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§銀月の歌:第10話§

ギルド燃ゆ

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン
▽ 助手の研究発表の事 ▽ ふたりが目にしたものの事 ▽ 月夜の人影の事

助手の研究発表の事

【GM】 ティガーは、ピーター博士の助手とともに、魔術師ギルドの博士の研究室にやって来ました。
【ティガー】 ジーネはいる?
【GM】 いや、もういないよ。小柄でおでこの広い博士が出迎えて、「やあ、どうも。どうぞ、おかけください」と、椅子をすすめてくる。
【ティガー】 じゃあ、座る。何の話?
【GM】 もちろん、グラランボンバーのお話。
【ティガー】 う〜ん、相手は俺じゃないほうがよかったんじゃないのかな、と思いながら、「なに?」って聞く。
【GM】 「伝承知識を漁っていた博士の助手が、ある発見をしたんです。
 じつは、レムリアの満月には2種類あるらしいのです。月が表側を見せてるときの満月、そして、裏側を見せてるときの満月、と」
【ティガー】 ジーネが暴走するのは、そのどっちかの満月ってこと?
【GM】 「おそらく、裏側のときです」と、ピーター博士。暴走が起きた1月の満月は、裏側の満月で、暴走が起きなかった2月の満月は、表側の満月だったらしいから。
【メイユール】 明日の満月は?
【GM】 表側。裏側の満月は、10ヶ月にいちどなので、次回は11月15日ということになる。
【ティガー】 じゃあ、明日暴走が起きなくて、11月に暴走が起こったら、その説は正しいってことになるんや! ──そんなに待ってられへんよ?(笑)
【シルヴィア】 表の満月と、裏の満月には、どういう違いがあるの?
【GM】 「月の裏側には、魔法帝国時代に建設された、塔があるんです」と、博士の助手。
【ティガー】 月に塔?!
【GM】 「そうです。そして、そこに残された銀の竪琴がかなでる歌が、月が裏側を見せて満ちるとき、地上にまで届くらしいのです」と、助手はなんだか得意そうに解説する。
「もっとも、竪琴の歌は、普通の人間には感知できませんけどね。しかし、犬や狼など、鋭敏な知覚を持つものには聞こえてるそうです。グラランボンバーが人間の知覚を倍増してるとしたら、人間にも聞こえるでしょうけど」
【ティガー】 つまり、その歌のせいで、ジーネは暴走したん?
【GM】 「それが、私の導き出した結論です」と、助手は胸を張った。
【ティガー】 「わ〜」ぱちぱち。
【メイユール】 偉そうやな、助手のくせに。
【GM】 「まあ、それがわかったところで、けっきょくのところ、私が抗グラランボンバー剤を完成させねば、問題の解決にはならないんですけどね」と、ピーター博士。
【シルヴィア】 対抗意識を燃やしてるなぁ(笑)。
【ティガー】 「じゃあ、早く特効薬を完成させてよ」
【GM】 「もちろんです」と、博士は広いおでこに汗を浮かべながら笑う。
「じつは私、ミフォア大神殿にだけ、グラランボンバーの影響を受けてるものがいないことに、気がついたんですよ!」
【ティガー】 ミフォア神殿だけ? 他の神殿にはいるの?
【GM】 「そう。シルファス、ノプス、リンツ、オーシュ神殿には、最低ひとりはグラランボンバーの影響者がいます。しかし、ミフォア大神殿だけ、あの規模にも関わらず、ひとりもいないんですよ。
 ちなみに、魔術師ギルドには3人います。いずれも、肉体にコンプレックスを抱いてた、元ひ弱な男性でした」
【ティガー】 ミフォアに祈ってたら、グラランボンバーに冒されないとか。
【メイユール】 地理的にいいとか。風水で。
【シルヴィア】 テリーってひとは、ミフォア信者やったっけ?
【GM】 いや、単にケガをして担ぎ込まれて、厄介になってただけやね。
【メイユール】 やっぱり、風水やって。
【ティガー】 ジーネをミフォア大神殿に引っ越しさせよう!
【メイユール】 きっと、嫌がると思うで。「なんで、私がミフォア神殿に行かんとアカンのよー!」って(笑)。
【GM】 「ええ、提案して、殺されかけました」(笑)
【メイユール】 危うく密室殺人になるとこやったんや。
【ティガー】 「で、なんでミフォア大神殿にだけ、マッチョがいないの?」
【GM】 「そ、それはまだ──」
【シルヴィア】 研究中なわけね。
【GM】 そう(笑)。博士のお話は、以上です。
【ティガー】 この情報を、ティガーしか聞いてないのがヤバいねんな。
「さっきの話さ、紙に書いてくれへん? シルヴィアが信用しぃへんねん」
【GM】 じゃあ、ピーター博士は紙に書いてくれた。さすがにちょっと時間がかかるから、この作業が終わるのは、14時30分ね。
【ティガー】 OK〜。
【メイユール】 めっちゃ、お世話になりっぱなしやな(笑)。

