≪REV / EXIT / FWD≫

§輪廻の聖者:第7話§

竜殺し

著:龍神裕義 地図:もよ
▽ 冒険者たち、東に向けて旅立つ事 ▽ 赤いツララと沼地の河童の事
▽ ドラゴン現る! 事 ▽ レイクの謎の行動の事

冒険者たち、東に向けて旅立つ事

【ジャニオス】 さ、僕らいまどんな状態や。
【GM】 前回、化け物に変わり果てた領主エランザートを倒した皆さんは、シルファス神殿のレクターのところに戻り、とりあえず、ひと息ついてるところです。
【ハニィ】 そこでリーナスを取り戻す計画を練ろう。
【GM】 ま、そういうふうになるやろね。前回の最後に登場したレイクの話では、リーナス司祭が持つ聖者セルマと同様の能力が、裏混沌の流出に対抗する唯一の手段ということやったからね。
 いちおう、おさらい。みんなが住んでいるのは、創造神ユピノスが混沌を糧に創った世界。で、裏混沌というのは、ユピノスの創造のときに生まれる、ユピノスの混沌──表混沌と対を成す存在のもの。このふたつを交わらせると、プラスマイナスで無になってしまう。
【エリオ】 その裏混沌の世界の住人が、この世界でいうデーモンやったな。
【GM】 そう。表混沌の肉体に精神だけを吹き込んだものね。
【ユーリ】 牛魔人もその系やな。
【ハニィ】 とにかく悪や。悪やから封じられてたんやろ。
【GM】 いや、悪とかそういうのじゃなくて、放っておくと世界を滅ぼす可能性があるから、封じられたと思ってほしい。9つの封印でね。
【ハニィ】 あ、裏混沌の封印って、ひょっとしたら5つまで解かれたんとちゃうの? 夢の啓示でそんな感じのがあったし。
【ユーリ】 あ、じゃあ、魔人に襲われたっていう、5つの都市に封印があったんや。
【ジャニオス】 するとあと4つで、裏混沌が解放されるんやな。
【ハニィ】 その4つの街、助けに行っとかんとヤバいんちゃうん。
【エリオ】 でも、封印のある街がどこにあるのかわからんし、その街がアリステア地方にあるとも限らんしな。
【ユーリ】 光る男を奪い返さんとアカンし。
【GM】 みんなが、そうやって額をつきあわせて話し合ってると、レクターがリーナスの荷物を持って来た。「リーナスの残して行ったものです」
【エリオ】 そんじゃ、中身をあらためてさせてもらおう。
【GM】 中にはもちろん、一般的な旅の道具や衣服などが入っている。それ以外に変わったものでは、水晶球がひとつ、銀色のメダルひとつ、魔力16の魔晶石がひとつ。
【ジャニオス】 即座に魔晶石をもらっとく〜。水晶球とメダルはセージ技能で[宝物鑑定]、(ころっ)。
【GM】 ジャニオスにはわかりません。
【ユーリ】 へっぽこセージや。
【ジャニオス】 ほんなら〜、〈センス・マジック〉(ころっ)。
【GM】 水晶球とメダルの両方から、魔力を感知したよ。
【ハニィ】 これは正体知っときたいなぁ。
【エリオ】 ほんなら、アスリアの魔術師ギルドに行こう。レクター、紹介状書いたって。
【GM】 「わかりました」と、レクターさんはサラサラサラと紹介状を書いてくれた。で、みんなは魔術師ギルドへやって来た。「何用でげしょ?」
【エリオ】 紹介状を見せて、高レベルな魔術師に「水晶球とメダルを鑑定してくれ」と頼む。
【GM】 ほいほい。高レベルな魔術師さんは、魔法でもって鑑定してくれた。その結果、メダルは何かの鍵になっているということがわかった。水晶球のほうは、よくわからないらしい。
【ジャニオス】 ダメ魔術師や。
【GM】 だめセージにそんなこと言われるなんて、心外やな。その魔術師の話では、水晶球は祭器のようなものではないか、とのことです。
【ジャニオス】 じゃ、そんなこと聞きつつ、水晶球は僕の小袋の中に入れとこう。
【エリオ】 ほんなら、メダルは俺が鎧の中で首から下げとく。
【ハニィ】 で、どうやってリーナスを探すの?
【エリオ】 それはジャニオスが〈ロケーション〉を使って探るんやがな。
【ジャニオス】 え〜? 使わなアカンのん〜? しゃあないな、〈ロケーション〉。(ころっ)どうGM、わかりそう?
