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§狂信者たちの宴:第2話§

日の暮れた村で

著:林田ジュン イラスト:りょこ
▽ 村の酒場 ▽ 農家の娘 ▽ 入信しますか?

村の酒場

【GM】 「酒場なら宿の1階ね。人は3人いる」
【ウル】 「リナのこと話してる?」
【GM】 「全然。今年は大根が不作だな、とかそんな感じの話してる」
【ネイビー】 「ねぇ、私暇だから、変装して一度村に入ってみるね」
【トウキ】 「村人って一般人だから変装すれば大丈夫だろ」
【GM】 「出目によるけどな(笑)。じゃあ、一回ダイス振って大丈夫だったら、村人は全員見破れないことにしよう。会うたびにやるの面倒やから。(コロコロ)あ、大丈夫みたい」
【ネイビー】 「よかった。堂々と村に入ろう」
【ウル】 「やっと来たな」
【ネイビー】 「つーか、呼びに来いよ(笑)。で、どうだった?」
【ウル】 「駄目だった」
【ネイビー】 「鼻で笑ってやろう」
【ウル】 「ヤな奴やなぁ」

【ウル】 「ところで、リナが狙われているって言うのは村人は知ってるのか?」
【キロロ】 「大根の話してる人たちに聞いてみよう」
【GM】 「何て話しかけるの?」
【ウル】 「うーん。『リナかぁ……』とか」