【GM】 さて、時間を少し巻き戻そう。ティガー以外のひとたちは、昼食を終えた後、どうするのかな?
【メイユール】 処刑広場を見物して、そのままコロシアムに行ってみる。
【GM】 メイユールがコロシアムに着いた時間なら、ドッグ・レースをやってます(笑)。
【メイユール】 犬か〜。あんまりおもしろくなさそうやな。すぐ、出て行く。
【サテラ】 わたしは、図書館で調べ物をした後、14時ぐらいにコロシアムに行こうかな。
【GM】 なら、サテラとメイユールは、コロシアムの前で出会うよ。メイユールは出てきたところ、サテラは入ろうとしてるところです。
【サテラ】 「何かやってた?」
【メイユール】 「んー、犬が走ってたよ」
【サテラ】 じゃあ、犬を見たいので、コロシアムに入ります。
【メイユール】 わたしは、買い物したいな。宮廷広場に行って、何かおもしろいものがないか探してみよう。
【GM】 サテラとメイユールは、そこで14時30分を迎えるね。

 サテラはコロシアムで犬たちの力走を堪能した。優勝したのは、シェパードを鼻の差でかわした柴犬だった。
 メイユールは、宮廷広場で144分の1スケールHGLC(ハイグレード・レムリアセンチュリー)量産型ニョムヒダ(定価700フィス)を購入した。
 そしてサテラは16時、メイユールは16時30分に『青い波の美し亭』に帰った。

【GM】 メイユールが部屋に戻ると、ベッドの上に変わり果てた姿の──。
【ティガー】 ──ヒデヨシがおるんや。
【GM】 そう。毛がすっかりなくなってる、目つきの悪いピンク色のニワトリがいる。その気の毒なさまは、永遠のライバルの霊食(たまぐ)いネズミが慰めてしまうほど。
【ティガー】 なんか、目が合った瞬間がイヤやな。
【メイユール】 どう反応していいか(笑)。じゃあ、そっとしとこう。たまを残して、酒場に下りる。
【GM】 酒場に下りると、ひと足先に帰ってたサテラがいるよ。
【メイユール】 「ヒデヨシ、見たぁ?」とか言いながら、夕飯まで酒でも飲んどこう。

【GM】 一方、その頃のシルヴィアは、どうしてたんかな?
【シルヴィア】 僕は、食事が終わって、さらに他の魔術師たちと歓談した後、『青い波の美し亭』に帰るよ。魔術師ギルドを出るのは、14時ぐらい。
【GM】 ちょうど、ピーター博士の研究室で、ティガーが話を聞いてる最中やね。
 シルヴィアがギルドを出て、『青い波の美し亭』をめざして通りを北へ歩いてると、向こうから、両手で顔を覆ったジーネが、「がしゅいん、がしゅいん!」と走ってくるよ。
【ティガー】 顔を??
【メイユール】 筋肉の塊がダッシュしてくるんや。シルヴィア、逃げて〜!(笑)
【シルヴィア】 ジーネはこっちに気づいてるの?
【GM】 いや、そんなそぶりはないね。わき目もふらず、南に向かって全力疾走してる。往来をゆく人々が、「うわー!」と悲鳴をあげて、命からがら道端に避難してるよ。あ、ひとりはね飛ばされた。
【シルヴィア】 様子が普通じゃないから、さすがにそれは追って行こう。追いつける?
【GM】 シルヴィアの敏捷度は13? ジーネはグラランボンバーの影響で22になってるから、まったく追いつけないね。あっという間に、ジーネはキミが来たほうへ消えていったよ。
【シルヴィア】 僕が来たほうというと、魔術師ギルドか。さらに南の貧民街をめざしてるのかも知れへんけど。
 魔術師ギルドへ戻ってみよう。あのジーネなら目立つから、目撃情報ぐらい、すぐに得られるやろ。
【メイユール】 クールやな。
【GM】 シルヴィアは『青い波の美し亭』に帰りかけて、再び魔術師ギルドへ戻るんやね。そこで、14時30分を迎えます。