【GM】 そうやね、ある場所にリーナスの存在を感じた。それは、アスリアから東、アスリアの街とロストフ山脈の間にある山地の中。ルセアの街の北にある山地とも言えるね。もし、そこに行くのなら、道なき道を進むし、軽く2週間は旅をせなアカンでしょうな。
【エリオ】 じゃ、軽く2週間旅をしようやないか。もちろん、愛馬ブルーシャドウを引き連れて。
【GM】 では、旅立つ皆さんに、レクターが餞別をくれます。魔晶石が4つね。では「さいなら〜、お達者で」ってことで、リナ似のセレアさんとともに見送ってくれます。
【ジャニオス】 よし、セレアさんにジャニオスの形見を渡しとこっかな。「このロープを僕だと思って……」
【ユーリ】 ロープて、そんなん渡されても困るだけ。
【GM】 そのセレアさんの肩に、レクターが手をかけてたりするんやろ。
【エリオ】 そしてセレアは、ユーリに切ない眼差しを向けてて──。
【ユーリ】 ──ユーリはリナひとすじ。
【ハニィ】 人間関係ぐちゃぐちゃや。
【ジャニオス】 じゃ、そんな感じで出発した。
【GM】 それでは、あいかわらず終末思想の漂うアスリアの街を発ちまして、皆さんは道なき平原を、東に向けて進んで行った。正確に言うと、東南ね。
 平原にはいくつか農村が点在してるけど、基本的には野宿の毎日。ま、冒険者であるキミらには、それは苦にならないでしょうな。季節は初夏。旅にはちょうどいい気候ですし。
 で、5日進んだあたりで、行く手に小高い山がふたつ見えてきます。初夏の季節にふさわしく、鮮やかな緑に覆われた山々で、ジャニオスが〈ロケーション〉で感じたリーナスの所在は、そのさらに東ということになる。
【エリオ】 あの光が指し示す方向に、リーナスはいるわけやな。
【GM】 どの光やねん。そんでね、そのふたつの山なんやけど、すごい変なんやわ。南の山の木々の葉が、鮮やかな赤に染まってる。つまり、紅葉してるってことね。
【ユーリ】 初夏やのに紅葉してるん?
【エリオ】 セフェリアには、そういう木はないわけやな? 普通は。
【GM】 秋になると葉の色が赤くなったり、黄色くなったりする木は珍しくないし、エリオもそういう木を知ってる。だけど、この季節に紅葉するなんて話は、生まれてこのかた聞いたことがない。それに、北の山は雪化粧が施されてるしね。
【ユーリ】 そっちは雪か!
【ハニィ】 これは異常事態やな。
【ジャニオス】 その山にはボスがおるんちゃうか。秋のボスとか、冬のボスとか。
【エリオ】 なるほどな。秋のボスと冬のボスって、どっちが強いと思う?
【ユーリ】 冬のボス。
【エリオ】 そやな、冬将軍というくらいやからな。じゃ、秋から倒しに行くか。
【GM】 どーゆー会話や! どーゆー理屈や! 誰もボスがおるなんて言うてへんし! あのな、重要な人物が浚われたことによって、ひょっとしたら世界は滅びるかも知れんのやで? ちょっとぐらい危機感持ってや。
【ユーリ】 でも、見に行きたくなるやん、そんなんあったら。
【ジャニオス】 ひょっとしたら、秋の山に裏混沌を倒すヒントがあるかも知れん。
【エリオ】 そうや、謎の爺さんがおってやな、カコーン、カコーンとしてるわけや。ほんで俺らがそこに行くと、作業を続けながら「誰じゃ?」って言うてくるわけや。
【ジャニオス】 おお、伝説の鍛冶屋やな。
【ユーリ】 ちょっと頑固なとこが売り。
【エリオ】 その鍛冶屋に伝説の剣、混沌バスターを鍛えてもらって、俺は憧れの勇者さまになるわけや。
【ハニィ】 勇者なんかになってどないするん?
【エリオ】 どないもせんけど、勇者に憧れるんはしゃあないことやがな。そらもう、子供の頃から「シュカのようになれ」「シュカのように生きろ」と教育されてきてるから。よっぽど辺境の野蛮人でなければ、みんなそうやで。
【ジャニオス】 ああ、ジャニオスもそう教育されたさ。
【ユーリ】 じゃ、ユーリも。
【GM】 またみんな野蛮人と言われまいと思うて……。まあ、シュカが魔王を倒したのは、たった22年前やからな。その直後あたりに生まれてきたエリオやジャニオスは、そう教育されててもおかしくないか。
【ハニィ】 その勇者って、いまどうなってんの? まだこの世界に現存すんの?
【GM】 勇者シュカは知らんけど、それ以外の英雄なら、いくらでも生存してるよ。先の大戦では、名を残す英雄が各地でたくさん出たしね。
【エリオ】 そして、エリオ・デ・アンジェリスの名もまた、英雄譚に加えられるのだ。
【GM】 そうなるためには、もっとしっかり頑張ってもらわんと。
【ハニィ】 ホンマや。山なんか無視して先に進もう。
【GM】 では、秋の山と冬の山の間の広原を、みんなは進んで行った。秋や冬になってるのはそのふたつの山だけのようで、山の麓は普通の初夏の草原が広がってるよ。
【ユーリ】 何やったんやろ、あの山。裏混沌のせい?
【GM】 その可能性は非常に高いね。
【ジャニオス】 ほんなら、リーナスのおるとこ目指してどんどん進むで〜。
【GM】 すると、やがて人が踏み慣らしてできた道が現れます。そこを辿って進んで行くと、前方に細々と家が立ち並ぶ集落が見えてきました。
【ジャニオス】 躊躇なく、集落に入る。
【GM】 そこはハズールという村です。到着時刻は午後3時過ぎぐらいかな。ハズール村はこの辺境にあって人口も多く、わりと規模の大きい豊かな村です。が、いまはしんと静まり返り、閑散とした雰囲気です。
【エリオ】 おお、すいててよかった。
【ハニィ】 よくない、よくない。なんか異変が起っこてるんだ。
【ジャニオス】 とりあえず〜、宿屋を探す〜。てゆーか、こんな辺鄙な村に、宿屋なんてあるんですか〜?
【GM】 あるよ、行商人のための宿屋がね。バカにしちゃいけない。
【ユーリ】 久しぶりにベッドで寝れる〜。
【GM】 では、皆さんは宿屋を求めて村をうろつくわけやね。そうしてると、数件の家の軒先に1本の赤いツララがぶら下がってるのが目につきます。
【ハニィ】 赤いツララ??