 一同爆笑。

【ネイビー】 「あやし―――ッ!」
【トウキ】 「僕たち冒険者なんだから、リナという人が狙われてるって聞いたから用心棒かなんかの仕事がないかと思って来てみた、とか言えばいいんじゃないか?」
【ネイビー】 「それいい! 頭いいな、トウキ。じゃあ、そういうこと言う」
【GM】 「了解。『リナさんですか? 確かにそうですけど……でもどこでそんな話を聞いたんですか?』」
【トウキ】 「『だって僕たち冒険者だよ? そんな情報はいくらでも入ってくるんだ』」
【ウル】 「『それに俺、リナのファンだし(笑)』」
【ネイビー】 「何よ、私のほうが美人よ」
【ウル】 「知るかよ、おっさん」
【GM】 「『でももう神殿が他の冒険者雇ったみたいですよ?』」
【トウキ】 「『話くらいなら聞いてもらえないかな?』」
【GM】 「『さぁねぇ……、俺らには何とも言えないっすけど……。でも、見た感じ、あんたらより強そうだったからもういいんじゃないかなぁ』」
【トウキ】 「うわ」
【ネイビー】 「『その冒険者ってどういう人たち? 何人くらいいたか覚えてる?』」
【GM】 「『剣持ってる人もいたし、杖持ってる人もいたよ。6人くらいだったかな』」
【ウル】 「『リナは強いの?』」
【トウキ】 「自分で身を守れないから6人も雇ったんじゃないかな」
【GM】 「『強いかどうかは知らないなぁ。でも、いい子でね。前はよく買い物にも出てきてたのにな』」
【キロロ】 「今は出てこないんだ」
【GM】 「狙われてるからね」
【ネイビー】 「そうか。『ねぇ、リナさんって何買うの? まさか司祭の娘が大根ってわけもないでしょう?』」
【GM】 「『いや、そんなもんだけど(笑)』」
【ネイビー】 「『じゃああんた、リナさんに会ったことあるの?』」
【GM】 「『もちろんさ。ここの村人ならみんな知ってるよ』」
【ネイビー】 「『私とどっちが美人?(笑) って言うか、どんな外見?』」
【GM】 「『あんたと? 系統が違うからなぁ。普通の女の子だよ』」
【ネイビー】 「馬鹿野郎! もっと特徴とか教えんかい!(笑)」
【ウル】 「GM、考えてないだろ(笑)」
【GM】 「『じゃあ、金髪だよ』」
【トウキ】 「その『じゃあ』って何だよ(笑)」
【ウル】 「他に何か聞くことないかな。『リナって友達とかいるの?』」
【GM】 「『ああ、それならうちの隣のサーラがよく一緒に遊んでたな』」
【ネイビー】 「ほう、サーラ。使えますな。と、心の中で呟く(笑)」
【トウキ】 「口には出すなよ」
【GM】 「『でも、あんたらにリナさんの護衛は無理だよ。その辺の暴れ牛でも相手にしてなよ』」
【キロロ】 「ムカつく、このオヤジ! もう帰ろうよ〜」
【ネイビー】 「『それで、サーラはどんな子?』」
【ウル】 「『家業は?』」
【GM】 「『サーラは15歳くらいで、黒いロングヘア。家業は農家だよ』」
【ネイビー】 「『作ってる作物は?』」
【トウキ】 「『大根?』」
【GM】 「『そうだよ。でも何でサーラのことなんか聞くんだ?』」
【ネイビー】 「何でだろ(笑)。ま、その人にはありがとうって言っておいて、隅のテーブルで食事でもしながら作戦会議しよう」
【キロロ】 「わーい、何食べよう」
【GM】 「小さな村やし、たいしたメニューはないけどね。野菜カレーとか、シチューとか」
【ネイビー】 「じゃあ、カレー。……でさ、ここはやっぱサーラを人質に取るしかないっしょ」
【ウル】 「だけどそうしたら強い冒険者が出てきそう」
【ネイビー】 「だから、返してほしかったらリナ一人で来いって言うの」
【ウル】 「他の人つれて来たらサーラを殺すって言うんだろ? 悪いな、俺たち」
【ネイビー】 「当たり前やん(爆笑)」
【トウキ】 「クートラだもん」
【ネイビー】 「でも安易過ぎるかな、それじゃ。向こうの方が上手だったら逆に罠仕掛けられるからな」
【ウル】 「けど、俺たち弱いから他にやり方ないぞ」
【キロロ】 「ねぇ、向こうの冒険者って、この辺にうろついてたりはしないの?」
【ウル】 「しないやろ」
【GM】 「護衛なんやし、普通は神殿の中にいるやろね」」
【ウル】 「でも飯くらいは食いに出てこないかな」
【トウキ】 「それくらい神殿で出してもらってるんじゃないか?」
【ウル】 「でも神殿の中じゃ、あんまり楽しくなさそう」
【トウキ】 「騒げなさそう。きっと宴会とか禁止だよ」
【キロロ】 「食べ物、質素っぽいよね」
【ウル】 「だから酒場に来るかもしれない。夜までここで張ってみる」
【GM】 「夜まで? でも村人しか来ないよ」
【ネイビー】 「もうサーラしかないって。じゃあ最初に、誘拐したって言う手紙だけ神殿に送りつけて、向こうが罠張ってるのが分かったら、次はサーラの髪の毛を切って送って、その次は指を(笑)」
【キロロ】 「え――――ッ!」
【ウル】 「クートラや! 悪!」
【トウキ】 「(冷静に)でもそれだと時間がかかり過ぎないか?」
【ネイビー】 「確かにかかりすぎるな。すごく冷静な判断されたな(笑)」
【ウル】 「とりあえず普通に誘拐しよう。あとはそれから考えよう」
【ネイビー】 「じゃあサーラの家に行く」
【GM】 「どこでしょうな」
【トウキ】 「聞くの忘れたな」
【ネイビー】 「さっきの人、俺の家の隣って言ってなかった?」
【GM】 「その『俺の家』ってのはどこだろうな」
【ネイビー】 「ぐはぁ(笑)」
【ウル】 「じゃあ手がかりないやん。あ、誰かウインドボイスで聞けないの?」
【ネイビー】 「サーラの家を?」
【トウキ】 「怪しい(笑)」
【ネイビー】 「いきなり何もない所から『サーラの家はどこだ』って声がするんだよ(笑)」
【GM】 「おもろいな(笑)。シュバルツが、『俺がやってやるぜー!』って言おうか?」
【ウル】 「やめて(笑)。違う、間違えた。精霊に聞けないかって言いたかったんだよ。でも精霊だとイエス・ノーでしか答えられないんやっけ」
【キロロ】 「だったら、サーラの家はこの近く? って聞けば」
【GM】 「精霊は誰がサーラか知らんと思うけどな」
【ウル】 「さっきの人に聞いてみよう。その人まだ酒場にいる?」
【GM】 「もう帰ったよ。君ら、夜まで待ってたんだろ?」
【ウル】 「いたらその人尾行すれば分かったのに。あ、その人の足跡とかない?」
【GM】 「足跡はいっぱいあるよ。酒場やし。でも、どれがそいつのかは分からないぞ」
【ネイビー】 「じゃあ酒場の親父でいいか。もう率直に聞いてみよう」
【トウキ】 「『夕方ここにいたおじさんの家、知らないですか?』」
【GM】 「『夕方? 3人ほどいたけど、どの人だい?』」
【トウキ】 「おじさんの顔を話す」
【GM】 「『ああ、その人なら知ってるよ。でも何でそんなこと知りたいんだ?』」
【トウキ】 「その人の隣がサーラの家だから、サーラを通じてリナの護衛にしてもらえないかと思った、って言う?」
【ウル】 「そこまで言うとかえって怪しい。『(キロロを指して)こいつがあのおっちゃんに惚れたんだ』」

