 自分で抜いてください」
【ヨッヘン】 「エルフなので、肉は食べられないんです」
【リーディス】 知るか!(笑)
【GM】 「そういう種族でしたっけ?」って言われるわ。
【ヨッヘン】 「肉は分解できないんです」 肉汁はいけるんやけどね(笑)
【GM】 「知りません、もう!」って言われる。
【ヨッヘン】 いや、でも、こっちは聞きたいことが。
【GM】 「なんですか? 肉は入れますよ」
【リーディス】 警戒されてるで。
【ヨッヘン】 肉、抜いてくれたらいいから。
【GM】 「自分でよそってください。みんな、自分でよそってくんですよ」
【ヨッヘン】 「そうなんですか。それはよかった」
【GM】 「でも、入れ過ぎたら怒りますから」
【ヨッヘン】 うん。
【GM】 あと、パンもあるからね。
【ヨッヘン】 おっ、フランスパンやね。
【GM】 ううん、丸いパン。
【ヨッヘン】 丸いパンかいな。
【GM】 フランスパン長いやん!
【ヨッヘン】 フランスパン、切っとくねん。
【GM】 いや、切るのが面倒くさいから丸いパンを持って来る。
【ヨッヘン】 そのパンは、どっかで仕入れてるん?
【GM】 「うちのレストラン特製のパンです」
【ヨッヘン】 ほう。
「おいしいの?」
【GM】 「おいしいですよ」
【ヨッヘン】 ほぉん。
「毒とか入ってない?」
【GM】 「えーっ? そんなの何で入れるんですか!」て言われる。
【リーディス】 食べてみ。
【ヨッヘン】 「じゃ、ちょっと毒見してみますね」
【GM】 「今、食べないでください」て怒られる。
【ヨッヘン】 怒られた。じゃ、あきらめる。
【リーディス】 邪魔しただけやんか。
【ヨッヘン】 ふーん。どやろな、この人ら、関係なさそうな気するけどな。
【セフィーロ】 うん、なさそうな感じや。
【リーディス】 淡白やもん。
【ヨッヘン】 うん。
 ところでこの人らの出身はどこ?
【GM】 カリンとカトレアはこの街アルファンで生まれて、ここで育った。ちなみにスティンクもそう。そして関係ないけどスティンクはそろそろ帰りたがっているけどね。「早く帰らないと、怒られるんですよ」
【セフィーロ】 誰に?
【GM】 「ちょっと今日、妻に『牛肉を買って来い』って言われて――」
【セフィーロ】 奥さんに怒られるんや。
【GM】 「早く行かないと、安売りの時間が終わっちゃうんです」
【リーディス】 使われとんや。
【GM】 「買って帰らないと、お小遣いが減っちゃうんで」
【リーディス】 タイムサービスや。
【セフィーロ】 大変や。
【GM】 「帰ってもいいですかね?」
【セフィーロ】 奥さん、怖い。
【ヨッヘン】 どうする? 帰ってもいい?
【リーディス】 いいよー。
【ヨッヘン】 この人の話し言葉って、ちゃんとアルファン訛りなん?
【GM】 えっ? うん。
【ヨッヘン】 カリンとカトレアも?
【GM】 うん。
【リーディス】 ふーん。
【ヨッヘン】 ノーチラス先生は?
【GM】 ノーチラス先生は南のオストレイク出身やねん。若い頃にこっちに来て、こっちで病院を開いたみたい。
【ヨッヘン】 だいぶ前やな、若い頃ったら。
【GM】 うん。
「もう、50年ぐらい前になるかのぉ」
【ヨッヘン】 おー。
「そうですかのぉ」
【リーディス】 鉱夫の妻と子供は? いつ来る?
【GM】 鉱夫の妻と子供は、午前中とかに来て、お昼の休憩時間とかに隊員としゃべって、で、そのまま帰ったり、夜までいたり。
【ヨッヘン】 今日は?
【GM】 今日は来てない。「あの人たちは毎日来るわけじゃないんですよ」
【ヨッヘン】 彼女は毎日来る?
【GM】 彼女は毎日来る。で、老夫婦は今日の朝、来た。犬の散歩のついでに。
【ヨッヘン】 もう帰ったあとか。
【セフィーロ】 鉱山が散歩コースやねんな。

ギャル冒険者、現る

【ヨッヘン】 で、隊長は?