赤いツララと沼地の河童の事

【ユーリ】 触ってみる。冷たい? 氷の精霊は感じる?
【GM】 ツララは冷たくて、氷の精霊の存在を感じさせるよ。
【エリオ】 待てよ。確かいまは初夏やんな。さっきの秋山みたいに、この村だけは冬なわけ?
【GM】 うんにゃ、風が爽やかな初夏ですな。したがって、赤いツララ以外にツララは見当たらない。
【ユーリ】 このツララ、なんやろ。
【ジャニオス】 酒場の親父にでも聞けばええやん。宿屋に行く。
【GM】 では、1階が酒場、2階が宿泊施設という標準的な造りの宿屋にやって来た。入ってみると、酒場では大勢の男が酒を飲んでいる。どうやらこの村の男たちのようで、しかも、働き盛りというようなひとたちが多数を占めとるんですな。
【エリオ】 午後3時に酒というのは、ちょっと早いんじゃないかな。
【ジャニオス】 3時のおやつやな。
【GM】 『おやつ』て……。そのひとらは、楽しそうに飲んでる様子じゃないね。
【エリオ】 では、場をなごますために賑やかに入ろか。「いやー、疲れた、疲れた」
【GM】 場違いなその声の主に、男たちの不審と敵意の暗い視線が集まる。
【ユーリ】 そんなん無視して、酒場の親父に「あの赤いツララなに? 流行ってんのん」って聞いてみる。
【GM】 「なんでぇ、あんたらヨソ者かぃ」
【エリオ】 フッ、見てわからんか。この胸に燦然と輝くファノン騎士の紋章を。
【GM】 「へっ。騎士様なんて、くされ外道ばかりさ」
【ハニィ】 なにー!? 聞き捨てならん!
【ジャニオス】 それを聞いて傍で笑っとこ。
【エリオ】 ジャニオスと一緒に笑っとこ。
【GM】 なんでやねん。
【ユーリ】 そんなことより、赤いツララのこと教えてよ。
【GM】 「ツララねぇ──」と言いながら、親父はコップの用意をする。
【エリオ】 そのコップを逆さにする。
【GM】 どーゆー意味があるねん! 無意味なことは、やめなはれ。
【ユーリ】 酒注文したるから、ツララのこと聞かせてよ。なんで赤いん?
【GM】 「あれは印だ。あれをつけてまわってるのは、化けモンなんだ」
【ユーリ】 ツララをつけられた家はどうなんの?
【GM】 そうした家は、生贄を差し出さなくてはならないらしい。
【エリオ】 赤いツララがついてた家って、何軒あったっけ?
【GM】 正確な数字はわからんけど、けっこうあったよ。
【エリオ】 そんなにたくさん生贄を出さなアカンのか。
【ジャニオス】 大変やな〜。
【ユーリ】 だから閑散としてたんやな。
【ハニィ】 そんなら、あたしらが生贄のフリしてさー、駕籠の中に隠れてさー、祭壇まで運んでもらって、敵が現れたところで姿を見せて「かかったな」っていうのはどう?
【ジャニオス】 駕籠とか祭壇とか敵とかいうんはいったい何や。
【GM】 ハニィの中では、生贄というたら駕籠と祭壇なんや。「ま、詳しい話は、村長にでも聞いてくれよ」
【ジャニオス】 ほんなら村長のところに行こか〜。荷物預かっといてな。
【ユーリ】 村長のところにも赤いツララあったりして。
【GM】 村長さんの家まで来たけれど、ツララはないよ。村長さんの家は他の家に比べると、立派な邸宅です。
【エリオ】 たかが村長のくせに、偉そうなもん建てやがって。
【ジャニオス】 ドアに傷つけたれ。猫の爪でギ〜ってやったる。
【ユーリ】 ついでに赤いツララつけといたれ。
【GM】 こ、こいつら……。それはともかく、応対に出た村長さんから「何の御用でしょうか」と尋ねられるよ。
【ハニィ】 「我々は旅人なんですが、あの赤いツララについて聞かせてください」
【GM】 「なぜ、あなた方に話さねばならんのです?」
【ジャニオス】 「気になるから教えてぇや」ってことやな。
【GM】 「ヨソ様にお話するようなことではありません」
【エリオ】 パン!
【GM】 なんでしばかれなアカンねん!
【エリオ】 ファノン騎士が聞いとんやど〜?
【GM】 だってファノン騎士や、って名乗らんかったやん。
【エリオ】 何を〜? この胸の燦然と輝く紋章を見てわからんか? あ、そうか。見たことないんやな。
【ユーリ】 田舎モンやから。
【エリオ】 じゃ、教えといたるわ。俺がエリオ・デ・アンジェリスだ!
【GM】 ホンマにそういうふうに言うの?
