≪REV / EXIT / FWD≫

§輪廻の聖者:第5話§

探索者と放浪者

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン 地図:もよ
▽ ジャニオスたち、謎の遺跡に乗り込む事 ▽ ユーリたち、砦で捕らえられる事
▽ エリオたち、混沌と戦う決意をする事 ▽ ハニィたち、お尋ね者になる事

ジャニオスたち、謎の遺跡に乗り込む事

【GM】 さて、エリオとジャニオス、ユーリとハニィのふた組は、別々にミントンに到着いたしました。先行したユーリとハニィはお昼ごろ、後発のエリオとジャニオスは昼過ぎね。ま、似たような時間帯やけど。で、どないな行動を取りまんねん。
【ジャニオス】 そりゃ、長旅で疲れてるからな、宿屋に入るやろ。豪華な宿屋を選ぶで。ホテルマンが荷物を運んでくれそうな宿屋。
【エリオ】 もちろん、各部屋にライオンの口からお湯が流れる大浴場がついてるやろな。ちなみに大理石の湯船には、バラの花びらが浮いてるから。
【GM】 エリオたちは、そんな感じの宿屋に泊まるんやね。で、先着のユーリとハニィは?
【ユーリ】 普通の宿屋に泊まるよ。
【GM】 では、ユーリたちは普通の宿屋に入りました。そうすると、ユーリたちよりもさらに先にミントン入りしていたリーナスさんが、1階の酒場で昼食を取っているのを見ます。
【ユーリ】 一緒の宿屋なんや。「あ、またいた」と思うとこ。
【ハニィ】 あたしらも昼ご飯を食べよろ。そこでちょっと情報集めもしたいし。
【ユーリ】 じゃあ、昼メシ食い終わったら、盗賊ギルドに行く。
【GM】 では、時間を流して、盗賊ギルドにやって来たところ。「何か用かい」
【ユーリ】 レイクの情報をくれ。「こんな奴、見んかった?」って聞く。
【GM】 「いや、見かけないね〜」
【ハニィ】 じゃあ、ミントンには来てへんのかな。でも、アスリアからパドニカに行くには、ここを通らんとすごい遠回りになるよな。
【ユーリ】 単にこいつらがレイクを見過ごしただけかも知れん。
【ハニィ】 しゃあないな。どうする?
【ユーリ】 明日になったら、パドニカへ出発しよう。
【GM】 了解。で、エリオたちは? 何もせえへんの?
【エリオ】 何かしたいけどなァ……。この街には何か娯楽はないんか?
【GM】 う〜ん、ミントンには大したものはないね。観光の目玉の湖以外は。
【ジャニオス】 じゃあ、湖に行って舟遊びでもする? 白鳥型の足漕ぎボートにでも乗る?
【エリオ】 そいつで湖の対岸でも目指そか。あ、西の湖の対岸にはラトゥーリの町があるな。
【ジャニオス】 ほんなら、ラトゥーリに行こか。……何のためにかは知らんけど。だいたい、僕らオレンブルクを目指しとんのとちゃうかったか?
【エリオ】 気にすんな。人生に回り道はつきものや。
【ジャニオス】 んじゃ、そんな感じでミントン西の湖にスワンボートを探しに行く。
【GM】 すさまじいふたり組やな。エリオたちがミントン西の湖の舟着場に行ってみると、リーナスさんが舟の所有者である漁師たちに、片っ端から「舟に乗せてもらえないか」と声をかけていました。そして、気のいい漁師さんに舟に乗せてもらえることになったようです。
【エリオ】 そんでその漁師は言うわけや、「3人乗せればいいんだね」って。そんで、リーナスが「はあ?」と振り返ったところに、俺らがおるわけや。
【GM】 するとリーナスさんは、「どうしたんです?」と聞くやろな。
【エリオ】 「おまえは光る奴やから守ったる」と、このひと言に万感の想いを込めて、エリオ的に言う。
【ハニィ】 もっと詳しく説明せ〜い。
【GM】 いや、エリオの言わんとすることは、じゅうぶんわかる。わかるけど、思いつきで行動してること丸出しや。
【ジャニオス】 そんなもんや、冒険者って。
【GM】 ま、なんであれ、リーナスさんは「それはどーも」とお礼を言う。そういうわけで、エリオたちは3人連れになりました。
【ハニィ】 あたしらはどうする?
【ユーリ】 パドニカを目指すよ。翌日になったら、次の街に行こう。
【GM】 ということは、とりあえずヴァイスが次の目的地となりますね。ヴァイスに至る道中にも、宿場町がいくつかあるわけやけど、そういう名もない町の描写は飛ばして、ユーリたちは12日後、ヴァイス王国の王都ヴァイスに到着しました。