【GM】 14時30分。ピーター博士の研究室では、ティガーの注文どおり、博士が先ほどの情報を手紙にまとめてくれたところ。ティガーは、「なくなさいようにね」と、その紙を渡してもらったよ。
【シルヴィア】 自筆のサインつきやで。「相違ありません」ゆうて。
【ティガー】 じゃあ、研究室を出て帰る。今からミフォア神殿に歩いて行けば、17時ぐらいに着くやんな。ファンリーを拉致しに行こーっと。
【GM】 ティガーがピーターの研究室を出て、薬学部の建物を廊下をスキップしてると、向こうから、ジーネが「かしゅん、かしゅん」と──。
【ティガー】 ──シャッと隠れるっ。シーフ技能の[潜伏]! 鎧は着てないから、使えるぞ〜。(ころっ)
【GM】 ジーネは、キミに気づいた様子はなく、そのまま通り過ぎてゆく。
【ティガー】 あー、よかったぁ。シーフ技能って、取るもんや。ジーネの後ろ姿を、そぉっと見てる。何しに来たんやろ?
【GM】 どうやら、ピーター博士の研究室を訪ねてきたみたいやね。
【ティガー】 「検査かな?」と思って、ギルドを出て行く。

ふたりが目にしたものの事

【GM】 なら、ギルドの受付のところで、ティガーはシルヴィアとばったり出会うよ。
【ティガー】 「さっきさ〜、めっちゃ怖かってん。ジーネがさぁ」って言う。
【シルヴィア】 「あー、ジーネ、こっちに来たんや、やっぱり。ジーネの様子、おかしくなかった? いつも以上に」
【ティガー】 「いや、突進してきたから、とっさに隠れたよー。シーフ技能って、便利やなぁ」(笑)
【GM】 自慢の方向がおかしいやろ(笑)。
【ティガー】 「そうそう。この書状、あげる」って、博士が書いてくれた手紙を渡す。
「俺が書いたんとちがうから、信じていいよ」
【シルヴィア】 「ここまでせんでも、よかったのに」
【GM】 ──やって。気を利かせたら利かせたで、文句言われるねんな(笑)。
【ティガー】 あれぇ〜??
【GM】 ともかく、これでシルヴィアにも、ピーター博士の情報が伝わったね。ふたりが受付でそういうやりとりをしてるうちに、時間は流れて15時になります。
 そのとき、受付の外──魔術師ギルドの敷地内のほうね──が、少し騒がしくなった。
「大変だーッ!」
【ティガー】 ん?? どした? 外に出てみる。
【GM】 受付の外では、魔術師見習いや、学生などが騒いでる。
「火事だー!」
【シルヴィア】 火事!?
【ティガー】 ジーネが行ったほうを見てみるっ。
【GM】 薬学部の建物のほうを見るわけね? その辺りから、煙が上がってるよ。
【サテラ】 薬学部のどこ?
【GM】 「ピーター博士の研究室らしい!」
「水を運べーっ!」
【ティガー】 見に行く! 敏捷度23!
【シルヴィア】 僕もそれなりにダッシュで駆けつける。
【GM】 キミたちがピーター博士の研究室の前に来ると、扉の前に、人だかりができていた。
 部屋の扉は閉ざされていて、隙間から煙が漏れ出ている。
【ティガー】 扉は開かへんの?
【GM】 内側から、鍵がかかっているらしい。
【ティガー】 よっしゃー、俺に任せろ。[鍵開け]、(ころっ)成功! 「ほら」って思いながら、扉を開ける。
【GM】 部屋の中は火の海やね。いろんな物が燃えてる。机とか、本棚とか、書類とか。