【エリオ】 ──ってことをエリオ的に。
【GM】 やっぱりね。では、騎士様がいらっしゃったってことで、村長さんは皆さんを中に招き入れて、お話しましょか。「実は、この村から東に行ったところにある森をさらに東に抜けると、いくつかの沼があるんです」
【ハニィ】 そのうちのひとつに敵がおるんやな。敵っつーか、怪物。
【ジャニオス】 いや、斧を投げ込めばええんやろ。
【エリオ】 わかった。むかし、その沼にひとりの若い娘が身を投げたんやろ。
【GM】 聞く気があるんかッ! とにかく、その沼地に生息する薬草が、この村を繁栄させてきたと。「ところが、そこに化け物が住み着きましたのじゃ」
【ジャニオス】 そいつは困ったな。
【GM】 「そして、その沼に住み着いた化け物退治を、ある冒険者たちに依頼したのです。ところがこれが、一名を残して全滅してしまう始末。その直後、化け物たちが村にやって来て、書状でもって生贄を要求しはじめたのです」
【エリオ】 相手は文字が書けるんか。それはもちろん、アリステア語の文字やんな?
【GM】 いや、共通語だったそうです。
【エリオ】 おお、共通語が読めるとは、さすが村長。共通語の文章を書けるほうもすごいけど。で、それはどんな怪物なん?
【GM】 「その姿は、逃げ帰って来てさっさと姿をくらませた冒険者以外は、目にしておりません。チラっと聞いたところによると、人間よりひとまわり小さく、緑色の肌をした二足歩行の魔物だったそうですが……。そして、彼らの要求どおり生贄を差し出せば、ある一定量の薬草を渡してもらえる約束を交わしたのです」
【ジャニオス】 なんて話のわかる魔物や。
【ユーリ】 生贄って女の子?
【GM】 うんにゃ、性別は問わない。10才未満の子供に限られてるらしいけど。
【ハニィ】 子供のほうが肉がおいしいんやな。
【ユーリ】 それで、生贄はもう出し終えてんの?
【GM】 終えてるよ。赤いツララを下げられた家はすべて、所定の沼のほとりに、生贄の子供たちを放り出して来たそうです。
【ジャニオス】 で、村長は僕らにどうしてほしいんや? 助けてほしいんか。
【ハニィ】 いや、村人は薬草が採れるんなら、人質を出してもええと思うてるんやろ。
【GM】 思うとうわけないやないか! 人質じゃなくて生贄なんやで? そんなもん、何とかできるひとがおるのなら、何とかしてほしいに決まっとるがな。
【ジャニオス】 じゃあ、報酬はいくら貰えるんかな。
【GM】 そうやね、「1万フィスでどうでしょう」。
【ハニィ】 ひとりあたま2500フィスか。
【ユーリ】 なんか、このキャンペーンで初めて冒険者らしいことやってる。
【ジャニオス】 じゃあ、今日は宿屋に泊まって、明日の朝になったら沼地に行く方向で、ゲームを進めてや〜。
【GM】 では、翌朝になりました。出発するんやね?
【ジャニオス】 そう。沼地へダッシュで。
【エリオ】 ダッシュはしんどいので、通常歩行で。
【GM】 それでは、森の中を通常歩行で3、4時間進むと、皆さんは開けた場所に出ました。そこには小さな沼がいくつか密集しております。
【ハニィ】 このうちのどれかに敵がおるんやな。
【エリオ】 よし、行けっ、ジャニオス!
【ジャニオス】 なんでやー。エリオが行けや〜。
【エリオ】 ──と、ふたりで押し合う。
【GM】 するとそのとき、皆さんにいちばん身近な沼の中から、緑色の肌をした人間よりひとまわり小さい怪人が、姿を現しました。ちなみにその背中には甲羅があるよ。
【エリオ】 河童か!
【ジャニオス】 [怪物判定]、(ころっ)。
【GM】 そいつはマーシュマンという一種の亜人やね。ちなみに、河童みたいに頭に皿があるわけじゃないよ。
【ジャニオス】 そいつはどう、しゃべれそう? 俗に言う共通語を。
【GM】 うんにゃ、彼はインプ語で何か言ってる。そっちにインプ語がわかるひとは……おらんようやね。
【エリオ】 ってことは、脅迫状を出してきたんは、そいつじゃないな。よし、ジャニオス、とりあえず〈タング〉を使って、あいつの言葉を聞いてみ。
【ジャニオス】 いや、ジャニオスはそんなことせえへん。どーせ「おまえら何者や」って言うとんのに決まってるんやから。
【エリオ】 アホか。事件の首謀者のことを聞き出すために、〈タング〉を使え、っちゅうとんのや。
【ジャニオス】 そんなん聞いたってしゃあないって。はよ、戦闘はじめてや。
【GM】 そうやってモメてると、マーシュマンが「うにゃうにゃ!」と叫び、沼の中からさらに9体のマーシュマンが現れました。
【ジャニオス】 「野郎ども、出て来い!」って言うたんやな。みんな何にもせえへんのやったら〜、〈ファイア・ボール〉。(ころっ)。
【GM】 すると、2体のマーシュマンが沼に沈んで行った。そしたら、沼の中から少し体格がよくて、顔つきも知性を感じさせるマーシュマンが現れた。そいつを前にした他のマーシュマンの態度からして、こいつが族長なんでしょう。
【ジャニオス】 おっ、首謀者が出現したな。そいつはしゃべれるんやろな〜、共通語を〜。
【ハニィ】 しゃべってみよか? え〜、「もしもしィ」。
【GM】 それにはどう答えたらええんや?!