 一同爆笑。

【キロロ】 「言ってない――――!!!」
【ネイビー】 「もう、若いっていいわね(爆笑)」

農家の娘

【GM】 「『駄目だよ、あの人には奥さんも子供もいる(爆笑)』」
【ウル】 「『こいつ怖いんだよ。一度惚れ込むと(笑)』」
【GM】 「『いや、そんなこと俺に言われてもな(笑)。無理だから、諦めな』」
【ネイビー】 「素直にサーラの家聞いちゃおうよ」
【ウル】 「でも俺たち、今はおっさんの家探してることになってるんだよ」
【ネイビー】 「いいよ、もう。サーラの家聞いちゃう」
【GM】 「『サーラにも用事があるのかい?』」
【ネイビー】 「『サーラじゃなくて、サーラの親父に用があるの。私、あの人の子供なの』」
【ウル】 「ぶッ!(←吹き出した)」
【GM】 「『……いや、違うだろう(笑)』」
【ネイビー】 「『本当に(笑)』」
【トウキ】 「金を貸してるんだ、とか言えばよかったのに」
【ネイビー】 「『って言うか教えてよ。私、ただ、そこの親父に話しがあるだけなの。隠し子は嘘よ』」
【GM】 「ま、いっか。じゃあ教えてくれた」
【トウキ】 「何か俺たちがうるさいからここから早く追い出すために教えたって感じやな」
【ウル】 「じゃあもっと暴れよう。うわーい」
【ネイビー】 「やめろ、バカ!(笑) じゃあサーラの家に行ってみよう」
【キロロ】 「いるかな」
【トウキ】 「サーラは出かけてていません、とか言われたりして」
【キロロ】 「もう結婚してていないとか(笑)」
【トウキ】 「窓から覗いてみよう」
【GM】 「だったら、両親と二人の女の子が晩御飯食べてるね。そのうち一人はさっき聞いたサーラの特徴と同じだから本人だろう。もう一人は妹っぽいね」
【キロロ】 「妹いるのか。かわいそうだな、なんか」
【ウル】 「よし、乱入するぞ」
【キロロ】 「早すぎるよ」
【ネイビー】 「そうだぞ、ちょっと待てって。まずは晩御飯の内容を見てみよう」
【トウキ】 「何でやねん」
【ネイビー】 「腹減ったし(笑)」
【キロロ】 「じゃああたしが見たげる〜。セージで〜、(コロコロ)1と2が出た。ねぇ、1と2〜(笑)」
【GM】 「3?(笑) じゃあスープとか大根とかパンなんだろうけど君にはさっぱり分からなかった(笑)。『あれはネズミのフライだ〜』」
【キロロ】 「そんなこと言わないもん(笑)」
【ウル】 「ドアをノックしてみよう」
【GM】 「じゃあ親父が出てくるよ。『どなたですか?』」
【ウル】 「サーラって15歳くらいだったな。じゃあキロロが友達だって言えよ」
【ネイビー】 「とりあえず私は隠れてるよ」
【キロロ】 「『(だるそうな声で)サーラちゃん、いますかぁ〜?』」

