≪REV / EXIT / FWD≫

§短編[1]§

マッスラー教会の悲劇

作:ターンQミース 著:龍神裕義

【GM】 始めてええんやな? ほんじゃ、キミらはとある村の酒場で、昼食をとっているところです。そこへ若い男の人が近づいてきた。
【クリスティ】 どんなひとなん?
【GM】 見た感じ見習いのプリーストってとこ。そいつは「あの〜、冒険者の方ですよね。ちょっと仕事をお願いしたいんですけど」と言ってくる。
【リカルド】 そーゆーことはマネージャーを通してもらわないと(笑)。
【クリスティ】 「わかりました、内容とお金しだいで引き受けます」
【GM】 あんたがマネージャーなわけね。んでは、「お金はひとり500フィスから」とゆーことで。
【クリスティ】 え〜、ダメですね〜。
【GM】 「んじゃ、600」
【リカルド】 それより先に、仕事の内容を教えてほしいな。
【GM】 それじゃ詳しく話そか。この村から森を北に2日ばかり行ったところに、修行場として使われている教会にある。そこには、ふたりの名高い高レベルの司祭がいる。
【リカルド】 なんて名前の司祭?
【GM】 フランク司祭とガトー司祭。両方男性です。
【ガッツ】 説法はやっぱり筋肉美でするんやろな。『マッスラー教』や。(←どこからそんな発想になった)
【GM】 ちなみに、依頼者の名前はユリウスさんね。で、ユリウスさんは4日前、そこに弟子入りしようと行ってみたんや。ほんなら、なんか教会の周りはゾンビでいっぱいやった、とゆ〜わけ。
【クリスティ】 じゃあそのふたりの高司祭、もう、この世におらんのとちゃうん。
【ガッツ】 まあ、高レベルの司祭がアンデッドになったとすると、ワイトとかスプライトとかその辺かなァ。とりあえず面倒そうだな。それに、どーせ殺すなら生命あるものを……(笑)。
【GM】 そのとき、ユリウスの腰の金袋がズシンと床に落ちるんやな。「おっと、1600フィスも入った金袋が落ちてしまったぜ」
【クリスティ】 「ズシン!」ときたか(笑)。
【ガッツ】 ま、とりあえずマネージャー的には仕事を受けそうだな。じゃ、俺は情報収集のために外に出る。あとの交渉は、マネージャーに任せるぜ。
【リカルド】 で〜、けっきょく報酬は1600フィスもらえるのかな〜?
【GM】 そうしよう。「パーティで1600フィス」(←減ってるやんけ)
【リカルド】 ナ〜イス!(←だから減ってるって)
【クリスティ】 ところで、ゾンビって聖水とか効いたっけ。
【ガッツ】 効いたよ。そういうことはふつう、プリーストのおまえが知ってるもんやけどな。この、えせプリーストがッ!!
【リカルド】 で〜、どーすんの? 依頼を受けるってことでいいの?
【クリスティ】 ええやろ。とりあえず、そこに行ってみよう。
【ガッツ】 その前に、アンデッド系に対して有効な武器が欲しいな。前金ってもらってんの、GM?
【GM】 報酬の半分の800フィスを先払いしてることにしよう。残りは成功報酬というか、生きて帰ってこれたら支払う。
【リカルド】 そんじゃ、銀製のブロードソードを買うてくれ、マネージャー。
【GM】 「ロバが欲しい」とは誰も言わんねんな。(←昼間のネタ)