 向こう側の壁には、開け放たれた小さな窓がある。窓のカーテンは、すでに燃えてなくなってる。
 木板の床には、ふたりの人物が血まみれで倒れているよ。
【ティガー】 引っ張り出す。そいつらって、ピーター博士と助手?
【GM】 そう。
【シルヴィア】 ふたりに「何があってん?」と聞いてみる。
【GM】 すでにふたりは死んでる。首と胸と腹から、血が流れた跡がある。
【メイユール】 あら〜。
【ティガー】 さっき、ジーネが研究室に入るのを見たやんな。部屋の中に、ジーネはいなかった?
【GM】 ジーネの姿は見当たらなかった。キミが目にした人物は、死体になったピーター博士と助手だけ。部屋はまだ燃えてる。
【ティガー】 誰か、火を消せ。
【GM】 扉が開いたので、バケツリレーで水が運ばれて、消火活動が開始されたよ。
【シルヴィア】 バケツリレーを手伝うわ。
【GM】 では、シルヴィアの尽力もあって、やがて、火は完全に消し止められた。
 消し炭になった机や本棚、すべて灰になった書類などが、ずぶ濡れになった部屋で湯気をあげてます。
【ティガー】 ジーネの焼死体はない、と。
【GM】 ないよ。
【ティガー】 誰か、ジーネがこの部屋から出てきたのを、見たひとはいない?
【GM】 (ころっ)いないみたい。この建物にやって来たのは、何人かが見てるけど。
【ティガー】 ジーネ以外の人物が、出入りしてたのを見たひとは?
【GM】 (ころっ)「見ました!」と、若い男子学生が手を挙げる。
「あなたが、その部屋から出てきてました」
【ティガー】 出てきたねぇ(笑)。「出てきて、シーフ技能で鍵をかけて、そのとき博士がすでに死んでたら、俺が犯人やん」って言う。「あー」
【メイユール】 何を捜査を攪乱してるんよ。
【ティガー】 ジーネが犯人かなぁ。
【GM】 「ジーネって、あの筋肉の奴?」「やっぱり?」とか、周囲でひそひそ声がする。
【メイユール】 もう、そういう空気になってるんや(笑)。
【シルヴィア】 撲殺なら、その可能性もあるやろけどね。
【ティガー】 博士たちの死因はナイフ?
【GM】 調べるなら、セージ技能でどうぞ。──なら、ティガーは見抜けた。頸動脈、心臓、肝臓などを、鋭い刃物で刺されたのが致命傷になったようです。ほぼ即死、と断定できた。
【ティガー】 鋭い刃物か。廊下で見たジーネは、ナイフとか持ってたかな。
【GM】 シーフ技能の[記憶術]で判定してみよう。──その出目では、ティガーは覚えてない。持ってたかも知れないし、持ってなかったかも知れない。
【メイユール】 それだけ刺されてたら、部屋の中は血の海やな。
【GM】 血のオーシャンやね。天井まで血痕が飛んでる。
【ティガー】 シーフ技能で部屋の中を[捜索]。(ころっ)何か見つかる? 足跡とか。
【GM】 床の半分ほどが焼けてて、足跡などは見つけ出せなかった。柄の部分が焼失したダガーが1本、石ころがひとつ見つかった程度かな。
【ティガー】 石ころ??
【GM】 後は、かろうじて机や本棚の形を留める炭だとか、たぶん、書類や本だったであろう灰とか。
【メイユール】 普通や(笑)。
【GM】 どうやら博士たちが倒れた後、油をまいて火を放ったみたいやね。机と本棚の間が、とくに激しく焼けている。博士たちの死体そのものは、ほとんど焼けてない。