【ハニィ】 いやいや、そう言うた後で「我々は森の沼の化け物の情報を探してるんだが」って言うんやんか。
【ジャニオス】 そんなん、こいつらに決まっとるやないか。
【ユーリ】 「子供たちをさらったのは、おまえらだな」って言えばええんちゃうん。
【GM】 ユーリの言葉に、マーシュマン・リーダーが「いかにも」と共通語で答える。
【ユーリ】 「食べたん?」
【GM】 「食べた。おいしかったぁ」マーシュマン・リーダーはさらに、「おまえたち人間は、なおも我々の住処を侵そうというのか」と言うてますよ。
【エリオ】 『侵す』というか〜、おまえらを皆殺しにして、薬草がいっぱい採れるようにするんです〜。
【ジャニオス】 そんで2500フィスをもらうんです〜。
【ハニィ】 こいつら悪や、悪。
【ユーリ】 子供を食べるほうがもっと悪いんです〜。
【GM】 すると、族長マーシュマンが「先に我々の子供らを殺したのは、おまえら人間のほうだ!」と言うよ。
【ハニィ】 誰が〜? 誰に子供を殺されたん?
【ユーリ】 やられて逃げ帰ってきた冒険者とちゃうん。
【エリオ】 そんなん、ここに棲みついたこいつらが悪いんやんけ。
【GM】 「だって、元の住処を追い出されたんやもん」
【ジャニオス】 誰にや〜。
【ユーリ】 牛魔人とちゃうか。変な儀式するために追い出したんや、きっと。
【エリオ】 「おまえらの元の住処ってどこや」と聞く。
【GM】 「もうちょっと森の奥へ行ったところにある沼地だ」

ドラゴン現る! 事

【エリオ】 「ほんなら、そこ、取り戻したるわ」
【ジャニオス】 えー?! 牛魔人と戦ったって、負けるって。
【エリオ】 いーや、いまのエリオになら勝てるはず! 「さ、行こか。案内せい」
【GM】 「はあ、いいですけど」
【ジャニオス】 なんてものわかりのいい奴や。〈ファイア・ボール〉を打ち込まれたのに。
【GM】 まあ、マーシュマン的には、元の住処に戻ることができたらそれに越したことはないしね。彼らにしても、これ以上、人間といざこざを抱えていたくないやろし。村人もそうやけど、彼らも他者に生活を脅かされてるんやからね。
【ユーリ】 また冒険者に襲われるかも知れん、ってことやな。
【ジャニオス】 なんや〜? 悪者はジャニオスだけか〜?
【エリオ】 まあ、そうクサるな。殴り合ってわかり合うのが、漢(おとこ)やから。レムリア大陸では『強敵』と書いて『とも』と読むし。
【ハニィ】 ホンマかいな。
【エリオ】 ホンマ、ホンマ。マーシュマンがジャニオスに「おめえ、いい〈ファイア・ボール〉撃つじゃねーか。皿が乾くかと思ったぜ」って言うてるし。
【GM】 いや、だから河童じゃないって。
【ユーリ】 ほんじゃ、その沼地に行こうや。
【エリオ】 道案内が必要やろ。族長に道案内に同行することを要求する。
【GM】 道案内はいいけどね。いざ戦闘になったら、マーシュマンにも戦わそうとしてるやろ。
【エリオ】 そらそうやん。自由と平和は自らの力で勝ち取るモンやからな。
【ユーリ】 それに、自分で戦って住処を取り戻さんと、部族の長としての示しがつかんやろ。とりあえず一緒に来いや。
【GM】 『来いや』って……ええけど。じゃあ、族長のヌレヌレさんと、2匹の優秀な戦士であるマーシュマンが同行することにしよう。
 それでは、彼らの案内で森の中を歩くこと半日、皆さんはひとつの沼の前にやって来ました。
【ハニィ】 沼に斧投げてみよか。ほんなら金の斧になるで。
【GM】 はあ、勝手に投げんかいな。あ、ハニィのプラス3の斧を投げ込んでみぃな。金の斧になるかも知れんぞ(笑)。
【ハニィ】 いや、これはやれん!
【ユーリ】 でも、沼の底に敵のボスがおって、頭に斧が刺さって死ぬかも知れへん。
【GM】 そんな4コママンガのオチみたいなことになるかぃ! ってなことを申しておりますると、突如、沼の真ん中あたりにゴボゴボと大きな泡が湧いてきた。そしてそこから、大きなトカゲを連想させる怪獣の顔が現れ、「アンギャー!!」と、聞くも恐ろしい咆哮をあげた。全員[精神力抵抗]してね。
【ジャニオス】 (ころっ)失敗。惜しい!
【ユーリ】 (ころっ)失敗。
【ハニィ】 (ころっ)失敗。6ゾロじゃないと成功せんぞ。
【エリオ】 (ころっ)6ゾロ! 自動成功。
【GM】 ジャニオスは恐怖におののき、すべての行動にマイナス1のペナルティ。ユーリとハニィは恐怖のあまり狂暴化。とにかく、理性的な行動が取れへんから。魔法も使えないよ。
【ユーリ】 ああ〜、回復要員がバーサークした〜。
【ジャニオス】 いちおう、僕がミフォアのプリースト技能を1レベル持ってるけど。
【エリオ】 じゃあ、恐怖に陥った奴らは、ジャニオスに〈サニティ〉をかけてもらえ。
【GM】 ちなみにヌレヌレは[精神力抵抗]に成功したけど、残りのマーシュマンたちは逃げ出してしまった。
【ユーリ】 どこが優秀な戦士やねん!
【ハニィ】 いったい、その怪物って何なん?