 一同爆笑。

【ウル】 「なんか呼び出してリンチにかけそう(笑)」
【ネイビー】 「めっちゃ渋谷の女子高生や。金髪で顔黒いねん(笑)」
【ウル】 「それで親父の反応は?」
【GM】 「反応も何も、知らん子やし。キロロ」
【ウル】 「学校の隣のクラスの子だって言っとけ」
【キロロ】 「『それで、サーラちゃん休んでたから連絡帳持ってきてあげたの〜(笑)』」
【ネイビー】 「給食のパンと一緒に。パン、踏んじゃったけどね〜、とか言って。いじめや(笑)」
【GM】 「つーか、学校ねぇよ、ここ(笑)。サーラも顔を出して、『誰?』って言ってるよ」
【キロロ】 「しまった。知らないってさ。どうしよう?」
【ウル】 「ひどいわ、忘れちゃったの? って言うんだ(笑)」
【キロロ】 「じゃあ言った」
【GM】 「でも知らないってさ」
【ウル】 「どうしよう。強行突破する? その親父、強そう?」
【ネイビー】 「でもこいつ殺しちゃったらすぐばれるよ」
【GM】 「一瞬でばれると思いますな」
【ネイビー】 「だから自然に誘わなきゃ。もっとフレンドリーに。頑張れ」
【ウル】 「頑張れ、女子高生」
【キロロ】 「女子高生わかんな〜い。どうしよ、もうめんどくさ〜い。あんた考えてよ〜」
【ウル】 「っていうか、お前さっきから何も考えてないじゃん」
【キロロ】 「む。何であたしがそんなこと考えなきゃならないのよ〜」
【ウル】 「何でもいいよ、もう。無理にでも連れ出せ」
【キロロ】 「連れ出すの? でも知らないって言われちゃったよ」
【ウル】 「いいから来てって言えばいいじゃん」
【ネイビー】 「それはヤバイって」
【ウル】 「無害そうな顔して近付いて行けよ」
【キロロ】 「それ、もう無理っぽい気がする」
【ウル】 「無理? GM」
【GM】 「だってサーラ本人が知らないって言ってるんだぜ? 親父も胡散臭そうに見てるよ」
【ネイビー】 「シルファス神殿の者だって言えば」
【ウル】 「今さら?」
【ネイビー】 「だから、新しくシルファス神殿に配属された者ですが、外にでられなくなったリナ様がサーラさんに会いたいとおっしゃっております、とか言うの」
【ウル】 「嘘くさいって」
【ネイビー】 「だって女子高生が給食のパン持ってきたって言うよりマシやろ」
【トウキ】 「でもリナの頼まれごとっていうのは使えるかもな」
【ネイビー】 「うん。だからもう、リナが大変なんだって言おうよ」
【トウキ】 「でもここで言ったら親まで一緒に騒ぎ出すかもよ」
【ネイビー】 「なら、サーラにちょっと来てくださいって言って玄関の外まで呼び出して、大きな声では言えないんですけどリナ様が大変なんです。親友のあなたに助けてもらうしかないんです、って言おうよ」
【トウキ】 「だけどその、ちょっと呼び出す、ってのが難しいと思うんだけどね」
【キロロ】 「ねぇ。知らない人が来て呼び出すんだよ? 村人でもない人だよ? 普通来るかな」
【GM】 「まず親が行かせないと思うな、サーラを」
【ネイビー】 「だから、訪問した時点で間違ってたんだ(笑)」
【ウル】 「親父殺しちゃえば?」
【ネイビー】 「だからそれは(笑)」
【ウル】 「だって俺、破壊新のプリーストやもん」
【トウキ】 「殺すのには反対しないけど、それで悲鳴でも上げられて周りの家の人が出てきたらおしまいだよ」
【ウル】 「けど、どっちにしろサーラが誘拐されたら騒ぎになるじゃないか」
【ネイビー】 「それはリナに呼ばれて行ったってことにすれば大丈夫なんだって」
【ウル】 「でももう俺たち怪しまれてるんだよ?」
【GM】 「うん。親父も不審そうな顔だね」
【ウル】 「だからもう親父殺す」
【ネイビー】 「殺したがってるなぁ」
【GM】 「別にいいけど、この現場に目撃者が3人いることを忘れんなよ」
【キロロ】 「妹とサーラとお母さんだよね」
【ウル】 「もちろん全員片付ける」
【GM】 「なら1ラウンドで殺ってみろ。そしたら、叫び声を上げる間もなく死んだってことにしてあげよう」
【ウル】 「どうしよう」
【ネイビー】 「やめておこう、無理だって。ここは一旦引き返そう。これ以上は無理だよ」
【キロロ】 「そだね。『隣村のサーラちゃんと間違えたみたい』とか適当に取り繕って戻ろう」