【ティガー】 とりあえず、「ジーネが犯人かな〜」って思ってよう。
【GM】 周りの学生も、「筋肉の奴だよなぁ」ってボソボソ言ってる。「とにかく、衛兵に知らせよう」
【シルヴィア】 ギルド長にも知らせたほうがいいと思うけど、会えるかな?
【GM】 う〜ん……今は不在らしいけど。宮廷魔術師も兼任してるので、王城に出向してるようです。
【シルヴィア】 じゃあ、城のほうへ行ってみるよ。後はティガーに任せた。使い魔のフクロウは、現場に残しとく。
【メイユール】 また、監視されてるで、ティガー。
【ティガー】 「また、おる〜」って思うとこ。で、今、何時?
【GM】 なんだかんだで、16時30分を過ぎた。
【ティガー】 ティガーは、「そろそろ、ミフォア大神殿に行きたいな」って思ってる。行っちゃおうかな……キラリン。
【メイユール】 フクロウの目に、そわそわしてるティガーが映ってるんやな。
【ティガー】 部屋でダガーを拾って、「証拠の品です。たぶん、これが凶器」って近くのひとに渡しとく。
「何かがあったら、あのフクロウに言って。俺は予定があるので、さらば!」(笑)
【GM】 ギルドを出るのが、17時頃。今からダッシュでミフォア大神殿に行っても、19時を過ぎてしまうよ。19時になったら、街の門は閉まる。
【ティガー】 間に合わねーじゃん。
【GM】 ギルド前を17時15分に発車する、マック交通の乗合馬車を利用すれば、18時45分にミフォア大神殿のそばの日の出門に着くけど。
【ティガー】 じゃあ、それに乗る。
【GM】 それでも、閉門まで15分しかないぞ?
【ティガー】 頑張る。
【GM】 それでは、ティガーはマック交通の乗合馬車に揺られて、18時45分に日の出門に降り立った。
【ティガー】 ダッシュでミフォア大神殿に行く。
【GM】 神殿では、夕食の準備が進められてます。大きな厨房で、かっぽう着を着たファンリーが、友人たちとともに働いてるよ。左手に包丁を持って、大根なんかを切ってたりしてる。
【ティガー】 じゃあ、そこに行って、引っ張ってくる。「メシ食いに行こうぜ」
【GM】 いや、だから仕事中なんやけど。
【ティガー】 えー? じゃあ、明日の18時にさかな広場で待ち合わせな。じゃあ、今日はひとりで高級レストランに──あ、門が閉まった!?
【GM】 15分しかない、って言うたやろ(笑)。今夜は街に入れないよ。
【ティガー】 じゃあ、近くの漁村で寝る。
【GM】 漁村っていうても、民家しかないぞ。神殿なら、ひと晩泊めてくれるけど。
【ティガー】 まあ、いいやん。ミフォア神殿は、ちょっと苦手やねん。漁村に行って、なんか、おいしそうな匂いがしてる家に入る(笑)。
【GM】 漁師のじいさんの家から、カニグラタンの匂いがする。
【ティガー】 じゃあ、そこに行く──あ、カニグラタンはいいわ。なんか、イヤな思い出があるし。行ってみたけど、カニグラタンやったからやめてん。
 適当に他の家に行って、メシもらおうっと。
【GM】 厚かましいな(笑)。
【ティガー】 お金払うって。100フィス。
【GM】 というわけで、今夜ティガーは街の外で過ごすわけやね。
【ティガー】 あー、ヒデヨシに毛が生えたところが見られへん。明日の朝になったら、おもろいことになってるはずやのに。