【GM】 えっ、隊長? いるよ。仕事してる。隊長は昔、冒険者やったらしいねん。
【ヨッヘン】 ほう、元冒険――
【GM】 んで、彼女も冒険者やったらしいねんけど、どっかで腰を落ち着けてお金を貯めて結婚しようという話になって、この街が選ばれてん。
【リーディス】 で、労働してんねんな。
【ヨッヘン】 ここで結婚するつもり?
【GM】 いや、この街でするかは知らんけど。とりあえず金貯めるんやったら、この工事がいいかな、と。隊長、ファイターやったから。
【ヨッヘン】 ファイターか。彼女は?
【GM】 彼女はシーフ。
【ヨッヘン】 シーフか。どこの人なん?
【GM】 んっとね。どこでもいいな、どうしよう、ボア。
【ヨッヘン】 ボアね。
【セフィーロ】 2人とも?
【GM】 彼女のほうは出身知らないって。
【ヨッヘン】 不明か。まぁ、シーフやからな。
【GM】 ま、南のほうのどっかやと思うけど。肌が黒いし。日焼けしてるし。
【ヨッヘン】 ほう。言葉はどうなん?
【GM】 言葉も北のほうの言葉は喋れないらしいよ。
【ヨッヘン】 南っていうのは、サリア地方ということ?
【GM】 うん。
 って、その辺にいた隊員の人が答えてくれた。
【ヨッヘン】 有名やろ、そら。そんな女、毎日出入りしとったらな。
【GM】 「すげーよ、ナイスバディで」
【リーディス】 チェックが入った。
【GM】 「隊長が死んだら、俺が狙うね」
【リーディス】 危険やで。
【ヨッヘン】 「隊長、殺す?」
【GM】 「隊長、怖い。ファイター、怖い」
【ヨッヘン】 何レベルぐらい?
【GM】 んー。「わかんないけど、マッチョだぜ」って言ってる。
【ヨッヘン】 マッチョか〜。隊長はともかく、彼女のほうは要チェックやねー。出身不明やからね。工作員かも知れん。
【GM】 出身不明なんて冒険者にはよくあるよ。
【リーディス】 まあね。
【ヨッヘン】 「私は、はっきりしていますぞ」
【GM】 「いえ、あなたのことは聞いてませんから、もう!」
【ヨッヘン】 「ロッコウ」――
【GM】 「料理の邪魔やから、どっか行ってください」って言われた。
【リーディス】 嫌われた〜。じゃああとは彼女、見てみよう。
【セフィーロ】 後の人は来ないんやんな?
【GM】 今日、来るとわかってるのは彼女。まぁ、フェイントで老夫婦また来たり、奥さんが来るかも知れんけども。じゃ、彼女が来ました。
【リーディス】 おっ。
【GM】 なんか渋谷にいそうな感じの金髪のギャルが来る。かなりナイスバディ。で、隊長のとこに――
【ヨッヘン】 ハデ系か。
「ハデで下品じゃないか」と、彼女の事を教えてくれた隊員に言う。
【GM】 「俺は、好きだけど?」
【ヨッヘン】 「エルフ的には、よくないね」
【GM】 「あんたの好みは聞いてないよ」
【セフィーロ】 うん、聞いてない。聞き込みするの?
【リーディス】 どうする?
【GM】 彼女は、隊長の仕事が5時半に終わるねんけど、それまでは食堂で待ってる。
【セフィーロ】 普段は何してんの、この人?
【GM】 さあ、それはわかんない。
【ヨッヘン】 じゃあ、女同士で聞き込みしてくれい。リーディスを連れて、「この人の話し相手になってくれたまえ」
【GM】 「えっ? ってゆーか、あんたらなに?」って言われる。
【ヨッヘン】 「ヨッヘンです。ロッコウから来ました」
【GM】 それはもういいからさー。
「あんたも誰かの彼女? 会いに来たの?」って聞いてるけど。
【リーディス】 「んーん」
【ヨッヘン】 向こうで「ロッコウです」って声がするよ。誰かに自己紹介してる声が聞こえてる。
【セフィーロ】 まだ挨拶しとんか。
【リーディス】 ヨッヘンはイヤ。
【GM】 「あれはヤだよねー」
【リーディス】 「耳、長いしさー」
【GM】 「なんか、ひょろっとしてるしさー」
【ヨッヘン】 話、合ってるで。
【リーディス】 「やっぱりマッチョよねー」(笑)
【GM】 「そう、筋肉!」
【リーディス】 「筋肉よ、筋肉! 汗、かかなきゃ」とか言うて。
【GM】 「そうそうそう」
【リーディス】 「なに、ラブラブなわけ?」とか聞く。
【GM】 「そう、ラブラブ〜。明日は週末だから、泊まってくわ」って言ってる。
【リーディス】 普通の女の子やな。
【ヨッヘン】 普通のフリしちゃうか、シーフやから。見抜いてよ、シーフでしょ、キミ。
【リーディス】 どんな感じ? ギャルやんな?
