≪REV / EXIT / FWD≫

§竜婚の贄姫:第1話§

北の倉庫の怪

著:龍神裕義 イラスト:林田ジュン
▽ サイレント・パブでつかまえて ▽ 冒険者よ、北へ

サイレント・パブでつかまえて

【GM】 それじゃ、始めよか。キミたちのキャラクターを紹介してくれ。
【プレイヤー1】 あたしのキャラの名前は、フィナーレ。魔術師&吟遊詩人の、ハーフエルフで〜す。
【プレイヤー2】 私のは、牙皇子。幻のドラゴンプリーストということで。
【GM】 なるほど、ドラゴンプリーストね。では、このわたくしが作った竜語魔法を差し上げましょう(この当時はまだ、公式の竜語魔法がなかった)。
 さて、キミたちはいま、メカリア王国の王都メカリアの一角にある、『サイレント・パブ』という酒場にいます。キミたちふたりが夕食をとってると、すぐそばの席でエルフとドワーフがケンカを始めた。さあ、どうるする?
【フィナーレ】 そばでケンカされるのは、めーわくだな〜。
【牙皇子】 ま、私はひとの喧嘩を止めるようなガラではない。しかし、うるさいので行ってこい、フィナーレ。
【フィナーレ】 エルフとドワーフに、あたしがハーフエルフか……。
【牙皇子】 早く行け。
【フィナーレ】 「ハーフエルフの分際で」って言われたらおしまいだから、そのときは牙皇子、お願いね。あたしは止めに入ります。
【GM】 何と言って、止めるんだい?
【フィナーレ】 「ふたりとも、喧嘩はやめなさい」
【GM】 「なにぃ、うるさいんだよ! ハーフエルフの分際でッ」ボカっ!
【フィナーレ】 キャイン。
【牙皇子】 「待て〜い、きさまら!」
【フィナーレ】 ああん、牙皇子ぉ〜。
【牙皇子】 き、気持ち悪い声出すなよ。
【GM】 まったくだ。さて、『きさま』と来たか。何かな?
【牙皇子】 「そこのヒョロヒョロと耳の長いモヤシ野郎に、肥溜めで生まれたブタ野郎! ケンカなら、表でやらんかぃ!」
【GM】 「くくぅ〜、誰がブタ野郎だ。よくも言ってくれたなッ」バシッ!
【牙皇子】 「フッフッフ……私を怒らせてしまったな。きさまら、死というものが怖くはないか? 地獄で後悔しろッ」〈キュアー・ポイズン〉ッ!
【フィナーレ】 (軽く無視して)その人達って、鎧をガチガチに着込んでる?
【牙皇子】 う、うけない?!
【GM】 (軽く無視して)いや、そこまで完全武装で酒場に来る奴なんていないでしょう、ふつう。彼らは旅人ではあるみたいだけど、冒険者ではなさそうだ。
【牙皇子】 (無視されてムキになってる)やむを得まい、〈フォース〉2倍消費ッ!!
【フィナーレ】 〈フォース〉よりも、竜語魔法の方が強いんじゃないの?
【牙皇子】 本当だ。じゃあ〈ファイアブレス〉! (ころっ)エルフに15発、ドワーフに13発のダメージを与えたぞ。
【GM】 「アチアチ! よ、よくもやってくれたな」。エルフとドワーフは、その辺の椅子をつかんで牙皇子に(※)バコッ!!
【牙皇子】 「い、痛いじゃねえか!」(※)ボコッ!!