−お買い物タ〜イム−

【ガッツ】 というわけでGM、銀のセスタスを買いたいんだが。
【GM】 うん、たまたま入荷してたことにしよう。
【ガッツ】 ありがとう。あと、食いモンも購入しておこう。行きだけで2日かかるから、ひとり4日分持っておけばいいな。それから俺は、村の武器やとか野菜などを売ってる露店系のところで、マッスラー教会について聞いてみる。
【GM】 その教会は、マッスラー教の修行場やったんやね。(←マッスラー教に決定)
 そこの最高責任者は、フランク司祭で、その補佐がガトー司祭。その他にも、たくさんの修行僧がいたらしいんやけど、いまはどうなったかわからない。
【クリスティ】 その教会にゾンビが現れたという噂は、以前からあった?
【GM】 いや、なかった。その噂が立つとすれば、これからだと考えてよろしい。そこの人たちは、1ヶ月に1回、ひと月分の食糧を買いだめに来てたんやけど、最後に買い出しに来たのは1ヶ月前。
【ガッツ】 ということは、教会に何かあったのは、この1ヶ月の間と考えていいな。まあ、とりあえず全員がアンデッド化してるものとして、厄介なのはクリエイターがいる場合だな。教会の方へ向かった魔導師とかを、目撃したことのあるひとはいないか聞いとく。
【GM】 残念、特にそういった情報はありません。
【リカルド】 はいは〜い、質問。ユリウスの護衛となってますが、ユリウスの冒険者レベルはいくらなんですか?
【GM】 冒険者レベルは0。プリースト技能も信仰してるだけなので、1レベルも取得してません。
【リカルド】 神を信仰してるなら、神聖魔法は使えるんじゃないかな〜。
【GM】 信仰してるだけで魔法が使えるなら、この世界の住人は、だれでも神聖魔法が使えるということになるぞ。この世界では、商人は幸運神ノプス、農民は大地の神ミフォアなど、ふつう、何らかの信仰を持ってるもんやからね。
【リカルド】 ふ〜ん。
【ガッツ】 とりあえず、出発するのは明日の朝ということで。
【GM】 OK、ほんじゃ翌朝になった。
【クリスティ】 よし、じゃ、行こうか。
【GM】 ユリウスが教会までの道案内を勤め、森の中を北へ進むこと2日、噂に聞いた教会に着きました。古びた教会の周りでは、腐った人の死体が緩慢な動きでウロウロしてるよ。
【リカルド】 はい、[怪物判定]。(ころっ)。
【ガッツ】 俺もする。(ころっ)。
【GM】 ゾンビです。モンスターレベルは1です。それが4体おります。
【リカルド】 よし、俺はゾンビAを殺る。
【クリスティ】 待て待て、おまえには作戦というものはないんか(笑)。
【GM】 教会の周囲は森。柵で仕切られた前庭にゾンビがいて、キミたちは現在、ゲートのない門の前にいる。
【リカルド】 あのさ〜、ゾンビはこっちに気づいてるの?
【GM】 いや、そういうふうには見えない。
【クリスティ】 ほんじゃ、門のところから片足を敷地内に入れてみよう。
【GM】 そうするとワラワラとクリスティの方に集まってくる。
【クリスティ】 門から離れる(笑)。
【GM】 するとまた、緩慢な動きでロボットダンス(笑)。
【ガッツ】 要するに敷地内に入ってきた奴を攻撃しろ、と命令されてんやな。
【クリスティ】 はいはいは〜い、俺、飛び道具持ってる。
【リカルド】 ああ、それで外からチクチクやってまえばええんやな(笑)。

 というわけで、クリスティがライト・クレインクィン・クロスボウで、ゾンビをチクチクやっつけた。

【リカルド】 そのゾンビの着てる服って、どんなん?
【GM】 元は修行僧の着てたものだけど、いまはタダの布きれ。
【ガッツ】 やはり〈クリエイト・ゾンビ〉された可能性が高いな。
【クリスティ】 教会の前へ行こう。
【リカルド】 ほんじゃ、玄関扉の前で[聞き耳](ころっ)。
【GM】 とくに何も聞こえません。
【ガッツ】 あの〜、これって教会だろ? ということは、裏口があるか、地下があるってことだ。司祭たちがゾンビたちから逃れたとしたら、そこから逃げたか、地下室に隠れてるかのどっちかだと思う。
【リカルド】 そんじゃ、教会一周してみるか。
【ガッツ】 あと、ガラス窓なんかがあったら、とりあえずひと通り覗いてみる。
【GM】 OK。

 こうやって冒険者たちは教会の周囲を調べはじめた。ガッツの提言で、ガラス窓を逐一覗いてゆく三人。……ってゆーか、おめーらの『覗く』は『たたき割る』なんか?!(←しかもたいまつで!)