 とりあえず、湖に行ったエリオ組のほうから処理しましょか。
【ジャニオス】 さあ、小島の遺跡に着いてや〜。
【GM】 そう言われても、目的地の情報はリーナスが見たという夢の映像に頼るしかないんでね、「あっちかな」「いや、こっちだな」とか言いながら迷走しとるんですわ。そうこうすること数日、ついに「この島だ!」という小島に到着しました。
【エリオ】 ほんなら上陸しよか。漁師には、ここで待機しといてもらおう。
【GM】 漁師は「気をつけて行ってくだせえ」と見送ってくれます。
 リーナスの案内で小一時間ほど草木をかき分け進んで行くと、エリオたちの前に、崩れかけた神殿のようなものが姿を現した。正面に備わってたはずの玄関扉は、すでに朽ち果て倒れたらしく、入口がぽっかりと虚ろに口を開けております。
【ジャニオス】 よっしゃ、再びライト・メイスに[ライト]!
【エリオ】 神殿に入る。
【GM】 入ると左右に通路が延び、正面には両開きの扉があります。
【ジャニオス】 不用意にその両開きの扉を開ける。
【GM】 開けると、中は礼拝の間だったらしく、広々としております。部屋の奥には祭壇があり、さらにライオンさん、黒山羊さんの頭に蛇の尻尾を持った、4本肢の魔獣もいます。
【ジャニオス】 [知識]チェック、(ころっ)。
【GM】 そいつはキマイラという合成魔獣です。
【エリオ】 あらかた予想はつくけど、反応は敵対的?
【GM】 もちろん。下位古代語で「どっか行け」とキマイラ的に脅してきます。
【ジャニオス】 「いやじゃ、バカ」とジャニオス的に言い返す。
【エリオ】 「おまえがどっか行け」とエリオ的に言い返す。
【GM】 すごい会話やな。とりあえず、現在ここは彼のテリトリーになっているらしく、立ち去ってくれないなら、殺しちゃうそうです。
【エリオ】 努力の甲斐なく交渉は決裂か。
【GM】 努力の『ど』の字も、交渉の『こ』の字も見当たらんかったわ!
【ジャニオス】 しゃあないな。やれっ、エリオ!
【エリオ】 とりあえず、様子見の軽いジャブから入ろか。(ころっ)ヒット、13点。
【ジャニオス】 僕は何しよかな〜。この先も長いからな〜。何もしない♪
【エリオ】 ……。
【ジャニオス】 大事やって、精神力は! さあ、キマイラの番やで〜。石化でも何でもしたってや〜。
【GM】 キマイラの牙の反撃はエリオへ……当たったのに鎧でガイーンと弾かれたな。
【ユーリ】 歯がボロボロボロって崩れるんや。
【GM】 マンガやがな、それ。

 この後、エリオのクリティカル・ヒットが放たれ、キマイラは倒された。

【エリオ】 さ、楽しい戦闘も終わったので、これからは退屈な探索を始めよか。
【ジャニオス】 とりあえず、この礼拝の間を調べてみよう。くまなく調べる。
【GM】 ほんなら、サイコロ振ってみて。──その出目なら、う〜ん……床のある場所から、チョロチョロと何やら水が流れるような音が聞こえてきます。
【エリオ】 そこを剣の柄でコンコンと叩いてみる。
【GM】 どうも他の場所と、明らかに音が違うようやね。
【ユーリ】 地下水が流れてるんかな。空洞があるんちゃう。
【ジャニオス】 ちょっとそこの辺の床を壊してみ、エリオ。
【エリオ】 おう、ほんなら貴様のライト・メイスを貸せ。そいつで床をガンガン殴る。
【ジャニオス】 ああ〜、僕のライト・メイス・ライトが上下に振られてる〜。
【GM】 床は壊れたよ。
【ジャニオス】 そこには何が!?
【ユーリ】 ガスが噴き出すんや。
【ハニィ】 槍が飛び出てジャニオスに刺って死ぬ。
【GM】 あのね〜、そんなに他人の不幸を願ってると、自分に返ってくることになるよ。で、床が崩れると、人ひとりが入れそうな大きさの穴が、ぽっかりと口を開けます。
【ジャニオス】 ほんなら不用意にその穴に入る。
【GM】 不用意に入るのね。するとね、ジャニオスはツルっと滑って尻もちをつくよ。そんでそのまま滑り出した。
【エリオ】 滑り台みたいになってるんやな。
【GM】 そうやね。ちなみに傾斜はだんだん急になってきてるから、滑り落ちるスピードはだんだん上がっていくよ。
【ジャニオス】 ほんなら〈フォーリング・コントロール〉や。(ころっ)かかった。
【GM】 では、ゆっくり滑りながら、やがてゆっくりと宙に飛び出しました。そこは地下の空洞のようです。ジャニオスが出てきたのは、はるかに高い岩天井の穴から、ということになるな。
【ユーリ】 〈フォーリング・コントロール〉がかかってなかったら、死んでたんとちゃうん。
【ハニィ】 うまいこと魔法使いから落ちたもんやな。
【ジャニオス】 あたりまえよ。すべて計算し尽くされた行動やからな。
【GM】 それはさて置き、その地下空洞はかなり広く、地下水が流れる川もあります。水の流れは西から東、空洞は川に沿うように東西に続いているようです。その先はライト・メイス・ライトの光も届かず、闇に閉ざされてる。
【ジャニオス】 とりあえず「エリオも降りてきてや〜。大丈夫、大丈夫」って叫ぶ。
【エリオ】 その声を信じて、穴に入って滑り降りる。俺が見えたら、ちゃんと〈フォーリング・コントロール〉をかけてや〜。
【ジャニオス】 大丈夫、大丈夫、ギュッとスピードが落ちるから。(ころっ)成功。
【エリオ】 すごい上下Gがかかるんやろな。そこでエリオは、足に力を入れて筋肉を収縮させて血管を細め、上半身から血液が少なくなるのを防ぐんやね。
【ジャニオス】 いろんな技が駆使されてるで〜。
【GM】 はいはい、エリオも無事に地下洞に出ました。リーナスさんも穴から姿を現すよ。
【ジャニオス】 そこを見計らって〈フォーリング・コントロール〉! (ころっ)成功。
【GM】 ではエリオたち3人は、地下水脈が流れる謎の地下洞窟に降り立った。しかし、力押しやな、キミらは。
【ジャニオス】 何を言う。このスリルがたまらんのやないか。
【エリオ】 いまの場面で視聴者の視線は画面に釘付けに。
【GM】 なるかッ、そんなもん! で、川上か川下か、どっちに進むねや?
【エリオ】 川上やな。
【GM】 了解。では、ここらへんでユーリたちの場面に切り換えましょか。
【ハニィ】 やっと出番や。