 適当すぎるわ。

【ネイビー】 「さぁ、もう一度作戦会議をしよう。明日にでもサーラが一人になったところを狙ってさっきみたいに話しかける。リナが大変だって」
【ウル】 「信じるかな」
【ネイビー】 「とりあえず何でもいいからそんな感じででっち上げよう」
【ウル】 「それだったらサーラが一人のときに無理やり誘拐すればいいじゃん」
【ネイビー】 「でもそっちの方向で行くと後がヤバイって」
【ウル】 「だけど絶対そんな話信じないよ」
【ネイビー】 「そうかな?」
【キロロ】 「ところで誘拐って、生け捕り?」
【ウル】 「うん。別に死んでたっていいけど(笑)」
【キロロ】 「基本的に殺すのはやめようよ〜(笑)」
【トウキ】 「生きたまま、って条件がついてたのはサーラじゃないし」
【GM】 「リナだけね」
【キロロ】 「でもやっぱりなぁ」
【ウル】 「サーラを捕まえたら、それでリナを脅迫しよう。一人で来ないとサーラを殺すって」
【ネイビー】 「その文面はサーラに無理矢理書かせよう。きっと脅したら書くよ」
【ウル】 「あ、それいいな。でもリナには絶対護衛がついてくるよな」
【ネイビー】 「そうなんだよなー」
【ウル】 「その前に、向こうに冒険者が6人もいるって言うのが問題。戦闘になったら勝ち目ないもん。だからまずあいつらの頭数を減らすのがいいんじゃないか?」
【ネイビー】 「それなら毒を使おう」

入信しますか?