 一方、その頃シルヴィアは、城に詰めている魔術師ギルド長プリンに会おうと、王宮の門前にやって来た。
 中に入ろうとしたところ、シルヴィアは衛兵に止められてしまった。

【GM】 「なんだね、キミは?」
【シルヴィア】 魔術師ギルドで起こったことを、かいつまんで話す。で、「込み入った話もあるんで、ギルド長に取り次いで欲しいんやけど」と言う。
【GM】 「プリン様は、大変ご多忙な身だ。我々が用向きを伝えておこう」と、衛兵は言う。「キミの名前は?」

月夜の人影の事

【シルヴィア】 じゃあ、名乗る。ついでに、ティガーの名前も出しとくけど、取り次いでもらえない?
【GM】 ティガーの名前を出しても、「最近、そういう奴多いんだよなぁ」と笑われる。「あの前髪の奴とか」
【メイユール】 あいつかー!
【シルヴィア】 あいつはまた、何しにここへ来てるんやろ(笑)。
【GM】 「必ず伝えてくれるよう、上の者に言っておくよ」と、衛兵は約束してくれた。
【シルヴィア】 う〜ん、直接、プリン様と話がしたいんやけどなぁ……。
【GM】 偶然でもない限り、じかに会うのはちょっと難しいと思う。ここだけの話、ギルド長はギルド長で、処理すべき問題を山ほど抱えてるらしいからね。
【シルヴィア】 どういう問題?
【GM】 そこまではわからない。最近、国王や国の上層部の者たちと、頻繁に集まって何事か話し合っているらしい、という程度の噂。
【シルヴィア】 じゃあ、あきらめて魔術師ギルドに帰ろう。ギルドで待ってたら、プリン様に会えるかな。どこで待ってれば、いちばん会いやすい?
【GM】 ギルド長の部屋やろね。〈テレポート〉で帰ってくるから、外で待っててもムダ。
【シルヴィア】 ギルド長の部屋で待つのはムリやな(笑)。プリン様の側近とか、直接会えるぐらい偉いひとに、僕が会うことはできる?
【GM】 それなら可能かな。前のキャンペーンで、ティガーやメイユールが助けた7人の魔術師のほとんどが、そういう高位の導師だから。
【シルヴィア】 じゃあ、その導師に会いたいんやけど。
【GM】 (ころっ)では、ひとりやって来た。アズナードという三十路寸前の男性で、召喚系の研究をしている魔術師だそうです。
 ピーター博士と違って、身なりがピシっとしてるところが、高位のひとっぽいね。「何の用かね?」と、尋ねてくる。
【シルヴィア】 ピーター博士の研究室の事件は知ってる?
【GM】 知ってるよ。「今、衛兵が捜査中だな」と、アズナード導師。
【シルヴィア】 ピーター博士が何を研究していたかは?
【GM】 「薬学を専攻していたそうだな」
【シルヴィア】 「じつは、かくかくしかじかで」と、事情を話す。
「ピーター博士の研究が、殺害された理由じゃないかと、自分は睨んでます。あの火事は、明らかに研究レポートを消そうとしたものっぽいし」
【GM】 「そうか。では、衛兵に知らせてやるといい」
【メイユール】 冷たいな。
【GM】 そうやね。鋭い眼差しで、顔つきはかなり冷淡。
【シルヴィア】 現場に使い魔のフクロウを残してるはずやけど、衛兵の姿は見える?
【GM】 見える。例の衛兵長と、衛兵A、Bの姿が。
【シルヴィア】 また、頼りない奴らが来てしまったな(笑)。
 隊長のところに行く前に、その導師に「グラランボンバーは国家の一大事だし、博士の遺志を継いで研究を続行してくれませんか?」と、言ってみる。
【GM】 アズナードは「善処しよう。他の街のギルドから、薬学の権威を招かねばならんだろうがね」と答える。
【シルヴィア】 それじゃ、隊長のところに行って、知ってる情報を話してあげるよ。
【GM】 衛兵A、Bが、「ふむふむであります」と聞いた。
【メイユール】 隊長は?
【GM】 後ろでボケっとしてる。「ひとが殺されたん〜? かわいそう〜」やって。衛兵Bの話によると、最近、彼女にふられたらしい。
【シルヴィア】 またか!(笑)
【GM】 しかも、去年よりひどいやられ方で、心の傷はさらに倍。まったく仕事が手につかない状況なんやね。
【シルヴィア】 「大丈夫かなぁ」と思いながら、『青い波の美し亭』に帰る。

 シルヴィアが『青い波の美し亭』に戻ったのは、21時30分。酒場では、メイユールとサテラのふたりが、飲みつづけていた。

【GM】 ティガー以外の3人が、合流したわけやね。
【メイユール】 「遅いやんかー。もっと早く帰ってきぃよ」
【シルヴィア】 「おかんか!」と思いながら、ふたりに、今日、魔術師ギルドであったことを話すよ。
「すごい大変やってん。キミらは飲んでただけかも知らんけど」
【GM】 イヤミやな(笑)。
【シルヴィア】 そういうわけで、ジーネが犯人にされてしまいそうな雰囲気なんや。
【メイユール】 まあ、わからんこともないけど。
【シルヴィア】 ただ、あの手口の鮮やかさからして、ジーネのしわざではないやろな、と僕は思うんでありますが。
【メイユール】 部屋にあった窓って、ジーネが出入りできそうな大きさやった?
【GM】 あの図体では、無理やね。メイユールやサテラでも、ちょっと難しいぐらい。けっこう高い位置にあったし。

 やがて、酒場が閉まる22時になり、3人は2階の部屋に戻った。

【GM】 今日はベッドがひとつ空いてるね。
【ティガー】 剣以外の荷物は置いて出てるから、鎧がベッドに寝てるねん。
【GM】 その鎧の中に、ヒデヨシが入って丸くなってるんやな。
【メイユール】 ヒデヨシ、今、寒いもんな。
【シルヴィア】 僕はヒデヨシの惨状を初めて見たから、「何があってん」と思ってる。そうしながら、寝る前に床でストレッチ運動してるよ。
【メイユール】 外でやってよ〜。
【サテラ】 あ、極彩色の服のひとのことを、みんなに話しておく。
【シルヴィア】 「僕のローブと、どっちがハデやった?」って聞く。「これ、負けてる?」
【メイユール】 ハデさを競ってるんか(笑)。
【GM】 背中に『かぶき者』とでも書いとき。