【リカルド】 途中で見た、『アニキの石像』はいったいなんなんだろう(笑)。
【クリスティ】 怪しいよな。胸の筋肉がピクピク動くところがとくに(笑)。
【ガッツ】 後で調べりゃわかるって。とりあえずマスターさん、窓を割り続けますからね。
【GM】 それなら、教会のちょうど真裏にあるガラス窓を破ったとき、薄暗い部屋の中から見えない衝撃波が飛んできたよ。ガッツさんは[精神力抵抗]してください。
【ガッツ】 [精神力抵抗]失敗……6点くらった。痛いな、けっこう。
【リカルド】 中に誰かいるのか。
【クリスティ】 そりゃそうや。さっきのはたぶん〈フォース〉やから、プリーストってことだな。
【ガッツ】 ゾンビになったプリーストか。だとしたら、ずいぶん頭のいいゾンビだな。ま、ダークプリーストという可能性もあるが……。とりあえず、中に向かって言うセリフは「痛ぇな、何すんだよッ!」。
【GM】 ほんなら、「騒々しい小僧どもだ」というセリフが聞こえてくる。
【ガッツ】 「あーン? 生きてる奴、いたのかぁ!?」
【クリスティ】 何でもいいから[怪物判定]や。
【ガッツ】 いや、姿を見せてもらわないと[怪物判定]も何もあったもんじゃない。
【GM】 そうすると、窓からひとりのおっさんが出てきた。肌は異常に白いです! ほんで瞳は赤いです!
【リカルド】 [怪物判定](ころっ)。
【GM】 レッサー・バンパイアです。レッサー・バンパイアというのは、バンパイアなどに殺された人間がなるものだということがわかった。ちなみにレッサー・バンパイアは、通常武器では傷つかない。そいから、リカルドは[精神力抵抗]な。[怪物判定]するときに目を合わせてしまったから。
【リカルド】 (ころっ)成功。失敗してたらどうなっとったん? やっぱり麻痺?
【GM】 そう。
【ガッツ】 うちのパーティには麻痺を治せるプリーストがいねえからな、麻痺してたらヤバかったぞ。よし、倒すぞ!
【クリスティ】 待てよ。普通の武器じゃ傷つかんからな、〈エンチャント・ウェポン〉をかけてもらったほうがええぞ。
【ガッツ】 なんで? 何のための銀のセスタスだ。
【リカルド】 私もシルバーのショート・ソードを持ってるんで。
【GM】 わかった。じゃあ、レッサー・バンパイアの行動は終わってるから、次のラウンドに行くぞ。そっちから行動。