 (※)10回ほど繰り返し。

【フィナーレ】 はあ……。ダンダンダン〈ダンス〉。
【GM】 ほほう、バードの呪歌〈ダンス〉ですか。やってみなさい。
【フィナーレ】 (ころっ)バード技能レベル+精神力ボーナスだから……13。
【GM】 目標値は13ということだね。では牙皇子、[精神力抵抗]してくれたまへ。
【牙皇子】 えっ、なにぃ?
【GM】 決まってるじゃないか。キミは耳を押さえてなかっただろ。呪歌は聞いた者すべてに見境なく効果をあらわすから、フィナーレの歌を聞いたパブの全員が、[精神力抵抗]するんだじょ〜。
【フィナーレ】 がんばってねぇ〜、キバちゃん。
【牙皇子】 きさま許さんぞ! (ころっ)失敗した。
【GM】 はい、パブにいるもの全員、踊りはじめたよ。
【牙皇子】 フィナーレ、誰が〈ダンス〉なんかしろと?
【フィナーレ】 だってぇ、収拾つかなかったんだも〜ん。
【GM】 で、フィナーレはどうするつもりだい?
【フィナーレ】 ケンカはやめろって説得する。やめないなら、〈ダンス〉は解いてあげない。
【GM】 とんでもない説得やな。でも、エルフとドワーフは「わかりました。やめま〜フ」と言ってるよ。
【フィナーレ】 じゃあ、解いてあげよーかなぁ。
【牙皇子】 フィナーレ、きさま死というものが怖くはないか? はやく元に戻せ。
【フィナーレ】 〈ダンス〉を解く。
【GM】 じゃあ、エルフとドワーフはおとなしくなったよ。すると、パブの主人がキミたちに近づいてきた。
【フィナーレ】 お礼でももらえるの?
【牙皇子】 やばい、逃げた方がいい。走れ、フィナーレ!
【GM】 勘のいい奴だ。オヤジ曰く、「キミたち、どうしてくれるんだい? この店の中を。みんなが踊ったために、メチャクチャになってしまったじゃないか」。
【フィナーレ】 「ケンカをとめただけだよぉ〜」と言いながら、出口に近づく。
【GM】 ところがどっこい、出口には女将さんがいて、フィナーレは外に出れない。そして主人が言う。「弁償してもらおうか」
【牙皇子】 「もとはと言えば、あのエルフとドワーフが悪いんだろ。なんで私たちに言ってくる?」
【GM】 「何を言うか!」
【牙皇子】 「ほんま殺すぞ、このクソ爺ぃ。いっぺん、死んでみるか?」
【フィナーレ】 よぉ〜し、こうなったら〈ダークネス〉! (ころっ)やった、成功したよ。
【GM】 へっ? 酒場を真っ暗にしてどうするんだい?
【フィナーレ】 逃げる!
【牙皇子】 コラッ、私も連れて逃げんか。
【フィナーレ】 はぁ〜い。
【GM】 ブー!! 無理だな(かなり強引に)無理だな(決意は固く)無理だ。キバちゃんは捕まっている。フィナーレは逃げたことにしよう。
【牙皇子】 ここまで強引になるとは……。「こら、オヤジ。どーせ頼みたいことでもあるんだろう。それなら、正々堂々ときやがれ」
【GM】 ギクッ! ブスぅ!! ザクッ!! オヤジ曰く、「じ、じつはそのとおりだ。じつは、北の森にあるワシの倉庫に、最近スケルトンが出るんだ。それを退治してきたら、今回のことは忘れて、おまえたちを見逃してやろうじゃないか」。
【牙皇子】 「おう爺ぃコラ。われ、自分の立場ちゅうもんを理解してへんな? 報酬を渡すだけのユニットのくせに」
【フィナーレ】 そうそう。たかがNPCのくせに、生意気だよね。地べたに頭こすりつけてあたしたちにお願いするんならともかく、こいつ、頼み方がなってないよ。
【牙皇子】 「ほれ、土下座して敬語を使って頼みなおせ」
【GM】 あのな〜。
【フィナーレ】 まーまー、キバちゃん。とにかく、依頼だけは受けてやろう。経験点が入らなくなっちゃうもん。報酬は、後でイヤと言うほど絞り取ることにして。
【GM】 こいつら……。
【牙皇子】 では、仕事を受けてやろう。感涙チョチョ切らすべし。
【GM】 チョチョ〜。ちなみに真っ暗になった店内は、とあるソーサラーが〈ライト〉の呪文を唱えて、もとのとおりに明るくした。
 さて、仕事を受けると言ったキバちゃん達は、180度態度を変えた酒場の主人に二階の宿屋へ案内してもらったよ。そしてオヤジは、「どーぞ、ごゆっくりお休みくだせぇ」と、揉み手しながらヘコヘコ言った。
【牙皇子】 最初から素直に卑屈な態度で依頼すればよかったものを。
【フィナーレ】 ねー。そしたら、こんな大騒ぎにはならなかったのにね。
【GM】 騒ぎを大きくしたのはキミたちじゃないか。
【フィナーレ】 で、倉庫に現れるというスケルトンは、1体だけなの?
【GM】 オヤジが見たのは、1体だけ。でも、スケルトンを見ていちもくさんに逃げてきたもんだから、どれくらいの数が住み着いてるのか、わからないとのこと。
【牙皇子】 その倉庫というのは、何を保管してるんだ? ここから2時間もかけて行かなきゃならないなんて、不便じゃないのか?
【GM】 そこはね、古代の地下遺跡らしい。遺跡には何らかの魔法がかかってるようで、そこでは食べ物などが腐りにくいそうだ。で、オヤジはそこを食料の貯蔵庫として使っていたんやね。もちろん、荷馬車で移動してたんだけどね。
【フィナーレ】 そこを使ってたのは、ここのオヤジだけ?
【GM】 そう。オヤジは若いころ冒険者をやってて、そのとき見つけた遺跡らしい。「そうさな〜、あれはクラリオン大戦の最中のことじゃった──」
【フィナーレ】 それはいいけど、元冒険者だったら、スケルトンぐらいで驚かないでよ。
【牙皇子】 その倉庫には鍵はかけてなかったんか?
【GM】 いや、ちゃんと鍵はかけてたよ。だからオヤジは、「なんでスケルトンが中にいたのか、わからない」と、首を傾げる。ちなみにいまは、鍵は開いたまま。あわてて逃げてきたから(笑)。
【フィナーレ】 つくづく情けない元冒険者。
【GM】 だって、レベル3でリタイアしたんだもん(笑)。北の遺跡を発見したのだって、ほとんど偶然なんだから。
【牙皇子】 ところで、オヤジがその遺跡を発見したとき、中に魔物はいなかったのか?
【GM】 いや、多少はいたよ。スケルトンが(笑)。
【フィナーレ】 おい。
【牙皇子】 じゃあ、そのときの生き残りだろう。
【GM】 「しかしそれから25年、何ともなかったんだが……」
【牙皇子】 とにかく、倉庫内のスケルトンを一掃してくればいいんだな。
【GM】 ま、そういうこと。他に質問がなければ、翌朝にするよ。