【ウル】 「きっと6人全員毒殺されるとGMがヤバイから4人分しかくれなかったんだ(笑)」
【GM】 「そうだよ(笑)」
【ネイビー】 「まぁ、殺すって言ってもそう簡単に行くかやねんけど」
【キロロ】 「神殿の中にいるんだもんね」
【ウル】 「全然出てこないって言うのも不自然だから、いつかは出てくるはず」
【ネイビー】 「そうだ。サーラにリナ宛で場所指定させて、会いたいって内容の手紙を書かせる。そうしたらリナには当然何人か護衛がついてくると思う。でも、その場所には私らもサーラも行かないねん。それで、隠れて見てて冒険者が何の技能持ってるか観察しよう」
【ウル】 「でもそれはサーラを誘拐することが前提なわけで、サーラがいなくなったら家族が騒ぐと思う」
【ネイビー】 「なら、家族のほうは君が言うとおり全員殺そう。で、扉に『ハワイ旅行が当たりましたのでしばらく留守にします』って張り紙しておけば村人は不自然に思わないって(爆笑)」
【トウキ】 「何も殺さなくても親父を納得させたらいいんじゃないの? リナが精神的に参ってるからサーラも神殿で過ごす、とか言えば」
【ウル】 「信じないと思うんだ。そういう、あまり内部に入り込みすぎた話題って。大体、そんな話を村人でもない俺たちが知っているはずがない」
【トウキ】 「新しく雇われたって言っても?」
【キロロ】 「それがまず信用ないと思う」
【ウル】 「うん。それ言った時点で疑わしいんだよ」
【トウキ】 「雇われて最初の仕事がこれなんです。失敗したら解雇されるんです。しくしく。……ってやっても駄目かな」
【ウル】 「この世界の人間、そんなに甘くないと思うぞ」
【ネイビー】 「それによく考えると、家族殺した時点でシルファス神殿側は全員動くって。だから、私らはまず相手の戦力を調べよう」
【ネイビー】 「さっきの酒場の人の話では、相手が6人組でファイターとソーサラーがいることしか分からなかった」
【トウキ】 「実際に見てみないと」
【ウル】 「そいつら外で食事しないのかな」
【トウキ】 「中だと思うな。一応護衛だし」
【キロロ】 「でもちょっとは出てくると思うんだよな。二人ずつ、とかでも」
【ウル】 「さっきの酒場のおっさんに詳しく聞いてみようか。サーラの隣の家やろ?」
【GM】 「うん。行くの? じゃあおっさんが顔を出して、『あんたら、昼間の冒険者じゃないか。どうしたんだ?』」
【ウル】 「『ちょっと聞きたいんだけど、シルファス神殿の冒険者って本当に6人だった?』」
【GM】 「『そうだよ』」
【トウキ】 「『会ってみたいんだけど、外には出てこないのかな』」
【GM】 「『さぁ……。あんまり出歩いてるところは見ないなぁ』」
【ウル】 「そうなのか。『どんな人だったかは覚えてない?』」
【GM】 「『俺も見たのは彼らが初めてこの村に来た時だけだからあんまり覚えてないなぁ。そういえば女が一人いたかな?』」
【ネイビー】 「『その人、何持ってたか分かる?』」
【GM】 「『何だったかなぁ? 杖……かもなぁ』」
【ネイビー】 「女がソーサラーか。『ちっこいのとかいなかった? ちっこくてちょろちょろした奴』」
【GM】 「グラスランナーのことか? 『いたかも』」
【ネイビー】 「いたんだ(笑)。グラスランナー一匹、と」
【ウル】 「ねぇGM、神殿って忍び込むの難しい?」
【GM】 「やってみたら?」
【ウル】 「常識で考えて、どう?」
【GM】 「そりゃ、簡単じゃないっしょ」
【ネイビー】 「特に今は警備がきつくなってるからな」
【トウキ】 「とりあえず外から見てみよう。リナとか冒険者の部屋が特定できるかもしれない」
【キロロ】 「うん、神殿に行ってみよう。おじさんにはお礼言っておくね」
【GM】 「はいよ。神殿は、外から見たら一階建てに見えるね。それと、広い庭がある。あ、ちゃんと窓もあるよ。それと、昼間受付まで行った感じでは、受付の向こうは大聖堂っぽかった」
【トウキ】 「窓から覗いたらリナの部屋とか分かるかな」
【GM】 「ってことは庭に入るんだね?」
【トウキ】 「庭くらい誰でも入れるでしょ」
【GM】 「うん」
【キロロ】 「窓覗くのが怖いなぁ」
【ネイビー】 「それに、このGMのことだから絶対地下があると思うんだわ」
【ウル】 「それは絶対あるやろ。ねぇ、信者のフリして中に入ってみる?」
【ネイビー】 「夜だけど、いいの?」
【GM】 「やってるんじゃないの?」
【トウキ】 「昼間忙しい人用に夜も開いてそう」
【ネイビー】 「夜間部?(笑)」
【ウル】 「とりあえず入ってみる」
【GM】 「どうぞ。また受付に人がいるよ。……っていうか、君ら昼間も来たんやんな。また来た、って感じで見てるけど」
【ウル】 「いいじゃん、気にせず入ろう。あ、受付って、昼間と同じ人?」
【GM】 「うん」
【ネイビー】 「『ここの人は冷たいわ。誰も雇ってくれないから、おなかが減って減って』ってわけ分からんこと口走りながらひもじそうに見つめてみよう(笑)」
【GM】 「何やそれ。じゃあ、『しょうがないな』ってパンを1個くれた」
【キロロ】 「パンくれても(笑)」
【ネイビー】 「とりあえず食べとこ(笑)」
【ウル】 「さすが至高神だな(笑)」
【キロロ】 「何か偽善者って感じがして嫌だね(笑)」
【ウル】 「俺は中に入ってみたい。大聖堂は入れるよね?」
【GM】 「入れるよ。さすがに今は夜だから、他に人はいないね」
【ネイビー】 「早速シーフで探索しまーす。あ、みんなちゃんと受付の注意そらしておいてよ。見に来るかも」
【ウル】 「じゃあ逆立ちでもしていよう(笑)」
【ネイビー】 「よし、それや(笑)。他のみんなももっと何か……パンもう一個ねだるとか何かやっといて(笑)」
【キロロ】 「え?」
【ネイビー】 「じゃあ探索するよ。(コロコロ)10。これは駄目っぽいな」
【GM】 「特に変わったところはないよ」
【ウル】 「大聖堂以外に行ける所はないの?」
【GM】 「受付の後ろに扉があるけど……」
【キロロ】 「じゃなくて、普通の人でも行けそうな所」
【GM】 「それなら大聖堂だけだね」
【トウキ】 「信者用のトイレとかは?」
【GM】 「外でございます」
【ネイビー】 「ところで、その辺にシルファスの聖印とか落ちてない?」
【GM】 「そんなもん落とすかよ(笑)」
【ネイビー】 「ないのかー。何かそういうの使えそうやねんけどな」
【ウル】 「そんなのお金出したら買えるんじゃないの?」
【GM】 「出さなくても入信すればもらえるんちゃう?」
【ウル】 「……すれば?」
【ネイビー】 「……するか?(笑) じゃあ受付に、『私、さっきのパンで目が覚めたわ。シルファス信者になりたいの』って言う」
【GM】 「エルフ(ネイビーはおしろいを塗ってエルフに変装している)って神は信じないんじゃないのか?」
【ネイビー】 「あ(笑)。お前ら誰かやれよ」
【ウル】 「じゃあ俺やるか? 『なりたーい』」