【GM】 うん。見た目はギャル。
【リーディス】 見た目にギャル。ふーん。なんか、目つきが怪しい、とか。
【ヨッヘン】 演技っぽいとか。
【GM】 いや、ギャルにしか見えない。
【リーディス】 「昼間は、何してんの?」
【GM】 「昼間? 街、ぶらぶらしてるけどぉ」
【セフィーロ】 働けよ。
【リーディス】 気ままや。
【GM】 「てゆーか、散歩?」
【リーディス】 散歩? フリーターやな。
【GM】 「だって、働くのイヤじゃん?」
【リーディス】 「うん、男が働かなくちゃね」
【GM】 「スーパーのレジでバイトしたけどさぁ、すぐ辞めちゃったよー。ちょっと間違っただけで怒んだもん、あの店長。ウザイっつーの!」(笑)
【リーディス】 それは、怒るわな。って思ってよう。
【GM】 「あ、でもたまに酒場に行ってシーフ1人でできそうな依頼があったらやったりするけどさぁ。偉いっしょ?」
【ヨッヘン】 最近、どんな仕事したん?
【GM】 最近? 盗まれた物を取って来いとか。
【ヨッヘン】 ほう。
【GM】 家の鍵がなくなったから、探して来いとか。
【リーディス】 ふ〜ん。パっと見、彼女に裏はなさそうやけど。あ、彼女の名前、何?
【GM】 ゼノ。
【ヨッヘン】 何歳?
【GM】 21。
【リーディス】 隊長はいくつ?
【GM】 隊長は何歳にしよう。25にしよう。
【ヨッヘン】 25歳。名前は?
【GM】 名前はエリック。
【ヨッヘン】 エリック。
【リーディス】 んー。他に怪しそうなん、いてないな。
【ヨッヘン】 意外と、爺ぃと婆ぁやったりして。「息子にこんなきつい仕事させやがって〜」
【リーディス】 露骨に怪しいのは、ゼノやけど。
【ヨッヘン】 犬もなぁ、怪しいねん。たぶんヘルハウンドとかがな、マルチーズのふりして――
【GM】 夜になったら、ゴバ〜。
【セフィーロ】 化けもんや。
【リーディス】 ん〜。人為的にずっと熱が出る、ってどんなんや?
【ヨッヘン】 毒かな。毒性くさいねんな。呪いじゃなさそうやねんな。
【リーディス】 ん〜。
【ヨッヘン】 でも毒やったらノーチラス先生が見抜きそうな気がせんでもない。
【セフィーロ】 そのレベル4セージが、さっぱりわからへんのやろ。
【リーディス】 お爺ちゃんやろ、だって。どれくらいペナルティがあるか、わからへん。
【ヨッヘン】 とりあえず、発症した人に〈センス・マジック〉してみたらいいやん。呪いやったら発動するでしょ。光って見えるでしょうが。
【リーディス】 ああ、そうか。ほい。(ころっ) 成功。
【GM】 光らないよ。
【ヨッヘン】 光らない。じゃ、呪いじゃなさそう。やはり毒か?
【リーディス】 何やろ?
【ヨッヘン】 レベル4の、『元名医』いうんが引っかかるねんな。
【GM】 『元名医』な。
【ヨッヘン】 『元』。今はじつは何レベルなん?
【GM】 それは誰も知らない。街でバリバリやった頃は、4レベルやった。
【リーディス】 下がってる可能性があるよ。
【ヨッヘン】 マイナス5とか。見た感じボケてる?