冒険者よ、北へ

【GM】 じゃ、朝になった。
【牙皇子】 では、行こうか。
【フィナーレ】 うん。
【GM】 とりあえず、徒歩だとここから2時間はかかりますね。
【フィナーレ】 2時間というと、食料はどうするの?
【GM】 弁当ぐらい、こちらで用意しましょう!!
【フィナーレ】 なんて優しい。
【牙皇子】 よい心掛けだ。
【GM】 さて、キミたちが森の中を1時間くらい歩いたところで、前からやって来る変な奴に出会います。
【牙皇子】 よく見る。
【フィナーレ】 人間?
【GM】 うんにゃ。2メートルくらいのカブトムシですね。
【フィナーレ】 カブトムシ?!
【牙皇子】 これが──フィナーレさんの描いた、カブトムシですッ!!
【GM】 ジャーン! うぉ〜!!
【牙皇子】 ここにこう角があり、口が4つありますね。
【GM】 背中の線は何ですか?
【牙皇子】 コインを入れるための穴ですね。──貯金箱ですッ!!
【GM】 ここの線が重なって──。
【フィナーレ】 バウワウっ、ガルルル……! 人がシナリオ進めてやってんのに、GMも悪ノリする? ……それで、そいつは敵対的? 好友的?
【牙皇子】 『好友的』ぃ!? 『友好的』だろう。
【GM】 今のはきっと『倒置法』なんだ。
【牙皇子】 しかし『倒置法』というのは──。
【フィナーレ】 お〜い、悪かったよぉ〜。早くしよーよ。
【牙皇子】 さあ、カブトムシ。かかって来くるがよい!
【GM】 「かかって来い」と言ったキバちゃんに2匹行くよ。
【牙皇子】 2匹だとぉ〜!?
【GM】 だって、シナリオにそう書いてるもん。
【牙皇子】 しょうがない。眠らせろ、フィナーレ。
【フィナーレ】 はぁ〜い。〈スリープ・クラウド〉ぉ〜。(ころっ)。
【GM】 す、すばらしい! それは2匹とも眠ったよ。
【牙皇子】 では、無視して通り抜けよう。カブトムシをムシして通るとは、これいかに!?
【フィナーレ】 ひゅうううううぅぅぅ〜(冷たい風)
【GM】 じゃ、カブトムシの横を通り抜けるわけだね?
【牙皇子】 イヤな予感。
【GM】 ふはははは! キバちゃん、回避してくれぃ!! カブトムシが1匹、起きたんだよ〜ん。
【フィナーレ】 何で起きるのッ?
【牙皇子】 (ころっ)命中された。
【GM】 UUUURRRRYYYY!! ダメージ2発ぅ〜! ふあはははッ!
【フィナーレ】 キバちゃん生きてる?
【牙皇子】 あたりまえだ。ダメージは鎧で止めた。
【フィナーレ】 じゃあ、カブトムシに〈エネルギーボルト〉。(ころっ)14発のダメージ。
【GM】 おや、真っ黒こげになりました。
【牙皇子】 これが──GMさんの描いた、カブトムシですッ!!
【GM】 おおー! 素晴らしい!!
【フィナーレ】 いーかげんにしろー! もう1匹いるんでしょ!?
【GM】 眠ってるけどね。
【牙皇子】 無益な殺生は好むところではない。放って行こう。
【GM】 ほぅ、今回は超シリアスに迫ってるね〜。
【フィナーレ】 どこがじゃ! 誰がじゃ!
【GM】 はい、一瞬で着きました! ここが噂の『北の倉庫』です。
【牙皇子】 よし、乗り込むぞ。
【GM】 ソウコなくっちゃ!
【フィナーレ】 ひゅううううぅぅぅぅ〜(冷たい風)
【GM】 ゴメン……。