 そして3人は就寝し、夜は更けていった……。

【GM】 さて、『青い波の美し亭』で寝ている3人は、冒険者レベルと知力ボーナスで、ちょっとチェックしてみ──メイユールとサテラは目を覚ました。
【メイユール】 朝?
【GM】 いや、まだ真夜中の2時頃。開け放たれた窓から、月の光が差し込んできてるんで、けっこう明るい。薄いカーテンが、風に揺れている。
 ティガーのベッド付近で、ゴソゴソ動いてる人影がある。ティガーの荷物を漁ってるみたい。サテラとメイユールはそれに気づいたけど、シルヴィアは眠ってます。
【ティガー】 高級レストランのゴールドカードは、持って出てるよ。ファンリーとデートするつもりやったから。シーフ・ツールも、さっき使ったから持ってる。発毛剤は置いてある。
【メイユール】 サテラが起きてることは、わたしにはわかってるの?
【GM】 気配でわかっててもいい。……ということは、怪しい人物が、メイユールたちが起きたことに、気づく可能性もあるねんな。
 (ころっ)どうやらその人物は、メイユールとサテラが目を覚ました気配を察した。何かを懐にしまって、窓から出ていこうとする。
【サテラ】 何か投げるものがないか、探してみる。
【GM】 枕ならあるよ(笑)。
【サテラ】 じゃあ、枕を投げる。(ころっ)はずれ。
【メイユール】 〈ウィル・オー・ウィスプ〉。(ころっ)効いた。んー、13点。
【GM】 そんなぐらいじゃ、死なへんな。「ぎゃっ」とは言うたけど。隣の家の屋根へ、身軽に飛び移る。(ころっ)成功。
 シルヴィアは、この騒ぎで目を覚ましたかどうかの判定をして。
【シルヴィア】 (ころっ)起きた。かなりやばめやったけど。「何事か!?」
【メイユール】 「たぶん、泥棒。ティガーの荷物を漁ってんねん」
【ティガー】 何にもないのにな。
【メイユール】 発毛剤を狙ってたんとちゃう?(笑)
【GM】 では、次のラウンド。人影は逃走を続けるので、行動はこのラウンドの最後。
【サテラ】 メイジ・スタッフを装備する。
【メイユール】 屋根に行ってしまってるんか。これはわたしには追いかけられんな。
【GM】 追いかけられるひとがなぁ──。
【ティガー】 ──漁村で野宿してるから(笑)。
【メイユール】 人影に〈デストラクション〉。(ころっ)成功。
【GM】 相手は雑念に捕らわれてる。攻撃と回避にペナルティを受けるんか。……あんまり意味ないな。
【メイユール】 えーっ、ウソやん。雑念やで。なんか、いかがわしいことがよぎって、立ち止まってるって。絶対、そうや。
【GM】 じゃあ、乳を思い描きながら、怪しい人影は逃げて行く。なんで、〈フィア〉とかにせんかったん?
【メイユール】 消費が少ないから(笑)。
【シルヴィア】 使い魔のフクロウを飛ばして、追跡させるよ。夜目が利くから、大丈夫。そうしながら、メイジ・スタッフを持つことはできる?
【GM】 まあ、それぐらいならOKかな。
 人影は、さらに屋根を走って14メートル離れた。次のラウンドには、キミたちの視界から姿を消すよ。それじゃあ、第3ラウンド。
【サテラ】 〈スリープ・クラウド〉をかけたいけど、寝たら落ちるかな?
【シルヴィア】 雨樋のとこに引っかかるかも。かけてみたら? 落ちたら落ちたときや。
【サテラ】 じゃあ、かけます。〈スリープ・クラウド〉、(ころっ)あっ、失敗!
【メイユール】 〈フィア〉を唱える。(ころっ)成功。効果は……『逃げ去る』?!
【GM】 ありがとう(笑)。
【シルヴィア】 僕も〈スリープ・クラウド〉をかける。
【GM】 これが成功しなかったら、人影はとりあえず逃げきるからね。
【メイユール】 シルヴィア、成功させてよ〜。
【シルヴィア】 プレッシャーがかかるなぁ。そりゃっ、(ころっ)

÷÷ つづく ÷÷
©2005 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2005 Jun Hayashida
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