ユーリたち、砦で捕らえられる事

【GM】 ユーリたちは、ヴァイス王国の王都ヴァイスに来ています。ま、レンベーヌ王国との関係が悪化しておるので、街に入るときには、普段よりもきつめの職務質問を受けたりもしましたがね。
【ユーリ】 ほんなら、盗賊ギルドに行ってレイクの情報を聞く。
【GM】 「さあな、そんな奴を見かけたことはねえな」と言われます。
【ユーリ】 ちっ。ついでに聞くけどさぁ、パドニカって変な街?
【GM】 『変な』ってどんなんか知らんけど、平凡な、林業が主体の街ですわ。
【ハニィ】 レイクはそこに何しに行ってたんやろ。
【ユーリ】 とりあえず、ヴァイスでは何もなさそうやから、さっさとパドニカに行こ。パドニカって入りやすい?
【GM】 うんにゃ、厳しいと思うよ。レンベーヌ王国に占領されたパドニカは、いまやレンベーヌの前線基地扱いやからね。
【ユーリ】 一般旅行客とか入るんムリなん、もう?
【GM】 ムリも何も、街道沿いに進んでたら、パドニカに着く前にどこかで止められる可能性が高い。
【ユーリ】 じゃあ、裏道とかある?
【GM】 そりゃ、街道をはずれたらすべて裏道やわな。ただし、とうぜん危険は増すよ。特にクラウシュト大森林なんて通りよったら、命の保証はないな。
【ユーリ】 ほんなら、とりあえず街道沿いに進むわ。街道を通ってパドニカに行ってみる。
【GM】 では、テクテク歩いて15日ほど行くと、行く手に砦が築かれてあるのが見えます。レンベーヌ王国の旗がたなびいているので、レンベーヌ軍の砦なんでしょう。
【ハニィ】 そんな、道の真ン中に砦なんか作ってええん?
【GM】 ええも悪いも、国の存亡がかかっとんやから関係あるかぃな。敵の軍隊が通りやすいところに障害物を作るのが目的なんやし。
【ユーリ】 とりあえず、その砦を通してもらお。アカンかったら、横道にそれて進も。
【GM】 砦を通ろうとすんのね。とうぜんのように、レンベーヌ兵4人に阻まれました。
【ユーリ】 ほんなら「パドニカに行きたいんですけど」って言う。
【GM】 「ヴァイスから来た者が、我が領地パドニカに何の用なんだ?」
【ユーリ】 「弟に会いに行くねん」って答える。
【エリオ】 「そうかい、なら通してやってもいいぜ。それなりの礼を尽くしたらな」
【GM】 ──と、兵士は指で賄賂を要求するんですな。
【ユーリ】 なんぼいるんかな。
【エリオ】 「そうやなぁ、ひとりあたま250フィスだな」
【GM】 兵士は4人いるから、合計で1000フィスってことやね。
【ジャニオス】 高い通行料やな。
【ハニィ】 ホンマじゃ、全員で5フィスにしとけ。
【エリオ】 「そうかい、そんなら帰んな」
【GM】 ──と、まあ、そうなりますわな。だって通すも通さんも、このひとたちの胸のうちひとつやで? 彼ら下っ端の兵士は、こういうときに稼いでるんやから。
【ユーリ】 まあ、ええわ。うちが払うとくわ。
【エリオ】 「ヘヘッ、毎度! じゃ、10メートル進んでええわ」
【ユーリ】 は?? なんで10メートルなん?
【ハニィ】 これでこの砦は突破やろ。もう、パドニカに行くで。
【GM】 いや、兵士役のエリオくんのセリフは、図らずとも当たってるんやわ。ユーリたちは、兵士のひとりに先導されて砦を進むんやけど、10メートル行ったところで騎士様が登場した。「待て! そいつらは何者だ」
【ハニィ】 「ただの旅人です」
【GM】 「旅人ならば、我がレンベーヌ王国が発行した通行証を持っているだろう。それを見せてみろ」
【ユーリ】 そんなん持ってない。作って。
【GM】 『作って』って、「はい、どーぞ」というわけないでしょうが。ここは検問する場所であって、とくにヴァイス方面から来る者はスパイの可能性があるから、厳しく目を光らせてるんやで。
【ジャニオス】 その割には、賄賂で通しかけよったけどな。
【GM】 あの下っ端たちは、あとで大目玉くらうんやろ。で、どーすんの?
【ユーリ】 どないすっかなぁ。やっぱり、街道をそれたほうがよかったんかな。
【ハニィ】 山とかを通って行けば、モンスターはおるかも知れんけど、とりあえずパドニカには行けるもんな。
【GM】 そんな保証はないよ。山は山でレンベーヌ兵が山狩りしてるもん。
【ジャニオス】 そんなん、スパイが素直に街道通るわけないからな。
【エリオ】 山で見つかったら、警告なしに攻撃されるかも知れんで。
【GM】 その可能性は非常に高いね。レンベーヌ王国に組み込まれた狩人たちも、いまは狩りではなくて、そうした山狩りの手伝いで生計を立ててるよ。で、騎士様はユーリとハニィを、思いっきり疑わしい目で見てはるけど?
【エリオ】 賄賂や。