【GM】 怪獣はすでにその半身を水面上に現してる。その正体が知りたければ、セージ技能でチェックしてみ。
【ジャニオス】 [怪物判定]〜、とお! (ころっ)。
【GM】 ジャニオスは知っている。それがレッサー・ドラゴンと呼ばれる怪物であることを。ただし水陸両用であるためか、羽根は退化してその名残が見える程度やし、身体を覆う鱗状の角質層も、普通のドラゴンとは違ってもっときめ細かな感じやね。角も生えてないよ。
【エリオ】 ハゲドラゴンかぃ。
【ユーリ】 ハ、ハゲ?!
【GM】 角がないだけや!
【エリオ】 それより、ヌレヌレに「あのさ〜、あれに住処を追い出されたんか?」って聞く。
【GM】 「うん」
【ユーリ】 人間ちゃうやんかー!
【ハニィ】 ホンマや。「人間に追い出された」って言うてたのに。
【GM】 「あれと一緒に人間がおったもん」
【ユーリ】 そういうことか。いま、それらしい人間は側におる?
【GM】 いや、見当たりませんな。
【ジャニオス】 さ、ドラゴンを倒してや〜。ちゃっちゃと。
【エリオ】 これを倒したら、俺様はドラゴン・スレイヤーになれるんやな。
【GM】 倒したらね。さて、何か行動したいことがあれば、敏捷度の高い方からどーぞ。
【ハニィ】 バーサークしてるってことは、敵味方関係なく、手当たりしだい周りのものに襲いかかる、ってことですか?
【GM】 いや、敵味方の区別はつくから、攻撃するのは敵だけでいい。ちなみにドラゴンは、沼の中ほどから沼の淵まで移動して来てる。次からは牙や尻尾の打撃が行くと思うて。
【ハニィ】 とりあえず、あたしはバーサークしてるので、「ウリィ〜」言うてアックスで攻撃。(ころっ)あたり、おっ、クリティカルしてダメージは31点。
【GM】 31点!? いきなり来たな〜。
【ユーリ】 ダーツを投げる。(ころっ)あたったけど、ダメージは10点。
【GM】 そんなもん、カキ〜ンいうてはね返されるわ!
【エリオ】 攻撃、(ころっ)ヒット、ダメージ16点。
【ジャニオス】 カスみたいなダメージや。僕は何をしようかな〜。
【ユーリ】 〈サニティ〉、〈サニティ〉。かけてぇな。
【ハニィ】 このままやと、あたしは回復魔法が使えん。
【ジャニオス】 ほんなら〈サニティ〉使ったるわ。すると……うわ〜、精神力が6点も減る。
【エリオ】 魔晶石を使えばええやんか。たくさん持ってるんやから。
【ジャニオス】 い〜や、もったいないから自分の精神力を使う〜。ユーリとハニィに〈サニティ〉、[精神力抵抗]したらダメよ。あ、ついでに自分にも〈サニティ〉かけとこ〜。(ころっ)恐怖が解けた。あ〜あ、精神力が〜、9点も減った〜。
【エリオ】 こいつ、魔晶石を大事に抱えたまま、死んで行く気やろか。
【ユーリ】 そうなったら、後から来た冒険者が「あ、こんなところに魔晶石が落ちてる。ラッキー♪」って、拾って行くわ。
【GM】 〈サニティ〉がかかったんで、ユーリとハニィはバーサークから立ち直って、ジャニオスのペナルティもなくなった。ヌレヌレはドラゴンに攻撃して、ドラゴンの反撃がハニィに行く。尻尾が当たり、ダメージは12点ね。
【ハニィ】 痛〜。後ろに下がって[パリィ(防御姿勢)]。誰が治して〜。
【ユーリ】 エリオに〈ウォーター・ウォーキング〉。(ころっ)かかった。
【エリオ】 これで沼の上を歩いてドラゴンの後ろに回れる。
【ハニィ】 何か卑怯。
【エリオ】 何を言う。1ヶ所に固まってたら、ドラゴンの炎で一気に全滅させられるかも知れんやろ。攻撃、(ころっ)当たり。でも、わざとクリティカルさせなかったので、ガイ〜ンと弾かれた。
【GM】 いま気づいたけど、ヌレヌレのほうがジャニオスより速い。じゃ、先にヌレヌレの行動やね。邪魔くさいから、エリオが扱って。ヌレヌレのステータスを教えるから。
【エリオ】 はいよっと。ほんなら〜、ヌレヌレは「仲間の仇〜」と〈バルキリー・ジャベリン〉。(ころっ)効いた、18点のダメージ。
【GM】 ちこっと痛い。次はジャニオス。
【ジャニオス】 何をしよーかな〜。
【ハニィ】 できたら、あたしの傷を治してほしい。
【ジャニオス】 〈キュアー・ウーンズ〉かけるには〜……おお、僕は精神力を5点も使わされるんか、なんてことだよ。痛いな〜、痛いよ〜、魔晶石を使って〜、〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)14点回復。
【ハニィ】 サンキュー、完全回復した。ドラゴン、どーぞ。
【GM】 ドラゴンの行動はダイスを1個振って決めよか。出目が1なら、炎のブレスが行くからね。(ころっ)っと、出目は4。
【ユーリ】 4は何してくるんやろ。
【ジャニオス】 4(し)だけに『死ぬ』やな。
【GM】 ンなわけあるかぃッ!! 1以外は通常攻撃が行くよ。今回の標的は、ドラゴンの後ろでチョロチョロしてるエリオくん。後ろにいるんで、尻尾だけの攻撃ってことで──当たってダメージは10点ね。
【エリオ】 ひゃーっひゃっひゃっひゃ。生命力を半減させられた。治してくれ〜。
【ハニィ】 エリオに〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)14点回復。全快やね。
【ユーリ】 ドラゴンに〈バルキリー・ジャベリン〉をかけるか、みんなに〈ウォーター・スクリーン〉をかけるか、どっちがいい?