 ひんやりとした北の倉庫の中は、古代の地下遺跡というだけあって、ちょっとしたダンジョンふうになっていた。
 倉庫内に住み着いたというスケルトンの姿を求めて、牙皇子とフィナーレのふたりがしばらくうろついてると、1体のスケルトンに出会った!

【フィナーレ】 キバちゃん〈ターン・アンデッド〉してよ、ねッ。
【牙皇子】 しょーがないな。では私は〈ターン・アンデッド〉を唱える。(ころっ)かかった。効果は「アンデッド・モンスターは逃げる」。
【GM】 じゃあ、スケトンは逃げ去ったよ。
【フィナーレ】 これでシナリオ・クリアーかな?
【牙皇子】 まあ、いちおう、ダンジョン全てを見回っておこう。

 そして、さらに進む冒険者たち。すると十字路に出た。

【GM】 どっちに進む?
【牙皇子】 私は左へ行くぞ。
【フィナーレ】 あたしは右に。
【牙皇子】 さらばだ、フィナーレ。
【フィナーレ】 さよなら、キバちゃん。
【GM】 頼むから、それだけはやめてくれぇ〜。
【牙皇子】 しょーがない、まっすぐ行くぞ。
【フィナーレ】 ワンワン。
【GM】 まっすぐ行くと、スケルトン2匹と出くわした!
【牙皇子】 今度はお前の番だぞ、フィナーレ。
【フィナーレ】 しょうがないなぁ。キバちゃんってば甘えん坊さんね。
【牙皇子】 きさま、死というものが怖くはないか? さっさとやれ。
【フィナーレ】 じゃあ〈ディスペル・マジック〉。2匹ともにかかったよ。
【GM】 なら、魔法の効果をかき消されたスケルトンは、元の白骨死体に戻りました。
【牙皇子】 さあ、奥へ進むぞ。
【フィナーレ】 白骨を踏みにじりぃ〜ラララ〜♪
【GM】 キミたちがさらに奥へ行くと、行き止まりに突き当たった。そしてそこには、1匹のモンスターがいる。人間の形はしてるけど、まあ、この世の者ではないのは一目瞭然。ぐちゅぐちゅ腐っている。
【牙皇子】 ゾンビか。この倉庫においても、ゾンビは腐るんだな。
【GM】 最初から腐ってたのかもね。
【牙皇子】 (ころっ)フッ、行けフィナーレ。
【フィナーレ】 え〜。でもぉ、あたしぃ、14点もぉ、精神力使っちゃったしぃ〜、今度はぁ、キバちゃんがぁ、いってよぉ。
【牙皇子】 私は1ゾロ。自動失敗。
【フィナーレ】 何したの?
【牙皇子】 〈ターン・アンデッド〉。
【フィナーレ】 でも、もう精神点ないよぉ。
【牙皇子】 えーい、歌え! 歌うんだッ!!
【フィナーレ】 何を歌えっての?
【GM】 ラヴレターフロームキャナダァ〜♪
【フィナーレ】 ねねGM、樫の枝持ってたことにしてもいいですか?
【GM】 なるほど、〈オーク〉の呪文を唱えるつもりだね。まあ、いいでしょう。
【フィナーレ】 〈オーク〉! パペット・ゴーレム、おいでませ(ころっ)。
【GM】 オークは出現したよ。じゃあ、ゾンビの行動の番だな。ゾンビはキバちゃんに攻撃したけど、回避されてしまった。次のラウンド。
【フィナーレ】 キバちゃん、ここはパペット・ゴーレムに戦わせておいて、あたしたちはさっきの十字路の別の道を行こーよ。
【牙皇子】 よし。