 冒険者たちは苦戦しながらも、なんとかレッサー・バンパイアを倒した。

【GM】 レッサー・バンパイアはバタっと倒れた。そうすると、ガトーの肌の色はみるみるうちに元に戻って、見開かれた瞳の色も普通の褐色になった。
【クリスティ】 生き返るのか?
【GM】 「お〜……」と呻いてる。かなり虫の息やね(笑)。
【ガッツ】 セスタスで後頭部を刺したるか。「土に戻れ〜!!」(←バーサーカー)
【GM】 ほんじゃ、殺られる前に最後のひと言を言うとくか。「どうやら死ぬ寸前に今までの信仰の報いが来たらしいどうか冒険者殿フランクを助けてくれ」(←めっちゃ早口)
【クリスティ】 何を言うとんのか、わからん(笑)。
【ガッツ】 言いたいことがあるのなら、ゆっくりでいいから言いな(笑)。
【GM】 ほんならとりあえず、この人の名前はガトーさん。
【クリスティ】 ガトーというのは確か……。
【ガッツ】 副司祭。レッサー・バンパイア化されてたみたいだな、やっぱり。
【クリスティ】 それで元に戻ったのか?
【GM】 いや、「どうやら死ぬ寸前に今までの信仰の報いが来たらしい」ということです。
【リカルド】 死ぬってわかってんのや。お迎えが見えてるってか。
【クリスティ】 いや、北斗七星の横に死兆星が見えてるねん(笑)。
【ガッツ】 俺は見えてない、見えてない。あんな星、見えてない(笑)。
【GM】 『あんな星』ってことは、見えてんのか、ホンマは(笑)。
【ガッツ】 俺は死神を引き連れて動く男なのさ。
【GM】 ま、ガトーさんの話を要約すると、この人はバンパイアによって、レッサー・バンパイアにされてしまったらしい。
【ガッツ】 やはり親玉がいると。
【GM】 この教会の地下には、バンパイアが封印されてたんだけど、それが復活してしまったと。なんでさっさと『邪な土』を始末しなかったかというと、この教会にバンパイアが封じられてることは、長い年月の間に忘れられていたからだそうだ。
 で、復活したバンパイアとフランクは戦ったわけやけど、相討ち状態になってしまったんやね。バンパイアは霧になって『邪な土』に戻る際、フランクに〈カース〉をかけたわけ。
【ガッツ】 そんでもって、フランクさんを助けてやってほしいと。
【GM】 そのとおり。フランクはバンパイアの呪い〈カース〉によって、石化しつつある状態なんだと。
【ガッツ】 ははぁ、あの『アニキの像』がフランクなわけね。
【クリスティ】 あの胸のピクピクは、「助けてくれ!」っていう合図やったんやな(笑)。
【リカルド】 いやなSOS(笑)!
【GM】 そのフランクの呪いを解くには、ふたつ方法があるとのこと。ひとつは〈リムーブ・カース〉。
【リカルド】 〈リムーブ・カース〉は誰も使えんで。
【GM】 大丈夫、もうひとつ方法がある。この教会の裏山の頂にある墳墓には、すごい聖なる力があるそうで、その墓前に咲く花の蜜を飲ませると、フランクの呪いを解くことができるらしい。
【ガッツ】 花を採ってくるのか。
【リカルド】 それが解毒剤みたいなん?
【GM】 そう。「私はそういうことを突き止めました。ぐふっ」
【ガッツ】 いきなり死にさらしやがった。トドメの一撃くれてやる前に。
【GM】 ばしゅ〜、って白い煙を噴き出しながら、ミイラになったんやね。あの麗しい筋肉美が見る影もなく──。
【クリスティ】 筋肉神マッスラーの下へ旅立ったんや(笑)。
【リカルド】 じゃあ、石化を解く花をちょっぱやで採ってきましょう。
【GM】 花を採って帰ってきました。
【クリスティ】 ほんじゃ、礼拝堂のフランクさんに花の蜜を飲ませましょう。
【GM】 フランクさんの呪いが解けて、徐々に石化が治っていきます。筋肉がどんどんツヤツヤしてきます。しまいにラードを塗ったようにテラテラしてきます。
【クリスティ】 その花、プロテインとかいう名前ちゃうやろな(笑)。
【リカルド】 さあ、ウンチク垂れてくれ。
【GM】 「ありがとう。私は、バンパイアとの壮絶な戦いのしまいに〈カース〉をかけられ、危うく石化してしまうところだった」
【ガッツ】 バンパイアってレベル10だったよな。このフランクさんのレベルは?
【GM】 「マスター・マッスルです(笑)」
【クリスティ】 あいまいなレベルや。強いんか、強くないんかわからん(笑)。
【GM】 『マスター』は司祭の長の称号な。そんでフランクさんは、『邪な土』を浄化させました。したたり落ちる自分の汗を使って。
【ガッツ】 そいつは強力や(笑)。
【クリスティ】 これがマッスラー教の『聖水』なわけね。
【リカルド】 イヤな聖水(笑)!
【GM】 で、翌日。ユリウスくんは、「僕はこの教会に残って、復興させてみせます! そしてマッスラー教を、全国区にしてみせます!」と息まいてる。
【リカルド】 ということは、このシナリオ終わってしまうのかな?
【GM】 そうやね。いちおう報酬ももらって、勧誘もされて。
【クリスティ】 イヤです。
【リカルド】 大事な使命があるんで……。
【GM】 あ、そんなんあったんや。
【リカルド】 こうでも言うとかんと、オレまで変な世界に連れ込まれる(笑)。

÷÷ おわり ÷÷
©2000 Hiroyoshi Ryujin
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