【ジャニオス】 炎なんか来ないやろ。〈バルキリー・ジャベリン〉を使っときぃな。
【ハニィ】 炎のダメージを警戒するんなら、後であたしが〈ヒート・プロテクティブ・サークル〉をかけるし。
【ユーリ】 ほんなら〈バルキリー・ジャベリン〉。(ころっ)抵抗されて、ダメージ17点。
【ハニィ】 まだ死なんのか。
【GM】 傷は負ってるけど、瀕死という感じではないね。エリオの番やけど、どうする?
【エリオ】 「どうする」と言われても、攻撃以外に何がある。(ころっ)はずれ。ヌレヌレは〈バルキリー・ジャベリン〉。(ころっ)抵抗されて、15点のダメージ。
【ジャニオス】 エリオに〈プロテクション〉をかける。(ころっ)かかった。
【GM】 では、ドラゴンの番。例によってダイスで行動を決めるで。
【ハニィ】 炎、来るなよ〜。
【GM】 (ころっ)やった! 皆さんお気の毒。ついに炎のブレスが行きまっせー。ドラゴンの前方にいるエリオ以外の方々は、炎を吹きかけられます。
【ハニィ】 ちぇ、〈ヒート・プロテクティブ・サークル〉間に合わんかった。
【GM】 ダメージはハニィに15点、ユーリに16点、ジャニオスに14点、ヌレヌレに14点ね。
【ユーリ】 よかった、言うほどダメージが来なかった。でも、死にかけ。
【エリオ】 ヌレヌレは「皿が乾く〜」と言ってる。
【GM】 だから、皿なんかないって。
【ハニィ】 さっき炎を受けた3人とあたしに、〈キュアー・ウーンズ〉。(ころっ)、全員全快したよ。
【GM】 せっかく炎を吹いたのに〜。たまらんわ!
【ユーリ】 ドラゴンに〈バルキリー・ジャベリン〉、抵抗されてダメージ14点。そろそろ傷も深くなってきたやろ。
【GM】 まあ、流血の度合いはひどくなってるね。
【ユーリ】 よっしゃ、ドラゴン・スレイヤーまでもうちょっとや。
【ジャニオス】 とどめ刺しとき。
【エリオ】 しゃあないな〜。ほんなら本気の30%の力を出したろか。尻尾に飛び乗って、剣をあてがいながら頭まで背中を駆け登る〜。(ころっ)クリティカル・ヒ〜ット3連発で、ダメージはたったの40て〜ん。
【GM】【ジャニオス】【ハニィ】【ユーリ】 おおーッ!
【GM】 そりゃもう、左右に真っ二つ。ドラゴンの開きができました。
【ユーリ】 ドラゴン倒したー! よかったじゃん、エリオ。念願のドラゴン・スレイヤーになれて。
【ハニィ】 おいしいところ持っていきよったな〜。
【GM】 終わってみたら、戦闘が始まってたったの4ラウンド? 思うてた以上にあっさりやられたなぁ。エリオのとどめももちろんやけど、バーサーク・ハニィの、最初のクリティカル・ヒットもだいぶ響いたな。その二撃だけで、生命点の3分の2以上が削られてるもん。
【ユーリ】 残りの3分の1は〈バルキリー・ジャベリン〉やな。
【ハニィ】 いや〜、爽快、爽快。
【エリオ】 ドラゴン倒した記念に、牙や爪を持って帰らへんか。
【GM】 ──と、そんなふうに皆さんが喜びを分かち合っておりますと、「こちらの手駒を減らしてくれるとは、まったくよくやってくれるよ」という声が聞こえてきます。

レイクの謎の行動の事

【ハニィ】 どーせレイクとちゃうの。
【ユーリ】 うん、口調がそれっぽい。
【エリオ】 シャキーンとそっちを見る。
【GM】 ドラゴンの死骸の向こうの空中に、ふたつの人影ある。ひとりは、おなじみユーリの双子の弟レイク。もうひとりは、気の強そうな女性で、これ見よがしに肌を極端に露出させたビキニ鎧を着ています。
【エリオ】 じゃあ、レイクに「見たか、ドラゴン・スレイヤーやで」と言う。
【ジャニオス】 アホや。
【ユーリ】 「甘く見るな」ってことや。
【GM】 レイクは小バカにしたように、空中でキミらを見下しながら笑っとこか。
【エリオ】 じゃ、笑い返す。「アーッハッハッハ!」って、レイクの顔を指しながら。
【GM】 なんで笑われるねん! レイクは「まったく呆れたひとたちだ」と言うよ。
【ユーリ】 ほんなら「笑っとけるのもいまのうちじゃ、ボケ」って言い返す。
【エリオ】 そしてヌレヌレは、「オレたちの住処を返せ!」と言う。そんでエリオが「返したり! このひとらに返したって! それより、ここで何してんのん」。
【GM】 レイクはそれに答えず、何かの呪文を唱える。すると、ヌレヌレの身体は、一瞬輝いた後、原子分解されて消滅しました。
【ハニィ】 なにー?!