【ユーリ】 賄賂か。
【エリオ】 そう、賄賂。──ニヤリ。
【ユーリ】 じゃあ、また、賄賂を渡す。こんどは奮発して450フィス!
【GM】 ……もう、即、捕まりますわ。
【ユーリ】 なんでやねん!
【ハニィ】 さっきの兵士は通してくれたのに! 賄賂、返せ!
【エリオ】 「い、いや、私は賄賂なんて知りません!」
【GM】 ──と、慌てふためく4人の兵士たちも、一緒に更迭や。とりあえず、ユーリとハニィは木組みの格子の簡易牢に閉じ込められました。ちなみにふたりは一緒の牢ね。
【ユーリ】 えー、なんで? 賄賂いらんの?
【GM】 あのなぁ、普通は騎士ってもんにそんなこと通用せんのよ。
【エリオ】 うひゃひゃひゃひゃ。
【ジャニオス】 うまいこと騙されおったわ。
【ユーリ】 あーッ!! ムカつく〜!
【エリオ】 ええやん、砦に入れたんやから。
【ジャニオス】 何のためのシーフ技能よ。牢から脱出すれば、そのまま砦を抜けてパドニカに行けるやろ。
【ユーリ】 ハニィがおるもん。
【ジャニオス】 そんなん、うまいこと連れて逃げたったらええだけの話やないか。
【ハニィ】 そんなことできるかなぁ。
【ユーリ】 とりあえずさ〜、牢屋の見張りって何人?
【GM】 ひとり。ちなみに、時間は夜になってるよ。
【ユーリ】 その牢番って、鍵持ってる?
【GM】 腰に鍵の束がさげられているのが見える。
【ユーリ】 ハニィ、倒れろ。仮病を使って、牢番をこっちにおびき寄せるねん。
【ハニィ】 バタン! 「う〜ん、痛い。お腹が痛い」
【GM】 牢番が木組みの格子に寄って来て、「なんだ、どうしたんだ」。
【ハニィ】 「お腹が痛いんですぅ」
【ユーリ】 そこで牢番に〈スリープ〉。(ころっ)寝てよ。
【GM】 バタン、「ZZZ……」。
【ユーリ】 じゃあ、手を伸ばして牢番の腰から鍵を取って、格子を開けて牢から出て、そいつの来てる鎧を取って、ハニィに着てもらう。うちは〈インビジビリティ〉で姿を消すから。それから、牢番を牢屋に入れてマントをかぶせて顔を隠して、鍵かける。
【GM】 ほんでどーすんの?
【ユーリ】 さっさと逃げ出す。
【GM】 建物の外に向かうわけね。外を目指して建物内をウロウロしてたら、何人かのレンベーヌ兵とすれ違ったりする。
【ユーリ】 無視。でも、偉そうなひとには頭を下げといてよ、ハニィ。
【GM】 そんなこんなで、建物の外に出られたよ。外にも兵士がいっぱいいるけどね。
【ハニィ】 まあ、それはだいじょうぶやろ。
【ユーリ】 で、この砦は塀とかで囲まれてるんですか、GM?
【GM】 いや、塀ではなく、木組みの柵に囲まれてる。
【ユーリ】 柵やったら、隙間からニョロリンと出られへん?
【GM】 出れるようなら、敵兵を止めることができんと思うけど……。とりあえず、柵を登って越えることはできる。でも、姿が消えてるならともかく、そうでなければ、警備兵に発見される可能性は非常に高いよ。
【ユーリ】 でも、夜やから見つかりにくくない?
【GM】 確かに昼間に比べたらそうかも知れんけど、あちゃらこちゃらに松明が煌々と燃えさかってるんやから、「闇に紛れて」というわけにはいかんよ。
【ユーリ】 いちばん暗そうなとこを見つけて、そこから出よう。
【ハニィ】 じゃあ、あたしが巡回する警備兵のフリして、そういう脱出しやすそうなところを探す。
【GM】 じゃあ、サイコロ振ってみ。──ほんじゃ、「ここなら見つかりにくいかな」というような場所を見つけたよ。
【ユーリ】 ほんならな、そこで長さを4倍に拡大して、〈トンネル〉の魔法を使う。塀をくぐる地下トンネルを作るねん。(ころっ)できたよ。
【GM】 なら、砦から脱出できた。
【ユーリ】 そんじゃあ、パドニカに行く。
【GM】 了解。では、パドニカにご到着〜。しかし、やはり街門で衛兵に呼び止められる。この街もいまは殺気立ってるからね。
【ユーリ】 やっぱりパドニカにも、普通には入られへんの?
【GM】 うん、前回の砦と同じことですわ。
【ハニィ】 やっぱり、通行証がいるんか。
【ユーリ】 一般人って通行証持ってへんの?
【GM】 持ってないよ。街の住人ですら、いまは街の出入りを自由にできない。ま、戒厳令が敷かれているような状態やと思うて。通行証があるにはあるけど、それをもらえるのはごく限られた人間だけ。
【ユーリ】 どんなひとがもらえるん?
【GM】 まあ、国政の重鎮、軍関係の偉いさん、裏金がたくさん積める金持ち等々ですわな。
【ユーリ】 そのうちのどれかから通行証が盗めたらええんやけどなぁ。
【ハニィ】 もう、どうしょう……。
【GM】 じゃあ、しばらく悩んどき。エリオたちの場面に移るから。