【GM】 ボケては、いなさそう。
【ヨッヘン】 ふーん。
【リーディス】 『ボケてはない』ってことは、何かやっぱりペナルティありそうやで。
【ヨッヘン】 技能は4やねんけど、知力はもうマイナス10――
【リーディス】 あかんやん。

精霊見えますか?

【GM】 それはあるかも知れんけど――本人はバリバリ現役のつもりでいるから、そんなの言われたらショックやで(笑)
【ヨッヘン】 そら言わへんで。ショック死されたら困るからな。その代わりちょっと息子さんを呼んで来て欲しい。
【GM】 「息子は忙しいんじゃ」
【セフィーロ】 「いやいや〜、そんなこと言うてる場合じゃないで」
【GM】 「ワシがなんとかできるわい」
【リーディス】 お爺ちゃん、プライド高いなあ。
【GM】 「どれかの薬が必ず効くんじゃい」
【ヨッヘン】 その薬、まともな薬なん? ちょっとセージ、見てみて。こっそりとね。バレへんようにね。プライド傷つけたら、アカンから。
【GM】 薬は棚にいっぱい入ってるよ。
【リーディス】 じゃ、わたしがやる。(ころっ) 13。
【GM】 普通に薬局とかで売ってそうな薬とかが並んでる。
【リーディス】 正露丸みたいな?
【GM】 そうそう、正露丸とか、たまにテレビで聞くような薬品名とか。
【リーディス】 普通の部類やね。
【ヨッヘン】 無難な薬ということやね。
【セフィーロ】 「混ぜるな、危険」とかいうのは、ない? 調合とかしてるんやろ? どうせ。
【GM】 「一度にたくさん飲まないでください」とか、「1日2錠」とか書いてあるけど。
【ヨッヘン】 それは守ってるのかね?
【GM】 さあ?(笑)
【ヨッヘン】 『さあ』かいな。
【リーディス】 ガブ飲みかも。昏睡してるんちゃう、もしかしたら。
【ヨッヘン】 治らへんって、そのせいか! どんなシナリオや。
【リーディス】 薬の乱用や。ん〜、でも、薬は大丈夫。というかお爺ちゃんは大丈夫そう。
【ヨッヘン】 この人が原因ではなさそうや、どうやら。
【セフィーロ】 この爺さんが怪しいかも知れへんけどな。違う意味で怪しいねん。手元が怪しいとか、そういう怪しい(笑)
【ヨッヘン】 どんなシナリオなん、それ(笑) どうやって解決すんの、俺ら。この人のプライドを傷つけんように交代させんのがシナリオなん?(笑)
【セフィーロ】 ごっつい複雑やな(笑) あとは、穴掘ってる現場を見てみたい。 
【ヨッヘン】 そうやね、見てみるかね、いちおう。
【GM】 普通に穴掘ってるよ。まだ5時やから。
【ヨッヘン】 精霊力を感じてみる。
【GM】 土の精霊力を感じる。
【ヨッヘン】 「キミ、掘られてますなぁ」
【GM】 「掘られてるんですよ」
【ヨッヘン】 「嫌かい?」って聞く
【GM】 「ちょっと嫌」
【ヨッヘン】 ちょっと嫌。
「呪いたい?」
【GM】 「あんまり。めんどくさい」
【ヨッヘン】 めんどくさい。ん。掘られたら掘られたで、べつに構わんって?
【GM】 うん。
【ヨッヘン】 「まー、元気出しなよ」って言う。
【GM】 「うん、出すよ」
【リーディス】 疲れたサラリーマンの会話になった。
【ヨッヘン】 やっぱ怪しいのは隊長の彼女やな。ゼノのこと見張っといてな。
【リーディス】 うん。今日は彼女帰るんやんな? ついて行って尾行していったらええねん。
【セフィーロ】 なあ。その彼女に、こっそり〈センス・イービル〉かけていいか?
【GM】 いいよ。
【セフィーロ】 いいの? じゃあ、かけよ。
【リーディス】 めちゃ疑われてる。
【GM】 〈センス・イービル〉って、何があったら発動すんの? 邪念があったら?