 そしてふたりは、先程の十字路を右折した。その先で部屋を発見。

【GM】 部屋の中は真っ暗だよ。
【フィナーレ】 なら、〈ライト〉の魔法で明るくします。
【GM】 すると部屋の中では、グチュグチュの肉片がスクランブル・エッグのように散らばっているのがわかる。
【フィナーレ】 ……なんの肉だろう……。
【牙皇子】 こんな部屋に長居は無用。さっきと逆の方へ行くぞ。
【GM】 逆の方向へ行くと、やっぱり部屋があるよ。
【フィナーレ】 入りまぁす。
【GM】 部屋の中には、どこからか持ってきたように不釣り合いな棺桶が1つある。そして棺桶の中から、人間のような奴がバーンと飛び出した!
【牙皇子】 バンパイアだな。
【GM】 まだそれはわからない。ちなみにどんな奴かと言うと、いっけん人間のようだけど、肌が異常に白くて目が赤い。で、そいつがニヤリと笑うと牙が見える。
【フィナーレ】 だからバンパイアなんでしょ?
【牙皇子】 こいつが今回のボスだろう。さっさと倒してしまうぞ。
【GM】 でも、こいつはレッサー・バンパイアだから、魔法のかかっていない普通の武器では傷つかないよ〜ん(しまった、言ってしまった)。
【牙皇子】 それじゃあ、〈ホーリー・ウェポン〉2倍消費だ。私とフィナーレの武器にかける。(ころっ)成功。
【GM】 じゃ、次フィナーレの番。
【フィナーレ】 あたしはキバちゃんの魔法を待っていたから、このターンの最後になっちゃうんだよ。
【GM】 なら、こちらの攻撃やね。フィナーレにいった。
【フィナーレ】 (ころっ)素早く回避した。あたしの攻撃! (ころっ)はずして、次のターンの最初の攻撃もはずしちゃった。
【牙皇子】 私は[強打]。追加ダメージにプラス2、回避力にマイナス4。(ころっ)はずれ。
【GM】 はいはい、こちらの攻撃だね。キバちゃんにヒット! でもガイーンされた。
【フィナーレ】 こーげきー! (ころっ)あったりー。ダメージは6発!!
【牙皇子】 こーげきー!! (ころっ)あったりー。クリティカル・ヒット3連発で37発!!
【GM】 なんとぉぉぉお〜ぅ!? やられたぁー・
【牙皇子】 フッフフフ、頭に『レッサー』がつく程度のバンパイアごときが、私にかなうわけがあるまい。
【GM】 「ぐはあ! おのれ、人間ごときにやられるとは〜」
【フィナーレ】 ハーフエルフだも〜ん。
【GM】 「人間よりもなお下衆なハーフエルフごときが〜。し、しかし、わたしの役目はすでに終わっている。『炎の水晶』は、すでにあのお方の──」と言い残して、バンパイアは崩れ去った。

 この後、ふたりは例のグチュグチュの部屋でグールを倒し、無事、仕事を終えて『サイレント・パブ』に戻った。

【牙皇子】 あのバンパイア、何か気になることを言ってたが……。
【フィナーレ】 『炎の水晶』がどーのこーのと言ってたね。まさか! 新しいキャンペーンの予感!
【GM】 さあ、どーでしょーねぇ。
【牙皇子】 さて、アンデッド達を倒してきたぞ。払うもん、払ってもらおか。
【GM】 報酬ってあんた……。弁償するのはキミたちの方だったじゃないか。
【フィナーレ】 あたしたちは依頼を受けて、仕事してきたのにぃ。
【GM】 「ヘッ! 何の事やら、あっしにはさっぱりですな」
【牙皇子】 どうやら、死にたいらしい。フィナーレ、噛め。
【フィナーレ】 グルル……かぷっ(笑)。
【GM】 わかった、わかった。では、キミたちが出かけた後にエルフとドワーフがやって来て、弁償したことにしよう。オヤジ曰く「『ドラゴンプリーストの兄ちゃんと、歌姫のねーちゃんによろしく』と言っていたぞ」。
 そしてキミたちは、200フィス手に入れた。経験点は1000点ね。
【フィナーレ】 1000点? たったの!?
【牙皇子】 せ、世間が灰皿やとしたら、ワシらは灰かぁッ!!
【フィナーレ】 あやまれぇーッ! あやまってすむ思うとんのかぁ!!
【GM】 けが人に毛が生えるかぁー!!
【フィナーレ】 あーあ。なに言ってんだか。

÷÷ つづく ÷÷
©2000 Hiroyoshi Ryujin
Illustration ©2000 Jun Hayashida
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