エリオたち、混沌と戦う決意をする事

【ジャニオス】 こっちの番やな〜。
【GM】 そうですよ〜。エリオたち3人は、地下の洞窟をどんどん進んでおります。どのくらい進んでるかと言うと、この暗い洞窟の中ですでに2日が過ぎてるぐらいなんやわ。
【ジャニオス】 おう。そして、その行き着く先には!?
【GM】 終点には、石造りの建物がありました。地上で見た神殿と同じくらいの大きさかな。ちなみに古いには古いけど、崩れてたりはしません。
【エリオ】 これは何や、夢で見た神殿と同じか、リーナス?
【GM】 リーナスは頷きます。
【エリオ】 では、神殿の扉を不用意に開ける。
【GM】 それなら不用意に開いた。
【エリオ】 不用意に開いたので、不用意に入る。
【GM】 すると、部屋に不用意に明かりがつく。ちなみにかなり広い部屋で、その中央に、中年の男性が立っています。そして「混沌と戦う意志のなき者は、すぐにここから立ち去るがよい」と、語りかけてきます。ちなみに、その男性は幻影のようですね。
【ジャニオス】 これは混沌と戦わなアカンみたいやな。「立ち去らない!」
【エリオ】 「俺は混沌と戦うぜ〜」
【GM】 ──と言うとですね、その男性は消えてしまいます。それと同時に、奥に向かって右側の壁に両開きの扉が出現します。
【エリオ】 つまり、あの扉の向こうに試練が!
【ジャニオス】 敵がおるわけやな!
【エリオ】 というわけで、不用意にその扉を開けるで。
【GM】 すると、扉の向こうは廊下で、突き当たりにはやはり両開きの扉が見える。ちなみに廊下の床は、白と黒の市松模様ね。
【エリオ】 それなら、白の部分だけを踏んで進む。黒は敵の色やから、罠や。
【ジャニオス】 そうなん? じゃ、僕もそうする〜。
【GM】 リーナスもそれに従い、3人は無事に廊下の突き当たり、扉の前に着いた。
【エリオ】 バーンと扉を開ける。さあ来い、混沌!
【GM】 え〜、まず、扉の向こうはさっきよりも広い部屋です。
【ジャニオス】 お〜? 外から見た感じでは、この建物、こんなに大きかったか〜?
【GM】 いや、明らかにおかしいね。外見上では、最初に男性の幻影に語りかけられた部屋ぐらいの大きさの建物やったから。
【エリオ】 つまり俺らは、魔空間に引きずり込まれたんや。で、その部屋に混沌はおるんか?
【GM】 うんにゃ、何もない部屋ですな。そして、エリオたちが入ると、途端に暗くなった。ただし、真っ暗というわけではなく、天井や壁の上部には夜空の星のように小さな光が瞬いています。
【エリオ】 プラネタリウムか! じゃ、待っとけば夜空の説明が始まるな。「東の空をご覧ください。朝日が昇って参ります──」
【GM】 いきなり終わってもてるがな。でも、はずれではないんやな。しばらく夜空を眺めてると、東かどうかは知らんけど、入ってきた扉から見て右手側がしだいに明るくなり、朝日が昇ってきた。
【エリオ】 ホンマにプラネタリウムやったんや。
【ジャニオス】 いったい何なんや。わけわからんから、ボーっと見とく。
【GM】 するとね、太陽はず〜っと移動して、やがて、夕暮れを迎えます。その間、約十分。そして日は沈み、すべての映像が消えて、ただのガランとした部屋に戻った。そのとき、先ほどの男性が現れて「乙女は夕日を見送り、獅子は朝日に咆哮する」と言う。
【ハニィ】 乙女座と獅子座や!
【GM】 いや、この世界には星座なんてものは存在してへんよ。少なくとも、我々の現実の世界と同じ星座は。で、おっちゃんは消えて、左右の壁──プラネタリウムの太陽の動きでいうところの東と西の壁に扉がひとつずつ現れた。
【ジャニオス】 じゃあ、西の扉に行く〜。
【GM】 すると、その向こうは通路になっており、突き当たりに扉があった。
【エリオ】 扉をガンガン開けて入る。
【GM】 中は小部屋ですね。その部屋の中央には台座があった。台座には、ライオンの像が背を向けて鎮座しています。
【エリオ】 それは回したりできそう?
【GM】 できそうです。
【エリオ】 ほんなら、入ってきた扉のほうに向けさせよう。これで大部屋の朝日が昇ってくる壁と向かい合うことになるんやろ。
【ジャニオス】 ほんで大部屋の東の扉の向こうにも行ってみる。
【GM】 はいはい、造りは先ほどと同じようなもので、通路があり、その突き当たりの扉の向こうは、乙女の像がある小部屋になっとるんですな。乙女も背中を向けています。
【エリオ】 回す、回す。夕日を見送れるように。
【GM】 すると、大部屋の北の壁に扉が現れた。
【エリオ】 その扉をガーンと開ける。
【GM】 扉の向こうは、また白と黒の市松模様の床の通路。その突き当たりには扉がある。
【エリオ】 「みんな、白を踏め〜!」と言いながら、突き当たりの扉まで行って、開ける。
【GM】 扉の向こうは、プラネタリウムの部屋と同じ大きさの部屋です。入ってきたところも含めて、この部屋の四方の壁にひとつずつ扉があります。
【ユーリ】 正面の扉がボスっぽい。
【ジャニオス】 とりあえず、この部屋に入ってみる。何か現れへんか。
【GM】 今度は何も現れへんよ。
【ジャニオス】 ほんなら、さっきの部屋で言うところの、太陽が昇ってくる壁の扉を開けてみる。
【GM】 その向こうには通路が伸びていて、その先に扉が──。
【エリオ】 ──開ける。
【GM】 中は小部屋で、1体の女神像があります。
【ジャニオス】 おう、何かわからんから、ここは保留やな。
【エリオ】 じゃあ、さっきの部屋で言うところの、日が沈む壁の扉の向こうに行く。
【GM】 やはり通路が伸びていて、その先に扉があります。
【ジャニオス】 もうガンガン開けるで。
【GM】 はいはい。扉を開けると小部屋になっていて、そこには、天井に頭がつかえるほどの巨人がいました。ちなみに、その背中から12本の腕が生えてます。
【ジャニオス】 さては、奴やな。[知識]チェック、(ころっ)わからん!
【GM】 正体不明の巨人は、「立ち去れ」と言うてます。
【エリオ】 じゃ、扉を閉めて立ち去る。
【ジャニオス】 ほんなら、最後に残った北の扉に行くしかないな。行った。
【GM】 市松模様の廊下が続いてて、その先に扉がひとつ。
【ジャニオス】 いつもどおり、白の床だけを踏んで行った。扉を開けて中に入った!
【GM】 中はプラネタリウムの間と同じ広さの部屋で、アイアン・ゴーレムが1体います。
【エリオ】 扉を閉める。
【ジャニオス】 さ、どっちからやっつける? 巨人か、ゴーレムか。
【エリオ】 とりあえず、巨人の部屋の前まで行こう。ほんで扉から顔を覗かせて、「なぁ、なぁ。何しとん?」ってエリオ的に声をかける。
【GM】 ほんなら、「現れた者と戦うためにここにいる」みたいな答えが返ってくる。
【エリオ】 「誰にそうせえって言われたん?」
【GM】 え〜、……「セルマ」。
【ハニィ】 聖者セルマか!
【ジャニオス】 ってことは、さっきから現れては何か言うてたおっさんが、セルマやな。流れ的には。
【エリオ】 「で、おまえを倒さんと先に進まれへんのん?」
【GM】 「そんなことは私は知らない」
【エリオ】 知っとけよ! 腕、12本もあるくせに。
【GM】 何の関係があんねん!
【ジャニオス】 とりあえず、奴を何とかせな先に進まれへんのやろ。ほんじゃあ、僕が〈シェイプ・チェンジ〉でセルマに化けて、奴を騙したろか。さっきセルマの姿を見てるしな。
【GM】 あれがセルマかどうかは知らんけど、まあ、2回も見てるし、さっきの男性に化けること可能です。
【ジャニオス】 〈シェイプ・チェンジ〉(ころっ)変身した。ほんで、ちょっと離れた位置から、巨人に「やあ」って言う。
【GM】 「おお、これはこれは、セルマどの」
【ジャニオス】 「おまえ、ここで何してたんやっけ?」
【GM】 「なにをおっしゃいます。セルマどのに頼まれて、ここにおるのではないですか」
【ジャニオス】 「わし、どんなこと頼んだっけ?」
【GM】 ボケたんかぃッ!! 「おお〜、セルマどのぉ〜」
【ハニィ】 巨人に「もう帰ってええよ」って言うんや。
【ジャニオス】 どこに帰すんよ。それより「あのアイアン・ゴーレムをやっつけてくれ」って言えばええねん。
【エリオ】 6回攻撃の巨人か、鉄壁の防御のアイアン・ゴーレムか。世界ヘビー級王者決定戦が執り行われるんや。
【ジャニオス】 こいつは見物やな。
【GM】 巨人は「はあ、セルマどのがそうおっしゃるのならば……」と言って、釈然としない様子ながらも、アイアン・ゴーレムのいた部屋に移動したよ。そして、決戦のゴングが鳴るんやな。──いったい、何をさせられとんねん!