【セフィーロ】 とりあえず、なんか邪(よこし)まなことを考えとったら、発動する。
【GM】 あ、いいよ、いいよ。
【ヨッヘン】 今、彼氏のことしか考えてなかった。
【GM】 うん、そうやで。「早く終わんねーかなぁ」って。ポワ〜ンて。
〈センス・ラブ〉ならかかるけど。
【セフィーロ】 そんなのない。
【リーディス】 ピンク色に光るで。
【ヨッヘン】 「ごっついピンクですな〜」ショッキングピンクや。
【セフィーロ】 (ころっ)
【GM】 はい、ショッキングピンクに光りました。
【リーディス】 〈センス・ラブ〉してるー。
【セフィーロ】 どんなんや。別に、邪まなことは考えてないのね。
【GM】 うん。今はピンク一色(笑)

【GM】 じゃ、5時半になりました。隊員たちがドヤドヤと帰ってきて、シチューの前に群がってる。
【ヨッヘン】 じゃあ、あたりまえの顔をして、俺も一緒に混じっとくで。
【GM】 べつにいいけどね。
【ヨッヘン】 ちょっと肉抜いちゃって、ニンジンと、ブロッコリー――
【GM】 後ろにいた隊員が、「肉いらんの!? やったー!」みたいな感じで。
【ヨッヘン】 ブロッコリーはたっぷり入れるけど。ニンジンと、タマネギも。
【GM】 うん、みんな気にせえへんよ。肉メインやから。で、カリンとカトレアはみんなが食べ始めたら、「明日の朝ご飯は、パンと、ジャガイモとベーコンと――」……ジャガイモは蒸かしたやつな。
「あと、タマネギのスープを置いとくんで、勝手に食べてくださいね」って言って、帰ってく。
【ヨッヘン】 帰っちゃった。
 その食べもん、見張っとかなアカンな。
【リーディス】 ああ。
【ヨッヘン】 ねえ、アクアマリン君。
【セフィーロ】 うん。交代で、やろ?
【ヨッヘン】 ムリだね、ヨッヘンはムリだね。サンドマンと、すっかり仲良くなっちゃったからね、僕は。
【GM】 早っ!
【セフィーロ】 まだ寝たらあかんよ。今のうちに俺が寝るから、自分がもう寝たくなったら起こして。速攻はあかんで。せめて12時以降とか。
【ヨッヘン】 じゃあ、今のうち寝て。早く寝て。
【セフィーロ】 じゃあ、寝てきます。「おやすみ〜」
【リーディス】 バイバーイ。
【セフィーロ】 寝る場所あんの?
【GM】 ん、あるよ。
【ヨッヘン】 3段ベッドとか。
【GM】 うん、そんなん。隊員のベッドが。
【セフィーロ】 「誰や、こいつ!」とか言われるんちゃうの。
【GM】 うん、「どけよー! 俺の場所がない」……あ、でも、今、5人欠員出てるから、そこ寝ていい。
【セフィーロ】 そうや、大丈夫や。「知らん!」とか言うて。いちばん上で寝てるねん。高いとこが好きやねん。3段のいちばん上。
【ヨッヘン】 セフィーロが寝に行った。ゼノはどうしてる?
【GM】 彼女は隊長にべったり。
【リーディス】 見たくない!(笑)
【ヨッヘン】 俺は朝ご飯を見張ってる。
【セフィーロ】 よだれ垂らして。
【ヨッヘン】 「タマネギか」「味見してもいいかい?」
【GM】 まだ食うなよ。
【ヨッヘン】 「それはムリな相談だなぁ。ベーコン、キミは食わないよ?」
【リーディス】 話しかけてるで。
【GM】 誰としゃべってんの?
【ヨッヘン】 ベーコンの精霊としゃべってんねんけど。
【GM】 そんなんいません。嫌なキャラ来た〜(笑)
【ヨッヘン】 なんかおかしいよな。渋いエルフやのに。
【リーディス】 嘘やーん。
【GM】 渋くないよなー。
【ヨッヘン】 いや、目指してたんはね。
【セフィーロ】 変わってるで。
【ヨッヘン】 どこで間違ったんやろなぁ。
【リーディス】 なんか、かなりイロモノ入ってきて。
【ヨッヘン】 おかしいなぁ。
【GM】 名前から間違えたんちゃう。
【リーディス】 ヨッヘン。出身地も。
【ヨッヘン】 ロッコウやからな。
 で、俺は見張ってるから。ゼノが帰りそうになったら、リーディスがついて行ってな。

÷÷ つづく ÷÷
©2006 Jun Hayashida
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