【ジャニオス】 〈ディスインテグレート〉やな〜。
【ユーリ】 〈バルキリー・ジャベリン〉かけたるねん。(ころっ)[精神力抵抗]されて、ダメージ13点。
【ジャニオス】 微々たるダメージやな。
【GM】 微々たるも何も、光る槍はレイクに届く前に消滅してしまうよ。
【ユーリ】 なにー! 何かやりやがったな。
【エリオ】 いまの段階では、レイクは倒せんってことやな。
【ハニィ】 レイクさんに、「ここに何しに来たんですか?」って聞く。
【ジャニオス】 『さん』付けで敬語や。
【GM】 さっきの魔法で腰が引けたんやね。レイクは「とうぜん、キミたちの所持品を渡してもらうために来たんだよ」と答える。
【エリオ】 ほんなら「この騎士のブロード・ソードだけは渡せん!」と言う。
【GM】 「そんな物いらんわッ!」
【ジャニオス】 騎士のブロード・ソードが『そんな物』扱いや。
【ハニィ】 水晶とメダルを奪いに来たんやろ。
【GM】 決まってまんがな。レイクは「素直に例のブツを渡すんだな」と言うとります。
【エリオ】 だから、この騎士のブロード・ソードだけは渡せんって。
【GM】 「誰がそんなモン渡せって言うてるねん! 耳、悪いんか!?」
【エリオ】 レイクはキレるとユーリに似てくる。
【ジャニオス】 さすが双子。
【ユーリ】 うれしくねー。
【GM】 そんなやりとりにしびれを切らしたのか、女戦士がレイクに「わたしに任せてもらおう。あんたは下がってな」と言う。
【ジャニオス】 ずいぶんタメ口やな。
【GM】 レイクは「まあ、せいぜい火傷しないようにな」と薄く笑って、魔法で飛ばしている女戦士を沼の淵に降ろす。
【エリオ】 そしてレイクは〈テレポート〉で帰る。
【GM】 帰らん、帰らん。レイクはスーっと上へあがって行くよ。
【ジャニオス】 あがるだけ? 帰ってええのに。
【ユーリ】 のに。
【エリオ】【ジャニオス】【ハニィ】【ユーリ】 か・え・れ! か・え・れ!
【GM】 はあッ、『帰れ』コールや。最悪や、イジメっ子たちや。女戦士が「おのれッ!」と襲いかかってくるよ。

 女戦士は意外な強敵だった。女戦士の、ユーリの残り生命力を1点してしまうほど強力な精霊魔法も恐ろしかったが、何より、いくらダメージを与えても倒れないしぶとさだった。
 一行が「あいつ、人間ちゃうんとちゃうか」「ゴキブリとのハーフか」と、疑問を持ちはじめたその時──。

【GM】 突然、麻痺したかのように女戦士の動きが止まる。身動きが取れなくなったようやね。「なんだ、これは?!」と言うとります。
【ハニィ】 牛さんか?
【GM】 いや、バリドスの姿は見当たらないよ。
【ユーリ】 まさか、レイクか?? そっちを見てみる。
【GM】 するとユーリと目が合って、ニヤっと笑ってあげましょう。
【ユーリ】 なにぃ!?
【ジャニオス】 わけがわからんぞ! それこそ「なんだ、これは!?」。
【エリオ】 しかし、エリオはそんなことには気づかない。戦士の本能で、チャンスとばかりに斬りつける。(ころっ)クリティカルで24発いってみよう。
【GM】 その攻撃を受ける寸前、女戦士は「ま、まさか……」と、ユーリの瞳に映るレイクを見た。
【ユーリ】 うわー、ごっつい目が合ってるやん。「ま、まさか、……俺?」(笑)
【GM】 ──と、ユーリがまぬけなことを言ってるうちに、女戦士は絶命した。それを見届けたレイクは、「また会いましょう」と言い残して消えてゆく。
【ジャニオス】 メダルと水晶はいらんのか?
【ユーリ】 あいつ、何がしたいんか、さっぱりわからん。
【ハニィ】 とりあえず、沼地を取り戻したんやし、マーシュマンたちを呼んでくる。
【GM】 はいはい。マーシュマンは呼ばれて集って参りました。
【エリオ】 その間に俺はヌレヌレの墓を建ててやろう。死体あらへんけど。「勇敢なるヌレヌレ、ここに眠る」と墓標に記してやる。
【ハニィ】 ヌレヌレのこと、マーシュマンたちに教えたらなアカンで。
【エリオ】 おう、教えといて。あんた司祭やし。
【ユーリ】 カッコよく言うといて。ドラゴンと相討ちとか適当に。
【GM】 適当かぃ!!
【ジャニオス】 ドラゴンの牙を抜いとこっかな〜。〈スケルトン・ウォリアー〉に使えそうなん、ある?
【GM】 (ころっ)そうやね、そういう牙を16本手に入れた。
【エリオ】 じゃ、俺はドラゴンの爪をヌモっと抜いて、記念に持ってく。
【ユーリ】 うちも爪もらっとこ。それが済んだら、村長に「ツララ事件、解決した」って報告しに行くよ。
【GM】 では、故郷を取り戻したマーシュマンたちと別れて、ハズール村に帰ってきました。報告を聞いた村長さんは、「おー、それはよかった、ありがとう」と感謝します。
【ジャニオス】 感謝は形あるもので表してな。報酬の1万フィスという形で。
【GM】 はいはい。村長さんは、皆さんに1万フィスを支払いました。
【ハニィ】 じゃあ、リーナスさんを助けに旅立とう。それが本来の目的や。
【ユーリ】 それにしても、レイク、何がしたいんかぜんぜんわからんなぁ。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Map ©2001 Moyo
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