 というわけで、GMのひとり上手の巨人大決戦が始まり、神聖魔法で自らの傷を癒せる12本腕の巨人が、辛くも勝利の栄光を掴んだ。

【GM】 アイアン・ゴーレムは、鉄の固まりと化した。すると、例のセルマの映像が現れる。「強き意志と肉体を持つ者よ。恐ろしき混沌を打ち払って欲しい」と言い、セルマは消えた。
【ユーリ】 でも、巨人は混乱してるんとちゃう?
【GM】 そうやな、「なんだ、いまのは……。セルマどのがふたり?」って言うとこか。
【エリオ】 「気にするな。あれは幻影で、いま、デバックしててん」
【ジャニオス】 「部屋に戻ってよしっ!」
【GM】 ……じゃ、巨人は元の部屋に戻って行った。
【ユーリ】 うわ、かわいそー。思いっきり騙されてる。
【エリオ】 フッ、知恵と勇気でこの試練を乗り切ったぜ。
【GM】 ま、そういうことにしといたろ。ところでセルマの映像が消えると、奥の壁の一部がスライドして、隠し部屋への入口が現れたよ。
【ジャニオス】 よっしゃ、隠し部屋に行ってみよか〜。
【GM】 その部屋には、さまざまなものがありますわ。武器やら、防具やら、宝石やら、指輪やら、い〜っぱい揃っておりますわ。
【エリオ】 ジャニオス、〈センス・マジック〉やってみ。
【ジャニオス】 した。(ころっ)。
【GM】 ぜ〜んぶ光ってますわ。魔力をビンビン感じるね。
【ハニィ】 やったー! ポンポコポンポコポンポコポンポコ……。
【ジャニオス】 なんでそっちが喜んどんや。そっちはパドニカの街に入られんで、困ってるところやろ。とりあえず、こっちはセルマの神殿で見つけた魔法の物品を山分けしとくから。
【エリオ】 ま、せいぜい頑張ってくれや。
【ユーリ】 おう、頑張るよ。
【GM】 それでは、パドニカの街の外で足止めを食ってる、ユーリたちの場面に移動しよう。