 一同沈黙。その後、爆笑。

【ウル】 「何だよー! 何がおかしいのさ?」
【ネイビー】 「い、いや、何がって……ねぇ(笑)」
【GM】 「ま、いいけどね。『わかりました。今までに他の神を信仰していたことはありますか?』」
【ウル】 「え……え、え……? 『ザ……ザのつく神を……』」

 一同爆笑。

【ネイビー】 「それ、言ってるのと同じや――――!!! 信仰したことがないって言っとけよ!!」
【ウル】 「ザのつく神って他にいなかったっけ?」
【GM】 「いないよ(笑)」
【ネイビー】 「さっさと『信仰したことがないです』って言え」
【ウル】 「『ないです』」
【GM】 「『そうですか。では、今日はもう遅いので、明日、手続きのためにもう一度来てください』」
【ウル】 「あ、それいいかも。その時に中に入れるかな」
【ネイビー】 「入れるやろ。好都合ですな」
【ウル】 「これからどうしよっか? 今は大聖堂以外入れないから、大人しく朝を待つ?」
【キロロ】 「うん。今日は寝よう」
【ウル】 「そうだね。じゃあ朝になったら信者になりに行こう」

÷÷ つづく ÷÷
©2005 Jun Hayashida
Illustration ©2005 Ryoko
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ひと言ありましたら
 
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