ハニィたち、お尋ね者になる事

【ユーリ】 あのさ〜、街の反対側の入口に回れませんか?
【GM】 そりゃ、外壁を伝って行けば、回れるよ。でも、回ったとこでどうすんの? 街門はどの位置にあっても警備は厳しいんやから。
【ハニィ】 けっきょく、通行証がないと入れんってことやな。通行証って、どこで手に入れられるの?
【GM】 街の中。街の中から外に出る者に対して、発行されるもんやから。
【ユーリ】 街に入るために必要な物が、街の中で作られてるの?
【GM】 外に出た者が帰ってくるためのもの、と考えてくれたらいい。
【ハニィ】 これはもう、誰かから奪うしかないな。
【ユーリ】 通行証持ってそうなんは、国や軍の偉いさんと金持ち商人やねんな。じゃあ、商人とかの娘をたらしこんだろか。
【ハニィ】 商人が街から出てくるの待つ?
【GM】 う〜ん、いまは戦争中やからねぇ。そういう金持ちとか、組織の上層部とか、保身を第一に考えてそうな連中がわざわざ外に出てくるとは思えんけど。
【ユーリ】 ほんならな、ここは敵国に近いから、警備が厳しいんやろ? 本国に近い街なら、入りやすいんとちゃう?
【GM】 まあ、そうかも知れんわな。
【ユーリ】 じゃあ、ラーナに行きます。そこで何とかして、レンベーヌ王国の通行証を手に入れる。
【GM】 それでは、20日かかってラーナに着きました。……いったい、どこまで来よるねん。
【ユーリ】 どない? 入れそう?
【GM】 やはり街門に警備兵がいて、「何者か」「何の用か」といったようなことを尋ねられるよ。
【ハニィ】 で、入れてもらわれへんと。
【GM】 イエス。
【ユーリ】 あー、もう、王都まで行ってしまお。ローベンとかいうところは通過して、王都のエルゼクまで行く! 入れますか!
【GM】 そうやな、直接の戦場にはなってないことやし、王都になら、多少の職務質問を受けた後で入れたことにしよか。
 では、ラーナを出て30日後、レンベーヌ王国の王都エルゼクに入りました。ちなみにね、時間的にはエリオたちがセルマの神殿で宝物を発見してから、2ヶ月以上が経ってると思うてちょうだい。ユーリたちは、移動だけでかなりの時間を過ごしてるから。
【ハニィ】 同時進行やに、ややこしいな。
【GM】 ややこしくしてんのはあんたらや! で、エルゼクの街でどーすんのよ。
【ユーリ】 盗賊ギルドに行って、「通行証って、どうやったら手に入れられるんかね。裏ルートで」って尋ねる。
【GM】 ……(ころっ)「通行証の裏取引ねぇ。ところで、あんたはどこの何者なん?」
【ユーリ】 え?? 「ボアから来てん」
【GM】 「ボア! へえ、じゃあ南ルートから来たんや」
【ユーリ】 「うん」
【GM】 「そうか、そうか。大変やったな〜」
【ハニィ】 苦労したで〜。どこの街にも入られへんもんなぁ。
【GM】 それはそうと、「裏取引はちょっと難しいんじゃないかなぁ」だそうです。
【ハニィ】 「偽造できないのかねぇ、盗賊ギルドの技術で」
【GM】 「うちではムリだな」
【ユーリ】 じゃあ、「通行証を持ってそうな商人っておる?」って聞く。いちおう、50フィス渡しながら。
【GM】 それなら、「これこれこういう商人なら持ってるだろう」と教えてもらえた。
【ハニィ】 じゃ、その商人のところに行こう。盗み出すんや!
【GM】 ユーリとハニィは、教えられた商人の家を目指して、エルゼクの通りを歩いてます。すると、後ろから衛兵15人、騎士3人が、ガチャガチャと近づいてくるよ。
【ハニィ】 そんなん無視するで。
【GM】 しかし、向こうはキミらを無視しない。「騎士様、あいつらでさぁ」という声の持ち主は、さっき盗賊ギルドで会った盗賊。そして、キミらは取り囲まれた。
【ユーリ】 なんでやねん〜。
【GM】 あなた、さっき不用意にシラっといらんこと言いよったでしょ。
【ユーリ】 『南ルート』って言うたこと? あれがアカンかったんか!
【ハニィ】 逃げよか。
【ユーリ】 でも、ヘタに逃げようとしたりしたら、余計にやばいかも。この国におられんようになるかもよ。
【GM】 だいいち、キミらがこの囲みを突破できるかどうかも怪しいしな。
【ハニィ】 もうええわ、捕まったるわ。
【GM】 ほんなら、騎士のひとりが「南から来たそうだな。一緒に来ていただこう」と言って、キミらを連行します。
【ハニィ】 そんなら、「あたしら、やましいところはありませんぜ」って顔でついて行こう。
【GM】 じゃ、ふたりは衛兵の詰所にある地下牢にぶちこまれた。今度は、鉄格子が嵌まったしっかりした造りの牢屋ね。。それからとうぜん、ユーリとハニィは別々の牢屋に入れられたよ。ユーリの牢の隣がハニィの牢。
【ハニィ】 うっそー!?
【エリオ】 なに? いま、そっち、どーなってんの?
【ハニィ】 捕まってんねん。
【ジャニオス】 またかいな。
【ユーリ】 今度はもっとすごいとこやで。レンベーヌの王都の騎士に捕まってん。
【エリオ】 レンベーヌの王都?? ……何しに行ったん。
【ユーリ】 いろいろあったの!
【GM】 もう、どないでもしてくれって感じやわ。
【エリオ】 いちおう、おまえらへの宝物も持って帰ったるつもりやねんから、生きて帰ってこんと分け前ないぞ。
【ジャニオス】 それどころか、キャラクター作り直しやな。
【エリオ】 まあ、公開処刑とかにされるんなら、うまくすれば助けてやれるかも知れんけどな。
【ユーリ】 そこまでいかへんやろ。おとなしくしとけば、助けてもらえるって。
【ハニィ】 そうやな、「南から来ただけや」って説明すればええねん。あたしら別に、何も悪いことしてへんのやし。
【ユーリ】 じゃあ、取り調べが来るまで待っとこ。
【GM】 待つのね。でも、取り調べなんてないよ。
【ユーリ】 なんでやねん、話、聞きに来いや。
【GM】 『来いや』言われても……。2、3日待ってみる?
【ハニィ】 待ってみる。
【GM】 じゃあ、偉そうな太鼓腹の髭のおっさんがやって来て、「貴様たちの処刑は、3日後に決まった」と宣告します。
【ハニィ】 は?? 処刑!?
【ユーリ】 うっそー!! うちら、南から来ただけやん!
【ハニィ】 「あたしら何もしてません!」って言う。
【GM】 何もしてない? 嘘を言うたらアカンわ。盗賊ギルドで「裏ルートで通行証が欲しい」だの、「通行証を偽造してくれ」だの、さんざん言うてたんは、どこのどいつや。
【ハニィ】 そんなん、通行証がないとパドニカに入られへんやんか〜。
【GM】 そうや、入られへんで。だからといって、通行証の裏取引や偽造が許されるのか? しかも、敵対してる国方面から来た人間が、そうしようとしてたんやで?
【ユーリ】 くっそ〜、あいつ、裏取引を頼んだことまでチクったな〜!
【エリオ】 そのチクった謝礼で、いまごろよろしくやってるんやろな。
【ユーリ】 ムカつくー!!
【ハニィ】 もう、これは逃げなアカンわ。
【GM】 そうやろな。そのために期限を設定してやったんやから、頑張って逃げてや。
【ユーリ】 その地下牢の壁って、何でできてんの?
【GM】 石やね。石を積み重ねて築かれています。
【ユーリ】 ほんなら〈トンネル〉が使えるな。じゃあ、夜になったら〈トンネル〉で壁に穴を開けて、ハニィの牢屋に行く。それから地上に〈トンネル〉で出る。
【GM】 では、夜になりました。
【ユーリ】 〈トンネル〉(ころっ)できた。
【GM】 それならハニィの部屋に行き、そこから地上への脱出経路を作れました。
【ユーリ】 まだ外には出ないよ。〈インビジビリティ〉で姿を消して、外の様子を見てみる。
【GM】 夜ということなので、外は闇と静寂に包まれております。
【ユーリ】 じゃあ、ハニィに「来い来い」って言う。
【GM】 では、ふたりは外に出ました。静寂に包まれてるというても、巡回する衛兵はいるからね。いまも、向こうの角からランタンに揺れる光と、カツカツという革靴の響きが聞こえてきたりしてる。
【エリオ】 そこで観客は「ユーリ、後ろ、後ろ〜!」って叫ぶんやな。
【GM】 ドリフの舞台コントやないんやから。ま、衛兵はユーリたちには気づかず、そのままどこかに行ってしまったけどね。
【ユーリ】 ほんなら街壁のとこまで走る。街壁も石でできてる?
【GM】 そうやね、頑強に作られておりますわ。
【ユーリ】 そんなら、もう1回〈トンネル〉。(ころっ)できた。街の外へ脱出して、ラキスからカストア経由でヴァイスまで戻る。
【GM】 はいはい。でも、ラキスやカストアの街には入られへんからね。
【ハニィ】 そんなもん、入ろうとも思わん。野宿で過ごす。
【GM】 では、ヴァイスに戻って来ました。
【ハニィ】 やったー!! 死ぬかと思った〜!
【ユーリ】 くっそ〜、〈テレポート〉が使えれば……。
【エリオ】 弟は使えとったよな。
【ジャニオス】 できの差やな。
【ユーリ】 うるさいわっ!
【ハニィ】 でも、もうレンベーヌ王国には入られへんな。
【ユーリ】 お尋ね者になってるかもよ。
【エリオ】 賞金首とかな。
【ジャニオス】 次から次に敵が来るぞ。賞金首なら。
【ハニィ】 最悪や〜!
【ユーリ】 もういや〜! アスリアに戻る。シルファス神殿のレクターのとこに行く。
【エリオ】 そこには、3ヶ月前に冒険を終えたエリオとジャニオスがおるから。ついでに光る奴もおってええわ。
【ジャニオス】 すっかり自宅やな。
【エリオ】 そりゃ、俺だってファノンにはもう戻れへんからな。
【GM】 で、皆さんはじつに3ヶ月ぶりの再会を果たしたわけね。
【ジャニオス】 「やあ、何してたん〜?」
【ユーリ】 指名手配されてきたわ。はっはっは!
【GM】 ……クラウシュト大森林のまわりを、3ヶ月もかけて1周した成果がそれかぃ。ドっと疲れが出たわ。
【ジャニオス】 こっちの成果はでかいぞ〜。魔力プラス2の杖やろ、魔晶石やろ。
【エリオ】 俺はプラス1ソードに、プラス1プレート・メイル、回避にプラス2の指輪。優しいエリオは、ハニィにプラス3アックスをやろう。ユーリには投げても手元に帰ってくる、リターン・ダーツ。
【ハニィ】 ありがとう。
【ユーリ】 サンキュー。
【GM】 ま、そういうふうにワイワイやってると、レクターさんから「ラトゥーリのリンツ大神殿で、大司教派と、反大司教派とがゴタゴタやってるらしい」というような情報が、もたらされます。
【ジャニオス】 え〜? ゴタゴタしてんのん〜? そんなん、もう次回でええわ。
【GM】 じゃ、今日はここまでということにしときましょか。

÷÷ つづく ÷÷
©2001 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2001 Jun Hayashida
Map ©2001 Moyo
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